外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

今週のつぶやき4

東名のあおり運転で被告に18年の懲役判決が下り、危険運転致死傷罪が適用されました。ただし、速度ゼロに対しては直ちにこれが適用されるとは判断しませんでした。私はゼロでも高速道路の本線上で意図的にそのようにしたのなら適用の問題はないと思っています。本来最低スピードが設定されている道路でゼロという速度だったという発想です。ではバックしたら適用されるのか、といえば動いていたから当然そうだ、というでしょう。ならばゼロは座標上の通過点じゃないですか?着眼点が違うと思います。

掉尾の一振が聞こえてこない…
年末になると必ず聞こえてくるのが掉尾の一振。掉尾とは最後に盛り上がることですから、年末に最後のもう一度を期待した株式市場用語です。それにしても市場のボラティリティが高く、上がったと思えば下がるこの動きは投資家の不安感を映し出したものでしょう。

個人的には来週のアメリカ、FOMCでどのような声明が出てくるか注目しています。利上げの確率は7-8割で今までのFRB理事らの発言を聞いている限り、もう一度利上げすることにはおおむね同意しているもののその後については大幅に見直さねばならないというスタンスに見えます。

トランプ大統領が政治的配慮から進めた米中貿易戦争ですが、それが米中とも国内経済にジワリと影響が出てきたということでありましょう。可能性としては「19年以降の金融政策については市場の動向を注意深く見守りながら適宜、必要な対策を打つ」といった今までの3度利上げ見込むといった確信的強気論から大きく後退させるとみています。

正直、市場は全般に弱々しく、掉尾の一振があるとすれば市場が利上げサイクルの頭打ちというポジティブシンキングに切り替えられるかどうかにかかっています。カナダのラジオからは定期預金の利率、2.5%と大手銀行の宣伝が聞こえてきます。定期預金にリスクがほとんどないのですから、投資には回りにくいですよね。

小池都知事の恨み節、税制改正大綱
与党が作り上げた税制改正大綱。これは来年の消費税増税を見込み、その対策がちりばめられたもので安倍首相の肝いりといってもよいでしょう。これで消費税増税の準備は整ったわけであとは「天変地異」とかリーマンショック級の何かがない限り予定通り増税を実行する見込みです。

では本当にリーマンショック級の何かがないのでしょうか?今の時点では言い切れないと思います。19年にあまりに多くの予想しにくい問題が並びます。特に英国のEU離脱、ドイツ、フランス、イタリアの国内問題、中国経済の実情、アメリカの逆回転などは要注意事項だと思います。

リーマンショックはアメリカの住宅問題に端を発して逆レバレッジがかかったことを忘れてはいけません。つまり、問題そのものが小さくても金融は地球を猛スピードで回っているわけで悪材料には加速度がつくのであります。

そんななか、この税制改正大綱で一番とばっちりを受けたのが東京都で合計9200億円が消えるようです。もっとも東京都の予算は7兆円以上あるわけでまだ余裕があるだろう、と言われればそうかもしれません。小池さんは文句を言うけれど東京は昼夜で人口が激変することでも有名。しかも東京都に住んでいる人は比較的高齢も多くで若い人は周辺の県から通っているわけです。(統計では平均年齢が若い方に入りますが、住民登録した外国人が平均を下げているとみています。)

小池さん、まぁ、そんなに熱くならないで、と申し上げておきましょう。

沖縄 辺野古埋め立て開始
ここにきて「沖縄戦」が活発になりそうです。来年2月に県民投票で是非を問うらしいですが、特段それが法的縛りを生み出すものではなく、沖縄の団結の声としてシュプレヒコールをあげたいのでしょう。

報道を見る限り沖縄全体があまりにも過激化しつつあるように感じます。現地メディアがそういう声を是としないと食っていけない、というところまで追いつめられている感があります。正直、我々が見ると読むに堪えない、聞くに堪えない内容もあり、それ以上に役所のスタンスが公平性を欠いています。役所はニュートラルであるべきで、個人意思があふれ出すぎていないでしょうか?

一番心配なのは左派による必要以上の運動が国内の統一感を妨げる結果になりやしないかと思っています。当然ながら外部からも沖縄応援と称していろいろな活動家が手を差し伸べることでしょう。別の意味での「沖縄戦」を放置し、結果としてフランスや韓国のデモのような事態を生み出してよいのか、とても心配であります。

後記
当地バンクーバーのローカルニュースでもファーウェイ副会長のニュースが大きな話題となりました。しかし、裁判所に提出した書類から個人情報がほぼ丸裸にされています。彼女が甲状腺がんを含む病気がちだということや7つのパスポート、更にはかつてカナダの移民権を持っていたこと(今は失効しています)でパスポートやかつての移民権カードまで新聞にでかでかと掲載されています。確か副会長の誕生日はマル秘になっていたはずなのに2月13日とばれてしまっています。GPSを足つけて監視下での保釈となりましたが、さてしばらくは余韻が残りそうです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

横並びからの脱却4

海外に住んでいる日本人は変な人が多い、と耳にします。そういう一般的な括りからすると私も当然ながら変な人になるのですが、どこが変か、と考えると自分ではわからないものです。あえて言うなら意見すること、自分を出すことかと思いますが、日本在住の皆様もしっかり意見をお持ちですし、「変な日本人」という点からすれば日本で起きている数々の社会問題や事件を見るたびに日本人も「狂っている」「病んでいる」と私はつぶやいています。

これは日本的な横並び社会においてうまく並べない人がはみ出したり、ストレス解消したり、八つ当たりしたりする結果なのだろうと察します。もっと端的に言えば「横並びという枠」を無理やりはめ込むことが日本の独特の社会なのだろうと思います。

ところが人間は本来、個性というものを持っています。それをいかに出せるかで面白い味が出てくるのも事実。が、皆が皆、好きな味を出してしまえば、マクドナルドや吉野家が行くたびに違う味になるということが起きてしまいかねません。ルールと個性のバランスが大事な点なのでありましょう。

先日、早稲田大学名誉教授の大槻義彦氏ご夫妻と食事をしたのですが、相変わらずテレビにはご出演されてご活躍のご様子ですし、80歳を優に超えていらっしゃるのに非常にシャープで話が論理的である点において大変、刺激を頂戴しました。特にご専門領域の放射線に関してがん治療の話には思わず引き込まれました。

ご記憶にある方もいらっしゃると思いますが、教授はかつて「火の玉理論」なるものを披露し、世の話題になったのですが、私はそれが正しいかどうかよりそういう発想を論理的に説明し、研究者としてのポジションを明白にした点が素晴らしいと思っています。

日経の記事に本庶佑、京都大学特別教授のインタビューが出ていました。「ばかげた挑戦が革新を生む」とし、「日本の大企業は政府がつぶさないようにてこ入れするため、新陳代謝が起こらないのは問題だ。米国のトップ企業は若く、新陳代謝が起こっている。森では大木がいつか朽ちて、下から芽が出て新しい木が生える。大木がいつまでもはびこっていたら下に光が届かず、若い芽が育たない」と述べています。

私は北米で株式投資をしていますが、M&Aが実に多く、私の持っている銘柄もM&Aだらけで売られたり、買われり、合併したりで時としてわからなくなることすらあります。これはまさしく企業の新陳代謝でありますが、日本の企業は買収防衛策を施し、ほかのブラッドが入らない工夫にいそしんでいます。

私が過去、日本は新興企業の方が面白いと何度か指摘したのは時代の変化をうまく取り込んでいることと大手ではできない創造性やチャレンジ心が素晴らしいからであります。

大槻教授や本庶教授のご発言に皆さん「へぇー」と思うでしょう。しかしそれはテレビ越しだからであって自分に直接影響するとなればそれは別世界かもしれません。芸能人も別世界で生きる人たちだけに画面越しで見ているから楽しいのであって一緒に食事ともなればかなり疲れることでしょう。ただ、我々はそういう別世界にいる人々ともっと接点を持つことに少し慣れていくべきなのだろうと思っています。

その一例として高齢者と若者のギャップがあります。育った環境が違うので高齢者は「最近の若者は…」というし、若者は「そんな昭和の話をしないでくれ」と反論します。私は今、21歳の若者とビジネスの話を真剣にしていますが、それは私が持ち合わせていない才能を見出したからであります。私が変な奴だとすれば私はどんな人のどんな話もいったん聞く、考える、比較する、頭から否定しない、面白さを見出すなどオープンマインドである点でしょうか?

ビジネスのネタは全然違う領域に潜んでいることが多いものです。私は確かに不動産をベースにした事業をしていますが、私が不動産事業者だとは微塵とも思っていません。それは自分のビジネスを不動産というカテゴリーに抑え込むこと自体が私のポリシーと相違するからであります。

枠にとらわれないビジネス、横並びからの脱却、これは日本人だからこそ意識すべき点なのでしょう。日本人は本来創造性豊かで改革や改造が得意です。日本を伸ばす余地はまだまだかなり残っているように感じます。

では今日このぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

日本企業による大型買収に思うこと4

日経のスクープで日立がスイスのABB社から送配電事業部門を最大8000億円で買収するとすっぱ抜きました。企業買収が事前にリークすると失敗に終わることもあるのですが、このケースの場合、ディールそのものが双方で基本的に既に折り合いがついているように見受けられますのでこのまま進むのではないでしょうか?

日経の記事によると日立による買収は数年かけて分社化した送電線部門の株式を少しずつ買収していくということのようですから日立のキャッシュフローにも優しいことになります。これにより日立は重電ではドイツのシーメンス社と肩を並べ、世界第2位(1位はアメリカのGE)グループになり、送配電部門だけを見れば世界最大の会社となります。

先日は武田製薬が日本のM&A史上最高の6兆8000億円でシャイアー社を買収することを最終決定しています。2016年にはソフトバンクが英国のアーム社を3兆3000億円で買収するなど日本企業による買収はより高額にそして、世界に影響力を与えるケースが増えてきたようです。

少し前の日経ビジネスに「失敗するM&A、成功するM&A]という特集があります。なぜ、失敗が先に来るかといえば勝手に解説すればM&Aが成功する確率は37%(デロイトの調査)で失敗の確率が高いからでしょうか?

