外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

2017年03月

消費を考える その1 価格で買うもの、品質で買うもの、安心で買うもの4

世の中、安ければ何でもよいと思われがちですが、消費者は必ずしもどんな場合でもそれを選択するとは限りません。商売をする方としては顧客が何を求めているのか、その価値観を見分けることが大事になってくるでしょう。

価格が第一義ではないものの一つに自動車があろうかと思います。えっと思われると思いますが、それは日本で売っているほとんどの自動車は一流なので差別化しにくいことがあります。カスタムメードの車を売っている日本のメーカーもありますが、その世界に期待するのは趣味の世界。一般大衆が求める自動車への期待とは絶対安全と壊れない信頼感であります。

フォルクスワーゲンがディーゼル車で不正問題を起こしたのち、世界各国では販売はさほど落ち込まなかったのですが、日本ではその対象車が売られていないにもかかわらず販売数が大幅ダウンし、輸入車一位の座をベンツに明け渡しています。日本人のセンシティビティを物語る例でしょう。

腕時計はどうでしょうか?これは価格ではなく、ブランドやデザインが勝負になる典型です。何故かといえば時計を時計として考えるなら今やスマホに時計がついているので必要ないのです。腕時計は明らかに貴金属であり装飾品であり自分のステータスやアイデンティティを見せるものであります。

よって30代の若い人でも数十万円から100万円もするような時計を身につけていることもしばしばあるのですが、それを価格で買った人はまずいないはずです。このブランドのこれ、という指名買いでしょう。

女性もののバックはどうでしょうか?日常の使いまわしものと勝負バッグは違うはずです。そして日常の使いまわしバックは価格見合いの使いやすさがポイントではないでしょうか?飽きが来なくてあまり目立たないデザインならば1000円、2000円の差は吸収できるでしょう。ましてや勝負バックとなればこれは上述の腕時計と同じです。

実は日経に面白い題材が提供されています。ヤマダ電機が力を入れる住宅部門がイマイチ苦戦しているという記事です。ヤマダ電機の会長はてこ入れに躍起のようですが、安売り家電の雄、ヤマダ電機をして何を間違えたのでしょうか?

まずヤマダ電機で家が買えると知っている人がどれぐらいいるかです。次に知っていたとしてもヤマダ電機に家を買いに行く人がどれぐらいいるかです。何故でしょうか?

まず、家は一生に一度に近い買い物で失敗したくない典型的アイテムです。となれば、冒頭の自動車の例のように絶対安心で地震でも倒壊せず、丁寧な仕事でアフターケアもしっかりしていることが大事です。安いと思って手を出したばかりに失敗したという後悔は出来ません。

メーカーとしてのイメージがないためにヤマダの製品に対する評価ができません。なぜならヤマダは家電販売店であってモノを作っている会社ではないのです。ヤマダブランドの電機製品はないのです。ならば家がなぜ作れるのか、その説得性がないのです。私はヤマダが経営判断を間違った最大のポイントはここにあると思っています。

木造住宅で安いものなら飯田グループが圧倒しています。とにかく安く、積水や大和、住友林業などとは比較になりません。いわゆるパワービルダーと称する会社ですが、その秘密は間取りや形が決まったスペックホームにあります。よって現場での大工仕事が極めて合理的かつ、短期で終わるのです。一種のプラモデルのようなものです。もちろん、ヤマダはこれに勝てないでしょう。中途半端な存在なのであります。

価格で勝負するものは似たような商品で差別化ができない場合に往々にして発生します。例えばテレビを買うのに家電量販店で一生懸命画質の差を比較しても結局価格差で決めるケースが多いでしょう。牛丼屋が3軒並んでいたとしたら私なら安いところに行きます。理由は牛丼をランチの選択肢にした時点で私の最も重要な判断基準はさっさと食べることであって噛みしめながら悦びを感じることを期待していないからです。

