外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2014年12月

私は今年、汗をかいたのだろうか?4

今年最後のブログを迎え,まずはサポートしていただいた皆様に厚くお礼申し上げます。

私もこのブログを通じて好き勝手なことを書かせていただいております。まさに「異見異論」でありますが、私は常々主張しているように答えは一つではない、ということをバックボーンに持っています。そんなバカな発想はないだろうと多くのコメントを頂戴すればするほど私のブログの存在意義があると思っています。それが読者の自己主張を引き出し、自分の考えを論理的に記し、公開することで皆様と学んでいると思っています。皆が「そうだよね」「いいね」と思う心地よいことばかり書いていて癒されたいのなら他に星の数ほどブログやメルマガは存在します。私は皆様と共に学ぶことが一番楽しいひと時であります。

さて、普段のブログでは社会、経済、政治など我々の周りで起こっている事象を中心に書かせていただいておりますが、時として「そういうお前はどうなのだ」と思われている方も多いでしょう。今回は自己のことを中心に年の最後を締めっくくりたいと思います。

皆さん、経営者のイメージとはどんなものでしょう。立派な経営者とは従業員を何百人も雇ってNO.1を目指す社長さんでしょうか?私も従業員数3000人超のゼネコンに20年も勤めました。ですが、その間、私には部下がたった2人しかいたことがありません。現場勤務の時は現場の母(=事務方)として常に一人。不動産事業本部の時は特命係で部長と二人三脚。秘書時代に部下はいません。カナダ、アメリカにきて一時的に部下を抱えたことはありますが、それぞれ2年ずつ程度。あとは雑務から経営判断まで全部上司とのペア仕事の中で行ってきました。

つまり、私にとって何十人、何百人という部下をもって組織を引っ張るという経験は全くしてありません。もっと言うなら、家業は自営業だったこともあり、自分で汗をかくということが生まれてからこの方、当たり前のことでありました。

先日、某商社の現地トップの方などを交えた忘年会があったのですが、傍で見ていて生きるスタイルの違いをまざまざと見せつけられました。ただ、企業名と肩書を取った時、この人はどうなるのだろうとみると全く違う姿が見えてきます。たまにリタイアされたばかりの方とご一緒することがあるのですが、「俺が部長だった時は…」と勇ましいのですが、全てが過去形なのです。リタイアした今、現役時代と同じことをやろうともがいていらっしゃる方もお見かけします。

出張に行くことが仕事をしていると勘違いしている人は今でも多いようでマイレージの自慢話を聞かされると「本人がそこまで出張しなくてはいけない事業はよほど拡大しているか頓挫しているか」と思ってしまいます。

私の強みは一人で仕事ができることだと思っています。部下がいたことがないから「おい、これ纏めておいてくれ」とか「この件、顧客を説得してくれ」と言う相手がいませんから、自分で今でもやっているのが強みにもなるのです。

もう一つ、ゼネコンにいて自分に大きく影響したことはプロジェクトは2年程度の周期を繰り返すという事です。建物は建築してから完成するまでゼネコン側の所員と協力会社との連携を取りながら強いチームワークを結成します。ところが完成するとたちどころにチームは解散し、また全員、バラバラになっていきます。つまり、自分の2年後のことは全く分からない、だけどその短いサイクルでものを作り上げるというはじめと終わりがあるのです。

多くの事業は一旦スタートすると延々と続くものです。つまり、終わりは原則ありません。ですが、私は不動産開発も含め、常に終わりがある仕事をしてきました。これが時々ここでも書かせていただく経営の栄枯盛衰にもつながってきます。永遠に続くものはない。華は枯れる前に切るのがよいのであります。

更に一点あげると建設現場のゼネコン所員はせいぜい数名。それに対して下請けは何百人規模になります。つまり、ほとんど外注で必要に応じて必要な業者を招き入れる、というスタイルです。不動産開発の時はもっと顕著です。私はバンクーバーで600戸以上のコンドミニアムを建築、販売してきましたが所員は社長を含め3名だけでこなしたのです。不動産開発事業もコーディネーション業務と言われ、やろうと思えば誰でもできる、だけどその組み合わせのテクニックとチームを組成するのが難しい業種であります。

