外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2014年10月

街は、やっぱり西に動いている!4

1868年、新政府軍と彰義隊がぶつかった上野戦争、西郷隆盛の銅像、そして、1883年の上野駅開業。このころから東京の繁華街、あるいは北の玄関口としての上野は繁栄を遂げました。御徒町、アメ横といったバタ臭さがある一方、当時、都内で高級住宅地とは上野からすぐ西の文京区でありました。世田谷区にはぺんぺん草が生えていた時代です。

1880年代後半、上野から青森までの鉄道建設が進んでいたことを受け、新橋から上野までの鉄道を敷設することが決まり、その中間駅として作られたのが東京駅。出来たのは第一次世界大戦が始まったあの年で今から100年前の1914年です。

その後、新幹線が東京駅発となってから東京駅と上野駅の立ち位置は変ってきたと思います。新幹線の完成は東京駅ができて50年後の1964年であります。この頃から玄関口としての役割が北の上野、西の東京となり、東京駅周辺の開発に弾みがかかり、上野の地位は低下の一途となります。最終的には1991年の東北新幹線東京乗り入れが決め手となったと思います。東京駅の時代の本格的幕開けであります。

駅周辺の再開発ラッシュとなり、汐留開発もそれに加勢することとなり東京駅の機能は拡大の一途を辿ります。その上、先日のブログにも書いたようにこれからは八重洲の再開発が始まろうとしており、その拡大傾向は留まるところを知りません。

ところが田町操車場の再開発計画が街を更に西に動かしたことも否定できない事実であります。全ての新幹線が品川に止まること、リニアの始発が品川になること、羽田空港により近いこと、駅周辺の再開発がひと段落し、いよいよ田町にエネルギーが集結することなど材料は豊富です。

そして今日、このネタをわざわざ取り上げたのは東京駅と上野駅の間の「東京ー上野ライン」が来年3月14日開業となり、常磐線は品川発着となるなど品川駅の利便性が圧倒的に高まることになるのです。

新幹線から在来線への乗り換えは何処が楽か、といえば品川であります。理由は地下駅などがなく、駅中をさまよわなくてよいこと、人の流れが東京駅ほどではないので歩きやすいことなどがあります。逆に言えば東京駅の開発には無理に無理がかかり過ぎて様々な電車が乗り入れているものの供給側の論理主体(役所の論理としておきましょう)で利便性が相当犠牲になっていることがあります。

例えば地下鉄の大手町で迷わずにスムーズに乗り換えができる「初心者」は少ないかもしれません。それ以上になんでこんなに歩かせるのか、乗り換え駅としての表示にウソがあり、と思わず叫びたくなるのは私だけではないでしょう。

つまり、東京駅及びその周辺のインフラ整備は機能性を考えればもう限界なのであります。(物理的にはまだ作れるでしょうが、その価値はコストの増大に反比例して薄れていくと思います。)

とすればただでさえ都市機能が一点集中していると言われる東京の中で東京駅周辺に重きを置き過ぎた都市計画そのものに疑念さえ感じます。多分、財閥系と官との関係が開発を推し進めたのでありましょうが、当然ながらここはもうこれで止めにすべきであります。

新幹線開通から50年の今、なるほど上野から東京へのバトンが50年後に渡されたように東京から品川へのバトンが渡されたと歴史書は書くはずです。そして町は西に延びる、これも当たりました。

では、最後におまけですが、不動産事業を長くやっている者としてもう一つの新しい格言をここに書き添えておきます。それは

街は水に向かって開発される

であります。今日は紙面の都合でこれ以上書きませんが、これも自信があります。

では、品川の次はどこかと質問されると思います。はい、私は大井町の操車場だとにらんでおりますが。(ヒントとしてあそこならJRが神奈川方面に既存の線路を使えば新線を延ばしやすいはずです。)

ということで今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

一億総中流のツケ4

ソフトブレーン創業者の宋文洲氏の発想はかなり異質で時としてそれは違うだろう、と突っ込みを入れたくなることもしばしばであります。日経ビジネスに「異説異論」という正に氏の発想そのままの連載コラムがあるのですが、先日読んでいた内容はふと考えさせるものがありました。