失敗例はキリンのスキンカリオール買収(3000億円で買収し6年後に770億円で売却)、日本板硝子のピルキントン(6100億円で買収、10年経ていまだ苦戦)、NTTドコモのAT&Tワイヤレス(1兆1000億円で買収、3割安く売却)、他にも日本郵政のトール買収など枚挙にいとまがありません。

なぜ失敗するのか、日経ビジネスではどちらかといえば買収までのプロセスに焦点を当てた特集となっていますが、私の肌感覚としては買収してからの問題が7-8割を占めると思います。

私が勤めていた建設会社がアメリカのホテルチェーンを日本企業による買収としては当時の最高水準の金額で射止めました。これはメインバンクのご示唆により無理やり買わされたところもあり、ずいぶん大枚をはたきました。言い換えれば銀行が銀行のビジネスのために「どうですか?2度とないチャンスですよ」と囁き、オーナー経営者はプライドもあるので「よし、買ってやろう!」ぐらいの勢いでした。

しかし、建設会社の社員にホテル経営をできる人間はそう多くありません。ましてやアメリカ企業に入り込み、自分たちのビジネスと融合させるのは至難の業でした。私は当時、同ホテル会社の月次の取締役会に秘書として同行していましたので議事録もあらかた目を通しています。オーナーは議長としていろいろ発言していましたが、従業員数千人の企業を片手で数えられるだけの建設会社が送り込んだスタッフでどうコントロールするつもりだったのでしょうか?私はその時点で「無理だよな」と思っていました。そしてその買収が後年、その建設会社の倒産の一因となるのです。

数年前、ある日系の上場企業がカナダのホテル会社を売却しました。その上場企業が非中核部門の売却のタイミングをずっと見計らっていたのはある程度察知していました。理由はその会社にもホテルを管理できる人材が全くいなかったためです。

ただ、異様な安値に私は驚きを隠せませんでした。それなりに儲かっていたホテル部門の売却をなぜ、日本企業相手に安く売り急いだのか、これだけは未だに解せません。日本の企業文化として一旦売却と決めれば何が何でも売る、に走ってしまい、この会社に限らず、上記の失敗例の通り、売りたたくケースが間々みられるのです。

一般的に海外企業に売却するとディールの詳細部分で後々いろいろクレームをつけられる条項が付くことが多いのに対して日本企業による買収はクリーン ディール(現状有姿の一発ディール)が多く、日本の役員会が面倒くさくなくてこちらを好む、ということはあります。私なら絶対にしないやり方です。

買収というプロセスは企業のトップが中心となり、外部コンサルが暗躍し、社内のごく一部のエリートたちがデューデリジェンスを行うことで買収が進みます。つまり、買収までの期間にとにかく人材と資金を投入し、全力で勝ち取るという短距離走勝負となります。

ところが買収するとこれはマラソンです。相手に入り込み、何年もかけて融合する部分、削り取る部分を見出し、相乗効果を生み出すのであります。これは簡単ではありません。アメリカの買収王、GEですら、今になって過去の膿出しで苦労しています。日本電産のように同業を買収する場合は社内に人材がいるので案外スムーズに行けるのですが、異業種買収はとにかく、誰がどうやって運営するか、これが極めて難しいということを肝に銘じるべきでしょう。

ソフトバンクのように買収を投資として割り切るか、ブリヂストンのファイアストン買収のように自社の血となり肉となるような形にするのか、買収後のピクチャーがきちんと描かれていないことが多い気がします。前述の私が勤めていた建設会社によるホテルチェーン買収でも会長はホテルの所有数を自慢していましたが、経営のコントロールが全然できていなかったことを当事者達は誰でも認識していました。

企業買収はごく当たり前のようになっていますが、買収後の成功率は3分の1だということを日本企業はもう少し、シビアに感じるべきでしょう。ばくちはいけません。

では今日はこのぐらいで。

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どうなった北朝鮮の話題4

今年の夏、あれだけ盛り上がった北朝鮮問題。金正恩氏があれだけ報道され、世界中が注目し、今年中には一歩踏み込んだ協定とか、近いうちに朝鮮半島に和平がもたらされるなど、様々な憶測が飛び交いましたが、今ではニュースにすらならなくなりました。

韓国の文大統領も南北間は朝鮮半島の問題とし、自分がどうにかできると単独で様々な試みをしたものの北朝鮮から何ら反応がなくなったというのが正直なところであります。何が起きているのでしょうか?

わずか数カ月の間にこれほど盛り下がる話もないと思います。個人的には何か深刻な問題が生じているような気がします。また、朝日新聞は韓国高官の話として「(米国が)崔善姫(チェソンヒ)外務次官や金英哲(キムヨンチョル)党副委員長に10回、20回以上も電話をかけても、平壌から返答がないそうだ」と報じています。仮にこれが本当の話であればこれは明らかにおかしいと思います。

金正恩氏はもともとアメリカとディールをしたくてしょうがなかったはずです。確かにシンガポール会談後、アメリカの厳しいスタンスに辟易としているとしてもここで貝を閉じるほど小さな指導者でもないはずです。アメリカからの呼びかけに対して無視するというのはどうしても返事ができない喫緊の問題が生じている可能性は一つあり得ると思います。事実、この一月ほど、北朝鮮から何の目立った報道もないし、金正恩委員長の動向も報じられていません。

次に囁かれるのがアメリカと韓国の北朝鮮をめぐる不協和音であります。文大統領は独自に南北関係を再構築したいと先走り、それが国連の制裁義務違反すれすれになっていることやアメリカと共同歩調が出来ない韓国にアメリカはいらだっているとされます。過去何度か、アメリカはこれに強く怒っていると報じられていますが、文大統領は「何の話?問題なんて一つもない」とこの噂を否定しています。

文大統領は四面楚歌に陥っています。アメリカと揉め、日本とは最悪になり、韓国国内の政権支持率は下がり、経済は不振になり、北朝鮮は動かず、欧州訪問での外交工作も失敗し、中国も手を差し伸べている様子はありません。つまり、文大統領を取り巻く環境はあまりにも悪すぎる状態にあります。数カ月前にはノーベル平和賞だ、と持ち上げられたのですからこれほどの凋落も珍しいでしょう。

個人的に思うことはアメリカの北朝鮮へのスタンスと熱意が薄まっているように思えます。もともとトランプ大統領は中間選挙対策として北朝鮮問題解決を票確保の手段の一つとした節はあります。それが終わってしまいました。北朝鮮の反応も「暖簾に腕押し」、しかも北朝鮮外交筋から出てくる人材は限られたいつものメンバーばかりです。つまり、切り口が少ないのでしょう。

もう一つ不思議なのはあの吠えるトランプ大統領が金正恩委員長にだけは優しいのです。いい男だとかいって褒め上げるのです。なぜなのか、これが解せません。ここから想像できるのはアメリカは北朝鮮問題にそこまで本気ではないのではないか、という点です。(吠えるからこそ、真剣とも言えます。)

北朝鮮問題は中国外交の派生的事象であり、ロケットが飛ばない限り、北朝鮮単体の国家としてなにか優先的な外交政策を考えていないのではないでしょうか?とすれば、米中間の昨今の冷たい関係を考えればなおさら、北朝鮮に手出ししている意味もない、ということになりませんか?

アメリカは今どうしても北朝鮮とディールという話ではない気がします。韓国とアメリカの思惑のずれもあるでしょう。私は日本の外交筋が一枚噛んでいる気もします。一方、北朝鮮も自分たちは利用されていると気が付いているはずで、そこでへそを曲げたか、あるいは何か、本当に困っている事態が生じているかのどれかだろうと思います。

ホリディシーズンに入ってしまったので年内はもう何も起きない可能性は高いと思います。トランプ大統領は12月1日に1月か2月にも二度目の会談を行うと述べていますが、この時期も発言のたびに後ずれしています。果たして本当に来年早々に実現するのか、個人的には懐疑的にみております。

では今日はこのぐらいで。

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どうする、土壇場のメイ首相4

英国のドラマがいよいよクライマックスになってきました。EU離脱の3月29日まであと3か月ちょっととなり、EUとメイ首相が合意した離脱案を英国議会下院で11日に採決をとる予定でした。しかし、とても通過しそうにもないという票読みからその採決を延期しました。今のところ、いつまで延期するか決まっていません。

そんな中、EUの司法裁判所が「英国が離脱するのを撤回する」と3月29日まで言えば英国単独でそれを決定できると判断しました。つまり、離脱をやめる選択肢のハードルが下がったのです。

メイ首相は13日から再びEU首脳と離脱問題について会談をする予定でその際に英国国内の状況を説明したうえで既に合意済みの離脱案の修正を迫るのではないか、とされています。

これらの状況から11月16日の本稿、「英国のEU離脱は本当にあり得るのか」をもう少しアップデートしてみたいと思います。

まず、英国議会では630議席のうち与党の保守党が315議席を占めますが、離脱については様々な議論とアイディアがあり、与党内でもまとまっていません。特に離脱強硬派にしてみればメイ首相がEUと交わした離脱協定は英国の本来の自由を担保していないという点において「甘っちょろい」としています。

一方、野党第一党の労働党は正直、何を意見しているのかよくわからず、とにかく、打倒メイ首相を前面に掲げ、政権への協力はしないスタンスになっています。とすれば労働党は何が何でも反対ですからメイ首相が思う形にするには現状、与党と閣外協力する民主統一党が一枚岩にならない限りほぼ不可能であります。

メイ首相が13日からのEUとの会議で何か引き出せるとは思っていません。EU側は多数の国の合議であり、その場でどうこうできるものではなく、ホリディシーズンに差し掛かった今、ついこの前合意に至った内容を今更変えるのは理不尽とするでしょう。

とすればメイ首相の作戦は時間稼ぎで採決を来年まで引き延ばしてしまうという手段が考えられます。

では、EUの裁判所が判断した3月29日前の離脱撤回なら英国単独でも可能、とする点についてはどうでしょうか?なるほど、ハードルは低そうです。ただし、いったん国民投票で決まったことだけに議会だけで「離脱、やめます」とは言えません。

要は再度国民投票を行い、その結果、離脱しないという判断が下される必要があります。ならば、実務的に3月29日までに再度、国民投票は可能か、という検討をしなくてはいけません。私の認識する限り、メイ首相がもっともこの再投票を嫌がっており、ご本人が昨日のEU司法の判断で考えが変わったかどうか、これがポイントとなります。

こうなるとメイ首相の作戦は二つ。時間引き延ばしをして与野党に「合意なき離脱」になり英国を大混乱させる責任をとれるのか、と迫る方法と、EUの司法判断に基づき、再度国民投票を行い、その結果を見て離脱反対なら元のさやに戻る、離脱賛成ならEUとの合意案に基づく採決を議会で承認させるという方法です。

個人的にはどちらの案もメイ首相の立場は悪くないと思いますが、後者の方が将来のため、および民主的という点からは賢い選択ではないかと思います。

一部にはいまだに総選挙という案もありますが、私としてはほぼ意味をなさない選択になりつつあると思います。今、首相を変えても何もまとまらないはずで、メイ首相がすべてだと思っています。

EUも英国の状況分析は十分できているはずで、あまりにもまとまりのない英国議会はEUが譲歩してどうなるわけでもないと結論付けるのではないでしょうか?

