外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2015年05月

人生の挑戦に終わりなし4

先日NHKで俳優 渡辺謙のブロードウェイミュージカル「王様と私」を中心とした彼の生き方を放送していました。ご覧になられた方も多いでしょう。映画、ドラマで活躍している彼の名声をゼロまで落とすリスクがあるミュージカルの舞台に55歳の彼が挑戦する姿に非常に感動しました。

考えてみれば、もともと国内俳優が一歩踏み出して「ラストサムライ」に挑戦したところから彼の人生は他の俳優と一段違う世界に進んでいったと思います。彼はそれまで英語が出来なかったのにそれを克服し、更にクリントイーストウッド氏の目に留まり、「硫黄島からの手紙」で主演を勝ち取っています。しかし、ブロードウェイのミュージカルは全く違う世界であると言っても過言ではありません。それは単にミュージカルの舞台であるだけでなく、辛口のニューヨーカーが相手であるという事です。

ヤンキーズ時代の松井秀喜選手がチャンスで打てないと翌日の地元紙には厳しい論調の記事が出ていましたが、それはニューヨーカーがベストオブベストを求める独特の空気を持っているからでありましょう。ブロードウェイでも厳しい目線でそれをチェックします。私が昔、ブロードウェイのミュージカルによく出かけていた頃、出来の悪い舞台は芝居が終わる前に客はさっさと帰るという話をよく耳にしました。

また、舞台は映画撮影と違い、やり直しができません。セリフのとちりも許されません。そういう意味では渡辺謙氏は多くの人から見ても十分な成功を収めているのになぜ、今、また新たな挑戦だったのでしょうか?

自分を極める、という言葉があります。その世界である達成をすればその次、またその次と挑戦していきます。登山家が新たなる山に向かい続けるのと同じでしょう。高いレベルに向かい、今までの自分が何だったか完全否定され続けながら自分の世界を見つめ続ける、これを渡辺氏も求めているのでしょう。

では我々の世界ではどうでしょうか?

私の周りにはアーリーリタイアメントしつつある人がいます。北米では確かにそういう傾向はあります。十分稼いだと言ってテンションを下げてしまうのでしょうか?しかし、人生はお金を稼ぐことが全てではありません。80年なり90年なりの人生をどれだけ充実させるかではないかと思います。人生後半になり、全く違う分野で新たな挑戦をする人もいます。あるいはそれまで培ってきたノウハウを生かしながら専門家として第二の人生を送る方もいます。

北米のアーリーリタイアメントをする人は私の知る限り、第二の挑戦をする人が多い気がします。ところが日本人にはゴルフ三昧、旅行に美食で悠悠自適を語る人もいます。人の人生ですから何も申し上げませんが、そういう方は加速度的に歳をとっていかれます。一方、75歳で現役バリバリの人ははつらつとしています。

人生前半の人はどうでしょうか?会社に入り、安定感を持ったところでほっと一息ついている人が大半でしょう。しかし、会社の仕事はほとんどが受身で若いうちは能動的に仕事をする余裕などないはずです。そんな社会人生活を送っていると30歳頃には能動という発想そのものが無くなってしまう人が実に多いことに残念な思いすらします。

私のところのシェアハウスである日曜日に昼、ランチ会をしようと声をかけたところパラパラしか集まりません。「あれ、みんなお出かけ?」と聞けば「みんないますよ、だけど寝てる」と。昼まで寝ていて午後からだらだらと過ごして夜になって元気が出るという生活に人生もったいない、と嘆いてしまうのは私だけではないでしょう。

朝、30分早く起きて書を読む、運動する、何か習う、といったきっかけだけでも作ってみたら大きな発見があるかもしれません。人生なんていかに充実させるか、それに尽きると思うのです。渡辺謙さんを私も見習ってみたいですね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