言い換えれば売り手からすれば付加価値や差別化を盛り込むことによって価格による判断基準が劣後するような商品を生み出せばよいということになります。例えば私は日本に行くと広いふろを求めて銭湯に時々行くのですが、わざわざ自転車で15分もかけて遠くの銭湯に行きます。理由は同じ価格なのにそこにはお気に入りの湯船の選択肢があり、露天風呂もあるからです。正に差別化です。

日本人の創意工夫をもってすれば面白い差別化はいろいろできるだろうと思います。私が商店街の復活を主張するのもデパート、コンビニやスーパーは何処も同じでつまらないからアッと驚くような商品や珍しいものを売るユニークさが生み出せる可能性があると思うからです。

そういえば東京の住宅街に寂れた赤ちょうちんがあるのですが、最近はそこに必ず立ち寄ります。何ででしょうかねぇ、人気の深夜ドラマの「深夜食堂」のイメージそっくりだからでしょう。

私にはいくら安くても均一には飽きたということです。本項、この続きをまたお届けしたいと思っております。

では今日はこのぐらいで。

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ではまた明日。

英国離脱で得するのは誰?4

英国のEU離脱が正式に通告され、これから2年間のドラマが始まります。本格的な交渉が始まるのは6月ぐらいとみられているため、昨日の英国を取り巻く為替相場などは比較的安定していました。また、今後の行方については欧米の多くのメディアがわからないとするなど予想が実に困難な状況にあります。

予想できない事態というのは交渉過程において必ず「荒れる」時期がしばしば訪れるものです。欧州の例でいえばあのギリシャ危機の際にも「あんなちっぽけな国ぐらいどうにかなる」と高を括っていましたが、てんやわんやの大騒ぎになりました。最後は落ち着くところに落ち着くのでしょうけれどこれから始まる2年間の劇はシェイクスピアならどう描くのでしょうか?

その天才シェイクスピアの劇、「オセロ」は1602年頃に完成した氏の4大悲劇の一つであります。北アフリカのイスラム教徒を指すムーア人であった主人公のオセロと白人のデスデモーナとの悲劇の恋愛話でありますが、背景には肌色が違う二人の行方という問題提起がなされています。

今起きているのはイスラム教徒の欧州への流入、そして欧州各地での数々のテロやフランスで見られるさまざまな社会問題を背景に英国は英国のブラッドを尊重し、遮断する判断をしたとしても言い過ぎではないでしょう。そういう意味では英国が生んだ最大の劇作家が今から400年以上も前にも書いた悲劇作品が現代において再現されるのでしょうか?

今、英国が懸念する最大のリスクとはその抱えるロンドンのシティの金融システムがどうなるのか、スコットランドなどの独立運動をどう抑えていくのか、更にはEUとの清算金もEUの主張する600億ユーロ(7.2兆円程度)に対して英国は30億ユーロ(3600億円程度)と大きな差をどう埋めるか、があります。それ以外にも解決しなくてはいけない問題はいくらでもあります。

個人的には時間切れ延長戦はあり得るのだろうと思います。なぜなら、欧州メディアが指摘するように「ルーズ ルーズ」のディールだけに英国だけが不利な状況にあるわけではないのであります。

大陸側がどれだけ団結できるのか、今後2年の動きも想定しなくてはいけませんが、ギリシャの経済再生は計画通りになっていません。イタリアは主たる金融機関が抱える不良債権の処理に忙しく、フランスでは経験不足な若き大統領が当選するかも知れません。ドイツはメルケル首相の賞味期限がちらちら見えていますし、このところ比較的おとなしいプーチン大統領が何を企んでいるのか、この辺りも考えなくてはいけないところがありそうです。

では最大の焦点である世界最大の金融市場、ロンドンのシティは崩壊するのでしょうか?実は多くの金融機関が見事にバラバラな動きを展開しています。多くはフランクフルトがその代替候補筆頭のようです。パリも候補ですが社会的背景が金融機関にアトラクティブではないようです。日系の金融機関はオランダをその代替地として進めているようですが、案外、英語圏のアイルランド、ダブリンがダークホースのようにも見えます。ドイツ銀行に至ってはロンドンでの機能強化を進めています。

