外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2013年07月

アメリカFRB議長は誰に?

バーナンキFRB(連邦準備制度理事会)議長は来年1月に任期を終えますが、本人はどうも延長する気がなさそうな気配が濃厚であり、次の議長は誰か、ということに視点が移ってきています。これだけの話題ならばつまらない内容と思う方も多いかと思いますが、それなりに奥深いものがあります。今日はそのあたりを追ってみましょう。

まず、アメリカには巷にいう狭義の中央銀行はありません。通常、中央銀行は政府が支配力をもってコントロールするのですが、アメリカの場合、政府はドル紙幣を発行している「その銀行」の株を一株も持っていません。つまり政府から独立した組織が輪転機を回しているのです。

そういう意味からはその総元締めであるFRBの議長のポジションは大統領を始め、両院の議員、財務当局のみならず、基軸通貨としての米ドルの影響力を考えれば世界の中央銀行、各国財務大臣との調整能力を含めた圧倒的な信頼をもってその任に就くことが要求されます。

その中で現在候補の最右翼とされるのがジャネット・イェレン氏でFRBの副議長でもあります。仮にイェレン氏が議長となれば勿論歴史上初の女性議長となります。イェレン氏のご主人はジョージ・アカロフ氏で2001年にノーベル経済学賞を受賞しています。ジャネット・イェレン氏ももちろん、優秀なパーソナルヒストリーをお持ちでクリントン政権の際の大統領経済諮問委員会の委員長も務めています。

彼女がそのまま議長になればバーナンキ議長のポリシーを引き継ぐと見られ、市場に対してのインパクトは少ないと見られています。つまり、みんなが望む本命であります。

ところが最近になり突如対立候補として名が挙がってきたのがローレンス・サマーズ氏であります。サマーズ氏の家系はイェレン氏のそれをはるかに凌ぐかもしれません。父方のおじさんがポール・サミュエルソンで母方のおじさんがケネスアローというノーベル経済学者にとどまらず、近代経済学の最高峰のお二人が親戚という血筋であります。ご本人もマサチューセッツ工科大学に16才で入学し、28歳でハーバードの教授、その後、学長まで勤めています。また、クリントン時代の財務長官でもあります。

が、彼の人物評がいかんせん悪く、ハーバード学長時代は差別発言で学長不信任案が可決されるなどのトラブルも引き起こしています。いわゆる「人を見下す」タイプとされ、それでもハーバードの際には学生からはサポートされたものの同僚や仲間内ではどうも微妙だったようです。

アメリカのこの手のメディア報道を見ていてもサマーズになれば金融緩和は止めるだろうし、とってもじゃないが市場は我慢できない、というスタンスのようです。金融緩和が世界の主流となっている今、議長の交代により大幅なポリシー変更が生じた場合、世界経済に与える影響はとてつもなく大きく、ユーロ圏、日本のみならず、新興国でも金融緩和が進む中、基軸通貨は「安定的で信頼置けるものである」べきなのです。そういう点からは優秀かもしれないが、人望の点で私はイェレン氏になって頂きたいと思っています。

ちなみにイェレン氏、サマーズ氏共にユダヤ人(系)でありますが、少なくとも議長の席に座るのはユダヤという点だけは分かっていても誰も何も言わないところがミソなのかもしれません。世界というのはある意味、アンタッチャブルなところもある、ということかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

電気自動車は本当に普及するのか?4

三菱や日産自動車が力を入れるEV(電気自動車)の売れ行きが伸び悩んでいることから両社にトヨタ、ホンダを入れた四社が充電器設置活動を共同で推進すると発表しました。ある意味、このタイミングはやや不思議な感じがします。

日産自動車はルノーとあわせて2016年までに累計150万台のEVを売るはずが現在までにわずか10万台。正直、このままではまず達成不可能なところにあります。電気自動車は数年前、GMも含め各社が競うようにして売り出した時が華だったのでしょうか?その後尻すぼみが続いています。特にアメリカでは不具合などから倒産する電気自動車専業会社もあったことが人気がしぼんだもう一つの要因に繋がったかもしれません。