メイ首相にとっては人生でもっとも楽しくないホリディシーズンとなりそうですが、与野党の遠吠えにカツを入れ、歴史に残る首相になれるか、汚名のまま終わるのか、いよいよクライマックスになってきたようです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

日の目が見えぬ産業革新投資機構4

産業革新投資機構の現職役員が大挙して退任することが大きな話題になっています。そもそもこの舌を噛みそうな組織が何を目的として何故、これほど荒れてしまったのでしょうか?

産業革新機構という名前を憶えていますか?一躍有名になったのはジャパンディスプレイやルネサスエレクトロニクスに大型出資をした半官半民の投資機構です。これはもともと国絡みのお金をある目的に沿って投資し、次世代の国富を担う産業育成と創出という根本目的があります。いわゆるソブリン ウエルス ファンド(SWF)であります。

ところがジャパンディスプレイに見られるようにさっぱり業績が上がらず、産業革新機構の成績はマイナスでありました。つまり失敗です。そこでその機構を改変し、今までの投資体制を維持する部門と新たに投資をする部門を分けます。旧来の投資は一種の資産清算会社のようなもので、新しい投資は産業革新投資機構(JIC)という名のもとで今年の9月25日に発足したのです。3カ月もたっていません。

ただし、新会社産業革新投資機構の100%傘下に清算会社のINCJ社が入るという不思議なストラクチャーが形成されています。これでは清算会社の負の部分とJICの新しいチャレンジが相殺されてしまい、成果が見えにくい形になります。

そんな中、報道されているように民間から雇われた9人が今日にも一斉に辞任することになりました。その理由は政府が当初提示した報酬が高すぎるとし、安く見直しをさせたため、現職役員がそんな金額ではできない、と反旗を翻したわけです。同機構の社長は三菱UFJ出身の田中正明氏で剛腕で知られていました。また議長にはコマツの坂根正弘氏となるなど船頭だらけの組織でありました。

この「報酬を理由に辞任」という部分だけを捉えるとばかばかしい話に聞こえるのですが、もう少し掘り下げると初めの一歩からしてよくわからない組織だったと思います。

ソブリン ウェルス ファンドが欲しい、と日本は長く思っていました。これはかつてのオイルマネーを想像していただければよいかと思います。資源などの資金をベースに国家絡みの大型のマネーが特定案件に集中して投下され、大きな投資利益をかっさらっていくというイメージです。

日本政府としては将来の産業育成を考え、長期的な「国富」を考えなくてはいけません。そこで日本版ソブリンウェルスファンドを作ろう、ということになったのです。では何に投資をするか、ですが、Society 5.0という具体的目標が2017年に掲げられ、その対象はドローン、AI、医療介護、スマートワーク、スマート経営、自動走行が上がっています。なるほど、未来志向であるわけです。

ところがもう一方でこのファンドは国民の資金という性格があるため「失敗が許されない」性格もあります。「将来に投資を、しかし、失敗はするな」という二律背反する命題を掲げられたファンドは役人や国会議員が考えた現場を知らない理想論の塊のようなものでありました。

しかも旧体制の産業革新機構はイメージとしてつぶれそうな会社を助ける延命装置と化し、本来の目的から外れた上にその装置は十分機能しなかったと言えます。では、組織を改編し、ビジネス界の華麗なる人々がうまくできるか、といえば個人的には「こんなもん、走るわけがない」と思っていました。

思った通りで、エンジンがかかる前に「こんな条件じゃやってられん」というわけですから車庫から車が出る前にエンストしたようなものです。

ではソブリン ウエルス ファンドが日本にも本当に必要か、という議論はあります。個人的には難しいだろうと思っています。まず、ファンドのお金がどこから出てくるのか、であります。今までは政府保証の元、民間から出ています。が、本来であれば年金とか日本の場合は外貨準備高といったものが考えられますが、その運用成績は国会などで厳しく追及され、野党あたりが何でもかんでも文句をつけるのが目に見えています。もちろん、野党の遠吠えなど聞かなければいいという見方もありますが、当事者である民間人からすればばかばかしくてやってられん、という気持ちになるでしょう。

それとソブリン ウエルス ファンドの主流は前述したように資源国のマネーといった性格のものが多く、それ以外には中国の国家戦略的マネーといった性格が強いとみられます。よって欧米の主要国ではあまり存在しないファンドでアメリカのそれは一桁少ないですし、欧州はノルウェーを別にして小さいものであります。

個人的にはそもそも論がおかしいと思っています。更に確実なリターンを、野党はリターンが少ないと吠える、給与は高すぎると言われれば何をどうしろというのかね、ということになります。役所と民間の協業は世界の主流でありますが、日本の役所はとにかく、小うるさいことで有名です。自由度や融通という点は極めて乏しく、それが良い面でもあり、悪い面でもあるのです。

残念ですが、多分、この機構は原点からもう一度見直すべきかと思います。なぜ失敗したのか、経済産業省だけではなく、存在そのものの議論、つまり議員レベルにまでもう一度戻すべきかと思います。リスクマネーを恐れるならどこに投資しろというのでしょう。私なら三顧の礼でもお断りです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

東京雑感4

今日は今回、東京に滞在していた時の雑感をいくつか記してみたいと思います。

変わる六本木
先日、六本木に用事があり、ちょっと時間が出来たので六本木交差点のすぐ裏にある高校のクラスメートのご主人が経営するバーに顔を出しました。客が誰もいなかったのでカウンターに座り「景気はどう?」と聞くとあまり冴えなさそうな顔つきです。

ロアビル再開発のみならず、それ以外の未発表の六本木の再開発計画の下準備も進み、あちらこちらでテナントの追い出しなどが多いそうです。麻布警察も間もなく移転となり、跡地開発も進むはずで六本木が大きく変貌することに戦々恐々としているという感じにも見受けられました。

早々に店を切り上げると街中には呼び込みのお姉さま方の多いこと、多いこと。よほど店は暇とお見受けしました。どうも今の人たちは飲み会とは「飲み放題」パッケージでガッと飲み、パッと散るタイプが多いのでしょうか?ハシゴ酒なんて、ということでしょう。若い人のみならず多分、40代後半から50代にかかるぐらいの年齢層までたんぱくな飲み方になってきていると思います。(バブル崩壊から29年になろうとしているのですから飲み方が変わった年齢層はそのぐらいのはずです。)

厳しい飲食業界
ある方から紹介を受けてオープンして数カ月のイタリアンの店に行ったのですが、2時間強で入った客は自分を含め、わずか3組。スタッフは7人はいたと思いますのでオーナーさんはやりきれない思いでしょう。味は良かったし、価格も良心的でこれだけ頑張っているのになぜ、こんなに暇なのか、と私も思わず首をかしげてしまいました。

いわゆる外食産業も高級と価格勝負の店に二極化してきていて中途半端は撤退を余儀なくさせられているということなのでしょうか?

そういえば池袋でかつて行列ができて多店舗展開していたラーメン店もひっそりとシャッターを閉じていました。もう一店舗はすでに別の店に変わっていました。一番やりたがる起業の一つが飲食ですが、本当に厳しい業界だと思います。

池袋の書店
池袋は書店の街としても知られており、大型店から個性店まで様々です。いくつもある中で私のお気に入りは旭屋書店であります。なぜかといえば平積みの多さとコンパクトにまとまった売り場を上手に見せて欲しくなる展示とレイアウトを施しているからであります。つまり、売り方が上手なのでしょう。

池袋のある別の有名書店に入るとここは本棚にバーッと並んでいてまるで図書館の様相。図書館なら欲しい本がコンピューターで探せるのにこの店はイライラするほど本が見つからず、早々に退散しました。売り方とは見せ方だと改めて感じました。でもそれ以上に紙媒体の書籍を読む人は減ってきているように感じます。図書館は大盛況と聞きますが、その理由の一つは紙の本は邪魔で狭い家が余計狭くなる、と。そういえば私も雑誌コーナーだけはもうずいぶん行っていない気がします。なぜ興味がないか、といえば重いから、とお答えしておきましょう。

商店街の灯
先日、実家のそばの元商店街を自転車で通りかかった時のこと。この店、まだやっていたのか、と思わせるとんかつ屋に子連れのお母さんが「チキンカツも食べられるのですか?」と店先にいた店主に聞いています。もちろん、というその返事ににこやかに入っていったのがやけに印象的でした。コンビニもない廃れた商店街の後には住民の食を満たすところもないのです。

それより驚いたのは幼少時代お世話になった小さな書店だった店が復活しているじゃないですか?思わず、シャッターがまた開いた、と呟いてしまいました。嬉しいものです。

シャッター街のシャッターを開けるプロジェクトが行政も巻き込んで進んでいることは先日、ちらっと書きました。ある地元の不動産屋では閉じたシャッターを開ける仕組みを後押ししています。店舗のオーナーをまず探す、店舗の改装費は行政が支援する、オーナーは基本的に二毛作ビジネスを行い、昼と夜では違う運営者にして賃料リスクを軽減する、というものです。(飲食系をイメージしているようですが、それより高齢者向けセミナーや講習、塾をやる店舗スペースの方がやりやすいと思います。)

もちろん、このビジネス形態が簡単ではないのは分かっています。が、なにかやろうとする取り組みは評価したいと思います。かつて、コンビニは重要なインフラである、とマスコミは書きたてました。私はあと10年もすればコンビニは2-3割減るとみています。そして真っ先になくなるのはこういう元商店街のあった住宅地。そこに一抹の期待があるとすれば「そこに人は住んでいて、買いたいものがあれば買うはず」、もう一つは「顔なじみが生み出すビジネス」だと思っています。