個人的にはシティの機能はシティにあるからこその意味合いであり、頭脳の中心はシティから出ていくことはまずないとみています。シティの意味合いはEUシステムを通じた程度の背景ではありません。もしもEUが英国に無理難題を押し付ければ英国そのものがタックスヘイブン大国に変身する可能性すらあると思っています。(多くの島々のタックスヘイブン地は英国シティ経由の特別なマネーが介在しているのは承知のとおりであり、世界の裏金庫(表はスイス)と断言してもよいと思っています。

個人的には英国の図体が小さいことと圧倒的なネゴシエーションパワーを持っていること、更に英国連邦(コモンウェルス)でオーストラリア、カナダなど世界での強力なリンケージがあること、もっと重要なのはキリスト教プロテスタントとしてアメリカとの見えない紐で繋がっていることは見逃せないでしょう。更に言えば同じ島国で似た環境にある日本とは連携しやすく、かつては日英同盟で圧倒的な地位を築いたこともありました。インド、香港(ひいては中国)との歴史的つながりも強く、英国が歴史を通じて作り上げてきた資産が再度、見直されることでしょう。

よって、メディアのトーンは英国がいかにも不利で苦悩の戦いを挑むというトーンがほぼ並んでいますが、私は英国に最終的には分があるとみています。

もちろん、英国が何を捨てて何に拘るか、ですが、英国は金融以外にも工業もあるし、石油だって産出しているのです。そんなにみすぼらしい国家を想定する方が困難であり、私は2年間はハードでボコボコの道のりだと思いますが、英国に女神は微笑む気がします。忘れてはいけないのはユーロシステムは構造的欠陥を抱えた不良品であって、EUが逆にこの機にこのシステムのオーバーホールをするぐらいの心づもりが必要な気がします。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

東京都は衰退都市なのか?4

3月20日号の日経ビジネスの特集は衝撃的タイトルがついています。「マイナス首都 東京、地方の自立が日本を救う」とあります。地方の時代を促進させたい意図もあるのでしょうけれど東京都がこのままでは沈没してしまう恐れすら感じさせる内容です。

私が東京に生まれ育ち、現在はカナダと東京を行き来している中で変化を感じることあります。それは「この街、歳、取ったな」であります。多くの方々は東京をビジネスやショッピング、娯楽の場所として捉えていることでしょう。駅前やビジネス街は人であふれ、活気があります。外国人が闊歩し、日経ビジネスがなぜそんな特集を組んだか、意味合いすら捉えにくいでしょう。

しかし、東京の住宅街は極めて保守的なところであります。「かつてのあの賑わい」を知っている方にとっては華やかなあの時代を知っている故に変化できない状態にあるのです。駅前の繁華街を抜ければほとんど数十年前と変らない住宅街の景色が再現されます。そこにいるのは数十年前には大いに元気だった高齢者であり、動かない自家用車が家の駐車場に鎮座しています。

そしてこれが最大のポイントですが、若い人が駅近くのマンションに住むことで住宅地における人口分布の分断化が起きたことで刺激がなくなってしまったのです。いわゆる過疎化する東京であります。これが不動産事業をする私の目から見る東京の最大の弱点であります。

東京都の人口は2025年に1398万人をピークに減少に転じると予想されています。と言っても現在1368万人ほどになっています。人口予想の統計は出入者数、出生者、死亡者の予想の組み合わせですが、5年前の人口予想に比べてピークが5年ほど繰り下がっています。理由は高齢者の余命が伸びているのが主因だと思われます。

