外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2015年07月

株価に見る中国のもろさ4

世界の眼はNYのダウや東京の日経平均よりも上海の総合指数の動きに釘づけです。アメリカの経済はブレが少なく第2四半期GDPもしっかりした足取りで着地、安定感を増しています。日本も第1四半期の決算がピークを迎えますが、ファナックなど電子部品のメーカーにスマホショック的なところもありましたが全体像は相当好調とみてよいと思います。東電や航空会社、更には自動車メーカーの決算から内需、訪日、輸出と三拍子そろった状態になっています。

ところがその堅実な空模様の蚊帳の外に於かれているのが中国とそこにリンクしている諸国であります。

上海総合は高値からちょうど半値下げた3500ポイントで切り返し4000ポイントを奪取した後、政府の4500ポイントまで引き上げる目標に至らない状態で再び下げに転じました。27日の8%強の下げも強烈でしたが30日の取引終了直前での下げは嫌な形となってしまいました。

メディアのストーリーは政府の買い支えはいつまでもできるものではない、だから株価は下げるというトーンに読めます。中国の株式市場はNYや東京とは全く違う市場構造であるために今や、上海の株価がどれだけ下がろうが、上がろうが、世界の株式市場とは関係ないという見方すら出てきています。株式版デカップリングでしょうか?

しかし、そうとも言えません。日本でもバブルの時のあぶく銭は株と土地から生まれています。サラリーマンの給与が特別上がったわけではないし、ボーナスの振る舞いが特別よかったわけでもないでしょう。せいぜい、会社の経費でいつもよりちょっと飲み食いが出来たりゴルフに行けたぐらいでしょう。本当の泡は暴騰する株価と土地成金で生まれたもので一般の人はそのお相伴にあずかっていただけです。

上海の個人投資家がいくら含み損を抱えているかわかりません。ただ、個人投資家が8割で株価が上がってまた株を買うという投資家の心理を考えると多くの人が高値掴みの株価に苦しみ、その処理に頭を悩ましているでしょう。ただ、それより重要なのは損をしている、明日はもっと損をするかもしれないという心理状態は消費を極端に減退させます。

日産自動車の決算説明会で中国での自動車販売が悪化していることが強調されています。4-6月は持ちこたえたけど7月はもっと悪いというその言葉が市場を物語っています。フォルックスワーゲンが上半期の世界販売台数トップに躍り出ましたが私はトヨタが通期で巻き返す可能性は大いにあると見ています。それはVWが強みとしている中国市場が下半期に相当苦戦を強いられるとみているからです。

日本やアメリカのバブル景気の際の株高と今回の上海の株高の違いは景気なり不動産価格なりの経済的裏付けのあるなしがポイントではないでしょうか?不動産バブルが何時破裂してもおかしくないと言われ続けている中で一年前に突如起きた株価高騰であります。理由づけがほとんど出来ない株価でしたから落ち着くところに戻るのでしょうか。それが振出しの2000ポイントなのか、この景気の悪さを反映してもっと下げるのか、はたまたそれでも7%弱成長する国に敬意を表してもっと高いところで収まるのかでありますが、今後、論理的な株価分析をした西側諸国のアナリストの声が上海の投資家に聞こえて来ればそれが一つの指標になるかもしれません。

今日のブログのポイントはしかし、株価の話ではありません。一部の経済的に余裕ある人たちが倹約令の出ている状態の中でマネーゲームに興じたことの背景に私は興味があります。フランスのデザイナーズブランドは目立つから駄目、派手な社交も駄目、ならば「色がつかない」マネーならば大丈夫だろうと考えたのが中国人の心理ではないかと思うのです。つまり、じっとすることが出来ず、何かに抵抗し、新しい方法を見つけようとする国民のもがきのようなものを感じるのです。

