外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

今週のつぶやき4

「外食テロ」は昨日今日に始まったわけではありません。私が学生の頃、レストランで3年間バイトしたことも含め、無茶苦茶な話は時々耳にしていました。たまたま、動画サイトというブレイクさせる道具があるためにそれを知る機会が増えただけでしょう。「昔はよかった」というのは知らなかっただけで悪い奴は昔からいます。それが嫌なら全部個別包装にしなくてはいけません。そういえばバンクーバーの日本レストラン、最近、しょうゆ皿にしょうゆを入れて持ってきますねぇ。自分で入れられないです。これが自衛策か醤油の節約か聞いてみたいところです。店はすごく手間暇がかかりますが。

では今週のつぶやきをお送りします。

市場はてんこ盛りの話題で消化不良
今週の金融市場の動きはFRB、ECB、英国中銀の定例金融政策会議、アメリカ1月雇用統計、ハイテク企業の決算と週の後半に凝縮されたスケジュールで考える間もなく話題に事欠かなかったところです。そしてようやく金曜日を迎えてこれら一連の動きを消化するのに市場は数日かかるような気がします。特に番狂わせだったのが金曜日の雇用統計で事前予想18.8万人増に対して51.7万人増で着地です。全く次元が違う数字なわけで、当たった、外れたというよりそもそも論が全くかみ合っていないのです。これを読み解くことから始まるのでしょう。

雇用統計ですが、特殊要因犯人説があるのですが、それでもこれほどズレません。個人的には人々がようやく働く気になった、これではないかと思います。コロナ後、労働市場に戻ることに躊躇していた人たちが物価高などで働かざるを得なくなったとみています。ならばこの異常現象は潜在労働力500万人をもう少し減らすべくあとしばらく高水準がつづいたのち、物価が落ち着いたら離職するという推論も出来ます。(こちらは辞めるのも早いです。)よって個人的にはこの雇用統計は参考程度です。FRBの金融政策には影響しないと思います。

大手ハイテク企業の決算も出そろい、不出来の塊のような状態ですが、最悪期は脱すると思います。ただ、今後、急速な回復があるとも思えません。テクノロジーは着実に進化するのですが、それを受け入れる人々のマインドが「テック疲れ」しています。2000年初頭のテックバブルの時もそうでしたが、次の大きな潮流が来るまで主役にはならないと思います。日本ではZホールディングスがヤフーとLINEを抱き込んだのも結局構造改革であって、業容がイマイチだという意味です。

検討はアリだが、実行はあり得ない「N分N乗」
誰がひっぱりだしてきたのか知りませんが、少子化対策の一案として「N分N乗」が与野党で前向きに検討されていると報じられています。私は少子化対策について終始、金銭面対策を前面に出すのは反対で側面支援でしかないと申し上げています。この「N分N乗」方式は所得税があるケースでは有利になるというアメだけを見せているのです。しかし、社会への劇薬の面はどっかに置いてきぼりです。

この方式、端的に言うと所得税は個人ベースで計算していたものを家族単位にしようというものです。企業でいう連結納税を想像してもらったらよいと思います。夫婦で合計800万円の所得でそれぞれ50万円と30万の合計80万円の所得税をそれぞれ払っているとします。もしも2人お子さんがいれば家族一人当たり200万円の所得(800万÷4)だからその所得税を15万円とすれば4人で60万円しか払わなくてよいので税額が20万円節約できるというものです。

少子化は生むことに動機がないことが問題なのです。産んでからの話は「子育て支援」であって少子化対策ではないのです。そもそもを取り違えている上に仮にこんなN分N乗を取り入れれば節税対策で奥様は専業主婦に逆戻りです。ただでさえ日本の主婦は子育てのために家に籠りがちなのにそれを後押しすることになります。それと子供を節税の道具にするのもどうかと思います。フランスで戦後始まった方式ですが、あの国の生き方は自由奔放の個人主義です。婚外子が多いという特殊事情を反映したものです。もちろん、日本が婚外子について前向きに取り組むという風潮ができるなら別ですが、LGBTQ発言でクビになる首相秘書官がいるような国では100年経っても起こりえないでしょう。

尹錫悦大統領の本気度
尹錫悦大統領は徴用工問題を本気で決着させるように見えます。それも非常に近いうちに。徴用工問題についてはかつての大統領達はアンタッチャブルの姿勢を貫いていました。その背景は「三権分立」で司法への敬意です。ところが尹大統領はカーブアウトした案を提示します。韓国内で企業などからの資金をベースにする「日帝強制動員被害者支援財団」を作り、そこが原告に支払うというものです。韓国国内世論はもちろん割れています。そんな金は受け取れないと。ただ、この話、慰安婦問題の時と同じなのです。10億円の基金が出来て、結構多くの元慰安婦はお金を受け取りますが、反日の一部の声のでかい人たちが「そんな金を受け取ってはいけない!」と叫んだのです。

今回も元徴用工にとってお金の話ではなく、メンタルな問題だとしてしこりを残すと思いますが、出来ないと逃げていたかつての大統領とは違う点は評価すべきでしょう。今回、尹大統領としては政治日程的にこの問題で3月上旬までに一定の結論を出す必要があります。それは5月の広島サミットの主題の一つが北朝鮮問題で、そのために尹大統領が招待される見込みです。また、同大統領が4月頃、アメリカに国賓で招かれることを考えると読売が報じる3月10日のWBCに両首脳が観戦するシナリオは、可能性の問題というより大統領の政治使命であるともいえます。

ところで韓国が設立する基金、日本側は知らぬ存ぜぬかといえばそんなことにはならなそうです。韓国とビジネス関係を構築しているいくつかの大手企業は基金への何らかの参加を検討中とされています。いやそれだけではなく日本側からはもっと大掛かりな案も取りざたされています。日本の近年の首相で日韓問題を丸く収めるのが最も得手なのは岸田首相が筆頭です。これは岸田氏の外務大臣時代からの姿勢を見ても何ら疑う余地はなく、私は両首脳が東京ドームで仲良く隣に座り、野球を見ているシーンが目に浮かぶのです。こういう技は岸田氏の強みでもあり、悪く言えば日本的な事なかれ主義ともいえるのですが、雪解けは近いと思います。またいつか雪が降るかもしれませんが、まずは目先の最悪期は脱しつつあるとみてよいでしょう。

後記
大学時代に英文タイプの実践クラスを取っていたこともあり、会社に入ってすぐNECのパソコン9801シリーズの登場にもたじろかず、キーボード上の指が勝手に動いていたのは大きかったと思います。それから40年、今でもひたすらキーボードとの戦いが続きますが、これだけ指先を使うとボケないかもしれないと思います。ピアニストに認知症は少ないとされるのは指の動き。これが脳の動きを活性化させるのですが、キーボードも同じだろうと思っています。あとは日々の目標があり達成感をもって一日を終えることでしょうかね?私は朝シャワーの時、その日一日のプログラムが完成しストイックにその日をこなします。これで100歳になってもボケないぞー!

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

政治家と役人4

政治家と役人、ある意味、同床異夢、場合によっては水と油に近い関係かもしれません。どんなに優秀でキャリアとして採用された役人も最上位は事務次官。ところが事務次官は政治家から選出された大臣、副大臣、政務官を従えるわけにはいきません。かつては東京大学を出て、キャリア職として国家を背負うなどという勇ましい声も聞かれましたが、今では海外転勤したくない外交官とか、残業を拒否る優秀な役人が増えていると聞きます。

東京大学の現役の学生に聞きましたが役人は不人気職の一つだそうです。

先日、母校から当地に留学している現役学生たちと会食をした際、就職の話題になりました。現在は大学3年ですぐに就活を始めて大学4年になる前までに内定が出るパタンです。さらに外資系などはインターン合格というのがあり、それが採用側の期待通りであれば自動的に就職できるという実質内定の仕組みもあるようです。会話した一人は3年生ですが、既にインターン合格しています。一方、公務員試験は大学4年の夏頃の結果発表だったかと思います。これでは役人と企業の両方を受けることが実質厳しいのです。学生も役人になる試験でイチかバチかの勝負は避けるでしょう。これが役人の質や希望者が低下した理由の一つでしょう。

場所は変わってカナダ。基本的に政府の姿勢に「むかつく」ことが多くなりました。それは政策と実態がまるで伴っていないのです。有権者に選ばれた政治家や政党は耳障りの良いことをつぎつぎと並べます。が、それらの「ぶち上げ」に対して実務を担当する役人は全然追いついていない、この歪みが大きくなってきたのです。

たとえば移民政策。世界でも最高レベルの人口の1.5%を毎年移民として受け入れるとしています。人数にして毎年45万人規模で2025年目標は50万人です。これはアメリカの移民受け入れ数と大差ないのです。ですが、アメリカはカナダの人口の10倍いるので労働力も処理能力も10倍あるのです。どうみても物理的に処理が追いつかないのです。最近は国家安全保障問題が重視されており、移民申請者のバックグラウンド調査などプロセスは複雑になっています。

これは思わぬとばっちりを受けます。例えば、私は移民権者ですので5年に一度移民カードの更新があります。ちょうど今、更新の時期なので更新の書類を送付済みですが、更新手続きは3か月以上かかりそうです。私の今のカードは4月に失効するのでそうなるとそれ以降更新ができるまで国外に原則一歩も出られなくなるのです。日本なら相当声が上がるでしょう。つまり、無理な話でも政治家は実績をアピールし、実務を役人に押し付けるのです。

政治のポピュリズムは不変テーマです。例えば岸田首相が無理やり成立させた旧統一教会被害者救済法法案。この法案の話が初めて出た時、担当の役人は出来ないと拒否しました。理由は担当部署が少人数部隊で短期間で法案を詰めるような実行能力がないから、とされました。しかし、政治家主導で法案が成立しましたが、ザル法に近く実質的に役に立たないと批判されます。が当の岸田首相は「俺の功績がまた一つできた」と思っているはずです。この辺りの温度差が最近特にひどくなっている気がするのです。

政治家は職業政治家として当選し続けることだけが主眼になっています。細田衆議院議長が統一教会の件を絶対にしゃべらないのは自分の職業を守るためです。有権者を失望させることはひた隠しにするしかないのです。アメリカにもいます。民主党のサントス議員。履歴詐称ほか嘘で固めた様な議員です。さすが、身内もかばいきれなくなっていますが、党としては彼を辞めさせれば民主党の議席を一つ失うかもしれないのでそこまで踏み切れない、つまり、空に向かって唾を吐くようなことはできないのです。

近年で個人的にもっとも酷かったと思われた政治家主導の決議が脱炭素絡みの目標設定です。主要国はバナナのたたき売り状態で「我が国は〇年までに〇%削減する」「そちらがそうならうちは〇%にする」と言ったアナウンスが続きました。我が国もその一つです。菅元首相の発表に理論的積み上げなどありません。「これぐらいできるだろう」という浪花節。ところがそれから数年経った今、さまざまな問題が生じ、脱炭素は実務レベルでは進むものの政治家レベルで声を上げる人はいません。理由はそれが政治家としてのリスクになるからです。酷いものです。

われわれ有権者は政治家と実務を担う役人を区別して見なくてはいけないと思います。できない公約や法律は政治家の偽善的な振る舞いだということを冷静沈着に判断すべき時代だと思います。もっとも役人の発想や実行能力にも大きな声が上がりそうですが。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

日本の空き家問題にメスを!4

農耕民族である日本人ならではといえるのが日本の住宅問題です。それはサラリーマンの転勤でもない限り、住処を移動することがなかなかない点です。一生の買い物と称し、住宅販売会社もそれを煽ります。100年住宅など良い例です。そうすると一つの家を新築からボロボロになるまで使い倒す、これが日本の住宅思想になってしまいます。また外部を排す日本の文化は居住地の移動にマイナスのイメージもあります。「おっ、よそ者が来たぞ」と。

私が在籍していたゼネコンは宅地造成の工事が得意だったこともあり、日本全国で宅造の工事を請け負っていました。私自身も何現場か担当したことがあります。その頃販売された住宅は築40年近くになるはずですが、たぶん、当時販売された多くの住宅は今でも同じ人たちが所有していることでしょう。土地や街への愛着感です。ちなみに私が今住んでいるバンクーバーのコンドミニアムは75戸あるのですが、築16年経った今、当初から住んでいる人は1/4程度だと思います。

宅地造成を含む街づくりの観点からみると、街の中の居住者が循環しないため、築年数と共に廃れていく傾向が見られます。例えば東京でみると、1948年開発の戸山団地や1960年の赤羽桐ヶ丘団地、1962年の赤羽台団地、1972年の高島平の団地はその典型です。テレビによく出てくるひろゆきさんは桐ヶ丘団地出身ですね。一部の団地は老朽化が進み建て替えも進みますが一部団地ではオリジナルの住民が一割ぐらい残っているところもあります。同様に近郊のニュータウンもほぼ全て当てはまります。

次に賃貸用住宅(アパート)です。日経によると1都3県に空き家数は200万戸、うち個人用住宅の空き家が60万戸で賃貸用住宅の空き家が130万戸ぐらいあるとされます。130万戸は今、生まれてくる子供の数の2年分です。いかに住宅の供給がいびつなのかわかると思います。ちなみに全国の賃貸住宅の空き家となると430万戸以上と膨大な数になります。