では、経済はどうなのでしょうか?名目GDPは2015年が95.4兆円で前年比0.5%増、ですが、16年予想は94.4兆円でマイナス1.0%成長となります。実質で見ると2014年にマイナス0.7%になってから16年予想分を含め、3年連続マイナスで徐々に悪化していく傾向にあります。特に気になるのは東京都のGDPは近年、全国平均と同調してきたのですが、2015年実績、16年予想は全国平均が共にプラス0.9%なのに、東京都はマイナスとなり乖離してしまっているのです。日経ビジネスはここに注目したものと思われます。

さて、この衰退原因を作ったのは日本の歩みであり、都政であって、どの都知事がどうこうという話ではないでしょう。日本がバブル崩壊後に失われた15年とか20年を経験したように東京都はこれからもう少しシビアな停滞期がやってくる可能性があります。

理由は一言で述べれば、都民が夢をもって強い上昇志向にないからだろうとみています。日経ビジネスによると北海道猿払村、新潟市、会津若松市など一部の地方都市には元気の良いところがあるとされています。ただ、これは町の規模が比較的小さいため、ある特定の特徴を生かせば統計的に大きく反映されやすいマジックがあります。ところが東京都のような巨大都市ですと地盤そのものから大変革させるほどのパワーが必要で10年、20年単位の都市計画が重要な意味を持ってきます。

このところ都知事は3人途中で辞めているほか、地球規模のポピュリズムによる政策推進の困難性が見受けられます。東京の例を断面的に捉えてしまうのならば魚市場一つ、出来ないわけです。そんな中、小池知事がいくら国際金融都市を目指すといっても誰も本気にしません。それよりももっと現実的な待機児童の問題や高齢化対策に都民の声が集中し、それに対応するのが精いっぱいになってしまっています。

これは逆に言えば新しいことを踏み出すのが非常に難しくなった都市が東京である、とも言えないでしょうか?

私としては衝撃的な事実であり、こうすればよい、と簡単に答えが出ないところが悩ましいところであります。特区を使って外国人を増やすというのも極めて限定されるでしょう。但し、外から見ると思ったより足りないと思うのが大衆文化で立派な施設ばかりでいわゆる「町人文化」を勃興させたほうが良い気はします。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

甘い経営4

私もいろいろな会社や起業家の方と接点がありますが、時々、経営、大丈夫かな、と思わせるのは経費の使い方が明らかに業容と違うケースでしょうか。「あれ?」と思う例に大企業に勤めていてそこから自分のビジネスを立ち上げた人が大企業の裕福な環境を忘れられない場合や、社長というサル山の大将になって躍ってしまうタイプの方ではないかと思います。

「新しいコンピューターのシステムを導入したんだよね」「景気いいんだね」「この前、大口の入金があってさ」というのは実はかなり危ないケースであります。大口の入金には大口のコストも掛かっているはずです。それがいつ支払われるのか、そこが飛んでいるんです。しかし、手元に大金が転がり込んでくれば「ほしかったあれ」を買ってしまうのです。まるで子供のようです。

甘い経営に陥る人の多くは経理がわからない場合が多いと思います。これは直感的な話なのですが、起業家は経理は誰かにやってもらうもの、という人任せな処理仕事だと思っているケースが多いのではないでしょうか?

小さな会社では経理専属の人を雇うのが正直厳しいところがあります。そのためにアカウンティングサービスのような代行業に任せるのですが、これが結構高いのです。問題はそこに留まりません。自分で貸方、借方もわからないし、貸借対照表も理解できないのなら代行サービス会社から出てくる月々の試算表や経営分析表も読み切れないはずでそれらの大事なレポートは「積読」になっているのでしょう。

久々にかわいそうな破産劇がありました。てるみくらぶという旅行会社が負債151億円を抱えて破産宣告しました。50人ぐらいの顧客からクレームが入り、観光庁が監査に入った翌日に破産宣告です。もう、どうにもならない状態だったのでしょう。顧客もかわいそうですが、従業員にとっても突然職がなくなるわけですから「こっちが泣きたいくらいだ」という話かと思います。

