外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2015年03月

戦後70年談話の行方4

安倍首相が今年行う予定の戦後70年談話は有識者会議を設置のうえ、専門家が中心となりその検討を進めています。発表のタイミングは夏とするメディアが多いのですが、それがいつになるかは別にしてその内容がどのようなものになりそうなのか、考えてみたいと思います。

本件に関しては安倍首相をはじめ、政府の要人が時々一言、ふたことコメントを発していますが、今までの流れを大きく変えるものではないといったニュアンスが含まれています。村山談話も河野談話もそれを打ち消したり、根幹を修正することはないだろうとみられています。

中国を訪れていた谷垣幹事長は先週「先の大戦への反省と平和国家としての歩みは不変。中国が心配するような内容にならない」と述べています。また、安倍首相のワシントンポストのインタビューの際、「人身売買」発言のインパクト大きかったため、発言全体のバランスを見失いがちですが、「安倍政権は、村山談話や小泉談話を含む過去の政権の歴史認識に関する立場を維持する」とも強調。慰安婦問題への「おわびと反省」を述べた河野談話についても「見直さないとこれまでも明らかにしてきた」と述べています。

もともと安倍首相は有識者委員会の発起の際、有識者委員会での提言を慎重に受け止めたうえで首相の判断で談話を行うとしていたはずです。つまり、有識者委員会で出てくるであろう文面はその時の政治、外交、社会等を総合的に判断して文言が政権により加筆、削除、修正されます。

では、安倍首相を取り巻く外交を考えてみましょう。2013年に靖国参拝したあの当時の自己顕示の仕方から明らかにマイルドになっています。それはアジア外交のみならず、世界各国を外遊し、国際会議に出席し、外の声を聴いてきた結果のナチュラルな変身であります。それが首相の本質に変化があったかどうかは別として外交という海を泳ぐ以上、そのバランス感覚が磨かれてきたともいえるのかもしれません。

次に日中韓外相会議が開催され、首脳会議を早期に開催することで合意し、コミュニケーションをとっていくスタンスを政府間で見せたことは大きな変化であります。福田康夫元首相が先週、中国海南省で開かれた「博鰲アジアフォーラム」で習近平国家委主席と複数回接触し、AIIBへの理解を示し、福田氏のコメントとして「日中関係は徐々に改善に向かっている」との認識の意味合いは大きいものであります。

安倍首相はリークアンユー元首相の国葬で朴槿恵大統領と立ち話をしていますが、これもトーンとしては双方のもっとも気にする部分をあえて避けながら関係改善を図る努力、つまり、言いたいことをぐっと飲みこんでここは何が重要なのか、を双方がある意味大人の姿勢を見せ始めていることがうかがえます。

安倍首相のモットーは何か、といえば経済回復への尽力のはずです。アベノミクスという言葉はメディアで最近踊らなくなりましたが株価は高値水準で、企業業績は回復鮮明、春闘も良好な回答が続き、賃上げが少しずつ、中小にも浸透しそうな気配が出てきています。農業の構造変化を生みながらTPP交渉も最終章に差し掛かかる中、安倍首相の政治生命の賭けかたは歴史に残る大首相であるはずです。

その中で歴史問題の認識については世界では恐ろしく敵が多いことに気がついたのではないでしょうか?これは安倍首相が一人でボイスアウトするものではなく、何十年もかけて少しずつ理解を深めてもらう意外方法はありません。何か言えば歴史修正主義という頭ごなしの批判の嵐にまっとうな論戦すらできない中で首相として今、すべきことは未来志向であり、ようやく明るさを取り戻しつつある日本の社会や経済基盤をまずは強化し、外交は外交として進める以外にありません。

談話は過去の流れを変えるものにはならないとみています。むしろ、どれくらい踏み込むのか、そちらの方にポイントが移って来るかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

アメリカ経済の不安4

イエレンFRB議長が27日講演で「米経済の回復が続けば、今年後半にかけて利上げが適切になり得る」と述べたことにはやや意外感がありました。ハト派の議長がある意味、楽観的とも取れる発言をするのはめったにないからでありましょう。