今、私の仕事のスタイルは正にこれです。だから極端に少ない人数で7つのビジネスをこなせるのです。そういう意味で大企業の方とは全く違いますが、これも一つのビジネスの進め方です。誰も知らない会社名だけどそこで汗をかくことが楽しいと思えれば大企業でいやいや歯車仕事をするより人生を楽しんでいるのではないかと思っています。

2014年、私はだいぶ汗をかきました。かなり仕事をしたし、来年からの中期展望にも目途をつけたつもりです。そんな汗交じりのブログ、来年もしっかり書いていきたいと思います。

皆様、ご支援有難うございました。そして皆様の2015年が素晴らしいものとなりますよう祈念しております。明日のブログではまず、「2015年 世界を考える」、明後日には「2015年 日本を考える」と題した内容をお届けする予定です。

今日はこのぐらいにしておきましょう。よいお年を。

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良いお年を。

かみ合いが悪かった2014年の日本4

2014年の日本を一言で回顧するなら政府の歯車と国民の歯車のかみあいが悪かった一年だった気がします。

アベノミクスにこれほど賛否両論、様々な意見が交わされるとは2013年には想像しなかったと思います。アベノミクスは愚策と言い切っていた人たちにとっては「ほら、見たことか」と思っているかもしれません。アベノミクスシンパは「いや、12月の選挙で再び信任を貰ったのだからきっとやってくれる」と2015年に期待をしていることでしょう。どちらにしてもアベノミクスの効果は期待に対して現時点では半分かそれ以下の達成率であることに異存はないはずです。では、時間がたてば達成できるか、という点については疑問視する声が大きくなっています。

共通するのは第三の矢は飛ぶのか、という事。11月21日閉会の国会で女性活躍推進法案も国家戦略特区法改正案など目玉とするものは廃案になっています。そこで出てきた「3.5兆円経済対策」で地方、消費、中小企業に重点となっておりますが、広く浅いバラマキにもみえます。第3の矢は構造改革なのに打ち上げ花火のような経済対策を打ち出してきたのにはちょっとびっくりであります。

かみあいが悪いのは日本の社会がポストバブルの世代の価値観が大きく変化したのに対して政府、役人がついて行っていないというギャップが大きな要因の一つだと思います。重層な政治家社会と官僚というこちらも一般社会とは隔離された感覚をお持ちの方々との連携でドライブする日本丸ですからいわゆるごく普通の団塊ジュニアの基本発想と常識観などは声にもならないのでしょう。

最近のニュースで今の日本を端的に表していると思ったのがシェアハウスに住んでいるひとり親の女性の補助金を役所が打ち切ったというニュースです。その理由が「一つ屋根の下に住む(=住所が同じ)場合には事実婚とみなす」との1980年の厚生省の課長通知がそのまま適用され、補助金を打ち切られたとのことであります。正に世の中の変化に対して役所がいまだに対応できていない好例であります。大体、それ以前にシェアハウスというカテゴリーは役所の建築基準にないのでそれを建築すること自体の基準法規は寄宿舎規定などの運用適用となっているお粗末さであります。

日経の政治部記者が選ぶ今年最大のニュースは再増税延期衆議院解散であります。それに対して読売新聞の読者が選ぶ日本の10大ニュースにおいては解散総選挙が5位、消費税引き上げ先送りに至ってはなんと16位と国民の反応の違いを感じさせる内容になっています。比較がapple to appleになっていない点を間引いたとしても視点を変えれば結構違う、という感じがします。ちなみに日経政治部は「消費税8%引き上げ」が6位に対して読売は2位。つまり、庶民は実感を重視し、記者は決定事項を重視するというタイムラグもあります。この温度差が如実に出たのが今年ではないでしょうか?

2014年を概観すれば書ききれないほどいろいろありますが、的を絞れば日経平均はいよいよ18000円の大台にリーチがかかっていること、円ドルの為替は120円を超える状態になっている点においてはアベクロコンビの成果であることは認めます。ただ、金融緩和→円安→株高というシナリオが健全な流れで今後永続的に続けられるわけではないのですから踊ってばかりいれば足元をすくわれることになりかねません。

こちらも本日の演題同様、「日経平均18000円で誰が儲けた?」と聞けば一番は外国人投資家という事になります。円が安くなって誰が得したか、といえば海外に工場進出していなかった一部の輸出業者で一般庶民は食料品の値上がりに「今夜のおかずは一品減らす」ことになったかもしれません。いやいや、ガソリンの価格は23週連続下がって150円を切ったじゃないか、と反論があっても「車に乗るのは週に一度だけ」という人にはそのメリットはあまり感じられないでしょう。

大企業は円安で決算が好調なところもありますが、従業員に円安還元することはなく、「為替は水物ですから将来の円高の為に内部留保」という事になっているのではないでしょうか?