ニュースでも旅行を申し込んだけど大丈夫か、という声があります。ダメでしょうね。諦めです。もちろん、顧客は悪くありません。が、「安いものには裏がある」を見せつけてしまいました。記者会見で女性社長の悲壮な顔を拝見しましたが、想像するにこれほど壊れるまで「どうにかなる」「もう後に引けない」という暴走特急になっていた可能性が高いと思います。

会見で「このような結果になるとはまるで考えていなかった」と述べているようですが、これがもしも事実だとすればこの社長は経理が出来なかった可能性が高いと思います。会社が潰れるかどうかは経理の実態を見れば会社の規模にもよりますが、かなり以前からそういう兆候は出るのです。それは中小でも大企業でも同じです。数字を信じず、社員に「どうにかしなさい」と叱咤したのでしょうね。

倒産といえば東芝もその原発子会社、ウエスチングハウス(WH)を破産させることで一両日中に決定するかと思います。こちらも以前から何度か指摘しているように東芝がWHの実態をつかめなかったケースです。つまり、てるみくらぶと同じでコストがいくらかかるのか、WHから上がってきた数字をそのまま鵜呑みにして数字の分析が不足していた可能性が高いと思います。

工事の原価の積み上げが正しいかどうかの検証方法はいくつかの組み合わせ技が要求されます。その中でもキーは下請けの意見を拾い上げておくことです。連中は割と正直なことを言いますのでそれこそビールでも飲ませながら話を聞き出すぐらいのスパイ活動は必要だったのです。ところが東芝はプライドがそうさせなかったのでしょう。現地の実態を拾い上げる体制ができておらず、WHの主張することを正として受け止めたことに間違いがあります。これではてるみくらぶの社長と同じレベルだったということでしょう。

ところで、てるみくらぶの社長はアウトですが、東芝の経営陣はアウトではないところに「懲りない人々」というレッテルを張られるかもしれません。なぜなら、東芝の子会社が破産し、東芝がこの処理で1兆円も出そうかというのに「これで損したのは誰?」という実に実感のない話をしているのです。顧客の涙もないし、給与の未払いも生じないかもしれません。つまり世界でもっともお人よしの円満解決をしようとするのが東芝なのでしょう。金満ニッポンなのかもしれません。

経営者は経営者である限り、必死に勉強し続けなくてはいけません。旨いもの食っている場合ではないのです。人一倍汗をかき続け、従業員を考え、顧客を喜ばせるのです。おいしいワインが飲みたくなったらリタイアしたときでしょうね。私の経営観はそれぐらい厳しいものです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

誰もやっていないビジネスの魅力4

最近の株式の新興市場のブームが日本のビジネスシーンの姿を映し出しているとしたら多くの超一流企業にお勤めの方々は何を言っている、と反発されるかもしれません。

以前、池井戸潤氏原作の「下町ロケット」というドラマが放映され、ヒットしましたがこれは大企業と中小企業の戦いそのものだったといえます。「こんな名もない小さな会社で我が社の社運を担うようなロケット部品が作れるわけない」というシーンは大企業の驕りであり、プライドそのものであります。

いや、私だってゼネコンという建設業界独特のピラミッドの頂点に20年もいましたが、上から目線で「教育してやろう」「これが出来なければ協力会社にはなれない」というスタンスが社員にあったことは否定しません。大企業の下請けへの期待とは長年のお付き合いの中で身元がしっかりし、裏切らず、製品の安定供給などあらゆる面で大企業に最優先の協力姿勢みせることでしょう。ざっくり言い換えれば大名様なのです。

ところがこの5年10年言われてきたのが大企業病。その典型的な症状が足腰の弱さならぬ時代の流れに合わせたフットワークの軽さについていけず、おたおたする事態が数多く表れてきた点であります。今更具体的に事例を掲げる必要はないと思います。

