外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2016年02月

課題を残したG204

27日に閉幕したG20の主要テーマは「世界通貨安戦争の阻止」。経済成長が思わしくないばかりか一部では深刻な事態も生じている世界経済において再浮上する一つのキーは通貨の安定であります。各国の産業が為替動向に振り回されることなく本業に集中できればこれはベストであります。

ところが市場による為替レートの決定は自国と他国との力関係を表すものでそれが経済力だけに留まらないところに問題があります。ましてやマイナス金利などかつての経済原則を飛び越えた状態が生じる中で為替の安定を図るという一致団結した対策はほぼ不可能であります。G20でも結局、各国にその対策はゆだねられ、実質的に精神論の討議で終わった気がします。

やり玉に挙がったのは中国の元安政策と言われますが、裏では日本の政策にも批判があったとされています。特に黒田総裁の「サプライズ型」の政策は時代の主流ではなく、市場に激震を起こし、悪影響すらあると見る人もいます。会議後のインタビューでユーロ圏のデイセルブルム議長が「円を対ドルで押し下げて債券利回りを歴史的な低水準に引き下げた日銀による前例のない金融刺激策に対する懸念の高まりを示唆するものだ。日銀が先月、マイナス金利導入の決定を発表したことで、市場は不意を突かれ、通貨のボラティリティ(変動性)が高まった」(ブルームバーグ)とあり日経とはややトーンが違います。

各国通貨安を望んでいる中で一番それを欲しているのは実はアメリカではないか、という気がいたします。最近のアメリカの一部専門家からはドル高が経済全般に及ぼす影響という意見が大きくなっています。また、大統領選挙において各候補者がかなりユニークな政策を掲げて「気を引こう」とする傾向がより強まっていることも事実です。これは「変革」を主張しないと選挙に勝てない前提があるのですが、もともとはオバマ政権に対する批判でした。が、トランプ旋風が吹き荒れる中で「中道」ではダメでエキストリームな政策こそが生き残る道という傾向がより強まってきます。ドルが高すぎるという声もその一環かと思います。 

その中でクルーズ候補が氏の主張、「金本位政策復帰」案を再び強調し始めています。英語でGold Standard、今さら何を、と思う方が多いと思います。(というより多くの人は金本位など知りもしないでしょう。)これを今再導入するといえば経済学者は猛反対するでしょう。私も昔の金本位体制は無理が生じると思います。が、クルーズ氏のポイントは基軸通貨に対する疑念であり、ルビオ氏と共に共闘する「FRBはウォール街の為にある」というボイスがその背景だろうと思います。

金本位制の最大の特徴は先日も書いたようにどの国にも同じ輝きを提供するということであります。一方で生産量が限られていることから金とリンクさせると恐慌が起きた時に通貨を発行せることが出来なくなります。これを解決する為に政府紙幣を発行することで対応が出来なくはありません。政府紙幣は返済期限がなく、金利もつかず政府の負債にもならないメリットがあります。

政府紙幣は日本でも現在に至るまで何度も議論されており、正直、デフレ解消にはもっとも効果がある手段の一つだと思いますが、劇薬であり、急激なインフレと円安を引き起こす可能性が指摘されています。

個人的には現在の通貨の在り方は歪があり過ぎ、本質的な問題解決は出来ない気がいたします。それはドルがあたかも太陽で他通貨がきちんと公転する限りにおいてワークしていたのです。ところが、ユーロからの新たなる引力、更にリーマンショック後の主要中央銀行による金融緩和はさしずめ、巨星へと膨張化するようなもので制御不能に近くなってきたように思えます。ちなみに宇宙では膨張のあと、ブラックホールとなりますね。

各国の通貨当局が自国の我儘ではなく、地球儀ベースでモノを考え、ワールドスタンダードを作ることを考え始めるべきでしょう。ゴールドもスタンダードの一つですが、そんな昔のアイディアをそのまま使うのは現代社会では進歩がないと言われると思います。今回のG20はある意味、大きな課題を残したとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日お会いしましょう。