北米における不振については何度かお伝えしたとおり、航続距離が中途半端であり、都市生活者に用途が限られる状況でした。一方でトヨタのプリウスはタクシーなどを含め普及していますが、その違いは充電するという手間と充電切れのリスクの違いではないかと思います。

今回、4社が共同声明として打ち出したのは充電設置費用の負担を行い、インフラ整備を行うということでした。しかし、急速充電でも30分かかるチャデモ方式はガソリンの数分間とは圧倒的な差であります。イメージしにくいのですが、出先で30分充電している間、運転者は何をしているのでしょうか?時間をどこかでつぶしているのでしょうか?充電中にもしも次の車が待っているとしてその運転手が充電が完了してもどこかに行っていなかったとしたら次の車の運転手はずっとイライラしていなくてはいけないことになりませんか?

電気自動車のコンセプトは十分理解できますし、家庭で夜間の安い間に充電すればよいという発想は良く分かります。しかし現代人が忙しくなってきている中、日中の充電とならば30分を充電のために使うというのはやはり無理があるのではないでしょうか?

実は私はこの裏でトヨタ自動車が大変賢い戦略をとっている気がするのです。それは自動車4社が記者会見をした同じ日の日経の夕刊トップで「燃料自動車の規制緩和」と題して水素スタンドが設置しやすい規制緩和をするとしているのです。もともとEVとFCV(燃料電池車)を比べると価格以外は燃料電池車のほうが営業戦略上勝っておりますのでトヨタとしては日産にエールを送る余裕があるとも取れるのです。もちろん、トヨタはプラグインハイブリッドを売る手段としてEVの充電設備を応援する必要性はありますが、本音と建前のようにも映らないでもない気もします。

電気自動車の航続距離に一定制限がある以上、普及しやすいのは島など行動範囲が一定しているところではないでしょうか?とすれば当然普及スピードは極端に落ちます。そのあたりが電気自動車のジレンマということになります。電気自動車が紹介されたとき、その構造がシンプルで部品数も激減し、誰にでも作れるとさえ言われました。事実アメリカでは自動車はデトロイトからシリコンバレーへ、とまで揶揄されました。裾野が広い自動車業界がそこまでドラスティックに変わるのは雇用問題にも繋がるということでしょうか?

個人的には電気自動車の二つの課題、充電時間と航続距離を改善している間に注目は2015年に発売される燃料自動車に向いていく気がします。以前家電メーカーで争ったVHSやベータ戦争のような競合が自動車業界でも起こらないとはいえないのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

マーケティングが足りない日本型経営4

5,6年前、ビジネス本作家の本田直之氏と食事をしていた際、氏からフィリップ・コトラーの新しい本が出たからぜひ読んでみてくださいよ、といわれネット購入したのがMarketing 3.0でした。本田氏は当時からコトラー氏に目をつけていたのかと思うとさすがだと思います。

そのマーケティングの世界的権威、コトラー氏の記事が日経の「日曜に考える」に出ております。

冒頭に日本の失われた20年の理由を 「それ以前の70年代から80年代には日本企業がチャンピオンだと言われた時代がありました。『よりよい製品をより安く作る』ことにかけてチャンピオンだったのです。当時はそれだけで欧米のメーカーと違いを出すことができました。クルマ、カメラ、家電製品、コピー機、オートバイなどがそうでしょう。でも、イノベーションで成長したものではありません」と鋭く斬っています。

私はこのブログを何年も書き続けながら一貫して主張していたことは日本のマーケティングは弱く、他社との比較意識の中でのビジネスである、ということだったと思います。これは国内では勝ち抜くことが出来ても世界ではトップにはなれないのです。日本で「価格コム」が出来たこと自体が日本的発想の典型だったと思います。つまり、価格競争力を前面に押し出すことで中身が二の次になりやすいということです。

