外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2016年07月

外国人が不動産を買うと税金?4

バンクーバーを含むブリティッシュコロンビア州で8月2日から新しく外国人だけに課せられる不動産取得税が登場します。これはカナダ国籍ないし、永住権を所有していない個人が居住用住宅を購入する場合には15%の外国人だけの不動産取得税を払わねばならないというものです。突然降ってわいたようなこの新税というか珍税にこの一週間、バンクーバーは大きく振り回されました。

バンクーバーはカナダで最も高額な不動産の都市として長年君臨していますが、この数年の上昇具合は物件により年2割を超すものも散見され、一般庶民には全く手が届かない状況となっています。そのため、市民のみならずBC州政府等も「買いやすい住宅価格」の実現を求め、議論百出でしたが突然発表されたこの15%の外国人だけに課す税金はどうも腑に落ちません。

当地の新聞(バンクーバーサン)によれば8割以上の市民がこの税金を歓迎しているとしていますが、これが意味するものは英国のEU離脱やアメリカのトランプ氏支持と同じで、一種のアンチグローバリズムの展開であります。もちろん、英国やアメリカとは全く規模こそ違いますが、グローバル化により自分たちの生活が脅かされたり、将来的な安定を担保できない場合に突然、アッと驚くような展開を見せてしまうのです。

発表されてから施行まで一週間ちょっとということもあり今週は不動産取引が前倒しで相当おこなわれた模様です。一人のリアルターが一週間で22ミリオンドル(18億円)も取引したという話もありますし、私の顧客が売り出し中だった4億円程のコンドミニアムが突然売れ、金曜日にクロージングでした。そんなような話はごろごろしており、統計はとんでもない数字が出てくる可能性があります。

さて、この外国人税の背景は何か、といえば押し寄せる中国マネーで当地の不動産が暴騰したという一般社会の理解であります。確かに中国人のバイヤーは雪崩のごとく押し寄せ、一つの物件に10も20もオファーが入り、売り手の希望売り出し価格からいくら上乗せするかが落札のキーとまで言わた時期もありました。日本で中国人の爆買いが話題になっていた頃です。過去形の表現にしているのはその傾向は春頃から明らかに変わってきたのですが、州政府関係者には体感温度がなかったのかもしれません。

では私はこの税金の何が不満なのか、といえば明らかに差別的課税であり、国際的ルールから逸脱していることが明白であるからです。昨日、当地の不動産業界の大御所と話していた際、「僕はおかしいと思うが、どうだろうか?」と話を振ったところ彼も同意で週明けの新聞に記載される内容だが、と前置きしたうえで「これはNAFTAに違反している」と指摘しています。カナダ、アメリカ、メキシコで取り交わされている自由貿易協定には不動産の取引についても差別的待遇をしてはいけないという条項が入っています。唯一の例外は海沿いの土地。ここだけは外国人の取得を制限してもよいという例外規定がありますが、あくまでも国防上の理由です。

そもそもバンクーバーの不動産が上がったのは外国人が買い漁ったからではなく,当地の独特な事情がそうさせただけです。一つは増大する人口に対して開発可能用地が限られていること(山と海とアメリカ国境にはさまれています。)、開発許認可を管轄する役所が開発業者に寄付や施設建設のための重い資金負担を強要しており、それが販売価格に跳ね返っていること、建築的に北米でも最先端のデザインを取り込むため建築費が高騰していること、建築ブームで工期が延び、1年遅れは当たり前の状況にあることなどがあげられます。

開発許認可に対する開発業者の負担は例えば私が過去行った事業では64Mドル(51億円)(=戸当たり9万ドルぐらい)ありましたし、昨今の開発許認可申請費用は暴騰しており場合により申請料だけで数千万円から億近い費用となります。これらの費用が全部住宅購入者に跳ね返っているだけで中古住宅価格にもそれが反映されている状態です。

つまり、バンクーバーの不動産の価格高騰は外国人が不動産を漁るというより内政的問題が主流であって、例えば役所が開発業者に課す負担金を下げれば売り出し価格は相当下がります。たぶん、1-2割下げることはたやすいとみています。

