私には2つの大切な座右の銘があります。
1つは【技術力は国語力】
もう1つは【技術はまず概念から入る】です。前者は以前このブログで簡単に解説しました。

後者について、どういう事かというと、
例えばオモチャの船のエンジンスクリューを回し船をお風呂の中で推進させようとした時、どれくらいの動力が必要か計算しなければいけません。その際に船の体積を3次元的に計算し、材料の比重を掛け合わせて重量を導き出し、お風呂の波の抵抗を数学的に予測し、どれくらいの定格推進力で進ませるか、広さから範囲決めをし、それに見合った電圧やモーターを選定しなければいけません。

しかし、そんな事をしなくても、『大体モーター容量0.5wだなぜなら、めっちゃ遅いこっちのヒヨコぴーちゃんは0.2wだから』とザックリと決めてしまってはどうでしょうか? 人間の感覚って人工知能が最後まで到達出来ないくらい、優れた感覚と効率の良い機能を兼ね備えてるんです。まあ大まかに間違ってません。
そこから入っていけば、後は実際に作りながら修正して、肉付けしたり削ったりしながら進めば、ほら、緻密な計算はいつの間にか出来ちゃいます。

初めから、何もかも分からない言葉、知らない数式や法則とにらめっこしても、前に進みにくいですよ。人間としての学習意欲や動機が萎えますよね

どんなに難しいと思える事柄も、自分なりに大体こんな感じかな?こんな意味かな?あれと同じようなものか?とアプローチして、その後修正していけば良いのです。しかし、もう一度言いますが、人間って凄い。だいたい合ってます。女性の勘って凄くないですか?男は考えの全てを見抜かれまくってます。それも男の大枠を掴んでしまってるからなのかも知れません(すみません、その女性の能力については真剣に検証した事がないので実際は不明です )

・このエレベーターは速度が〇〇m/minで積載が何キロだからモーターは何キロワットだ

・このプログラムはRを使ってるからこんな予測が出来る

・この磁石は10mm厚のガラスでも挟み込んでくっつくから〇ガウスだ。20mmなら倍の〇〇ガウスだ

・だいたい〇〇馬力だから力強いロボットだね

・CTは放射能使って、MRIは磁石か

・電圧はダムの水量で電流は放水で抵抗は口の大きさを調整する流れやすさだ。

などなど

そして、そのあとは掛け算と割り算で結構色々分かってきます。
・モーターの回転数=(120×周波数)÷モーターの極数
・回転トルク=回転半径×接線力
・電圧=電流×抵抗(Ωの法則)
こんな公式50も覚えれば、色々な技術の敷居が低くなるような気がしてきますよ

実は、この教えは私の父の盟友であるN先生から授かりました。先生は住友重機械工業株式会社の研究所長(歯車技術など世界一のレベル)を退職されたあと、高専で数学の授業をし始めた頃、一向に理解しない生徒達に対してどうすれば分かってくれるのか思いあぐねていました。
そんな時、先生は私の父の事を思い出しました。父は営業からN先生が所長を務める技術研究所に転籍してきてから、たった数年でトップレベルの技術を習得してしまった住友の伝説の男です。父は動力伝達装置のトップセールス営業職を極めた後、自ら志願して技術研究所へ技術を学びにやってきました。到着早々、父はN先生にこう聞いたそうです。『すみません、この機械はだいたい何キロワットですかね?お客さんは50kwくらい必要かな。。。』
技術研究所で【だいたい】なんて聞き方はあるわけないですよね。皆最初は呆れ返ったそうです。しかし父はだいたい何キロワットを知って、それに合うモーターやフライホイール、歯車焼き入れ方法、減速比を正確に導き出し、結果、お客様とお客様も知らない別の機械との接点も見つけ、見事に問題解決してしまったのです。。。
N先生は授業中、父の事を思い出し、こう思ったそうです。
『そうか技術はまず概念から分からせれば良いのだ』
その考えを授業に取り入れた途端、学生の理解度と成績が飛躍的に向上したのです。

関数の方程式は、どういう事に役立つか、この放物線の膨らみはどんな意味があると思う?などとザックリ説明しながら、生徒の理解を徐々に深めていきました。


私は信じてます。父と先生の言葉。
世界を変えた発明を次々としていった、歴史には目立って載らない、本当の偉人達。先生は父の分までずっとずっと長く生きていて欲しい。どうかお願いします。

父の言葉
→技術力は国語力

N先生の言葉
→技術はまず概念から入る

私の大切な大切な座右の銘です。
そして、素晴らしい神器なのです。