外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2013年09月

アメリカは何処に。ねじれにもがくオバマ大統領4

アメリカが機能不全状態に陥る可能性が高まってきました。政府部門の一部閉鎖が10月1日からおきそうなためです。まさに「アメリカは何処に」ということになりそうです。

今回の問題は10月1日から新年度入りするアメリカの連邦政府予算が決まらない為、新年度に入れないという状況にあることです。暫定予算案にしろ、その骨格の一つにオバマケアという共和党の大反対する国民保険条項があり、これが与党民主党が主導する上院と野党共和党が主導する下院で行ったり来たりしているのです。

本稿を書いている9月30日の朝の時点では10月1日までの解決は悲観的な状況となりつつあり、このままでは1996年以来の政府部門の一部閉鎖となるかもしれません。査証部門の閉鎖などで我々にも一部で影響は出てくることになりそうです。

しかもこれは暫定予算であって、ひと月とかふた月とりあえず執行するという議論ですら悶着しているのです。その上10月中旬には債務上限問題もやってきます。これはアメリカが国債発行額を厳しくコントロールしており、間もなくその上限に達するにあたり、上限を増やす決議をしなくてはいけません。今年のはじめ、この問題が大きな話題となった時はアメリカはデフォルトするのか、とさえ騒がれました。

アメリカはまさにねじれ議会でもがきにもがいているという状況にあるのです。

日本でもねじれに苦しんだことは記憶に新しく、7月の参議院選挙でねじれ解消されたことは与党の政治家のみならず日本全体に安ど感を与えました。それは政治家の不毛な駆け引きで国民と国政が振り回され、先が見えない状態が長く続き、どうにもならない不安感が生まれたことにあります。

ただ日本は解散総選挙という手法が取れますが、アメリカの場合はそれができません。つまり、オバマ大統領は国内がどれだけねじれ、、もめ、法案が通過しなくても3年半は在任するのであります。これはアメリカにとっては極めて不毛な時を過ごさねばならないといえましょう。

折しもオバマ大統領の政治的手腕については先般のシリア問題やFRB次期議長指名問題などを踏まえ、やや懐疑的な人が増えているとみています。支持率は6月調査の45%から更に数ポイント減から場合により大台割れまで覚悟しなくてはいけない状況にある気がしております。日本の首相は支持率が10%台でも最後は解散すればよいのですが、アメリカはそういうわけにはいかないところに大きな懸念があるのです。

例えば為替を考えてみましょう。基調は円安ドル高とみられています。しかし、これは経済面だけを見据え、量的緩和からの離脱を前提としています。しかし、アメリカが政治的に機能不全となれば回復基調にある経済は伸びを欠き、量的緩和の離脱時期はさらに先延ばしになるかもしれません。そうなれば世界のマネーは米ドルから安全通貨である円を買う動きが出て来てしまうのです。事実、これを書いている今、すでに97円台に突入していますが、政治の不安定感はあらゆるところに波及していくことになるのです。

私は年初、今年の勝者はアメリカと日本と予想させていただきました。日本はその通りになりつつありますし、アメリカについてもひと月ぐらい前までは勝者とされていました。しかし、このまま、国内問題の処理に明け暮れるようになれば勝者の地位は懐疑的にならざるを得ません。あと3か月と最後のストレッチに入りつつある2013年ですが、アメリカは先頭集団からこぼれ落ちてしまうことにならなければよいと思っています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

海外のおもてなし4

先週、おもてなしのテーマのブログを書かせていただいたところ多くの方から様々なコメントを頂戴しました。興味の深さを感じさせられます。そこで今日は海外のおもてなしについて触れてみたいと思います。

海外にもおもてなしはあるのか、と疑問を持たれる方も多いかもしれません。が、私の個人的な経験を考えれば海外での経験の方が日本での経験より強烈だったといえるかもしれません。

それを強く感じたのは1980年代始め、私がアメリカ、ニュージャージー州にホームスティに行ったときです。日もとっぷり暮れたアメリカの片田舎の集会場に不安混じりで到着した私を迎え入れたアメリカ人夫婦の第一声は「Welcome to our home! Welcome to my family!」でした。日本とアメリカの小さな国旗を振ってまるで旧知の仲が久しぶりに会うように歓待してくれたのです。