私は日本に行くと住宅街にひっそりとたたずむセピア色をした昭和の面影を残す2階建て木造住宅、要はボロアパートに一体賃借人はいるのだろうかと思うのです。それでも大家が手をかけているところは不動産屋の賃貸情報に出ていますが都心ですら賃料は4−5万円ぐらいです。風呂ナシ、共同トイレでしょうけれど。強引な物言いかもしれませんが、私はそんな物件は全部潰すべきだと思うのです。

理由はいくつもありますが、一番大事なのは経済が成立しなくなる点です。外から見ると日本の生活水準は二極化しています。安い方に向かうといくらでも安くできるその一つの背景が住居費なのです。雨がしのげればよいといってタダのような住宅費でも生活ができるため、努力しないでもすむ社会が生まれてしまうのです。

私はアメリカのような社会を目指したいとは全く思わないのですが、人間社会は一定の成長が必要です。しかし、今の日本では若いうちにステップアップしなくてもどうにかなる社会が形成されているので一定年齢になるともう上に上がれなくなってしまうのです。また社会の監視の目もなくなりました。農耕民族には共同体という監視システムが存在していたのです。それが無くなってしまったので「団地の鉄の扉の向こうの話」になるのです。

空き家でも維持する理由は固定資産税が1/6になるからです。しかし、これは早急に改変すべきでしょう。カナダは投機による住宅費の高騰を抑える目的もあり、空き家には厳しいペナルティを課すようになっています。賃貸住宅の空きがカナダはほぼ皆無なので賃貸住宅へのペナルティは存在しません。一方、日本ではこれを参考にする意味はあると思います。ボロアパート対策です。ずばり、私は空室税をかけたらよいと思います。そうすれば否が応でも大家は対策をせざるを得ません。あるいは固定資産税の特例は賃貸住宅は適用比率を変えるなど方法はあるでしょう。

行政は不動産を循環させ、空き家の課税を強化し、各種税金などの未払いに対して抵当をつけ、抵当額が時価を上回った場合に接収するか、土地売却時に優先度1位で弁済する仕組みを導入すべきです。カナダにはそれがありうまく機能しています。例えば分譲住宅で管理費を払わない場合に管理組合が簡単に未払金を抵当として不動産に登記し、のちに優先弁済を受ける仕組みです。これは不動産管理上、大変便利です。

この仕組みがあれば新潟県湯沢のゴーストマンション群も解決できる糸口はあったはずなのです。

東京など大都市の場合、住宅地の緑地が少ないので東京都が所有する土地持ち会社(Land bank)を作り、将来、都が持つ土地と民間の土地をパズルのように動かし、一団の土地を生み出し、大規模環境整備を図るという都市計画が欲しいところです。

日本はとにかく、空き家を減らすこと、そして土地の有効利用を考えねばなりません。ところがなぜかグローバルな都市計画という点で国土交通省は腰が重いのです。100年後の日本のビジョンを示すべきでしょう。都心の高層住宅だけが都市計画ではないのです。

では今日はこのぐらいで

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大規模金融緩和の功罪4

経営者が経営改善に考えることは似ています。「コストを下げる」です。二十数年前に日本企業が次々と中国に進出した理由は何でしょうか?そこに需要を求めたわけではなく、多くの企業は中国の人件費が安いから進出しました。大手アパレルの動きは典型で、その中国の人件費が上がってきたら人件費の安いアジア諸国を転々としていきます。現在はバングラディッシュが人口も多く、工業化がまだ十分に進んでいないこともあり、アパレルの生産拠点の一つとして好まれます。しかし、彼らは決してバングラディッシュで日本のアパレル商品を売ることは考えていません。

アメリカのIT企業がインドに大挙して進出したのも同様です。アメリカの人件費よりインドがはるかに安いし、彼らは働き者で数字に強いからです。アメリカの映画産業のメッカの一つがここバンクーバーである理由はアメリカより人件費を含めたコストが低く、地理的にも近く、街並み的に北米のセットが再現しやすいからです。

企業活動が人件費を落とす努力は海外移転に留まりません。ロボットを導入し、自動化が急速に進みます。面倒な労働法による縛りや組合対策をするよりもロボットに24時間稼働させた方が誰からも文句を言われないので楽です。

その人件費は先進国のみならず、多くの国で上昇しています。どんな目利きがいてもそう簡単に人件費や製造コストを下げる手段や場所はもう、見つかりません。それに輪をかけたように政治的イシューで投資先として進出できる国家や場所が限定されたりします。仮にいくら中国が投資先として優れていたとしても投資不可の場合も当然にして生じてきています。

私は今のインフレがどこまで下がるのか着目しています。パウエル議長が思うような2%のインフレ率の時代に戻ることは難しいのではないか、という気がしているのです。そして世論は少しずつですが、2%は現実的ではなく、3%か4%ぐらいでもやむを得ないのではないか、と考え始めているようにも思えるのです。

その背景は日米欧などで行った大規模金融緩和の爪痕ではないかと考えています。非常に単純に説明します。大規模金融緩和で多くの企業や個人はマネーや資産を手にすることが出来、一定の財を成しました。ステージアップというものです。日本の方からは「そんな恩恵はない」と怒られそうですが、一般論としては確実に上がっています。

私はこれはギミック(手品)だと考えています。例えば時給800円だった人が1000円になったとします。この200円の差はその労働者の能力が上がった部分もありますが、実質的には基準値が上がった部分が大きいのです。最低時給がどんどん上がるのはベースアップですよね。そう、大規模金融緩和がもたらしたのは「壮大なる底上げ」であって生産性や成長性を刺激するわけではないのです。

間接的には企業が資金を借りやすくなりますが、良いものが出来て価格が下がるという時代ではありません。むしろ、お金があるのでインフレが生じるのです。これは経済の価値は貨幣量で決まるからです。今まで100円だったものが大規模金融緩和で貨幣量が2倍になれば他の与件が変わらない限り、単純には200円になるのです。

もう一つは今のように金利を引き上げたところで企業や個人の財が突然消えてなくなるわけではないということです。マネーの動きを鈍化させるだけのフロー(資金流動性)のコントロールでしかないのです。つまり、アセット(資産)の部分は大きいままなのです。

するとマネーは常に安全成長できるストック(貯留)できるところを探し求め、また景気が良くなればフローの時代が訪れ、様々な買収劇や直接投資が急増することを繰り返します。とすれば、一度でも大規模金融緩和をすれば底上げ効果でインフレになりやすい体質が生じ、それを元に戻すことはじゃぶじゃぶのマネーの元栓を抜いてどこかに流して消してしまう以外にほぼ不可能なのです。

日本の場合はこれだけ大規模緩和したのに日銀の趣旨に反してマネーのフローは活発化しませんでした。どこに行ったか、といえば企業が貯め込んだのです。それまで銀行から借りていたお金は銀行不信もあってしっかり内部留保させ、投資もなるべく自分の手持ちの範囲で行います。また、北米と違い、給与増額には躊躇をしました。理由は日本の労働者は優秀で我慢強く、仮に辞められても似たようなレベルの労働者が見つかりやすいからです。北米は次がいないので給与で釣り上げるしかないのです。

インフレで金利が上がれば困る業種もあるだろう、という反論はあるでしょう。その典型が不動産事業です。バンクーバーやトロントの街中の建設中の不動産物件は本当に売れているのかと言えば売れ残っているかもしれません。ですが、デベロッパーは困らないのです。理由は売れるまで賃貸で貸せばよいからです。100屬之40−50万円の賃料なら瞬間蒸発するので金利が高い間、賃貸で廻し、再び不動産市況が回復して分譲すればいくらでも稼げるのです。これができるのはデベロッパーの懐も分厚いからだとも言えます。

この論理は一種の雪だるま論理で理にかなっていないところもあり、いつかは崩壊するのかもしれません。が、トリクルダウンではないですが、人の富が全ての人に行きつくには相当の時間がかかります。その間、太る人は太り、やせ細っていた人が少しふっくらするというのが私の見るインフレ恒常化の行く末であります。つまり富の分配は公平な比率で分配すればするほど格差は広がるのです。

例えば給与30万円の人が5%ベースアップすれば1万5千円。給与300万円の人は同じ5%でも15万円なのです。公平に分配していますが、格差は開く一方なのです。自明です。

日本は企業がケチすぎます。投資先を見つけられないだらしない会社はそもそも存在価値がない訳で従業員や株主に内部留保をばら撒くべきでしょう。アメリカの物言う株主のスタンスはそういう観点でもあるのです。底上げを30年間も怠ってきたから経済的にどんどん追い抜かれていくわけですね。やや高めのインフレが恒常化すればするほど、格差もより広がりやすいですが、労働市場を刺激するというプラスの面もあるはずです。なんでも悪いわけじゃないと思います。

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広域強盗事件が起きるのは何故だ?4

社会面で一気に注目を浴びた「東京都狛江市」。ここでも連続強盗事件の一つが発生し、90歳の高齢女性を殺害し、金品を奪った事件は一種の衝撃でありました。その後の捜査で奪われたものは時計3本、指輪1点で全部で60万円相当だったと判明しました。現金の盗難の可能性は低く物品で60万円相当しか奪えなかったのに殺害に及ぶのはそもそも窃盗のプロでもないし、実行側からしてもほとんど無益だったといえるでしょう。

その前に中野で起きた事件で現金3000万円を強奪したことで味をしめたこともあるかもしれません。その裏には多額の現金を持つ高齢者が多いことも事件に拍車をかけているように感じます。

日銀が発表する紙幣流通量は2000年代に入ってからだけで2倍の125兆円(2022年現在)を超えています。物価が目立って上がったわけでもなく、キャッシュレス決済が普及してきたのになぜ、紙幣流通量だけが増えるのか、その理由の一つにやはりタンス預金に目が向きます。

何故高齢者はタンス預金をするのでしょうか?いくつか理由があると思います。銀行預金利息がほとんどつかない、銀行からの引き出し費用など預けると様々な費用がかかる、物価は直近を除けば極端には上がっていない、銀行まで行くのが億劫など身近な生活上の理由はあると思います。しかし、紙幣の印刷は1万円札が圧倒的に多いことを考えるとタンス預金というより相続税対策で多額の現金を持つ人が増えている推測は成り立ちます。ある調査によるとタンス預金の金額は100兆円ぐらいあるのでは、とされます。

タンス預金は相続税を逃れられるか、という点について税のことを書いている出版物や情報サイトでは「逃れられない」とあります。そりゃ、当たり前です。そう書かざるを得ません。また、相続の際には当局はその方の過去の税務申告をチェックし、相続額と税務申告額の推移に疑義がある場合、タンス預金を疑う可能性があるとされます。

ただ、巨額の資産を持っている場合はともかく、小金持ちぐらいならそれを調べぬくのはいくら税務署でもかなり難しいと思います。理由はその人が何にお金を使ってきたかまで調べぬかねばならないからです。税務署もそこまでは時間が割けない訳ですし、彼らには「手柄」制度がありますからやはり大口を狙いたいというのが本音でしょう。これが逆にタンス預金を増やした理由ともいえます。

ところでタンス預金をもらう方(被相続人)も気をつけなくてはいけません。もしももらったお金を銀行口座に預ければ税務署から「お尋ね書」が送られてくるでしょう。「そのお金、どうされたのですか?」と。つまり、普段の収入に見合わない高額のお金が入った人も当然チェックされるということです。

日本は現金社会でキャッシュレス決済に強烈な拒否反応を示す方がかなり多いのが実態です。このブログで10年ぐらい前から時折現金は無くなる社会がやってくると主張したら強烈な批判がバンバン来ました。しかし、残念ながらそれは世代と共に廃れていく運命です。例えば北米では現金は悪なのです。アングラマネーなど不正なマネーというレッテルを張られているので海外からの持ち込みから銀行で現金の預け入れまで厳しくチェックされるのです。

また、今年後半あたりから一部の国で始まるかもしれないデジタル通貨制度は2030年ぐらいまでには多くの国で普及するとみています。特に新興国は政府紙幣の信用度維持、安全性、持ち運びやすさ、アングラ防止、銀行を介さない取引など、その必需性が高いため一気に展開するはずです。そういう中で日銀はいつまでたってもデジタルマネーに本気度を見せない、それが廻りまわって広域強盗やオレオレ詐欺など現金を目的とする強盗が後を絶たないともいえます。

もっと極端な話をすれば銀行に預けても金利がつかないから現金で持つ人が増えることもあるでしょう。そういう点では日本は世界的に見ても実に不思議で特異な社会が育まれているともいえます。そして今回の広域強盗事件もオレオレ詐欺も全部現金目当てと騙しやすい高齢者をターゲットにするという構図が浮かび上がるのです。

一方、犯人側の観点に立ってみるどうでしょうか?人生を棒に振っても痛くもかゆくもないと思う愚か者が増えた点でしょう。その主役の一つが半グレやそれを格好いいと思う社会不適合者であります。半グレが増えた一つの理由は日本でやくざ社会が警察の徹底的な監視と殲滅体制もあり、力が無くなったことがあります。やくざには警察も徹底取り締まりが出来ますが、半グレはやりにくいのです。かつてやくざと半グレの関係は良くない時期もありましたが、今ではある意味、双方が利用し合う関係にあるとされます。

今回の広域強盗事件も指示役に半グレがいて、その上に反社がいるのではないかとされます。馬鹿でもできないし、天才でもできないのが暴力団員です。一般の方のイメージは怖そうなおっさん達ですが、彼らには経済犯や知能犯チームのように黒の仕事をグレーに見せかけて仕事をします。多分、そういう連中が半グレをうまく使っているというのが私の想像です。