今週のつぶやき4

話題豊富だった一週間でしたので久々に「今週のつぶやき」で振り返ってみたいと思います。

まず、株式市場。遂に11連騰となり、1994年以来となりました。もともと5月は「セルインメイ」と言われトレーダーたちがいったん手じまいしやすく、株は下げやすいと言われる月でありました。おまけにギリシャ問題など不安材料もある中、見て見ぬふりで5月の立ち合い18日中16日間上昇というとてつもない結果となりましした。いわゆる出来高をみるとこの数日のみずほフィナンシャルグループは突出しており、更に東京電力、三菱UFJが続く展開は往年のビックネームのそろい踏みの様相であります。

この活況の株式市場に援護射撃をしたのが為替でしょう。本稿を書いている日本の土曜日の朝で124円台となっています。円ドルのチャート的には長い間の切り下げから上に抜ける形になりましたので本当に輸出産業にとってはホクホク、輸入業種はより一層の企業努力と恐る恐るの値上げを継続していくことになりそうです。

株式市場がいつまでも連騰を続けることはないのですが、過熱感がなく、ゆっくり着実に上がり続けているところに今回の特徴があります。当面は2000年4月の高値20833円、そして1996年の22750円が年末に向けてのターゲットとなりそうです。

次いでFIFA。ブラッター会長が5期目の当選を決めました。非常に複雑な気持ちであります。折しもカナダで女子サッカーが始まるところで私のクライアントのホテルがFIFAの大会本部。私にもその関連の仕事が回ってきていますが、そんな羽振りの良い契約ではありません。(笑)ブラッター会長はちなみに79歳ですから4年やれば83歳です。こう言っては失礼ですがサッカーのファンも選手も平均年齢はもう少し若いわけですからこちらも若返りを図るべきではないでしょうか?

それにしても司法当局がアメリカからブラジル、スイスなど世界各国で動き始めたことからブラッター会長は任期を全うできるのでしょうか?また、なぜ、ブラッター会長には司法の手は回らなかったのでしょうか?盛り上げるためにクライマックスは先送りしたのか、司法取引をしたのか、はたまた本当にグレーなエリアはなかったのか、実に不思議です。圧倒的な人気とスポーツ人口を誇るサッカーですからこんな事件はサッカーボールの様にさっさと蹴りをつけるべきでしょう。

次の話題に移りましょう。火山の爆発が気になります。口永良部島の新岳で爆発的規模の噴火がありました。とにかく日本中、あちらこちらで火山活動が活発になってきています。桜島も箱根も、西之島の火山爆発による新島もありました。2011年の大地震で火山活動が活発化したと考えられているようで昨日NHKのニュースでインタビューされていた東大の先生もそのような指摘をされていました。

平安時代の864年に阿蘇山が噴火した後十数年の間に富士山、鳥海山、新島、開聞岳などが爆発し、大型の地震も記録されているようです。火山学者の研究とコメントが待たれるところでありますが、火山活動が活発期になっていると素人でも感じさせる状況は明白ですから日本中火山だらけであることを鑑み、今、我々はどのような予防的措置が出来るのか、もっと真剣に考えるべきではないでしょうか?

先日のブログで東京電力の火力発電所が太平洋側の海外沿いに集中している点を指摘しましたが日本全国の発送電の自由化はリスク分散という点でも速やかな実行が待たれるところではないでしょうか?

最後に新国立競技場をめぐる茶番ですが、これははっきり言って見苦しいです。舛添都知事も自分を正当化することにエネルギーを注ぎ過ぎです。森元総理も下村文部大臣、都知事両名に対する苦言を呈していますが、役人が自分のテリトリー争いをしているとしか思えない醜さであります。

もともと1300億円などという数字自体がオリンピック落札用数字であってほとんど細部に渡る検討はしていません。よって予算が大幅に増えるのも世の常識であり、どの開催国も世間からの強い批判を浴びながらよれよれになってようやく開催にこぎつけるのが実態であります。どの時代のどのオリンピックでも同じことが何回と繰り返されているなかでオリンピック誘致そのものに学びがないのでしょうか?日本は少なくとも過去3回も開催しているのですから困ったものです。

