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 もう何度か書いていますが、僕は菊地成孔さんのファンです。ライブにはまだ行ったことがありません。 テナーサックスのJAZZ奏者、卓越した技術、というよりは歌い、語るサックスは大御所から若手まで、さらには他のジャンルの多くのミュージシャン、そしてもちろん私達を引きつけるのですが、すさまじいのは、その活動の広がりです。 音楽論評は言うに及ばず、あらゆる事象に切り込む卓越した文章力とその量の多さ。作曲、アレンジ、イベントプロデュースの仕事に至っては、コマーシャルな分野からアンダーグラウンドな感じの世界まで、さらには10代の若手ラッパーとの共演、ヒップホップ、ラップのオリジナル楽曲もすばらしい。残念ながら8年間続いた唯一のラジオ番組であったTBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」は2018年末をもって終了してしまいました。(各界から大ブーイング) 以前にも書きましたが、音楽を海の底から微かに光る海面を見るように見上げると同時に上空を飛びながら俯瞰することのできる数少ない才能にはいつも舌を巻きます。
 彼の幅広い活動、彼自身は「幅広い」とは思っていないと、僕は常々思っていました。演奏、歌、文章、語り、作曲、食事、その生きて成すすべての事々が彼にとっては「同じ」なのではないかと。 音楽という表現方法の延長なのではないかと。 先日NHKのラジオ番組で高橋源一郎さんに対し菊池さんが同じような趣旨の話をしていたのを聞いて、一人でニヤニヤしていました。
 
 ところで、「粋な夜電波」というラジオ番組の魅力は菊地成孔さんが一人で行っている選曲、編成もさることながら、番組冒頭の卓越した前口上、一種のポエトリーリーディングの素晴らしさでした。ファンも多く、前口上の録音をYouTube にアップしている人がけっこう居ます。今日は朝からそれを聞いていました。そして、ひょんなことから2016年、菊池さんの母上がお亡くなりになった直後の放送に行き当たり、聞き入ってしまいました。すこし長いのでお聞きになりたいかたは、お暇な時に。
https://www.youtube.com/watch?v=5j-_fVZClIU

※ このお話の中に出て来る、亡くなった母を兄と二人だけで見送った葬儀の話。 菊地成孔さんの兄は超多作の伝奇小説の鬼才、菊地 秀行さんです。
※ 昔々、メーザー・ハウス(音楽専門学校)に菊地成孔氏が生徒として所属していた時、僕の妹もその学校に行っていたということを、一昨年始めて知りました。びっくり