滞在期間、私はこの夫婦に完全に心を開いたと思います。そしてまるで本当の家族のようなおつきあいをさせていただいたのです。勝手がわからない私に様々なアドバイス、時間の過ごし方の提案、更には週末の夜は息子さんや彼の友達がたむろする近くのバーで一緒に大騒ぎまでしました。まさに私の20年後、30年後のベースを作ったのです。その後、そのファミリーとは数回お会いし、その夫婦が日本に来た時には私の狭い家を工夫してお泊りいただきました。ほとんど外部の人が泊まることのない私の実家にアメリカ人夫婦が1週間も泊まるというのは両親にとっても衝撃的なことだったと思いますが実に楽しい思い出となりました。

私はその後、仕事などでアメリカに頻繁に出張し、最終的には一時居住もしていたわけですが、様々な形でアメリカ人のおもてなしに触れてきました。それは自分の友人を多くの人に紹介していただくことやご自宅で歓待されること、自分のこだわりを一生懸命説明したり、私のこだわりを一生懸命聞いてもらうことを通じて「私の為に時間とエネルギーを割いてくれている」という感動もありました。アメリカ人はドライとか効率主義とか言われますが、個人的なレベルに入ると全く違う次元となることもしばしばです。

それはカナダでも同じでした。初対面の私と仕事の後、そのままレストランでワイン談義でとことん盛り上がり、その後、20年以上のおつきあいをしているユダヤの彼にはハヌカからユダヤ式結婚式まで招かれ、共に旅行をした原点は彼流のおもてなしがスタートだったと思います。

私が思うおもてなしは私を「素」にしてくれたことではないかと思います。つまり、あらゆる緊張感が溶きほぐれ、解放されるような気持ちにさせてくれる時、「もてなされている」と感じます。

日本では家に招くというのはそのサイズからなかなか難しいことも多く、結果としてレストランを使います。そこにはもてなしではなく、レストランのサービスが介在することになるのです。また、家に招かれると家人全員がウェルカムの気持ちをもって楽しいひと時を過ごすことができますが、日本でそういうもてなしを受けることはかなり少ない気がします。

そう考えると日本の方がもっとドライなおつきあいが主流になっているかもしれません。

デパートなどの美しい包装ももてなしではないかとする日本に対してクリスマスギフトなどの包装を自分で購入し、心を込めてラップするのとどちらが気持ちがこもっているかといえば後者の方に軍配が上がりませんか?

もてなしの国ニッポンはその言葉の重さと裏腹に急速に冷めているところもある気がします。海外にもてなしを学ぶということもあるのかも知れませんね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

景気回復で実感する人手不足4

オリンピックという7年後のゴールにアベノミクスの成長戦略、デフレからの脱却に円安で訪日外国人が年間1000万人という水準を達成できそうなことを踏まえ、消費の拡大が期待されています。消費税上げの反動の懸念はありますが、企業の投資と政府部門のインフラとオリンピック関連投資がこれからどんどん具体化していきますので個人的には消費税引き上げを打ち消すに十分なパワーがあると見ています。

メディアの報道からは政府の方針にハコモノかハコモノ関連への刺激策が多く見受けられ、建設会社や不動産会社がまずはその恩恵に浴すると見られています。事実、このところ建設会社の株価は軒並み二桁%の上昇率でいかにその期待が高まっているかお分かりいただけると思います。

この中で私が懸念していることはこれだけ景気刺激策があると人が足りないだろうな、という直感です。

80年代のバブルの頃、いわゆる団塊の世代を中心とした第一次ベビーブーマーが建築や土木の現場を支えてきました。それでも人が足りなくて現場所長が私から「現金を前借り」して青森まで行ってそこの職長さんと話をつけて10人ぐらい職人を引き連れてきたこともありました。当時、私はまだ青二才でしたのでこの所長は人買いか、と思ったぐらいです。(笑)

ですが、その時ですら高齢者になりつつあった出稼ぎ労働者はもはや土建現場で働く体力はありません。また、公共工事が半減したこともあり、若手は3Kとも5Kとも言われた建設現場の職人になるよりIT関連でスマートな仕事を選ぶようになりました。そこに見出せるのは圧倒的な人材のインバランスであります。