それは「格差があることは良いことだ、金持ちと貧乏人を連れてこい」。全くもって頭に来るほど過激なタイトルなのですが、この刺激的な言葉の中に日本経済が20年も沈滞したままであるヒントがあるような気がしてきました。

「身の回りの自然現象は差があることで発生する」「気温や気圧の差が大気を動かし風を生み、水は高い所から低い所に流れ、エネルギーが生まれる」。確かにそうです。

ではこれを社会に当てはめるとどうなるのでしょうか?昨日、私は「いつかはクラウン」のキャッチの話をしました。これも遡上する「鮭」と同じで上に向かっている日本人がクラウンのところまで届きたいという頑張りそのものなのではないかと思います。遡上中、当然、振り落とされる「鮭」もいますが、だからこそクラウンの価値があるとすればどうでしょうか?全員にクラウンとなればピンクと水色のクラウンが街に溢れてしまい、異様な光景になります。

皆さんの生活において他人との比較がごく日常に行われていると思います。「あいつが買ったから俺も買う」「あの人の服、かわいいから私も欲しい」「最近あの店、流行っているらしいよ、行ってみよう」…。これらはあくまでも他人との比較の中で出てきた自分の立ち位置です。そしてそれ以上に意味あることは他人がやったことを自分も簡単にまねできる経済環境にあるという事です。これは言い換えれば他人も自分も同じ立ち位置にあるとも言えます。

宋文洲氏はこの点を過激な例えで指摘しているだけでエッセンスだけを取り出せばこれは確かに一考の価値がありそうです。

アメリカでMBAやマスターといった学士より上の高等教育を受けた人間が優遇される理由は何か、と考えた時、MBAという一般より更に一段上の世界に上る努力(遡上です)をしたものが得られる格差を自らの力で作り出そうとしているともいえるかもしれません。面白いことにそれら学生は初めはリベラルなのに社会人になるといつの間にか保守に変わるというのも重要な意味合いがあります。

日本が世界でもっとも完成された社会主義国家と言われるのは本質的にはリベラルなのかもしれません。そしてそれは1億総中流を達成した時、戦後の復興を支えた保守からリベラルに改めて変る転換期だったとすればわりとすっきりしないでしょうか?

国民の本質に変化が生じているのに政治だけがその変化をとらえきれていないから結果として政治不信が起きる、という事でもあります。ここにきて衆議院年内解散説も出てきたのはアベノミクスが作り出そうとしている保守、格差が日本の中流意識に合わない可能性があるのかもしれません。

「今時、一億総中流なんてない」と反論されると思います。ですが、世界水準で見れば日本は上も下も大して差はありません。経済や給与水準は20年沈下しているものの、どんなところに住むか、何を食べているかの差はあっても住めない、食べられないという世界はあまり顕在化していません。

日本経済がマッタリしてしまった理由はひょっとしたらこんなところにもあるのかもしれません。アジア諸国の優秀な若者がこぞってアメリカの大学に行くのは個人能力の「格差」をつけることで国を引っ張り、皆より一歩抜きんでることが究極的にあるはずです。それをみて「俺も、私も」と刺激を受け、食いつく国民と「へぇ、すごいねぇ、別世界だねぇ。」で終わってしまうのか、このあたりが一つの論点になってもよい気がします。

もちろん、私は格差万歳などと主張しているのではありません。ただ、いつまでも壊れかけたこたつの中で「まだ温もりが残っているよね」と言っているのでは日本の将来が不安だという事であります。

そういう意味では「今の若者は…」と口癖にしている我々中年から上の世代にも問題があるのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

なぜ売れない、日本の自動車4

日本国内の自動車販売が低迷しています。自動車各社が設定している販売目標に対して半年の時間経過での進捗率は45%程度。つまり、年間一年を通じてみれば目標を1割も下回ることになってしまいます。4-9月の総販売台数(軽含む)は昨年比2.8%減の247万3656台となり、2年連続でマイナス、これは年間500万台という数字にも届かないという事になります。