そんな中、日経ビジネスに頼もしい会社が2例出ています。一つは平田機工というジャスダック上場の生産設備メーカーです。その取引先が誰でも知っている大企業(トヨタ、日立、GM、ダイソン、サムスン…)である理由はビジネスの仕組みそのものにもありますが、仕事から逃げない姿勢にあると読み取りました。特にこれは誰にも真似出来ないだろう、と思わせたのがリーマンショックの際、クライスラーに生産ラインを納入していたものの倒産に直面し他社が逃げる中で同社だけ「作業を完遂した」ことが同社の評価を大いに上げたようです。

もう一社はストライプ インターナショナルの石川康晴社長。同社は目立たないけれどアパレル業界において国内1255店舗を持つ急成長中の新興企業です。その駆け出しで大失敗し社員から見放されたその教訓が今の大躍進を支えています。特に中古の衣服をレンタルで着回しする「メチャカリ」という業態はかつて全く考えられなかったスタイルです。

両社とも誰もやらない未知の世界や誰もがやりたがらないことをきちんとこなすという経営者のブラッドがその成長を支えていることがみて取れます。

私は経営談をする時、しばしば持ち出すのが「屏風」の話です。サラリーマン社長の時には私の後ろには金屏風がありました。それは組織、金融機関、株主、取引先であります。自分が躓いても必ず誰かが助けてくれる仕組みがあります。それ故の甘えもあり、気を遣わねばならないこともあり、踏み込めない歯がゆさもありました。

自分が独立した途端、屏風は自分であると気が付きます。そして一日も早く、この屏風が金色に染まり、風が吹いても倒れないものにしなくてはいけないと心に刻み込んだのです。そのためには立ち止まっている暇はない、チャンスは一瞬しかない、常に前に進むなどとにかく色を出す訓練を重ねてきました。そういう意味では私のビジネスはほとんどが一定のユニークさがあります。それゆえの顧客というファン層もとりこめるのです。

よく言われることがあります。「ほかの会社はこうしているからオタクもこうしたら?」と。他を真似たら私が私である必要がなくなるのです。

大企業には独自性というより資本のチカラで押しまくっているだけのところがあります。ほんとうに差別化したものを生み出しているのでしょうか?」価格競争に勝つだけのために安売りをしていないでしょうか?

独自のものを生み出せないとしたらどれだけ大きな会社でも失格です。市場からいつ退場宣告を受けてもおかしくないでしょう。そんな時代がやってきたのです。その中で新興企業の若い経営者たちが汗をかいて日本に面白い風を吹き込んでくれています。

失敗を恐れず、日本の新しいビジネスのスタイルを築き上げる仕組みを通して新時代のニッポン株式会社をサポートしていければ、と思いませんか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

そんたくは日本人のメンタリティ4

久々に聞いたそんたくという言葉はなにやら今年の流行語のトップ10ぐらいには入りそうな勢いです。外国人記者クラブで通訳が「そんたく」を訳す際に詰まってしまったと報道されていました。検索でそんたくを英語にするとconjectureと出ますが、これはオックスフォード辞典で見るとAn opinion or conclusion formed on the basis of incomplete informationと出ますので一般には「推測」と訳すところでしょう。

つまり「そんたく」という言葉は英語でフィットしにくいとても日本的な表現であるとも言えます。そんたくの日本語の意味は「相手の気持ちを推し量る」であります。ちなみにこれに近いのが「斟酌」でこれはそんたくしたうえで手加減する動作が加わります。政治家や役人が斟酌したらダメですが、そんたくは許される範囲でしょう。

そんな苦労をへて英語の記事になるとNYタイムズではThursday afternoon, Mr. Kagoike said he did not believe Mr. Abe had “direct influence” on the discounted land deal.He hinted at “powers at work behind the scenes” and said that unidentified officials in the Ministry of Finance had helped facilitate the deal.
となっており、安い土地価格に関して首相が直接的になにか手を下したわけではなく、「目に見えない力」が働いたという表現になっています。しかし、この場合は「そんたく」というより私は実態としては斟酌の話ではないかと思います。

