前回のブログでメンテナンス依頼を受けました大変稀少なメディカルRECARO バリオメドについて、当社の手持ち資料やブリンプ販売期の方からお聞きした内容、 および今回、メンテさせて頂いたシートの特徴も踏まえて記載します。

 90年代初頭、当時のレカロ輸入元ブリンプ㈱は大阪の吹田市にメディカルセンターを 設置し、大々的に医学的要素を踏まえたシート販売を展開していました。 その一環でRECAROに関する小冊子「腰痛の科学」(添付画像)が作製されていました。

 本冊子は、人間がなぜ腰痛になるかを紐解きながら、そのメカニズムやドライビング時に 起因する問題点、それを解決する方法としてレカロが構造的にも最適であることが約 30ページにわたり記載されています。
 この中で、最終項目にメディカルシリーズの4機種「エルゴメド」「コンフォメド」「オルソペド」 今回の「バリオメド」が紹介されています。
 前段の3機種に関しては特にエルゴメドやオルソペドは2018年現在もカタログモデルとして 販売され、90年代のものよりも機能も進化して販売されていることを考えるとやはり 腰痛のドライバーからは絶大なる信頼を受けていることが解ります。

 バリオメドに関しては、その内容があまりにも専門特化し過ぎた余り、2000年前後で 日本国内での販売は無くなりました。

 本シートは基本的に腰痛対策を通り越した医療用シートとなります。前回のブログにも 記載しましたが、側弯症(骨の曲がり発生)に対して非常に有効なものです。
 センター部のウレタンが背中、座面とも分離形状になっており、座面は先端部、背中は 頸椎部がスポーツシェルの座面先端部のように左右独立形状となっており、この部分に 着座する使用者の側弯改善に適したウレタンを挿入し、シートの形状を整える構造となっています。 挿入したウレタンが脱落しないようにシート側にベルクロが設置されており最適な位置での 取付が可能です。胸椎や腰椎部分は、現行のエルゴメドやis05LX等にも採用されている ブロックタイプにランバーにて調整が可能です。
 ヘッドレストもメディカル用が採用され、頭部のサポートが適切に行える構造です。 座面センター部の耐圧分散ですが、他のメディカルレカロと異なりA8Ver1等に採用されている 密閉型シェル構造となっており、ピレリーマットのように下部方向へ体圧の分散は有りませんが その分、座面センター部のウレタンの厚みがなり、ウレタン材質も異なっています。

 上記のシート状の特性からカタログ上に記載されている説明文が理解できます。 「背骨から足にかけてのどこかに先天的な・後天的な障害をもち、従来のカーシートでは 車に乗れなかった方でも、安定した着座姿勢に導きます」との記載があります。
 本文書を読み解きますと、本シートはドライビングシートとの目的よりも障害のある方に 快適にお車で移動して頂くためのナビシートであると理解できます。
 この件に関しては、当時吹田メディカルセンターで勤務されていた方からお話をお聞きした とき、ご両親が先端的な骨の曲がりのある愛娘さまを遠方の病院へ通院する際、身体が 傷み何度も休憩しながら通院していたのでご相談を受けたそうです。 この方専用にウレタンをカスタマイズしたレカロを作製し、「生まれて初めて快適に車に乗ることが できました!!」と涙を流して喜んで頂き、作製スタッフ一同感動した経験があるとお聞きました。 このときの加工のベースになるレカロがバリオメドであったかは確認は取れておりませんが、 レカロ社がドライビングシート以外でも車に快適に乗車することにも、最大限のノウハウを駆使 していたことが理解できるので、本バリオメドもナビ用のレカロとも最高のパフォーマンスを 発揮できると考えます。

 今回の持ち込みバリオメドとカタログモデルとの違いは多数あり、大変驚いています。 機能的にカタログモデルは手動リクライニングとなり電動操作用SWパネルが有りせんが 今回のものはパネルもあり既存で電動リクライニグが設置され、SWはありませんでしたが内部には シートヒータも併設されていました。このヒーターも背中や座面の分離部分にも細かく ヒーターが組み込まれており、身体全体を温める構造となっていました。その為温度設定も 通常のヒーターモデルの物より2~3度程度低いものとなっており、骨の異常で身体の入れ替え 等が困難な乗車ユーザーにも負担の掛からない温度にしているようです。
 ヘッドレストに関してはモジュラーシリーズのフレームヘッドレストが装着されいましたが、この点に 関しては何人かのオーナーさまに所有される間に入れ替わった可能性があります。
 また背中の刺繍に関しても「variomed」の記載が無く、RECAROのみのとなり、センター生地も is81CTタイプのもなので、一度レカロ社で張替を実施している可能性があります。

 長い解説文となりましたが、最後に今回初めてバリオメドに触れること(メンテナンス等)が出来て 構造的な部分でも非常に参考になりました。また、レカロ社のシートに対する拘りを肌で感じることで 感動致しまいた。この感動を、レカロユザーの皆様のシートメンテナンスに対する当社のスキルとして フィードバック出来ればとか考えます。バリオメドに掛けたレカロ社の情熱を引き継いでいきたいです。

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