いよいよ週明けの6月にはギリシャがメインテーマになってくると思います。株価に踊ることなく、引き締めておいた方がよさそうな気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

どこまで進む円安ドル高4

「為替のことは為替に聞け」ですから再び円安に走り始めた為替相場がどこまで行くのかそのゴールは誰も分かりません。専門家は対ドルで127-130円を目指す動きと解説しています。今日はこの前提とそのシナリオの可能性について考えてみたと思います。

まず、基本的なことですが、「今、なぜ再び円安なのか」との質問があれば、「今、なぜドル高なのか」と言い替えるべきと指摘したいと思います。今回の円安局面の為替相場は円に動機があるわけではなく、アメリカが利上げをしそうだという期待からドルが買われているものでユーロやカナダドルを含め主要通貨には強含んでいます。その中に円も入っているだけで円の独自の理由で安くなっているわけではありません。

今週に入ってのドル高の動きは先週金曜日にイエレン議長が諸条件が整えば今年中には利上げに踏み込む可能性を示唆したためであります。ただ、議長発言が何か新たなる指標等に基づく発言というより以前から繰り返している一般論にやや踏み込んだ形となったため市場が明白な動きを示したものです。

しかし考えてみればこのアメリカの利上げ話はもうすでに2年以上もやっているわけで円が80円から124円台まで5割以上円安になった大きな要因の一つであります。仮にこの可能性の話を延々とやっていれば更に5円、10円という円安を引き起こすそのメカニズムは市場心理以外の何ものでもなく論理性は不十分であると言わざるを得ません。

例えば株価ならば分析の技術が進み、市場の評価、同業他種との比較などある程度の妥当価格が算出されます。ところが国家の株価ともいえる為替は相対という関係で成り立っていて為替評価が絶対基準ではないところにミソがあります。(為替の歪性を補うために絶対評価の為替市場を作るという発想があっても面白いとは思いますが。)

よって今後3か月以上にわたりFOMCの人たちが妥当と考えるだけの経済指標が揃うのか、あるいは、そうなり、利上げに踏み切ったとして市場が期待するほどの利上げ幅と今後の利上げスピードになるのか、そのあたりが十分に加味されているのか疑問は残ります。

イエレン議長は雇用と共にインフレ率も十分ではないと指摘しています。アメリカから見ればドル高になれば輸入品は安くなりますから輸入物価の下落によりインフレ率にはマイナスのバイアスがかかりやすくなります。あるいは利上げ幅についてかつてない緩やかなものになると示唆されている以上、0.25%という幅ではなくもっと刻みの小さい0.1%か0.15%といった水準になるとみた方がよさそうです。仮にその程度の幅であればドルは買われすぎていることになります。

では他に理由があるとしたら何でしょうか?円やスイスフランはセーフヘイブンとして買われる通貨でありますが、今回、ドルがその役割を果たす可能性を否定できない気がします。まず、ユーロ圏ですが、ギリシャの行方は混とんとしています。イギリスのユーロ圏離脱の国民投票も控えます。いわゆるユーロ圏の一枚岩が欠け始めるリスクが存在します。

二番目に中国のリスクがあります。とにかく実態が分からないことだらけですが、最近もっと気になっているのは習体制のリスクであります。今は万全でありますが、腐敗撲滅運動を通じて習近平国家主席は敵を作り過ぎました。この体制では持ってもあと数年でその後、混乱期を迎える気がします。その際、今までのベールがはがれてしまい中国の実態と脆弱性が指摘されやすいことは歴史の繰り返しともいえそうです。私が何度か書いたオリンピック10年後説(=大きな不況や経済困苦が起こりやすいこと)を思い出していただければと思います。中国の場合は2018年となります。

中国の不調は当然ながらロシアにも響くわけで地球儀ベースで見れば目先安定しているのはやはりアメリカという事に落ち着くのだろうと思います。これが私の考えるドルセーフヘイブン説であります。