これはとりもなおさず、政治が機能していないといってもよいのではないでしょうか?私は習近平体制は非常にもろくなってきているように感じます。最新のニュースでは「胡錦濤前政権で人民解放軍の制服組トップだった郭伯雄・元中央軍事委員会副主席を党籍剥奪処分にし、収賄容疑で軍事検察機関に送ると発表した。すでに汚職で摘発された故・徐才厚氏と共に、胡政権時の軍制服組トップが2人とも党籍剥奪となる異例の事態となった。」(日経 31日電子版)と言ったように粛清を進めるばかりで政府機能がマヒしつつあるように感じます。

強権を持ったトップの最大の弱点は情報が入らなかったり、加工された情報になるということです。いわゆる「裸の王様」です。習国家主席は身内にすらどれだけ胸襟を開けるのでしょうか?案件は山積どころか積みあがり過ぎて崩れてしまいそうです。それを習国家主席だけで支えようとしている風にしか見えません。

私の友人の上海人は「政府なんか信じてない。マネーだけよ。」と言い切ります。共産党独裁の中国のその影響力は以前ほどではありません。中流階級が増えた今、その威信は更に下がるのが世の定石であります。ならば、13億の民を擁する中国の経済力はそれまで世界の工場として培った高い体力が基礎代謝まで下がってしまうことを意味します。

折しもカナダの最大級の鉄鋼石会社のクレジットレーティングは先行きネガティブに落とされました。これが意味するのは中国の当面の回復は期待できないということなのでしょうか。その時一番影響を受けるのは案外、小国の韓国になるのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

富裕層にとっての東南アジア4

富裕層がシンガポールや香港に拠点を移す話はよく聞こえてきます。国税が出国税までかけながらも外に出ていく日本人が求めるのは何なのでしょうか?

私の周りにも複数いる東南アジアマニア。拠点をシンガポールなり、フィリピンなりに構え、そこから東南アジアの伸び盛りの都市の不動産に投資をします。あるいはカンボジアならば現地通貨リエルより米ドルが街中で普通に流通し、預金も米ドル建てが可能。しかもその利息は米ドルなのに5-6%以上ありますから世界でも有数の米ドル運用ができるところということになるかもしれません。(引き出しに制約はあります。)

国によっては高い成長が期待できますし、一部の東南アジアの都市では駐在員や外国人向けの賃貸住宅、あるいは宿泊施設が足りないところもあります。そのため、それらを満たすための新規投資をするという面白みもあり、日本にはないダイナミックな動きを投資を通じて楽しむことができます。

富裕層の方というのは言い換えれば行動がアグレッシブで頑張って働き、稼ぐことに焦点を合わせ財を成したほんの一握りの方々です。その人たちが自分の資産に更なる発展を望むのは当然のことであり、あくなき、マネーへの追及は死ぬまで続くのだろうと思います。(ある日突然、稼ぐのを止めたという富裕層の方を私は聞いたことがありません。)

その中で東南アジアは数々の特徴ある小国が集まり、バラエティに富んだオプションがある点に於いて欧州に似ているとも言えそうです。そう考えると日本はさしずめ欧州におけるイギリスのようなものでしょうか?

日経で一年を通して組んでいる特集、「税金考」。その記事からは日本の相続税率が世界の中で突出していることがわかります。基礎控除も少ない方ですから合算させるとごっそり持っていくという表現が正しいのだろうと思います。また、まだ始まってもいないマイナンバー制度の今後数年間に渡る拡充プログラムも発表されており、ルールの逸脱が厳しくなり、税がきちんと捕捉されることから逃れることはできません。

一方で国によっては厳しい相続税により頭脳流出が起きたところもあり、その方針を撤回したケースもあります。今後国税の厳しい取り立てが予想されるなら、仮に出国税があろうが、海外資産のディスクロージャーがあろうが、日本では税金を払いたくないという人は確実に出てくるでしょう。そして、それらの人は居住者として受け入れてもらえる国、税金に優しい国を目指します。決して欧米の先進国ではありません。なぜなら居住者としてのビザが取れない、あるいは東南アジア諸国ほどの税制の魅力がないからでしょう。更に欧米は移動に不自由で且つ、時差もあります。東南アジアはまさに日本から見た羨望の大陸なのかもしれません。

