外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2015年01月

時代も経営も流れはオープン化4

今から20年も前、バンクーバーで集合住宅開発事業に携わっていたころ、台所の設計について大きな時代の変化がありました。それはオープンキッチンと呼ばれるものでそれまでの台所は囲い込み型デザインからキッチンがダイニングルームと一体化する作りとなり、いわゆる参加型のキッチンが一気に開花したのです。

それまではカナダと言えどもキッチンは女性の城とも言われ、見せたくないエリアの一つでありました。ところがキッチン仕事は女性ばかりがやるわけではなく、また、家に友人などを呼んだ際には皆でキッチン越しにワイワイすることは楽しいひと時と変わっていきました。これがオープンキッチンが普及した大きな理由でしょう。

その後、レストランでもオープンキッチンはあちらこちらで見かけるようになりましたが、その理由は作っているところが目の前で見ることができる、つまり、インチキをしたり、変なものを使っていないという証ともなったのです。寿司屋はその点、日本の伝統あるオープンキッチンであり、今や、白人客がカウンター前の冷蔵庫の寿司ネタをネタに寿司談義している姿もごく普通に見られます。

このオープン化は台所やレストランに限ったわけではありません。コンピューターソフトの世界ではウィンドウズに対抗して出来たLinuxがオープンソースソフトウェアの礎となりました。更にオープンからシェアをするという発想に発展し、日本ではシェアハウスも第三の居住スタイルとしてその地位を築きつつあります。

コンピューターの世界ですと特にインターネットを駆使し、世界のどこでも繋がるという強みがオープン化を促進させたとも言えます。そこでは国境という枠組みを既に取り去ってしまっているとも言えるでしょう。

そんな中、日本の家電、自動車にやや陰りが出てきています。家電については既に10年以上、もがき苦しんでいるのは市場を圧倒し、長期にわたって貢献できる製品が少なく、それまでの世界のリーダーとしての地位が維持できないからであります。理由はコモディティ化と共に日本の製品が機能などにこだわる一方で世界がそれ以外のものを求めていたというギャップであります。一番先に打撃を受けたのは日本が圧倒的な自信を持っていた携帯電話でした。

その後、テレビ、DVD再生機等はドラッグストアやスーパーで日本の一流メーカーのものがこんな値段という価格で手に入るようになり、その時点でブランド価値は遺棄してしまいました。また、ソニーが頑張っていたソニーストアもカナダではなくなるようです。今でもアップルストアとかサムスンストアにはかなりの人が来てアンテナショップとしての役割は十分果たしているように思えますが、ソニーは消費者との交流の窓口まで切り詰めてしまうのでしょうか?

自動車についてはIoTの時代を迎え、自動車会社が自動車を作るという発想そのものが変わってくる予感があります。私はソフトの会社やIT企業が自動車会社を下請けとして抱える時代がさほど遠くない時代にやってきてもおかしくないとみています。

例えば手元のスマホで完全にカスタマイズした自動車をソフトを通じて発注できる仕組みができれば自動車業界は激変します。エンジンはこれ、車体はこれ、シートはこれ、と言った具合に組み合わせを自由に選び、工場はIoTとロボット化で顧客の組み合わせ通りの自動車をライン上に作り出す、と言った具合です。その場合、既存の自動車のブランドは必要なくなることもあり得るのです。勿論、これは極端な例でそんなバカなことがあるわけがないとお叱りを受けるかもしれませんが、そういった発想そのものは今や世界のどこからでも湧きあがっているのです。

テスラは標準装備するインターネットシステムを介して個々の車のソフトの更新を自動で行っており、5年後をめどに自動運転に近づけるというプランがあるのは驚きです。テスラ自体が既に将来の自動運転を前提に作られているのです。日産のリーフも全車インターネットに接続し、ビックデータとして情報を分析し、様々な改善を行っています。これは自動車がもはや動力性能からITとの接続による制御機能の強化へと変化していることがうかがえます。