一方で円の通貨としての価値をそこまで暴落させる必要もない気がします。世の中、一方通行のトレンドはなく、必ず、どこかでピークをつけます。それがどこなのか、これから探り合いが進むのでしょう。それにしてもここまで米ドルが高くなるとアメリカ旅行にもおちおち行けなくなりそうです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

住宅市場の行方4

住宅市場をパソコンで打ち間違えたら「住宅死蔵」と出てきました。思わず、苦笑いしましたがこれは案外、間違いではなく、今の日本の住宅のあり方をそのまま表していると思います。

日本人が「新しもの好き」である一つの理由は新しいものには必ず改善があることで購入者をわくわくさせるからでしょうか?住宅も古くなれば壊し、新しいものを建てるのは日本人のメンタルにもフィットしていると言えそうです。

しかし、私はこの30年余り続く日本のマンションブームもいつまでも続かない気がしています。それはマンションライフが必ずしもライフスタイルの多様化に対応していないからであります。30階建てのマンションは金太郎飴ごとく、同じ間取り、同じライフスタイルが待っています。違うのは窓からの眺めの角度ぐらいでしょうか?

マンションはもともとは戸建に住めない人たちの為の低廉な住宅でした。公団住宅に対して民間デベの作る物件が魅力的であることからついたマンションという和製英語は英語ではアパートメントであります。北米ではやはり低廉賃貸住宅としてアパートメントが普及していました。が、20-30年前からコンドミニアムというカテゴリーが市場で大きく成長し、ごく普通になってきました。理由は戸建住宅では広すぎて子供が巣立ってしまった家庭では管理が大変だからであります。これらエンプティネスター層にしてみれば庭のメンテから電気代、掃除に固定資産税にセキュリティを考えれば同じクオリティでより小さいものを求めるという発想の転換があったわけです。

北米のコンドミニアムも地域によっては1億円では大したものは買えません。不動産広告を見ても2億、3億というのが目につきます。明らかに北米ではコンドミニアムは別の不動産として進化したと言ってもよいでしょう。

実はその成長には日本にはあまりないもう一つの違いがあります。それはコンドミニアムの購入者は往々にして大規模な内装の改修工事を行うという事です。私の住むコンドでも年中どこかの家で改修工事が行われており、時としてコンクリートを斫るハンマーの音が響き渡っています。そこから生まれ変った住居はもともとは金太郎飴だった新築コンドミニアムがびっくりするほどの「ビフォーアフター状態」で個性豊かなデザインに変貌しているのです。

私がコンドを開発していた時、ユダヤ人のコンサルが一言、「内装はシンプルであとで替えやすいように」と助言してくれました。当時はせいぜい壁の色を好きにしたいぐらいの理解だったのですが、コンドの住民もより個性を求め、今や大改装が当たり前になっています。それが素晴らしければ素晴らしいほど価値を生み、例えば2000万円かけて改装すれば4000万円高く売れるということすら起きているのです。

日本の不動産取引で中古住宅はざっくり全体の1割。これに対してアメリカは全体の9割です。日本では中古が流通しにくい独特の理由があります。それにしても今や空き家住宅が全国で800万戸以上ある一方で年間80万戸以上の新築が作られています。人口減が続く日本に於いて壊す住宅が相当あるにしてもこの数字のからくりは論理的な流れではありません。

中古住宅が売買対象にならないのなら空き家を改装し、賃貸に回し、新たなるライフスタイルを提供すべきでしょう。例えば大きな戸建なら家主が管理するシェアハウスではなく住民が主導するシェアメイトを募集し、助け合いのライフをするというのもあるでしょう。(シェアメイトは親と称する賃借人が部屋の一部をほかの人にまた貸し(サブリース)するものです。これはカナダのアパートではよくある手法です。)

