外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2016年01月

日銀追加金融緩和は妥当だったのか?4

金曜日に日銀は追加金融緩和の一環として市中銀行が日銀に預ける新規預金について今までの0.1%の金利をマイナス0.1%に引き下げると発表しました。いわゆる付利を遂に無くす政策を打ち出したのです。

実は私はこのブログで黒田総裁がバズーカ第一弾を行った後、付利の撤廃が日銀にとってやりやすい政策だと何度か指摘しました。金融緩和でほとんど利息が付かない中でなぜ市中銀行だけが日銀に預けておく分について0.1%の利息が付くのか、論理的にかみ合わなかったからであります。日銀がせっせと金融緩和しても市中銀行は貸出先がなく、結局資金を日銀に預けておくしか方法がありませんでした。おまけに0.1%という利息を貰えるのです。

では銀行は営業を怠っていたのか、といえばそんなわけではなく、優良貸出先を必死になって探しているわけです。が、バブル崩壊後の銀行政策が今の銀行の首を絞めました。企業は晴れの日に傘を差しだす銀行に安心感を抱けず、自己資本を強化し、借入金をせっせと減らし、内部留保をごっそり貯めこみ続けました。

結果として多少の投資ならば手金でできるぐらいの優良な企業体質が出来たわけです。これは銀行に資金需要が生まれにくいということでその間、銀行はやむを得ず、国債で儲けるなどやりくりをしていたわけです。うまい具合に2013年からアベノミクスで企業景観が良化、特に不動産市場が活発となったことが幸いしました。

ある銀行マンが「融資先は不動産ばかりで正直、銀行業務に疑問を感じる」と述べていたのが印象的なぐらい貸出先に偏りが出ていることは事実なのでしょう。

この背景を考えれば今回の目論見である日銀が付利をつけないから企業へ貸し出しを増やせ、と言っても効果は疑問視されます。それ故、金曜日に470円も上げた株式市場に於いてメガバンクは終値で総じて1.6-2.8%下げています。一時はメガバンクで8%程度、りそな銀行に於いては10%も下げるなど金融関係株に突風が吹いたのですが、このキーポイントを多くの報道は見落としています。

このマイナス金利により10年物国債が今後マイナス利回りぐらいまで引っ張られる可能性があり、昨日の終値は前日比マイナス0.125%ベーシスの0.095%となっています。つまり利回りが一日にして半分以下になったのです。異常な動きであります。こうなると喜ぶのは借入金が多い不動産会社などで正直、非常に微妙な気がいたします。

私は2013年のバズーカのあと、景気が上昇するなかで付利の撤廃があるならばこれはワークすると考えていました。が、ここにきて景観は拡大しているどころか引き締めに入っており、春闘も厳しい攻防が続いています。その中で金融政策として今、このタイミングの付利撤廃はよくわかりません。ましてや黒田日銀総裁は1月21日にその可能性をきっぱり否定していました。舌の根も乾く前にとはこのことでなぜ、10日余りで180度方向転換したのか、その背景はやはり為替の動きではなかったか、という気がします。

前日に発表されたアメリカFOMCからは次回の利上げ時期が明示されなかったものの私は半歩から一歩程度後退させたとそのステートメントから感じていました。仮に黒田総裁も同じようにアメリカの利上げペースが遅くなると読み取ったならば円は高くなりやすいバイアスがかかります。が、2%のインフレに拘る総裁としては円高はインフレ2%どころか再びマイナスに落ち込む可能性すら出てきます。そうなれば総裁の手腕は完全に否定されてしまい、歴史に残る悪名となりかねません。「出来ることは何でもする」というのは自分の言い出したインフレ率を達成する為にどれだけ他にしわ寄せが出来ようがそれを正当化させるしかないのではないか、としか思えないのです。

今回の判断は9人の政策委員で5対4でした。第二回目のよくわからないバズーカも5対4でした。つまり、黒田丸の政策は一枚岩ではなく、非常に微妙でタッチーであると言わざるを得ません。夏には選挙を控えています。安倍首相は経済の後押しが欲しいところでそのために日銀のサポートも期待したいところだったと思いますが、これ以上、効果あるバズーカはあるのでしょうか?