世界の多くの企業が2020年を目指して革新的な商品、今までの常識を完全に覆すようなものをうみだそうとしています。それはもはや一企業レベルではできないし、一国のレベルでも出来ません。世界の頭脳と知恵とアイディアを持ち寄ってこそ達成できるものであります。これが私の思う新たなるステージのオープン化であります。

私が20年前の住宅の設計の際、オープンキッチンが受け入れられるだろうかと疑心暗鬼でありましたがわずか数人の方がクローズドキッチンへの変更を求めただけでした。明らかにオープンが時代の流れであります。そのオープンとは日本が最も苦手としているところでもあります。これを克服できるかどうか、それは周回遅れとなった時気がつくようでは困ります。

いまや、モノづくり日本とは言わなくなりました。なぜなら世界はその次のステージで激しい競争を繰り広げているからです。我々が生き延びる方法はオープンアームで世界に打って出るという事でしょうか?ただ、オープンのやり方にもはなんでも見せるのか、戦略的に見せるのか、腕の見せ所になるでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

人海戦力の日本4

カナダと日本を往復していていつも思うのは日本には職員が溢れている、という事でしょうか?

羽田国際線ターミナル。到着する飛行機は概ね10-15分おき。ところが羽田も国内ハブだけでなく国際線のハブとしての機能が強化されつつあり、カナダから羽田で降りる人はざっと3割程度でしょうか?(成田着のJALはもっと少ない気がします)その程度の乗降客となると観光ピークの時期を別とすれば歩けば靴音が空港内の建物に響くほど閑散としているのです。

が、そこに待ち構える税関職員。税関のレーンは閑散としていて20名ぐらいの職員が手持無沙汰の状態であります。たまたまそういうときだったのだろう、と言われるかもしれませんが、私も年間6-7回は動きますからそれなりに見させてもらっています。

先日、中学校時代のクラスメートと飲みながら歓談した中で日本と外国の仕事のやり方について意見が大きく食い違ったのが「人の使い方」であります。彼は大手広告代理店で長年人生を賭けてきたのですが、早期退職募集に知らぬ間に手を挙げていたというのです。なぜ中途半端な年齢で会社を辞めたのか、と聞くと、平時でも帰社は午前2時、3時が当たり前、ひどい時は3か月家に帰れず、人生をこのまま終わらてはいけない、と感じていた矢先だった、とポツリ、ポツリと述べるのです。

しかし、広告代理店は顧客の販売、マーケティングを達成するために戦略を策定し、その作業部隊に仕事を発注するわけだから広告代理店の人間がなぜそこまで残業しなければならないのかと聞けば張り付かないと期限に間に合わない、思った通りのものができないというのです。あるいは顧客との会議は延々と続き、結論が二転三転とし、そのたびにデザイン事務所や制作会社に方針変更を伝えなくてはいけない、というわけです。

私はそれを聞いた途端、「君、それは顧客が決められないからでしょう。だから期限という制約まで一生懸命考え、方針を変えながらその努力をしたことをアピールするとともに最後、責任をどこかに転嫁したいのではないだろうか?」と聞き返したところ、その通りだ、と。だから、期限がもっと先にあればもっと違った結論すら出るだろうその意味は誰も確固たる自信を持っていないとも言えるのです。

「作戦参謀」は大いに議論、紛糾しながらも一旦決まった以上は作業部隊は極めて短時間しか与えられず、広告代理店が追廻しをし、皆、へとへとになりながらどうにか作品を完成させる、というシナリオがかなりありそうなのが日本の姿であります。これは正に人海戦力しかないのです。そこで私は「そんなのは作業の非効率ではないか」と更に疑問をぶつけたわけです。

