日本政府が必死に口説いていたユニバーサルスタジオジャパンの沖縄進出。既に政府として1億円以上の調査費支出をしてまでUSJの進出を後押ししてましたが報道によると撤回の可能性が出てきたとされています。

事業をする者と政治をする者では目線は全く違います。日本政府は普天間移設問題も含め、沖縄に並々ならぬ支援の姿勢を見せ続けています。それは基地問題という分かりやすい切り口だけではなく、沖縄の歴史から紐解かねば分かり難い話ですが、残念ながら琉球の歴史を語った書籍は少なくメディアもあまり取り上げていません。

かいつまんでいえば琉球は1400年頃から中国(明)と冊封関係を結んでおり東アジアの貿易拠点として栄えてきました。日本本土との貿易も行なう独立国でありました。1609年に徳川政府の命を受け薩摩藩の支配下に置かれますが、その後も中国(清)と日本との両属体制を保ちながら独立国家としてのメンツも持ち続けたわけです。1879年、明治のこの時代に廃藩置県に伴い日本政府は中国との冊封関係断絶を強要する「琉球処分」を行います。これが日本と沖縄の精神的断絶の一幕であります。

もう一つ、あまり知られていませんが、琉球処分の直後、日本政府は中国から最恵国待遇を得るための引き換え条件に政府が宮古、八重山諸島を中国に提供するという交渉がありました。事実、この交渉は締結直前まで行ったのですが、中国が批准せず、調印されることはありませんでした。この「分島問題」は琉球の人に衝撃を与え、日本政府の琉球に対する「トカゲの尻尾切り」のイメージを強く植え付ける汚点を作ったのであります。時の交渉人は伊藤博文で彼が初代総理になる5年前であります。

戦前、戦後の問題を含め、沖縄と本土には潜在的温度差が存在する中で安倍政権は話題の島尻安伊子氏を内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策担当)として据えるなど、そのギャップを埋めるためにあらゆる対策を立てています。USJ誘致もその一環であります。

では、なぜ、USJが難色を示しているのか、ですがこれは私の想像ですが、沖縄ではビジネス収支がまったく合わないのだろうと思います。これは政府が誘致をする相手を間違えているとも言えます。少なくとも私がUSJの社長ならUSJの今の事業をそのまま持っていくことは厳しい選択であります。

人造アミューズメントパークはアメリカの典型的なビジネスモデルでありますが、これは圧倒的な集客効果をベースに莫大なコストをかけ続けながら展開する特殊なビジネス体系です。例えばこのアミューズメントパークがなぜロスアンジェルス郊外に集積しているかといえば遠方からの観光客にとっていくつかの遊園地を回遊できる選択肢があるからであり、集客力が全てであります。

東京ディズニーランドや大阪のUSJはまさに大都市を背景に潜在的集客人口が一定数あり、更に地方からの足の便も比較的良好です。国際線からのアクセスも悪くなくビジネスには絶好なのであります。

では、沖縄。何が問題かといえば沖縄県の人口はわずか140万人で東京や大阪とは比較になりません。二番目に中国、韓国、台湾からのアクセス(距離)は確かに良いのですが、沖縄に向かう目的者がアミューズメントパークに行く目的と必ずしも合致しない気がします。例えばハワイにアミューズメントパークはありません。なぜでしょう?ハワイを訪れる人の目的が違うからでしょう。また、ハワイの地元の人は経済的にさほど裕福ではないのですが、沖縄県も県民所得は全国47番目で一人当たり200万円強と苦戦しています。このあたり、実は沖縄とハワイが非常に似ている点であります。

三番目に沖縄の天候がネックになると思います。実は東京ディズニーランドはなぜ成功したかといえば一つには天候が安定しているのです。継続的にぐずるのは梅雨時ぐらいであとは冬も晴れます。沖縄は残念ながら台風のメインルートであり、その動向次第でビジネスの振れ幅が異様に大きくなるほか、台風の規模によっては損害が出やすいリスクが生じるのです。これが沖縄が元来、リゾート地になれない最大の理由であります。ちなみに沖縄県の晴れ率は全国の都道府県で35位、沖縄より下はほとんどが東北、北陸など豪雪地帯であります。

沖縄は観光地というより輸送の戦略的基地としての役割の方が大きな気がします。それゆえ那覇空港の貨物取扱量は成田、関空、羽田に次いで4位で特に全日空が進出してから扱い量が飛躍的に伸びました。つまり、琉球王国がかつてそうだったように沖縄には沖縄の適正があるはずです。ところが、多くの本土の人は沖縄のイメージを取り違えたような気がします。これが沖縄が経済復興で苦戦する最大のネックのような気がしてなりません。

USJをどうしても誘致したいなら形を大幅に変えたものにしないと厳しいでしょう。しかしUSJも大阪で築いたイメージがありますからあまり小規模なものには出来ないジレンマということになりそうです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。