が、それをすると既存の不動産所有者から価格が下がったというクレームが来ることでしょう。

国際的に開かれているはずのバンクーバーでこのような差別的税体系ができたことは地球儀ベースでの縮みあがる世界の流れを汲んでいるのかもしれません。非常に残念です。ちなみにこの15%の税金ができても不動産価格は下がらないはずです。理由は外国人が不動産価格を主導したわけではないからです。

世界の潮流の中とバンクーバーで起きていることがたまたま似たような状況にありましたのでご紹介させていただきました。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

これを書いている日本時間の土曜日早朝、為替は円高に一気に走っているように見えます。102円の攻防が見えてきました。一日にして3円以上動くこの円相場の背景についてまずはつぶやいてみたいと思います。

金曜日、日銀の政策会議の発表を控えたその朝、様々な情報を総合的にみて「日銀は追加緩和をやる」という思いがふとよぎりました。その頃の市場の催促具合は尋常ではありませんでした。完全な脅迫相場で脅しているのは首相官邸と市場であります。北米の市場関係者からは「やらなきゃ相当荒れる展開になる」と早々に予想が出ていました。

一方、想定されていた緩和方法のうちマイナス金利の深堀はするな、と金融関係者から脅迫されていました。これ以上やれば日銀は市中銀行から完全にそっぽを向かれるリスクです。では国債は、といえば今の国債市場は日銀の「私場」であってもはや公的、公正とは言えません。

かつて日銀は「緩和手法なんていくらでもある」と豪語しました。今はほとんどない上に本音では何もしたくなかったはずです。が、選択肢の中からどうしても一つだけ選ばないと刺されるわけですからリストの中では一番効果が期待できるETFの買い入れ枠拡大となりました。私はそこまで予想したわけではないですが、まぁ、こんなところ、というのが正直な感想です。これを受けた海外筋からは「世界の主要中央銀行のスタンスと同じwait and seeだ」と評されています。

予想されたように為替市場は黙ってはいませんでした。しかし、理由は日銀の判断だけにあるとは思えません。短期的には冴えないアメリカの4-6月GDPがありますが、個人的にはクリントン対トランプが確定したアメリカの大統領選の行方に不安感が台頭し、円のセーフヘイブンが再び視野に入ってきているように思えます。

秋になれば英国のEU離脱問題の討議が本格化します。アメリカでは世論調査で一喜一憂するでしょう。かなりの接戦となりそうです。そうなると円は格好のparkingなのです。英語の「park」に「to not deal with something or answer a question immediately but leave it for a later time(Cambridge dictionary)」という意味があります。世界を浮遊する通貨は渡り鳥のように転々とするわけで心地よさという点では日本円は絶好である点は強く認識しておくべきでしょう。今の100円台の攻防が円高に抜けてしまえば(つまり先日つけた99円の壁)一気に円高に走りやすい世界環境にあることは認識しておいた方がよいでしょう。

さて、話題を変えましょう。最近忘れ去られつつあったシャープです。東証2部に指定替えで技術的な売りがかさんでいます。その株価、金曜日はついに半世紀ぶりの90円を付け(終値は92円)、鴻海の出資予定単価の88円が迫ってきました。出資予定日は10月。仮にそれまでに88円を下回ったらどうなるか、恐ろしいシナリオがてんこ盛りです。

最悪は株価が下がれば鴻海の株主へ買収価格の説明がつかず、「やーめた」ということ、もっと最悪は鴻海に液晶だけ持っていかれること、もっともっと最悪は中国がこの買収を認可しないことでしょうか?中国がその判断に時間がかかっているのは中国が誰を苛めているのか、とも言い換えられるのですが、中国によるシャープ潰しをするかどうかの判断でしょうか?それは最近の台湾と中国の政治的関係も一応頭に入れておいたほうが良いかもしれません。この秋、シャープが再び、メディアを賑わすかもしれません。