メディアも街中の宣伝も価格一本調子で大手のプライスリーダーの動向が日本の物価水準を決める、といっても過言ではありませんでした。結果として日本の経営システムはプライスリーダーになるためにいかにコストを削減するかという検証を行い、実行に移す行動に出ました。当然ながらそこには人件費の削減が織り込まれているわけです。

その間、付加価値をつけて高く売ろうという発想の企業は少数派で、とびっきりの新製品も出にくかったのではないでしょうか?

コトラー氏はマーケティングを営業の一環と考えていては間違い、と指摘しています。そのとおりで、私ならマーケティングは経営戦略の中枢、つまり、経営企画部門の一部であると考えています。世の中の趨勢、商品のライフ、嗜好、価格、価値観を踏まえたうえで何を作り、何を売るのか、社運を握る頭脳集団とすべき重要な位置づけだと思っています。

20年間の失われた時代を経験したとしたらならばそれは日本が日本に篭ってしまった結果である、ともいえるのかもしれません。

ところで私の経営するカフェ部門はこのところ成績が芳しくありませんでした。理由を分析すると隣接するホテルの客が流れてこないということでした。それではこの店がホテルに依存している自立性のない店だということになってしまいます。そこで私はチームを一新しマーケティングプランを打ち出し、大幅な刷新を何段階かに分けて実行していきます。

例えば価格は上げます。なぜなら高くても来ていただける内容で勝負するためです。これが私なりのマーケティングのスタイルで秋口には成果が見えてくると確信しているのです。

日本には面白い製品がたくさんありますが、それは工夫、改良の域を出ず、それをどう売り込むのか、というアイディアに欠けているものが多いと思います。例えばクックパッドにある無数のレシピはどれがよいのか、あるいはそれをクックパッド発のレシピとして日本食文化の水平展開の一環として世界のレストランや家庭に伝えていくこともマーケティングの一つではないでしょうか?

そういう意味でコトラー氏のマーケティングは実に奥深いと思います。

ところで冒頭の本田直之氏、バンクーバーに於いて8月21日に講演が決定しています。聞き手は私が勤めることになっています。近隣の方、ぜひともお越しいただければと思います。
http://kiyukaievent.info/

今日はこのぐらいにしておきましょう。
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ではまた明日。

どうする、消費税4

消費税を予定通り上げるかどうか、正念場を迎えそうです。安倍首相は再検討するための指示を出したようです。それには四案とありますが、基本的には予定通り、段階を経る。先送りするの三種類と考えてよいかと思います。消費税に関してはこのブログをお読みの皆様も賛否両論、それなりの強いご意見をお持ちのようです。今日は検討すべき大項目を改めて掲げた上で私なりの考えを示したいと思いますが、皆様からの意見もぜひお伺いさせていただきたいと思います。

まず、消費税上げに関する再検討項目を箇条書きで掲げてみましょう。

1. 財政再建
2.国民の理解
3. 国民に消費税引き上げに対する一定の浸透、及び既に始まった一部の駆け込み需要
4. 政治的配慮(否定的変更を行った際にはその次がない)
5. 海外投資家等からの懸念
6. 引き上げに伴う経済的インパクト

消費税の引き上げ目的は財政再建、ひいては日本国民が今まで同様の社会保障サービスを受け、公共財を手にし、役所のサービスを受ける直接的メリットのみならず、日本国経済が健全性を保ち、ひいては日本円の為替レートが一定水準を保ち、国債が過剰に反応しないことで国家破綻の危機から逃れる対策のひとつである、といえます。

先般、デトロイト市が破綻しました。或いは欧州危機の際には南ヨーロッパ各国は厳しい緊縮財政を余儀なくさせられました。一時は日本の国債も破綻するという危機感を煽る声すら出て、国民に不安がよぎりました。財政が破綻すれば年金はカットされるかもしれないし、道路は補修されず、自然災害にも迅速に対応できないかもしれません。ものの値段は暴騰し、金利が上昇することで住宅ローンが払えない個人破綻者はリーマン・ショック後のアメリカのように押し寄せ、中小企業は銀行からの借入金金利が上がり、利益は出なくなります。大手企業は社債を発行するにも条件が悪く、資金調達できず、中国や韓国に市場を奪われていく、というシナリオでしょうか?