富裕層にとって節税というのは人生を通したゲームであります。如何にして数%の税率を下げるかに血眼になり、情報を集め、それを成し得た時、勝者の気分を謳歌します。

勿論、このような人は日本人のほんの一握りの中の一握りです。数にしてみれば4桁数程度かもしれません。大多数の勤労者や庶民にとって関係ない話でありますが、グローバル化が進み、海外勤務経験者が急速に増大する中、居住地を日本に限定しない人も当然増えてきています。

住めば都と言いますが、駐在経験者が日本と比べてあの国のあの街はよかったな、いつかはまた住みたいと思うようになった時、日本人の海外流出は更に進む可能性があります。1989年の海外居住者数は587千人でしたが昨年は1290千人にまで増えています。実に2.2倍です。またこの5年で13%増。更に地域別でみれば東南アジアの日本人居住者の増加幅は突出しており、年平均5%程度増えています。

海外の生活は経験者でないとなかなか気が進まないものですが、一度経験すると病みつきになる人も多いものです。先日、高校生向けに講演をした際、「海外に住みたくない人は?」と聞いたところ、元気よく手を上げた男子生徒が「日本食が食べられなくなるから」という理由だったのは海外生活を知らない故の思い込みなのでしょう。

相続税だけが海外脱出組の理由ではないでしょう。政府はそのあたりの国民のセンスの移り変わりをまだ十分に理解していない気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

話題が尽きない新国立競技場 続編 4

文科省の局長が辞任したというニュースが流れ、週刊誌やワイドショーのネタとしては最高の盛り上がりを見せています。

もともと舛添都知事が吹っかけた話で、責任者である局長が辞めるか、大臣が辞めるか、と迫ったことに対して下村文科大臣が引っかかったようなものでしょう。どう見ても舛添都知事と下村文科大臣の個人的そりが合わない中、第二ラウンドでリング上に上がった下村大臣がセコンドが悪いと言ったようなものですから当然、野党をはじめ、世論はいろいろ騒ぐことにになるわけです。日本の慣例から起こりうる可能性を推測すると今後、下村大臣が標的になり、最後、辞任まで追い込まれるというのがストーリーです。さて、リングの上で最後まで倒れずに戦えるか、これは夏のエンタテイメントとして聞き流すことにします。

それよりも気になるのがザハ ハディド事務所が「コスト高は東京の資材や人件費高騰によるもので、デザインが原因ではない」との声明を出したことであります。これには異論百出となりそうです。

まず、アーチが230億円でできるとザハ事務所が試算しているその根拠と950億円かかるというその違いがどこにあるのか、ザハ事務所として具体的に説明してもらう必要があります。ザハ事務所は建築費が高騰しているのが原因としています。資材費よりも人件費、それよりも人材確保の問題であって実際の工事費についてみれば安倍政権になってからざっくり2割程度の上昇です。ですが、それでも2割です。230億円の2割増しは276億円です。

これは私の想像ですが、ザハ事務所の見積もりも政府の工事費予算も極端な数字が入っているように思えます。

まず、ザハ事務所が日本の工事見積もりにおける特徴である巨額の仮設工事費を計算に入れていたかどうか、であります。あのような特殊なアーチを作るには作業場の確保、仮設の橋梁用足場に巨額のコストがかかるのですが、それが230億円には入っていないような気がします。つまりザハ事務所は本体工事の主張であり、付随工事、仮設工事、準備工事のコストを一般的比率で足しこんだだけで特殊性の詰めが甘かった可能性があります。