しかし彼の返事は「それが日本のやり方だから」と論理的ではない答えを返してきました。

これは私の想像ですが、日本は売上に対する賃金が安いのだろうと思います。安いから人海戦力が可能なのではないかと思うのです。確かに関東地区だけで全カナダの人口がいます。これだけ密度があれば仕事のボリュームがあり、人件費を吸収できるだけの仕事量もある、とも言えるのです。

私はバンクーバーというカナダの代表的な都会のそのほぼど真ん中で仕事をしていますが、それでも人口密度は東京の10分の1以下でありますから売上も概して少ないわけです。そこには人件費を吸収する枠がないし、それ以上に北米の人件費の単価は高いのであります。サービス残業もないのです。アメリカに来た時、Do it yourselfを体感として初めて覚えたのでありますが、まさにいちいち専門家を呼ばず、こなせるだけ自分でこなすというのがこちらの常識であります。

同じ発想の中に病院への頼り方があります。日本人と話しているとどこか悪くなると「病院に行った方がいいよ」と言いますが、こちらの人は余程でない限り病院に行きません。むしろ予防措置を取ることに気を配っていると言った方がよいでしょうか?ちなみに医療費は無料です。タダでも行かないのがカナダの病院という事であります。つまり、できる限り自助努力をし、最後ダメな時だけ専門家に頼るわけです。

日本の低い生産性ということがよく言われます。そんな中でデパートに行くと面白いことがわかります。ユニクロでは掛け持ちスタッフが臨機応変にレジや接客、商品陳列をマルチプレーしますがデパートの店員は自分の売り場の自分の仕事に専念します。

日本の人海戦力は週末や繁忙期といった特定の時間に集中する忙しさへの対応には適していますが、それ以外の閑散期はあまりにも無駄な動きをしているケースが目立ちます。北米で長く仕事をしていると「手持無沙汰」は理解できない現象であります。逆に言えば日本では人が足りないと言われていますが、合理化すればまだまだ雑巾は絞れるようにみえます。

仕事の効率化を改めて考えるにはとても良い機会であったように思えます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

スカイマーク、想定通りの民事再生4

ある意味、こんなにわかりやすい倒産はない、と言ってもよいスカイマークの民事再生の発表でした。

私の昨年8月7日付ブログはスカイマークがエアバス社から巨額の損害賠償請求を受けそうだというニュースを受けて書いた記事なのですが、その一節にこうあります。

「選択肢は二つ。ひとつは潰すか、あるいは救済合併してもらうかであります。現実的にはエアバス社と延々とバトルするであろう損害賠償請求を考えれば誰も救済などしたくないでしょうから潰すか運営権と航空機を第三者に売却し、スカイマークそのものをもぬけの殻にして清算会社とするのがベストシナリオなのでしょうか?」

同社は社長の西久保慎一氏の運営する「西久保商店」と化していました。氏がもともと前職までに作り上げた個人資産を投入し、航空会社という私財投入型ビジネスとしてはやや大きすぎるものに手を出しました。私財投入型ですから銀行との接点が薄くなり、ショックアブゾーバーがなかったことが大きかったと思います。

事実、昨年の夏のエアバス発注キャンセル事件以降、手元の資金は減少を辿りました。その間、社内の資産を切り売りして食いつなぎながらJAL、全日空とコードシェアで搭乗率向上を図り、キャッシュフローを回す、という作戦に出るのです。JAL、全日空への提携話に当たり、出資の依頼もしたはずですが、両社からは体よく断られています。また、西久保社長はそれならば自社に出資したいファンドがある、と常々言い続けていましたが、それは本心で救ってくれるという気持ちだったのでしょうか?