チェーンや大手資本ではできない個性的な店がいいですね。そういえばごく最近、住宅街の中に小さなカフェが出来て案外、客がたくさん来ているのにびっくりしました。カフェに行くことすら非日常的事態になっているのかもしれません。

たまに来る東京は奥深いけれど時代の流れを追いかけるグループといつもと同じのほっとさせる顔の二面性を今回は強く感じました。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

今日は移動日。暖かい東京からバンクーバーに2時間ほど前についたばかりです。バンクーバーはファーウェイのCFOが捕まったところ、そして今日はダウンタウンで聴聞会が開かれました。一方、フィギュアスケートも始まり、最近の注目度はダントツかもしれません。

さて今週のつぶやきです。

続 荒れる株式市場
なにか、毎週同じようなことを書いているので気にはしているのですが、今日はそれなりに材料があります。一つアメリカの11月度雇用統計が発表になり、15.5万人増と事前予想の19万人をかなり下回りました。が、失業率がここまで下がってくると正直、人はいません。11月から12月にかけて配達要員と店舗のスタッフの需要が急増するのが例年の動きですが、15.5万人は確かに少ない気がします。本当に人材が払底している、と見た方がよいでしょう。それゆえに賃金は前年比3.1%上昇していますが、この傾向は来年以降も同様になるとみています。

一方、本来であればよいニュースだったのがOPECの減産量の発表。数日前には具体的数値が出ないのではないかと懸念されましたが、120万バレルという減産幅を明示したことで原油市場はポジティブになりました。また債券市場では10年物国債は2.85%まで下がっています。それなのに市場はなにかに怯えているように見えます。

それが何か、例えば米中貿易摩擦とか英国のゆくえとか、ファーウェイ問題とか上げていますが、私にはどうもこじつけのように感じています。むしろ投資家が守りの姿勢を鮮明にしている、といった方が正しいと思います。ひと月ぐらい前に私は金(ゴールド)がそろそろ動き出すと思う、とこの項で述べていますが、じわっと上がっているこの兆候はコンピューターのプログラム売買ではなく、肌感覚の方がよく見えるような気がします。

RIZAPとライブドア
日経にRIZAPの急成長の裏側に「負ののれん」と称する会計処理の手品以外に「債権取り立て益」という聞きなれない手法を使っていたことがすっぱ抜かれています。やや不思議な取引なのでご興味ある方は記事を見て頂くとして私が直感で思ったのはこれはライブドアの事件と重なる気がします。

ライブドア事件は2004年9月の決算で虚偽の内容掲載が指摘された事件で堀江貴文氏ら幹部が有罪となり、同社は上場廃止になった事件です。この問題は同社にとどまらず、当時、IT関連の新興市場で個人マネーのブームが起きていたさなか、それを一気に冷やしてしまったという意味で時代のギアをすっかり変えてしまった問題です。

その後、同事件をあそこまで厳しく縛り上げる必要があったのか、という意見が出ます。それはその後に起きた大手企業の不祥事、オリンパス事件や東芝事件など数多くあった一流企業の不祥事では東京地検特捜部は踏み込みませんでした。これは政治が裏にあったことは確かで、ライブドアの堀江氏は捕まえろ、上場廃止させろ、と政治家を動かしたある人物がいたとみています。(名前は想像がついていますが、証拠がないので書きません。)

ではRIZAPはそのような問題に直面するのか、といえば多分しないと思います。それは政治家を動かすような具体的な敵がいないから、と申し上げておきましょう。ただ、同社の株価が仮想通貨並みに暴騰したのが架空計上だったと証明されれば株主からの訴訟がないとは言えません。新興企業はこれからの日本を背負って立つのですが、背伸びをしたり、決算対策に無理があるところはいい加減に改善すべきでしょう。

改正入管法はお嫌い
このブログのお読みの方は改正入管法がお嫌いなのはよく存じ上げております。しかし、いまや外国人労働者と接しない日はないといっても過言ではないでしょう。コンビニもレストランもスーパーも介護施設もそして空港の売店もみんな外国人です。

では日本人はといえば、それを仕切る立場。つまりマネージャーや責任者として活躍しています。言い換えれば外国人を雇っている企業の組織からすると日本人が外国人と仕事をし、指導をする立場にあるのです。これは日本の労働市場にとっては激変であり、かつ、本格的な国際化への第一歩になるとみています。

多くの日本企業は外国に拠点を持ち、「駐在員」と称して数年間、海外経験をするエリート社員はもはやごく普通となりました。しかし、彼らが「洋行帰り」と揶揄されるのはラインの仕事をせず、ゴルフと接待漬けの生活をしていたからで現地で本当の仕事をしていないからであります。

企業側もそのあたりはよくわかっており、それゆえに駐在員を極力減らし、現地のスタッフや人材で回るところがどんどん増えています。商社や銀行はその典型でしょう。つまり、日本企業は外国で儲けると言いながら、人材は育っていなかったという点において今回の改正入管法を通じて日本人が外国人とラインの仕事をするという点において私は期待をしているのです。野党はこんな多面的視点は知らないでしょうね。

後記
孫正義氏も今年はツキがない人です。私のドコモ系の携帯でソフトバンク系携帯に何度電話しても通じない、そして急いでいるときに限ってこういう問題が起きてしまいます。同社は上場を控えているなかでやってられない、と思っているでしょう。サウジの問題から本当につまずきばかりでやりきれないとやけ酒でも飲んでいるのでしょうか?

どうにか、時間までにアップできそうです。
では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

中国の資質を問いたファーウェイ問題4

数カ月前、あるところからファーウェイについての情報を求められたことがあります。私が何を知っているわけでもありませんが、そういう話が私ごときに振られること自体、おかしいわけで何かあるのだろうな、と思っていました。

同社が今のような業容になるはるか前、同社の創業者が中国人民軍出身で実質的に中国政府との一体感があるかもしれないから要注意、と記された読み物を読んだ際、私はスパイ大作戦をイメージしました。いわゆる盗聴や情報が裏側を経由してダダ洩れになる80年代の映画に出てくるようなそんな感じでしょうか?

10月、ブルームバーグは台湾出身者がアメリカで起業したスーパーマイクロ社の一部のマザーボードにチップが埋め込まれていて中国軍に情報が漏れている疑惑があると報じました。この「事件」はその後、アップル社などが否定し、他紙の後追いも出ず、それでスーッと終わりになりました。実態は分かりません。

しかしながらアメリカ政府が米粒の大きさ程度のチップが埋め込まれることで情報が漏洩するリスクがあると認識するならば中国のIT巨大企業製の部品が使われているIT機器は排除したいという気持ちがあるのは当然です。数年前、ドイツのメルケル首相の電話が盗聴されていた事件がありましたが、世の中、盗聴や情報漏洩がかなり行われている可能性は否定しません。我々がIT機器に取り囲まれた生活をしている限り、そして相手がその気があればあるほどプロは簡単に入り込めるでということでしょう。

ではアメリカがなぜ、ここまで神経質になるのかですが、ファーウェイが大きくなりすぎるというよりずばり情報戦、諜報戦のネットワーク構築そのものにあると思います。ファーウェイ社は携帯通信インフラは世界1位、携帯の販売でも世界2位とすでに世界のリーディングカンパニーにのし上がっています。アメリカ政府がファーウェイの製品が搭載されているIT機器を使用するのはかつての米ソ冷戦時代にソ連のミサイルをアメリカの爆撃機に搭載するようなものでしょう。それはメンタルに絶対に許されない事態なのです。

もう一つはビックデータだと思います。アメリカのIT企業が中国で活動を禁じられているのはビックデータを提供しないということであり、アメリカも当然、同じことを考えているとすればどうでしょうか?

中国の経済が文化大革命明けでよたよた歩きの70年代後半、毛沢東のあとを継いだ小平が改革開放政策を推し進めたあたりに中国の資質問題の理由がありそうです。自国内で技術をインキュベーションするには諸先進国とあまりにも格差が開いたため、技術導入を積極的に行う必要があった教育そのものが今でも影響していると考えています。

つまり「自前でできなければ技術を学べ」ですが、この「学べ」はまじめに学ぶ場合とカンニングなどしてズルする場合があり、後者のやり方で「要領が良い」といわれ、急成長したり大金持ちになったりした背景があると考えています。

日本企業も例えば77年に上海の宝山鋼鉄で新日鉄が手助けしましたが、これなどは中国スタイルの学びの典型で、そのあとあの有名な川崎重工の新幹線技術流出問題が発生しました。これがITがらみになるとアメリカ企業がその主役になるわけです。

中国が1976年の文化大革命後、わずか42年で世界のトップに躍り出るほど急速に発展すること自体がおかしいといえばおかしいわけでアメリカの言い分は「お前ら、もう少し、抑えろ」と言わんとしているのでしょう。日本は戦後奇跡の復興と遂げたといわれますが、江戸時代から極めて高い教養と知識を武士のみならず、平民も学んでいたことが「奇跡の軌跡」であります。その点、中国や韓国は何もなかったことを鑑みればアメリカが「いい加減にせよ」と言いたいのもよくわかります。

ファーウェイ社は厳しい制裁を受けるとみています。ただし、中国政府には本件は個別企業案件であって、貿易問題といっしょくたにしない大人の振る舞いをしてもらいたいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

武田にみるM&A手法の行方4

企業買収はかつては海の向こうの大きな会社の話と思っていた方も今では国内中小企業の事業継承でM&Aがごく一般的な選択肢にあがる時代となりました。つまり、M&Aの平準化であります。

そんな中、今回、武田薬品工業が決めた日本では過去最大となるシャイアー社買収は日経に「古い手法」と書かれています。今は若い会社を安く「仕入れる」手法が主体と指摘しています。製薬会社には「特許切れ」という特性が背景にあり、自社での研究開発のみならず、何らかの買収が重要な手法であることを示しています。その一方で買収が必ずしも買収以上の成果を上げていたかといえばこれまた疑問符が付くケースが多かったのも事実です。

1+1<2、この法則については私が現在投資しているカナダの製薬会社Bausch Health社(旧バリアント製薬)が好例だったと思います。同社は買収を重ね、一時期カナダで時価総額No1の企業となり、多くのアナリストは買い推奨をし、株価は2015年夏に338ドルを付けます。が、その後、不正や数々の逆風で同社の株価は大暴落、2017年には11ドルと30分の1にまで下がります。株価下落に拍車をかけたのは借入金の多さで会社存続が危ぶまれたためです。私はそのあたりで投資を決めて十数ドルで買い込んでいます。なぜ投資をしたかといえばライザップ風に言えばおもちゃ箱に輝くものもあったから、と申し上げておきましょう。