私は日欧がずぶずぶの金融緩和で底なし沼に入り込んでいくような気がしてなりません。アメリカの様に足を抜くことが出来るのか、考えれば考えるほど微妙な感じになってしまいます。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

今週もニュースが盛りだくさんで日々のブログでカバーしきれないので今週のつぶやきでまとめさせていただきます。

トピを立ち上げたかったのが甘利大臣の辞任劇。先週のテレビで国会の様子を見ていた限り標的にされていた甘利大臣の顔つきはいかにも八方ふさがりという表情でした。「一週間」の時間を貰ったのは安倍首相に後任の調整をしてもらい、なるべく迷惑がかからない幕引きをするための準備だった気がします。事実関係は週刊誌の報道の時点で掴んでいたでしょう。

辞任はやむを得ないというコメントが多いようですが、私から見ればハニートラップではないですが、完全に嵌められた脇の甘さが致命的だったと思います。私は思惑通りにいかなかった建設会社の嫌がらせのような気がします。それ以上に秘書がおバカさんでした。私も企業の秘書を経験していますが、当時、政治家の秘書とのやり取りは苦手でした。上から目線で一体どっちが議員なのか分からないほど威張っている人も多いのです。○○代議士の秘書という名刺だけで周りを「ははっ!」と言わせるあの自信はどこから来るのか完全な勘違いの世界がまだ続いていたということでしょう。

TPP署名式への航空券はやはり手にできず、副大臣が身代わりで行くようです。実に格好悪い役割です。TPPの交渉はないからそれ自体に影響はないという安倍首相の言葉はその通りに受け止められません。正直、一番安泰でTPPの推進国だった日本で旗振り役の主役が突然降ろされたのですからこれから始まる「TPP生みの苦難」を物語っているような気がします。

さて日銀の定例政策会議ですが、既報の通り新規ブタ積み(付利)についてのマイナス金利適用となりました。本件は書きたいことがありますので明日のブログで改めてトピとさせて頂きますが、正直、「あまのじゃく黒田」の異名を心底裏付ける形となりました。個人的には首をかしげています。市場は一旦消化出来ず、乱高下したあげく、結果としては為替が好意的に動き、よくわからないまま470円強上げて引けました。これで日欧米の1月の中銀の政策が出そろい、2016年の方向感も探っていく形になりそうです。

次いでアメリカの10−12月のGDPですが、0.7%と事前予想を若干下回り、2015年年間では2.4%の成長となりました。日経にはやや不安視するといった内容になっていますが、この数字だけみれば十分な成果だと思います。ただ、2016年がこの流れを引き継がないことは年末の利上げ転換を見ても分かります。また、雇用は良くても賃金が上がらない、ついては消費が盛り上がらない点は注目すべきでしょう。自動車ローンもローン金利引き上げ前の駆け込みを期待しているような感じもあり、春以降の販売動向は今まで通りにはいかない気がします。

次いでタカタCEOの高田重久会長兼社長にようやくの辞任目途のニュースです。正直申し上げるとこの方は日本の恥だったと思います。何故、このトップは表に出なかったのかずっと不思議でした。これが自動車業界のやり方だという説明もあるようですが、そうならば業界のメディアに対する姿勢は完全に間違っています。

特にこの創業家3代目の社長は父親でカリスマ性のあった重一郎氏の作り上げたレールの上を走るだけで脱線した際の処理の仕方について全く分からなかったのではないでしょうか?それ以上に「大奥」で重久氏の母様である暁子氏が裏で操っていたのではないかとされる点は昨年の大塚家具の騒動と真逆のケースで実に奇妙ですっきりしない事件だったと思います。

来週の注目は2月4日のシャープの決算発表です。その時に液晶事業の処理問題、および産業革新機構VS鴻海の最終結論を発表するのでしょうか?私は一貫して鴻海への売却が総じて有利な話だと思っていますが、日経には産業革新機構と既に話が出来上がっていると報じていています。ほぼ断言調なのでそうなのだろうと思いますが、鴻海によるTOBがないとは言えない気がします。サプライズが続く今日この頃、何が起きるか予想できません。