住宅の内装は金のかけ方でいかようにもなりますが、建物の外装、壁紙、水回りを重点的に変えるだけで見違えるようになります。また、一時期に大金をかけて回収するのではなく、毎年、少しずつやっていくのも住宅を長持ちさせ価値を維持する秘訣と言えましょう。

日本の住宅に対する価値観はこれから10年ぐらいの間に大きく変化する可能性があるのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

暗雲漂うスカイマーク再生計画4

スカイマーク社の再生計画に異論が飛び出してきています。全体の三分の一の債権を握るアメリカの航空機リース会社、イントレピッド社が現在の再建計画に反対の意を表明しているのです。また、その次に大きいとされるエアバス社もイントレピッド社に同調する構えがあり、そうなれば債権者全体の半分以上の賛同が必要な同社の再建計画は練り直しを要することになります。

今の段階でなぜ、イントレピッド社が反対意思をみせたのか、明白な理由はないとされています。一部では債権のカット率が95%という数字に不満であるとされています。しかし、倒産した会社の債権者は誰もが不満を持っているものです。95%だろうがそれが90%に改善されようがカットはカットで満足など所詮出来るものではありません。

また、再生案でスカイマークが小型機主体とするためにイントレピッド社が準備していた中型機の転用が効かなくなることでその再生案に反対するとする見方もあります。

私はもう一つ、違う所に理由がある気がしています。それは全日空ではないかという気がします。

スカイマーク社の再生に手を上げた会社は非常に多く、引く手あまたの中で全日空が選ばれたことで恨みを買って同社の引き下ろし作戦だとしたらどうでしょうか?

事実、新生スカイマークの会長には投資ファンドのインテグラルから、社長には全日空から出す予定でしたが、それが引っくり返り、日本政策投資銀行から出すことに変りました。表向きは全日空の影響力が出過ぎるという事でしょうが、実は水面下で相当揉めた結果、29日に提出する再建計画を差し替えたとみて良いかと思います。

日本の航空業界に於いては国交省は日航、全日空とは別の第三極を育てることを長年企てていました。ところが残念なことにどの第三極も結局行き詰まり、それがことごとく全日空の傘下に収まっているのであります。まさに今回の再建計画は「スカイマークよ、お前もか」なのであります。

元々のしくじりは日航の倒産に伴う民主党下での再生プランで国の支援が不平等であったとされる点でしょうか?それ以降、官側は日航に対しては対外的に非常に厳しいスタンスを取り続け、全日空に甘い流れが続いてきました。私はこの行政側の姿勢がよりこの業界をドロドロにしてしまった気がします。現時点においては全日空に対して行政は明らかに甘すぎます。かといって第三極が育たないというジレンマもあるわけです。

もしも国が本当に第三極を推すならば今回の再生プランからは全日空は外すべきでしょう。確かに航空業界は競争が激しく、資金的負担も大きい一方で小規模の会社が生き残る手段がないわけではありません。アメリカはアメリカン、ユナイテッド、デルタという大手に対してサウスウエストなど新しい経営方針を打ち出して強くたくましく生きている会社もあります。カナダではウエストジェットが大きく力をつけています。それらは既存の業界の不文律を破るフレッシュさがあります。

例えばスカイマークの再生に手を上げていたHISの澤田秀雄氏は面白い候補でした。もともとスカイマークを立ち上げた方ですし、同氏の長崎ハウステンボスの再生の手腕を見てもそれは一目瞭然です。今まで誰も気がつかなかったことを次々の打ち出し、赤字垂れ流しのテーマパークを誰もが行きたくなる施設に変えたのは業界人ではないしがらみのなさという点があるかと思います。

経営を「面白い」という表現を使ってはいけないのかもしれませんが、どうせ再生するなら大手が出来ないようなプランを生み出してもらいたいものです。銀行は「前例無し」で否定するのではなく、その可能性を前向きに検討するぐらいの姿勢を見せるべきでしょう。銀行は貸してやるというスタンスではなく、一緒にビジネスをするという発想に転換してもらいたいものです。