私はJALも全日空もそしてファンドのインテグラルが今、キャッシュフローを含め、難局にある同社を荒波から救うより、一旦沈没させて救った方が二つの点でメリットがある、と考えた節があります。それはエアバス社からの損害賠償請求と訴訟をかわすこと、および西久保社長のクビであります。

JAL,全日空ともスカイマークの路線は喉から手が出るほど欲しいのは目に見えています。ところが国交省は第三極にこだわり続け、同社を独立路線として生かすことを考えていました。つまり、国交省の方針そのものがスカイマークにJAL, 全日空から出資させないプレッシャーを与えていたことになります。国交省のかたくなな態度が同社の息の根を止めた、とも言えるのでしょう。意図したことと全く逆の事態になってしまいました。

西久保社長にしても民事再生のシナリオは相当前から描いていたと思われます。

ここまでほぼ完全にシナリオ通りであるとすれば次の注目点は同社を誰が持つのか、という事になります。

国交省の意地を見せるなら全日空に出資をさせるのは本意ではないでしょう。同社は既に経営難になった第三極になりそこなった航空会社を抱え込んでいます。一方、JALにはそれをさせないという頑なさも見て取れます。ファンドのインテグラルはつなぎですからとりあえず儲けたらさっさと手を引きたいと考えていると思います。このファンドが航空会社経営のリスクまで取るとは思えないのです。つまり、「本意の本命」が不在、という事になります。

もっとも、羽田線の利権を持っているという事ですから思わぬ会社が手を挙げる可能性はあります。考えてみれば同社はHISの澤田社長が起業した会社であります。西久保社長にバトンタッチし、HISの色は急速に薄まっていくのですが、旅行会社が航空会社という発想の転換があったわけですから運輸会社、ロジスティックス系の企業が手を挙げてもおかしくないし、それこそ、鉄道会社がライバルを抑えるという意味で出資する発想もあるでしょう。

もう一つ考えなくていけないのはJAL, 全日空による圧力は相当なものである、という点です。両社は第三極に対して露な苛めを平気でやり抜くという事です。陰湿とも言えます。それこそ、そういう時は孫正義氏の様な第三極型経営者が責めないといわゆる東証一部上場の優等生ではあの体育会系のいじめにはついていけないかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

ギリシャは欧州の憂鬱となるのか?4

ギリシャは日曜日の選挙の結果を受け、300議席のうち149議席を確保した急進左派連合が「独立ギリシャ人」と連立を組み、政権交代を実現しました。当初は急進左派連合は第一党になるものの前政権の新民主主義党の連立の方が優勢であり、政権交代はないとみられていました。

ところが右派で急進左派連合とはほとんど一致点を見ない「独立ギリシャ人」と連立を組むことでとりあえずの政権交代を達成しました。「独立ギリシャ人」は財政再建に反対して前政権の与党・新民主主義党(ND)を飛び出した離党組が立ち上げた政党(日経)という事ですから緊縮財政に反対するという事だけは急進左派連合と一致するという細い糸が一本繋がってるだけの安定感がない新与党という事になります。

ギリシャの首相に就いたチプラス党首は若干40歳。氏が対峙するハードルとは国内経済の安定化、連立与党の安定化、2月末に来るEUの融資期限に際してその更改をすること、そして与党として選挙公約通り「反緊縮」ECB, EUから取り付け、実現することであります。一つでも大変だと思いますが、これだけの作業を比較的短期間でこなし、一定の成果を上げることを新与党として期待されているのです。

下馬評では内閣そのものが経験不足で不安感が大であるとみられています。次にほとんど主義主張が違う「独立ギリシャ人」とどう意見調整していくのかという疑問が湧きあがります。

私がギリシャ問題は前回のような大事にはならないとみているのは今のギリシャに抵抗力はさほどないとみているからであります。つまり、新政権に戦うだけの十分な力はないだろう、と見ています。もつれれば当然ながらユーロ圏の強者達と直接交渉に臨まなければならず、百戦錬磨のECBやドイツとどのような戦いが展開できるかといえばヘビー級とフライ級のボクシングを見るようなものでありましょう。