特に日本は震災対応がありますので仮設のクレーンにしろ足場にしろとにかく大がかりになります。通常の建物のクレーンも諸外国に比べてかなりしっかりしているものを使っています。カナダなら50-60階建ての建物を建てるのでも細いトンボクレーン一本でやりますからそのコストの違いは明白です。

では建築会社に実際に発注したら本当にこれだけかかるのか、であります。発注形態が競争入札ではなく、随意ですので建設会社は特に工法に工夫する努力をしなくてもよいわけで言われた通りの安全で確かなコストの高い方法をやればよいわけです。難しい技術を要求されるだけに本来であればゼネコンの腕を見せてもらいたいところなのですが、そこまで掘り下げていないところにも問題がありそうです。

つまり、この競技場は元からデザインありきなんです。建設会社と設計事務所がタッグを組んだデザインビルトのコンペ方式ではなかったところにスタートから間違えたということでしょう。

そう考えれば局長が辞めるのは致し方ないと思いますが、この混乱を招いたのは下村文部大臣のハンドル捌きの悪さも大いにあったわけでそのあたりを知らんぷりするのはどうかと思います。安倍首相としてはこれ以上、本件で波風が立つとご自分の支持率を含めた足場がぐらつくことになりますのでなるべくそっとして、遠藤大臣のあのにこやかでうまく立ち回るスタイルにお任せするしかないのだろうと思います。

この問題は日本にとっては恥ずかしい話ですからいい加減にパシッと軌道に乗せて進めてもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

安倍政権は本当に盤石か?4

昔は日本の総理も在任期間が長い人が多く、また、それを社会が受け入れてきました。佐藤榮作、吉田茂、池田勇人、岸信介氏といった名前は日本がゼロスタートを切って成長という高度を上げる時期に活躍された方々です。そして中曽根康弘氏がバブルという絶頂期前の82年から87年に長期政権として走り抜けました。

社会が成熟するとは百花繚乱、あるいは百家争鳴といったように思想や嗜好が開化するときでもあり、日本の様にほぼ単一民族の国家では社会構造的にかじ取りが更に難しくなることもあります。安倍首相が圧倒的支持率で持って迎えられたのは自民党政権に戻って良かったという安ど感と共に「経済の安倍」を売り込んだからであります。経済が良くなることは国民一致の願いですからそれに文句を言う人はあまりいません。

企業の社長が長く勤められるのも成長とか儲けるといった分かりやすい切り口に支えられているからです。ところが、そこに思想が入ってくると残念ながら世の中を二分するほどのボイスが生まれるのも世の常です。原発しかり、安保しかりです。

北米においても同様で、公共放送からプロパガンダ的な声が聞こえてくることもあります。カナダでラジオをつけていると政党戦略のコマーシャルが聞こえてくるのですが、相手の党首を名指しで酷評するのは当たり前で余り耳触りが良いものではありません。しかし、ディベートを通じ、国民や市民のマインドをしっかりつかむのが欧米式のやり方であって成熟国の性でもあります。

安倍首相が安保の問題で先を急ぎ過ぎたという声が高まっています。日経/テレビ東京の世論調査では内閣支持率は38%、不支持が50%と大きく数字が動きました。支持率の急落と不支持の急騰は安保だけではなく、国立競技場の問題も当然前哨戦としてあったはずです。あるいはどこかに行ってしまったアベノミクスも気になります。

日銀と二人三脚で始めた異次元の緩和は2%のインフレが2年で達成できるはずでしたが、全くその気配はありません。同じ出来ないお約束でも「惜しかったね」なら良いのですが、思惑とはだいぶ違った点について黒田総裁からきちんとした反省の弁が聞こえてきません。その黒田総裁と安倍首相の関係も遠い感じに見受けられます。二人とも我が強いですからそりが合わなくなればそれまでなのでしょう。しかし、放置も出来ないはずです。

安倍首相の安保関連法案は戦略ミスだった気がします。憲法専門家が憲法審査会で三人とも違憲と発言したことが第一のミス、そしてそれでも強引に突っ切りろうとしているところに第二のミスが見られます。野党のボイスも理路整然としているわけでもないのですが、今回は与党が論理性に盤石さがない所に岸信介氏の安保と同じスタイルになりつつあるところに残念な気持ちがあります。

安倍首相がこの関連法案を通したところで解散が絶対にないと言い切れない気もしてきました。岸さんは「安保改定がきちんと評価されるには50年はかかる」という言葉を残して辞任しました。安倍首相も同じことを言うのでしょうか?