では皆さん良い週末を。

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また明日お会いしましょう。

クックパッドの乱4

料理レシピで困って検索をするとクックパッドに引っかかる確率は相当高いはずです。私も重宝なのでしばしば使わせていただいています。特に一つの料理に対して様々な変化球のレシピがあり、自分で作らなくても「へぇ、こんな作り方もあるのか?」といろいろ想像できるところも楽しいのであります。

そのクックパッドで創業者と現経営陣が揉めに揉めています。創業者で44%の株式を所有する佐野陽光氏が社長の穐田誉輝氏他、佐野氏を除く現経営陣全員を首にする引導を渡しました。いわゆる株主提案です。これを受け、クックパッド内乱を恐れた株式市場ではストップ安を付けるなど波乱状態に陥っています。

背景は佐野氏が料理レシピビジネスに特化し、日本から海外での浸透をはかるという垂直の経営方針に対して穐田氏は知育アプリからベビー関連、電子出版にウエディングとほぼ、料理レシピとは関係ない方向も含めた水平展開を行なっており、その方針の対立のようです。その為、佐野氏はほぼ単独で海外事業の展開を図るため、スペイン、インドネシア、アメリカなどで同業の事業の買収や提携を進めてきました。が、正直、投資効果は出ていません。では、穐田氏の国内事業の多角化はどうかといえばこれも実はさっぱりダメであります。

連結決算をみると2015年度第3四半期に於いて本業のレシピ事業関連は全体売り上げの81%とより強固になり、利益で見ると2014年第3四半期から貢献し始めた穐田氏の進めるEC事業はほぼ横ばいかむしろ下向き傾向にあります。

つまり、クックパッドは本業のレシピ事業がまだ伸びている最中でそれに「おんぶにだっこ」の経営状況にあることがうかがえます。佐野氏と穐田氏は共にこの状況から打破する為にお互いがお互いの道を選び、それぞれ別向きで事業展開をしたものの二人とも現時点では十分な結果を残せていない、ということになります。

佐野氏は慶応大学卒で就職せずにすぐに自分の事業会社を作り、その後、クックパッドの創業に至ります。穐田氏は青学卒でベンチャーキャピタルからカカクコムの社長に就任、2001年から06年まで在任し、同社の上場を支えてきました。そういう意味では両名とも熱いものを持っているのですが、企業経営という点では穐田氏の方が経験は豊富かもしれません。

私も小さいながらも経営者の端くれとして事業の成長を常に考えています。その際、指針となるのはビジネスのベクトルとその成長限界であります。このビジネスはもっと伸びるのか、もうだめなのか、寿命は何年あるのかこれがキーになります。創業者が創業事業に愛着を持つのは当たり前でそれに固執することはよくあるものです。例えば孫正義氏の弟である孫泰藏氏が率いるガンホーが「パズドラ」の大ヒットの後、次の作品が期待されたもののパズドラの世界制覇戦略に舵を切ったことが佐野氏の経営姿勢に非常に似ていると思います。

一方で穐田氏は一つの事業には賞味期限があることを前提に他事業をインキュベーションする姿勢を貫いています。発想としては悪くないのですが、鉄砲を「数撃ちゃ当たる」的なところが無いとも言えません。その点では堀江貴文氏の経営スタイルに近いかもしれません。

個人的には穐田氏の方がリスク分散が出来ますのでよさげに見えますが、佐野氏、穐田氏とも若いベンチャー精神旺盛の経営者ですからここはどちらかがリングの外に降ろされるという死闘は正しい選択には思えません。ただ、穐田氏は佐野氏の株主としての地位に対抗するにはMBOでもしない限り勝てませんから彼の経歴からしても一旦身を引くという決断を下しかねません。その際にはクックパッドの企業価値は相当下がらざるを得ない状況となるかもしれません。経営陣のもめ事が一般株主やユーザーへどれ位迷惑がかかるのかも考えてもらいたいものです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

揺れ続ける「マネーのSMAP」4

本家本元のSMAP騒動は鎮火する様相ですが、マネーのSMAPは一段と盛り上がりボラティリティもより高い状態が続きそうです。

マネーのSMAPとは
Sは上海のSで中国株式市場の不安を指します。
Mはマネタリーポリシーで日欧米の金融政策を指します。
Aはアップル社の凋落
Pはペトロリアムで原油相場の行方であります。