ブルームバーグには「ギリシャ新首相が踊るのはサンバかタンゴか 急転換の公算も」とあります。サンバとはブラジルで2002年に大統領に就任したルラ氏が反資本主義から大統領就任後、市場主義に転換した柔軟姿勢を指します。一方のタンゴとはアルゼンチンが2001年にドルとのペッグ制を離脱し、ディフォルトに陥ったケースであります。 つまり、自国の主張を強硬に推し進めれば頓挫する、だから世の中の流れをよく観察し、味方ををつける方が大事である、という示唆でありましょう。

そのブルームバーグの記事ではギリシャがサンバになる可能性は5割としています。5割とはある意味、無責任で中途半端な予想の様にも思え、見出しのトーンとは若干違う気もしますが、この記事の意味するところは面白いとは思います。

ユーロを構成する国々にとって大切なのは和でありますが、その中心のテーブルに座っているのはドイツ・フランス・イタリア・オランダ・ベルギー・ルクセンブルクでしょうか?それらの共通点とは欧州共同体の創立メンバーが主体であり、旧フランク王国の流れであります。その歴史的流れをベースに考えればそれこそ、ローマ帝国時代までさかのぼりながら欧州支配の歴史が今でも脈々と続いているのであります。そこには力による支配関係があり、怠惰だから支配関係から逃れられるという奇妙な論理は成り立たないのであります。むしろ一昔前ならパニッシュメントがあったわけであります。

新首相のチプラス首相もユーロからの離脱など考えていないと言明していますがそれが現実的ではない選択肢だというのは十分わかっているという事でありましょう。つまり、今回の政変で起こり得るのはEUとECBからの融資条件をいかに改善し、緊縮具合を緩めるか、ここにすべてがあるかと思います。それ以上でもないし、それ以下でもない、という次元に立てば今回のギリシャ問題は前回とはまるで違うピクチャーとなると思っております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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違和感の「国債バブル」崩壊論4

日経電子版にさわかみ投信の澤上篤人代表が「15年を揺るがす『国債バブル崩壊』の足音」という寄稿を寄せています。澤上氏のブログには長年目を通しており、癖があるものの基調には同調できたのですが、この寄稿には大きな違和感を持ちました。

それはこのくだりです。

「黒田日銀総裁の唱える2%インフレ目標が現実味を帯びてくる中で、長期金利だけが10年物国債で0.5%の水準に留まるなんて、どう考えてもあり得ない。必ずや2%はおろか、3%から4%近くへまで急上昇しよう。そうなると、日本の金利は1992年9月以来、22年ぶりの高水準に入っていくわけで、経済活動のあらゆる分野で相当な混乱をきたすに違いない。何しろ、ゼロ金利状態になってからが長い。金利が上昇することが、どんなものか想像できない人たちが一杯いる。右往左往の大混乱となろう。」

氏の寄稿の国債バブル崩壊の最前提がこの一節からスタートするのですが、この与件がしっくりしないため、全体のトーンの信ぴょう性が落ちてしまっています。それは正に「黒田日銀総裁の唱える2%インフレ目標が現実味を帯びてくる」というところに集約できるでしょう。

2%のインフレについて聞けばいくつかの答えに集約されます。
1. そんな水準になるファンダメンタルズには当面ない
2. 金融政策の効果によりその2%のインフレを健全に達成する
3. 異次元緩和によるインフレは円安の副作用を生み、輸入物価の上昇から招くスタグフレーションとなる

個人的には1番のファンダメンタルズを考えています。仮に識者の多くが予想している石油価格の遠くない時期の回復があった場合、インフレ圧力はかかりますが、その分消費が低迷しますので需要減退を引き起こし、結局、2%のインフレは遠いものと考えています。

では国債のバブル崩壊でありますが、これを私も否定はしませんが、澤上氏とは違う理由ではないかと思っています。

先ず、10年物国債の利回りが持つ意味合いとは国家が健全であり、国債市場が平常時である限りにおいて10年間の国家の成長期待の尺度である、と言えます。つまり、年2%のインフレに1-2%のリターン、つまり3-4%程度であることが健全の証であると考えています。