最後に東京は、というより日本全国的に注目される都知事選。ある政府関係者に「小池さんが有利じゃないか」といったところゲッという顔をされました。自民党は小池さんや彼女を応援する若狭勝衆院議員を除名処分にするようです。小池さんは官邸、政府、石原軍団更に都議連全てを敵に回すことになり、仮に当選すれば相当茨の道でしょう。

どうも感情論が先に入っていて石原のお父さんのあのアホな発言で小池同情票がどんと増える気がします。思っていてもあれは完璧な失言、ハラスメントです。小泉さんは「ぶっ壊す」で高い支持率を得ました。安倍さんは構造改革を断行すると言いながら道途中。ならば小池さんも同じぶっ壊すなんですからなぜこう、つまらない喧嘩をするんですかね?政治家は度量が狭いなと思わずつぶやいてしまいました。

ではよい週末を。

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また明日お会いしましょう。

ニッポン企業の弱点4

いいものを持っているのに芽が出ないニッポン企業。そこそこ儲けているのですが爆発的ヒットにつながりません。ポケモンGOにしてもあれは任天堂のチカラではなくてアメリカのナイアンティック ラボとグーグルの連携であり、ポケモンはキャラクターとしての存在だけでした。つまり、日本を利用したアメリカ発のアメリカ企業による仕組みであります。同じことはiPhoneを含め、多くの大ヒット商品に同じことがいえるでしょう。

日経ビジネスに「本当はすごいニッポンの発明力」という特集があります。その前段で「実は日本が一番初めに発明、開発した商品群」というリストがあります。ロボット掃除機(任天堂)、スマホ(パイオニア)、腕時計型端末(カシオ)、ドローン(キーエンス)等でちょっとこじつけ的なところも無きにしも非ずですが、なるほど、面白いものを作ろうとする能力は高そうだといえるかもしれません。ソニーにしてもシャープにしても面白い商品は開発し続けてきましたし、あの中華料理の丸い回転テーブルだって日本人が発明したものです。

ではなぜ、その芽が成長しないのか、ですが、これは日本の組織にその理由があるかもしれません。日経ビジネスには挑戦する仕組みがない、失敗しない文化、計画ばかりやらされる、完璧主義など様々な指摘がなされています。否定する理由はもちろんありません。

私がバンクーバーでクルーザー用のマリーナを開発しようとした90年代後半、当然のことながら日本の親会社から「待った」がかかりました。理由は親会社の歴史の中でマリーナを開発、運営したことがないからです。つまり上記で言う「計画」すら立たないわけです。私は運営会社から比較的コンサバな事業計画を貰い、他の場所の運営状況も見ながら3年で満杯にする「計画」を立てました。東京側は誰も肯定も否定もできません。理由は全く判断材料を持っていないからです。ただ、投入する2億円の開発費用はどうなるのだ、ということばかり、何度も繰り返し、質問されましたので失敗したら住宅販売で回収しますとかなりいい加減な理由を述べて無理やり開発を進めます。結果として完成後、半年で61艇全てのスペースは埋まります。事業としては成功でしょう。

もう一つ、私が指摘したいのは稟議システム。日本の独特なビジネス構造の中でも際立ってユニークな存在です。今は電子書類として社内を回覧しますが、かつては関連部署が印鑑を押す仕組みです。モノを買うだけでも所属部署、総務、経理、モノによっては資材(資産)管理課、経営企画、管轄する本部などそこまで同意が必要か、というぐらい回覧されます。

そこで繰り広げられるのは「なぜ必要なのか?」という執拗な質問。逆に「なぜ、そんなことを聞くのですか?」と聞き返すと「上司に説明するから」であります。多くの日本企業は社内営業と社内の人間関係をいかにスムーズにするかに多大なるエネルギーを費やしています。

日本の稟議システムは部門間の調整機能を通じて発案を平準化させ、特徴がなく、責任も取らない独特の仕組みを作り出したとも言えます。ここで例えばこんな新製品を売りたいと稟議しても必ず言われるのが「前例がない」「成功するかわからない」「失敗したらお前、責任とれるのか」であります。(私はバンクーバーの事業の際、ことごとく「責任は取ります!」とキッパリ断言し続けてきました。)