ホンダの決算見通しは売上、利益とも下方修正。その理由はアジアの不振。北米は確かにサブプライムローンが跋扈していますが、それが需要の先取りということは歴史が証明していますからこの先必ず振り戻しが来るはずです。

日本市場の場合、メディアは消費税をその主因としています。確かにそう考えれば簡単なのですが、個人的には日本人の車に対する意識が変わってしまったとした方がすっきりする気がします。

私がたまに東京に行けば家の周りにあるカーシェアリングやレンタカーの宣伝が否が応でも目につきます。個人的にカーシェアリングは好みではないので歩いて3分のガソリンスタンドに併設されたレンタカーの店に行くと半日で2800円。ガソリンを満タンにして返さなくてもガソリンスタンドですからそこでガソリンを満タンにしてもらい精算するだけです。おまけにリッター5円引き。

クルマがぼろいだろう、と言われれば確かにそうです。中古車でもかなり乗り込んだような車です。ですが、レンタカーを借りなくてはいけない理由とは公共交通機関では移動しにくい、モノを運ぶなどの理由があるものです。つまり、見てくれより実用であります。

私がバンクーバーでやっている事業にレンタカー部門があります。この中でご指名でよく出るのがレクサス。2008年型ですから確かに古いのですが、車自体が高級であり、ヘタレた感じがしないこともあり、とても人気があります。このレンタルが24時間で60ドルプラス税金。誰が利用するかというと当初はホテルの真ん前のロケーションなのでホテル客を対象にしていたのですが、最近は近所の人が圧倒的に多くなっています。いわゆるリピーターで人によってはわざわざタクシーに乗って借りに来る人もいるのです。このレンタカー部門の売り上げは前年比ほぼ倍増で推移しています。

カナダの自動車販売は好調のようですが、一方で車を持たない人が増えているのもこの5年ぐらいのトレンドであります。理由は車の維持コスト。まず、停めるところを確保するにあたり、コンドミニアムに居住の場合、駐車場はせいぜい1台分しかあてがわれません。ご承知の通り車は一人一台の北米ですが、住宅事情が一家に一台に変えつつあるのです。

二つ目に飲酒運転のかなり厳しい取り締まりであります。こういっては何ですが、昔はかなり緩かったバンクーバーも今は飲酒で仕事失うことも普通にあります。(免停90日で通勤出来ない、あるいは業務ができないという理由)。更には街の中心部の駐車料金の異常さ。料金そのものはともかく、税金が33%もかかるのです。これはローカルの人も案外知らない隠れた事実であります。更にガソリン価格の高騰。今でもまだリッター140円ぐらいで原油の輸出大国カナダとしては不満であります。もう少し加えると高齢化の進んだカナダで車をあきらめる人が増え、若者も車を所有せず、普及しているカーシェアリングなどで借りる選択をしていることが挙げられましょう。

カナダにおける一部の層のクルマ離れは経済的理由と支出の論理性と考えらますが、同じことが日本でも起きているという事ではないでしょうか?自動車会社は躍起になり若者を惹きつける車を作っています。日産に刺激されたのか、トヨタ、ホンダもスポーツカーでイメージ戦略に転じています。しかし、公共の交通機関、相乗り、カーシェアリング、格安レンタカーとくれば車庫借りて、高い維持費を負担してまで車を持つ論理性が十分ではありません。勿論、私から上の年代の人は「いつかはクラウン」で育ったわけですから車がガジェットだったわけで、そんなことはないと反論するでしょう。

ですが、ガジェットだったら今の若い人はITのガジェットの方が絶対に欲しいわけでどうしても彼女を隣に乗せる格好良い車という発想そのものが時代遅れであります。

日本の場合、もう一つは駐車しにくくなったことを上げておきます。住宅地に行けば確かにコインパーキングはありますが案外一杯なのです。路駐は勿論できません。一方、繁華街。週末のデパートに入るための駐車場の行列は時間の無駄遣いでストレスも一杯になります。

では自動運転の未来型自動車ができたらどうなるか、ですが、個人的にはますます所有しなくなるだろうと思います。必要な時にウーバーのような会社のサービスで車を呼び出し、時間になったら家の前に車が待っている、そしていらなくなったらそこで放置すれば勝手にどこかに駐車して次の客を待つようになるのでしょう。

