アトランタで先月末から行われていた閣僚会議で、大筋合意に至ったとの報道がされています。TPPは現在12ケ国間の交渉ごとですので、それぞれの国会での承認等を経なければなりませんが、いよいよ協定の発行に近づいてきたと言えそうです。

ところで、TPPとは「Trans-Pacific-Partnersship」の頭文字をとった略語で、日本語では「環太平洋パートナーシップ協定」とか「環太平洋経済連携協定」とか訳されることが多いのですが、太平洋を囲む12の国での貿易や投資の自由化やルール作りを進める」ための枠組みです。
大きな特徴は、「モノ」だけではなく「サービス」や「投資」などで高い水準の貿易自由化を目標にしていることです。今回の閣僚会議でも最後まで揉めていた、特許や著作権など「知的財産」の保護に向けたルール作りや、金融・通信といった「サービス」分野の自由化など21に及ぶ幅広い分野が交渉の対象になっています。

自由貿易とは、関税など国家の介入や干渉を排除して、生産者や輸出入会社が自由に行う貿易のことです。
関税は、主に自国内の産業を守るための防衛措置ですが、防衛をすればするほど結果的に消費者は高いものを買わねばなりませんし、守られることが既得権化してしまうとその業界の努力が失われますます効率の悪い生産しかできなくなってしまう可能性があります。また、自国の業界を守ることが強すぎると、こちらから輸出するものにも関税がかけられますので、輸出を伸ばしたい国にとっては痛し痒しとなってしまいます。

日本は、輸出産業が経済を活性化している国の1つですが、もっと輸出を促進するためには、自国の関税を減らす代わりに相手国の関税も減らしてもらったほうが好都合です。いまは、情報や物品にしても国境を飛び越えての流通が当たり前の時代になっています。農業とりわけ米作業の保護を外すリスクはあるものの、輸出品を売りやすくするメリットの方が大きいと踏んだ国は、すでに交渉が始まっていたTPPに途中から参加させてもらった…というのが今回の交渉の経緯です。

ところで、日本はこれまでもこうした協定を結んでいる相手はたくさんありました。自由貿易協定(FTA)を柱として、関税撤廃などの通商上の障壁の除去だけでなく、締結国間での経済取引の円滑化、経済制度の調和、およびサービス・投資・電子商取引などの経済領域での連携強化・協力の促進などを含めた条約である「経済連携協定(EPA)」です。多くは二国間のものですが、すでに発効している相手国は次国々です。
  • シンガポール
  • メキシコ
  • マレーシア
  • チリ
  • タイ
  • インドネシア
  • ブルネイ
  • ASEAN
  • フィリピン
  • スイス
  • ベトナム
  • インド
  • ペルー
  • オーストラリア
  • モンゴル
また、現在交渉中なものは、TPPを除いて次の相手国です。
  • カナダ
  • コロンビア
  • 日中韓
  • EU
  • 東アジア地域包括的経済協定
  • トルコ
  • GCC
  • 韓国
最大の消費国である中国に目を向けると、すでに韓国とFTAが締結されるなど、輸出を伸ばしたい日本としては多少の国内産業の保護が甘くなることがあったとしても手をつけなければならなかった背景があります。