確実に言えることは政権の初期は高い支持率で政権末期には支持率はドンドン下がるのは世の東西を問わないという点です。オバマさんも隣の朴さん、更にブラジルのルセフさんに至ってはあまりにもひどい状態です。それは政権に対する期待が高すぎて長期になればなるほどそのギャップが大きくなるためでありましょう。私が冒頭に経済が一方向に向いている状態の時は長期政権でも安定するという趣旨を述べたのはそういうことであります。

かといって私は安倍首相が安保関連の議論を日本に巻き起こしたのは正しいと思います。日本が10年後、30年後、50年後にどういう姿とすべきか、これは国民一人ひとりが考えるべきです。但し、国民にもう少し、基礎教育もすべきかと思います。先日も申し上げましたが今や戦争を知らない人が主流であって、その意味合いはまるでネットで罵り合うレベルの延長戦ぐらいにしか思っていないかも知れません。

今、日本人に戦場に行け、と言って誰が行きますか?それは中国人でも韓国人でもアメリカ人でも同じです。昔のスタイルの戦争の時代ではないのです。一方で今の反対派のボイスはまるで我々がいま今、赤紙を貰うようなトーンにも聞こえます。そんなことは全くないわけでその基盤の変化を踏まえて議論しないといけないでしょう。

その点では私はやはり安倍首相の説明は甘かったと思います。岸さんが50年後に分かるだろうというのはパワーを持った者の驕りであり、分かりやすさがなかった点は否めません。

日本ではケチがつくとがたがたと音を立てて崩れるケースがしばしば起きます。安倍首相の存在は非常に重要である点を踏まえ、もう少し、注意深く、思慮深く、歴史に残る大首相になるためのステップを踏んでもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

日本の株価は世界のガラパゴスとなるか?4

日本の株価は6月下旬につけた20952円をピークに19155円まで下げた後、20850円までいったん戻し、調整に入っています。今後、この調整を経て高値を更新してくるか、興味深いところにあります。私は更新の可能性は大いにあるのではないかとみています。

理由は企業の第1四半期の決算が発表になり始めていますが、思ったよりかなり良いという印象があるからです。日経が報じた日産の営業利益予想は5割増、富士重工に至っては7割増という驚異の増額幅は第1四半期という会社の事前予想がない中でサプライズ感が非常に大きいものになるのです。また、爆買いでコーセーは第1四半期は前年比なんと4倍という状況で輸出企業から内需まで幅広く好景気の恩恵が広がっていると言えます。

まだ決算発表は始まったばかりですが、今のところは相当順調という印象です。

世界の株価を見ると冴えないところが多く、中国に至っては官製相場への批判の声が日々、高まってきています。売るに売れない中国株でやむを得ず、違う投資から引き上げて資金を作るという状況すら生み出されており、7月20日の「2分間の金相場暴落事件」(一瞬のうちに50ドル下げた)犯人は中国の売りでありました。

ニューヨークの株価もさえず、投資家は迷っているように見えます。また、夏休みのピークであるため、多くのトレーダー達が市場に参加しておらず、大きなニュースも発生しにくいいわゆる夏枯れの真っただ中にあります。

そんな中で企業業績にポジティブサプライズが続けばマネーの行方として再び、日本の株式市場に目が向く可能性は大いにあります。日経には「デシマルサイクルの終焉」と題し、中国の高度成長ブームの沈静化と商品相場の低迷を指摘しています。