テクノロジーの進化とは人に所有することをさせないのかもしれません。コンピューターだってクラウド化が進み、ソフトもデータもあなたのパソコンにはないのが普通になってきています。ITが作り出す人類のライフと価値観の進化が所有に対する常識も覆えすのでしょうか?もちろん、今日明日にはなりませんが、20年ぐらいのスパンで考えるとそれぐらいの大変化が起きても全然びっくりしません。

逆に言えば昨日の繁栄は明日の悲劇にもなりかねないのであります。我々は今、その変化を少しずつ感じ取っているそんな立ち位置にいるのでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

考察、東京電力の黒字観測が引き起こすこと4

日経の企業決算の観測記事は比較的信頼度が高いのですが、その中で東京電力の2015年3月期が今の状態で1250億円の黒字になることがすっぱ抜かれました。これを受けて月曜日の株式市場では久々に東電に電燈がともり16%の大幅上げを記録しました。

この記事について角度を変えた視点での解説はあまりないと思いますので今日はこの点を取り上げてみたいと思います。

まず、東京電力は柏崎原発の再稼働を「前提」とした事業計画を作成しております。これは当然であって、対政府、新潟県、金融機関、顧客、関係者に対して柏崎原発の再稼働が東電にとって真摯で必ずなくてはいけない前提条件であるという姿勢を見せなくてはいけないからです。私が社長でもそうします。

ただ、企業はfail safeといったバックアッププランを立てるのも当然です。地元の同意がなかなか取れず、日本全体の原発の再稼働も進まない環境下で2014年7月から再稼働する計画は絵に描いた餅であり、そのプランが機能しにくいことも認識していたはずです。

東電は昨年、柏崎の再稼働の申請をしていましたが、当時、官側の人的体制が十分ではなく、優先順位をつけるという事で話が進んでいました。そして全国の原発の中で九州の川内を含む数基が再稼働第一候補に上がり、柏崎は入っていませんでした。その先行再稼働するはずの数基も一時期は夏の再稼働かと言われたものの、今だ動かず、年内の可能性も薄くなってきています。この現状を考えれば柏崎を計画に盛るプランAと動かない場合のプランBでは実質的にプランBが好む好まざるにかかわらず、唯一の選択肢であると幹部は十分把握していたと思います。

そこでコスト削減の対策に出たわけです。もともと東電は7月に柏崎が動かなければ150億円の赤字予定でした。つまり、日経の観測記事が正しいとすれば柏崎が動かないにもかかわらず1400億円改善したわけです。そして、個人的にはこの改善幅は更に上振れする可能性が高いとみています。それは原油価格の下落であります。本稿を書いている月曜日のニューヨーク時間の昼頃で既に79ドルの攻防となっており先週末比で1.7%下落、安値圏に再び突入しています。

原油価格については政治的理由もあり、更に下落する余地が高くこれは電力各社にとっては恵みの雨となります。これに円安が仮に軌道修正されれば東電は立派な再生会社になり替わるはずです。

ただ、そこには大きなジレンマが生じてしまいます。

原発がなくても電力会社はやっていけるじゃないか

というボイスであります。つまり、東電が頑張れば頑張るほど、原油価格が下がれば下がるほど日本で原発の再稼働が難しくなるのであります。これは現政権にとっては実に面白くない話となるはずで世の中に原発の議論が再燃することも大いにあり得るのです。

折しも想定外の太陽光発電の爆発的増加、小規模の石炭火力発電所、更には風力発電から地熱発電まで原発事故までほとんど考えられなかったような「エネルギーブーム」で将来の予見すら難しくなってきました。

ロシアはパイプラインを北海道に引くというラブコール、北米からのシェールのLNGは既に「完売」状態となっており、更に日本と一心同体のカタールからのガスが安定供給が維持されれば電力会社の当面の危機からは安どの声が出てきてもおかしくありません。

私は東電の今回の好決算見通しは保守的な見通しがたたったと思われ、今後の値上げは厳しいものが出てくるかもしれないと思っています。但し、同社の社内体質が大きく変わり、本当の利益を生み出せる「新生 東電」となってくれればそれの方がずっと良いと思っております。