実は全く同じことが銀行の融資にも言えます。「この企業にこの金を貸したら回収できる保証はどこにあるのだ」というセリフはドラマでよく耳にするでしょう。

つまり、ニッポン企業はサラリーマン化しすぎて面白いアイディアを展開する土壌を潰していないでしょうか?特に大手になればなるほどその傾向は強く、また、財閥系になればなるほど「社章に傷がつく」として新しいことはさせてもらえません。三菱自動車はよいエンジンを持っていたと思いますが、デザインや斬新さに欠けたため、売り上げが下がり、不正に手を染めざるを得ませんでした。個人的には社章が邪魔した典型だと思っています。

高い能力を持った人は組織を飛び出し、個人で事業を行うか、外資、ないし、海外にその活躍の場を求めます。これぞBrain Drain(頭脳流出)の典型ではないでしょうか?24年以上も海外を拠点に日本と行き来しながら実業をしていると、少しづつ日本が弱体化しているようにみえます。それは挑戦する情熱が薄くなり、うまく物事をこなすスマートさ重視になってきている社会をみてそう感じるのでしょうか?

このままではニッポン株式会社は危機的状況になりやしないか心配です。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

新経済対策は期待してよいのか?4

政府は財政措置で13兆円、事業規模で28兆円にもなる新経済対策を来週発表するようです。水曜日の昼休みに発表されたこのプランに株式市場は小躍りし、期待が高まっています。また、今日明日と開催される日銀の定例の政策会議で何か飛び出すのか、こちらにも注目が集まります。通常、二日目の昼(12時前から1時ぐらいの間)に発表があります。

安倍首相の新経済プランについて「切れ目ない景気刺激策を狙う」(日経)としています。「切れ目ない」というのは言葉の取り方では我々は自立できず、カンフル剤を打ち続けなければならないともとれます。IMFの予想では2017年度の日本の経済成長率は0.1%(7月19日改訂版)で先進国、主要国で最低です。つまりボロボロの欧州(1.4%)より、EU離脱宣言している英国(1.3%)よりも、更にあのロシア(1.0%)や大統領が弾劾裁判にあるブラジル(0.5%)より見込みは低いのですが、それは潜在的能力の問題によるところが大きいということになりそうです。

日銀による金融政策については様々なうわさが飛び交っていますが、平均的なトーンとしては「今回は何かやらざるを得ないのではないか」「やるとしたら国債保有純増ベースの拡大か、マイナス金利を推し進めるか、ETF/REITの買い増し」ではないかと論じられています。緩和措置をする場合の手法について市場は既存の手法しかリストアップしていませんが、個人的には黒田総裁のあまのじゃくぶりからはどれも魅力的には映らない気もします。なお、財務省は噂される超長期国債(50年物など)については否定しています。

そもそもなぜ日銀が今回動くかもしれない、と噂される点ですが、参議院選挙が終わり、与党安定政権が確認できたこの時点で安倍首相が目指すのは経済の浮揚であります。そのために財政からは冒頭のような対策を打ち出し、金融からも同等の援護射撃をしてほしいという期待が政府筋からも高まっているからでありましょう。

もう一つは円高へのバイアスがかかっており、仮に今回、日銀が政策判断を見送れば失望感から円高になるかもしれないという「恐怖心」であります。これは日銀の声というより産業界からの要望に見えます。

一方、世界レベルで見ると夏のこの時期はバカンスシーズンで少なくとも7月にはどの主要国/地域も新たなる金融政策は打ち出していません。この先、注目されるのは英国の8月の政策会議ですが、個人的には緩和見送りのような気もします。理由は英国離脱について何ら議論がなされておらず、展開が予想し難いからであります。

では世界の中でなぜ、日本だけ沈み込んでいるのでしょうか?様々な理由が考えられると思いますが、主要先進国との比較で日本に強い傾向があるのはやはり少子高齢化と人口ピラミッドのいびつさではないかと思います。多くのキリスト教、イスラム教国家は人口がそこそこ増え、人口ピラミッドの形はまだそれなりのものを保っています。ところが日本は移民が少なく、出生率が低い上に国民ベースでは90年のバブルまでにひと稼ぎした世代が資産の平均水準を引き上げ、日本経済全体の数字をどうにか保っている状況ではないでしょうか?