反グローバル化現象の足音4

かつてアメリカは自由主義、オープン主義で国々の距離感をより密接にしようと努力していた時代がありました。良きリーダーシップだったと思います。過去形にしたのはオバマ大統領がその方針を明白に変えたからです。アメリカは世界の警官ではない、と公言した時点でアメリカのもう一つの悪い主義、モンロー主義が帰ってきた気がします。

アメリカは独立独歩でやっていく、と自信をつけさせたのはシェールガス/オイルの開発であります。オイルの自前主義により中東への介入を必要以上にしなくてよい、というわけです。更には隣国であるカナダから環境トラブルの懸念があるオイルサンドのパイプラインはアメリカを縦断させることは問題があるとその長年の両国間の懸案事項を葬り去りました。

ドナルド トランプ氏の狂言とも言える言動に多くの共和党員がその支持の姿勢を見せるのはなぜでしょうか?アメリカはより保守的にそして自前主義を貫き、メキシコとの国境に万里の長城のようなものを作ると主張しています。NAFTAはアメリカ、カナダ、メキシコにとって素晴らしい貿易協定であり、特にメキシコはその恩恵をフルに受けています。

1980年代初頭、メキシコ日産の工場にはぺんぺん草が生えていると揶揄されました。大学のゼミで日産のメキシコ投資について成功だったかどうか、真剣な議論を繰り広げたこともあります。そのメキシコは多分、近年では新興国として最も安定的に成長している代表的国家でありましょう。メキシコ日産は拡大の一途であります。当然、アメリカも応分のメリットはあるはずなのですが、自前主義に転換すると全く別のトレンドを作り上げてしまうことになります。

恐ろしいのは欧州においてその保守主義がいよいよ強まってきていることでしょうか?

フランスの極右政党、国民戦線のル ペン氏の勢いはトランプ氏の大統領選よりもっと怖いものがあります。テロの恐怖、増大する難民は欧州という狭い地域で保守派が次々と支持率を高める事実を作り上げました。ハンガリーではオルバン首相が根を張り、、ポーランドの総選挙では保守のカチンスキ政権が政権をとりました。イタリアでも北部同盟のサルビーニ氏、そしてイギリスではEUからの離脱の動き、スコットランド独立問題など難問山積です。

これらの動きはもはや右派左派という物差しではなく、グローバル化の反動であり、極端な自由からの揺り戻しでもあります。

アジアに目を転じればTPPがあたかも発効したかのような話になっていますが、果たしてアメリカは本当に国内できちんと批准が得られるのか、かなり厳しい気がしています。少なくとも今の主要たる大統領候補はほぼ全員反対、しかも賛成派だったルビオ氏まで「賛否留保」に姿勢を転換しました。このTPPの最大のネックは貿易や関税ではなく、人の動きに対する緩和策ではないでしょうか?ノーベル賞を受賞したスティグリッツ博士は投資にかかわる分野に問題があると指摘しています。WTOドーハラウンドも死んだ現在、反グローバル化に驀進しているように見えます。

ニューヨーク大学のノリエリ ルービニ教授はこれらを大衆迎合主義と称し、この動きが強まればそれこそ、ユーロが崩壊する可能性すらあると指摘しています。(ルービニ教授は知識層きっての悲観論者ですから言葉半分だけ受け止めればよいと思います。)こんな状態では世界がバラバラになり行くシナリオがないとは限らないと思っています。

これら保守化の動きの最大のトリガーはイスラム国ととどまらないテロ行為にあります。これがせん滅され、事態が収まれば緊張感も多少は緩和すると思いますが、仮に逆の状況になればドナルド トランプ氏が大統領になるというジョークは現実のものとなるかもしれません。その大統領選挙まで僅か8か月、その間にイスラム国やテロの問題が収まるかどうか、これが地球全体の行方を決定づける大きな転換点となることでしょう。2016年は本当に日々の動きから目が離せなません。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日、お会いしましょう。