今年一年、政府の歯車と企業の思惑と庶民感覚がずれ続けたというのが私の印象です。ベクトルを同じ方向にすることで高揚力をつけ、素晴らしい発展を遂げたのが60年代の高度成長期でした。あの頃は政府も企業も国民もメリットがあったのです。今は防戦ばかりというのが庶民の声ではないでしょうか?来年こそ期待したいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

2014年のアメリカは本当に一人勝ち4

世界経済が低空飛行となっている中でアメリカが一人(一国)気を吐いた点については多くの方が同意するかと思います。詳細を見ればきりがありませんがアメリカの一人勝ちであったことは間違いないと思います。

ただ、私は「経済」という観点と「今年は」という所に力点を置きたいと思います。

先ず、経済の最大の成功点はFRBが量的緩和を無事、終了し、来年のしかるべき時期に利上げを行うであろうという市場筋の期待感を刷り込ませながらもクリスマス前にはダウが18000ドルを超える活況を呈したという事であります。FRBの運営の難しさとは基軸通貨のドルのハンドルさばきを間違えれば一発で大事故につながるという怖さであります。私は再三、その点を指摘してきましたが、少なくともイエレン議長のテクニックはうまい、と思っています。

一つ、気をつけなくてはいけないのはドルの基軸化が強化されればシーソー関係にある他通貨は弱含み、結果として他国の物価水準を引き上げ、世界景気の減速感を強めることになります。私が気になっているのはドルのレパトリ(本国回帰)であり、本国に帰ってきた資金がだぶついた結果、株式などに資金が回るという構図ができてやしないか、という事であります。

また、サブプライムの自動車ローンについてもそういうところに資金が流れるほど運用難になってきている、とも言えるのです。今年は1600万台の販売が確実視されており、来年は1700万台だという声も出ていますが、これは休み休みにしてほしい、と思っています。

実は私事ですが、カナダ法人の投資部門で融資していたバンクーバー郊外のある不動産事業が「ほかに資金手当てがついたから全額前倒し返済したい」という非常に珍しい早期完済を申し出てきました。この物件は当方の貸し出し条件はかなり「お安め」の条件だったのですが、それを上回る条件(つまり低金利)でリスクを取る人が現れたのか、と思うと資金のだぶつきを思わず感じないわけにはいきません。(カナダとアメリカは資金がかなり自由にやり取りされます。)

今年のアメリカの景気回復に拍車をかけたのがシェールブームでした。これは関連産業や周辺地への経済波及を含め、大きなサポートとなったはずです。また、アメリカが石油を自前とし、コスト低下から輸出産業を育成するというシナリオも一年前に大きく掲げられていました。

ただし、ここからはそんなにすんなりとは問屋が卸さないかもしれません。まず、輸出産業って何でしょうか?まさか、繊維や家電や車ではないでしょう。今、アメリカからしか輸出できないものがどれだけあるのか、疑問が残ります。資源や食糧は土地にヘッジしたものでありますが、工業製品は世界のどこでも作れるという特性を考えればアメリカで作る理由は見つかりにくいと思います。

アメリカの最大の問題は政治であります。大統領と議会の激しいぶつかり合いが1月から本格化します。大統領のやろうとしていることがことごとく反対され、議会は大統領が反対することを押し通そうとしています。挙句の果てに共和党は大統領の権力乱用で訴訟する準備ができていることから国内政治問題は当面進捗を見ない可能性があります。

つまり、政治がボロボロになりつつあるアメリカが本当に一人勝ちなのか、といえば疑問符がついてしまい、私が冒頭「経済は」「今年は」と断りを入れたところにつながります。

では、2015年は全然希望がないのか、といえばそんなことはありません。石油価格についてはサウジが手綱を緩めない姿勢を示していますが、2015年のしかるべき時期に石油価格は大きく反転し急騰するという見立てをしています。石油価格の必要以上の下落は一部の国(日本や中国)にはメリットがあるとされますが、一般的には面倒なことになります。目先ベネズエラの動きだけは要注目となります。