ただ、講演内容をよく考える限り、一つのヒントを与えてくれています。それは、「金融状況や経済全体にとって重要なのは、短期金利がたどると予想される軌道の全体像であり、最初の利上げの具体的なタイミングではない」という発言です。たった一回の9年ぶりの利上げという記念すべき行事よりもその利上げをきっかけにどのような金利の軌跡を描くか、中期的な展望を描いている点において、間違いなくテイクオフし、ある程度のベクトルの安定感を模索しているようです。

また近づくであろう利上げが「近年の他のサイクルとは異なるものになる」としている点で市場が予想していないやり方があることを示唆しています。私は何度か書かせていただいたように利上げ幅がかつての0.25%という幅から0.125%や0.1%といった小さな刻みをゆっくりと踏んでいくとみています。しかしながら、それはアメリカ経済が一定の周期性のある好景気をこれから長く謳歌する前提であるとも言えます。これは経済成長の振幅がより小さく、そして時として短いサイクルとなる中、達成可能なのかやや懐疑的であります。

ニューヨーク株式市場。3月2日のダウ最高値以降、冴えない展開でチャートを見る限り、上値をブレイクできず、下値を模索する展開になっています。株式市場が景気の先読みの代表的指標と言われる点を考えるならば今後、明らかに不都合な材料が多く積みあがりそうです。

アメリカの1-3月第1四半期のGDPは天候の悪化を始め、リテール、不動産、耐久消費財を含めた各種経済指標が冴えないことで予想を下方修正する専門家が増えています。また、4月中旬からスタートする第1四半期の企業決算もやや重い雲が想定されています。

株式市場が実態経済に対して半年程度の先行指標であるとすれば9月という正に市場が最も期待する利上げタイミングに重なりますが、その時に経済のベクトルが下向きであれば議長自らが指摘してた通り、その時の経済指標次第ではその期待は先送りの公算も有り得ます。

経済全体としては心地よい暖かさですが、金利引き上げという上着を取るほどの陽気となるかはまだ予断を許しません。原油は確かに中東の不安もあり、上昇の可能性がありますが、かつての100ドルの水準を再び記録することは当面ないとすればシェールオイルのブーム再来は一旦は遠のいたでしょう。

また、震災以降日本の液化LNGに対する需要が市場価格を大きく押し上げてきたもののもはや、スポットでは6-7ドル台まで下がり、アメリカ、カナダでのLNG輸出施設開発に関する盛り上がりはすっかり冷めました。ここBC州でも州北部のアジア向けLNG輸出基地完成後のBC州の税収増期待に対して「捕らぬ狸の皮算用」と批判が出ているのは政府想定市場価格が実態と乖離してしまったからであります。

日本が世界の先陣を切って低金利時代に突入し、その試行錯誤ぶりに欧米各国は日本の二の舞を踏まないと強気発言を繰り返しました。確かに今思えば日銀のお手付きや失策がなかったとは言いませんが、経済の全体の流れからすると低金利時代に突入せざるを得ない「性」があったことを見落としてはいけません。それは住宅ブームの崩壊の経済的インパクトは財布のみならずメンタリティをも変えるという事であります。アメリカで今、持ち家比率が下がっているのも持てないのではなく、持たない主義も増えてきたという社会の変化にもう少し注目すべきでしょう。

世界経済の成長率が低迷する中、アメリカだけが気を吐いてきたと言われていますが、アメリカが世界経済をけん引するのか、アメリカは他の経済低迷する諸国に引っ張られるのか、その綱引きの真っただ中にいるのが2015年であるように思えます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

サウジの攻勢が生む不安4

イエメンに対して隣国のサウジが遂に腰を上げ、軍事行動を起こしました。イエメンはアラビア半島の南端に位置する人口2400万人の小さな国家であり、石油は産出されますが、世界では39位程度の水準です。但し、海上交通の要所として知られ、そのボリュームは世界で4番目であります。

