遊ぶ子の群かけぬけてわれに来るこの偶然のやうな一人を抱けり


僕はこの一句が大好きです。川野里子さんの処女歌集「五月の王」に納められた歌です。おそらく彼女自身の子供を歌った若かりし頃の作品でしょう。 子供は、当然のように母親を見つけ、喜んでかけてきます。 しかし、そうした時間も永遠には続きません。 その子と居ることの偶然を思うとはかなくも感じます。 また、それは子供だけではなく、どのような人との出会いでも、偶然のように群れ駆け抜けて自分のもとに来てくれたのかもしれません。