サンデーで連載していた『魔王』のスピンオフ『Waltz』。
完結です。
いろいろビックリするシーンが多かったので、すごい楽しめました。
原作者の伊坂さんの手を離れて描かれたこの2作品。
作者の大須賀さんの次回作も楽しみです。

蝉、岩西、首折り(苺原)、帽子卿A(犯人)、帽子卿B(依頼人)。
全員が揃った。
殺し屋とターゲット。
ここで一筋縄では行かないのが、それぞれの関係ゆえ。
己の敵は誰だ?
帽子卿の敵は蝉と首折り。
蝉の敵は帽子卿と首折り。
首折りの敵は帽子卿と蝉。
そいつを殺せ、あいつも殺せ。
まずは帽子卿を殺すために二人の殺し屋が襲い掛かります。
ですが、殺し屋同士も敵同士。
互いの動向を気にしつつ帽子卿を殺しに行くため、すんなり殺すことは出来ません。

ガソリンに火を付け、二人との間に壁を作り、逃亡を図る帽子卿。
「僕の首を!折ってみろよ!首折り男!!」

「わかった。」

背後から現れた首折り(大藪)。
このシーンは最高ですね。
蝉関係より、大藪関係の方が格好いいシーンが多かったですよ(笑)
よく見るとニヤついてる苺原もいいですね。
実は完全に計画通りだったんですから。

帽子卿に車で轢かれ、落下して死んだと思われていた大藪。
実はフェイクの死体を替え玉に、生きていた。
vs蝉のときに車のフロントガラスやライトが破損。
その上極度の興奮状態で、替え玉に気付くはずもない。
苺原が表立って「首折り」の存在をアピールし、大藪はこっそり帽子卿の元へ行く。
1対1対1から、1対1対2になったのですから、首折りが優位に立つことになるのでしょう。

大藪復活のショックもあってか、炎の壁など意味を成さず、あっさり蝉に殺されてしまった帽子卿。
抵抗する相手を殺してきた殺し屋と、無抵抗の相手を弄っていた殺人鬼では、もともと勝負になるわけはないですからね。

ここからが本当の戦い。
二人の首折りvs蝉。
二人って言っても、苺原はただの高校生。
対決には囮ぐらいにしか使えないでしょう。
ここがまたすごいシーンです。
首折りが替え玉で死んだふりをし、復活して見せたのはなにも帽子卿を殺すためだけではない。
蝉を倒すためだ。
実はこの復活劇も替え玉。
あらかじめ大藪が苺原に、苺原が大藪に入れ替わっていたのだ!
つまり、突如現れた大藪は苺原で、ずーっと蝉と戦っていた苺原が大藪だったのだ。
殺し屋が高校生のふりを、高校生が殺し屋のふりを。
この演技派共め。

戦いの結末はまぁ予想通りというか、当たり前と言うか。
この数年後、『魔王』に蝉が出てるんですから、蝉が負けて死ぬわけはないんです。
それを言ったらこの作品の結末は当たり前のものなんですけどね。
最後は『魔王』に繋がる形で幕を閉じます。
蝉と安藤の初遭遇シーン。
直前の岩西との会話も、この物語を通しての成長と、蝉のモノローグが加わるとまた別の印象がありますね。


チクタク、帽子卿、首折り。
彼らが出てきて、物語が進み始めたあたりから、急激に面白さを増しました。
『魔王』もそうですね。
安藤が犬養に立ち向かうことを決めてから、ぐっと面白くなりました。
物語の大筋がハッキリするにつれ、面白くなっていくのが特徴ですね。
要因は物語のスピード感でしょう。
作中での時間もあまりかからず、巻数も少なくまとまる。
その上、衝撃的な展開やシーンが多数ある。
長く続く作品を一概に悪く言うわけではないんですが、大事なのは密度だなぁ。


全く関係ないんですが、帽子卿を見ていると思い出される人物がいるんです。
『ネウロ』の犯人、噛み切り美容師・百舌。
髪の美しい女性を殺し、その血をもって髪形を整え、首を展示する。
その美しさに見惚れる以外にないと。
帽子卿も殺した人物の首を切り、帽子をかぶせて「作品」を作る。
すべては愛ゆえに。
この二人、相性はすごくよさそう。
帽子卿はターゲットにこだわりはどちらかというと薄そうだから、百舌の好みのターゲットを選ぶ。
首から下は不要だからチクタクにあげる。
百舌が髪をセットし、帽子卿が帽子をかぶせて出来上がり。
愛ゆえに出来上がった作品に見惚れる以外にはない。
首から上フェチ同士うまくやれそうです。

『職業・殺し屋。』だったり、『Waltz』だったり、べつに殺し屋が好きなわけではないですよ(笑)

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