そのイエメンは現在、イスラム教シーア派の過激組織フーシが政権を掌握、一種のクーデターの状態になっており、その背後にはイランがいるとされています。この中、スンニ派のサウジアラビアが戦闘機100機と約15万人規模の部隊を動員する軍事行動を起こし、地上軍を投入する可能性も示唆しています。

これにより海上交通の要所のイエメンには船は近づかないように、という警告が出たため、石油の輸送に影響が出ると考えられ、石油価格は急騰、ニューヨークでは再び50ドルの大台を回復しています。

私はいつかはこのようなことになる予感はしていましたが、いよいよかという感じがします。

中東情勢には比較的疎い日本ですが、この軍事行動の意味するところをじっくり考えると世界経済に大きな影響を与えないとも限りません。何事も小さなフロス(泡)から大きな事件が発生します。イスラム国の問題を含めた中東の動きは世界経済が低迷する中、更に下押しさせる公算はあります。

まず、中東でおきつつある問題の複雑さとはだれが敵で誰が味方か分かりにくい複雑怪奇な状況になってきている点でしょうか?シーア派とスンニ派の区分けから更にたくさんの分派ができて、過激派同士でその勢力争いが行われています。イスラム国はその典型でアサドとイスラム国とイラン、サウジ等のアラブ諸国の関係は奇怪とも言えます。

このところの中東の問題の根本理由の一つは私は「アラブの春」にあったと考えています。サダム フセイン、ムアマール カダフィ、バッシャール アサドなどはアラブ社会主義の代表的存在であってイスラム原理教徒とは強く反発し合う関係にありました。アラブ社会主義そのものは67年の第三次中東戦争で衰退したとされるもののその首謀者たちが支配する国家は今日まで凛と存在し続けたわけです。

ところがその主であるフセインやカダフィがアメリカや中東の民主主義化の動きの中で押しつぶされ、イスラム原理教を抑える力が無くなったことにこのところの不和の一因があるのではないでしょうか?今、勃興しつつあるイスラム原理主義はイスラム教の教えの解釈を各過激派が極度、且つ厳密に捉えた結果であります。つまり、原理のフロスがたくさん生まれつつあるとも言えそうです。

イエメンのフーシとサウジの戦いは近視眼的にはどう見てもサウジが有利でありましょう。それはイエメンがアラビア半島の南端に位置するため、押し込めば逃げ道が無くなるからであります。しかし、戦術においては逃げ道を作ることで収まる場合も多くあります。ここでせん滅作戦をすると将来、テロがいくらでも起きる可能性を生み出します。

中東の和平の再構築には中東各国が強力な提携関係を作り上げることが重要であります。アメリカの中途半端な関与が当初存在していた微妙な均衡関係を壊したとも言えます。オバマ大統領の外交の失態が言われるのは正にここにあるのです。

もう一つ、このサウジとイエメンの問題はサウジの石油政策に一つの転機を促す公算があります。イエメンの港湾施設にリスクがある、あるいはサウジがいよいよ軍事作戦を本格的に展開するというニュースは石油価格にストレートにインパクトが出ることは考えるまでもありません。これは意図的に石油価格下落を放置していた同国の政策の力点が対テロや軍事にとって代わることを意味し、低石油価格の時代が終わる可能性は否定できないのではないでしょうか?(それに軍事費がかさめばサウジは石油の売却代金が欲しいでしょう。)

「ればたら」の話をしたらキリがないのですが、今、原油価格が70ドルなり80ドルなりの水準に戻る状態になると新興国などではスタグフレーションを引き起こしやすい状態になります。これは当然ながら世界経済に深刻な影響を与えることになるでしょう。そういう意味でも今回のこのフロスは私にとってはそう簡単に見過ごせない事件であると思っています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

