金曜日に評決が下されたアップルとサムスンのスマホなどの特許侵害に関する大きな戦い。結果としてアップルの完勝とも評されていますがどうなのでしょうか?

まず、サムスンに10億5000万ドル(約830億円)の支払いを命じていますが、仮にこれで確定したとしてもサムスンにとっては払えない金額ではありません。

次に今、サムスンの主力機はギャラクシーS3とギャラクシーノートですがこれらは今回の評決の対象となっておらず、販売は継続されます。つまり、影響を最も受けるのは販売末期になっているギャラクシーS2程度です。

更にサムスンはどちらにしろ控訴を含めた時間稼ぎ戦略に出ます。とすればいつ最終段階に来るか分かりませんが、その時点で製品としてのライフはとっくに終わっているということです。

ですのでこの裁判、正直、アップルの完勝かといえば全然そうではないのです。むしろアップルはこの裁判において門外不出の情報を裁判所に提出せざるを得なかったことを含め、情報コントロールという点ではダメージを負っています。もちろん、サムスンはコピーキャットのイメージを植えつけれられますのでこれを打破する為に会社そのものの体制、あるいは韓国ビジネスのスタイルそのものを根本から変えていく姿勢を求められるでしょう。

仮にサムスンがコピービジネスからの脱皮という新たなる目標を掲げ、3年後、5年後に新たなるサムスンのイメージを作り上げれることが出来ればむしろ今回の戦争はサムスンにとり良い薬だったということになります。

アップルがここまで熱くなってサムスンと戦ったのは亡くなったスティーブ・ジョブズの意志を受けた戦いだったということです。よって、アメリカ世論で「完勝」と捉えたとすればこれで天国のジョブズも喜んでいるだろうという感情的な満足感でこの勝負は終わりではないかと思います。

さて、私はこの裁判の成り行きを見ていて一番に感じたことは時代の流れと裁判のプロセスの時間軸のずれが大きすぎて裁判が高速化する現代社会についていっていないということであります。結果としてサムスンは商品上のダメージはほとんど皆無で終わる公算が高く、裁判所の機能は本当にワークしているのかというのだけが改めて感じられました。

日本でも政治家の裁判は極端な話、本人が死ぬまでやっていますが、あれはほとんど意味がないと思います。ならば時代の流れに沿って裁判システムも大幅な刷新が求められるというのが私の出した評決であります。

今日はこのくらいにしておきましょう。

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ではまた明日。