今回の黒字観測は様々な意味で議論を呼ぶかもしれませんが、経営というレベルで見れば頑張り過ぎてややっこしくなってきたかな、というのが印象であります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

正念場の11月を迎えた安倍政権4

この数日の間メディアによる内閣支持率の世論調査が発表になっていますが、支持率低下が顕著になっている傾向がはっきりと出ています。折しも安倍首相はインタビューで「難題山積」と述べていましたが、その言葉通り、首相就任以来、かつてない厳しいかじ取りと運営が待っているように思えます。

日経の調査では消費税の再引き上げに賛成はわずか23%、反対が70%となっています。トレンドを見ると賛成のボイスが急速にかき消されたのが7月以降。私もちょくちょく日本に行っていた中で「あれ?」と雰囲気の違いを感じ始めたのはその頃であります。

4月の消費税引き上げについては「アベノミクス祭り」と前回の二の舞にならないよう企業側が周到な準備をしていたこともあり、4月、5月の落ち込みは予想に比べて軽微というニュアンスでした。これは日経などの記事の見出しにもその論調が強く押し出されていました。

ところが、貿易赤字が顕著に悪化していった頃から消費者の財布のひもが固くなった感じも出てきました。更にそれを後押しする形になった最近の円安で来年以降の輸入物価の上がりやすさが後押ししていることも遠因の一つかもしれません。その上、4-6月のGDPは速報の6.8%マイナスから9月8日には下方修正でマイナス7.1%となったことが政府関係者に大きな衝撃を与えています。

では現実の消費税再引き上げはどうなのか、といえば、上げることありきで法案が出来ていますので止めたり延期する場合、手間がかかり、ひいては再議論する余地を与えることになり、それこそ難題山積の安倍政権として絶対に避けたいはずです。これが消費税再引き上げは政治的理由で経済的影響は二の次とされる理由です。

安倍首相がそれを強引に進めるかどうかは11月17日の7-9月GDPの第一次速報に大きく委ねることになりそうです。特に対策という意味では11月17日の速報値が思わしくなければ金融緩和の追加を含めたパッケージを打ち出さねばならないでしょう。

株価が年末に向けて上がるだろうと言われているのは実はこのパッケージ期待であり、既に消費税再引き上げに首をかしげる国民が多数を占めているのであれば国民に「それなら仕方があるまい」と思わせるお土産が絶対に不可欠とみられているのです。

安倍政権も2013年の様に圧倒的な「ノリ」がもはやないわけですから自分の思い描くようなピクチャーが通りになるか、といえば案外苦しくなってくるかもしれません。とは言っても今、安倍首相以外にこの難局を乗り越えられるような期待が持てる政治家がいませんのでここは政治生命をかけてでも踏ん張っていただくしかありません。

11月はこの消費税の引き上げを占うGDPの発表以外に安倍首相にとって将来を位置付ける月になるはずです。

まず11月北京でのAPEC開催の際、習近平国家主席との首脳会談の可能性。これは行われる可能性が高いとみています。福田元首相が今週、習近平国家主席と会いますが、これは中国側からの招聘であり、事務的な下打ち合わせを更に推し進めているわけですから余程の差し違えでもない限り、実現するでしょう。問題はその中身で双方が前向きな姿勢とプランを見せれば経済効果は高いと思います。私はかなりのサプライズが出てくる気がしています。

次いでTPPも首脳級会合が11月に開催され、その行方が注目されます。但し、これは日本側のドライブというよりアメリカ、オバマ大統領が11月4日の選挙でどうなるか次第とみて良いでしょう。注目のアメリカ上院改選では民主党が過半数を維持できない可能性が高まっており、仮にそうなればオバマ氏のレイムダックは顕著となり、TPP交渉にも当然差支えが出ることになります。

間接的には先週あたりから本格化している企業の7-9月決算の状況も注目すべきかと思います。既にトヨタなど自動車各社はかなり良好な結果が期待できそうですが電機はシャープなど下押ししているところもあり、全体的に景気の回復感が企業レベルでみられるかどうか重要な判断どころだと思います。

