期待された森元首相とプーチン大統領との会談。これを日露の新たな関係構築と新時代への幕開けの第一歩と捉えたいと思っています。

なぜ、私がこれほど森元首相に期待をしているかといえば長年解決の糸口を見出せない北方領土問題の最大の問題のひとつが日露双方に同時に役者がそろいにくかったことと解決しにくい時代背景ではなかったかと思います。今回、役者と時代背景は共に良好なサインが出ています。

まず、役者ですが、森元首相とロシアの関係は父の茂喜氏が当時の日ソ間の取り持ちをした努力の成果の下地があります。その上、森元首相もプーチン大統領と度重なる重要会談を経て、双方の信頼関係を築きあげた日本の政治家として鈴木宗男氏と並ぶロシアとのパイプ役であります。一方のプーチン大統領は歴代ソ連、ロシアのトップの中では柔道家、或いは奥様が日本のファンであるというバックグラウンドもあり、着任時から日本に耳を傾けてくれる親日家でありました。

プーチン氏が一回目の大統領となった時は新生ロシアがオイルやガスで潤い、経済的な確立、特にBRICsの一角として高度成長すると共に、プーチン氏の地盤固め、更には旧ソ連の一角での紛争解決という意味で常にロシア西側に焦点が向けられていました。

その後、メドベージェフ氏が大統領になり、日露関係はいったん膠着状態になりましたが再びプーチン氏が大統領になったとたん、北方領土問題に向き合う姿勢を見せ、「引き分け」という表現を使い、その解釈をめぐりさまざまな意見が飛び交いました。

今回の森元首相の訪ロはそういう点からは役者がそろっていること、プーチン大統領がシベリアなど東部ロシアに焦点を移していることを言及していることからまさに日露間の根本的な問題である北方領土問題を解決し、新たなる外交関係を結ぶ絶好の機会であるわけです。

ちなみにロシア側は日本からの経済的支援取り付け、日本は北方領土問題の解決への目処がポイントだと思われますが経済的支援についてはたとえば21日の日経の夕刊にあるとおり、ロシア国営石油と日本企業5社オホーツク海の大陸棚開発へ協議を開始するといったような新たなる経済協力が始まるところであります。事実、外交レベルでは両国間の要人の会談が進んでいることから平和条約締結への下地作りが進んでいると思われます。

現在の感じですと5月ごろに安倍首相とプーチン大統領が会談し、何らかの成果をもたらすものと期待されています。当然ながら成果品を出すのであれば今から3ヶ月の間に事務レベルで相当揉まないと平和条約への道は遠いと思われます。

私の読みはプーチン大統領の引き分けとは北方領土に関しては二島が引き分けライン。日本側は経済協力と北方領土4島返還の引き分けではないかと思います。交渉の出だしのステップとしてはそれでかまわないと思いますが、4島返還が素直に行われることは厳しいと思いますので外務省は打ち消しているものの森元首相の3島返還論という腹案は交渉当事者が解決するための意味あるアプローチだと考えています。

いずれにせよ、今年北方領土が動かなければまた何十年と膠着する可能性があります。今、解決する意味はきわめて大きいはずです。それは竹島や尖閣という問題も抱えている中での日本の外交の方向性を出す意味でもあります。まさに歴史に残るステップが踏み出される時だと考えてもよいかと思います。

期待しております。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。