世界に100万個の世界一4

大企業がマーケットシェアを争い、熾烈な闘いをしています。2番ではダメだ、1番を取れ、と多くの企業の会議室では号令が飛び交っていることかと思います。

この大企業のシェア争いの原点は何処にあるか、と紐解けば私は1920年代のフォードとGMの争いを一例として掲げたいと思います。当時、フォードはT型を売り出し、爆発的人気を博しました。但し、色は黒一色で誰も彼も皆同じ車でした。それでも車という文明に接し、自転車や馬から皆乗り換えて行ったわけです。フォードは当時、フォードシステムという製品の徹底的規格化、量産体制の確立、更に労働面でテイラーシステムを取り込み、価格優位性を打ち出しました。

ところが、GMは広告、販売網、自動車金融という手法を生み出し、カラフルな車を売り出し、フォードに対峙します。結果として1926年、GMのシボレー攻勢に敗れフォードはT型の生産をやめます。この古い話はよりよい選択肢を求めていく消費者の成長の原点ともいえましょう。

消費者は企業の思惑とは別に様々な方向に向かって成長し、且つ、現代ではSNSによってその情報が瞬く間に伝播するようになっています。企業の得意とするところは消費者が求める製品を作ることですが、その消費者はよりわがままになり、より気が短くなり、よりエキストリームを求める傾向すらあります。そしてそこには好みのバラツキという大企業にとって最大の悩みがはっきりと浮き出てきています。

ファーストフード業界を見てみましょう。北米ではサンドウィッチを注文する時、「あれ入れて、これ入れないで」というカスタマイズをするのがごく普通です。レストランのサーバーは「お運びさん」ではなく、客の我儘をいかに実現させるか、キッチンとの戦いであり、その努力に対してチップが貰える時代かもしれません。

ユニクロはなぜ、自分だけのカスタムTシャツを売り出したのか、これもこの時代の流れにヒントがあります。もともと衣料業界はファストファッションに代表されるように製造小売業(SPA)の形態をとり、なるべく早くその時の売れ筋に合わせて商品を供給してきました。が、ベーシックのユニクロの最大の難点は上述の自動車の例で言うT型フォードと同じでありました。完全効率化の製品を驚くべき価格でお届けするというスタイルだけでは消費者の成長とずれが生じてしまいます。正にこの問題の本質は1920年代以前から存在していたわけです。

「街を歩けばユニクロに当たる」だけではなく、1980円の服、2980円の服、と指さされるのでは恥ずかしいと思い始めた層を取り戻すために「あなただけの…」という製品を売り出すわけです。

日本企業が世界の市場占有率で高いものを誇っているのは部品メーカーなどBtoBを通じた製品が多く、消費者が購入する最終財はこのところ、苦戦しているものも多いようです。これは先進国であればあるほど人々の個性はより強烈に生み出され、明白なライフスタイルの相違を認識しながら自分への価値観を高めていくからではないでしょうか?

「旨い店」の定義は誰もが行く「○○レストラン」ではなくなるかもしれません。自分だけの隠れ家であったり、今後は自らがシェフになり自分の創作料理を生み出していく気がします。定年退職して何しようか、という時、男性はなぜか突然そば打ちを習う人が多いようです。ソバ屋をやるのではなく、自分の好みのそばを自分だけの為に作るファッションであります。若い人向けにはABCクッキングが人気だろうと思いますが、あれもその流れを汲んでいる料理スクールであります。決してそこで学んで飲食店をやるわけではないのです。

タイトルの「世界に100万個の世界一」とはそういう意味なのです。人のこだわりはより進化し、その先には企業が提供するものでは満足できなくなるという意味であります。バンクーバーやシンガポールの高層マンションはその突飛なデザインや外観で人気が決まるようになっています。四角いコンクリートの箱に住むだけではなく、芸術や美学を自分のこだわりと合致させるという進化でしょう。

こう考えると最終消費財に於いて汎用品はより少なくなり、カスタマイズしたものが求められる時代になりつつあるとも言えます。これは世界に一つしかない世界一の商品という表現もできそうです。

大企業のマーケティング戦略の根本が揺るがされるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日お会いしましょう。

シャープの偶発債務??4

シャープが鴻海傘下入りとシャープの取締役会で決定されたのち、同社の株価が非常に微妙な動きを展開していたのに気が付いた方はいらっしゃるでしょうか?