企業再生においても日本のチカラを是非、見せてもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

変りつつある東京電力4

数年前、東京電力は日本で最も憎まれた会社の一つでありました。東電管轄ではない地域でも東電のおかげで原発が止まり、高いLNGを購入し、赤字となり、電気代が上がったわけですから東電悪玉論は日本中で持ち上がっていました。

当時、東電を潰すか、存続させるかという議論がありましたが、潰す話は感情論で実質的に潰しても誰も得をしないことは明白でした。それよりも安定した電力供給をしてもらうことがもっと重要であることに落ち着いたわけです。一方の東電の内部はそれまでのエリートの「のほほん」としたムードが一転し、天地をひっくり返すような状況となりました。十数年ほど前、東電に勤める友人が「うちは海外は無縁だから外国語を駆使できるのもいないし、外国で事業が出来る人間もいない」と言っていたのが非常に印象的でいわゆる既得権に甘えていたそのしっぺ返しが一気に来たという事だったのでしょう。

そんな東電を私は割と注目し続けていました。エリートが地に堕ちた時、どう這いつくばって再び力を出すのか、と。そして多分、この会社はものすごい勢いで再生し、日本の電力会社のリーダーシップを取る時代がいつかまたやってくるはずだと思い続けていました。理由は潰せない会社だからこそ、早く経営状態を改善させ、来たる発送電自由化に向けて完璧な体制を整えることがこの会社の使命だからであります。

そんな中、東電の株価がこのところ堅調です。4月半ばは460円程度だったものが今や600円を超えるところまで回復しています。理由は東電の経営が明らかに積極攻勢に変ってきているからです。

最新のニュースでは三菱商事と組んでカタールで3000億円規模の発電所を受注しています。東電は長く海外向けの営業を止めていましたが昨年秋に方針転換していました。それ以外にもタイ発電公社とのLNGの共同調達やTポイントやポンタ導入で電気料金を払ってポイントを貯めるといった消費者向け営業も積極的です。更にはソフトバンクと組んで携帯と電気のセット販売といった戦略からガス会社との提携交渉も進めています。

今年に入ってからの東電は明らかに昔のボンボンから野性味あふれる企業に変身しつつあります。多分、発送電自由化を前に圧倒的ポジションを確保する戦略なのだろうと思います。6月にも同社は新戦略を発表するようですが、かなり積極的なものになると考えてよさそうです。

唯一、私が気になるのは柏崎原発であります。東電の主力である火力発電施設は福島から茨城、千葉、東京、神奈川の湾岸であります。最近東電の新たなリスクの切り口として富士山などの噴火にともなう影響があります。火山爆発に伴う深刻な降灰が進めば火力発電所のフィルターが詰まって機能しなくなるというのです。この研究がどれほど信憑性があるか、またその確率問題は別として、リスク分散という観点からは東電としては水力発電を別にして唯一の遠隔地にある柏崎の発電施設の稼働は絶対条件だと思っています。

経営側は柏崎の再稼働は毎年、経営計画に織り込んでいましたが最近はあてにならないのかあまり強調していないように見受けられます。他の合格した原発を見ても本当の再稼働がいつなのかさっぱり読めないのを見れば経営計画に織り込めるような代物ではないことに気がついたのでしょう。

但し、東電の発電施設の偏りは国家戦略上よろしくないと思います。インフラ、特に電力は今や、空気と同様、あって当たり前なのです。そのあたりをもう少し考え、日本全体がバランスの取れたリスク対策を取れるような自由化を進めるべきでありましょう。日本は天災が多い国であることは誰もが知っています。それに向かって英知を絞るのは電力会社任せではなく、国家戦略として支えていかねばならないと思います。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

現場を知らない経営は成功しない4

バンクーバーの会社で契約している植栽管理の業者は1か月幾らと決まった額を払えば週一度業者がやってきて植栽したり芝の管理をしたり落ち葉を拾ったりなどをしてくれることになっています。以前使っていた業者があまりにも酷く2年ほど前に人の勧めで違う業者に変えたのですが、全く使えない業者なので来月いっぱいで契約打ち切りにして日本人の職人さんにお願いすることにしました。