また、2015年の最大のテーマはIoT(Internet of Things)となるはずで、これについては日を改めてトピを立ち上げますが、この分野のアメリカの強さは目を見張るものがあると思います。日本はこれにフォローする形となるでしょう。

2014年がアメリカの一人勝ちだったか、といえば何をもってそれを言うのか次第でありますが、さほど異論はないでしょう。ヨーロッパ勢もアジア勢もそして、プーチン大統領もすっかり「元気の素」を抜かれた中で、アメリカが笑ったという事になりますが、ただアメリカ人の誰が笑ったのか、その象徴すべき顔が見えないところが一番不気味ではあります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

笑った、泣いたプーチン大統領の一年4

泣いた、笑ったならすっきりしますが、笑った、泣いたでは気持ちよくないと思っているのはロシアのプーチン大統領でしょう。

笑
泣き







今年のメディア露出度の高さ調査があればたぶん、一番になったであろうその人の2014年は「本当にお疲れ様でした」と申し上げたくなります。

まずは間に合う、間に合わないでガタガタしたソチオリンピック。開会式には、欧米首脳の欠席が相次ぎましたが安倍首相はしっかり参加し、プーチン大統領との仲の良さをアピールし、「森喜朗から安倍晋三へ」の自信をしっかり持ちつつあるところでした。テロ予告など様々な抵抗勢力にプーチンらしい強さを見せつけ、オリンピックそのものは無事終了することができました。

が、その頃同時に起きていたウクライナ問題はいよいよクリミア、セヴァストポリの独立、ロシアへの併合を進め3月18日に編入してしまいました。まさに戦時中の歴史書を読んでいることが実際に起きてしまったわけです。本来ならばプーチン大統領はこの辺でさっさと手を引きたいところでしたが東部ウクライナの親ロ派と言われるグループが「俺も入れてくれ」と言ってきたところからおかしくなります。

国際世論はクリミア併合だけでも許せないとみているのに親ロ派に手を貸したとされるに至っては欧州あたりで人気があったプーチン大統領の評価急落、一方で外交ポイントが少ないオバマ大統領がここぞとばかり地政学的にも遠く、縁も少ないウクライナにちょっかいを出し続けました。困惑したのは欧州で今日のEUの不景気の一端を担っている次第であります。

更にとばっちりだったのがマレーシア航空の墜落事件でその原因についてはいまだ調査中で欧米、ロシアがそれぞれ全く違った見解を述べ、平行線をたどっています。

プーチン大統領にとって欧米からの経済制裁はある程度予想していたものであるし、いざとなれば中国からその補完をすれば良いという考えはロシア中国の接近を生み、巨額で長期にわたるロシアの天然ガスの中国による買い付け契約も行いました。これは外交的に見ればアメリカにとって大失敗な話で自分でウクライナに手を出しておいてプーチンを追いやれば中国とくっつくのは目に見えていました。

日本の戦国時代、戦いにおいて敵の脱出ルートを一か所だけ確保しておくというのは重要な戦術であったのですが、それは囲い込み、全滅作戦を行おうとすれば必ず、相手は想定外の行動をしかねないということが一つにあります。プーチン大統領にとってみれば欧州側のルートが絶たれたのだからシベリアルートがあることはごく自然の流れであります。そしてそこには習近平国家主席がニコニコして待っているだけでなく、安倍晋三首相も「ぜひとも取引させて頂きたい」という姿勢ですり寄っています。

では、年の終わりに急落した石油価格。OPEC総会でサウジなどが石油減産をしないことを主張したことで石油価格は急落、遂に年初の半分になってしまいました。プーチン大統領もここまでか、ぐらいのトーンのメディアも目につきましたが、ロシアはそんな柔な国ではありません。「2年ぐらいは我満」と大統領も述べていますが、寝技で抑え込まれても我満強さは厳しい自然環境がくれたロシア人への褒美であります。

石油価格は来年には回復すると見込まれています。世の中、オーバーシュートが長期続くことはなく、市場だけを見ていれば既に異常値となっているのです。異常値は統計的な確率からすれば極めて少ないわけで現在の世界情勢においてそれが長く続く説得しうる理由が十分にあるとは言えません。

