2016年03月
2016年03月16日
選択的夫婦別姓の実現へ〜最高裁大法廷の判決を聴いて〜
選択的夫婦別姓の実現へ〜最高裁大法廷の判決を聴いて〜
夫婦別姓訴訟原告団長 塚本協子
blogランキングへよろしくお願いします。
◆最近の出来事から
今年の2月16日には、国連の女性差別撤廃条約の女性差別撤廃委員会の人事理事会がジュネーブで開催されます。日本の女性差別についての現状を国連に伝えるため、結成されたNGO団が、15日の開会式後、NGO団長大谷美代子弁護士が夫婦別姓の最高裁判決も報告されました。私は、裁判で命をそそぎ、心身共に疲弊したので、私の思いを次の時代に繋いでくれることを祈って、手紙を託しました。 以下、手紙の内容です。
別姓請願書
日本には、戸籍という、家を単位として、家の構成員を役所に届け出る制度があります。
そして、結婚するときに夫婦の姓は、強制的に同じものにされます。
96%の女性が夫の姓を名乗ります。社会の見えない力を感じます。
自分の姓を失い、アイデンティティーも失うと感じる女性がいます。
私は、同姓でも、別姓でも、選べることを求め、裁判で敗れました。
私は、生まれたときの姓を名乗れないことで、54年苦しみました。
それは、これからも続きます。どうか助けてください。
そして、できうることなら、これから結婚する若者に
同じ苦しみを、与えたくはないのです。
優しさを広める活動に、どうかご協力をお願いします。
**私は、結婚で改姓して『嫁』になった母とは、異なる生き方を模索していました。**
◆ 選択的夫婦別姓制の実現へのお願い〜最高裁大法廷を聴いて〜
訴訟から5年、憲法判断を争う最高裁大法廷をも動かし、最期までやり遂げられたのは、皆様方のお陰です。有り難うございます。苦しいこともありましたが、お互い切磋琢磨し、成長を遂げ、戦いをともにし、少数意見ですが5人の違憲判決を勝ち取りました。あと3人が、違憲ならば勝てるところまで来ました。
結果は、負けましたが、先人が心の血を流しながら築いた財産を武器に、この夫婦別姓訴訟があったことに感謝します。
私は13年間の事実婚や通称使用をしながら、それでも、自分の生まれたときの姓を社会の一部に対して堂々と名乗っても、受け入れられない違和感に、54年間苦しみ続けました。戸籍姓の署名は、公文書や医療機関で必ず必要です。書く度・聴く度に、私のアイデンティティを失って燻されるような痛みが、背中を走ります。そして、裁判に負けたことで、この苦しみが続くのです。
明治民法(1898年)に「家制度」が規定されてから初めて、2011年2月に原告団5人と弁護士団13人で夫婦別姓訴訟を提起しました。この夫婦別姓訴訟は、民法750条の同姓強制規定の改正を求めて提起しました。96%もの女性が夫の姓で結婚改姓をしています。見えない社会の圧力を感じませんか?この訴訟は、「個人の尊厳」「婚姻の自由・両性の本質的平等」「国際人権法の遵守」という、まさに憲法の根幹を争う戦いでした。
この訴訟の一審及び二審の判決では、棄却されたので、原告団5人と弁護団19人14年4月10日に最高裁へ上告しました。15年6月25日に最高裁大法廷で審議されることになりました。
民法750条同性規定に対する最高裁大法廷の判決の10人は合憲でした。
判決は人権侵害と女性差別撤廃条約違反に対する言及を避けています。
★人権侵害とは:二宮周平立命館大学教授にいわく
「(弁護団が)この訴訟の基本は、氏名に関する人格権の問題だとし、これを第一に取り上げたことに同意する。これは人権侵害の問題であって、家族の在り方を論じているのではない」
★女性差別撤廃条約違反とは:大谷美紀子弁護士いわく「条約違反であるだけでなく、条約遵守義務を定めた憲法98条2項にも違反する」と、政府の条約遵守違反を厳しく指摘しました。
しかし、判決では、日本国憲法の第24条(両性の本質的平等)について、初めて具体的な法規範性を認めました。これからの女性運動の礎になるでしょう。
私たちが望んでいるのは「愛し合う二人に別姓結婚も認めよう」ということだけです。
私たちの子ども・孫には、同姓もしくは別姓を、自由に選んで欲しいと思います。
私と同じような苦しみを、感じてほしくないのです。
この運動を通して、そういう優しさを広めていきたいのです。
仲間が増えていけば、国も決して、無視はできない。
これからも、仲間と優しさを増やし、一緒に歩んでいきましょう。
そして、塚本協子で生き、塚本協子で逝きたいです。
