拝啓 トランプ大統領、

まずは長い選挙戦を通じてアメリカのみならず世界を覚醒させたその胆力にお見事と言わざるを得ません。今頃は自身のホテルで勝利の美酒に酔っていることでしょう。シード権なし、予選から一気に勝ち上がったことは上位陣が盤石ではなかったということです。政治家としての経験もないあなたを大統領に選んだ偉大なる国家、アメリカは次の時代を見据え、変化を求め、期待を託したのでしょう。

様々な過激発言は災いしましたね。世論調査では何度となくヒラリーに追いつくもまた引き離される展開を続けてきました。終盤戦であの女性問題が出たとき、私も、もはやこれまで、と思いました。しかし、アメリカ人は寛容でありました。ビル クリントンの時と同様、あなたを許す、とした多くの女性票にあなたは支えられました。それは肝に銘じてほしいものです。

国内外からはあなたの手腕と行動に不安感の声が聞こえてきます。選挙期間中に口にした数々のプランを本当に実行するのか、戦々恐々としている人は多いでしょう。しかし、私にはヒラリーと比べてあなたの心の方がはるかに読みやすいのです。

ヒラリーは「政治屋」として我々に見えない政治力学を得意満面で駆使していました。その才能が生み出すウォール街との関係や多くの選挙資金の流れに少なからずとも心地よく思っていなかったアメリカ国民は相当いたということです。何処から湧いてきたのかわかりませんが、何十億円という選挙資金が集まるのも「政治屋」としてのテクニックかもしれませんが、そんなヒラリーの化粧の奥の本当の顔に読み切れない部分がありました。ヒラリーは一流の調整屋です。だからこそ、サプライズは起きないという安心感を売りにしていました。

なぜ、私があなたの心を読めるかといえばあなたも私もビジネスマンだからです。出身母体は政治屋ではなく、商店なのです。私はあなたのブランドネームがついたホテルに泊まったことがあります。大手のブランドチェーンとは違った心地よさあるホテルだったと記憶しています。顧客からGreat!と言わせ続けたことであなたのホテルは大きく成長しました。あなたは巷が言う単なる不動産王ではありません。自分のポリシーをしっかり見据えたうえで作り上げた王国です。顧客がいてのトランプ商店でしょう。かつて、破たんしたビジネスもありましたが、多くの成功したビジネスマンに失敗がない輩はいません。失敗を繰り返しながら成長するものです。

今回の選挙戦であなたは何度も失敗を繰り返し、転び、そして立ち上がりました。まさにビジネスで培った天性の才能を選挙戦でも試行錯誤しながら使いこなし、それを制しました。あなたはここでも一つ大きな金字塔を作ったのです。しかも極めて少ない寄付金で大統領になれること、これはあっぱれでした。

さて、これからが本番です。市場はあなたを受け入れたようです。それは午前3時のあの短い勝利宣言のステートメントを読み取ったからかもしれません。私は以前から経済ならヒラリーよりあなたである、と考えていました。あなたの選挙戦をテレビで見ながら東京市場がパニック売りに押されていた時、「今の市場の突っ込みは不透明感であって完全なる失望ではないので投資家の冷静な判断が求められます」とコメントしていました。

事実、その直後あたりから相場の色は変わります。そして驚くことに翌朝のウォール街はあなたを受け入れました。なぜって?それはあなたが大統領になればビジネスが悪くなるはずないのですから。

ところで日本人として私は外交面であなたがどうするのか、実に興味あるところです。私の想像は「ディール」だと思っています。日本はエリート役人が国の実務を担当するという独特のやり方を築いたが故、あなたの斬新なるやり方と合わないかもしれません。しかしながら最近では小池さんというユニークな都知事の手法に注目が集まっています。日本も変わる可能性はあります。あなたはその風穴を開けることになるのでしょう。

私もカナダに来た時、役所とビジネスディールを3年もし続け、50本弱の契約の合意に至った経緯があります。そこで得た見地とは役所とはビジネスをする相手だと。日本にそんな発想はみじんもありません。

現状、東アジアのキーは韓国です。あなたが究極のコマンダーとなったことで朝鮮半島の行方は全く読めません。在韓米軍の在り方を見直したり、THAADを止めるといえば中国と北朝鮮を利することになります。あなたが今、朝鮮半島の和平にさほど興味ないことは感じ取っています。少なくとも当面、何も起きないなら東アジア外交の優先度はかなり低いでしょう。だって、アメリカはそれで稼げないですから。

日本は今日にもTPP法案を衆議院で可決して参議院に回すと思います。実現しなくなるTPPですが、日本は貿易の拡大余地を目指し、二国間、ないし地域的貿易協定を展開するプロパガンダにするでしょう。ところで、私に一案あります。それは日本にそのあたりの作業をやらせてみたらどうか、ということです。つまり、ビジネスが得意な我々にアジア地区の経済の取りまとめを任せてみないか、ということです。あなたのアメリカはより自国の利益を考えなくてはいけないわけですが、発想の仕方ではアメリカと日本は双方が連結決算なんですよ。

保護主義という言葉は世界にとって暗雲だと思います。が、想像するにあなたは保護主義という陳腐化した表現ではなく、自国の幸福拡大主義であってアメリカのバランスシートが良化し、損益計算書がプラスになり、民の給与は上がり、社会不安がなくなることを目指しているのでしょう。

開拓者アメリカの良き流れを築かれることを祈念します。民はあなたに期待するしかないのです。そして世界への影響力も計り知れないものがあります。世界の常識を覆す力もあります。今、あなたが気をつけなくてはいけないのは「軽口はもはや許されない」ということです。威厳をもってこれからの4年間を作り上げてください。民を迷わすようなことは決してしないように、これだけは心してもらいたいと思います。

敬具

カナダでビジネスをする一日本人より


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ではまた明日。