マリオ・ドラギ欧州中央銀行総裁が金融緩和をようやく決めました。政策金利は0.25%から0.1%ポイント落として0.15%としました。特筆すべき点は市中銀行が余った資金を中央銀行に一時的に預けておく際の金利付与(利付)がマイナス0.1%となり、預金をすればお金を払わなくてはならない形としました。これで退蔵されている市中銀行の貸し出し意欲をそそるという趣旨のようです。
悪戦苦闘する欧州経済、そして、ドラギマジックとも言われ金融政策の手腕を買われたECB総裁にしても欧州経済のドライブは手品のようにはいかないようです。
欧州の三重苦と言われているのはデフレ(ディスインフレ)、低成長、ユーロ高であります。金融緩和はユーロ安に方向転換すると考えられていましたが、為替市場は見事にそれを裏切っています。この24時間のユーロドル相場を見るとECBの政策が発表された瞬間、ユーロはドルに対して1%程度安くなりました。同じことはユーロ円でも見て取れます。ところが、それから3時間後には元の水準どころか、ユーロ高に転換してしまっているのです。明らかに織り込み済みで政策発表の効果は無視されたということになります。
利付をマイナスにするという発想は欧州中央銀行のみならず、日銀の更なる緩和手法の一つの手段として残されています。日銀の0.1%の利付撤廃は白川総裁時代から取りざたされていたにもかかわらず、黒田総裁になった今でも行われていません。多分ですが、その効果と悪影響を考慮したものではないかと思います。
悪影響とは無理に貸出先を増やし、その結果、不良債権を増やせば最終的に逆効果ということになり、無意味な対策と考えた節があります。ところが、欧州ではそこに踏み込んだのであります。これに対して市中銀行は金利を払ってでもブタ積みと称される中央銀行への預け戻しはし続けることになるでしょう。なぜなら不良債権発生のコストより逆利付の方がまだまし、と考えられるからです。
では、欧州はなぜ、日米のような大胆な量的緩和を行わないか、でありますが、これは量的緩和を受けて国債を買い付ける場合にユーロ圏のどの国債を買うか、そのバランスや戦略が難しいからだと思われます。寄り合い世帯の難しさとはこういうところにあるのでしょう。
欧州経済の根本的問題は総需要不足にあるとされています。総需要不足は単に景気が悪く、個人消費が上向かないだけなのか、成熟した経済の中、消費性向が下がっているのか見極める必要があります。これは日本の経済の運営を考える上でも非常に参考になる検証にでしょう。それは欧州が移民受け入れによる経済的刺激をつづけたにもかかわらず、総需要不足、消費の力が足りないということは移民の目的やタイプによっては経済全体への刺激を伴わないということになりうるのです。
つまり富裕層移民に伴う資産の移動がある場合には移民の経済効果は大きいですが、労働力確保のための移民は経済効果を生みにくいということになり得るのです。この点は学者の研究が待たれるところでしょう。
欧州は労働力の硬直化、アングラ経済、高賃金、伝統からの変化力欠如など構造的問題が多く、金融政策では表面的対処はできても政策的変化、抜本的変化を伴わない限り長期低迷どころか、没落する欧州ということになりかねません。これ以上低迷を続けるとヌリエル ルービニ教授あたりが「再び始まる欧州解体の危機」などとさも自信ありげに言い出しかねない気がします。
市場では早くも第二段の金融緩和を期待する声が出ています。マリオ・ドラギ総裁の頭痛の種は取れるのでしょうか?