半グレは一度足を踏み入れると抜け出せないとされます。仲間内との関係、ヤクザとの関係がずぶずぶなのでしょう。ただ、半グレになる前の若者がなぜ、ぐれるのかという点も教育の観点から考えてみる必要があるでしょう。

世界一平和とされる日本でなぜ、ぐれるのは私見としては社会のルールについて行けないのだと思います。かつては学校の勉強で落ちこぼれる程度でした。今は社会の常識や規範、振る舞い方を「かったるい」と思うのです。そして躓く少年たちを救う仕組みがなく社会の無関心さも影響しているでしょう。皆さん、忙しいから見て見ぬふりをします。はじかれない社会を作ることは教育の最大の課題の一つでしょう。ここまで立ち戻らないと今の広域強盗の問題の本質は見えてこないと思います。

では今日はこのぐらいで

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勝ちぬくスタートアップとは4

「会社を作ります!」という若い方と時々接すると勇ましいな、と思う一方、長く続いてほしいなと願う気持ちもあります。先日のユーチューバーの話ではないですが、世の中のトレンドは猫の目のように変わり、今の流行は明日の廃れです。多くの起業家に共通するのは心に決めた事業の「一本勝負」なのですが、私ならピークは廃れの始まり、と考え、さっさと次のビジネスを考えます。つまり事業も駅伝のようにたすきで繋いでいかねばならない時代だと思うのです。

中小企業庁の情報によると開業と廃業業種の上位は「情報通信業」「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」とあります。情報通信業と言えば聞こえが良いのですが、ウェブサイト制作請負や一人プログラマーのコントラクト(請負)の方も入るでしょう。生活関連は雑貨や自分で制作したモノを売る人も入るでしょう。これらに比較的共通しているのは腕自慢です。

また開業と廃業率が低い業種は「製造業」「運輸業,郵便業」「複合サービス事業」となっています。とりもなおさず参入へのハードルが高い業種で人も資本も技術も要求されることが最大の特徴です。

起業で勝ち残る方法は何ですか、と聞かれたらたった一言で回答できます。それは
「真似されない、同業者が追い付けない、参入しにくい」
です。逆に誰かのビジネスをみて真似して「俺も、私も…」というフォロワー型起業の場合、ブームの時は良いのですが、すぐにピークアウトして結局、一定のマーケットシェアなりを確保した人だけが生き残る仕組みです。80%は振り落とされるのです。だから「2番ではダメ」という意識が出て、それがシェア争いになり、不必要な価格競争に転じたわけです。

他者を振り切る方法はいくつかあります。許認可で参入障壁や制約がある事業、多額の資本がいる事業、圧倒的なビジネスモデルを持っている事業、追いつかれても次の算段ですぐに引き離せるフレキシビリティだろうと思います。「カンブリア宮殿」でマミーマートが経営する「トップス」が紹介されていましたが、赤字になった経営を立て直したきっかけは誰も仕入れない魚介類が店に並ぶことで客をワクワクさせたことでした。

顔の広い人はコネクションがあっていいよね、と言われることがあります。事業の立ち上げでは便利なのですが、事業そのものは特定の顧客との関係はリスキーです。「当社の事業は〇〇株式会社がバックについている」というのはその上下関係の枠組み以外、展開しようがないのです。先方から「申し訳ないが…」と言われる一蓮托生型でよいのでしょうか?自分の足で立つことが大事ではないでしょうか?

そんなこと言ったら起業なんてできないじゃないか、と言われるでしょう。ここがポイントです。インターネットの時代は世界中がマーケットだと考えます。これが人を惑わせるのではないか、と思うのです。楽天市場が出来た時、今までは近所の商店街のちっぽけな店が突然日本全国展開したような感じになります。その頃はそれでよかったのです。

今は私は違うと思うのです。もっと狭いエリアでよいのでしっかり事業の基盤を作る、これの方が重要だと思うのです。そして絶対的ファン層を確保する、その人たちにアンバサダーになってもらうのです。「広く薄く」から「狭く濃く」です。これが私が長年、起業者マインドをもって事業をしていて感じる変化なのです。

顧客を大多数の一人として扱っていないでしょうか?なぜ、カスタマイズできないのでしょうか?「私はあなたのことを見ています、知っています、だからこんな商品を考えました」というアプローチは顧客を喜ばせるでしょう。AIが普及してきていますが、それでも一般的にはネット販売は待ちのビジネスです。そうではなく、顧客に合わせて攻めるビジネスはオンラインショッピングだけではやりにくいと感じます。

常に逆手を取る、これが成功する起業家にみられるスタンスです。書籍やユーチューブで「成功する起業方法は」というのはよくあると思いますが、それは表面的なごく一般論であり、それを真似してもなかなか勝てません。

最後、もう一つ加えるとすれば創業者の資質です。別に賢くなくてはいけないなどとは言いません。ただ、起業とは全方位のノウハウが必要です。ラーメン店一軒開店するにもうまいラーメンを作る技量だけではなく、何処に、どの規模で、から始まり、従業員や顧客との接点、リピーターになってもらえる方法、さらには店の名前を覚えてもらう工夫や仕入れのやり方もあるし、当然、経理作業もあるのです。そんなの俺にはできない、といって他人にぶん投げていたらダメなのです。自分でやる癖をつける、そしてできない部分を一時的に専門家に手伝ってもらうぐらいの頑張りは必要だと思います。

これから零細企業災難の時代に入ります。大きく淘汰されていくでしょう。人件費を上げる余力がある会社が伸びますから「給与は上げられない、申し訳ない」では人は去っていく、そんな淘汰が始まります。かなり熾烈な戦国時代に突入するでしょう。安売り競争に勤しんでいたところは冬の時代となるでしょう。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

ひろのバトル大作戦4

2週間ほど前に「ここが嫌だよ、バンクーバー」をお届けしました。その際に予告した「ひろのバトル大作戦」を今日はご紹介しましょう。ここで言う「バトル」とは普通では想定しないようなことで、もしかしたら見過ごしていたかもしれないような話もあります。海外では性悪説で生きよ、と言いますが、私は性悪説どころか、全ての事実は確認が必要だ、ぐらいに思っています。

ではご紹介しましょう。

1 固定資産評価額の怪
数週間ほど間に送られてきた固定資産評価通知書。弊社で所有するマリーナの評価額を何気で見ていたら海の部分は8%程度の上昇で妥当な範囲だったのですが、建物(施設)が昨年比45%も上昇しています。このマリーナの施設は2000年に建設以来、大掛かりな改修はありません。おかしいと思い、固定資産評価の詳細が分かる情報ソースにウェブでアクセスすると物件の写真はマリーナに面した他人が所有するレストランの写真。そして評価コメントに2つの建物施設あり、と書いてあります。このマリーナには30屬隆浜棟兼事務所が1棟あるだけです。

クレームするとすぐに担当者から返事があり、「確かに写真は間違えた。だが、資産評定の対象物は間違っていないと反論。その上で、お宅には管理棟以外に100屬了務所棟もあると」。すぐわかりました。100屬了務所は実はバージ(はしけ)の上に乗せた船上事務所で固定資産税の対象外なのです。それを地上物に設置した固定資産だと勘違いして計算したのです。これを説明して先方は全部非を認めました。気をつけていないと何が起きるかわからない、典型例です。

2 払いたくない修理代金を巡るバトル
昨年夏、マリーナの汚水排水ポンプのホースに穴が開きました。めったにない修理なのでマネージャーは何か所か電話をしてすぐに来てくれる業者を見つけました。替えのホースはあるので業者にホースを付け替えてもらうだけです。その業者は出張費が25000円相当のカナダドル、修理が時間当たり25000円相当だがよいかと確認を求められたので高いけれど渋々了解し、業者はそのポンプを自分の施設に持ち帰りました。3日後、修理され、元通りに設置され、ひと段落です。

それから数週間後に目の玉が飛び出る請求書がきます。マネージャーはせいぜい10万円ぐらいだろうと思っていたら35万円です。うちのマネージャーは短気なので業者を責めます。挙句の果てにこの修理は同業他社でやれば15万円が最大だ、との第三者からのお墨付きをもらい相手に押し込みます。「15万円を払うことで決着した」と私に連絡をしてきたので「ご苦労様」といってすぐにその業者の気が変わらぬうちにと思い、支払いをします。

12月に州政府が運営する問題仲裁機関を通じて一種の訴状が来ます。「差額を払え」と。マネージャーに「今度は俺が戦うから情報を全部よこせ」と言って問題点を整理、相手方を調べ、戦略を考えながら仲裁機関に返答します。しばらくして調停員による聞き取りが行われます。電話越しに小一時間、主張点を漏れなく伝えます。その後、一気に交渉を展開し、数日後、あと10万円相当を払うことで折衷しました。相手の非はウェブサイトに「見積もりをしてから作業します」と明記しているのにそれを怠った点です。一方、作業費は各社が決めることで高い安いは当然あり、たまたま高い会社に当たってしまったという点が妥協せざるを得なかった点です。

3 送金されなかった輸出代金の支払い
私は日本の書籍のカナダでの卸と小売り販売もしていますのでその輸入代金を毎月、日本に支払っています。送金は一定額を超えるので私が銀行の窓口に行って処理しなくてはいけません。1月の初め、いつものように窓口に行くと初めて見る若い白人女性。慣れた手捌きでいつものように書類にサインを求められ、にっこり笑って「またねー」で終わりました。日本の銀行には送金の旨、連絡をします。(いま、日本側で一定額以上の海外送金の受け入れは面倒な手続きがあります。)ところが翌日、日本の銀行から「送金がなかった」と。

銀行口座をネットバンキングで確認すると口座から送金したはずの資金が引かれていません。とすれば送金が実行されなかったことで間違いありません。朝9時過ぎにクレームの電話をするとコールセンターが対応し、支店の担当者から必ず連絡をさせますと。が、電話はかかってきません。午後の2時ごろ、口座を再びネットバンキングで確認すると資金が引かれています、が、金額が指定額より多いのです。「そんなバナナ?」と思わず叫んでしまい、銀行に走ります。

こういう場合は受付で「マネージャーと話したいのだが」と申し出ます。マネージャーがポケットに手を突っ込んで「送金の件でなにか?」と歩み寄ります。昨日署名済みの送金依頼書のコピーを見せ、事情を説明します。ことの重大さが分かったのか、マネージャー氏は「おおっ!」と態度が変わり調べ始めます。30分待たせた後「これは起こりえない間違い。そもそも顧客の指定する金額と違う金額が送金される仕組みはあり得ないのでもう少し時間がかかるからわかり次第、事務所に電話する」と。

1時間後、銀行は送金指定額と銀行が実際に間違って送金した差額、及び海外送金手数料全額を私どもに全額補填、振込みし、詫びました。「なぜこれが起きた?」と聞いても「まだ調査中です」と。銀行は事情が判明し、100%銀行側に非があると分かったのでしょう。それで極めて早い損失の全額補填をしたのです。海外送金の場合、一度送金すると銀行でも戻せないので、間違ったら「はい、それまでよ」なのです。同僚から「補填してもらって得したんじゃない?」と言われましたが、そういう問題ではないでしょう。ちなみにこの銀行はカナダで最も大きなR銀行バンクーバー本店です。

このようなバトルは実はごく一部で大なり小なり毎日、何か起きています。海外で仕事をする場合、日本では考えられない事態は年中起きるのですが、最近、とみに増えてきたと思います。昨日、顧問弁護士と駄話をしていた際、「若い人の仕事の能力が異様に下がっているし、直ぐに辞める」と嘆いていました。それらのしわ寄せはベテランに来るのだと。全くその通りです。

もう一つは世の中の仕組みがあまりにも複雑になり、専門家ですらキャッチアップ出来ない事態が生じているのです。そうなれば新人さんにとっては余計に難しく、自己判断できる範疇も制限され、仕事は楽しくなくなります。かといって自営で何かやるにはもっとハードルが高くなった、それが現実です。

私はリタイアをするにはまだ早いのですが、ふと思ったのは「こりゃ、死ぬまで面倒見続けなくてはいけないのではないか」です。それだけならまだいいですが、そのうち、「すみませんが、あの世でも相談役として見てもらえませんか?」と笑い話にもならない時代がやってくる気すらしています。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

岸田首相の国会での必死の防戦、それは「異次元の少子化対策」の中身がさっぱりわからないことです。三本柱なるものはありますが、金銭面など外枠の支援策が主体で構造的変換を図るわけではありません。とすれば異次元でも何でもない訳です。再三指摘するように少子化は社会現象であり、お金をくれたから子供を作るわけではないのです。仮にそれで子供が出来たらお金目的出産で育児放棄続出という違う社会問題が発生しかねません。本末転倒です。本当に子供が欲しくなるように仕向けなくては意味がないと思います。

では今週のつぶやきをお送りします。

見えた!アメリカの利上げシナリオ
今週、カナダが0.25%の利上げをした際に「これで利上げを一時停止する」としました。中銀総裁の説明は「やることをやったのでその効果がどう出るか確認したい」というものです。利上げと物価下落にはタイムラグが生じるため、数か月後にその効果が出るとすれば利上げをやり過ぎる弊害との背中合わせだともいえるのです。また同じ大陸であるアメリカとカナダは似たような経済の動きをしますので前回に引き続き今回もアメリカがカナダをフォローするのは99%間違いないとみています。