まずは27日の上海市場ですが、総合指数が一時2650ポイントを割り込み、前日の6%を超える下げが止まらない様相となりましたが引けにかけて100ポイント以上戻す状況でした。ただ特筆すべき点として前日の上海の下げにもかかわらず東京市場はそれを横目に株価指数は上がり続けていました。解釈としては前日の原油相場が堅調だったことから上海は見えぬふりということのようです。

もともと上海市場は国内投資家が主体であり、どれだけ下がろうが、投資市場として世界とのリンケージは本来少ないわけで心理的要素の方が強かったのだろうと思います。今後も官製相場で乱高下することが見込まれる中、いつまでもそれに振り回されない耐性がついてきた可能性はあります。

次いでMの金融政策ですが、本日のアメリカのFRBのステートメントからは次回の利上げタイミングについて明白なる言及がなく、株式市場はそれに失望する形で大きく下げました。ただ、私が読む限り利上げへのトーンは半歩から一歩ぐらいは後退しているようにも読め、多くの専門家も当面は利上げはなさそうだ、と踏んでいます。

問題は今週、金曜日の日銀の政策会議のスタンスであります。株式市場は明らかに催促相場になっていますが、追加金融緩和で株式市場を躍らせ、為替を120円台に力づくで持っていくのか、市場の期待を裏切り為替が115円台に再び高騰する可能性を探るのか、正念場ともいえます。但し、個人的には金融緩和がもたらすインフレなどを含む長期的効果はほとんどないとみています。私ならどうしてもやりたいなら選挙が迫る時期にバズーカとして行うべきだと思います。金融政策としての効果より政治的、短期マネーを動かすといった効果をより発揮することでしょう。

さてAのアップルですが、これはちょっとシリアスかもしれません。15年10月から12月期の決算でiPhoneの販売が僅か0.4%しか増えなかったためで27日のニューヨーク市場では93.42ドルと前日比6.57%のマイナスで引けました。3月半ばにはiPad Air 3、4インチサイズのiPhone5se、更にアップルウォッチの新型が発表されると噂されていますがどれも期待が高まる内容ではなさそうです。特に早耳筋の情報としてのiPhone5seについては形状や機能は6sに準ずるのに本当に「5」に戻すのかさっぱりかわかりませんが、アップルの苦悩が見て取れそうです。

私はiPhone6と中国製格安スマホをダブルで使っていますが、正直、アップルではないと機能的に劣るというのは少ない感じがします。勿論、ユーザーの使い方次第ですが、いわゆる一般人にはその差異を明白にするのはより困難になりつつある気がします。ましてやスマートウォッチは話題にもならなくなったのはそこまでITに制圧されたくない人間のささやかな抵抗でもあるかもしれません。

最後にPの石油ですが、動きが荒くなってきていますが、基本的に上に向かうとみています。2-3月ごろに一定の減産合意がされる可能性が出てきており、先物の買戻しで利益確定し、様子見のスタンスとなるかと思います。何度も言うようですが、相場はずっとエキストリームになり続けることはなく、20ドル台に突っ込んだのはめったに出ない陰の極であります。

こう見るとマネーのSMAPはまだ落ち着きどころが見えませんが、希望的観測としてはアメリカの次回利上げが遠のき、石油の減産が発表されることで市場は相当の落ち着きを取り戻すとみています。上海とアップルの影響は突発的事象として身構えた方がよさそうな気がします。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

アメリカ大統領選が面白い4

私の今年の10大予想の中に「アメリカ大統領選は最高のソープオペラ」というのがあります。ソープオペラとはアメリカの昼ドラのことで昔、石鹸の会社のスポンサーが多かったことからこの名がついています。しかし、この昼ドラは状況によってはゴールデンアワーのドラマに格上げしてもよいかもしれません。

来週月曜日の2月1日にアイオワ州で候補指名争いの戦いが始まり、3月にはスーパーチューズディがあるなどアメリカもいよいよ大統領選の話題で持ちきりになります。その中で民主党、共和党のみならず無所属としてあのブルームバーグ元ニューヨーク市長が出馬を真剣に検討するという新たな切り口が見えてきました。このあたりを含め、さらっとおさらいしておきましょう。