さて、我々日本人は日常生活において「そんたく」なり「斟酌」はごく普通に行われています。漫談家の綾小路きみまろではありませんが、夫婦30年続けていれば顔かたちが似てくるだけじゃなくて「そんたくに斟酌」がしみこみすぎて朝起きてから晩、寝るまで会話がなくても何の不自由もなく暮らせるということが普通で起きてしまいます。夫の気持ちを推し量り、新聞をテーブルの上に置き、コーヒーを沸かし、いつもの朝食を作るまで阿吽の呼吸ですべて通せます。

新入社員が会社に入って何を覚えるか、といえば裏オリエンテーションとして先輩方から飲みに連れて行ってもらって「うちの会社のそんたくの為の材料提供」を習います。あの課長は午前中は低血圧だから機嫌が悪いとか、あの先輩は人の功績を自分のものにしちゃうとか、係長は奥さんの監視が厳しくてよく会社に電話がかかってくるといった感じでしょうか。

経営術の話には仕事が出来る奴は「1を知って10を悟ることだ」などとよく書かれています。私も若い頃、うーん、3ぐらいは悟れるようになったとか、5まで達成したと自己満足に浸っていたことがあります。

このそんたくや斟酌が日本独特のものである理由はほぼ単一民族故に相手の行動パタン、展開が読みやすいからであります。それゆえに海外でそんたくなるものは基本的に存在せず、相手のことを知るには会話として聞き取り、斟酌の代わりにはっきり要求するしかないわけです。上述のNYタイムズの英語の表現は労作だと思いますが、少なくともそれを読む外国人には神がかりのような意味合いに言わんとしていることがなかなか理解できないと思います。

これは日本人の気遣い、気心、心遣い、おもてなしなどすべてに通じる基本中の基本でもあり、日本からそんたくと斟酌を取ると気が抜けたコーラのようなものであります。

若い人が電話をしなくなった一つの理由は電話をするのはかける側の勝手だという考えから自主規制しているとも言えます。我々が今、身につけているマナーは電話した際「今、お話して大丈夫でしょうか?」というエチケットであります。その「そんたく」は若い人の間ではさらに進化し、新スタンダードは電話の前にラインやテキストで「いま、電話してもよいでしょうか?」と聞いたりするわけです。今の時代、何の予告もなく電話していると若い人から「このオヤジ!」と言われる時代なのです。

私は海外に25年もいますのでこのそんたくや斟酌は日本でのみ使うテクニックのようなものになっています。国境を超えるときは必ず「マインドのギアチェンジ」をするのですが、日本に行くときには前に進み過ぎず、三歩前進二歩後退ぐらいのペースにしないとそんたく出来ない男、つまりKYであるとみられます。では、日本からカナダに戻るときはどうかといえば「論破の世界」が待っているのであります。そういう意味ではそんたくできる限り日本は肩に力が入らなくてらくちんな国であります。

日本人に生まれてよかったとつくづく思います。

では今日はこのぐらいで。

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今週のつぶやき4

メディアは籠池一色の一週間でしたが、他にもフォローしておかねばならないこともありますので「その他のもっと重要なニュース」をカバーしたいと思います。

まず、アメリカではオバマケアがトランプケアに変わるのか、その重要な局面を迎えていました。23日(木)に予定されていたオバマケアに代わる新しい健康保険制度の議会承認は共和党の中に明白な反対者、及び反対しそうだとされる議員が多く、仮に議会で強行採決した場合、マジックナンバーである21人以上の造反者が出ることが確実となったため、東部時間の木曜日の昼にはその日予定されていた投票を延期、本日、金曜日の早朝に行うことになりました。