発表直前にじわっと上昇し発表直後に184円をつけたところで大きな売り圧力で一気に165円まで落とします。その後、再び、急上昇し、184円をつけるとそこから方向感を失くします。後場に入るとじりじりと株価は下げ、一時売買停止のあとは一時136円まで下落、終値で149円と前日比14%強の下げで引けました。

私は場を見ていて「噂で買って事実で売る」にしては奇妙な動きの様に感じていました。なにかありそうな気配がプンプンしていたのは株価ボードの瞬間瞬間の動きや板をみていないとなかなか分かり難いものです。

偶発債務の存在のうわさが早耳筋の間を駆け巡り株価は思惑が思惑を呼んだということでしょうか?とすれば最後の136円から149円までの上げは鴻海とのディールが流れると読んだ向きの買いでしょうか?想像力がたくましくなります。

さて、この偶発債務、経済情報誌、各紙を点検していますが、このブログを書いている日本時間の明け方の時点で内容について一応触れているのは日経の電子版のみでそこには「この文書は約3500億円に達する財務のリスク関連情報で、退職金や他社との契約に関する違約金、政府補助金の返還などに関する内容が含まれているもよう。」とあります。もう一つ重要なのはその後に続く「鴻海はリスク情報についての協議を求めたが、シャープはそれに応えず「取締役会を開いて買収受け入れを決めた」(関係者)という。まだ鴻海は資金拠出を決める取締役会を開いていない。」の記事であります。

これを読む限り多少なりともディールをしたことがある者からすると尋常ではない取引状態にあった気がします。企業売買に於ける偶発債務のリストは比較的初期の段階で作られるもので企業の価値算定におけるマイナス価値の重要な査定材料になります。仮に日経の記事が正しいとすれば鴻海は偶発債務の存在を知らなかったか、その内容を十分知らされていないままディールをしたか、あるいは鴻海は知っていて知らないふりをして更に買収価格の調整をしようと試みているのでしょうか?

一方、シャープがもしも意図的に偶発債務の内容を伏せた状態でディールに臨みその結果、鴻海が知りうる企業価値に重大なる瑕疵が存在するならば.妊ールの解消▲妊ール内容の大幅な変更(含む減額)9祿い砲茲襯轡磧璽廚悗梁山嫁綵請求訴訟が考えられます。特にキーになるのはこの偶発債務のリストをライバルである産業革新機構は知っておりその為にオファーの金額が低かったということであればこれは経営陣の不誠実行為とも捉えられる可能性があります。

この話をシャープが意図的に仕組んだのだとすれば同社の偶発債務のリストにもう一行、鴻海からの訴訟の可能性を付け加えなくてはいけないことになります。

この話を複雑にさせる方法はもう一つあります。

鴻海はこの重要な内容につき精査するとする期間をひと月以上かければよいのでしょう。その時困るのはシャープに融資している銀行団であります。銀行団は3月末までに一定の決着をつけることを要求されており、それが交渉継続により出来なくなると大変な不都合が生じます。

一方シャープとしては鴻海に売却するという取締役会の決議を昨日行ってしまったため、おいそれと産業革新機構に乗り換えられない弱点を抱えることになります。

私の勝手な推測は偶発債務リストを見て鴻海側が手を引き、産業革新機構が最終的に逆転ホームランを放つというシナリオを誰かが作り上げた気がしないでもありません。そうだとすればリスク満載のトンデモディールということになります。

アメリカではよくありますが、ディールが成立しなくなった場合、その内容次第で違約金が払われることになっています。シャープと鴻海の間でどのような優先交渉契約が交わされているのか分かりません。日本的な双方の忠義をベースに簡単な内容かもしれません。北米的に何十ページにも渡るものですとこれは非常にややっこしくなります。

今日の話は事実関係がほとんど見えない中での推論になっていますが、日本のビジネスの契約や交渉は甘すぎる気がしてなりません。こんな話が今頃出てくるようでは世界の笑い種でしょう。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。

仮想通貨と金の共通点4

日本政府は仮想通貨を「貨幣」として認めることを発表しました。これは金融とITの技術融合であるフィンテックの開発に弾みがつくとされています。

ところでこのところの世界経済の不安感台頭でスポットライトが当たっているのが金(ゴールド)であります。何故でしょうか?