笑った、泣いたのプーチン大統領ですが、来年はまた「エヘン」と誇らしげな顔を見せることでしょう。

雑誌のTimeはエボラで戦う人を今年の人の一位に押しましたが、それはアメリカ発の様々な意味合いも含んでいるとすればTimeの最終候補にも残っていたプーチン大統領が今年話題ナンバーワンであったことは間違いないと確信しております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

中国は既にピークを過ぎたのか?4

中国政府は胡錦濤前国家主席の側近の令計画氏を「重大な規律違反」で調査すると発表しました。習近平国家主席体制の粛清第三弾となります。つまり、元重慶市トップの薄煕来氏、前政治局常務委員の周永康氏に続くわけですが、共青団を追いやるその姿が腐敗撲滅という名のもとの勢力争いに過ぎないとまでしたら言い過ぎでしょうか?しかし、私にはそう見えます。

それは戦後の中国のあり方を見てもその一部を垣間見ることができます。国民党を率いた蒋介石は戦後、不人気もたたり、1949年共産党の毛沢東との戦いに敗れます。中国の建国を果たしたあとは毛氏崇拝が高じて文化大革命に進みます。その際4人組とされた人たちは結局毛氏の後の自分の勢力とポジションが欲しかっただけであって毛氏崇拝を掲げながらも態度は自分の権益を作り、守ろうとしたことが文化大革命の書籍にはあらかた記されています。そこは権力と勢力を中心とした人と人の争いの連続であります。

今回、習近平氏は毛沢東型の地位を作るのではないか、とされています。事実、当初は習近平氏が正しい意味で腐敗を撲滅させ、粛清するという風に見ておりました。国民向けの政治家としての顔としては高い支持を得ているはずですが、真意は勢力争いという別の顔で今やそれが表の顔になりつつあるところに極めて大きな懸念を感じます。

早稲田大学の本村凌二教授は1840年のアヘン戦争から1990年代までを失われた150年と称していますが、私はひょっとしたらその150年は今、170年ぐらいに延びていて更に続くのではないか、という気がしています。

習近平氏の中国は第一幕が2017年までであって、習体制が盤石であれば第二幕に入ることができます。ただし、第三幕はありません。つまり国家主席は最大10年であって習近平体制が延々と続く仕組みにはなりません。となれば、選出のたびに中国の政治は勢力争いで国策や外交どころではなくなるわけであります。

では今日のお題の「中国は既にピークを過ぎたのか」でありますが、単刀直入に言えば今の中国においては過ぎた可能性はあります。まず、経済的には世界の工場としての中国が機能し、上海万博、北京オリンピックという二大イベントを取り込み、GDP世界第二位に躍進したその力を見せつけたところまでは素晴らしい勢いでした。

ところがその後、不動産、及び前倒しの公共投資に走り、非常にアンバランスで不健全な地方都市経済を生み出しました。更には上海を中心とした成功者と農村部に代表される躍進した中国に乗れない地方出身者の格差は縮むどころか、拡大しております。本来の共産主義はどこに行ったのか、ということになっています。

では、経済的発展は今後、どうなるのか、といえば自然な経済成長よりはるかに前倒しした公共投資と不動産投資は負の遺産となりまだまだ簡単に解消しないはずであります。一時期言われてた崩壊の危機からは遠くなった気がしますが、中国復権となるかどうかは微妙なところにあります。

なぜならば世の中の進展スピードはより加速度がつき、経済の繁栄がひとところに留まる期間がだんだん短くなっているという特性を考えれば実質的にはモノづくり中国の時代は過ぎ去り、東南アジアから着実にインドに向かっているようにみえるのです。(但し、インドがその役割を担えるか、と言われれば現状では無理にみえますが。)

その間、中国は派閥争いというものに大変な労力を注ぎ込まねばならず、本来最優先しなくてはいけない負の経済の清算、GDP世界第二位の国として研究開発を通じて世界水準との戦い、世界に通じる品質とネームバリューの構築などいろいろあるはずです。 しかし、一般的に中国の人が求めるものは果実のみ(=お金)であり、その間の労力や苦労や省略する傾向が強いのが気になっております。

中国の歴史を振り返っても結局出てくるのは民族間の戦いであります。過去延々とその戦いをしてきた民族が一丸となって一つのことにベクトルを向けることができるのか、といえば簡単に頷けないでしょう。ここに中国の難しさが潜んでいるのだろうと思います。