地球儀ベースで見ればこの15年ぐらいでITという基盤整備で情報を地球の隅々まで瞬時に届け、物流革命も含め、ネットショッピングが新たなる購入手段として確立しました。これにより地球上のあちらこちらから新たなる購買層を生み出し、消費者はこれを享受したのです。いわゆるグローバル化であります。

サムスンのスマホはその勢いに乗じた典型的例であります。安いというよりマーケティング巧者で訴訟などでアップルと対等感を見せたことで商品のイメージ戦略を進め、欲しくなる商品として一気に知名度を上げたわけです。ところがそのフラッグシップのスマホは二作続けて失敗で厳しい状況に立たされているのは消費者の移り気と市場の一時的飽和を読み切れなかったのだろうと思います。

そんな中、私は日本が今、大注目だろうと思っています。失われた20数年をすべて海外で過ごした中で思うことは、日本のプレゼンスは確実に下がり、商品の開発能力にも疑問符がつきました。不景気、デフレを通じて自信を無くしていたのが一つあるかと思います。また、ソニー、ホンダといった大起業家スタイルをイメージしすぎたのも自虐的状況に自らを押し込めました。無から有を生みやすい時代から開発競争の時代となり、品質の改善や向上、マーケティングといった手法が成長の要となった中で大ヒットを飛ばすことにこだわり過ぎた気がします。

ところがこの2年ぐらいはより自然体な日本の企業活動が好成績を生むようになっています。ゴルフスウィングをする時、余計な力が入らず、ヘッドのスピードが最大限になる様な感じでしょうか?一つは円安効果で企業業績が勝手に上がったこと、しかし、それが負け続けてきた気持ちに大きな変化を与えたことは事実です。「なんとなくよくなってきたね」という社内ムードはそれまでの「やらされる」から「やってみよう」に変ってきていないでしょうか?

冒頭の富士重工のこの2年ぐらいの成長ぶりは正に驚異的であるとしか言いようがありません。しかし、同社が打ち出したのは確かに高品質ではありましたがきっかけはトヨタとの共同開発の若者向けスポーツカーでした。あれからあの会社は肩の力が抜けてすっかり様相が変わったのです。

今、日本にはフローの風が吹いています。日本の良さを訪日外国人が発見、発掘してくれるからです。そしてそれは他の製品と比較され、日本のモノは確かに良いという実感が伴い、評判が評判を呼ぶことになります。そこには圧倒的な商品開発能力というより、積み上げた工夫だと思いますが、物まねではできないノウハウの蓄積がようやく開化してくるのだろうと思います。

そういう意味では株価もガラパゴス化して世界の中で異彩を放つかもしれません。期待しています。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

商品価格の下落は新たなる経済リスクに4

4-5年前に持てはやされた金銀銅。オリンピックではなく、商品相場の話です。どんどん価格が上がるその理由は中国からの爆買いも大きな理由の一つでありました。資源国であるオーストラリアやカナダは潤い、世界中の投資家は当然、その成り行きに注目しました。原油が高かったのもその頃であります。

ところが、工業用用途の多い順でまず銅相場が一番初めにつんのめり始めました。中国での住宅関連需要が細り始めたからです。そして銅はストックヤードに一杯でもう置くところがない、という状態が顕在化し、その価格は下落に次ぐ下落となったのです。更に今週にはNYの銅相場が6年ぶりの安値を記録し、ロンドン金属取引所の指定倉庫の銅在庫は今年に入って92%も増加したと報道されています。

一方の金も24日金曜日に5年ぶりの安値を記録し、一時1オンス当たり1070ドル台を付けました。現在、先行き積極的に買われる見通しはなく、1000ドル割れどころか一部アナリストは800ドル台を目指すとしています。

果たして本当にそこまで下げるのでしょうか?