仮想通貨と金は共に大きな共通点があります。それは国家の色に影響されないということであります。

世の中の一般的な通貨は全てある国家や組織が発行するものであり、その通貨はその国や集合体の経済流通潤滑の為の血液の役目を果たしています。本質に立ち返れば、国内で経済情勢をみながら貨幣の流通調整を行っているうちは問題がありませんが、一旦、他の通貨を使い他国との貿易が行われるようになると「どちらの通貨を」「どの比率で」貨幣として認識するのか当然、調整が必要となります。今は多くの主要通貨は市場がその為替レートを決定しますが、その昔は金や銀が介在していました。

今、世界の通貨を俯瞰すると何故だか、米ドルが基軸通貨として君臨しています。その昔は英国のスターリングポンドでありました。なぜ、基軸通貨となったかいえばより政治力、経済力、発言力などの総合的影響力によってそのポジションを作り上げたともいえます。覇権国家故の通貨流通力を武器に神通力を持たせ、多くの途上国や経済不安を抱える国の自国通貨の代替的信用の役割も持つことができる通貨であります。

その昔、ソ連とアメリカが冷戦状態だったころ、私がモスクワで買い物するのはドルショップでありました。そこに行けばモノがあります。ソ連も外貨=ドルが欲しかったのでしょう。ソ連の通貨であるルーブルを握りしめても商品は何処にもないし、当時は一部ではまだ配給券でモノを貰う仕組みでした。日本にも戦時中、配給券でコメなどを貰っていました。

今週末開催されるG20では乱高下する為替について議論がされることにはなっていますが、その対策について「画期的なものはなさそうだ」というのが事前に漏れ聞こえてきます。為替がなぜ、乱高下するのか、これは自国経済の実態を反映する時代から国情や政治、更に地政学的リスク、地球儀ベースでの思惑など非常に多くのファクターが絡み合うようになったためでしょう。

例えば英国がEUからの独立賛否を問う国民投票が行われるとなぜ円が買われるのか、それを論理的に説明せよ、と言われてもあれっと思うでしょう。私の数日前のそのトピックスのブログの最後に、「この国民投票は円高を招く」という趣旨のことを書きました。事実、そうなっています。

但し、基軸通貨であるドルを中心に潮の満ち引きのごとく為替は動くという基本構造は変わっていません。アメリカはなぜ基軸通貨の地位を欲しがるのか、といえばその特権である「どれだけ財政赤字、貿易赤字になってもアメリカは潰れない」という点が最大のポイントでしょう。アメリカがドル基軸通貨を手放した瞬間、アメリカの地位は崩壊する可能性があるとも言えるのです。

つまり、多国間で交換する通貨とは常に発行国の事情が伴う点に於いて不完全貨幣であります。それを補うのが万国共通の通貨であり、発行母体が影響を受けにくいものとなります。歴史的にその代表が金でありました。世の中が不安定になればなるほど輝きを増すのが金とも言えましょう。

仮想通貨はそれに近い性格を持っているとも言えます。但し、私が今一つ不完全だと思うのはその通貨の価値が不安定である点です。例えばビットコインの場合、2014年1月6日に638ドルをつけたものの2015年1月1日には214ドル、16年2月1日には423ドルとなっています。現在世界7000店で使えるとするこのビットコインは一年でその価値が倍半分になるわけでそれをもとに購入する商品価格もそれだけ乱高下することを意味します。よって日本政府が通貨として扱ったとしてもその汎用性はまだまだだという気がします。

私が折々主張する通貨バスケットによる新たなる基軸通貨創生はそのあたりを補完でき、為替の作用、反作用を相殺する機能が備わると考えています。

通貨とは限りない信用を付保させることで機能します。例えばエアマイルは原則、その航空会社がつぶれない限りの保証であり、必要マイル数は予告なしに変えられるわけですから本質的な意味での仮想通貨とは言えないと思います。