既にアベノミクスに過大なる期待をする向きは消沈していますから小手先の細工ではなく、公表した方針を実務レベルまできちんと落とし込むことに専念してもらいたいと思います。特に国家戦略特区についてどうなっているのか、さっぱりであり、これは不安であります。私は国家戦略特区の詳細内容を受けて日本への投資を更に進めるかの判断を下すところですが、海外から見ればそのような企業や投資家は多いはずです。早めの展開が待たれます。

このところ閣僚の裏側のばかばかしい話が続きましたのでいい加減にそんなタブロイド版的なネタから本論に移っていただきたいというのが私の真摯たる願いであります。

今日はこのぐらにしておきましょう。

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ではまた明日。

日本人は本当にシャイなのか?4

海外において外国人にモノを言えない日本人は外国に住んでいる私が一番感じる日本人の「シャイ」な一面です。しかし、国内に目を向ければ日本人同士でも意見ができない、目上の人に何か言われたり高圧的な人に「はい」とイエスマンになってしまったり、上下関係で下の者は上の者に意見しないなどは日本の典型であります。

ではこの「シャイ」でありますが、本当の意味は内気なのですが、日本人が内気であるとは必ずしも思えません。ではなぜ、自分を表に出さないか、ここに日本人の本質がある気がします。

集落で皆で協力する姿勢は10人いれば10人が個性を出さず、部落の長のいう事を黙って聞き、それに従うことを日本の習わしとしてきました。仮にそこに背けばいわゆる村八分が待っているわけです。同調することは今の日本の社会でも完全に生きており、中高生の仲間意識やLINEの返事をすぐにしないことは最大級の仲間外れを呼び込むことになります。会社でも部内で飲み会があれば皆が参加するのが前提であり、○○君や△△さんが自己都合で参加しないとなると陰で何を言われるかわからない上に仕事の支障すら生じることもあり得るのです。

つまり、何はともあれ仲間意識持ち、家族よりも寄り合いを大切にするのが日本の魂かもしれません。

日本人がシャイに見えるのも一旦「控えめ」にする日本人としての「身だしなみ」があるために思いっきり前に出られないもどかしさがあるともいえるのです。それは社会の構造でもあり、それが例えば先日ノーベル賞を受賞した中村教授の日本人的ではない生き方が奇妙に映るのかもしれません。

例えば自分が勤めていた会社を訴えるのは日本の常識観ではないでしょう。なぜならば会社という運命共同体における個人の功績は会社の功績であって会社内で評価はされども高い報酬や特別なポジションを与えられることは伝統的流れではないからであります。事実、会社員の名刺は社名があり、肩書があり、そして最後に名前がくるのであって外国のそれと完全にさかさまであります。自分の能力がそこまであると考えるのなら自分で会社を興して自分でやりなさい、とも取れます。

朝礼で社是を唱和し、社歌を歌うのは組織に対する忠誠であり、個人プレーはないのであります。あるいは日本の社長の報酬が欧米のそれに比べて少ないのは社長は管理組合の組長であって経営の決定権は取締役会により依存するためであり、社長の権限と責任範囲はやや限定的であるともいえます。

日本には英雄やヒロインがいたかといえば地方ベースや主観的な目で見れば名前は上がるかと思いますが、歴史的に全国ベースで認知された人はいないはずです。あえて言えば坂本龍馬とも言われていますが、反論もありますし、歴史的事実関係に疑義も無きにしも非ずなのです。これぞ日本らしさの特徴であり、人の上に人を作らなかった社会ともいえるのです。

客観的な見方をすれば歴代の天皇を日本の英雄と考えることは可能かもしれません。それは長く日本人に精神的畏怖の念を持たせ続けてきたわけでどの時代にも天皇の存在が意識され続けてきたのです。

ということは日本人がシャイに見えるのは誰も天皇を超えることができないことが理由でもあるかもしれません。

この日本独特の文化を外国の人が付け焼刃の知識で語るのは実に難しいかもしれません。なぜならわれわれ日本人ですらよくわかっていないのでしょうから。シャイという言葉の奥深さを改めて考えるにはこんな秋の夜長の時がちょうどよいのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

