英国のEU離脱が正式に通告され、これから2年間のドラマが始まります。本格的な交渉が始まるのは6月ぐらいとみられているため、昨日の英国を取り巻く為替相場などは比較的安定していました。また、今後の行方については欧米の多くのメディアがわからないとするなど予想が実に困難な状況にあります。

予想できない事態というのは交渉過程において必ず「荒れる」時期がしばしば訪れるものです。欧州の例でいえばあのギリシャ危機の際にも「あんなちっぽけな国ぐらいどうにかなる」と高を括っていましたが、てんやわんやの大騒ぎになりました。最後は落ち着くところに落ち着くのでしょうけれどこれから始まる2年間の劇はシェイクスピアならどう描くのでしょうか?

その天才シェイクスピアの劇、「オセロ」は1602年頃に完成した氏の4大悲劇の一つであります。北アフリカのイスラム教徒を指すムーア人であった主人公のオセロと白人のデスデモーナとの悲劇の恋愛話でありますが、背景には肌色が違う二人の行方という問題提起がなされています。

今起きているのはイスラム教徒の欧州への流入、そして欧州各地での数々のテロやフランスで見られるさまざまな社会問題を背景に英国は英国のブラッドを尊重し、遮断する判断をしたとしても言い過ぎではないでしょう。そういう意味では英国が生んだ最大の劇作家が今から400年以上も前にも書いた悲劇作品が現代において再現されるのでしょうか?

今、英国が懸念する最大のリスクとはその抱えるロンドンのシティの金融システムがどうなるのか、スコットランドなどの独立運動をどう抑えていくのか、更にはEUとの清算金もEUの主張する600億ユーロ(7.2兆円程度)に対して英国は30億ユーロ(3600億円程度)と大きな差をどう埋めるか、があります。それ以外にも解決しなくてはいけない問題はいくらでもあります。

個人的には時間切れ延長戦はあり得るのだろうと思います。なぜなら、欧州メディアが指摘するように「ルーズ ルーズ」のディールだけに英国だけが不利な状況にあるわけではないのであります。

大陸側がどれだけ団結できるのか、今後2年の動きも想定しなくてはいけませんが、ギリシャの経済再生は計画通りになっていません。イタリアは主たる金融機関が抱える不良債権の処理に忙しく、フランスでは経験不足な若き大統領が当選するかも知れません。ドイツはメルケル首相の賞味期限がちらちら見えていますし、このところ比較的おとなしいプーチン大統領が何を企んでいるのか、この辺りも考えなくてはいけないところがありそうです。

では最大の焦点である世界最大の金融市場、ロンドンのシティは崩壊するのでしょうか?実は多くの金融機関が見事にバラバラな動きを展開しています。多くはフランクフルトがその代替候補筆頭のようです。パリも候補ですが社会的背景が金融機関にアトラクティブではないようです。日系の金融機関はオランダをその代替地として進めているようですが、案外、英語圏のアイルランド、ダブリンがダークホースのようにも見えます。ドイツ銀行に至ってはロンドンでの機能強化を進めています。

個人的にはシティの機能はシティにあるからこその意味合いであり、頭脳の中心はシティから出ていくことはまずないとみています。シティの意味合いはEUシステムを通じた程度の背景ではありません。もしもEUが英国に無理難題を押し付ければ英国そのものがタックスヘイブン大国に変身する可能性すらあると思っています。(多くの島々のタックスヘイブン地は英国シティ経由の特別なマネーが介在しているのは承知のとおりであり、世界の裏金庫(表はスイス)と断言してもよいと思っています。

個人的には英国の図体が小さいことと圧倒的なネゴシエーションパワーを持っていること、更に英国連邦(コモンウェルス)でオーストラリア、カナダなど世界での強力なリンケージがあること、もっと重要なのはキリスト教プロテスタントとしてアメリカとの見えない紐で繋がっていることは見逃せないでしょう。更に言えば同じ島国で似た環境にある日本とは連携しやすく、かつては日英同盟で圧倒的な地位を築いたこともありました。インド、香港(ひいては中国)との歴史的つながりも強く、英国が歴史を通じて作り上げてきた資産が再度、見直されることでしょう。

よって、メディアのトーンは英国がいかにも不利で苦悩の戦いを挑むというトーンがほぼ並んでいますが、私は英国に最終的には分があるとみています。

もちろん、英国が何を捨てて何に拘るか、ですが、英国は金融以外にも工業もあるし、石油だって産出しているのです。そんなにみすぼらしい国家を想定する方が困難であり、私は2年間はハードでボコボコの道のりだと思いますが、英国に女神は微笑む気がします。忘れてはいけないのはユーロシステムは構造的欠陥を抱えた不良品であって、EUが逆にこの機にこのシステムのオーバーホールをするぐらいの心づもりが必要な気がします。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。