本日アメリカで発表されたPCE(個人消費支出)は総合が前年比5.0%と前月の5.5%から下落、コアも4.4%と前月の4.7%から確実に下落を確認しました。データ的にもFRBが利上げに強気になる理由はほぼなく、むしろ2月1日記者会見の注目点は先行きをどう見るかにかかっています。個人的には3月はカナダが利上げしないスタンスを明白にしていますのでFEDもそれに追随し、あっても春までにあと一度あるかないかだと予想しています。

それを見透かすように株価は堅調に推移し、NYは連騰、東京市場も過熱感が高まっています。懸念された景気後退が軽微なものに留まるのかがポイント。決算シーズンでもあるのでその内容を見定めながら少しずつマネーが市場に回帰しそうです。テック株の買い戻しはかなり強気でそれが他の業種にも波及しているような状況です。また月曜日には中国が春節明けになりますが、中国関連株は今年の経済成長が反動で大きくなることから昨秋から既に4−5割上昇していますが、もう一段の上昇が見込まれる状況です。

男性不信を強くさせた三浦氏詐欺問題
三浦瑠璃氏のご主人、三浦清志氏の10億円詐欺問題は思わぬところに影響が出るかもしれません。それは「だから男はダメなんだよね。これじゃ、やっぱり結婚なんてできないわ!」。三浦清志氏はバイオだけ見れば東大から外務省、マッキンゼーと泣くも黙る素晴らしいキャリアです。ただ、私からみれば外務省は腰掛けで履歴に書ける実績はゼロ。マッキンゼーは7年ぐらいいたと思いますが、大前研一さんが怒るだろうな、と思います。

なぜこうなったか、勝手な想像ですが、在学中に結婚した嫁との比較論の中で自分をぶち上げたかったのではないでしょうか?つまり、男からみる嫉妬的な見解をすれば「俺、超一流の道を歩んでいるんだぜ。ビジネスでもぶち上げて当たり前でしょ」という心理です。そこで嫁が美人の才女で「国際政治学者」を名乗られれば「お前、三浦瑠璃が嫁なんだって」になり、男の沽券にかかわるわけです。「三浦瑠璃が主役ではない、三浦清志は稼いでいるんだ」と言いたいのです。

男の私から言わせれば男なんてそれぐらい幼稚なところがあるのです。妙に突っ張ってみたり、負けず嫌いであったりするのです。特に嫁が有名人だと当然張り合う気持ちは出てきます。これはデキる女性からすると恐ろしいことで、「私が苦労して築いたこの地位も変な男に捕まえられて足を引っ張られる」になりかねないのです。そういえば私のカナダ人顧客に40代美人富豪独身女性がいます。彼女いわく「変な男が私の財産を目当てにそばに寄ってくるから男には気をつけている」と。男性受難の時代でしょうかね?

決着がつくまでやめないのか、ウクライナ戦争
レオパルト2供出を渋々了承したドイツ、そしてそれに呼応するようにアメリカ、英国が戦車提供を決定しました。併せて各国は戦車の使い方という名目の戦術と軍事訓練を行います。それらが戦場にでて動き出すのは4月以降ではないかと思います。一方、ロシアは猛烈に反発し、春先のロシアの大攻勢作戦を早めて展開するかもしれません。戦車供出が正しい判断だったのか、私にはYESとは申し上げられません。もちろん個人の考えですので皆様がどう考えようとそれは自由です。

ゼレンスキー氏の評価点とは全く変わらぬ精神力、同じ論調そして半そでシャツ姿でぶれないことです。日本の方にはわかりにくいと思うのですが、警官など正義と戦う人たちは往々にして自分を強そうに見せるために寒くても半袖でタイトなシャツを着ることで筋肉を強調し、強さの見せかけをします。しかし、これはK1でもプロレスでもないのです。やればやるほどとてつもない損失を国家に与えるのです。日本が焦土になって復興するのに10数年かかりましたが、ゼロからだったので復興が早かったのです。ウクライナのようにがれきの山、使えなくなった建物は後始末に非常に苦労するのです。

西側諸国はウクライナに代理戦争をさせているようにも見えます。かつてアメリカがイラク戦争に関与した際、後ろで囁かれたのは「防衛機器刷新のために兵器を使うことも必要だ」と。これではまるで後年、ビジネスのための戦争だったとも糾弾されかねません。本質的には主要国が外交的手段で解決策を探るのが重要。だけど、バイデン氏は自らの功績を上げるために間違った選択をした気がします。関連国はこの戦争を止めさせることにもっとエネルギーを費やすべきだと私は強く主張します。

後記
私にも「死のロード」があり、毎年12月半ばから1月終わりまでは全てのエネルギーを使い果たすほどの定常業務のボリュームがあり、クリスマスも正月もまるで関係がない受験生と同じ生活です。どうにか今年もそれを切り抜けてゴールが見えてきました。大体この時期は買い物に行く時間がなく、家にあるものを漁るのですが、ついに昨日、賞味期限が半年ほど過ぎていた半生うどんを食べ尽くしたところです。まぁ、コメはあるので工夫をしてあと一週間乗り切ればパラダイスです。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

トヨタの社長が変わる!4

トヨタが豊田章男氏の社長退任、会長就任と佐藤恒治氏の社長就任を発表しました。佐藤氏の手腕は全く存じ上げませんのでコメントできませんが、報道を見る限り、良い決断だと思います。

私が最も高く評価したのは豊田氏が66歳とまだ社長に君臨できる年齢であるにもかかわらず、会長に退く決断を下したこと、次期社長に副社長からではなく、53歳の執行役員、レクサス部門のトップを抜擢した点です。トヨタにおけるトップブランドの経営実績でしょう。豊田氏が社長に就任した年齢と同じ53歳と大幅な若返りを図ったことは着目されます。

なぜ、豊田氏は年齢にこだわったのか、最大の理由は自動車業界が大変革を起こしている最中であり、これから2035年ぐらいまでの12年間で業界図は様変わりすることが想定できるからです。その変革期に於いては持ち合わせている過度なノウハウに囚われやすい人よりもまだ新しいことを吸収し、革新的な変化に立ち向かえるチャレンジ精神がある人が望まれたということかと思います。

人材層の厚さで定評があるトヨタが佐藤氏を抜擢したということは豊田氏はずっと以前から本命の一人として、帝王学を伝授していたのでしょう。

この若返り英断は多くの日本企業に強烈な刺激を与えると思います。特に上場大手企業の場合、人材の層が厚すぎることで年功序列的な忖度が働くこともあります。そのしがらみを断ち切ることが重要です。また、53歳でトップに上がるということは当然30代、40代からその芽があり、会社がそれを大事に育ててきた社風と仕組みがあるものと察します。多くの企業では30−40代は実務畑の渦に巻き込まれ、課長クラスが10年後20年後の経営者育成要員とまでははなかなかいきません。また硬直化した人事システムを採用している企業もあり、年齢的に責任あるポジションにつけない制約がある企業もあります。そこは豊田氏の引っこ抜き的な創業者系企業ならではの人事であるとも言えます。

ではこれから12年間の戦いの火ぶたを切る(佐藤氏が12年間社長をやる意ではありません。トヨタは2035年にレクサスの全EV化を発表済みで、世界各地のEV導入計画もその頃の目標時期が多くなっています)においてどのような経営戦略が予想されるでしょうか?

個人的にはEVへのシフトは不可避だとみています。但し、以前から何度も指摘しているようにEVという車を作ればよいだけではありません。最大のポイントは消費者への啓蒙、次いでインフラ整備です。戦略的には社会的インフルエンサーにまず、EVに乗っていただく、そして、徐々にすそ野を広げていくということだろうと思います。

一方、軽自動車など小型車のEV化は実用面で日本には適しています。地方で日常の足として使うような場合、自宅で簡単に充電でき、普段使いとしての潜在需要は極めて高いとみています。特に地方でもへき地になるとガソリンスタンドがないという問題が今後、確実に生じてきますが、電気なら家で充電できる点でむしろ、インフラの逆転現象が起こりうるとみています。

個人的にはEV専用のプラットフォーム開発に踏み込むでしょうし、場合によってはEVと内燃機関の会社を分社化するぐらいのチャレンジもアリだと思います。分社化が有利だと考えるのは車屋さんに特有の「こだわり」が全社規模の「右向け右」という指令に納得できず、統率感が出せないからです。特に創業家の豊田氏のようにカリスマ性がある場合は別ですが、佐藤氏の場合は「あの若造が…」と陰で言われることも当然起きるでしょう。よってEV推奨派が別会社としてやったほうがよりまとまりが出るのです。そして内燃機関と競わせたらよいのです。

私はこの変革期の行方はまだわからないとみています。EVでも今のスタイルではまだダメでもう少し乗り手を安心させる仕組みが必要です。例えば極寒の場合どうなるのか、遠出してそこでチャージャーがすぐに見つかるのか、あるいは待たずにチャージできるのか、などいろいろあります。私なら日本の旅館が駐車場にチャージャーを整備すべきだと思うのです。そうすれば朝には充電完了ですよね。あるいは完全に充電が無くなった時の予備バッテリーという発想もありでしょう。簡単なアイディアなんですがなかなか誰も思いつかないし、やらないですね。

佐藤氏の手腕に期待しましょう。そして豊田氏は会長として自社や自動車業界を引き続き引っ張るだけではなく、日本経済のリーダーとして活躍して頂きたいものです。

では今日はこのぐらいで。

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国民にとっての政治とは?4

春節の前日、1月21日に当地で新民主党という政党の集まりがあり、参加しました。会場は日系センター。つまり我々日本人や日系人が普段集まる大ホールです。当日「おしくら饅頭」になるほどのひと、ひと、ひと。新民主党は連邦では有力野党の一つで州では与党です。今回は党首自らが音頭を取ります。

何人かの大臣や秘書の方々、コミュニティのリーダーたちと挨拶をしながら会場をぐるっと一周しましたが、数百人いるその会場で日本人はほとんど見かけることはできませんでした。つまり日本人は誰も呼ばれてもいないし、誰も興味もないのです。

当地の政党の集まりの基本パタンは連邦レベル、州レベル、市町村レベルで議員たちがグループで動きます。今回も連邦議員は2人でしたが、州の議員が6−7人、市の議員はほぼ全員が出席し、大臣や市長が紹介がてら各議員に一言ずつ挨拶させます。これが驚きで、ほぼすべての議員が中国語で新年おめでとうとあいさつしたのです。もちろん、参加している皆さんは大喜び、中にはかなり流暢に中国語で挨拶する議員もいて、やんやの喝采です。

韓国系コミュニティーからはベトナム戦争に兵役した90歳代のベテラン(退役軍人)がずらっと最前席に並び、紹介されたら日本語で返されました。インドネシアのコミュニティは70人規模の人を送り込んだと自慢されました。もちろん、春節が日本人のお祝いではないので参加していないのは当たり前と言えばそれまでですが、当地では日本や西欧で言う1月1日の正月と同じぐらい、春節を皆で祝う雰囲気が年々盛り上がってきています。その意味では日本人は関係ない、というスタンスではうまくないのです。

日本の政治と当地の政治、何が違うのだろうと考えると議員の市民への寄り添い方が非常に近い気がします。私は大臣とは時々ご一緒しますが、秘書を連れて歩くということはしません。もちろん、黒塗りの車が待っているわけでもありません。極端な話、「そこまで行くなら乗せて行って」ぐらいの感覚です。有権者に選ばれた代表者にとって有権者が一番大事なのは当たり前です。ビジネスで言うなら顧客なのですから。

日本の場合、選挙の時は一生懸命手を振ってくれますが、当選すると遠い人になってしまいます。地元に戻ってくる時も後援会の人たちががっちり押さえてしまい、一般の有権者が気安く話をできる雰囲気はありません。もちろん、先般の事件のようなこともありますのでみだりに一般の方との接点を持つのは危険だという考え方は理解できます。しかし、それでも当選したとたんに「センセイ」となり、クルマが付き、秘書がつくのです。まるで別世界。

こうなると有権者はまるでアイドルのコンサートに行くぐらいの感覚で遠くで応援する形になります。

以前、私は日本には士農工商は無くなったけれど「士」と「農工商」には見えない壁があると意見したことがあります。「士」は役人と政治家それぞれあるのですが、政治家に絞ってみると有権者は「あなたにお任せしたのであとはよろしく」的なところがあり、途中で意見することも討論することも原則ありません。

おまけに議員は「私としては皆さまの声を反映したいと思いますが、党としての考えもありますので…」という政党政治の殻から抜けられないのです。それならいっそうのこと、〇〇党にふさわしい人を選挙で選ぶという位置づけの方がより妥当にすら見えてしまうのです。選挙の時に候補者の公約なんて聞いてもしょうがないという気にすらなるのです。

もちろん、カナダにしろアメリカにしろ政党の枠組みはしっかりしていますが、アメリカなどは必ずしも政党の枠で縛り切れないケースもあるわけでそこは有権者の意思をしっかり行動で示しているとも言えます。

もう一つ、当地は市町村レベルでは政党で押し込まず、市議がそれぞれの議案についてそれぞれの意見を出す仕組みです。それはより地元に寄り添った政治をしているともいえるのでしょう。当地の政治を見ていると有権者と議員の距離はとても近いと思います。それ故に有権者が政治により真剣になり、参加型になるとも言えるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで

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強化したい情報戦4

現代社会では情報戦を制する者が世界を制するとしても過言ではないでしょう。かつてはヒューミントと称するスパイの暗躍が映画などの題材で使われることもあり、情報活動には独特のイメージが付きまといます。現在はネットを駆使したものが増え、極めて高度、かつ、厄介なレベルになってきています。

ウクライナ問題では表面的な戦争とは別に水面下でおびただしい情報戦が錯綜してます。それは当事者であるロシアとウクライナのみならず、周辺関係国やアメリカを含むNATOなどもその情報分析に多大なるエネルギーを費やしています。その情報の読み取り方一つで戦略はまるで変わってきます。

ドイツが世界最強の戦車とされるレオパルトのウクライナへの提供について煮え切らない態度を取り続けていることに厳しい世論の批判があります。レオパルトは欧州各国を中心に相当数が配備されていますが、ドイツ製故に第三国に提供するにはドイツの承認がいる、という条件が付いているのです。各国はドイツに対してその承認をするように圧力をかけているのですが、首を縦に振らないのです。最新のBBCニュースでは提供したい国があるならそれを拒まないという姿勢に緩和したようなのでウクライナに提供される公算はあります。

ではドイツは何故、それほど拒むのか、単に煮え切らないなどという簡単な理由ではないはずです。ドイツなりの分析があり、我々の知らぬ世界の事情が存在するのだとみています。それはドイツが張り巡らしている情報網の分析に基づくもので公開されることも我々が知ることもありません。

もちろん、ドイツは第二次世界大戦の反省から武器を供与し、間接的な戦争関与に国家として踏み込みにくいという側面はあります。特にヒトラーを強く批判し、戦前のドイツはドイツではないというぐらいのスタンスを取る以上、その立場は尊重すべきでしょう。ロシアとの経済や外交上の結びつきについても当然ながら一定の考察があるものと思慮します。

場面は変わって台湾。日経に11月の地方選の際の現地の状況を報じた記事があります。その中で中国本土から有利な情報を選挙戦の最中に無数に拡散され、嘘だとわかっていてもその膨大な偽情報に結局、有権者は判断が揺れたのではないか、という内容です。これが私が以前から指摘している中国のやり方なのです。ドンパチよりも、人のマインドを変えるのです。これも一種の情報戦であります。来年1月の総統選はその情報戦は熾烈なものになるはずですが、民進党を支援する西側諸国はそこを支援するチカラが弱いのです。理由は言語と文化と社会に精通していないからです。

昔のヒューミントのスパイはある特定の目的を達成するために能力の高いスパイが暗躍して情報を盗み出すぐらいのことは出来ました。現代の戦いは民衆そのものを変えるという規模です。つまり世界の情報戦は圧倒したレベルにあるということです。

日本ではスパイという言葉に極めて強い拒否反応が出ます。それゆえ外国のスパイは日本の情報を盗み放題だし、アメリカなど諸外国から日本が入手した極秘情報が日本から第三国に抜けていて大変な騒ぎになったこともあるのです。故に、例えばファイブアイズは政治的には日本に「参加しないか」とお誘いをするのですが、実務レベルでは「日本を仲間に入れると漏れるから嫌だ」とされているのです。

また、日本にいるスパイを取り締まる方法もありません。よくロシアのスパイが話題になりますが、捕まるのは情報漏洩した日本側の人間だけでその情報をゲットした当のロシアのスパイはほぼ確実に離日し、捕まることはなかなかありません。

では日本は戦後、スパイ防止について無策だったのかと言えばそんなことはなかったのですが、非常にスローな動きでありました。情報活動をする警察、防衛、外務、公安調査庁(法務省)がバラバラに動いていたのをどうにかして内閣情報調査室が集約しようとし、機能化させたのは安倍政権時代になってからであります。この情報には国内と海外が分かれており、海外情報を組織的に得ようとしているのは外務、警察、防衛です。公調はそもそもがオウムや右翼など国内主流のため、海外は弱いのが実情です。

お互いがバラバラで情報を秘匿し合うことも長く続き、各情報機関が抱える「おらが情報」になっていたわけです。それを打破しようとした一つの例が「国際テロ情報収集ユニット」、略称CTU-Jという組織で2015年に生まれています。あまり知られていないと思いますが、形の上では外務省の中にあるユニットでそこに警察、防衛、公安などが入る一つの情報組織が存在し、約半数のスタッフが海外に駐在しているのです。と言っても3桁に届かない数です。ちなみに外務省はこの組織形成の際に警察との激しい権力争いで負けた経緯があり、「外務省の恨みはものすごかった」という「迷言」すらあります。

ユニットの器は外務省内にありますが、実際には警察が実務を主導し、その実質支配は内閣情報調査室にあります。このユニットの成否については懐疑的見方もあるようですが、個人的には海外に情報収集を目的とした人材を日本から外に出すようになったのは注目に値します。多くはアジア、中東、アフリカといった地域での情報収集を行っているようですが、彼らの動きを一般のニュースで知ることはまずないと思います。

今後は一般に公開すべき内容ではありませんが、偽造パスポートなど身分を伏せた本当の潜入調査ができるようになるかどうかでしょう。公にはやりにくいのですが、映画で時々見るようにその手口は古典的でもあり、今でも極めて有効な情報収集手段であることは確かです。ただ、プロのスパイを養成したうえでの活動が最前提になるとは思います。

今日のお題はえぇっと思われる内容もあるかもしれません。が、残念ながら、世界はそんなきれいごとばかりではないという事実もまた、存在するのであります。

では今日はこのぐらいで

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失われたパナソニックの30年4

今週号の日経ビジネスの特集がパナソニックです。過去、何度か同社の特集を組んできた日経ビジネス誌ですが、今回はあまりしっくりこなかったのです。なぜ、このタイミングで、数ある日本企業の中から再びパナソニックの特集を打ったのだろうと。

こういうと関係者の方にはお叱りを受けるかもしれませんが、楠見雄規氏が社長になってから1年半を超えてきています。若干の業績改善は見られるのですが、おおっ!という改善にはつながっていません。同誌によると8つの事業会社に大幅権限委譲し、持ち株会社のような体制を作り、責任の明白化を図ることを一つの柱としました。

このやり方はワークする場合とワークしない場合があります。それぞれの事業部隊の目的や目標ははっきりします。またリーダーたちの個性は活かせる一方、企業が縦割りになりやすい弊害があります。近年の経営では企業が持てるさまざまなアイディアやノウハウを各部署から寄せ集めてかつてない新たな切り口で勝負するのが主流となりつつある中で事業部制は狭い枠組みとなる障壁を作りかねないのです。

パナソニックそもそもの歴史は日本企業の苦悩を全て代弁しているようなところがあり、企業研究の課題としては確かに注目するに値します。同社は90年代の売り上げが6兆円台に対し、2022年の売り上げは8兆円少々、この30数年間、6兆円から9兆円の間を行ったり来たりでいわゆる右肩上がりの成長性とはほぼ無縁です。また営業利益で見ると1984年の最高益5700億円台に対して22年は3500億円台で、今だ40年近く前の利益を更新できないのです。

ある意味、これほど成長しない会社も珍しいのです。ではなぜ、同社はいまでも存在しうるのでしょうか?これは私の見解ですが、昔の名前のまま出ている総合家電会社はパナソニックしかないのです。故に「まぁ、安心か」で購入する顧客が多いのだと思います。テレビ一つとってもソニーも東芝もシャープもブランドはあるけれど違う会社で作っています。だけどパナソニックは変わらないのです。変わらない故の存在価値と言ったら怒られますが、でも最終的にはそんな状態なのです。

日経ビジネスに一部家電について「指定価格」制度を取り入れていると報じています。つまり、定価であって値引きを一切しない制度です。記事ではこの効果があり、利益率が改善していると報じられています。私は申し訳ないですが、これは失敗するとみています。理由はいくつかあります。

定価制度で思い浮かべるのが書籍の定価。これは再販売価格維持制度というのがあり、定価でしか販売できない仕組みです。書店の役割は出版社に代わり、販売代行をしてもらうだけで売れ残れば返品できるので書店のリスクはありませんが、儲けのうまみはほとんどないという事業形態です。パナソニックの指定価格も全く同じで売れ残れば同社が引き取ってくれるのです。これ、家電量販店にとっておいしい話でしょうか?同社の製品を売るモチベーションはありますか?それこそ、パナソニックオンラインストアで販売すればいいだけの話になるのです。

もう一つは定価販売にすると商品の価値を売り手が一方的に決定し、消費者にその選択権がないのです。つまり非常に良い製品が出れば「パナはいいよね」になりますが、他社と変わらないなら「値引きがある〇〇社の商品を買う」という消費行動になるのです。あるいは賞味期限を過ぎた製品の価値の減価はどう対応するのでしょうか?

この方式はパナはずっと消費者の期待値より高いものを売り続けなくてはいけないのです。新製品のヒットが6-7割の打者にならねばならないのです。今時、ヒットする新製品など千三つとまでは言わないまでも100出して数品目程度です。これではワークしない、これが私の直観です。

ではパナは再生の道がないのでしょうか?私はパナの家電部門は売却してよいのではないかと思うのです。確かに同社の5割の売り上げがある同部門を売却するのは驚愕の判断だと思うのですが、パナでないとダメな商品ってない気がするのです。売却が叶わないなら株式の一部を誰かに持ってもらい、違うブラッドを入れた方がよいと思います。つまり、パナソニックの純血主義が面白みに欠けるのではないでしょうか?

私はその売却資金でもって電池なり、ブルーヨンダーを介したBtoBに特化した方がよいと思うのです。私はGE(ジェネラルエレクトリック)の株主なので同社の動きを見ながら世の中のトレンドを探っていますが、コンスーマープロダクツは正直、競争が激しすぎ、中国のように巨大な消費者層をバックに抱える市場がないと厳しいのです。なぜなら数を出してなんぼ、だからです。

東芝は会社分割が否定されました。GEは今のところ成功しています。先日、GEの分割プランで第一弾のGEヘルスケアが上場、私にも一定株数の配分がありましたが、同社の株価は新値更新を続けています。来年早々にはエネルギー部門の分割もあり、その際もまた株式分配があります。そしてGE本体の株価も着実に上がっており、企業価値は改善の方向にあります。

パナソニックの弱点はコアビジネスがない、それゆえに何の会社だかわからない、これが私の答えです。その思想の背景は関西人独特の「掴んだら放さないがめつさ」を見たのかもしれません。もう少し言葉を選べば「ウェットすぎる」と言ったらよいでしょうか?

ただ、表題にある通り、パナソニックの失われた30年は日本の失われた30年の代表的事例であり、このようなビジネスをしているところは未だに無数、存在します。「先祖代々の…」「創業者の…」「今は苦しいけれどそのうちに…」という発想です。

先述のGEは創業者のトーマス エジソンの白熱電球を祖とする電気製品の事業すら売却しました。日本はそれを一斉に「GE帝国の崩壊」と報じたのですが、私は「Reborn(生まれ変わり)」だろうと思っているのです。日本はなんでも否定的に捉える一方、北米はポジティブに捉えるのです。この辺りの発想の違いもまたパナソニックが迷える子羊である理由かもしれません。

では今日はこのぐらいで

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領土支配とは何だろう?4

ロシアがウクライナと停戦に合意する条件はウクライナ4州を併合完全支配だと予想しています。一般的な国際世論やメディアのトーンは「力による一方的な現状変更は許されるべきではない」であります。それは至極当たり前ですが、プーチン氏はバカではないのでこれだけのリスクを冒したのはプーチン氏の言い分、理由、背景が存在します。激しく反応するゼレンスキー氏が徹底抗戦を叫ぶのはある意味、戦国時代の陣取り合戦と同じような背景を見て取っています。

領土とは何でしょうか?だれがどうやったら支配するのでしょうか?そのあたりを少し掘り下げてみたいと思います。

北方領土の歴史の話を少ししましょう。江戸時代、北海道は道南地方のごく一部を松前藩が押さえましたが江戸幕府の生命線であるコメの生産が北海道では当時できず、漁業のみに頼ります。それらが高く売れたことで「コメが出来ない松前藩では白い飯が食える」とされました。故に松前藩は海だけがビジネス上の要地であり、内陸部には一切興味を示しません。また松前藩は北海道の蝦夷人(いわゆるアイヌ)と和人の接点を禁じました。故に北海道はずっと未開拓で蝦夷人とは一線を画し、かつ、言葉も違うためにコミュニケーションすら取れなかったのです。

当時、北海道東部においては釧路の東約50キロのところにある厚岸町や根室が最良の港でそこを起点として千島列島の足掛かりとなっていました。蝦夷人が漁業を営む目的もあったし、松前藩や幕府が北方開拓の拠点にもしていました。ただ、千島列島は極めて広範であり、かつ、活動できる期間が年のうち数カ月しかない流氷と厳寒の地であり、蝦夷人ですらさほど多くが千島の島々に居住していたわけではありません。

その頃、ロシアはクロテンなど毛皮貿易が欧州諸国と活発でシベリア開拓を進めます。その開拓はより東に向かい、カムチャッカ半島に到達、そこでラッコを見つけます。この皮が高価で取引されたため、ラッコの狩猟で千島を南下したのが原型です。その際にロシアの探検隊は千島をカムチャッカから南に下がる形で探索し、一部のロシア側歴史書では北海道を含めた島々をクリルとして認識していたようです。