ところが日本の国債市場においては民主党時代に株価の下落に伴い、リスクオフの姿勢が強まり、銀行や生保は必死になって国債を通じた薄利多売の利益確保に走ったわけです。特に地銀においてはその勢いは凄まじかったのです。この時期が国債が不健全に買われた第一期と思われます。

ではなぜ、銀行は国債取引に傾注したかといえば、健全な貸し先がなかったからであります。企業は手持ち資金を分厚くし、設備投資は減っていました。(個人的には企業の銀行への不信感が背景にあるとは思いますが。)そこでメガバンクは海外にその貸出先を求めていきます。が、地銀の様にその力がない所はリスクが少なそうに見える国債取引から抜け出せなかったのです。

これは国債市場が本来の国家の信頼度への投資から地球儀ベースでみる金融市場の一つの商品という感覚に変化してきたともいえないでしょうか?つまり、国債の位置づけが時代と共に変貌したのです。グリーンスパン元FRB議長のころから始まった不可解な国債の動きが発端だったのではないでしょうか?

さて、安倍政権になってから「バズーカ黒田」がその威力を発揮します。つまり銀行などがそれまで持つ国債をバキュームカーのごとく、どんどん買い取ったのです。いわゆる国債バブル第二期です。銀行はそれまでの国債依存型の利益体質に不本意であり、且つ、囁かれていた国債バブルの芽に若干の不安感を覚えていましたから日銀は正に救世主であったわけです。

今、日銀は新発国債の7割を購入しています。それは市場の妥当性に拘わらず機械的に購入されていきます。これが10年物国債利回り0.2%という結果であります。

国債バブル崩壊の可能性があるとすればこの量的緩和を止める時であります。

市場には日米欧が行った、あるいは行いつつある量的緩和で資金が溢れている半面、実需が十分にない状態が続きます。よって、この溢れた資金を吸収しているのが国債市場であるとすればこのお金がどこかに消え去れない限りバブルはつぶせないのであります。どう吸い上げるか、は国債市場か株式市場が急速な逆回転する時でありましょう。

私はこれを金融緩和による「うわずみ」と考えています。沈殿した部分が実物経済、上の部分が金融緩和でできた透明の液体であります。本来うわずみは捨てても実体経済に影響しない筈なのに沈殿具合が悪いのでうわずみには実物経済が混じりこんでおり、結果として世界的に非常に不和になりやすいという事でしょうか。

では日銀にそれができるのか、でありますが、アメリカができたから日本ができるというほど簡単ではありません。先方は基軸通貨。日本円は世界で流通数%程度の通貨です。アメリカの様にプラグアウトが1年程度ではできないでしょう。多分、数年、経済状況を見ながらゆっくり慎重に抜いていくことになります。その際、誰が国債の担い手になるか、であります。プラグをゆっくり抜くことが分かっている市場は当然弱含み。それでも国債が欲しくなると時とは皮肉にもリスクオフで不景気な時、という事になってしまいます。まさに二律背反であります。

量的緩和のリスクとはまさにここに存在します。澤上氏は非常に前向きに国債市場のリスクを提示し、株式市場の健全さを説いています。さすが投信会社の代表であります。しかし、それがポジショントークに見えるのはやはり、そんなに都合のよいストーリーはない、という事だからでしょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

相続税対策のアパート建築はプラス?4

2015年から強化された相続税。それに対してその税金を減らす指南書があちらこちらに出回っています。その中であるはっきりしたポイントがあります。それは残すなら現金より不動産であります。

現金で残した場合5000万円は5000万円と計算されます。しかし、生前、それで不動産を買い、賃貸住宅にでもすればその税額はぐっと減らすことができます。土地は固定資産税評価額がベースですから一般取引価格の概ね2割減となります。建物は減価償却をする上に貸し付け用で200岼焚爾覆5割の減額があります。つまり現金と比べその価値を大きく引き下げる効果があるとも言えるのです。

多くの住宅会社が相続税対策でアパート経営を、と謳うのはそこにビジネスチャンスを見出しているからでしょう。

でも相続税対策ができてもアパート経営を通じて失敗したら、元も子もありません。その部分がすっかりおろそかになっている人はいませんか?