ここまで書けば消費税の引き上げに伴う痛みとは比べ物ならないのかもしれません。日本で5%の消費税が最終的に10%になることは日本国内では大きなことかもしれませんが、外国では普通です。なぜ普通かといえば「どうやっても収支が合わない」ことに対する理解とこのまま赤字を累積させていけば破綻するというリスクに対する防御心が国民により浸透していると思えるのです。

日本では「財政再建なんて役人がやることだ。我々の責任ではない」というボイスが圧倒的だと思います。つまり、税意識が欠けているようにも思えるのです。

安倍首相の再検討の要請とは最近トーンダウンしてきた消費税引き上げ計画を「ある理由」で緩和させる下地つくりと見えなくもありません。「ある理由」とは安倍首相の頭にある「政治構想」としておきましょう。仮に段階的引き上げという一段階緩和する方式をとることで安倍政権をより安泰にするというシナリオでしょうか?つまり、政治ゲームの一環であります。とすれば、国民は踊らされる可能性有りということでしょうか?

私は予定通りでもよい、と思っています。一時的に消費は落ち込むかもしれませんが、消費者はいつまでも我慢できない、というのは世界経済が証明しています。必ず消費は回復します。事実、今、消費税5%を普通に受け止めているはずです。安倍首相が景気の腰折れを懸念するとするならば自身の主張する金融緩和と成長戦略に自信がないという意味にも取れます。この矛盾はどう説明するのでしょうか?

世界からの信任という点からもやさしさの中の厳しさを貫けばよいと思います。日本はそれほど柔な国ではないということは外から見るからこそよくわかるのです。

ご意見賜りたいと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

日本の隠蔽体質4

京都府立医大、東大、東電の最近の共通点といえば「隠蔽と改ざん」でしょうか?京都府立医大では製薬会社ノバルティスファーマの高血圧治療薬「ディオバン」の効果に関する臨床研究を巡る論文データの改ざんが問題になりました。東大のシステム販売会社と共謀し委託契約料を騙し取った事件もデータの改ざんがベースです。更に東大の分子細胞生物学研究所でも論文捏造疑惑が発生しており、現在調査中であります。

企業に目を向ければ東電が汚染水を海に流していた事に関して5月の時点でわかっていたのにその事実を確認するのに手間取り、公表が遅れていました。とくに公表に向けた直近の動きは以下の日経の記事が参考になるかと思います。

「広瀬社長によると、7月18日に海への汚染水流出を裏付ける潮位と地下水位のデータを本店が把握。19日夕刻に広瀬社長、原子力部門、広報部などが協議して速やかに公表する意向を確認した。だが、広瀬社長は「公表前に漁業関係者に知らせた方がいい」と指示。22日に関係部門が漁業関係者に説明し、その日の夕刻に発表した。20〜21日は公表資料を作成していたという。」

本社が18日に事実を把握した後、公表までに4日かかっていること自体がもはや常識の範疇を超えてしまいました。大体、公表資料を作るのに2日間も要するのは企業体質がよほどの権力体質であるといえましょう。欧米企業ならば半日で公表にこぎつけるはずです。また、漁業関係者に先に知らせるという判断もよくわかりません。私なら同時に発表し、その上で漁業関係者により具体的な説明を個別に行う方法をとります。