まず、民主党ですが、クリントン氏が優勢と言われていたものの現状、サンダース氏が猛追しており、一部では逆転しています。サンダース氏は自称「社会主義者」で富裕層増税、公的医療などかなり左巻きなものの99%と1%の社会が根底にある中で新移民、ラティーノ(ラテンの人の意でいわゆるヒスパニック)などマイナーの不満はたまってきています。極端な公約はドナルド トランプ氏の戦略に共通するところがあり、かつての中道右派、中道左派主流から様変わりしていると言えます。

但し、民主党の両候補はクリントン、サンダース共に68歳、74歳と高齢である点が気になります。クリントン氏は共和との論戦になると脛の傷(メール事件やベンガジ事件、健康問題)で苦戦しそうです。そういう点からは世の中の流れとしては民主党に向かっているのにその勢いをうまく取り込めない状況にあるともいえます。

今さらブルームバーグ氏が無所属で出馬を検討するといったのはクリントン氏が不利になり、まさかのドナルドトランプ氏が大統領になる可能性の芽をつぶすことにあろうかと思います。その意はサンダース氏の大統領も許さないと見え、極端な政策を阻止するということでしょう。つまり中道対極論の側面が今回の重要な大統領選のポイントとなります。

ちなみにブルームバーグ氏はもともとは民主でしたが2001年のテロ直後のニューヨーク市長選の際、共和党が有力候補を出せず、自らが共和党から出馬し当選した経緯があります。よって氏は正にホワイトナイトと申し上げても過言ではないでしょう。

かつて極論はごく一部のボイスでした。共和の茶会党がその例でしょう。ところが世界がイスラム問題などで不和になり、予想もつきにくい不安定な状況にあります。アジアの時代が生み出したのは低賃金化でアメリカの労働者の賃金が上がらないことが中流の大きな不満となっています。

共和党の大統領候補、トランプ氏の支持層は中流の白人とされます。つまり、かつての強いアメリカ、WASP、マジョリティとしての権威を復活させたいという気持ちをトランプ氏に託しているように見えます。今、ほとんどのマスコミや専門家はトランプ大統領はないと信じ切っていますが、私は今後、テロなど不和に繋がる事件が起きれば一気に勢いを増し、あり得ない大統領の誕生はなくはないと思っています。

アメリカのラティーノ、アジア系、黒人など非白人系は現在37%程度で今後この数字はさらに増え2020年には5割になるという見方もあります。この人種によるアメリカのボイスの割れ方も今回の大統領選の切り口の重要なポイントになります。例えば共和党の候補としては依然好位置につけているテッドクルーズ氏はキューバ移民の父を持つため、もともとの白人層にラティーノも取り込めるという強みはありますが、それが逆に公約のインパクトが薄くなり不利にならないとも限らないのです。その典型がジェブブッシュ候補でスペイン語がベラベラなのにもはや、見る影もない状態にあります。

こう見ると今回の大統領選の切り口は民主、共和という見方だけではなく、中道か否か、支持する人種などより複雑化し、仮にホワイトナイトのブルームバーグ氏が無所属で出馬する事態になれば相当の議論を巻き起こすことでしょう。

私は今回の大統領選で誰が勝つかというよりアメリカがどのような論戦をし、国民が何に強い反応を示すのか、これがキーだと思っています。それが2017年のフランス大統領選にもつながるし、欧州の一枚岩が崩れるかどうかの流れにもつながります。

少なくとも乱戦気味だということはそれぐらい世の中が混とんとしているという裏返しでもあるのでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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また明日、お会いしましょう。

なぜそこまでこだわる相続税4

日本の三大税収といえば所得税、法人税、消費税であります。特に所得税と消費税が毎年の状況で1位、2位が変わり、それに法人税が遅れてついて来ています。額で言うと2016年度予算では所得税が18兆円弱、消費税が17兆円強、法人税が12兆円強であります。

2016年からマイナンバー制度で所得税の補足がより高まる一方、2017年に消費税引き上げがあれば消費税収も伸びそうです。法人税はこのところの景気回復で昨年予算よりも1兆2000億円程上乗せされていますが、今後法人税率引き下げや円高による企業業績の下振れが懸念されるところでしょう。