トランプ大統領はその際、「ここで通らなければオバマケアを残す」としました。トランプ大統領は他の重要なプラン(税制改革などでしょう。)を早く通したいのでヘルスケアに構っていられないという立場のようでした。ところが、議会は揉めます。票読みで造反者の説得が進まず、東部時間昼前に採決は東部時間午後4時半までに、と延期されます。この4時半は曲者でNY株式市場が4時に終わるのでその影響を極力避ける方針を立てた、つまり市場は説得工作は失敗と読んだのです。私も一部、株の手じまいをしました。

結論からすると予想通りその努力もむなしく、説得工作は失敗、トランプケアの議会提出を直前に撤回するという不本意な結果となりました。トランプ政権の運営能力にまた黒星が一つついたことになります。

これは経済のトランプの期待が剥がれ落ちていく状態であり、株、為替に多少影響が出るとみています。円相場の動きには十分な注意が必要かと思います。

次にまいりましょう。

東芝も最重要局面となってきました。今月中、つまりこの一週間程度内に原発子会社ウエスチングハウスの破産宣告をして、損失を確定する方向がほぼ固まったようです。この場合、損失が今まで以上に膨らむとみられますので会社側が会計士の監査済みの証なく発表した損失をどれぐらい上回るのかが注目されます。

一方、こういう話にハイエナが群がるのは常でありますが、出てきたのは旧村上ファンドのエフィッシモで8.7%程度の株を取得、筆頭株主に躍り出たようです。いくら屋台骨が揺らいでいるとはいえ、東芝のような伝統的な会社の筆頭株主が旧村上ファンドとは安く見られたものです。

さて、では思惑通りに全部うまくいくのか、ですが、あまりにも考慮すべきファクターがあり、投資対象としては考えにくいのではないでしょうか?例えば売却予定の半導体メモリー部門ですが、日本政府が海外企業への売却を制限する方向です。

現在手を挙げた有力候補企業は米ウエスタンデジタル、台湾の鴻海、韓国のSK, 米ファンドのKKRなど非日系ですが、日本政策銀行や産業改革機構あたりがオールジャパンとして出てくるのでしょう。その場合、売却金額が抑えられやすいという東芝にとっておいしくない弱点があることは誰も指摘しておらず、技術が外もれしない利点に対して東芝の健全化にはマイナス効果になります。他にもいろいろありますが、甘い汁があるかどうかはふたを開けてみないとわからない気がします。

さて、英国では単独犯のテロ事件がありました。今回の事件はISからの犯行声明が出ている一方、単独犯でも大騒ぎさせることができるという脆弱性はあったとみています。英国のメディアはこんな事件があっても国民は粛々とし平静を保っていたとあります。

英国は29日にもEU離脱の正式通告を行う予定で嵐に備えているせいか、メイ首相以下、ちょっとのことぐらいではびくつかない精神力の強さを示していたようです。

案外、このテロ事件は大統領選挙を控えたフランスへのメンタルな影響のほうが大きくルペン候補にすれば「ほら、見たことか」と思っているでしょう。今のところ、ルペン氏が大統領になる可能性はほぼゼロですが、マクロン候補は39歳と若い以上に経験値がほとんどなく、フランスは不人気のオランド大統領に次いでまた「ふさわしくない」人を選ぶのでしょうか?

最後に小池知事話題をさらっと。昨日、小池知事の能力について一部著名人が疑問を呈し始めていると書かせていただきました。私も当選した昨年夏からの氏の手腕を傍で見ていて同様に感じており、この1-2か月は似たようなことを指摘してきました。

豊洲移転に関して昨日、小池知事は「戦略本部を立ち上げる」と発表したようです。私は耳を疑いました。色の濃いトップが組織に判断を求めるのはギブアップするに等しいことです。これは小池氏にとって最悪の判断となるでしょう。小池知事はリスクがとれず、思いっきりがなく、重大な判断を回避するタイプとみなされます。これでは東京都は運営できません。内田某やその取り巻きはいなくなってもらわねばなりませんが、夏の選挙、自民党への追い風が急速に吹き始めたようです。

では今日はこのぐらいで。良い週末をお過ごしください。

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また明日お会いしましょう。
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