製薬会社において新薬開発ほど大変なものはありません。小野薬品工業がオプジーボで一躍有名になりましたが、その薬価水準が日本の保険制度にまで影響すると言われ異例の薬価見直しを強いられたのは記憶に新しいところです。製薬会社にしてみればそれぐらいの価格をつけても売れる薬だと考えたもののそれは売り手の論理であり、買い手やそれを支援する厚労省の立場は放置されたといってもよいでしょう。

ではバイオベンチャーはどうなのか、といえば日本でも上場ベースで30社以上あります。そーせいやタカラバイオなどはかつて話題になったこともありますが、基本的には赤字のところが8割以上といってよいでしょう。つまり、世に存在する数多くの薬を生み出すのにその業界内部は驚くほど厳しい世界が待っているともいえそうです。

日本最大の製薬会社、武田もご多分に漏れず、新薬の特許切れというスケジュール感を突きつけられた経営者はこのまま野垂れ死ぬのか、新たに攻め入るのか、の選択を求められ、好む好まざるにかかわらず、何らかの形で買収という選択をせざるを得ないということのようです。

丸ごと買収のM&Aの巨大化はアメリカを中心に顕著で製薬業界に限らず、あらゆる業界で覇権争いと称して買収合戦が繰り広げられてきました。それは狩猟民族の弱肉強食の思想と似ており、強いものが支配するという社会構造をそのまま反映してきた、とも言えます。

では日経が指摘するように製薬会社にみられる創薬のスタートアップ企業を安く買うスタイルが他業界も含め、浸透していくのか、といえば私は中期的にはないとみています。それはバイオベンチャーが結局ほとんど赤字であるのが実態だからです。換言すれば、創薬はいかにも難しく成功確率2−3万分の1という宝くじのような話をしているとも言えます。それならば当たりくじを持っている会社買収の方が結果として安くつくし、直ちに収益に結び付くでしょう。

企業は「買収するまで」より「買収してから」であります。これはそれを経験したことがある方ならお分かりいただけると思います。武田薬品がこの巨額買収を武田の収益にどれだけ取り込めるか、これは数年たたないとわかりません。少なくともカナダのBausch Health社のようにだけはならないよう祈りたいものです。

では今日はこのぐらいで。

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アメリカ人は金銭的安定感がお好き4

「あなたと一緒になれるならどんな貧乏暮らしでも私、ついていくわ」というのは昭和の映画でもかなり白黒に近い時代のお話。そんな純愛ドラマを今でも信じる人たちは韓国ドラマにはまっているようで「そうそう、昔はこんなだった」と思い出に浸るのでしょう。

「いつも私が待たされた洗い髪が芯まで冷えて…」という神田川と銭湯の情景は今の人にはわからないでしょう。なぜあの時の恋愛の美しさが消えていったのかといえば恋愛の切り口が増えたからかもしれません。昔はだいたい恋愛の選択肢すらあまりなく、見合いや結婚紹介所、挙句の果てには海外では「写真花嫁」なるものもありました。

写真花嫁とはブラジルやアメリカなどに移住した日本人男性と日本在住の一般女性が文通や写真だけで海外移住を決め、船で渡航先に渡り、港で始めて本人と会う、というものです。写真一枚持った男たちは船から降りてきた女性たちと見比べ、時として「写真と全然違う!」という悲劇もあったようです。現代のSNSのオフ会やネットで知り合ってデートするというあの世界が戦前にすでに存在していたともいえましょう。

今の恋愛のトリガー(引き金)は何か、といえば顔より性格というのが日本の基本パタン。結局長く一緒にいてお互いに苦痛なく、我慢しなくてもよい人を選びたいと思うものです。その中で金銭は重要なファクターの一つでありますが、恋愛の先進国、アメリカで最近調査したデータによると「金銭的安定を望む人」が多いと報じられています。

ブルームバーグが報じるバンクオブアメリカの関連会社の調査によるとある程度の余裕資金を持つアメリカ人1000人に聞いた調査(ブルームバーグは「富裕者層」と報じているますが、データは必ずしもそうではありません)でパートナー選びは恋愛(44%)よりも金銭的安定(56%)を望むそうです。

「金の切れ目は縁の切れ目」という言葉もありますが、洋の東西を問わずよく耳にするのが旦那の浪費癖。「飲む、打つ、買う」はいくら何でももう少ないと思いますが、基本的にご夫婦で家計管理ができるかどうかがポイントとなるかと思います。ダブルインカムでも夫婦で浪費癖があればいくら稼ぎがあっても同じこと。常に余力を持ち、金銭的に安定感を醸し出すことが良好な関係を築くのかもしれません。

それを掘り下げれば、確かに昔は日本人の離婚率は低かったわけでその理由の一つは投資ではなく、貯蓄で絶対安定を最優先していたことが夫婦円満の秘訣だったのかもしれません。

アメリカでは「セックスアンドザシティ」の生活スタイルが現代アメリカの生き様のような時代もありましたが、その後、リーマンショックもあり、堅実になったと同時に世代替わりし、社会をリードする人たちの考え方がよりコンサバになりつつあるのかもしれません。

私がアメリカの思想やトレンドに注目するのはそれが一定の世の流れを作るケースが多いからであります。ただ、今回のアメリカの調査は日本的な安定感を求めたいという声にも聞こえ、トレンドが日本からアメリカに逆輸出されたと考えられなくもないかもしれません。

こんな小さな報道を一つ掘り下げてもいろいろおもしろいものですね。

では今日はこのぐらいで。

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所有するか借りて運営するか?4

ビジネスをするにあたり、資産を所有して事業を興す方がいいのか、借りて運営するのが良いのか、と聞けば10中8,9、借りる方がいいに決まっている、と言われるでしょう。何故か、と言えば資金負担は少なくて済むし、そのビジネスがうまくいかなくなった時に撤退を含めて選択肢が多いからです。

また私は何年も前から「アセットライト」という言葉を使い、資産は持つ時代から借りる時代になった、と申し上げています。例えば個人で住宅を買うのが良いのか、借りるのが良いのか、という選択肢の時、将来のライフスタイルや転勤等に臨機応変に対応できるという意味で借りる発想があってもよいと申し上げてきたと思います。このスタンスは今でも変わっていません。

ただ、世の中、全員が借りるということはできません。誰かが所有するがゆえに借りるということができるという背景を考えた時、どちらが良いのか、一考の余地がありそうです。

私がバンクーバーで所有運営するマリーナでは一部のバース(船を停泊させるところ)に25年間の長期リースをオファーしています。その満期は2026年で更新延長はありません。つまり、あと7年強でそれらのリースが私の手元に戻ってきます。その長期リースのバースを私は今、少しずつ顧客から買戻ししています。残存期間を現在価値に引き戻して割引率を掛けた金額を提示しており、だいたいディールは成立しています。

7年後に自動的に戻ってくるのに何故、私はわざわざリースの買戻し等するのか、と言えばこのビジネスには絶対的自信があり、私が早期に買い戻し、運営することでより確実なリターンが期待できるからであります。つまり、人様にはアセットライトなどと言っている半面、私はどんどん資産を買っているのです。

日経ビジネスに星のやリゾートの特集があります。御多分に漏れず同社は基本的にホテルや旅館を所有せず、不動産の所有者から運営委託契約を取り付け、マネージメントで全国規模でビジネス展開しています。理由はホテルは数多ければ多いほど予約システムやサービスの平準化などがしやすくなるためです。

一方、マリーナのようにチェーン展開が極めて難しいビジネスは所有し、運営し、一つの資産から最大限のリターンを得るようにするのが得策である、と考えています。

所有する方がいいのか、購入する方がいいのか、という答えはビジネスに普遍的安定感があるか、市場に変化があってもフレキシブルに対応できる限りにおいて所有するメリットは大きいはずです。例えば銀行が駅前の一等地に不動産を所有して店舗も確保しているのは仮に将来銀行窓口が無くなっても再開発できる応用が効くからであります。

一方、シャッター街となった商店街の中の住宅兼元店舗ほどもったいない使い方はないと思います。なぜか、そういう場所を第三者に貸そうという発想が家主にはほとんどありません。店舗部分と住宅部分が物理的に切れない、人が自分の不動産に入り込むのは嫌だ、と言ったところが理由のようです。これはもったいない話でせっかくの大家業のチャンスをみすみす逃していると言えます。

言い換えれば店舗兼住宅不動産の所有者は不動産の価値を引き出していないとも言え、無駄に資産を持っているとも言えるのです。そんな中、東京都豊島区ではそのシャッターを開けさせるべく政策を実施しており、まだ実例は少ないようですが、その成果に着目しています。

資産価値を最大に引き出す方法はその不動産の活用の仕方を知っていることにキーがあります。例えば前述のように星のやさんにうちの旅館を任せる、というのは自分で経営するよりより確かなリターンを確保できるからでありましょう。

今や大型の不動産、ホテル、商業施設、オフィスビルなどは個人や一企業が持つ時代ではありません。ほとんどがファンドが所有し、第三者に運営委託する形態となっています。理由は運営のノウハウがどんどん難しくなりプロ中のプロでも苦労する時代になったからとも言えます。

日本では相続税対策にアパートを建てた方も多いと思いますが、さほど遠くない将来、アパート経営は素人ではできないような時代、つまり、マネージメント会社が取り仕切る時代がやってくる気がします。不動産屋のオヤジが管理するような昭和のやり方ではもう駄目だ、ということでしょう。

所有する場合にはそれなりの覚悟がいる、これが私が長年不動産事業をやっていて変わりつつある経営を感じることでしょうか?世の中、本当に難しくなったものです。

では今日はこのぐらいで。

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マクロン大統領はフランスをどうしたいのか?4

フランスのパリで黄色いジャケットを着たデモ隊と警察が3週連続でぶつかり、この週末には死者まで出してしまいました。来週にもまた同様のデモが計画されているようです。フランスで一体に何が起きているのでしょうか?