カナダの植栽管理会社がなぜだめだったか、答えは簡単です。マネージャーが全然来ず、アルバイトの若い子がどこからどこまで管理するのかもしっかり把握せずになんとなくやって終わりなのです。土壌も足りないし、肥料も足りない、芝の生える土はカチカチになってエアレーションもしてない、芝の種を植えればまばらでこんな密度では仮に生えても芝がパラパラ程度しか出てこないのに全く改善する気配なしです。(ただ、芝は昨年も生えませんでしたし、今年も生えてこないことは分かっています。)

現場を知らないマネージャーや経営者は客の苦情を聞いて重い腰を上げるのだとすれば私は毎日誰かに苦情を言い続けなくてはいけないのでしょうか?それでは血圧が上がり過ぎます。

欧米の経営者は頭で戦略を考え、それをスタッフに押し付けます。マネージャーはすべてが丸く予定通りに進んでいれば何もしません。何かあった時は必要以上に顧客にケアをしてマネージャーの力量を発揮します。客からマネージャー氏に「お宅がいてくれてよかったわ」と言わせ、意気揚々と引き揚げていくマネージャーの背中を見ながら君がもっと現場に注力していればこの問題そのものが起きなかったはずだと思わずつぶやいたことは数知れずであります。

経営を軌道に乗せる、という表現をよく聞くと思います。正にレールに乗せて走り出しさせすればスタッフとかラインの仕事になり、ほかの人は手を出さないのがルールとなっています。昔、バンクーバーのある日系企業でラインがローカルスタッフでしっかりと確立されているところに新しい駐在員が交代でやってきました。この人はまじめで自分がラインの中に入ろうとしたところラインの仕事が乱れ始めました。なぜならラインの仕事に権限や権力を使い、ラインの流れを変えようとしたからであります。現場は混乱します。結局、駐在員はラインの仕事から身を引くことで決着がつきました。

海外の駐在員は3-5年という短い間に管理業務を行いますが、軌道に乗っている会社の場合には極端な話、駐在員はいりません。だから、昔は商社なら20-30人の駐在員を抱えていたものが今では数名であります。ある意味、駐在員の業務があいまいで何が出来るのか、といえば北米風MBA流儀に乗っ取り、短期の成果を上げることぐらいしかできないわけです。さもなければ駐在期間をうんと長くして本当の経営をすることでしょう。その国のエキスパートを作り出すぐらいの心意気がないと海外でマネージメントは出来ません。

北米流経営は経営者が現場を知らなさすぎることで問題が顕在化するまで気がつかないことから発生します。現場からの情報がきちんと吸い上げられる仕組みはあるでしょう。しかし、その現場の責任者がどれだけの能力とまじめさと緻密さをもって上に報告するかはその人次第です。都合の悪いことは言わないかもしれません。だからこそ、経営者や経営側は現場を自分の目で見なくてはいけないのです。

大手自動車会社の利益率を見ると富士重工は異次元なので別扱いとしてもトヨタはライバルのGM、VWと比べてはるかに高い利益率を確保しています。売り上げを追わず、質を極める、ひいては利益率やROEを上げることが出来るのは下から積み上げが一気通貫で機能しているからに他なりません。

こちらに長くいると経営者にプロモートされていくタイプ、途中で脱落する人が明白です。金曜日の午後、事務所ビルで目をはらしている人を時々見かけます。クビを切られたのでしょう。大体クビは金曜日の午後に切られますので私のところにも突然、月極めの駐車場を今日で解約するなどという無茶な要求を押し付けられたりします。

こんな切った貼ったのビジネスがワークするとは思えません。勿論北米には創造力や個人能力の発揮場所としては素晴らしい面も多いのですが、最近とみに北米流経営に疑問符の数が増えていっているようです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

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