多分、仮想通貨については今後相当、意見やアイディアが出てくるものと思います。面白い可能性を秘めているとは思っています。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日お会いしましょう。

日本の不動産が値上がりしない理由4

日経新聞によると2015年の不動産向け融資は26年ぶりに多い10.6兆円だったそうです。26年前のピークが1989年の10.4兆円だったそうですからその当時から不動産事業にどっぷり浸かってきた者にとって懐かしさと共に「違い」も感じています。それは不動産価格の上昇であります。当時は毎週価格が上がったのに今は「買った瞬間から下がり始めると思え」とも言われています。まるで自動車の価値と同じですがこの世界、何か違和感を感じないわけにはいきません。

日本は戦後、持ち家率を高めるため、様々な持ち家政策を施してきました。その結果、78年には59.9%とほぼ、持ち家率としては先進国並の裕福な水準に達しました。持ち家比率は持てない人、賃貸を好む人など様々な理由により主要国は大体60%台を維持するようになっています。日本も88年の持ち家率が61.1%で2013年が61.6%とほとんど変わらないのは既に持ち家率は頭打ちの状態になっているということであります。

日本の住宅の真の実需がどれくらいか類推してみます。2000年と2014年で世帯数はざっくり4550万世帯から5050万世帯に増えています。つまり、500万世帯増ですからこの6割が持ち家をすると計算すれば14年で300万戸、つまり年間では20万戸強しか新規需要はありません。残りは買い替え需要であり、それが結局空き家を生み出すことに繋がってしまうのです。

これが何を意味するかといえば住宅は自動車と同様、使い切って終わり、という償却対象資産となり、諸外国の様に値上がり資産とならないのであります。では80年代は同じような条件なのになぜ不動産が値上がりし、今は上がらないのか、ですが、一つには80年代は古い家を破壊して新しいものを作り続けた為、住宅供給数のマイナス分があったのですが、今はスクラップアンドビルトの時代ではないので古い家がそのまま残り続けてしまったということが考えられます。

ここから考えれば今は銀行が不動産融資を膨らませていますが、将来性は明るくない、と考えらえるかもしれません。もう一つ、リスク含みなのはバブルの崩壊を不動産事業を通じて肌身をもって体験した人間としては日銀の金融政策や政府の住宅政策が一歩間違えばドロドロになることもあるということでしょうか?当時は総量規制、短期売買規制、更に鬼の三重野日銀総裁の舵取りなどが引き金となり、未曽有の不況を引き起こしたわけですが、見方を変えればその前に不動産向け融資がずぶずぶ状態になっていた政策があったことが本質的な問題点であったわけです。

今、日銀は不動産REITをしっかり購入していますが、これは不動産会社のポートフォリオを膨らませる絶好のチャンスとなり、実質的に不動産投資を増やす効果が出ます。REITは上述の住宅よりも商業不動産が主流となり、今後はホテルなどの需要も高まってくるはずです。事実、アメリカのホテルチェーン、スターウッドは日本で3年以内に5割増やす(=9軒程度)と発表しています。

これらがうまくワークしているうちは大丈夫ですが、訪日外国人の増加がそれらのトリガーとなってるならばそれは危険でしょう。為替が円高に振れれば訪日外国人はスーッと減少します。ブームは数年で沈静化することも多く、今年あたりからはやや逆風とならないとも限りません。

住宅が償却資産であるならば相続税対策で高価な不動産を買う節税シナリオは短期的効果はあっても実際には税の繰り延べのような効果しか発生しないような気もします。時間がある人がこんな計算もしたら、世の中あれーっとびっくりするような結果が出るかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日お会いしましょう。

英国、EU離脱への挑戦4

英国がアメリカ同様、プロテスタントの色が多少強い国だとすればアメリカの大統領選挙にみられる様に、なにか新しい世界に挑戦することに並々ならぬ意気込みを感じる国なのでしょうか?あるいは真逆のようですが、英国は古い伝統を重んじる保守的な国であるがゆえにEUとの関係は本質的に受け入れ難いものであるのかもしれません。