今週のつぶやき4

今週もいろいろありましたのでつぶやかせていただきます。

まず、ドイツの航空機事故原因は副操縦士の奇怪な行動、それ以上に何らかの病気を持ち、操縦は不可能という医者の診断書があったにもかかわらず、それを本人が会社に報告しなかったという特殊性に恐怖を感じます。これはLCCのみならず航空会社の運営にとって非常に頭が痛い問題を提起することになります。カナダ航空局は昨日、コックピットには常時2名いることを強制する通達が出て即日発効されました。トイレはどうするのかと思いますが、パイロットの人事管理が厳しくなることは確実です。

日本のLCCはパイロット不足がかねてから指摘されており、奪い合い的な状況にあります。当然ながらこのような事故が起きれば操縦適性がより厳しくなるであろうことは容易に想像でき、LCCの安定的運航のハードルがまた上がる様な気がします。日本ではバスや電車の運転士に対しての健康管理はかつての一連の事故もあり厳しくなりました。幸いにしてパイロットはもともと厳しかった人事管理もあり今のところ日本では重大な事故には繋がっていません。しかし、このような事故には乗客が最も反応しやすいわけでスカイマークの再生も含め、日本の航空業界が国交省の描くシナリオ通りにいかなくなるかもしれません。

次の話題に移りましょう。株価ですが、3月末の権利落ちを前に木曜日に下落開始の東京市場は金曜日に権利落ち分の110円相当を一時は大きく下回る370円ほど下げる展開となりました。大口の売り崩し、為替水準が影響したわけでチャート的にもいったん調整局面になるのかもしれません。個人的には20,000円という目標というか、節目をつけて調整入りかと思ったのですが、届かなかったかもしれません。

今後は来期以降の業績をどう見込むか次第でありますが、そのキーの一つは為替であります。これを書いている時点で119円を割り込む円高となっていますが、円ドルの変動要因は日本というより圧倒的ボリュームのあるドルサイドにあります。とすればアメリカの目先の景気動向が為替を占うファクターとなりますが、個人的にはアメリカ景気回復は踊り場、ないし、頭打ちになった可能性があるとみています。

あまり好きではない話題ですが、アメリカ金利の引き上げ実施時期は秋でも微妙な気がしています。そうなればドルは売られ、他通貨が買われます。また中東の不和はセーフヘイブンとしての円の底堅さが出てくると思います。そのあたりが日本の株価の先行きを占うポイントの一つにはなるでしょう。

次の話題に行きましょう。週刊誌的話題の大塚家具株主総会。決着は娘の社長派の勝利となりましたが、株主総会後のインタビューはなんとなく歯切れが悪そうな感じが見受けられます。この件についてはずいぶん前に指摘しましたが、しょせん親子、大塚家具の経営不振が根本的に変化するとも思えず、、むしろ、昨年の夏前から親子騒動を繰り返した時間のロスの方が経営の数字には響いてくるはずです。そちらの経営責任が放置された気がします。私は両名退場の方がすっきりしたと思います。そういえばオーナーカンパニー問題では雪国まいたけもあります。こちらの問題もかなり脂っこいですからそろそろ週刊誌の話題になってもよいと思います。

言い訳を一つ。昨日のブログで、アジア投資銀行(AIIB)はそれはそれで進めればよい、と書かせていただきました。私の意図するところはそれで目先のアジアのインフラ整備が進み、低迷する経済成長にカンフル剤となればよいという経済的な観点から申し上げました。中国主導という政治的考察は別次元であります。よってそれを勘案するならば日本がAIIBにすり寄るのではなく、アジア開発銀行(ADB)をきちんと推し進めればよいわけでその中でAIIBとどう組み合うか、その時に考えればよいことだと考えています。相手の貸し出しの勘定や条件、透明性に疑惑があれば借り手が将来当然考慮、選択してくるものだと考えております。

来週はいよいよ新年度入り。桜にフレッシュマンという気持ちの切り替えの週でもあります。良い飛躍ができるように頑張りましょう。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