その後、ロシア探検隊はそれらの地を少しずつロシアの領土だと主張します。認識方法は島に標識を立て、所有権を主張をし、モスクワでそれを領土として認知する大陸的領土占有の手法を取ります。北海道はそれを和人が強く拒否したため、争いに至っていません。

詳細は端折りますが、日本は当時、大陸的領土支配のルールからするとそれを示すことができなかったのです。徳川鎖国により国際ルールが適用されなかったのが最大の理由。そして国際情勢にも疎かったのです。その後、1855年に日露修好条約でいわゆる北方4島までを日本とすることで合意し、20年後の1875年には千島樺太交換条約で樺太をロシアが、カムチャッカ半島のすぐ南から連なる千島列島全部を日本がとることになり、千島については終戦時までその構図は変わりませんでした。

その点からすればなぜ、日本が4島にこだわるのか、なぜ、全部ではないのか、という点は不明瞭と言えば不明瞭なのです。私には遠慮としか思えないのです。当時日本が敗戦国としての不平等感がなければ千島全島における主権を前提にしたサンフランシスコ条約もありえたわけで歴史は変わったかもしれません。

では日本の領土の占有の思想ですが、大陸的な実質的支配より歴史や民族的結びつきにその由来を求める傾向がある気がします。つまり現状のチカラの支配ではないのです。中国の華夷思想もある意味、日本的な思想で冊封を含めた影響力をその思想根源とします。だから彼らにとって台湾は自国であり、朝鮮半島も沖縄も彼らの思想からすればそうなります。ただ、現代社会では大陸的な支配論理が領土としての位置づけであり、朝鮮半島や沖縄を中国のものだと主張するのは不可能です。

とすれば例えば尖閣諸島には日本がさっさと明白なる構築物を作り、人が常駐する事実を作り上げるのが現代的です。中国が尖閣を監視しているのはその事実を構築させない邪魔をしているのでしょう。竹島に於いては韓国が構築物を作り、人が常駐しているのはそれが現代社会の領土領有の基礎だからです。北方領土でロシアが開発を進め、首相などがその地に入り込むのもその事実づくりなのです。今の日本の姿勢では1000年経っても北方四島は戻ってこないのです。

領土占有については国際法上の規定はともかく、思想的に日本と大陸では違います。ロシアの今回の蛮行を正当化するつもりは微塵もありませんが、プーチン氏のロジックはここにあると考えます。親ロシア派住民が多く住み、そもそもは一体だった国土がウクライナに領有されているのはおかしいのだと。だからそれを取り返すのだ、ロシアこそ聖戦なのだと。

よってこの戦争で第三次世界大戦になると予想した向きはズレているのです。ロシアはそんな興味は毛頭ないはずです。また、中国が台湾を取り込むにあたり私は一貫して「仮にあるとすれば『ドンパチ』ではなく、無血で行われるだろう」と予想するのは華夷思想は力による支配を前提としていないと考えているからです。

非常に奥深いイシューだと思います。数多くの考え方があるはずですが、私の思想の背景はこういう点に着目しているので皆さんとシェアさせて頂きました。

では今日はこのぐらいで

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ではまた明日、お会いしましょう。

読解力、ありますか?4

このブログのコメント欄を拝見していて時々思うことがあるのはコメントの主張と私の主張がずれていることです。私が「Aではないかと考える」と述べているのに「ブログ主はBだと考えているようだが…」といったものもあります。コメント欄を拝見していて「あれー?」と思うわけですが、私は皆さんのご主張にとやかく上からかぶせることはあまりしたくないので何も申し上げません。他の方が気がついているのだろうという期待をしております。

ではなぜ、読み取れないのか、いくつか理由があると思います。私のブログが以前と比べて文章が長くなったこと、平易な言い回しをしているつもりですが、わかりにくい表現も多々あるのでしょう。これは書き手である私の問題です。

一方、読み手もどれだけ一字一句をしっかり読んでいるのかといえば極端な話、タイトルだけみたとか流し読みのうえでのコメントもあるように見受けられます。そうなるとコメントとは別の自己主張に近いものになります。長い文章の場合、読み飛ばしは当然起こります。これが誤解の種であることも多いと思います。

ユーチューブを見ていると比較的「聞き飛ばし」は少ない気がします。理由は画像と耳の両方からのインプットで、印象付けが強いからだと思います。一方、文章だけですと目のチカラだけですから、文脈を読み取る能力が求められます。これが全般的に落ちているのはほぼ確実だと思います。

なぜ、読めないのか、専門家にも聞いてみたいのですが、私の実感としては集中力が維持できないのだと思います。特に若い方は結論を急ぐ傾向が非常に強くなりました。いわゆるまとめサイトで3行ぐらいでポイントをまとめたものが多くなりました。確かに事実を瞬時に知るにはとても便利なのですが、知らぬ間に読解力が落ちて行っているのです。

ヤフーニュースなどニュースサイトに掲載されているものは二極化していて、フルサイズのニュースや寄稿、コラムがあると思えば、数行のリードの部分だけ掲載されているものもあります。つまりそこに並んでいるニュースや情報のリストやクオリティ、深さ、長さ、専門性はことごとくバラバラで読み手のことをほとんど考えていません。ニュースをアップする提供者側の立場に立ったプログラムです。だから私はあまり読まなくなったのです。

皆さんのコメント欄を拝見していると司馬遼太郎を読んだという方が多いようです。私も読み込んでいます。長編を中心にだいぶ読み進んでいますが、まだまだゴールは遠いです。では、氏の一冊4−500ページの文庫を読むのにどれぐらい時間がかかるでしょうか?私は6-7時間かかります。一般の小説の5割増しぐらいの時間です。しかし、それは難解だから突っかかっているのではなく、語間に見える奥深さにエネルギーを吸い取られるのです。なので読破した後は軽い疲れすら感じるのです。

山崎豊子の作品も司馬遼太郎ほどではないにせよ読破するのに比較的時間がかかります。理由はお二人とも取材能力に長けており、持ち合わせている知識量が深く「文章が濃い」のです。にもかかわらず、当時の文章(昭和40−50年代)を当時の人は普通に読解する能力を持っていたのではないかと思うのです。この高密度の文章を読み込むには相当の読解力が必要なのです。

岸田首相が正月休みの読み物をどっさり買い込んだという報道があり、その中に「カラマーゾフの兄弟」が入っていました。本気で読むつもりなのか、あの濃密な文章を知らないで購入したのかわかりませんが、首相のような多忙な方が読める小説ではありません。

読解力を養うには集中力が必要です。ところが1時間集中して読むと相当疲れるものです。カラマーゾフなんて1時間で50ページしか進みません。それが全部で1800ページですから単純計算で36時間かかるのです。こういう重い作品は今の人は嫌います。

宮部みゆきとか東野圭吾、今野敏の作品はすーっと読めるでしょう。一気読みも可能だと思います。これは映画を見るのと同じテンポを維持できて、文章がするする頭に入ってくるような軽快さと密度の薄さがポイントなのです。

つまり同じ400ページの本でも密度の濃い書籍なら4−5時間でも読めないし、軽いものなら3時間でクリアするのです。多分、もっと早く読む方もいらっしゃると思いますが、早ければよいものではありません。作品の背景や主張をしっかり受け止めてこそ本当の読解力になるのです。

もう一つ、読解力をつけるにはアウトプットをすることです。読後に一言感想をつけておくのは大変有効です。グーグルドックに「ブックス」というところがあり、「マイライブラリー」という項があります。私は読んだ後、ここに登録しており、その際、2−3行の簡単な読後コメントを入れています。

もう一つはノンフィクション作品の場合、読みながら気になるところは本の角を折っていくのです。ペンを入れたり、付箋をつけるのもアリですが、本はどこででも読める気安さがポイント、それに対してペンや付箋を探していたら読書のテンポを一旦止めなくてはいけません。それはしたくないのでどんどん折り目をつけていくのです。するとあとで「あれ、何処に書いてあったかな?」と思い返しても直ぐに引っ張り出せるのです。

そして二度読み、三度読みはそれ以上に読解力をつけます。これは驚くべき効果があります。1年経って同じ本を読んだら「あれー、こんなこと書いてあったかね?」と思うほど字間が見えてきます。

落ちた読解力は読む癖をつけること、集中すること、読み流さないこと、アウトプットすることで養えると思います。圧倒する読書量なんて今時、流行らないかもしれませんが、将来「本、読めるんですね、すごいです」と言われる時代が来るような気がします。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

コロナを春ごろから5類に移行すると報じられています。海外に住む私には直接的には関係ない話ではありますが、想像するに5類になってもマスクを取るのは恐る恐る、という感じで案外、ずっとマスクの人も残る気がします。ここカナダでもアジア系のスーパーに行くとマスクをした方は割と目立ちます。欧米の人に比べアジア人は敏感に感じます。最後は自己判断で基礎疾患や健康的懸念があると思う人はマスクを続けた方がいいのかもしれません。ただ、精神衛生的な面ではもう少し研究も必要でしょう。マスクがない生活は当たり前だけどすがすがしいですよ。

では今週のつぶやきをお送りします。

アメリカのハイテク株は底打ちか?
今週、マイクロソフトとグーグルの親会社、アルファベットが従業員削減策を発表しました。これでハイテク大手のリストラはアップルを除き、ほぼ全部出そろったわけで数週間後の10−12月決算を待つばかりとなりました。業績悪化はある程度織り込んでおり、その対策が前倒しで発表されているので株価の下値はそれほど深くないように見えます。そうかといってこれからグイグイ株価が上伸するとも思えませんが、とりあえずは安堵できる状態になりつつあるように感じます。

一方、銀行、金融はもう少し様子を見たいところです。先般ゴールドマンサックスが大規模な人員削減を発表しキャピタルワンも人員削減をしました。人員削減をしなくてもドイツ銀行のようにボーナスの削減などを含めた対策はしばらく出そうです。理由は新規貸し付けやM&Aが激減しているからです。私は雇用のリバランス化という見方をしてますが、ハイテクのエンジニアや金融のマネーマンをリバランスすると言っても何処でもよいという訳にもいかず、案外難しい話のようにも見えます。

もう一つ、FTXの倒産以降、すっかり影を潜めていた暗号資産ですが、以前からビットコインは16000砲△燭蠅底だと申し上げていました。それは採掘コストが12000膨度なのでそれ以上は下げにくいからです。事実この2週間で確実に上昇し、現在22000紡罎脳緇坤丱ぅ▲垢魄飮しています。FTX絡みで連鎖倒産が今でも出ていますが、これも暗号資産を社会が受け入れるための試練であり、ビットコインとイーサリアムはその根幹をなすインフラなので、消滅するとか、暴落して紙くずになることは考えにくいのです。人々の意識は着実に変わるはずでそれまで待てる人がこの投資では勝ち組になるでしょう。

「坂の上の雲の上」、日本の物価考
12月の物価が41年ぶり4.0%上昇と報じられています。欧米の物価上昇が打ち止め感が出ているのに対して世界の流れにまだまだ遅行しています。これは時々指摘しているように企業物価が2桁上昇しているのにそれを我慢し続けてきたツケであります。いつかは乗り越えられると思っていたけれど我慢の限界が来た、というわけです。日本の場合、ここからの癖が非常に悪いのです。それは「みんなで上げれば怖くない」で今後、どんどん追随者が出てくる点です。

例えば東電が電気料金値上げを申請し、家庭用で3割上げるとしています。これなどは物価指数にもろに出てくるわけで日本の物価は当面上昇続きになりそうです。更にそれを側面支援するのが企業の賃金上昇でユニクロが賃金の40%引き上げを発表したのはインパクトがありました。これも追随者が出るはずで多くの上場企業は企業イメージ向上を含め、ベア復活あるいは大幅賃金上昇が春闘を通じて実現されるでしょう。

そうなると消費がブーストし、引き続き外国からの観光客も下支えし、企業業績は良好となり、更に物価は上がりやすくなります。驚いたのはJR九州の「ななつ星in九州」の雲仙コースがお一人115-240万円と高額にもかかわらず1-2月分は完売しているとの報道です。数年前まで「安いことはいいことだ」だった日本は明らかに変わりつつあります。というより昔から多くの人は普通にがっつり消費していただけの話でメディアが所得的に厳しい方々にアンバランスなほど焦点を当てたからで認識の歪みが起きたというのが私の見方です。今は「坂の上の雲から抜けつつある」ということではないかと思います。

ユーチューバーに迫る影
「お父さんはユーチューバー」(浜口倫太郎著)を読むと小説ながらユーチューバーに飛びつく気持ち、のめり込み、どんどん過激になっていく様子が目に浮かびます。この書は2020年7月に出ているのでまだユーチューバーがイケイケの時だったわけですが、今、これを読むと冷めた目で違う印象になるのが不思議です。そのユーチューバー事務所の代表格がUUUM社。HIKAKINが最高顧問を務めることもありますが、上場後はしばらく話題で株価も6000円を超えていましたが、現在は700円絡みで上場来安値水準です。

ユーチューバーの稼ぎが何分の一というレベルで下落し、苦戦している人が多いと報じたデイリー新潮の内容は私ならば子供たちに読ませたいです。かつては小学生がなりたい職業の三本指に入るほどでその理由は、と聞けば「楽しいことして稼げるから」でした。楽しく稼ぐことは大賛成ですが、ビジネスモデルは今や5年ぐらいでどんどん変わっていくのです。つまり小学生の皆さんが大学生になるころにはそのビジネスは本当にオワコンだということです。