これは、お金を持っている高齢者と生活に厳しい若年層という全く新しい切り口の格差の存在ともいえそうです。個人的にはバブル崩壊後にあった国民意識の驚愕的変化は大きな背景かと思います。

即ち、終身雇用が当たり前ではなくなり、非正規雇用が巷に溢れ、ベアや昇給は縮みあがり、個人消費は携帯通話料や関連消費(=ソフト)に向かいやすく、かつての自動車などハードに向かっていたマネーの方向も変わりました。100均で何でもそろい、安ければよいという意識が発泡酒や軽自動車などランクダウンさせた商品を投入させる結果となりました。挙句の果てに現在ではミニマリスト、シェアエコノミー、消費のメリハリなど見方を変えれば消費を更に抑制させながらも幸福感を高める手法が次々とトレンドとして浸透しています。

この時代背景と社会的背景の十分なる再認識を抜きにして経済対策は打てないでしょう。

消費はもっと楽しいもの、お金を持っていればこんなこともできる、あんなこともできるという意識と可能性を若者に植え付けることが重要ではないでしょうか?多くの日本人は海外旅行をしてその物価の高さに驚きます。カナダに来る日本人観光客は「外食なんてできない」と口々にしています。私だって日本に比べて大してうまくもないものに大枚はたいています。しかし、それは海外にいる限り選択肢がないからです。

消費に対する認識を変えることは容易ではありません。が、政府や日銀が投入するかもしれないカンフル剤やモルヒネは継続使用を前提としているようで抜本的意識改革に繋がるものかどうかはチェックした方がよいでしょう。「死に金」という言葉がありますが、折角投入するクスリは体質改善できる漢方のようなものが必要ではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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相模原刺殺事件4

とんでもない事件が起きてしまいました。しかし、いろいろ記事を読んでいくうちに日本で最近よく起こる異常な殺人事件と根本的な性格は似ているように思えます。この事件の背景をもう少し考えてみたいと思います。

まず、犯人の家庭ですが、父親が小学校の教諭、本人は大学を出て教員になるつもりだったという点からはごく普通の家庭に育ったものと推測します。入れ墨ですが、個人的にはびっくりしません。かつては入れ墨をするのは「その世界の人」というイメージが強かったのですが、今や海外では入れ墨はファッションの一つでかなり広範に受け入れられています。日本でそれをするのは一定のラインを超えないとできないものですが、かつてのようなハードルはなくなったと思います。

犯人が大島理森衆議院議長に渡そうとした手紙全文が公開されています。その前にまず不思議なのはなぜ衆議院議長なのか、これがよくわかりません。過去、様々な犯罪予告の手紙はあったと思いますが、永田町の衆議院議長の公邸にそれを届けようとした点には興味があります。

手紙そのものですが、思い込みの塊のような内容で「世界経済の活性化、本格的な第三次世界大戦を未然に防ぐことができるかもしれない」と書き綴り、障害者の殺傷予告と世界経済がどうつながるのか理解不能であります。一方で「作戦内容」と称し今回の犯行手順とほぼ同じようなことをこの時点で書き記していることについては犯人がいったん計画したらそこから軌道修正しない思い込みの激しい性格だったことが見て取れます。

さて、性格的に病んでしまった若者が暴走する素地はどこにあったのでしょうか?最近、若者による人を殺傷する事件が多発しています。かつての物取りとか激しい怨恨といった理由ではなく、人を殺したかった、自分が生きていてもしょうがない、誰でもよかった…といった唖然とする理由が並んでいるケースがほとんどです。それこそけんかして「面倒くさくなったから」殺してしまうぐらいの感覚でしょうか?殺傷犯にとって人間の命は虫けら以下なのだろうと思います。