今年前半、世界の目は英国の展開にくぎ付けになりそうです。EU離脱を問う国民投票が6月23日に実施されるからであります。

この国民投票はもともと前回の選挙の際、キャメロン首相が公約していたものでそれがいよいよ実現する流れなのですが、当初はもう少し先という感じだったと思います。が、ここにきてキャメロン首相はEU各国と根回しし、19日にはEUが英国をお仲間のひとりとして確保する為に移民に対する社会福祉への制限緊急措置など「気配り案」を28カ国全会一致で採択し、相思相愛ぶりを見せつけました。

が、英国の社会構造はホワイトカラー、ブルーカラーが明白に分かれています。ホワイト族がどれだけ英国が未来永劫繁栄する素晴らしいストーリーを作り上げたとしてもブルー族は「しかし、なだれ込む移民で我々は目先、職を失うリスクがある」と立ち上がり、気勢を上げるでしょう。この対立軸の中で国民投票という至極平等なシステムでは数の原理が有効となります。

そんな中、次期首相の有力候補の一人でロンドン市長のジョンソン氏が離脱派に回ったことで国内の二分化はスコットランド民族党(離脱反対)と英国独立党(離脱賛成)をも含め、より明白になりつつあります。

では、実際に離脱する可能性があるのか、といえば現時点では予想不能です。長年の国民からの強いボイスが国民投票に至るわけですからこれから4か月の間の国内外を取り巻く情勢次第で大きく変化するでしょう。

では、離脱すればどうなるかですが、国民投票の結果、今日明日、にすぐ離脱するわけではなく、当然、然るべき準備期間が設定されることになります。その間にEUが作り上げた様々な諸外国との関係を英国が早急に作り直す作業が必要でそれがどれ位早く、且つ、英国にとって不利にならない形となるかが決め所だと思います。

一方、HSBCは離脱の際にはパリなどに本社移転するなど表明しており、ロンドンの金融機能、シティとしての役割が一時的に薄れる可能性は出てくるかもしれません。ただ、EUにはルクセンブルグなど金融機能が充実したところもあり、補完関係を模索することで最小限のロスに留める対策は打ち出すでしょう。

産業については先進国では最低水準の法人税20%を武器に更なるメリットを打ち出して工場進出などを誘致し、国内産業の勃興に努めるでしょう。

私は仮に離脱となれば短期的には悲観論が持ち上がりますが、長期的には英国に有利になる可能性はあると指摘しておきます。

ユーロのシステムは以前から不完全と言われ続けながらも改築できない巨大な構造体をだましだまし使っているともいえます。ギリシャ支援の際の各国のエネルギーの使い方は尋常では無かったのですが、それは他の盤石ではない国々に「病」が伝播しやすいリスクを抱えていたからです。

更に今回の問題に拍車をかけたのが難民問題ですが、域内のアクセスが自由になるシェンゲン条約の弱点を突いたともいえます。これらの問題は大陸と島の間の「感性の問題」ともいえ、英国はあくまでも一定の距離を置きたい、というスタンスを取り続けたかったのでしょう。

英国離脱は当然ながらユーロ存続の議論を生み出すきっかけに繋がります。それは欧州の解体的出直しに繋がらないとも限りません。考えてみれば大陸はドイツがその帝国的基盤を作り続け、フランスはより色が無い国と化しています。が、そのドイツもメルケル首相の力量によるバランス感覚があったわけですが、同首相も次期はないだろうと見られています。そうなると英国離脱で一番困るのはユーロ圏、そして、それをテコに有利に展開しやすいのは英国ということになるシナリオは大いにあり得るとみています。

但し、世界経済全体で見れば英国やEUの不安定化はドル基軸経済が再び強まることを意味し、円は当然ながら安全資産としての輝きを増してしまうストーリーでしょう。日本にとっては短期、中期的には美味しくない結果をもたらしそうです。

破壊的改革の選択をするのか、不完全なシステムを温存するのか、遠くない時期に大きな選択をすることになりそうです。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

また明日お会いしましょう。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
Archives
記事検索
Recent Comments
  • ライブドアブログ