日本の労働市場はミスマッチがおきているということはしばしば報道されていますが、その中で特にひどいのが建設関連ではないかと思います。私が進めている東京の開発案件で古家を解体する作業になぜかガッシリした体躯の黒人さん二人が働いていました。私はそんなものだろう、と勝手に想定していたのですがそれを見た近隣の人々はそれなりにびっくりしていたようです。

政府や民間企業はオリンピックという大きな目標が出来たことで東京などに投資を再検討することになるでしょう。これから1年ぐらいの間にびっくりするほど案件が出てくるはずです。その際、100%言えることは職人は大幅に不足します。つまり、計画通り、作業が進まなくなる公算があるということです。

対策として外国人労働者を一時的に緩和するという手法はあります。ここバンクーバーの冬季五輪の際はそれまでのアルバータ州の資源産業のブームで人材がアルバータ州にもともと「盗られて」いる状態で、まったく人材が不足している中での五輪計画でした。結果として政府は一時的に外国人労働者に単純労働のビザを時限で大盤振る舞いしたことがあります。この時、単純労働者が圧倒的に不足する事態が生じたのはローカルの人たちはより高度な職に就きやすくなったため、単純労働に人がいなくなったということであります。つまり、一種のミスマッチです。

日本でもこのような状況になる可能性はありえるでしょう。時間と業種を区切った外国人雇用は進めていかない限り賃金の上昇が進み、盛り上がる経済にブレーキをかけることになります。

また、仮にTPPに参加が決まった場合、日本では農業ビジネスブームが来る可能性もあります。これも長い時間がかかる可能性の話ですが、そうなった場合でも日本では労働者不足が生じるのです。

その時、日本は外国人労働者と接することが増え、それが日本に新たなる風となるかもしれません。

私は折に触れて日本が変換する時と申し上げております。人々の価値観や生まれ育った経験が大きく変化する時代に差し掛かっている今、今までの常識やものさしでは計りきれないことが数多く出てくることになりそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

今の日本は倍返しのチャンス!4

「やられたらやり返す!倍返し」は今年の流行語大賞の最有力候補でしょうか?日経の電子版にはユニクロの柳井社長の10倍返しなる逸話も紹介されています。しかし、一番注目すべきは日本経済の倍返しではないかと思っています。

日経平均は昨年8200円台という安値を付けましたが自民党政権に代わり、アベノミクスが出てきたことで日本は息を吹き返すようなムードに包まれています。その結果、5月には15600円台とほぼ倍返しとなっています。つまり株価に関してはすでにその目標を達成しつつあるわけですがこれはあくまでも2012年の安値との比較です。

私が期待しているのは20年に及ぶ停滞した日本のマインドと低成長の倍返しであります。

ここでユニクロの柳井社長の10倍返しの逸話に少しふれておきましょう。この記事は同社の柚木治氏の話であります。氏はユニクロが2002年に手がけた野菜事業を通じて1年半で26億円の赤字を計上し撤退。その際に辞表を柳井氏に出そうとしたら「金返せ!」と言われ、ユニクロの廉価版ブランド「ジーユー」の社長として現在、売上1000億円(推定)を計上するほどの復活を遂げた話であります。

記事はここである一つの興味深い視点を提供しています。それは柳井氏の著書「一勝九敗」を引き合いに出し、失敗を糧に成功に導くことを実践したという流れなのであります。私は折あるごとにこの本の名前を出してきました。なぜかといえば、柳井氏のユニクロは過去、成功している案件よりも失敗している方がはるかに多く、それでも日本を代表するメーカーとして君臨しているスタイルが日本人の感性により近いものがあると考えているからです。起業型の成功者として双璧の孫正義氏は新しい発想と常識感を打ち破る戦法に巨額の資金を使った賭けという感じがいたしますが、柳井氏のそれはどちらかというと「柳井商店」の域を出ないところが日本的に見えるのです。

日本は失敗を糧に大復活するパタンが非常に多いのですが、例えば最近のニュースでは打ち上げに成功した新型ロケット イプシロンもその例だと思います。日本はロケット開発には過去、非常に苦労し続けた歴史がある中で、常に失敗が許されないという緊迫した状況が今回の新型ロケットの成功に繋がったと思います。