これはユーチューバーがオワコンというよりどんなビジネスでも非常に足が速くなり、栄枯盛衰でビジネスの勝者は目まぐるしく変わるということです。個人的想像ではあと数年でメタバースを利用した一般向けビジネスが何らかの形で花咲くでしょう。すると「おまえ、まだユーチューバーとかやってんの?古いな」となるわけです。それを言われると私なんか「お前、ブロガーやっているんだって。もう死蔵ものだな」と指摘を受けそうですが。「稼がないブロガー」なのでお許しください。

後記
大手設計事務所の役員氏と立ち話。建築部材が中国から入らないし業者の工事の見積もりは当初の5割増しは当たり前、それでも新規の開発案件は無尽蔵にあると。私が進める物件でも見積もりしてから1カ月後にあと1割上乗せしないと工事をやらないという無謀なケースもあります。飲まざるを得ないのですが、幸いにして今のところ私は予算の枠内。ですが、一般にはこの無謀なほどの工事費は最終的消費者に付け回されます。6-7年後のカナダの住宅は今より5割増しでもおかしくないです。日本は買い負けの価格上昇圧力が必ず来るでしょう。

では今日はこのぐらいで

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ストレスフルな社会とどう向き合えばよいのだろう?4

ニュージーランドのアーダーン首相が辞任を表明しました。しかも2月7日までに辞任と。与党の労働党は急いで党首選を準備し、公式発表からわずか3日後の22日に選挙をするそうです。ずいぶん性急な話だと思います。私はニュージーランドの与党候補者のことは存じ上げませんが、普通、3日後に党首選があると言われたらいくら何でも候補者の心の準備も立候補の検討余地も、そして支援する側の体制を決める余裕すらありません。私だったらそんなに急いで党首選をせず、首相代理を立てて一時をしのぎ、一月後ぐらいに党首選をやるべきだと思います。

さて、この突然の投げ出し辞任とも思われる展開はアーダーン氏が抱えたストレスのように見えます。一直線で低下する支持率は33%と低迷、コロナ対策やコロナデモ、更には51人も亡くなったモスク銃撃事件などが42歳と若い子育て中の首相には心労となったようです。

この心労、案外最近、よく聞かれるようになった気がします。れいわ新選組の水道橋博士参議院議員がうつ病で議員辞職すると発表したのはつい最近です。私の取引先担当者もごく最近、長期休暇となり、お休みするのでご迷惑をかけると連絡がありました。私の日本のクライアントもひどいうつで1年ぐらい頑張ったのですが、相当苦戦しているようで、今回本格療養に入ると連絡が来ました。

何がそこまでストレスフルなのでしょうか?

個人的にはSNSによる情報過多がそうさせる気がします。ご承知の通り、私はこのブログを2007年から本格的に書き始めています。15年間、一度も休まずです。その間、おびただしい数のコメントを皆さんから頂戴していますが、初期の頃、割と心無いコメント、それも1行にも満たないような内容に心を痛めたものです。が、途中で考えを切り替えたのです。「そうか、誹謗中傷に近いコメントを書く方はボキャブラリー不足か表現力が稚拙なのだろう。きっと普通に面と向かえばそんなことを言えないはず」と思い返したのです。つまり、SNSという短いやり取り故に起きる「事故」なのだと。

そう思い始めると悪口を書く人にがぜん会ってみたい気がしてきて、そのうち感情的反応が一切なくなってしまったのです。乗り越えた、ということでしょうか?なので、私は今でも本文に対して「反論ウェルカムです!」の姿勢です。なぜなら自由討論でいろいろな意見を聞きたいのだから好きなように書いて頂くのがこのブログのモットーだからです。但し、誹謗中傷と下品な内容はダメ、一言ではなく理由を述べよと。そしてコメンテーターにも異論を受け入れる気持ちを持って頂くことが大事です。このルールを守れば誰でもウェルカムなのです。

私が北米で学んだ最大の収穫の一つが「答えは一つではない」です。いくらでも思いつく回答案の中から自分にとっての最適解を出すというアプローチは私自身のメンタルを異様に強くしたと思います。

渡辺淳一氏が「鈍感力」という作品でスマッシュヒットを飛ばしました。私はあの読後感はあまりよくなくて、鈍感力が良いというより私は研ぎ澄まされた感性の中で相手を受け入れる包容力こそうまく生き延びるコツではないかと思うのです。私は鈍感、つまり「にぶ男(鈍い男)」ではありません。悪い癖なのですが、相手が反論をして来たら「あぁ、なるほど、その手を使ったのね」という自分の手持ちの答えのリストと照らし合わせて納得してしまい、驚きもしないし、痛くも痒くもないのです。完全に想定外の場合のみ「目からうろこ」なのです。そんなケースは正直、あまりないです。

社長業をしていると判断する際に様々な意見が出てきます。その中で会議をすれば声のでかい奴、口の上手い奴、プレゼンが上手な奴が要領よく人の気を引き、勝者になりやすいのです。私が大の会議嫌いである理由は判断する際にその余計なバイアスが邪魔なのです。だからある決め事をする場合、「意見徴集期間」に様々な外野の声をフラットに聞き、自分でも調べ、考え、最後、決める時は一晩寝てから決める、です。案外すっきりします。なぜなら自分で納得した解だからです。

問題は自己否定です。これは辛いですね。ケースバイケースなので答えを一義的には申し上げられないですが、自己否定されたら普通、殻に籠りますよね。そうではなくて「それならいい。自分は自分の道を歩む」で遊牧民のように新たな仲間を見つけるぐらいの切り替えが一つのヒントになるのではないでしょうか?

上述のアーダーン首相が「もう1年だけでなく、もう1期(首相を務めるため)の準備をする方法を見つけようとしたが、できなかった」(日経)とあります。これは相手とガチンコ勝負するための手法を考えようとするからできないのです。首相が何にストレスを溜めてるのか個別案件がわかりませんが、政治にまい進したいなら子供を夫に1年預けるぐらいのアイディアも必要だし、個別の政治案件でとん挫するなら新たな切り口を出せばいいのです。

その点、岸田首相はストレスに強いのです。首相は今度は子供対策に全力を挙げると。支持率の観点から360度包囲網でとにかく何でも全部手を付けるのです。中途半端なものも多いけれど自分で目線を変えてストレスから逃れているのですね。確信犯かどうかわかりませんが、ある意味、上手な生き方だと思います。

ストレスなんてまっとうに受けるものではなく、かわし方が全てだと思います。

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「大本営」、日本銀行4

大本営、日本銀行の統帥権は黒田東彦総裁にあり。

昨日開催された日銀の定例金融政策決定会合は会合出席者全員一致で大規模金融緩和策の維持を決めたとあります。全員一致、というのが大本営と言わしめた理由です。今回のように外圧(外国からのマネー)が長期国債を売る動きに対して日銀が毎日数兆円規模の国債を購入しながら防戦をしているのは戦争末期の総力戦を想起します。なぜ、会合で喧々諤々の議論にならなかったのでしょうか?日銀の政策委員は誰一人、他の案を持たず、統帥権者の黒田総裁にイエスマンだったのでしょうか?

実は今回の日銀の政策決定会合は始まる前からおかしな雰囲気がありました。金融機関関係者がほぼ一致した意見で「政策変更はない」と予想していたからです。私は北米でアメリカやカナダの政策決定の行方を毎回、見続けているわけですが、会合では様々な議論が出てその中で最適解を発表します。のちに公表される議事録の内容も様々な意見が出ていることはよくわかります。

今回の政策会合の注目度は極めて高く、その行方には高い関心が寄せられていました。各紙ともYCC(イールドカーブコントロール)の拡大や更なる緩和ケース、あるいは現状維持の場合の株価や為替動向のシナリオがずらり並んでいました。そのシナリオケースのうち、現状維持の場合、円は大きく買われ、銀行株は売られ、それ以外の株は買われるとありました。

結果をみると銀行株は水曜日の発表時に5%程度急落したもののその後、急速な買い戻しとなり、前日比で少しだけ下落した程度に留まりました。為替は発表直後にそれまでの128円前半からだったものが一気に131円台半ばまで円安になります。1時間でほぼ3円の動きです。ところが、ここから円高に振れてきており、本稿を書いているNY時間昼頃で128円台前半とすっかり元に戻ってしまっているのです。

つまり専門紙が予想した値動きすら外れているのですが、この理由は市場が今回の大規模緩和政策維持が不自然、かつ持続不可能だと判断しているように見えるのです。疑惑や不正があったという意味ではなく、初めから答えありきで会合そのものが形骸化していたように感じるのです。その理由は前日、火曜日の東京株式市場が大きくリバウンドして上昇しているのです。普通、これだけ注目された日銀の会合を前に株価が跳ねるということはないのです。そして金融機関がほぼ異口同音に「現状維持」を予想していました。

黒田総裁が異次元の緩和に踏み込んだ2013年頃に巷で囁かれたことがあります。「緩和は簡単、だが、それを元に戻すのは至難の業」と。黒田総裁はそれにとどまらず、世界的にもまれなテクニカルな手法を次々と編み出し、「緩和の方法はいくらでもある」と豪語し、事実、その深みにはまっていきます。

昨年12月にいよいよ緩和維持に整合性が取れないとみたのか、YCCの幅を0.50%に拡大しますが、これが非難ごうごうであったのです。特に金融機関からの激しいクレームがあったものと推測しております。「黒田ステルス戦闘機」は許せないと。当然ながら日銀は金融機関との対話を求められます。私はその対話の結果が今回の金融機関の事前予想、政策決定会合での全員一致を生んだのではないかと思います。つまり出来レースです。

今回の政策の決定ではまた新たなテクニックが披露されています。その名も「共通担保資金供給オペ」。何語かさっぱりわからないですが、要は国債の買い支えを日銀だけが行うのではなく、金融機関にも協力してもらうために日銀が低利で金融機関に貸し、それで国債を買い支えよ、というものです。これでは金融機関に徴兵制度を強いているようなものでしょう。まさに赤紙です。ただ、強制力がないし、金融機関も先は読みます。「どうせ、黒田さんは3月会合が最後。日本のインフレもまだ上がりそうなバイアスだから国債価格が下落する可能性があるなら今、大本営にお付き合いすると損をするかもしれないな」と。

一方、日銀からすればこんな施策を政策決定会合で突然決めれば再び金融機関から大ブーイングです。よって多分、日銀が下地作りと根回しを金融機関に事前にした、そのために金融機関は「この根回しは政策変更をしない前提だ!」と読み込んだのではないでしょうか?

日銀人事案は2月に国会に提示される見込みです。3月19日に二人の副総裁の任期が切れ、4月8日に黒田総裁の任期が切れます。日銀を含めた世界の中央銀行はフォワードガイダンスといって金融政策の先行きや方向性をある程度示唆します。現在の人事案では誰が総裁になりそうか予想し難く、日銀のスタンスを見通すフォワードガイダンスがなく、再び直前にサプライズとなりやしないかと心配しています。

この辺りはいつみても日本的でしっくりこないというのが私の正直な心境であります。

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台湾武力侵攻は本当にあり得るのか?4

時折メディアなどで目にするこの話題、そして安倍元首相のその危機感をうけて議論となった防衛費の増額は岸田首相がするっと実行しつつあります。台湾の話なのになぜか日本の防衛の話にすり替わっているのは台湾を中国が武力による侵攻をすればその際に火の粉が飛んでくるという点とアメリカが台湾の現在の地位を維持するために中国の武力介入を許さない意思を見せ、それには日本の協力は不可欠であるというストーリーが作り上げられているものと察します。

ではこのストーリーは誰が作ったのでしょうか?直接的きっかけは2021年にアメリカのインド太平洋軍のフィリップ デビッドソン前司令官の「2027年までに侵攻がある」という証言が直接的な理由かと思います。(この論拠はアメリカ議会では否定的だったと記憶しています。)

1997年に香港が英国から中国に移管される直前に香港で爆発的移民ブームが起きました。背景は「誰も中国を信じていない」「一夜にして変わる政策」でありました。その陰に隠れて目立ちませんでしたが、台湾でもその当時、移民ブームは起きていました。よって当地、バンクーバーにも台湾系の移民は大挙して押し寄せているわけです。「一夜にして変わる政策」は直近ではコロナ対策の180度転換が好例だと思います。

近年では中国が香港を取り込んだ際、「次は台湾」と言われていました。よって台湾人の危機感は昨日、今日に始まったわけではなく、対策の一環として時間をかけて海外移住が進んでいるわけです。私が確認したやや古い2016年の台湾の統計では海外移住者は191万人となっています。現在では200万人は優に超えていると思います。その過半数はアメリカ、カナダへの移住です。台湾人口が2300万人程度ですので人口の1割弱が既に海外に出ている計算になります。日本の人口が1億2500万人で海外移住者が140万人程度と比率にして1%強ですので人口分布の違いがお分かりいただけると思います。

その点では中国脅威論が昨日今日に始まった話ではないことにまず着目すべきです。

次いで、台湾が中国との関係をどう思っているのかですが、日本やアメリカがいう懸念と温度差があるように感じるのです。日米は自国の事情で台湾を護ると言っているように聞こえなくもないのです。それは中国が侵攻したら日本にも物理的被害が及ぶ、太平洋の第一列島線が破られ軍事的脅威が起きる、更には主たる貿易相手としての経済的影響を懸念するものです。当然ながら「力による現状変更」もあります。