アジアインフラ銀行の意味4

突如降ってわいたようなアジアインフラ銀行(AIIB)の話題。その注目はイギリスの参加表明につられるように欧州各国、そしてアメリカと連携の強いオーストラリア、更には意外にも韓国も手を上げたことでしょうか?アジアのインフラ開発の資金調達の一環を担ってきた日米主導のアジア開発銀行(ADB)とある意味、真っ向からぶつかりそうな気配もありますが、私はこれはこれで進めたらよいと考えています。

先ず、アジア開発銀行が主張するようにアジアのインフラなどに関する潜在的資金需要が年7500億ドルあるのに対してアジア開発銀行が融資しているのが年135億ドルにとどまっているという点において需要を全く満たしきれていない点を上げましょう。

東南アジアでは南北や東西縦横断道路のインフラ整備がようやく進展しつつあるものの増大する船積に対する港湾施設、物流のロジスティックス整備、電気や水道などインフラの安定供給と整備、空港や増大するビジターに対する宿泊施設等を含め膨大な投資を要します。これは一政府、ないし、民間レベルの問題ではなく、より大きな規模の組織的な資金援助の仕組みが必要であります。これだけみてもAIIBとADBが融資合戦を繰り広げ、パイの取り合いになることが直ちに起こるわけではないと考えられます。

次にアジア各国の経済低迷状況からの惹起を促すカンフル剤が必要であります。タイや韓国が既に1.75%まで金利を下げ、それでも経済の浮上が見えない状態であります。マレーシアもオーストラリアも同様で一時期盛り上がった東南アジアブームは正に火が消えかかってきています。そのためにも一定の資金を提供し、東南アジア各国のインフラを整備し、経済の活性化を図るのはケインズ経済学のモットーとする部分であります。

三番目に中国経済の活性化の可能性があります。中国は想定以上の不動産とインフラ整備への資金投入の結果、現在調整期に入っています。そこには有り余る資材と資源の高水準の在庫、そして中国からの需要増を見込んだオーストラリアやカナダ等の資源開発の先行投資への重荷が問題となっています。当然ながら資源や商品価格は落ち込み、世界経済低迷の一因となっています。これを脱却するには大きなレベルでのカンフル剤が必要であることに論理性があるかと思います。

日本側が懸念するようにAIIBの基準や厳密性はあろうかと思います。しかし、それなればAIIBとADBがすみわけをすればよいでしょう。いま議論されているのは3月末までに手を挙げれば「創設グループ」に加われるというだけで将来的なAIIBへの参加表明期限を意味しているわけではありません。ADBを推進する日本は状況を見ながらAIIBとの連携なり協調なり、参加なりをその時に判断すればよいと思います。現段階ではアジアのインフラを推進するための両輪として双方がきちんとワークすればよいでしょう。膨大な東南アジアの開発需要に対して日本が独り占めする能力も容量もあるわけではなく、一定の共存共栄の体制が経済への大きな弾みとなることもあります。

一方で、中国企業が安値でその受注を独占していくリスクに対する対策は必要です。また、AIIBの究極的な懸念は中国元の国際化でありましょう。仮にドルから元にその決済を移行していけばドルの相対的地位の下落、ひいてはアメリカの国債価格への影響などが考えられます。

また、世界の通貨において中国元の流通割合は急速に伸びており、日本円の比率を近いうちに抜き、イギリスのポンドも射程距離に入ってくるのはさほど遠くないとみています。将来的に中国元が世界の三大通貨(ドル、ユーロ、元)と称される可能性は大いにあると思います。

今後は人口13億の巨大な国家に対して日本がどういう特徴をもってその存在感をアピールするかという点にもっと知恵を絞るべきでしょう。ガチンコ勝負する意味はどこにもありません。日本らしさの表現の仕方が今後問われそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

韓国の踏み絵4

戦後70年、日韓国交回復50年という節目にあたり、日中韓の関係改善とその背後に見える覇権争いが熾烈になってきています。人的交流では先日の三カ国外相会議以降も賢人者会議や政治家団の交流などが進んでいます。一方で、中国は9月の抗日戦勝記念式典に安倍首相を「条件付き」で招待する意向を示すなど神経質な動きの展開も続きます。