マイナス金利の世界4

事業家にとって金利がかからないお金を調達できればこれほど嬉しいことはありません。だって、幾らでもいつまで借りていても利息がないのですから。しかし、これでは坊さんの世界です。

私は企業買収資金の調達で一時期最も高い金利で12%のものを借りたことがあります。サラ金ではありません。いわゆるメザニーンローンと称するリスクのある資金調達で当時、この世界では割と当たり前の水準でした。金利が二ケタになるとどうなるかといえば、せいぜい3年のうちに完済、ないし低金利ものに借り換えしないと金利倒れになるという事です。それは逆に急いで事業を形あるものにし、利益を生むことが求められ、ガンガン仕事をしないといけない世界を作るという事です。つまり、逆説的ではありますが、金利が高い方が頑張るのであります。頑張って借金を返済すれば次の余力が生まれ、新たなる経済活動ができるとすればこれはGDPアップにつながります。こう考えれば低金利はほんとうに経済活動にプラスなのか、考えものになってしまいます。

日銀の新規発行の短期国債(3か月もの)の入札で金利が初めてマイナスになりました。日本の国債の流通市場では時たまマイナスはあったのですが、ついに新発ものでマイナスをつけたのです。発行額は5兆円強でかなり大きなものであり、その平均入札価格は100,001円となり、これを計算するとマイナス0.0037%となります。これで日銀はお金を借りるのに5000万円強のお金をもらうことができました。とは言ってもこれを購入した金融機関はその資金を日銀にブタ積すれば付利が0.1%つきますので技術的には本当のマイナスにはなっていません。

では、なぜ、マイナス金利が発生するのでしょうか?これは日銀の異次元の金融緩和で国債という市場で日銀が国債の買い手となり市場から買い上げているからであります。巨大な日銀というバキュームカーが国債を吸い込んでいると想像していただければ良いでしょう。売り手の金融機関などがもう売るものがないというぐらいの希薄な市場となった一方、金融機関では国債に対しては一定の需要があるためその成立しにくい短期国債市場で買いを入れれば国債価格は上昇し、金利はどんどん下がってしまうのです。それがマイナスの世界を作り出したからくりです。

こう考えると直接的にはデフレとは関係がなく、単に技術的な結果でしかありません。但し、日銀の積極的な買いのみならず、国債にこれだけの人気が集まっているという背景は安定感を求める市場の声であり、究極的にはデフレリスクで需要喚起を求めているとも言えそうです。例えば住宅ローンの金利と密接な関係がある10年物国債(現物債市場)は遂に一時0.46%と2013年4月以来の水準となっています。日銀は短期国債市場でマイナス金利となってしまったためにこれ以上、この市場にインパクトを出せないと考えるでしょうから今後、中期国債(2-5年)にシフトするかもしれません。当然、長期にも影響するため、住宅ローン金利は更に下げることができるかもしれません。

事業者の場合はどうでしょうか?私もそうですが、日本で事業資金を例えばTiborベースで調達している場合には本当にこんな金利でよいのか、という水準になっているはずです。これが冒頭の「金利がかからない資金はいつまで借りていても痛くもかゆくもないから無理しなくてよい」という発想につながります。あるいは今からマンションを購入する人たちにとって金利が安いという文言は聞き飽きるほど耳にしてきたはずでそれよりも物件価格が落ち着くのを待つか、本当に気に入った物件が出るまで待つという消費行動に出るはずです。

例えば今、マンションの販売戸数が減っていますが、それは供給側がその数を絞っているからであって売れ残っているわけではありません。土地代、建設費が高くなる一方でエンドプライスが上げられない為に優良物件が少なくなっている、それだけの話です。

このストーリーラインからすると金利が異次元だろうが、マイナスだろうが、消費も喚起しないし、供給側にも力が入らないことが見て取れるかと思います。金利が低いのは力のない事業者を救うには実にふさわしい手法でありますが、それは正常な市場を育まないという点において重大な欠陥が生じやすいのであります。

ここを見誤らないようにしないとアベノミクス第一の矢はぽきっと折れてしまいかねません。実に微妙なところに来たな、という気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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