ではそれ以外の主な税収をみると揮発油税が2兆4000億円、相続税が1兆9000億円、酒税1兆4000億円、関税1兆1000億円などとなっています。三大税収と比べて一ケタ違うレベルだということにお気づき頂ければと思います。

その相続税は80年代後半は8000億円足らずでしたがバブル経済の結果、90年代初頭にグッと伸び、93年に2兆9000億円に達します。これをピークにその後、下げ続け2009年には1兆2000億円台まで下落。ようやく上向きに転じて今に至ります。

相続税は税制が2015年1月に大きく変更され、控除のバーが4割ほど引き上げられました。少子化にこのところの不動産価格の上昇、株式市場の好調ぶりで相続税収はぐっと伸びるかと思いましたが2014年と比し、ほとんど変わっていません。2016年度も15年比で1600億円程度上振れがあるとみている程度です。

この先数年の推移をみないと結論は述べられませんが、思った以上に伸びていない相続税という感じがします。その理由の一つに相続税対策がブームのようになったことが挙げられましょう。書店には相続税対策の本やムック本、雑誌の特集が並びました。その多くは不動産を使った節税の指南であります。

日本の場合他国と違い海外へ資産を分散化するという手法はほぼ使えません。理由は本人が海外に住んでいてもその家族が日本にいる限り意味がないからです。悪い言葉を使えば一族郎党「棄民」するなら相続税を逃れられるかもしれませんがそこまでする人は少ないでしょう。

現金や株式、生命保険は控除がないか、取りにくいものばかりです。よって否が応でもその対策次第では大きく変わる不動産に走るということになります。24日の日経トップに「マンション節税防止 相続税、高層階の評価額上げ 」とあり、2018年よりマンション節税の仕組みを変えるべくマンション高層階の評価額を引き上げ「相続税対策の対策」を行うようです。

私は正直馬鹿馬鹿しい話だと思っています。相続税で取る方も取られる方もここまでシャカリキになる先進国は日本だけです。それだけ頑張っても税収では1兆9000億円です。では、日本で相続税が無くなったらどうなるでしょうか?私は社会が変わると思います。そして面白い国が出来ると思っています。

金持ちのメンタリティは「もっと儲けたい」なのですが、どうやったらもっと増やせるかといえば一般的な株式投資からエンジェル投資など自分でリスクを取りながら投資をしていく行動に移りやすくなります。これは持てる者の心理で安全に年1-2%のリターンを求めるよりも多少ハイリスクハイリターンに資金を振り向けるようになるのです。

そうすれば日本国内で様々なところに資金が回る可能性が高くなり、起業が進む可能性があるのです。

私は財務省が本当に考えなくてはいけない仕組みとは不動産に対する課税強化に対して株式投資に対する控除を大幅に増やすことではないかと思っています。特に未上場の第三者の会社などへの投資に対しては大幅な控除額を設定することでマネーが還流するように仕向けなくていけないと思います。

日本の役人がなぜこれに気が付かないのか不思議でしょうがないのですが、アメリカなどでエンジェル投資家が多いのは持てる者が投資をすることでより社会に刺激が与えられるからでしょう。それにもかかわらず、日本では相変らず不動産の節税スキームに固執する世界が良く分かりません。

確かに戦後直後日本の持ち家率は低く、世界基準に達する為に持ち家を促進しました。その名残で住宅供給を促す税制が多々残り、その中の一つがこの相続税に関して住宅への控除の発想であります。しかし、日本では今や空き家が有り余っている状態でなぜ、更に住宅開発を促進させるのでしょうか?地震大国なのに50階建てのマンションがなぜ必要なのでしょうか?高齢化社会なのに災害時に高層マンションからどうやって脱出するのでしょうか?