私事で恐縮ですが、小生がサラリーマン時代に携わった日本の不動産開発事業は散々な結果となり、苦汁をなめました。金額は明かせませんが、その損失はユニクロの野菜事業の比ではありません。その後、バンクーバーで当時社内最大の海外開発案件の担当者として指名された時、日本の事業で負った損失を返すことに注力しました。金額的には倍返しにはなっていないかもしれませんが、会社の不動産資産流動化を含め、金銭以外のメリットはあったはずです。

それは自分をぎりぎりまで追い込むということなのだろうと思います。これ以上の失敗は許されないなかで更に大きな事業をあてがわれたチャンスをどうものにするかという発想の転換だと思います。それはユニクロの柳井社長が26億円の損失を計上した柚木氏をユニクロの将来を占うほどの重要プロジェクト、ジーユーの責任者として指名する度量なのかもしれません。普通なら失敗した社員にそれよりもっと大きな仕事を与えるという発想はないはずです。ここがポイントでしょうか。

今、日本が大復活を遂げているそのバックボーンの一つは自民党の崩壊だったと思います。小泉政権後、三人の自民党の首相が立て続けに短期間で辞任に追い込まれ、最後は民主党に政権交代という最悪劇を見せます。そして、その渦中には安倍氏そのものがおりました。自民党が猛反省し、今、その安倍氏は余力を持っての再登板、その脇を固めるのはもう一人の宰相経験者である麻生副首相であります。

つまり、今の日本の倍返しの原動力は自民党そのものにあるといっても過言はないでしょう。

誰でも失敗のない人生はありません。企業経営も山あり谷ありです。しかし、山を下りきったところで脱落すればそれから先の復活劇はありません。必死に食らいつき、失敗に対する猛省をすることでようやく、そのわずかなチャンスは開けてくるといっても過言ではないでしょう。

折しもJR北海道は非常に厳しい状況に追いやられています。今時、これほど管理が甘い大企業が残っていたのか、という印象もありますが、ここは腐らずに頑張るしかありません。

日本経済が倍返しするためには多少の成功に踊ることなく自分の仕事を極め続ける集中力こそ、その活力となることでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

日本は投資の福袋?4

安倍首相のニューヨーク証券取引所での講演内容を拝見したのですが、本当にこんなにおいしい内容が山積しているとすれば日本に投資したくなるかもしれません。

リニアモーターカーをワシントンとボルチモアを結ぶならば東京名古屋間より早い開業が可能
次なる成長戦略の矢はすぐ放つ
大胆な減税を断行する
原発は放棄しない
TPPは日本とアメリカがリードする

ここまで踏み込んだ発言をされてしまっては日本人の我々も「本当かい?」と疑いたくなるような内容であります。

が、多少のリップサービスがあるとしても全く当てがない話でもなさそうです。

まず、原発に関していうとすでに「立候補」をしている再稼働組は先陣が年末から年初ではないかとみられています。四国の伊方原発がトップの再稼働でしょうか?ただ、私が注目しているのはそれよりも東京電力の柏崎原発の再稼働問題であります。新潟の泉田知事は原発所在地の市町村の前向きの検討姿勢に対して7月に広瀬社長に聞く耳持たずの態度をとり、大きな話題となりました。しかし、2か月以上たった昨日、ようやく、再会談にこぎつけた結果は泉田知事の態度軟化であります。

なぜ軟化したのか、いろいろ詮索をすると泉田知事の考えが軟化したというより外部から諭されたような感じが見受けられます。それは日本政府の大方針、そして国民の血税が投入されている東京電力の再生に「大人の態度を示しなさい」ということだったのではないでしょうか?こちらの結論は案外早い展開となるかもしれません。

リニアモーターカーの話題はタイムリーだと思いますが私はリップサービスだと思っています。ワシントン近郊のボルチモア都市圏の人口は260万ですからリニアが経営的にもサポートされるとは思えませんし、ましてや債務上限問題は混迷を深めそうですからそんな資金どこにあると一蹴されそうですが、日本がアメリカに「夢」を提供しているという点で今までになかった構図が魅力的にみえます。

大胆な減税は投資減税など一律的な法人税下げよりメリハリをつけた効果と効率のよい減税となればよいと思います。折しも中国上海が経済自由地区の試験を開始したというニュースがありました。見方によってはミニ香港を作るのではないかとも考えられ、投資を引き込むために今後、アジアの都市が激しい競争を展開する気がいたしております。つまり、日本の主要都市も同様の競合に巻き込まれることは必須と考えて良いでしょう。そのためにも安倍首相が掲げている成長戦略に伴う海外からの投資を呼び込む魅力的なプランを早期に具体化する必要があると思います。