これらの声を上げている多くの専門家は軍事評論家と称する人たちです。つまり軍事という一側面からの評論です。これをベースに日本政府も様々な動きをしているわけです。

では、台湾が比較的平和裏に中国と統一するシナリオの可能性を研究した記事はありましたでしょうか?私はまだ拝見しておりません。確かに習近平氏は3期目の就任にあたり台湾統一は悲願であり「必要なあらゆる手段を取る選択肢を保持する」と述べています。が、それは手段の一つであり、すわ武力侵攻というシナリオにはならないはずです。

私がやや斜に構えている理由は次の2つの観点です。1つは台湾国内政治において中国とそこまで対立する勢いが見えないこと、2つ目は台湾と中国の経済的結びつきはより強固になっている点です。

ご承知の通り昨年11月の台湾地方選挙で中国と距離を置く民進党が大敗、祭英文総統の支持率は急落で蔡氏は民進党党首を辞任し、頼氏が党首になっています。その頼氏はそもそも台湾独立思想を持っているとされますが、現時点では封印しています。11月の選挙で歯車が狂った民進党内部統制もいまだ十分ではないとされます。この状態で果たして24年1月に民進党が政権を維持できるのか、といえば現時点では疑問符がつきます。

地方選挙と総統選は関係ないとされます。2018年の地方選での国民党の圧勝と2020年の総統選での民進党の勝利のケースもあります。ただ、今回は単純に国内政治の問題に限らず中国との外交問題と台湾の将来という観点が議論の中心になるように見えます。

総統選は接戦も予想されます。どちらから選出されるにせよ、私はこの時こそ中国が一気に交渉を仕掛けてくるとみているのです。選挙は24年1月。ですが、実際に新政権がスタートするのは5月なのです。この時間的ブランクが肝だとみています。現職の祭英文氏も新総統も動きが取れない4か月間こそ中国が新政権、それが仮に国民党であれば抱き込み工作をするだろうと予想しています。

台湾人は武力による対立を望んでいるとは思えません。理由は経済的結びつきです。2022年1−6月の台湾による中国本土への投資額は前年比19%増の18億法B耋僂ら見る投資先としては中国本土が全体の3割を占めています。中国との対立感やリスクをみるなら対中投資はもっと減らなくてはいけませんが、実際には伸びているのです。TSMCが熊本に半導体工場を建設するのはいかにも台湾リスクの回避にも見えますが、私はそうではなくて日米が半導体不足のリスク回避を行いたかったのではないかと思っています。

経済面だけを見るとアメリカが中国に対して先端技術の締め付け継続により、有事の際に半導体の安定供給が出来なくなるリスクを考慮し、投資先を分散させているわけです。

これらを考え合わせると個人的には武力衝突がおきるシナリオは現時点では私には描けないのです。台湾は中国と切っても切れない関係があるし、なるようにしかならないと思うのです。台湾の人もそれはある程度覚悟のうえで上手に生き伸びる手段を取っているのではないでしょうか?

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自動車業界の悩ましい問題4

自動車の話題になるとコメント欄がいつもの2倍に膨れ上がります。皆さんの熱い思いが書き綴られていていてこれぞ参加型ブログの真髄という気もします。

先日、自分の自動車のブレーキの具合を見てもらいに点検に出した際、店主と延々と駄話をしました。その時、ボソッと一言。「内燃機関の自動車ならブレーキシューが減ることもあるけれど電気自動車だと回生ブレーキがあるからブレーキシューが減ることはまずないだろうね。ブレーキの修理なんて今後、なくなっちゃうんだよ」と。

EVの特徴に回生ブレーキというのがあり、下り坂やアクセルを外した時にこの回生ブレーキが利き、しかもエネルギーが蓄積されます。ある実験で富士スバルラインの5合目頂上からテスラとリーフの回生エネルギーがどれぐらい貯まるかというのがありました。富士スバルラインは5合目から下まで約30キロの標高差約1500mの下りのみでこう配も比較的安定した道のりです。実験結果はリーフが53%から68%になったのに対し、テスラは34%から40%になっています。但し、実験に使ったリーフのバッテリー容量が30kWhに対してテスラは100kWhだそうですので計算上、リーフは30kWh X 15% = 4.5kWh、テスラは100kWh x 6% = 6kWhエネルギーを獲得したことになります。(実際は諸条件があるのでこの計算通りにはなりません。)

さて、自動車修理会社の社長の彼は「自動車修理のビジネスはもう廃れる一方だよ」と数年も前から危惧しています。今時、メカニックになりたいという若者も少なく人手不足も祟っていると嘆いています。

そんな彼が面白いことを言っていました。テスラが事故った場合、テスラの認定工場で修理をしないとダメだというのです。最近の一部のクルマはこのような要件がついています。私の乗るGTRもそれが条件でそれを破るとワランティが無くなると言われたのですが、もう古いので友人の修理工場で見てもらっています。

しかし、テスラの場合、認定工場で修理しないとテスラ社が同車両をシステム上、リセットしないというのです。つまり繋がるクルマは監視されているということです。程度の問題もあると思いますが、別のところで直したらテスラがテスラではなくなるという話です。いつか、独禁法に引っかかるような気もします。かつてのマイクロソフトのインターネットブラウザーの抱き合わせ販売問題と同じですよね。

これがどこまで事実なのか、テスラ社のポリシーの話なので詳しい方に伺ってみたいと思います。

しかし、です。近い将来、EVに自動運転機能が付いたコンピューターの塊のような物体が道路を走ることを想像してみてください。皆さんのご家庭の家電製品や電気製品、テレビや録画機、パソコンが壊れたら修理に出しますか?修理代が高すぎて取り換えた方が安いというケースが多々あると思います。

クルマもコンピューターだらけの精密製品です。内燃機関の自動車の修理はパーツごとに車の仕組みを理解し、それを直す技能を持つ自動車修理工が活躍したのです。ですが、コンピューターの塊はブラックボックスの電子機器で街の自動車修理工場では対応できません。とすれば将来クルマはぶつけたら廃車になるのでしょうか?

以前、自動運転の車が出来たら自動車保険業界はなくなるのではないかと騒がれましたが、もしかすると真逆で全損となる確率が上がり、保険レートが上昇するという皮肉が起きることがあるかもしれません。

くだんの自動車修理工場社長が下り坂のビジネスだと嘆いているのですが、特殊技能の持ち主ということで実際には今後、何十年に渡り仕事がどんどん増えていく可能性があるとみています。つまり、自動車修理会社が人材不足で淘汰される中、一定の修理の需要を賄うにはオーナー兼メカニックの技能を持った修理工場への需要は圧倒的に高まり、一般論の真逆が起きるのです。

私は衰退産業の代表的格の一つである書籍の卸、小売り販売をカナダでやっていますが、なぜ、年々成長できているかと言えば今からこの分野に新規参入する業者がいないからです。つまりブルーオーシャンは新しい事業だけではなく、衰退産業と思われた業種をうまく取り込むこともまた別の意味の勝者なのです。

自動車については過渡期にあると思います。EVが普及するかどうかはクルマ単体の問題だけではなく社会のインフラなどがどこまでついて行くか、これが肝だと思います。個人的にはEVは否定しません。内燃燃料の最大のネックはガソリンスタンドが減っているという事実です。EVは近距離対応だと言われていますが、そのうち、あの村にあったガソリンスタンドがなくなったらしい、となれば一体どこで給油したらよいかわからないということも起こり得ます。

この過渡期は我々消費者の綱引きが産業の行方を決めていくのだと思います。自動車産業の話をするのにEVや内燃機関の良し悪しの話だけをしても意味がありません。若者がその業種に興味を持たない限りその業界を支える人がいないでしょう。部品の供給がなければ修理も出来ません。チャージングステーションにしろ、ガススタンドにしろ十分なサービスインフラがあるでしょうか?非常にグローバルな議論だと思うのです。

私は昨年約3000万円を投じて10年先でも対応できるEV施設群を導入しました。それでも車の行方について結論はいまだ分からないと考えています。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

ウクライナ経済の未来4

ウクライナの話題は戦況が主流ですが、いつかは終わるであろう戦争後のウクライナの再建と経済自律の道のりについて考えてみたいと思います。

ウクライナ経済に未来がどれぐらいあるのか、と聞かれた時、情報が非常に限定される中で思うことは再建には数十年から半世紀ぐらいのスパンを要するかもしれないと考えています。いや、再建できれば良いのですが、荒廃の地として長く放置される可能性すらあるとみています。

そもそも戦争前のウクライナ経済はどうだったのか、といえばボロボロ、これが実態です。主たる産業は鉄鋼業と農業。ところが鉄鋼業は景気に左右されやすく、それが国内景気に大きく跳ね返る状況でした。コロナ禍においてはついにIMFがSDR(特別引き出し権)を認め、2021年に27億砲鯑世萄通格嶌僂鬚ろうじて行えたという綱渡り状態です。

GDPの推移をみると91年に独立後、悪化を辿り、1994年にはマイナス23%に落ち込み、その後回復基調を辿りますが、リーマンショックの2009年にマイナス15%、2014年-15年も2年連続マイナス10%程度を記録する状況です。2022年はマイナス35%は確実視されますが、実態はそんなものではないと思います。個人的にはマイナス50%を超えても不思議ではないとみています。

戦争前の貿易相手国は輸出入ともに中国が14-5%でトップ、次いでポーランドやドイツが上がりますが、ロシアとも輸出が6%、輸入が8%(2020年度)となっています。当然、現在はロシアとの貿易がないどころか、他国向けでも輸出できるものは一部の穀物など極めて限定されている状況かと思います。

外貨準備は現時点で欧米の支援が効いており、戦争前より多い280億砲曚匹△蝓⇒入財購入の3.5か月分が確保されています。ただ、あくまでも欧米支援ベースの外貨準備であり、かつ、固定相場制で外貨流出を食い止めていることもあり、金融システムは安定しています。取り付け騒ぎもありません。

2023年の国家予算は380億砲任海了餠眥潅に関しては中央銀行は今のところ、紙幣大増刷のような行為はしないで乗り切ると計画されています。その点ではかろうじて平静を保っているとも言えます。

ではなぜ、私がそこまで悲観的なのか、といえば人口減少なのです。そもそもウクライナは戦争前から人口減少が顕著で専門家の間では注目されていました。91年の独立時の人口は5146万人でしたがわずか29年後の2020年には4373万人と15%以上減っているのです。その多くは頭脳流出とされ、優秀な人ほど外に出たとされます。そんな中で今回、戦争により女性と子供が1000万人以上海外に避難しています。(成人男性は祖国防衛のため、国外に出られません。)

ではここから推察します。戦争が終わった時、人口がどう流れるでしょうか?一般には戦争難民は戦争が終われば本国に帰ると考えられています。私はそれは甘いのではないかと思います。日本が戦争をしていた際、戦士は日本に帰還しました。戦争を他国でやる場合、戦争が終われば本国に帰るのは当たり前です。母国に帰ることもありますが、それ以上に家族のもとに戻るのです。

しかしウクライナの場合、家族が本国に帰るのか、これがわからないのです。仮に一時的に戻ったとしても長期的には私は定着しないと考えています。理由は彼らには土着文化はなく、遊牧性があるため、生きる術を見つけるには他の地で逞しく生きるという選択肢に何の躊躇もないからです。ここは日本人のメンタリティと違います。故に戦争前の30年足らずで人口が15%も減っているのです。

これが私の見るウクライナ経済の悲観論です。

戦争の責任はロシアにあり、その復興費はロシアが出せ、というのは交渉上の話です。仮にどんな約束が締結され、ロシアが何らかの責任を持つことになったとしてもそれが国家を復興させることとはリンクしません。むしろ、復興をロシア人が代行せざるを得なくなり、実質的にウクライナにおけるロシア人の人口増を引き起こす可能性すらあると思っています。

祖国防衛とは何でしょうか?ユーラシア大陸の歴史は散々でした。特にチンギスハンの時代のモンゴル帝国の勃興と初期ロシアの関係をみると国家とはこれほど不確定不確実なものなのか、と驚くばかりです。彼らはその血を継いでいます。そして混血化が進み、結局祖先は誰だかさっぱりわからないけれど思想や支配という考え方の根本は数百年前と何ら変わっていないのです。

それを近代の思想で解決しようとするから非常にわかりにくくなる、これが私が傍で見た歴史観です。岸田首相がゼレンスキー氏からウクライナ招聘を受けたとのことですが、日本的発想を持つ岸田首相がゼレンスキー氏の意図することが理解できるとすれば岸田氏は博士並みの理解力を持つということです。それぐらい我々には不可解な世界なのです。

戦前、平沼騏一郎という首相がいました。政府は日独伊三国同盟の強化を目指す中、ノモンハンで日本はソ連に敗れるという状況でした。そんな中、1939年に独ソ不可侵条約が締結されます。日本の味方のドイツと敵のソ連が不可侵条約です。「欧州情勢は複雑怪奇」という名言(いや迷言)を残して総理を辞任するという事件がありました。この複雑怪奇という意味こそ、いまのウクライナにぴったり当てはまる事象なのです。

そんな観点故に私はずっとウクライナを憂いているのです。

では今日はこのぐらいで

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