その中で韓国はアメリカが推進する戦域高高度防衛ミサイル(THAAD)の装備計画と中国が推進するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加の選択を迫られています。選択という言い回しは語弊があるかもしれませんが、難しいかじ取りであることには違いありません。

THAADミサイルの装備があると中国側のミサイルがまる見えになるとされ、中国軍には大きな影響が発生し、中国から猛反対をされています。一方のAIIBについては日米が中心となるアジア開発銀行とのグループ上の関係問題になり、アメリカは韓国にくぎを刺しているものと思われます。

これらを称して踏み絵というわけですが、現状、韓国のAIIBの参加の可能性は薄いとされています。(もっとも、英国の様にサプライズ決定がありますので最後の最後まで分かりませんが。)

朝鮮半島は歴史的に二つの大きな力の中でもがいてきたとも言えます。その中で今日は甲申事変を例にとってみたいと思います。

これは1884年に朝鮮半島において清朝について行くとする半島の旧守派とこのままではダメで改革をしなくてはいけないと考える開化派がぶつかった事件であります。

1875年の江華島事件以降、半島では中華思想に基づく冊封国を目論む旧守派とと開化派の対立が鮮明になったうえに朝鮮王朝内部の分裂という状況に陥りました。その中、開化派が日本の支援を受けながらクーデターを実行、一時は成功したかに見えました。ところが清朝は当時フランスと戦争をしたのですが、清朝が敗北したため、せめて半島だけは支配し続けようと清朝勢力を半島に差し向けました。そのため、支援していた日本側と比べ10倍の兵力を投入した清朝がそのクーデターを抑え、開化派の3日天国となった事件であります。

甲申事変は19世紀の事件でありますが、半島には二つの考えが交錯し、その対立と選択が歴史を作っていったともいえます。戦後を考えると朝鮮戦争、漢江の奇跡は日米の圧倒的な支援があったからこそ達成したわけで今日の韓国の礎でもあるのです。ところが、韓国において思想的には儒教の影響は強く、中国に引っ張られやすいこともあり朴大統領は中国寄りの姿勢を見せ続けてきました。

確かに中韓関係をみれば北朝鮮外交との天秤も含め、朴大統領の外交は成功したかに見えます。また、中国の高い成長性と成熟国アメリカを比べれば地政学的要素も含め、経済関係において中国に傾注したくなる政策も分からなくもありません。ですが、中国の文化は相手の技術を吸収し、自分のものとした途端、相手を切り捨て、自分の成長に注力する傾向が強いのも事実です。自動車や造船、スマホなど今日の韓国の状況はある程度予見できたはずです。韓国国内経済は悪化の一途を辿っており、中間層から若者の就職問題、更には高齢者の生活に至るまで大きな問題を抱えています。

英のフィナンシャルタイムズにはそれはむしろ韓国にとって両大国のおいしいところ取りができる立場ともいえなくもないという趣旨の論説がありますが、それは白人社会の眼とアジアの根本思想の相違をどこまで勘案しているか私にはすっきりしません。

そんな中、米韓外交上、アメリカは日本に一定の譲歩を求める外交的施策のアイディアがないとは言い切れません。日本はアメリカにとって対韓国外交の橋頭堡とも取れなくはなく、アメリカと日本が韓国政策に対して一定の配慮をしてもおかしくありません。日米外交の中でギブアンドテイクはある程度存在するはずで完全なガチンコの外交はあまりないでしょう。TPPの日米合意を前提とする外交の影響は注視する価値があるかと思います。

少なくとも歴史の中では日中韓の三カ国が正三角形の力関係であったことはありません。そして現在の経済、政治、社会的影響度もそうではない中で間に挟まれた韓国のかじ取りは想像以上に困難なのかもしれません。そして韓国国内における政府と国民の温度差は広がるばかりのように思えます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