デモ隊の主な訴えはただでさえ高くなった燃料費にさらに燃料税引き上げを打ち出したことへの反発ですが、下地としてはそれ以外にも社会保障費やたばこ税など各種税率の引き上げに反発した国民という構図になっています。マクロン大統領は一方で法人税を33%から25%へ引き下げるなどバランスある税制改革に取り組んでいますが、日本と違い、先に増税を行ったことと税負担が国民一般に広く増税、法人に減税といったバランスを欠く状態になっていることも要因として考えられます。

アルゼンチンでG20に参加していたマクロン大統領も本国のことが気になってしょうがなかったのではないでしょうか?このところの若き大統領の不人気ぶりは顕著であり、支持率はフランスIfop社の世論調査では11月中旬で25%まで落ち込んでおり、このままでは更なる凋落も避けられないとみています。打開策を打ち出せなければ来年春には支持率10%台という危険域に入ることもあり得るでしょう。

41歳の若さ故の問題なのでしょうか?マクロン大統領はゴーン容疑者とも親しかったとされており、フランス政府が筆頭株主であるルノー社をフロランジュ法を盾に日産と一体化しようと企てていました。マクロン大統領は実は政界に入る前にフランスのロスチャイルド系の投資銀行に入行し、副社長まで上り詰めていました。2010年のことですから33歳ということになります。またフリーメイソンのメンバーともされています。

彼の経歴において一般企業に入ったのはこの一度だけでそれもたった2年だけであります。個人的に想像するのはたった2年の民間企業経験がロスチャイルドだったことでお金の儲け方について偏った考えがはぐくまれた可能性はあります。

ルノーによる日産支配構想はロスチャイルドの考え方に準じるなら十分にあり得るでしょう。ロスチャイルドの伝統であるグローバル化を推進し、法人を強くし、連携による強化を図りたいとする野心やEUを強く支持するその政策は一定感や統一感があります。

ところがご承知の通りフランスは偉大なる個人主義の国でもあります。ある意味、マクロン大統領が企てる「国家統制主義」はフランス風民主主義とはやや相違するものです。また、同国は社会主義で国鉄など国営企業がまだまだ君臨しています。そのあたりにフランスの特徴が隠されているのでしょうか?

国家と民を考えた場合、まとまりの良い国、悪い国はあります。日本やアメリカは国民が国家に対して自信を持っており、愛国心が高いほうであります。中国は拝金主義で国家は二の次という感じがします。欧州に目を転じればドイツは比較的纏まるし、英国も表面では割れてもプライドある英国民という点では同根であります。

ところがフランスという国はアフリカ系の移民も多く、プライドが高いなか、国の色がわかりにくい国家であります。歴史的に見ても革命、クーデター、テロなど大きな事件が今日に至るまで続いているのも特徴です。また近年のフランス大統領が不人気であることも確かで、サルコジ氏が30%、オランド氏26%であり、マクロン大統領はこれを下回る史上最低水準にあります。

これが大統領権限を強化した第五共和制の行き詰まりなのか、それとも歴史を変える改革者になるのか、はたまたゴーン氏問題、そしてデモに阻まれている若き指導者なのか、気になるところではあります。

では今日はこのぐらいで。

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どう思う、老後の一人暮らし4

どう思う、老後の一人暮らし、と言われても選択肢がないじゃないか、と言われそうです。好きで一人暮らしをしていないともお叱りを受けそうです。一人暮らしを推奨している著名人もいらっしゃる中、私の思うところを期してみたいと思います。

最近、下重暁子さんの「極上の孤独」という書を手にしました。下重さんはNHKのトップアナウンサーを経て作家活動をされています。現在、83歳ぐらいでしょうか?前述の書籍は今年の春に発刊したものですが、読んでいて思ったのはこの方は強い方、とお見受けしました。日本自転車振興会の会長も歴任されているのですが、人生、一人で生きていくことに慣れていらっしゃったと言い切ってよいと思います。

私の周りにもそのようなかくしゃくとした80代ぐらいの方々は数多くいらっしゃるのですが、まず、信念を持った生き方をし、行動一つひとつをよくわきまえていらっしゃるように見受けられます。つまり、人生、年輪を重ねるごとに逞しくなる、という表現がふさわしいでしょうか?

個人的にそのような老後生活には憧れますし、敬服します。人はどこかの時点で一人になりやすくなります。その時、しっかりした気持ちを持てず、思った以上に短命で終わってしまう方も中にはいらっしゃいました。特に男性に多く、奥様に先立たれ、家事や日常のことが出来なくて荒れ放題の生活になっている方もいらっしゃいます。

頼る人生、頼られない人生、どちらを歩んできたか、これは健康で幸せな生き方を解くカギかもしれません。

下重さんの「究極の孤独」を読んで思ったのはこの方は決して一人ではない社会的背景をお持ちである、という点です。今でも執筆活動をし、「つれあい」がいて、社会やビジネスを通じて様々な人と接点を持ち、刺激を受けたり与えたりしている点でちっとも孤独なんかではないのです。

同様に上野千鶴子東大名誉教授も同様にお一人様生活を推奨されています。私もお会いしましたが、決してこの方もお一人様の生活などしていません。日々忙しく、学会や講演会で飛び回っています。つまり、一人にさせてなんてもらえない生活をしているのです。

言い換えれば一人生活を推奨する方は一人なんかではありません。では何をもって「孤独」とか「おひとり様」なのかといえば判断をするのが一人だ、ということではないかと思います。それこそ、今日何をしようか、何を食べようか、旅行に行くか、この服を買うか、集まりに出席するかまで全部自分で判断する、これがおひとり様のだいご味なのであります。

ではお題の「一人暮らし」はどうなの、と言われればその方の性格にもよりますが、基本的には一人暮らしになると内向きの生活になりやすくなり、外に出るのが億劫になります。これを防ぐことが老後の生活をよくするキーではないかと思います。

日本には多数の老人ホームや高住専があります。そこにはヘルパーさんとの接点はあっても他の人との接点は割と限られたりします。ここを改善し、積極的に外に出やすくすることが重要ではないかと考えています。

現在、若者のシェアハウスは多いのですが、高齢者向けシェアハウスはまだ十分展開できていません。確かに若者に比べて管理運営上、難しい面はあります。しかし、否が応でも接点を持たねばならない生活を営むことは高齢者への刺激を含め、重要なプロセスだと考えています。

私も6-7年前、日本で高住専開発を試みましたが、日本の厚労省と国交省間のルール仕分けに柔軟性がなかったこともあり、参入を思いとどまった経緯があります。ただ、このアイディアは私の中で生きています。いつかは実現できればと考えております。

では今日はこのぐらいで。

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ではまた明日。

今週のつぶやき4

いつの間にやらもう12月。スケジュール表には「忘年会」の予定が迫ってきます。まだやり残したことがある人はあと一か月でキャッチアップの最後の努力を。そして来年に向けたプラン作りをする時期です。ビジネスに、個人の抱負に、といろいろあります。来年という未来思考で行きましょう。

では今週のつぶやきです。

アノマリーは正しいのか、それともG20への期待か、市場は活況
アメリカ感謝祭前後は株価が高いと言われます。その通り、アメリカではダウが1週間で1200ドルほど上昇、日本も日経平均は6連騰で1週間で700円ほど上昇しました。いわゆるホリディシーズンに向けて気持ちがウキウキし、街は派手になるこの時期は気持ちも前向きになるからでしょうか?

その中でこの週末、今年最後の注目すべき国際会議、G20がアルゼンチンで開催されています。最大の焦点は米中首脳会談で米中通商戦争に一定の終止符が打てるかどうかにかかっています。金曜日のNY市場の動きを見ると妥結するだろうという楽観視する向きがあります。私も大筋妥結するとみています。

というのは中国も国内経済が思った以上に疲弊しており、10月の経済指標の一部では自動車販売などで見るに堪えない数字もあります。習近平国家主席としてはアメリカとの妥結はトップとしての威信にかかっているはずです。メンツを大事にする国とはいえ、今はそれどころではないということでしょう。

ではアメリカはどうかと言えば貿易戦争をしている場合でもありません。景気サイクルは明らかにピークに近づく中、GMの大リストラプランはトランプ大統領を刺激しました。アップルの行方に売れなくなったティファニーというのも気になります。一旦は経済の正常化を図るところかなと思います。

何故飛び出した、秋篠宮さまの大嘗祭発言
秋篠宮さまもずいぶんタッチーな部分を御発言されたと思います。宮内庁担当記者たちが驚いたというのも無理はないでしょう。一線を越えたのでしょうか?おまけに山本宮内庁長官への苦言とくれば何が起きているのか、気になるところではあります。

この発言はいくつかの部分に分けて考える必要があると思います。平成の時に22億円にも上った大嘗祭の支出の金額が大きすぎないか、二つ目に政教分離の観点から天皇家の支出は内廷費、つまり天皇家のお財布から出すべきだという主張、三点目に秋篠宮さまが来年No2になるにあたっての自身の位置づけと主張かなと思っています。

日本の歴史において天皇家/朝廷と政府/幕府の関係は接近したり離れたりしてきました。今の天皇家の位置づけはより国民に近く、民に耳を傾けるというスタンスであります。個人的には秋篠宮様は更に国民目線に近づける、つまり一種のポピュリズムなのだろうと思います。それは浩宮さまとの役割分担とも言えるのかもしれません。象徴すべき天皇家でありますが、人はそれぞれ意見があるもの、国民はそれをきちんと見て理解しています。ご意見御表明、ご立派でした。

AIと外国人は人手不足を解消させるか?
セブンイレブンが顔認証システムをNECと組んで導入する無人店の実験店を出すと報じられています。日本で単純労働は消えていくのでしょうか?

今回日本に入国した際、羽田で顔認証システムの方に行きました。理由はそれまで使っていた指紋認証の読み取り精度が悪く、読めない人が続出し、時として大行列になっていたからです。一方、新しい顔認証システムはカナダの自動システムよりもっとスピーディーでした。これで不愛想な入国審査を受けなくてもよいと思っている人も多いでしょう。(iPhoneですら指紋認証と顔認証では明白な認証スピードの違いがあります。)

先日入ったスーパーマーケットにはアルバイト募集広告。金額は1200円。思わず、「高くなったな」とつぶやいてしまいました。人がいないのはどこも同じ。だけど野党は外国人労働者はお嫌い。となれば野党はどうやって世の中を廻していくというプランをお持ちなのでしょうか?AIくんの開発はまだまだ時間がかかります。富士通はバンクーバーにAI開発拠点を設けているようです。ようやく本腰というところでしょうか?