私は現代の若者の孤独感が一つあると思います。若い人は非常に忙しいふりをします。何に忙しいかというと自分にこもる時間に忙しいのかな、と解釈しています。私も若者と様々な話をしますが、彼ら彼女らは往々にして「自分の時間」を求めます。何をするのかといえばネットにはまり込み、外部との接触はテキストを通じて自分の好きな仲間で自分を否定しない心地よい人間としか心を開かないような感じでしょうか?

これは自己満足と自己陶酔そのものであり、他人に批判されたり、議論することを「うざい」という言葉で一切はねつけ、自分の正当性を限りなく突き詰めることにならないでしょうか?

今回の犯人の場合には一般的な単発の殺人犯と違い、用意周到なところがあります。特に上述の手紙は文章としては文法や書き方についてはまともです。ただ、その狂信性が暴走を起こしたということでしょう。

実は私は欧州等で次々引き起こされるテロと称される事件も同様な犯人像を感じています。原理主義とは極論とも解釈できるものですが、それを正とし、世界平和の為と称して自爆テロを引き起こしています。背後にはISが犯行声明を出したりしていますが、実態としてはナローマインドな(偏狭な心)若者を遠隔的に利用しているだけに見えます。

「テロ」とは一般に政治的目的を達成するための暴力的行動を意味しますが、最近のテロや日本で起きる若者による殺傷事件は「自己目的を達成するための暴力的行動」であって本当の意味のテロから外れてきていないでしょうか?そう考えると私の定義する新しいテロは世界各地で起きる事件についてある程度の説明は可能です。残念ながら欧米など海外諸国で起きるこのような事件を「(政治的背景に基づく)テロ」と断定するのは間違っているケースもあるでしょう。にもかかわらず、各国政府高官は理由付けが必要なため、無理やり「テロ」に仕立てあげているとも言えます。

それは背後にいる犯人を作り上げることで国家や政府、市民の正当性を作り上げる巧みな論理でもありますが、そこに落とし穴があるのではないでしょうか?日本でも世界でも悲惨な事件が日々繰り広げられる真相は全く別のところにその理由が存在する気がします。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

仕事は効率化が全てではない4

ある土曜日の夜11時半過ぎ、私はレンタカーのレンタルブースで客を待っています。客が借りた車の返却をまち、その客に新規に別の車を手配するためです。夜中の12時過ぎに戻ってきたこの客は「ガソリンをどこで入れていいかわからない」と。一緒にすぐ裏のスタンドに行き、ガソリンを入れてもらいます。「もっと入れて!」満タンにせずに止めようとしたその客にやり直しをお願いしてガスも満タンでようやく、車の入れ替え完了。それから車を洗車していると後部座席のドアポケットに忘れ物。どうやら入れ歯ケース。預かっておいたところ朝の7時半に「入れ歯ケース忘れた」と電話。大丈夫、ちゃんとレンタルブースに保管してありますよ、とフォローまですれば完璧でしょう。

たまにいる面倒な客。しかし、それを避けちゃいけないというのは長年のビジネスを通じて学んできたことです。一元さんかもしれないこういう客を大事にすると実は一年後に戻ってくる確率が結構高いものなのです。「去年も借りてよかったからまた借りることにしたの」という予約の電話はうれしいものです。私は応対するときによく話をするようにしていますが、「今日はどちらに行かれますか?」と聞けばウィスラー。それならば道中で山並みのきれいなところがあるからそこは絶対に寄ってね、というワンポイントアドバイスで客はにっこりします。

効率化を追求すれば私がわざわざレンタルブースで客を待たなくてもキーボックスからカギをとってもらい、返却の車のカギはカギ返却箱に入れてもらえば人なんて必要ない仕組みになっています。ですが、私はこれは、という時にはなるべくお客様の応対をするようにしています。それは返却してきたときに楽しかったのか、クルマに不具合があったのか大体わかるからです。