ところで昨夜、日本の頭脳集積地にあるレストランで4時間も話し込んでしまったのですが、その中で話題に上がったカジノの解禁は投資呼び込みにやはりぜひとも欲しいところだと思います。カジノ解禁の反対者は保守的であり既得権益を抱きかかえて離さない絵図が手に取るように見えます。私はパチンコよりはるかにクリアな線引きだと思っています。

最後にTPPですが、まさか安倍首相がそこまで踏み込むとは思いもしませんでした。ある意味、この福袋がもっともサプライズの大きな価値あるオファーな気がいたします。党内でも反対派が多い中、全くぶれず、むしろスピードアップを図る姿勢は日本をより強く押し出すことになりそうです。

日本がより楽しみになってきた、そんなよい講演だったのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

外交に目覚めた安倍総理4

安倍総理がカナダ、アメリカを訪問中ですが、小さな記事にふと気になることがあります。

それは時事通信のこの一節です。
「安倍首相は、(カナダ、ハーパー首相と)内戦下にあるシリアの状況改善に向け、日加両国が国際機関を通じた人道支援で連携していくことで一致したと明らかにした。」

たったこれだけの記事ですが、とても奇妙なのです。日本の首相がかつて外国の国家元首との会合においてアメリカを飛び越えて非アジア圏の外交について踏み込んだことはあまりなかったと記憶しております。しかもこの後ニューヨークにおいてフランスのオランド大統領とも会談をしますが、フランスは「シリアの友人」で中心的存在であることを考えれば安倍首相の国連での演説を前にフランスに事前の根回しをすると考えるのが妥当かと思われます。

安倍首相はニューヨーク証券取引所でアベノミクスを宣伝し、日本への投資を促す点についてはロンドンなどですでに実施済みですのでサプライズの発言があるかどうか分かりません。が、合わせて国連の総会の一般討論演説では日本の立場を世界にアピールするにあたり、シリア問題により深く関わるという気がいたします。

ではなぜ、今、安倍首相がシリアなのか、と考えれば一つはアメリカが機能不全になっているからかもしれません。アメリカは現在、債務上限問題など国内問題でエネルギーを割かれ、外交に回す余力が十分ではありません。そんな最中、更に不思議なのはオバマ大統領がイランのロウハニ大統領との会談を申し入れたものの断られたという小さな報道であります。

イランとアメリカは絶交状態にあり、両国の首脳は30年以上、会合を開いておりません。その状態の中、なぜ、今、オバマ大統領側から会合を持ちかけたのか、という動機に関する疑問とそれをあっさり断ったイラン側のアメリカへの不信と距離感をみるにあたり、アメリカが外交政策でやや、行き詰まりとなっているように思えます。

ご承知の通り、アサド政権のシリアとイランは密接につながっており、もともとアメリカはアサド政権を倒すことでイランへの決定的ダメージを与えるというのがシナリオだったはずです。が、シリア問題はロシアプーチン大統領による平和的解決策の提案が通ったことで計算が狂ったのみならず、ロシアにアメリカのお株を奪われた状態になっているのです。

ある意味、オバマ外交はパワーを失った状態と見受けられます。

そこで持ち上がったのが国連であります。このところ、国連は機能不全と称され、その存在意義を問うような論評もありました。それは常任理事国が一致して決議するという点においてロシア、中国が反対に回るケースが増え、アメリカや西側諸国は国連への期待が下がっていたということでしょうか?今回、安倍首相が国連総会で演説するというのは日本が世界での地位を改めてアピールするにあたり、シリア問題に焦点を当ててきた、と考えることは可能でしょう。とすれば安倍首相は明らかに外交を通じて日本の地位を確立するための方策に出ていると考えられます。

それはアメリカの従属国から独立性をもった国への進化を考えているのでしょうか?あるいは外交は複雑怪奇ですからアメリカの代わりに日本が前に出ているのかもしれません。

いずれにせよ、日本がパッシングとかナッシングと言われた状態から大きく改善することは間違いなさそうです。安倍首相のプランが国内の経済立て直しから外交に駒を進めているとすれば首相には自身の施策に相当の自信があるという表れかもしれません。