習近平国家主席が狡猾であればあるほどベクトルはバラバラになるともいえるのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

遠そうな韓国の春4

韓国がある意味、これほど注目された年はあまり記憶がありません。

セウォル号の沈没から始まりコンサート会場で駐車場の換気口の上にいた観客が落ちたというのもありました。産経新聞の加藤元支局長の記事の問題やサムスンがスマホで儲けられなくなったこと、挙句の果てには「ナッツリターン」で見事に年の締めまでして頂いた、というのが私の感想です。

ちなみに韓国・聯合ニュースが選んだ10大ニュースの1位から5位は上位からセウォル号沈没事件、ローマ法王訪韓、朴槿恵政権「陰の実力者」に関する内部文書流出事件、軍隊内での殺人事件2件、首相候補者が指名辞退となっており、日本で聞いているニュースとは若干ニュアンスが違う気がします。「ナッツリターン」事件は締切の関係で選に漏れたと思われます。

韓国国内と日本を含む外国の目線はずれが生じている気がしています。ただ、多くに一定の共通点があるように思えます。それは脇の甘さやfail safe(万が一の時の安全装置;日本語には適訳がない言葉です。)の不足であってpreventive(予防的措置:これも日本語ではあまり使わないはずです。)な準備ができていない事から始まった事件が多いことであります。

これは実は日本も同じなのですが、日本は既に大きな失敗を何度もしてきているため、その荒波を既に乗り越えてきているとも言えそうですが韓国にはまだ詰めの甘さが見て取れるという事であります。私がわざわざ英語でfail safe やらpreventiveなどというあまりなじみのない英語の言葉を出したのは韓国のニュースをあまり、他人事だと思ってはいけない、という戒めでもあります。

それはさておき、記憶に新しい大韓航空元副社長のむちゃくちゃでこれほど恥ずかしい行動はホテルマンにとって憧れのコーネル大学ホテル経営学科卒業生の行為だったのか、と言いたいところであります。それ以上に父親はなぜにして娘の性格を見抜いた上で副社長の要職につけていたのか、という疑問であります。普通の会社では当然ながら副社長に指名した父親は責任を問われるはずですが、そちらの方の展開は事件処理の一定の進捗を待って、という事なのでしょうか?少なくとも娘は逮捕される見込みで、大韓航空には厳しいペナルティが課せられることとなっています。これは株主への背徳ともいえ、同社の問題にとどまらない気がします。

朴槿恵大統領もいろいろ話題を提供してくれています。上述10大ニュースの3位である「陰の実力者」とは元側近のチョンユンフェ氏の問題でありますが最新のニュースでは朴大統領の弟の朴志晩の関与も取りざたされています。その上、「陰の実力者」は人々の関心を呼んでいる産経新聞の記事のうわさの当人ではないかという観測記事も上がっている次第であります。何が本当だかよくわかりませんが、韓国ではかつて大統領などトップクラスとその家族との不審な事件が何度も凝りもせずに起きています。

これが儒教の影響なのか、といえばそうかもしれないという気もしますが、韓国を取り巻く常識観は明らかに世界の基準と一線を画しています。歴史的にも半島というのはとかく問題が多かったのは周知のとおりであります。この朝鮮半島、今日に至っても安定的な発展という点からは程遠いし、この先、それがやってくるのかといえばまだしばらくははなさそうな気がします。

経済的には厳しさを増す韓国ですが、キーはサムスンにかかってくるかと思います。もしも2015年の決算や経営がドラスティックに変わるような事態になれば国民感情を含め、その影響力は全土に広がり、厳しい対処を迫られることになります。80-90年代の財閥解体以上の抜本対策をしたうえで5000万人の力が同じベクトルになるように仕向けないと立ち直るには遠い道のりとなるかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

いま必要なのは失敗を認める社会4

すっかり2014年話題の人となったSTAP細胞の小保方春子研究員。検証実験の結果、その細胞の確認をすることができず、小保方氏は理研を退職、それが受理され、噂された更なるステージの戦いもなくなることとなり、氏の名前は年が明けるとともにほとんど耳にすることはなくなりそうです。