金は工業用需要よりセーフヘイブンとしての投資需要、あるいはインド、中国などを中心とした宝飾としての需要が高く、銀、銅になるとほとんどが工業用の需要となっています。(昔は金がそれほど採取できず、金本位制度が維持できなかったため、銀本位という時代もあったのですが、遠い過去の話です。)

先日、日本に滞在していた際にセールスの電話で「金を買いませんか?今、金が大ブームでお客様は大行列を作っていらっしゃいます」という実にいい加減なことを言われたので、「あなた、ニューヨークの相場はご存じ?」と返したら失礼しました、と言って切られてしまいました。

日本の金の場合、米ドルとの関係が一つのトリックです。金価格の一般的表示はドル建て。よって、金価格が一定だとして円安になれば円建ての金の価格は上昇します。件のセールスマン氏は円安になれば金はお得、と言いたかったのでしょう。事実、為替の見通しは円がドルに対して更に弱くなるとみる向きが強く、その点は当たっています。しかし、金の価格はそれ以上のペースで下落している点を見落としています。

今、カナダの新聞の経済欄では深刻な景気問題の記事が目につくようになってきています。第2四半期のマイナス成長の可能性は高く、その場合、二期連続となってしまうためリセッション入り間違いないと言われています。そのため、資源など産業界からの悲鳴、更にはそれが伝播して関連産業も厳しい経営を余儀なくされています。

産金会社が多いカナダでは産金コストが大手でも一部の金鉱が赤字になるとみられ、中小ではさらに厳しい状態が続いています。そのため、一部金鉱の閉鎖が今後、始まる可能性があり供給がグッと絞られそうです。その一つの境目は金価格1000ドル割れではないかとみています。これを下回れば中小の産金会社にとってそれ以上の赤字は体力的に不可能で産金を止めた方が得になります。

以前にも申し上げましたが、商品相場は需給関係で価格が決まるのであり、供給が止まれば価格下落も止まります。金はその生産調整がもう間近に迫っているとみて良いかと思います。

銅価格は今や1ポンド(454帖250円程度と野菜の単価よりも安いと言われる状態でこちらも生産調整が進んでいます。あとは中国などでの需要回復を期待するしかないのですが、目先、世界中どこを見ても強い回復力を持った国はありません。特に中国に限らず、BRICSで知られた国々の経済があまりにも弱々しく、今後数年間の目覚ましい回復は期待薄とみています。

そうなると「風が吹けば桶屋が儲かる」の話ではありませんが、アメリカの利上げムードに対する向かい風がやや強まる可能性はあります。今年一度ぐらいは利上げをするのでしょうが、継続的に何度も利上げをする状態にはならない気がします。事実、金曜日のNYの株式市場は160ドル余り下げたのですが、その理由がコモディティショック(商品価格下落ショック)であります。

特に隣国のカナダは今月の利下げに続き、もう一度利下げをせざるを得ないと言われており、経済先行きは厳しいトーンとなっており、政府へのボイスも高まり始めています。地球儀全体で見ると原油価格も新たな下落トレンドに入り、アメリカシェールも更なる痛手を負うと見られており、良い話があまりないのが実情です。

個人的には穴を掘ればお金が湧いてくるという資源は経済創造力からするとどうなのかと思います。日本の様に資源が今のところ何もない国は必死で働き、創造し、売り込まねばならないという経済構造ですが、それが結局、一番安定しているともいえなくはありません。震災や原発問題を乗り越え、汗をかいて頑張る日本が地球全体ベースでは今、なんだかんだ言っても安定感抜群に見えます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

もう一つの「失われた20年」、近代史を必須科目に4

安保関連法案を巡る熱い戦いを見ていて岸首相がアメリカとの安保を締結した60年安保と思わず比較してしまいました。(と言っても私はまだ生まれていませんのであくまでもその後、見聞きしたベースですが。)60年安保は終戦からわずか15年後ですから戦争経験者が国民の主流であり、多くの方が高いインパクトの体験を通じて熱い運動と繋がっていったのでしょう。