ボトムラインとして相続税でどれだけイタチゴッコのようなことをし続けても3大税収の10分の1程度しかないのなら、それを別のポジティブな形に転換する発想に変えるべきかと思います。税務署の仕事が減るからこう言うことはしないのでしょうか?しかし、日本にも夢がないといけません。3世代で財産が無くなる仕組みが必ずしも正しいとは思えません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

TPPの行方4

TPPの署名式が2月4日にニュージーランドで執り行われることになりました。渦中の甘利大臣がニュージーランド行きの切符を手にすることが出来るのかも含め、注目に値するイベントとなりそうです。

この署名式はTPPの12の協定参加国が集まり、協議、合意した内容について署名するものです。大きなベンチマークとなります。プロセスとしてはこの署名された合意文書を各国が自国に持ち帰り、内容を検討し、それぞれの国が批准することになります。日本は政権が安定し、可決批准するハードルが最も低い国の一つとされ、日本のリーダーシップがまずはポイントとなります。

通常、各国の議員はTPPの内容を精査するため、数か月程度の時間をあてがわれ、その後、審議に入ります。この審議が曲者で必ず反対派は存在し、関連産業、業界ではロビー活動も活発に行われています。よって様々な議論が想定されるわけですが、この署名された内容は修正が出来ず、take or leave it(無条件で飲むか拒否するか)しか選択肢がありません。

批准は書名から2年以内を目標としていますから上手くいっても発効そのものは2018年ごろになる見込みです。

さて、その中で一番注目されるのはアメリカの動きでしょう。オバマ大統領は氏がまだ大統領でいるうちに批准させたいと考えているようですが実態は厳しいように見えます。これは民主、共和ともに反対派が存在し、クリントン候補も「現時点では賛成しがたい」と発言している意味を慎重に考える必要があります。オバマ氏の描く批准に対して議会を相当紛糾させることで時間稼ぎをし、オバマ大統領のレガシーにはさせない勢力が勝るようです。

では、クリントン氏が「現時点では」と述べる理由の裏は何でしょうか?多分、選挙を考慮しているものと思われます。今、TPP賛成の旗を振ることは大統領候補としては不利な立場に追いやられるとみていないでしょうか?とすれば、それは議会の思った以上に強い抵抗勢力とも受け止められ、新大統領が決まった際にちゃぶ台返しがないとは言い切れない気がします。それぐらい今のアメリカは一枚岩ではなく、微妙なバランスを維持している感があります。

アメリカが批准しなければどうなるのか、ですが、結論から言うとTPPは流れます。

TPPは発効の前提として参加国全てが批准するのが前提です。原則一カ国も脱落が許されません。仮に2年以内に全ての国で批准できなければ「国内総生産(GDP)で全体の85%以上を占める6カ国以上の批准」が条件となっています。このGDP 85%を満たすにはアメリカ(60%)と日本(17%)が批准しないと絶対にパスできない為、アメリカの不参加はTPPの不成立を意味するのです。

以前にも申し上げました通りTPPの関門は貿易、関税だけではなく人の往来を緩和するところもポイントです。ところがテロが頻繁に起きている現代に於いて国家はその門戸をなるべく細目にする傾向が強まります。欧州を自由に行き来できるシェンゲン協定の行方が注目されています。テロリストが自国に自由に入り込めるからで協定参加国の中で国境管理が甘いところがあればそこからなだれ込む図式が懸念されているのです。

とすれば、TPPが内包する人の往来の緩和はシェンゲン協定とは違うものの当然、各国としては言葉通りに受け止められない事象となるでしょう。ところが冒頭に申し上げたようにこのTPPの草案は修正不可であります。よってそれを受け入れたくない派閥は批准遅延策に出るしか対抗手段がなく、結果として時間切れすら想定できることになります。

先日駐日カナダ大使の講演においてTPPについてちらっと触れていたのですが、正直、全く前向きな感じがしませんでした。「我々はアメリカにフォローする」というスタンスだったのですが、これは裏を返せばカナダとして国内でTPPを批准するにはアメリカというドライバーが必要で、さもなければ国内の反対派を押し切れないと聞こえます。

マスコミはアメリカの批准の可能性は5分5分(つまりTPPの成立の確率も5割という意です)と見ていますが、私はもう少し分が悪い気がします。あとは今後2年間の経済状況、テロ問題、中国の動きが展開のカギを握るかと思います。

甘利大臣はそこまで持つか分かりません。今回の報道が週刊文春に書かれている通りだとし、賄賂を渡した証拠があるとすれば大臣職を全うするのは厳しくなります。それは国内批准の責任者すら全うできなくなる意でもあります。

TPPには相当の逆風が吹き荒れているという感がいたします。

では今日はこのぐらいで。

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