今、世の中は機械化、IT化、AI化がどんどん進んでいます。人はいらなくなる時代が一歩、また一歩と迫っています。その中でヒューマンタッチのビジネスが必ず見直される時代が来ます。それは効率化の追求ではなく、お金を払ってくれるお客様が人間である以上、人間によるサービスを期待しているということにほかなりません。

欧州のホテルではコンシェルジュの質がホテルの格を決めるといって問題ないでしょう。北米のホテルもコンシェルジュを抱えるホテルでは客の我儘を一手に引き受け、客が「良いサービスだった」と感謝してもらえるようベストを尽くします。だいぶ前ですが、日本のある地方都市に泊まった際、どこで食事をしてよいのかわからず、ホテルのサービスデスクに問い合わせたところ、こちらの希望をネットでさっと検索し、出てきた店のリストから自由に選んでください、と言われ、プリントアウトしたその紙を一枚貰っただけでサービスは終了しました。わたしからすれば「違うだろう」と言います。ネットぐらい誰でも検索できるのであってそこに載っていない本当の評判を踏まえたうえでの一言が欲しかったのに、と思います。

私どもの駐車場事業では月ぎめのお客様をたくさん抱えています。そのほとんどの方々は毎月、駐車場代をクレジットカードから差っ引きますので手間はかかりません。まさに効率的なビジネスです。しかし、放置すれば満足しているのか、何か言いたいことがあるのかわかりません。我慢していることがあるかもしれません。だからなるべく気さくに話しかけるようにしています。そうすると先方も胸襟を開きます。その時、「うちの会社の同僚が駐車場探しているのよ」と言ってくれれば新たな仕事をゲットですよね。

効率化をかけるところは目いっぱいかけます。しかし、すべてをオートメーション化し、余裕しゃくしゃくの人ほどビジネスは長く繁栄しないものです。仕事がそんなに簡単なわけがないのです。昔の上司から「営業マンは知恵を使え、それができなければ靴を減らせ」と言われました。努力しないと良いことなどないのです。歯を食いしばってみんなが楽しんでいるときにぐっとこらえてハードルを乗り越えればよいことはあります。

よく言われるのは「ひろは働きすぎ」と。そうかもしれません。だけど私はお金が欲しくて仕事をしているのではなく、客の笑顔が見たいだけなのです。金儲けだけしたいのならもっと良い方法があるのを知っています。ですがそれは私の本望ではありません。かつてカフェを経営していた際、「これ儲からないでしょ」とある日本のビジネス作家の方から言われたことがあります。儲かるわけないですよ、コーヒー一日100杯売っても3万円の売り上げにしかならないのですから。(実際にはサンドウィッチ屋でしたのでそういう計算ではありませんが)しかし、その店に来る近隣の人とのコミュニケーションを通じて様々な情報をゲットしたり発信したりすることができた点は今でも誰にも自慢できる素晴らしい成果だったと自負しています。

たまには高級レストランで旨いものを食べてみたいと思うけれどそれよりも面倒な客ににっこりと笑ってもらったあと、パブで大好きなビールを飲む方が100倍楽しいと思う今日この頃です。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

頼れる医療、頼れない医療4

少し前の日経ビジネスに「社会保障非常事態宣言」という生々しいタイトルの特集が組まれています。税の収入と支出のバランスの悪さが日本の財政をいじめていますが、その中でも増大する社会保障費に歯止めが利かない状態になっています。どうしたら改善するのでしょうか?

日本では何処かちょっと悪くなるだけで直ぐに「医者に行け」で、行けば行ったで山のように薬を貰ってきます。患者は医者にかかった際に「良くない」と診断されるのを期待しているがごとくで、「センセー、本当にどこも悪くないんですか?」と医者に突っかかっていく輩もいらっしゃるのではないでしょうか?