アパート経営と一口に言ってもアパートに向き、不向きの場所はあります。大学などがあり、学生さんなどが流動的に動くところ、工場などがあるところ、繁華街に近いところなど人が流動化しやすい所ではアパート経営は向いていると言えます。ところが駅から遠い、人口密度が低い、ひとが流動していないエリアはなかなか埋まらないでしょう。

アパートの空室率は全国平均で約3割。これは平均ですから満室のところもあればさっぱり埋まっていないところもあります。私の実家の両隣は賃貸住宅ですが、片一方は満室で片一方は長年一人しか入居していません。理由はメンテナンスの違いでしょう。どう考えても入りたいと思わないたたずまい、階段など共有エリアはしばらく掃除をした跡がなく、部屋の中は20年前の畳がそのまま敷いてあり日に焼けて黄色くなった部屋だとしたら借り手は内覧して引きます。

知り合いの建築会社が建てた都内の地下鉄で行けるある場所の新築の賃貸マンション。1年たっても一人も入居せず、地主が悩んでいるというのはその周りに溢れる空室の看板でしょうか?つまり需要と供給が全くマッチしていないエリアなのです。

アパート経営はさほど簡単ではありません。大学のそばだから安心、と言っていたら大変です。今や、大学も競争時代。キャンパスを都心など魅力ある地域に回帰させる動きもあります。昨年だけみても東洋学園が流山から本郷に、実践が日野から渋谷に、大妻女子が狭山台から千代田に、2016年には杏林が八王子から三鷹、17年には関東学院が小田原から金沢八景となっています。どれも都心により近い便利なところに移っているのは少子化に伴い学生に魅力あふれる学校とするためです。

青山学院は厚木にキャンパスを持っていたことがあります。それこそ巨額の投資をして土地を取得し、校舎を建て、道路を作り、駅前には学生目当てのビジネスができたわけです。ですが、僅か21年にして方向転換です。そして相模原に移り、更には青山への回帰が進みます。

不動産の最大の弱点は、持ち運びができないことであり動く環境に対応しにくい、という事なのです。

もう一つは家賃の回収でしょうか?保証協会にお願いするという手段はありますが、なかなか面倒なこともありますし、それ以上に私が大変だと思うのは管理とマーケティングだと思います。

先ず、アパートを建てるとなると住宅会社のスペック住宅に近いものになります。その場合、金太郎飴のごとく、全く特徴がない住宅となってしまいます。数あるアパートの中からここにすると思わせる方法はロケーションと金額以外に建物の特徴があります。そこは日本に於いてはほとんど注目されたことはないと思います。なぜならスペック住宅から外れるカスタムにすると建築費が極端に上昇するからであります。

相続税対策となれば力点を置くのは当然ながらお金。建設費も安く、と思えばスペック住宅に走りやすくなるでしょう。しかし、それが原因で空室率が高い状態になり、結局何のためのアパート建築だったか分からなくなることは大いにあるとも言えるのです。

日本が高度成長期にあるときは持ち家比率も少なく賃貸住宅への需要は高かったのですが、他の先進国同様、持ち家比率が全体の3分の2に達すると賃貸と持ち家はほぼ均衡します。日本もそうなっています。よって決まったパイを分けあうしかないこの市場においてあとは特徴を出し、マーケティングする能力を問われるという事なのです。アパート経営だって本気でやらねばできない、という事です。相続税の節税のための軽い気持ちでアパートに手を出したとしたらそれは大きな戦略ミスとなるかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

