私はアメリカのナスダックに上場しているSLMという会社に投資をしています。この会社は学生ローンを提供している大手で今後更なる成長が期待されています。今や、自動車ローンより巨額になったこの市場の最大の問題は不良債権率ですが、アメリカの雇用改善で良化する見込みであるからです。

さて、私はこれ以外にもアメリカのプライベートファイナンス系の会社数社に少々、投資をしているのですが、何故注目しているかといえば既存の銀行システムが大きく変質化する可能性を感じているからです。

世界を見渡して銀行ほど個性を出せないビジネスはありません。それは当局が厳しい規制をしているからです。顧客から預かった資金が安全、かつ適正に管理運用されることは国民の資産と将来を守る観点から極めて重要であり、保守的にならざるを得ないのは当然であります。

一方、資金の借り手とは様々な理由があります。それこそ、住宅ローン、自動車ローン、学生ローン、商工ローンや事業資金など多岐に渡ります。そしてそこには多くのリスクが介在し、専門家による査定を求められます。

数年前、私はここカナダで300艘越え規模のマリーナをアメリカ人と共同で買収することで売り主と合意し、デューデリを進めていました。同時にファイナンスも調整していたのですが、これがなかなかの曲者でした。それは銀行側にマリーナアセットの査定を出来る人がほとんどなく、貸し手の銀行が限られていたことでした。結局、このディールは売り主が売却を中止したために成立しなかったのですが、資金調達の難しさを勉強させられました。

今、日本の銀行は「貸すのが怖い」状況にあります。銀行が積極的に資金を提供する姿勢を見せていたのは80年代まで。ということはその後入社の行員は資金を貸すという行為そのものを十分実践していません。つまり、「歌を忘れたカナリア」ならぬ「貸すのを忘れた金融機関」とも言えないでしょうか?十分すぎる担保がないと担当も上司もハンコを押せない仕組みになっています。

もう一つは銀行のATMを含む勘定系システムであります。これが進化する金融システムに対応しにくくなっています。勘定系システムは巨額の投資資金、システム誤作動のリスク、不足するシステムエンジニアという悪環境の中、銀行の経営陣としては積極的にいじりたくない分野でありましょう。みずほ銀行の例が物語っています。

そうするとどうなるか、といえばフィンテックという金融とテクノロジーが融合した新しいマネーの仕組みを取り込みにくくなります。フィンテックを使った新しい仕組みは次々と生まれています。クレジットカードもPaypalなどが大躍進していますが、そういう企業は銀行を介在したものや直接顧客にサービスを提供するP2Pレンディングといった形を提供しています。

私の友人は日本で給与の前借りシステムを開発、販売しており、今後、大きな成長の可能性を秘めています。彼曰く、給与を前借すると辞められなくなり、離職率が下がる、というデータが出ているというのです。これは驚きです。しかも給与の前借なので不良債権は基本的に出ない仕組みです。

このような新しい発想は今の銀行にはできません。それゆえに最近では銀行が一般企業と手を組んで新しいサービスをする動きもあります。例えば東京三菱とKDDIが共同で設立したネット銀行、じぶん銀行は携帯と銀行をスムーズにつなぎこむ仕組みを取り入れています。このように銀行本体はその役割が徐々に変わってくる可能性を秘めているとも言えます。

もちろん、大口の企業向け資金は銀行本体が提供する仕組みが当面は続くでしょうけれど銀行がかつてのスタイルを維持できる保証はもはやないといってもよいでしょう。そうなれば特に地銀や信用金庫などの地域限定型の金融機関はよほどその特徴を出さないとその存続意義が問われるかもしれません。

個人的には銀行もマネーのインフラに変わっていくとみています。様々な金融サービスが乱立し、マネーそのものも変質化していくことと思います。そういう中で銀行とどう付き合っていくのか、あるいは銀行が生き残っていけるのか、そのような大きな問題提起が必ず起きてくるとみています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。