これらの事件はごく最近起きたものだけであり、時間軸を延ばせばいくらでも出てくる「日本版パンドラの箱の祭典」であります。それもたまたま見つかったのが氷山の一角で話題にもならない隠蔽や改ざんは無数であると思います。

なぜ、人は隠すのか、といえば、追い込まれた際の弱さなのだろうと思います。「これで失敗したら人生終わり」というギリギリのところにいることが隠蔽だろうが、改ざんだろうが、犯罪だろうが何でもして「ばれなければ」という気にさせるのだろうと思います。

勿論、このような隠蔽体質は世界中で起こっていますので日本独特のものとはいいませんが、日本は多いほうだろうと思います。理由は先日も指摘しましたが、やり直しのきかない日本ということが影響しているのではないでしょうか?アメリカは失敗してもやり直す気持ちがあればいくらでもスタート台に戻れます。また、そこから復活した人は高く賞賛されます。ところが日本は「だめな奴」というレッテルを貼られ、権限や職を失い、人生路頭に迷うことが多いのです。

更に激しい競争社会に生きている人ほどその傾向は高いのではないでしょうか?大学の教授はよい論文を書き、学内での地位を高めることが非常に重要になります。山崎豊子の「白い巨塔」はもっとも日本的な大学病院の醜い姿が描かれています。また東電もエリート社員の集り。著名な大学を優秀な成績で出て国家官僚へのチャンスを蹴って入社するような人が多いところにおいて社内競争は社員の正しいマインドを歪めることになるのでしょうか?

隠蔽しなくてはいけないということは人間の弱さそのものだと思います。組織の強さと個人の弱さのアンバランスともいえましょう。精神衛生的にゆがみが生じている日本社会はいつ、幸せになれるのでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

韓国版金融危機はありえるのか?4

韓国中央日報が「韓国の銀行が危ない」という論説委員の記事を掲載しています。記事そのものを読む限り特段新しいネタがあるわけではないのですが、日本のバブル崩壊後の不良債権の処理に伴う苦悩を再現しているようにみえます。紙面にもあるように銀行の資金はカラダの血液のようなものですからその血液が止まったり品質が悪くなることで死を招くことになります。

韓国金融業界の昨年の利益は7700億円と前年比3割減ったそうですが、今年はそれを更に大幅に下回ると見られています。一方、不良債権は全体の2割にも及ぶとされ、不動産や建設のみならず、いわゆる化学、鉄鋼など素材産業の経営不振も影響しています。

一般的に韓国の金融業界は個人向け融資が堅調だったとされるのですが、そちらも不動産価格の下落に伴い厳しい状況となっており、今後の行方が不安視される原因となっています。特に金融機関の規模が世界水準と比して圧倒的に小さく体力的にも乏しい好例がウリィ銀行の売却劇だと思います。

ウリィは同国最大の金融グループでありますが、もともとは経営不振になったり倒産した銀行や証券を寄せ集めたものであります。そこに公的資金を投入し、再建をはかり、政府としては大手金融グループとしての売却を狙ったものの前政権時には3度の挑戦もすべて失敗に終わっています。買い手が現れないということはそれだけ魅力に乏しく、将来性に不安があるということを物語っています。

注目点は朴現政権がこの金融グループを都市銀、地銀、証券に小口分割して売却する方針に転換したということでしょうか?通常、小口分割はすべてうまく売却出来れば金額的にはプラスになりますが、過去3度も売却を試みて成功しなかったのは売却資産に欲しくないものがあるという明白な理由があるはずです。

つまり、朴政権が予定通り分割売却を進めた場合必ずどれかが売れ残り、苦しい立場になる可能性があるということです。その売れ残りはずばり地銀でしょう。

もうひとつ、重要なことは朴政権が日本型メガバンクを諦めたとも取れるのです。これは私から見ると失策だと思います。なぜなら、もともと韓国の銀行規模は小さく、世界の中で戦えない状況下にある中「血液の役割」を施すにはその心臓部分であるポンプが余りに小さく、血液は末端まで循環しないといえるからです。