今週のつぶやき4

今週も様々なことが起きていますが、日本ではイスラム国での人質事件のニュースが大半を占めていますのでむしろその不足を補っていきたいと思います。

先ず、この人質事件ですが、深夜入ったニュースが本当ならば状況は更に悪化しています。安倍首相の表情もかつて見せたことがないほど厳しいものになっています。報道でなんども繰り返されていますからお気づきの方も多いと思いますが、カイロで2億ドル表明した時は得意満面でした。ところがイスラエルで事件の第一報を聞いたあとの会見はあまりの衝撃をを覆い隠せない様子がありありとしていました。今回の事件が「日本の首相」宛のメッセージだったことでその重責を感じていることでしょう。

一方、新たなる犯人からの写真を見る限り後藤氏はかなりやつれ、クマが出来ていることからこれは当初の砂漠を背景にした写真とは明らかに違い、リアル感が高いものです。先方の要求が身代金から犯罪者釈放に変わっているところも実質的な要求に変わったとみられ、今後、正面きった交渉が行われる可能性がある気がします。このニュースは世界中で大きく報道され、カナダでもいろいろな方から本件の話題を振られ、関心の高さが否が応でも高まっています。日本外交の能力の高さをぜひとも発揮してもらいたいものです。

さて、安倍首相にとってはもう行きたくない中東だと思いますが、サウジアラビアのアブドラ元国王の弔問に各国首脳が続々とサウジ入りすることになっています。特にアメリカはもともとバイデン副大統領が弔問に行くところをインドを訪れているオバマ大統領がその予定を変更し、アブドラ元国王の弔問をするとともにサルマン新国王と会談も行うことになりました。

この動きは中東外交が大きく変化する可能性を秘めています。一つはサウジの南のイエメンの過激派による大統領府乗っ取りに絡み、その勢力拡大がサウジに入り込むことを防ぐため、国境警備を強化してますが、アメリカへの支援要請をしやすくすることが背景にありそうなシナリオです。また、イスラム国に対する扱いは同じスンニ派のサウジにとっては頭が痛い所でしょう。オバマ大統領の外交下手がひっくり返せる最後のチャンスかもしれません。

石油政策については今のところ、アブドラ元国王の政策を踏襲するという事になっていますが、サルマン国王が既に79歳と高齢であり、実質的には異例の形で皇太子に選ばれたムクリン氏が割と早く国王になるのではないかと見られていることからもうしばらくは様々な推測が飛び交うことになります。

残念だったのは外交が大好きな安倍首相が日本にとっても重要なサウジアラビアに弔問に行けないという事でしょうか?外務大臣が東京のサウジの大使館に行くのが精いっぱいというのは悔やんでも悔やみきれないと思います。

さてこの週末、もう一つの大きなテーマはギリシャであります。急進左派が与党をリードする展開は変わらず、第一党の逆転の可能性は高まっています。但し、現与党の新民主主義党は連立政権樹立で政権交代はかろうじて逃れられるかもしれません。仮に政権交代があった場合、IMFとEUが多少の飴玉はくれると思いますが、大勢に変化はないはずです。以前申し上げたようにユーロ圏はブラックホールであって吸い込みはしても吐き出すことはないのです。それは金銭的損得勘定ではなく、欧州の歴史の基本である支配という発想が最前提にあるからです。それと急進左派に政権担当能力はないとされていることからEUやIMFといったツワモノと渡り合うのも難しいでしょう。そういう意味ではギリシャの選挙が仮にどちらに転んでも私は大局に影響はないとみています。

1月最終週はアメリカからGDPなど様々な重要な経済指標の発表が相次ぐほか、FOMCが27,28日と予定されています。ただちの金融政策変更はまずあり得ませんが、そのステートメントで利上げに対する言葉遣いがどう表現されるか非常に注目されます。個人的には注目点は雇用からインフレ率へ変っていくものと思われます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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