ただ、一つ言えることは人手不足なんて日本では絶対に解消しません。レジ打ちやレストランのサーバーがAIや外国人にとって代わっても人材不足の業種はごまんとあり、今後も新たなビジネス分野が生まれていくはずです。人はいくらいても足りない、これが今後私が予想する日本の最大の苦悩であります。

後記
新日鐵住金に次いで予想された通り三菱重工の徴用工の裁判も企業側の敗訴となりました。今後も同様判決は続くとみていますが、文大統領が交代した際、氷解する可能性があるのも韓国の特徴。過去を否定することに価値観を置く同国と同国人には文化と伝統を背景とする統一された意識と価値観が育まれることはあるのでしょうか?100年たっても無理かもしれません。日本とはあまりにも違いすぎることを改めて実感しています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

カナダの南京事件記念日制定案件、とりあえず不成立4

南京事件が起きた12月13日をカナダ全体とブリティッシュコロンビア州(BC州)でそれぞれ記念日にしようという動きがあったのはご存知でしょうか?しかし、その動きは失敗に終わりそうです。

まず、BC州における記念日制定の計画を企てたテレサ ワット議員は秋の議会開催初日に法案を提出すると議会で発言したもののその後、腰砕けで議会で全く俎上に上がらず、昨日、今年の議会は終了しました。つまり、少なくとも今年の12月13日の記念日制定は断念したことになります。

一方、連邦ベースで活動していたジェニー クワン議員も11月28日、議会でトルドー首相に記念日制定についての意見を求めたところ、首相はあいまいな返事で質問をかわしました。引き続きクワン議員は議会で動議を提案しましたが賛同を得られず、議長より否決されました。

その際、クワン議員が半年かけた集めた4万人の署名を議会に提出したため45日以内にその内容を検討のうえ、署名に対する議会判断を1月にも出すと思われます。但し、動議が既に否決されたため、署名に基く記念日制定法案の可能性は困難と思われます。また、カナダでは同じ内容の動議を同一条件下では再提出できないため、南京事件記念日制定は極めて困難になったと考えております。

カナダでは昨年オンタリオ州で同様の動きがあり、記念日制定にはならなかったものの、動議は可決された経緯があります。但し、オンタリオ州の動議可決のハードルが低く、ごくわずかの賛同する議員だけの決議であったことからほとんど意味を成しませんでした。更にそれを主導した州の議員はその後の選挙で落選していました。

ただ、その流れは連邦議会ベースに引き継がれ、東バンクーバー地区選出のジェニー クワン議員が今年春に大々的な署名キャンペーンを張り、バンクーバー、トロントなど主要都市での嘆願活動を行うとともに7月11日には左翼運動家、乗松聡子やBCアルファ(第二次世界大戦アジア史保存カナダ連合、BC支部)などを従え、声明を発表していました。

更にBC州議会のテレサ ワット議員が同様の記念日制定をBC州でも制定するという発言を議会で行いました。

これらの動きに対してバンクーバーの民間ベースで記念日制定に反対する期成同盟を立ち上げ、他の関連者とも連携を取り、各種活動を展開し、この動きを阻止すべく活動が展開されました。

私は3年前のカナダでの慰安婦像建立問題の際に前線に立ってそれを阻止した経緯もあり、今回も期成同盟を含む各方面での行動をしながら約半年、戦ってきました。

3年前の慰安婦像案件の時は日系社会のみならず、日本やトロントなど各地からの応援もあったし当時同様問題を抱えていたオーストラリアとやり取りをするなどかなり幅広い情報収集と活動を展開していました。それに対し、今回は極めて限られた人数の期成同盟メンバーで的を絞り込んだ作業を行うと同時にキーになるところとの連携を強め、各方面での比較的隠密な活動も展開、その動きは割とわからなかったと思います。

カナダでのこの動きは日本でも一部の方には知られており、なぜカナダで今更南京事件記念日なのか、と議論が沸き起こり、私も西岡力先生らの研究会で現状報告などもしておりました。また、日本の一部の国会議員にも本件を重視し応援してくださる先生方もいて私も直接ご報告を差し上げてきた経緯があります。

慰安婦像の時に比べ日本国内での盛り上がりが欠けたのは事実です。日韓と日中の温度差もあるでしょうし、南京事件そのものが分かりにくいこともあります。(いまだに確定した真実は解明されておらず、今後もそれは不可能だと考えています。)もう一つはこういう問題に食い下がる産経新聞のトーンが完全に変わってしまったこともあります。同社は社長交代後、現社長が興味を持たないせいか、「歴史戦」に極めて淡泊になり、その類の報道が大きく減少し、取材能力も落ちていたと思っています。

最後に今回の一連の流れについて思うところを記したいと思います。

一つはカナダで本件がうまく推移してきた理由は歴史戦をあえて外したことがあるかもしれません。クワン、ワット議員は乗松聡子氏に主導、扇動される形で事実が不鮮明なこの事件を自己都合解釈に基づく「左派の歴史戦」として堂々と繰り広げたのと好対照でありました。たぶんですが、クワン議員は南京事件についてほとんど乗松氏等の受け売り以上の知識は発言内容からしてないとみています。

では同議員もそれほど愚かではないはずなのなぜこんなことをしたのか、と言えば10中8,9、中国本土とのパイプ関係だったとみています。彼女は中国版フリーメイソンである洪門民治党のメンバーであり、本土と華僑をポリティカルに結び付ける役割を担っていたはずです。が、10月ごろからそのトーンが完全に変わりました。理由は多分ですが、もっと上の世界からの指示ではなかったか、とみています。

今回の一連の流れは非常に重く、長く、疲れる作業でしたがとりあえず、一息つけそうです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

アメリカ パウエル議長の変心4

アメリカFRBのパウエル議長の今日の記者会見での声明が世の流れを大きく変えたかもしれません。

そのたった一言がこれです。
“Interest rates are still low by historical standards, and they remain just below the broad range of estimates of the level that would be neutral for the economy‑‑that is, neither speeding up nor slowing down growth.” (金利は歴史的にはなお低く、その中立レンジをやや下回る水準にある)

この文章の中のキーワードは「just below」であります。

パウエル議長はFRB議長になる際、ハト派と思われていました。ところが、就任以降、利上げのピッチを緩めることなく歩を進め、先行きについても現状のアメリカの経済を考えれば利上げはふさわしいという趣旨の発言を繰り返してきました。

トランプ大統領は中間選挙を控えていたころ、経済への刺激を継続し、株価がある程度の水準を維持し、アメリカに夢と希望と未来を作り出すため、パウエル議長にツィッターで「利上げしすぎ!」と介入しないと言いながらも吠え続けたのであります。

しかし、吠えたのはトランプ大統領ではなく、市場参加者、そして多くの投資家やビジネス従事者が景気のピークを認識し始めたことに同調したといってもよかったと思います。にもかかわらず、先月もパウエル議長は「金利の中立レンジまでには長い道のりがある」と発言していたのです。

金利の中立レンジとは景気が加速も減速もしない金利水準のことを言います。利上げをするという意味はまだ景気がスピード超過をしているので利上げをしてブレーキを踏むという意味で、景気後退期には利下げというアクセルを踏むということになります。

ところが本日の声明でjust belowに変わったのです。「長い道のり」がひと月で「ほんのちょっと下回る」と表現が変わったところにFRB議長のステートメントを読み込むドキドキするほどの楽しさがあるのです。

市場とは現金なもので、数日前には金利の上昇サイクルの終焉はアメリカ景気のピークアウトを意味するので株価には芳しくない、という解説が聞かれました。ところが、今日は金利のピークアウトが近いと聞いた途端、ダウは600ポイント以上上昇し、カナダもつられて上昇、たぶん、中国を含む新興国には良いギフトになるはずです。

では、パウエル議長はなぜ、ここに至ってそのような180度とは言わなくても120度ぐらい転換した発言をしたのでしょうか?

私が思うのは一つに10月以降の株式市場と国債市場、付随的なVIX(恐怖指数)などにみられる市場の揺れ、またカショギ氏問題以降、揺れるサウジ問題で原油価格がコンスタントに下落したこと、住宅や自動車業界で明らかに息切れがみられること、ドル高が進みすぎたことなど世間一般に言われる理由を総合的に勘案したものと思います。

が、もう一つ、私が注目しているのは今週末にアルゼンチンで開催されるG20,そして11月1日に予定されるトランプ大統領と習近平国家主席の会談への予防線ではないかと思っています。パウエル議長にその会談の方向性は知らされていない、あるいは予想不可能とすれば会談で何が起きても市場が耐えうる下地を作っておく必要があります。そのためには会談で合意がなされず、貿易戦争がさらに激化しても「それを理由に金融政策を急変させない」工夫が必要としたらどうでしょうか?

逆に合意すれば中国側の懸念が和らぎ、世界経済が再び軌道に乗りやすくなるし、パウエル議長にとっても次の手を打つ選択肢が増える、という発想です。

私が感じる世界経済の問題とはアメリカ一極集中にあると思います。世界中見てもこれほど調子のよい国はありません。欧州は各国問題山積です。アジアは中国、韓国がひどい状態です。ロシアも冴えないし新興国はマネー流出と通貨防衛に苦しんでいます。多分、アメリカと日本ぐらいじゃないでしょうか、経済に極めて安定感があると思える国は。

とすればトランプ大統領の経済政策は極めて強力かつ、実行力があり、その分野においては歴史に残る大統領になりうる可能性すら秘めているとも言えます。そんな中、別の意味でなかなか困難な金融政策のかじ取りを担っているのがパウエル議長となるのでしょう。

私の予想は12月の利上げの公算は7-8割、2019年の利上げ回数は市場予想の中心の3回から2回ないし1回程度に減るとみています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

LINEも銀行業に参入、どうなる金融の将来4

LINEがみずほ銀行と新銀行を設立するそうです。「LINEよ、おまえもか」でしょうか?