国会周辺を埋め尽くすデモ隊や羽田に到着したハガティ大統領報道官を取り囲む人々から救出するために米軍のヘリが駆け付けたというとんでもないレベルの熱さがありました。

今日の安保に対する賛成論、反対論が当時と比べ今一つ迫力が欠けるのは戦後70年もたち、経験者がマイノリティであることが一つあるでしょう。またアメリカとの安保を通じて、金儲けための安全コストは無料というイメージが長く続きすぎたこともあるでしょう。街中には街宣車が「戦争法案反対」と走り回り、駅前にはマイクを片手に反対運動をする姿も見かけましたが、なぜかピンと来ないのは反対派もいきなり「戦争法案」という三段飛びのような話を切り口とするからでしょうか。

安倍首相がテレビ出演して理解を深めようと努力もされていましたが、首相の顔つきも堅かった気がします。日曜日の夜の視聴者はもっとバラエティに富んだ人々なのですからあんな応戦型の国会のやり取りのようではない方が良かった気がします。視聴率低下で悩むフジにしては頑張った企画でしたがちょっと残念な気もしました。

ところで赤坂真理氏が「東京プリズン」という長編小説で各種賞を受賞しています。この小説の骨子は主人公の女子高校生がアメリカのメイン州で天皇の戦争責任についてディベートさせられるという内容です。しかもディベートいう名の一種の裁判で主人公は天皇有罪側に立て、という先生からの指示に苦しむというストーリーなのですが、全篇共通したトーンは「自分は東京裁判なんてほとんど知らない。戦争責任なんてわからないし、日本の憲法はアメリカが作ったということをアメリカ人の学友から教わり驚愕した」という点でしょうか?

私はこの本をイライラしながら読んだのですが、途中からこれが現代の典型的日本人ではないか、と思い返しました。私を含め、戦争を知らない世代は何時の間にか世界トップレベルとなった経済大国の傘で一流っぽく振る舞い、幸福で喧嘩なんか知らない時代を何十年も享受しているのだろうと思います。

日本は安全をアメリカにお願いし、防衛のための戦闘機などの出費はとてつもなく高いモノでも購入することで安全費用の一部を負担しているようなものでしょう。でも国民はそんなことは知るすべもないし、興味もありません。

戦争を知らず、高度成長期や成熟経済期を通じてうまいもの、高品質のモノ、ITガジェットで悦びを享受している我々世代に必要なのは過去をもっと真剣に勉強することでしょう。戦後70年なら祖父母から当時の話を聞くことも可能です。上述の「東京プリズン」では主人公が「学校では習わなかった近代史」に後悔するシーンがところどころ出てきます。海外の若者は学校で勉強していても当の日本人は知らないわけです。当然、あの時何が起きたか、という話がでても反論一つ出来ないようにしたのは日本の教育そのものでした。

一般的に「失われた20年」とはバブル崩壊後の日本のことを指しますが、私達の本当の失われた日本とは昭和20年までの20年間を戦後教育から抹消して記憶喪失にさせたことではないでしょうか?

私は奇異な性格なので必死に当時のことを紐解きました。今でも継続的に関連の書は読み続けています。しかし一定の理解をするのに時間がかかったのは焦点をどこに合わせるのか分からなかったからでしょう。天皇か政府か軍部なのか、はたまた海軍と陸軍もずいぶんの差があり、誰が主導権を持っていたのか教えてもらわないとさっぱりわからないのがこの失われた20年の最大の特徴であります。

近代史の理解は今だから必要でしょう。安保関連法案の本質的意味合いを理解したうえで賛成反対を唱えている人がどれだけいるのでしょうか?それを考えるとまずはその20年を徹底的に洗い直し、国民がもう一度考え、学生は勉強し、そこから議論しなければいけないのかもしれません。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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