私は科学的内容が分かりませんので外野として見ていただけですが、どうしても解せないのは小保方氏だけがなぜ、そこまでやり玉に挙がったのか、という事であります。日本では比較的チームワーク主体であり、組織がその顔となる中で本件は本人だけがまるで週刊誌の格好のネタ扱いにされた点はしっくりきていません。

私としては氏がこれから苦節の時を過ごすかもしれませんが、研究者としてSTAP細胞の存在をそこまで信じているなら人生を賭けて探し出してもらいたいと思っています。そのためには彼女が研究し続ける環境を提供することが必要でしょう。多分ですが、国内では厳しいでしょうからアメリカかどこかで続けるのが選択肢としてあろうかと思います。私は研究者としての彼女の次の成長を見てみたいと思います。

日経ビジネスに「社長が選ぶベスト社長」の1位に日本電産の永守重信社長が選ばれました。氏の1位は私も至極同感でありますが、私がそう思う理由の一つにシャープの元社長、片山幹雄氏を幹部として招き入れたことであります。永守氏も70歳ですからそろそろ後進について考えなくてはいけない頃かと思います。片山氏は多分、その候補の一人になるはずです。永守氏は片山氏がシャープという売り上げ3兆円規模の会社社長を40代で経験し、チャレンジし、苦労したことを最大の武器と考えています。

これは永守氏とユニクロの柳井正氏の対談にもあるのですが、両氏に共通しているのは失敗を評価していることであります。永守氏は8勝7敗、とか9勝6敗ぐらいとしているのに対し、柳井氏は自分を1勝9敗と自著で評しているぐらいであります。また、永守氏は片山氏を「たまたま失敗した」と仰っていますが、逆に言えば失敗できる環境が与えられていただけでも素晴らしいのであります。

多くの企業にお勤めの方は失敗経験がないかも知れません。それは企業経営が失敗をしないよう、何重にも対策を施しているからです。よって社員がちょっとしたヘマを犯しても必ずどこかでフォローされるようになっています。これは上司からお目玉を食らうことはあっても社会的に責められるようなことにはなりにくいのです。

その歯止めがかからなかった珍しい例が今年4月、JTBの社員が岐阜県の高校のバス旅行の手配をミスし、社員がそのミスを隠ぺいしようとした事件でした。あれも不思議で社員一人だけが全てをコントロールしている状態がJTBという企業規模で起きうるのだということでした。本件は組織そのものに問題がある場合でこれは褒められる失敗ではありません。

私はもはや、失敗できるのは経営者だけではないかとすら思いたくなるほど失敗への対策が十分にとられつつあります。経営とは道なき道を進むことであり、大きな賭けも存在するでしょう。我々は企業の成功話や研究者の功績、ノーベル賞などを「さも華やかな世界」と思っているかもしれませんが、当事者となれば血尿が出る思いで歯を食いばって頑張って来ているのです。

小保方氏のニュースが私にとってとても嫌な響きに聞こえるのはこれを聞いて多くの研究者、チャレンジャー、経営者、起業家などいわゆる挑む人々にとって失敗した時のさらし首の絵図を見せられてしまい、萎縮しやしないだろうか、という点であります。

このブログで何度も書かせていただいているように日本では失敗者はその十字架を一生背負わされる運命となりやすいことであります。人事異動で新たに部署に配属になった人を見て「あの人、以前、あの問題を起こした人よ。」とこそこそ話でその人の過去がいつまでたっても消えず、挙句の果てにその人のしゃべる言葉そのものの信頼性がどこにも存在しない世界となりやすいのです。

ノーベル賞を取った中村修二氏がアメリカの大学の教授に収まり、日本に比べてどれだけ心地よいかと述べられていたのは氏が日本で戦った裁判ぐらいは北米ではごく普通であるからであります。私のカフェによく来るお客さんの一人に私と10年続く裁判の原告がいます。しかし彼とはごく普通に会話をし、コーヒーを楽しみ、サンドウィッチを食べてもらい、笑顔で送り出しています。唯一、裁判の話の時だけギアが変るのです。でも日本ではそんなことは絶対にありえないはずです。絶対に。

失敗は本来、誰でもするものです。ところが今は失敗すらさせてもらえない社会だから失敗にぶつかると日本人の態度は異様に豹変します。私にはこれは恐ろしすぎて日本の一番嫌いな部分であります。心をもっと広く持ってもらいたい、常にそう思っています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
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