金融業は分厚い金融庁の許認可の壁と厳しい監視の目で「守られた業界」「プライド高き業界」「顧客より自己都合業界」という印象が強かったのは事実です。銀行は自分の利益を守るために手の裏を返すようなことは日常茶飯事。

数年ごとの転勤で「前の担当がどうであれ、今はこうです」と紋切り調で押し通された方も多いのではないでしょうか?銀行員から「弊社で取り扱う投資信託、宜しくお願いします」と10回も頭を下げれればしょうがないと思い、お付き合いしてもしばらくすれば「新任挨拶」と名刺に赤い判を押した知らない顔が玄関口に立っています。「今度はこういう投資信託が…」と切り出されたらいい加減にせいやい、ということになります。

そんな小うるさいヒューマンタッチの銀行を避け、若者はネットに走ります。インターネットバンキングなら瞬時に作業は終わります。銀行に行く用事は今や、ATMでお金をおろすだけ。

先日、いつもの銀行に行けば、窓口には誰もおらず、数か月に一度しか行かないのに顔見知りのカウンターの行員が名前で呼んでくれます。前回東京に来た時、支店長から「何時、転勤辞令が来てもおかしくないので次はお会いできないかもしれない」と今生の別れを告げれたので窓口の方に「新しい支店長は?」と聞けば「今回は転勤辞令がなかったようで…」と囁かれ、それから15分後には私の携帯に支店長から「まだ、おります!」と。

銀行業に参入する一般企業は後を絶ちません。もともとは2000年に開業したジャパンネット銀行が走りで、その後、ソニー、楽天、セブン、イオン、ローソンなど様々です。ネット専業からATMを持つところまでさまざまでセブン銀行では外国発行のクレジットやキャッシュカードでの引き出しのほか、フィリピンなどへの送金サービスまで開始しています。

もはや乱立状態でレッドオーシャンと言って過言はないと思いますが、そこにLINEがみずほ銀行と新銀行を設立するというのはまたか、ぐらいにしか思えません。実際、上述のジャパンネット銀行はヤフーが筆頭株主ですがヤフーがこの銀行との関係を積極的に売り込み、ビジネスとして取り込み、成功しているかと言えば疑問符だらけであります。

金融業界に何が起きているのか、と言えば個人的にはお金の扱いのハードルが下がること、ネットとの融合、クレジットカード業界への挑戦、為替手数料への挑戦、日本銀行券への挑戦など一般消費者が最もメリットがあるBtoC分野での改革であろうかと思います。

BtoB分野においてはいまだに昔の名前で出ている銀行が古典的手法で靴底を減らしながらビジネス展開しているというのが現状でしょう。また手形という支払い形態が残っている製造業や建設業の管理というお題目がありますが、今や手形流通額は1990年に比べ9割減です。最近は建設会社でも現金でお願いします、というところが増えています。そんな売り掛けとそれを支えた銀行業の時代ではないのです。

法人口座においてそれほど銀行員とやり取りが必要なことがあるのか、と言えばカナダでも日本でもまずない、と断言してよいと思います。必要な書類があればメールに添付するだけ済むケースも増えてきました。事実私の日本事業の融資担当とは2年会っていません。やり取りはしますが、会う必要がもはやないのです。

地銀や信金などは時代に逆行するように近所の小金持ちの高齢者の家に日参し、バスツアーを企画し、地元の噂話から病気話や相続のことまで全て網羅しています。昔「家政婦は見た」というドラマがありましたが、なぜ「銀行員は聞いた」というドラマがないのか不思議なくらいです。

若者と企業、高齢者の銀行への期待度は大きく相違します。まさに乱立、乱戦で顧客側は混乱という状況でしょうか?シンプル イズ ベストのはずなのにどんどん複雑化する世の中に「何か違うよな」と思う方は案外多いのではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

独裁経営と集団経営4

独裁経営と集団経営、どちらが良いか、と単純に聞けば大半の方は後者の集団経営がいいというでしょう。独裁経営は厳しそうだし、偉くなれないといったネガティブなイメージが付きまといます。集団経営は皆で一緒に決めたという意味で日本的であります。

カルロス ゴーン氏は独裁帝国、日産ルノーグループを作り上げたわけですが、自動車業界という厳しい競争に立たされている中であれよあれよという間に世界トップグループにまで育て上げたという実績は否定できません。

さて、どちらが良いのか、あるいは功罪をつけるべきものなのか、考えてみたいと思います。

私の会社は私が100%株式を持っている点において究極の独裁政権であります。(ゴーンさんは雇われです。)多くの中小企業のオーナーさんはだいたい似たり寄ったりだと思います。家族や親せきで仲良く株式を持ち合っている場合もあるし、それが身内の骨肉の争いとなっている場合もあります。時として経営にもそれが出て派閥という厄介な争いに一般社員が巻き込まれることもしばしばでしょう。

日産の場合、これからが大変です。例えていうならアラブの春の際のエジプトのようなものでしょう。同国は独裁者を引きずりおろしたもののそのあとを主導する人がおらず、国内世論がバラバラになり、統治に苦労したのであります。同社は西川体制がどこまで機能するか、と言われています。問題は同社取締役で元COOの志賀俊之氏との確執、あるいは派閥争いでしょう。主導争いで激しい分裂が起きる可能性はあります。こうなると集団経営とは本当に可能なのか、疑わしくなります。

集団経営が最もうまくいっているとされる企業の一つがトヨタであります。非常にフラットな経営体系があるように感じます。が、個人的には豊田章男氏が鎮座している部分を見落としていると思います。つまりゴーン氏のように自分が一人で振り回すタイプもあれば豊田氏のように経営陣をリスペクトして持てる能力を引き出すというスタイルもあります。つまり、実際には両者とも強いカリスマ体制が存在しているのです。

業績絶好調のソニー。その裏には平井一夫体制がワークしているとも言えます。平井氏が社長に就任した初めの2年ほどは業績回復もままならず手腕不足などと酷評されたのがウソのような話で今ではゴーン氏などお話にならない27億円の報酬をもらう日本一の経営者であります。

こう見ると実は大きな利益を稼ぐ企業のトップはカリスマ性がある経営者が必ずと言ってよいほどいるものなのです。その経営者が著名かどうかというより社内ガバナンスを行っているのかどうか、ここが肝なのだろうと思います。つまり、社長の人格が企業の体をなす、と言ってもよいのではないでしょうか?

集団合議制というのは私の経営ポリシーの中では絶対にありえません。なぜならば決定内容がフラットになってしまい、何一つ尖った特徴が見いだせなくなるからです。49%の反対を押し切り51%のサポーターを信用してまい進するぐらいの指導力こそがカリスマ性につながっていきます。

これが海の向こうになると変わってきます。スティーブ ジョブズ氏などはとんでもない変人でしたし、アメリカの主要企業の著名経営者は難癖がある性格だったりして悪評ある人も多いのが事実です。が、それは欧米の雇用思想が根本的に日本と異なるために欧米で機能する話でも、日本においては人望が最大のキーになると考えています。

日本企業には色を出さない経営をしようとするところもあります。私は色があってなんぼ、だと思っています。画家がキャンバスに描く絵に色がない、あるいは作曲家の作品に音色がないのは意味がないのと同じで社員や顧客をハッとさせるような力が大事だと思っています。

一歩間違えると派閥争いで業績が伸び悩むケースはよくあります。某メガバンクはその典型で実力があるのに実にもったいないと思っています。日産の新しい体制がゴーン氏が来る前のあの狂った体制に戻らなければよいと思っています。

では今日はこのぐらいで。

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英国と台湾、大陸との距離感の乗り越え方4

英国と台湾から興味深いニュースが入ってきました。英国は難航していたEUからの離脱に関してEU側との離脱合意案を妥結しました。メイ首相は「私の離脱案」にひたすら驀進しているように見えます。

同じ頃、台湾では統一地方選挙が行われ与党、民主進歩党が首長の席を13から6に減らす大敗を喫し、蔡英文総統が民主進歩党の党首を辞任しました。

英国と台湾。共通点は歴史な大陸との関係、それに対して揺れ動く世論、経済の大陸側とのリンク、島であることそして、女性のトップである点でしょうか?

その中で明暗が分かれたのが今回の展開だったとも言えます。ではなぜ明暗が分かれたのか、と言えば色濃さかもしれません。メイ首相はある意味、火中の栗を拾うような形で首相になりました。EU離脱も賛成はしていなかったのに離脱を推し進める役を買って出たのです。その点ではメイ首相の思想は中道だったはずですが、「離脱を選択した国民のために自分ができることを精一杯行う」という姿勢を貫きます。

一方、蔡英文総統はどうだったか、といえば同じ穏健派でも色は薄い気がします。トランプ大統領が蔡英文総統に2016年12月、歴史的な「電話会談」をしたことは民主進歩党にとってフォローの風になったはずです。その後もアメリカはアメリカから見た台湾の重要性に鑑み、台湾とのアライアンスに前向きな姿勢を示していました。

ところが中国本土はそれを許しませんでした。ある意味、台湾を縛り上げた、というのが私の実感です。その一つに台湾と外交があった国々が次々と「断交」し、国交があるのは小さな国家ばかり17か国にまで減っています。

何を間違ったか、個人的には蔡氏は中途半端な立ち位置であることに尽きると思います。中国との関係を現状維持することを政策としましたが、なぜ、中立を保つのか、その声は右派からも左派からも不満に感じられてしまうのです。

他方、メイ首相は国民が選択した道を私は政治家としてきちんと実行する、という非常に分かりやすく、明白なベクトルを持っています。その為に与党、保守党内からも離脱強硬派からは「甘い」という声が出ているにもかかわらず、ここまで突き進むことができたのでしょう。

もちろん、英国の離脱がメイ首相の思惑通りに進むかはこれからが本番です。英国議会が待ちかまえているのです。但し、私は以前意見したように時間が無くなり、与野党議員が「合意案」に反対することが政治的に正しい選択肢ではない、という判断をする期待しています。つまり、メイ首相流EU離脱の成立であります。

政治家とは何か、国家主席とは何を求められているのか、と言えば推進力だと思います。ハードルを乗り越え、成し遂げなかったことをやり、国民と国家にとって長期的利益を提供することだろうと思います。

折しも日本でも世論調査がこの週末行われ、安倍首相の支持率は着実に回復しているようです。特に日ロ交渉、北方領土問題に関して67%もの人が評価しており、2島先行返還を支持している人が46%もいた(日経調査)のは驚きであります。

政治家の色の出し方、押し出し方、これが英国と台湾の明暗だったのかもしれません。もちろん、英国はまだ結論が出たわけではありませんが、個人的に、「メイ首相、強し!」と思わざるを得ません。

では今日はこのぐらいで。

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