ふるさとの空の下に「オーイ、オーイ」

ふるさとの空の下に「オーイ、オーイ」

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去年の大晦日紅白での美輪明宏の「オーイ、オーイ」と原爆で逝った人を呼ぶ声が、心に嵌まってしまいました。　　　　　　　　　　　このごろ　　　　　　そして重なるの。
　1945年8月1日に夜〜2日未明大空襲でＴ市は、焼け野原になりました。焼夷弾の直撃を受けた近所の国ちゃん、明ちゃんのお母さん。お隣のお婆ちゃんお二人自宅の井戸中の焼死体で見つかりました。
ホテル前にあった小さい緑地に防空壕と、その横の観音堂前の防空壕で40人ほど焼け死にました。

３日の夜、家族9人をＮＡの疎開先から14時頃地方鉄道乗って、母・姉・１０歳の私が行き止まりのＳ駅で降ろされました。
鬼火がところどころでちょろちょろ赤ーく燃え、多くの死人のニオイがする真っ黒な生き地獄のようなＴ市の東西の大通りを怪我しないようゆっくり歩きました。「オーイ、オーイ」と私は無意識に呼びかけるのです。
引きずられて歩く10歳私と怖くって何も言えない3人の目に見えたもの。
「ワー。警察だ」恐い警察が救いです。Ｔ警察署が燃えていません。

　戦時中、母は闇取引をしたとよく蜜告されました。密告社会でした。引っ張られる度に(すぐ検事局にいる母の弟にＴＥＬ）ただちに釈放、人懐っこい母は警察の人がお友達になっていました。
たどり着いた警察で白米の大きなお握りを下さいました。かぶりついたら酸っぱかった。母はすぐ自分の荷物の中に隠して、食べたふりしてお礼を言っていました。
宿直室で警察の方と雑魚寝し、空襲警報がなると警察の事務室のような防空壕に避難しました。

４日明け方にようやく母のお里に着きました。母のお里では、2日〜毎日ＪＩ川の鉄橋を渡って親子3人を捜していました。「一家全員無事」の高札をみて、やきもきしていたところでした。一家総喜びで、親子3人はやっとほっとして、グーグー眠りに落ちました。

　疎開先のＮＡから、おばばは、一人で家の焼け跡にトタンで三角小屋を作って、7日頃から住んでいました。私は、姉と一緒してお婆に良く会いに行きました。

焼け跡から疫病腸チウスがはやり、跡取り娘の姉、大事な叔父が罹患して逝きました。
その叔父は、12人を母と共に支えていた、軍需工場住友の配属将校で、住居と店舗を建てるに十分な、材木を焼け跡に置いて逝きました。「オーイ、オーイ」と私は無意識に呼びかます。

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