サービス業のマニュアル偏重の終焉4

最近読み物をしていて目につくのが「考えること」を強調している記事、書き物でしょうか?今さら何を言われると思いますが、世の中IT革命で様々なことをコンピューターが考え、人間生活は楽になる一方であります。「動かず、考えず、何もせず」でも生きていける時代になったと言えます。

人は考える癖を止めると脳が錆びつき、考えることを意識しないと思考回路が回らなくなります。朝、起き掛けは誰でもほぼ毎日同じ行動パタンを踏んでいるはずですが、それは意識しない動物本能から来るものであります。それが朝だけでなく一日中続いていたら人間の脳ミソはドンドン小さくなってしまいます。私が時々「脳ミソに汗をかけ」というのは一生懸命考えることを意識しないともはや、脳ミソサーキットは動かなくなるよ、という意味でもあります。

外国生活に長い私は日本のチェーンレストランに行くとこれほどつまらないサービスはないと思うことがしばしばです。完全マニュアル化され、極小のスタッフ数で店員は店内を駆けずり回り、サービスは注文を取り、持ってくる以外に何もありません。コンビニでも同じで店員と会話して新たな発見をすることはまずないでしょう。

当地の中級以上のレストラン。サーバーが自分の客のところに何回足を運ぶかでその店のサービスが分かるという言う人がいます。ワインでも頼めばサーバーは注ぎに来なくてはいけませんから10回近く来ることになるでしょう。その時、場が盛り上がっていなければ心地よい言葉をかけて和ませる心がけも忘れていません。

北米のスターバックスはマニュアルを超えたサービスを提供するとされています。それは客とスタッフ(パートナーと呼びますが)の間のわずかな接点においてお客様の顔や様子をうかがい、何かできることがあればやってあげようという精神が一杯なのです。クレームのドリンクの作り替え、深い悲しみを抱えているお客様に哀悼の意を表し、無料でコーヒーを差し上げるなどはごく一例でしょう。マニュアル文化のアメリカ発の企業においてなぜ、非マニュアル的なことが日常起きていて、それが高く評価されているのでしょうか?

私は高度に進むIT化社会の中で人間が人間として接点を持つことを重視しているのだろうと思います。アブラハム マズローの欲求五段階説は下から生存、安全とくるのですが、三番目に社会で認められたいという欲求が来ます。現代社会ではもはや五番目の自己実現欲求まで到達しているのではないかとする説もありますが、案外まだ三番目の社会での自己存在感の段階にいるのではないかという気がします。そしてスターバックスはこの認められたい欲望を刺激するビジネスを展開しているともいえるのです。

スターバックスが最終的に目指すのはマニュアルサービスではなく、全てのお客様にすべて違うカスタムサービスができることではないかという気がします。それぐらいこの会社はコーヒーから大きく派生したサービスの在り方を変えようとしているように思えます。

マニュアル文化からそこまで変化する兆しがあるのは人間が人間としての接点に飢えているから、とも言えるのです。日本でコンサートが流行るのもシェアハウスが流行るのもお祭りやイベントが好きなのもそこに行けば同じ目的や興味をもった人がいるからなのです。私が日本で酒を飲むなら割烹着を着たママが煮物を作っているようなカウンター席が好きなのは人間的接点があるからなのです。カナダでも食事等はカウンター席に好んで座るのはそこにはライブな空気があるからでしょう。

チェーンの居酒屋に行けば注文は呼び出しボタンどころかテーブル備え付けの画面で注文を完了させるのが当たり前です。しかし、私はそんな店はちっともたのしくありません。以前、東京のあるフランス料理店で待ち合わせしたところ相手が1時間遅れると店に連絡が入りました。店の人は1人の私に気を使い、いろいろ声をかけ、待っている間を飽きさせませんでした。これが本当のサービスではないでしょうか?

マニュアルにも長短があります。そして、経営は進化しています。私にはアメリカ発のマニュアル文化が変わりつつある空気を感じています。日本がおもてなしの国としてのスローガンを持つならば世界に率先してサービスの在り方を見直すべきではないかと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
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