今日はこのぐらいにしておきましょう。
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ではまた明日。
悪戦苦闘する欧州経済、そして、ドラギマジックとも言われ金融政策の手腕を買われたECB総裁にしても欧州経済のドライブは手品のようにはいかないようです。
欧州の三重苦と言われているのはデフレ(ディスインフレ)、低成長、ユーロ高であります。金融緩和はユーロ安に方向転換すると考えられていましたが、為替市場は見事にそれを裏切っています。この24時間のユーロドル相場を見るとECBの政策が発表された瞬間、ユーロはドルに対して1%程度安くなりました。同じことはユーロ円でも見て取れます。ところが、それから3時間後には元の水準どころか、ユーロ高に転換してしまっているのです。明らかに織り込み済みで政策発表の効果は無視されたということになります。
利付をマイナスにするという発想は欧州中央銀行のみならず、日銀の更なる緩和手法の一つの手段として残されています。日銀の0.1%の利付撤廃は白川総裁時代から取りざたされていたにもかかわらず、黒田総裁になった今でも行われていません。多分ですが、その効果と悪影響を考慮したものではないかと思います。
悪影響とは無理に貸出先を増やし、その結果、不良債権を増やせば最終的に逆効果ということになり、無意味な対策と考えた節があります。ところが、欧州ではそこに踏み込んだのであります。これに対して市中銀行は金利を払ってでもブタ積みと称される中央銀行への預け戻しはし続けることになるでしょう。なぜなら不良債権発生のコストより逆利付の方がまだまし、と考えられるからです。
では、欧州はなぜ、日米のような大胆な量的緩和を行わないか、でありますが、これは量的緩和を受けて国債を買い付ける場合にユーロ圏のどの国債を買うか、そのバランスや戦略が難しいからだと思われます。寄り合い世帯の難しさとはこういうところにあるのでしょう。
欧州経済の根本的問題は総需要不足にあるとされています。総需要不足は単に景気が悪く、個人消費が上向かないだけなのか、成熟した経済の中、消費性向が下がっているのか見極める必要があります。これは日本の経済の運営を考える上でも非常に参考になる検証にでしょう。それは欧州が移民受け入れによる経済的刺激をつづけたにもかかわらず、総需要不足、消費の力が足りないということは移民の目的やタイプによっては経済全体への刺激を伴わないということになりうるのです。
つまり富裕層移民に伴う資産の移動がある場合には移民の経済効果は大きいですが、労働力確保のための移民は経済効果を生みにくいということになり得るのです。この点は学者の研究が待たれるところでしょう。
欧州は労働力の硬直化、アングラ経済、高賃金、伝統からの変化力欠如など構造的問題が多く、金融政策では表面的対処はできても政策的変化、抜本的変化を伴わない限り長期低迷どころか、没落する欧州ということになりかねません。これ以上低迷を続けるとヌリエル ルービニ教授あたりが「再び始まる欧州解体の危機」などとさも自信ありげに言い出しかねない気がします。
市場では早くも第二段の金融緩和を期待する声が出ています。マリオ・ドラギ総裁の頭痛の種は取れるのでしょうか?
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ではまた明日。

「欧州経済の根本的問題は総需要不足」で、原因が「成熟した経済の中、消費性向が下がっている」のは先進国と云われる国々共通でしょう。
私が育った時代は「何も無い」のが当り前で、学生生活の大半を「ステレオデッキやウォークマン」(懐かしい言葉です)、はたまたバイクを買うためにアルバイトで過ごしました。
今は、生まれた時から便利なモノがあるのが当り前で、中には好きな仕事がないからと親が生活の面倒を見ている人々がいる時代です。打開にはかなりのインパクトが必要だと思います。
「移民受け入れによる経済的刺激」はアメリカのように移民が前提で夢が持てる国以外は両刃の剣です。
最初は自国の言葉しか通じないコミュニティーで暮らし、言葉や文化を身に付けると外の世界へ飛び出していき、また新しい人がやってくる、サイクルが続くはずが、いつまでも飛び出せない人が溜っていった結果がスラムだとアメリカに居た時に聞きました。
勿論、能力がある人はそんな場所を経由しないで飛び込んでいくし、自国で裕福な人は特殊な事情があるか、今以上に夢のある国でなければ移住などしないでしょう。
88年から4年弱ドイツのマンハイムで暮しました。
その頃ドイツでも人手不足で外国人雇用が正規の移民でなくても黙認されていました。特にトルコ人は働き者として好評でしたが、今やトルコ人が溢れて取扱いに困っているらしい。
思想の違う周囲の国々との会話を始めただけで、「同盟国の意向云々」と騒ぎたてる柔軟性の無い国に長期的戦略思考が受け入れられるか、疑問です。