「病は気から」と言います。元気だと思っていれば元気でいられることも多いと聞きます。「癌になる」と願をかけると癌になるのではないかと思うほどで、精神と肉体的健康を維持すると案外、長持ちするような気がいたします。

ここカナダ。医療費は全部無料です。怪我でも出産でも無料ですからファミリードクターにしろ、専門医にしろ、診てもらって処方箋を貰ったら受付にもよらず会計もなく、はいさようなら、でドラッグストアで薬を調合してもらいます。但し、サービスは実に悪いといえます。ファミリードクターで収まらない場合には専門医に廻されますが、分野にもよりますが、異様に長い待ち時間が普通であります。専門医の受付嬢から来月の○日はどうでしょう、という電話はごく普通で、初めのころは焦りましたが今ではそんなもの、と鷹揚に構えています。

但し、専門医にかかるのが遅すぎて手遅れになったとか、待ち切れずに日本で診察してもらったら大変な状態だったという話も小耳にはさみますので自己管理の中でうまく判断しなくてはいけません。最悪は救急で診察してもらうしかなく、そのあたりは要領のよさが要求されるとも言えます。

ではカナダは医療費支出が少ないかといえば2191億ドル(17兆5000億円)で国民一人あたりは約50万円であります。日本は約40兆円で一人あたりは31万円ですから日本の医療費がむちゃくちゃに高いわけではないのです。平均寿命で見ても日本は83.7歳に対してカナダは82.2歳。ランクではカナダは12位であり、長寿国といってよいでしょう。つまり、乱暴な言い方かもしれませんが、日本のように医者が手軽にあるところとカナダのように病気になると不都合な国の差異はさほどないのかもしれません。

世界比較でみれば日本の医療費が突出しているわけではなく、財政赤字の最大のネックと言われる社会保障費の増大の問題は国家規模に対して歳入の規模が少なすぎるということではないかと思います。

私のように「頼れない医療の国家」にいるとぎりぎりまで我慢をするのですが、いざ専門医にかかればかなり高いレベルのサービスを施してくれます。但し、かつて二度ほど手術をしましたが両方とも日帰りであります。麻酔から覚めたら看護婦さんから「はい帰っていいわよ」と言われ、麻酔でぼーっとした頭の中、よたよたと帰路につくわけです。救急でもせいぜい数時間ベッドに寝かせてもらい、鎮痛剤なりの対応をしてもらい、その間にその患者が更なる処置を必要とするか判断し、そうでない場合には「家でゆっくり休んでね、バイバイ」と言われるのです。

まさに人間の自然治癒能力を試されているようなところですが、おかげさまで特に悪いところはなさそうです。

日経ビジネスに掲載されていた衝撃は「病院が消えても死亡率は変わらず」の記事であります。具体的に北海道の夕張市のケースであります。財政再建団体である同市から病院が消えたにもかかわらず、高齢者の医療費は下がったその理由は「予防医療と在宅医療への取り組み」であります。一方、一人当たりの入院治療費が高かったのが高知県で20万円以上と突出、最低の神奈川県の2倍以上であります。

これを分析すると単位当たりのベット数が多い県ほど医療費がかさむようになっています。そしてその多くは地方で上位十都道府県は山口を除き全部四国、九州、北海道であります。

頼れる医療がある日本は頼りすぎだともいえるのでしょう。なければ行きようがない、行けないから健康管理に気をつけるというのは小学生の子供が学校で学んでくるレベルです。

昔から思う日本の特徴は自分の専門以外は専門家に全部任せ、自分でどうにかしようとしない点ではないでしょうか?極端な話、医者は俺の体を健康にする義務があるぐらいの方もいらっしゃると思います。まずはその発想を転換し、医者に通わなくてはいけない状態になった自分に反省するぐらいの気持ちが必要です。

日本はおいしいものも多いのですが、さしやトロのように脂分の多いものを好んで食べます。それもあり、暴飲暴食しやすいかもしれません。カナダにいると大したものがないのでおいしいものを忘れてしまい、日本に行くと回転ずしでもおいしく思えてしまう自分に恥ずかしいと思いますが、逆に質素な食事が健康を維持させる秘訣なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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