韓国の不良債権の大きさを考えれば今後何らかの金融トラブルが発生しないとも限りません。その場合、連鎖反応しやすい状況が生じますのでウリィ銀行グループの売却すら進まない段階で極めて面倒なことになる可能性も否定できません。

そういえばゴールドマンサックスの資産運用部門が昨年の暮に韓国市場から撤退しました。同社は他社以上に先見性をもって行動する金融グループですが、撤退という意味が持つものは将来頑張っても儲からない、という判断そのものではないでしょうか?

そう考えれば中央日報の「銀行が危ない」という記事は大げさな話では’ないのかもしれません。韓国の四半期GDPは久々に1.0%を超えることが出来ましたが、世界経済全般の力強さを感じない今、財閥系企業の輸出に頼る経済体質には先行き不安を覚えます。

日本からすれば海の向うの話と思われるかもしれませんが、韓国経済は日本経済に密接なつながりがある以上、注視する必要がありそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

岐路に立つアップルの行方4

注目されたアップル社の4月から6月の四半期決算は売り上げこそ前年同期比を上回ったものの利益は22%減。ただ、事前予想が低めだったこともあり、株価はむしろほっとした買いで5%程度上昇しました。

アップルが抱えている問題とはiPhoneの販売価格低下による影響とiPadの売れ行き不振の二点に絞られます。iPhoneについてはアメリカや日本では新型が売れていると説明していますが、新興国では旧型を中心としたモデルの販売で利益率が抑えられていることが利益率を圧迫しています。

また、iPadについてはこの四半期では27%も売り上げを落としています。理由は競合するタブレットメーカーがアップルの価格を基準にどれだけ安く出来るかというマーケティングをしていることが大きいのではないでしょうか?また、中国でのiPad販売の成績があまりにも悪かったことも影響している模様です。

つまり、iPhoneもiPadももはや他社との競争に巻き込まれ、アップルらしい独自性を失っているといえるのかもしれません。MacのパソコンがWindowsと一線を画していた時代、双方は競合するというより、わが道を行く、という流れだったはずです。それはMacがある意味、特化した機能と性能を保持していたからです。

ところが、iPhoneの成功はアップル社をデファクトスタンダードをもつ会社として位置づけたことでメインストリームの鎮座することになりました。引き続き売り出したiPadはその地位を確固たるものにします。結果として多数の競合相手と対峙することになり、当然ながらそこには開発競争と価格競争という一般企業にはごく当たり前の戦いに巻き込まれることになったのです。アップルはそれまで価格戦略は強気でその製品を愛する人だけが買ってくれればよい、という戦略でしたが、今、まさにその岐路に立っているわけです。

さて、決算説明会に当たり、アップル社は大きな暗示をしています。それは「いくつかの新しい製品が秋から来年にかけて発売される」というものです。「いくつか」ですから当然それは二つ以上ということになり、その二つとはほぼ間違いなくアップルTVとウェアブルディバイス、つまり、アップルの場合には時計型のまったく新しいコンセプトのIT製品ということかと思います。

同社が近年では珍しく既に9ヶ月間も新製品を打ち出していないわけですから当然売り上げも注目度も下落してしまいます。よって、発売されるであろう新製品が如何にアップルらしさを見せるのか、そこにかかっていると思います。同社が世界の注目を集めてしまう以上、一定の大衆性のある製品になるかもしれませんが追随を許さない独創性を出せるのか、再びサムスンやグーグルと激しいバトルを繰り返すのか、まさに岐路にあるといえるでしょう。

ただ、唯一いえることはアップルの株主はアップルの製品云々よりも一株あたりの利益や株主への還元策に大きな期待がある点において昔のワイルドで荒削りなアップルからスマートでエリートな雰囲気が漂う企業にならざるを得ないのだろうというのが私の見方であります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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