ここまで注目される首相も珍しいと思います。小泉政権は別の意味で目立ちましたが、安倍政権は日本をまじめに捉えている点については称賛に値するのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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薄熙来裁判にみる中国4

山崎豊子の戦争三部作、 「不毛地帯」、「二つの祖国」、「大地の子」をお読みの方も多いと思います。私も全部読んでいますが、特に中国残留孤児に焦点を当てた「大地の子」は構想から完成まで8年を要した大作であり、そのスケールといい、内容といい個人的には山崎豊子の頂点の作品と言っても過言ではないと思います。

その「大地の子」は文化大革命という今の中国人が苦い顔をする暗黒の10年の中で紅衛兵や毛沢東イズムが蔓延する社会から話はスタートします。それは世論が暴力を通じて撹乱されているありさまでした。氏の小説は非常に読みやすい形で文化大革命の理不尽さを描いていますが、もう少し堅い学術的な書を紐解くとそこにはもっと凄まじいドラマが存在します。特に毛沢東の力を利用し、権力闘争を通じて「勝ち抜いた」四人組のその壮大な栄枯盛衰のドラマは山崎豊子の小説ではほんの触りすらないのであります。

薄熙来の裁判が何を意味するのか、彼の罪状と事実関係は別にして結果として無期懲役という厳罰が下ったことに大いなる政治的意図が見て取れます。

薄熙来のことを知らない人、あるいはほとんど興味を持ったことがない人も多いと思います。かいつまんで数行で説明します。

中央政治局委員兼重慶市党委員会書記という中国のトップ25に入る重任となった薄熙来は更に権力闘争を進め、毛沢東主義の回顧路線を強く打ち出します。が、2011年、薄一家と長年の付き合いがあったニール・ヘイウッド氏が変死したことで薄氏は奈落の底へ落とされます。薄氏の夫人がヘイウッド殺人に関与していたという判決に次いで薄氏は収賄罪などに問われ、公職追放のうえ、無期懲役、財産没収という厳罰に処されたのです。

この裁判の裏には中央政治局の席をめぐる激しい権力闘争、そして目立つ人間に対する駆け引きがあったとされます。大局的にみれば共青団派の胡錦濤から見放され、さらに薄氏と同じ太子党に属する習近平は薄を抹殺します。理由は習にとって共産党幹部による不正賄賂は中国の近未来において撲滅すべき最重要課題であり、トカゲのしっぽ切りに及んだものだと考えてもよいのではないでしょうか?

私がこの事件と裁判に興味をもち続けた理由は文化大革命を克明に描いた中国人作家の大著を25年以上も前に衝撃とともに完読したことがきっかけであります。それ以降も数少ない文化大革命の本に触れながら、中国の権力闘争を見続けてきました。

今、薄熙来が政治から抹殺されたことで習近平と胡錦濤はより関係を改善できるのかもしれません。しかし、そこには駆け引きが常に渦巻き、たった一歩の勇み足が政治生命を危うくする綱渡りのような不安定さを感じないわけにはいきません。つまり、中国共産党は一党独裁と言いながら、その党内の力関係は複雑怪奇であり、結果としてそのベクトルは国内というより身内闘争に向いてしまうように見えるのです。それは四人組事件に重なるものがないとは言えないのです。

今、習近平と共に中国を引っ張る胡錦濤派の李克強首相はリコノミクスというアベノミクスにあやかるような、しかし中身は全く相違する経済ポリシーをもって中国の改革に努めています。それは「成長追求よりも改革推進」という言葉に凝縮されており、中国はもはや高度成長を目指している国ではなくなってしまいました。それは指導者のベクトルがバラバラであり、一つの共産党ではないことが大いに影響している気がします。

アベノミクスは日本が一つになり、強力に成長戦略を推進していくという外向きのベクトルが見て取れるのですが、中国は明らかに高い経済成長率の陰に踊りすぎた過去の悪い遺産の整理に当面時間を費やさねばいけないということなのでしょうか?薄熙来の裁判は分厚い遺産整理リストの一つに過ぎないとすれば中国が抱える問題の根の深さはまだまだという気がしております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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