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夫婦別姓訴訟原告団長 塚本協子
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◆最近の出来事から
今年の2月16日には、国連の女性差別撤廃条約の女性差別撤廃委員会の人事理事会がジュネーブで開催されます。日本の女性差別についての現状を国連に伝えるため、結成されたNGO団が、15日の開会式後、NGO団長大谷美代子弁護士が夫婦別姓の最高裁判決も報告されました。私は、裁判で命をそそぎ、心身共に疲弊したので、私の思いを次の時代に繋いでくれることを祈って、手紙を託しました。 以下、手紙の内容です。
別姓請願書
日本には、戸籍という、家を単位として、家の構成員を役所に届け出る制度があります。
そして、結婚するときに夫婦の姓は、強制的に同じものにされます。
96%の女性が夫の姓を名乗ります。社会の見えない力を感じます。
自分の姓を失い、アイデンティティーも失うと感じる女性がいます。
私は、同姓でも、別姓でも、選べることを求め、裁判で敗れました。
私は、生まれたときの姓を名乗れないことで、54年苦しみました。
それは、これからも続きます。どうか助けてください。
そして、できうることなら、これから結婚する若者に
同じ苦しみを、与えたくはないのです。
優しさを広める活動に、どうかご協力をお願いします。
**私は、結婚で改姓して『嫁』になった母とは、異なる生き方を模索していました。**
◆ 選択的夫婦別姓制の実現へのお願い〜最高裁大法廷を聴いて〜
訴訟から5年、憲法判断を争う最高裁大法廷をも動かし、最期までやり遂げられたのは、皆様方のお陰です。有り難うございます。苦しいこともありましたが、お互い切磋琢磨し、成長を遂げ、戦いをともにし、少数意見ですが5人の違憲判決を勝ち取りました。あと3人が、違憲ならば勝てるところまで来ました。
結果は、負けましたが、先人が心の血を流しながら築いた財産を武器に、この夫婦別姓訴訟があったことに感謝します。
私は13年間の事実婚や通称使用をしながら、それでも、自分の生まれたときの姓を社会の一部に対して堂々と名乗っても、受け入れられない違和感に、54年間苦しみ続けました。戸籍姓の署名は、公文書や医療機関で必ず必要です。書く度・聴く度に、私のアイデンティティを失って燻されるような痛みが、背中を走ります。そして、裁判に負けたことで、この苦しみが続くのです。
明治民法(1898年)に「家制度」が規定されてから初めて、2011年2月に原告団5人と弁護士団13人で夫婦別姓訴訟を提起しました。この夫婦別姓訴訟は、民法750条の同姓強制規定の改正を求めて提起しました。96%もの女性が夫の姓で結婚改姓をしています。見えない社会の圧力を感じませんか?この訴訟は、「個人の尊厳」「婚姻の自由・両性の本質的平等」「国際人権法の遵守」という、まさに憲法の根幹を争う戦いでした。
この訴訟の一審及び二審の判決では、棄却されたので、原告団5人と弁護団19人14年4月10日に最高裁へ上告しました。15年6月25日に最高裁大法廷で審議されることになりました。
民法750条同性規定に対する最高裁大法廷の判決の10人は合憲でした。
判決は人権侵害と女性差別撤廃条約違反に対する言及を避けています。
★人権侵害とは:二宮周平立命館大学教授にいわく
「(弁護団が)この訴訟の基本は、氏名に関する人格権の問題だとし、これを第一に取り上げたことに同意する。これは人権侵害の問題であって、家族の在り方を論じているのではない」
★女性差別撤廃条約違反とは:大谷美紀子弁護士いわく「条約違反であるだけでなく、条約遵守義務を定めた憲法98条2項にも違反する」と、政府の条約遵守違反を厳しく指摘しました。
しかし、判決では、日本国憲法の第24条(両性の本質的平等)について、初めて具体的な法規範性を認めました。これからの女性運動の礎になるでしょう。
私たちが望んでいるのは「愛し合う二人に別姓結婚も認めよう」ということだけです。
私たちの子ども・孫には、同姓もしくは別姓を、自由に選んで欲しいと思います。
私と同じような苦しみを、感じてほしくないのです。
この運動を通して、そういう優しさを広めていきたいのです。
仲間が増えていけば、国も決して、無視はできない。
これからも、仲間と優しさを増やし、一緒に歩んでいきましょう。
そして、塚本協子で生き、塚本協子で逝きたいです。
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