かつてゼネコンの不動産事業本部に在籍して首都圏の開発事業に携わることになったばかりの頃、部長から質問されました。「神奈川と千葉と埼玉の違いを述べよ」。要は住民の属性、例えば収入、職業などなどを徹底的に分析し、地域の特性を見出し、その上で最適な開発案件を考えよ、というものでした。

この発想は今でもある程度正しく、それが不動産の売れ行きを左右します。若い方は賃貸生活など動きやすいライフスタイルを通じて様々な街の特徴を体得しながら自分に合った場所を見出していきます。例えば、私はあまり縁がないのですが、吉祥寺は「おしゃれ」と言わしめた街です。武蔵野という響き、カフェとか雑貨店、更に渋谷、新宿へのアクセスの良さなのでしょう。例えば沿線上の中野など中央線沿線には近いテイストがありますが、ほかの沿線にあの雰囲気を見出すことはできません。これは住民が街を作るのだ、ということなのでありましょう。

地方都市に行くと多くの街の色はさほど変わらないのですが、東京や大阪など大都市は歴史の中で様々な人が移り住んできたこともあり、それぞれのエリアが顔を作っているといってよいので住むところ探しもなかなか奥が深いものです。

そんな中、いわゆる住みたい街ランキングが大手不動産会社から発表されます。ここでは二つのランキングの違いを見てみましょう。

まず、リクルートが発表する「住みたい街ランキング2017」では吉祥寺、恵比寿、横浜がトップ3です。トップ10は池袋を除き、すべて東京西部から神奈川で特に東急東横線沿線が4つ入っているのが特徴です。

一方、LIFULLで知られるHOME’Sが発表した買って住みたいエリアは船橋、目黒、浦和、賃貸なら池袋、三軒茶屋、武蔵小杉が人気と報じられています。買って住みたいトップ10に23区は目黒だけ、リクルートを含め、一般的に高い人気と評される吉祥寺はHOME'Sでは賃貸で9位にかろうじて引っかかっているだけであります。

両者は調査方法が違っており、HOME'Sはより現実的な声を反映しているといえます。

私はこの調査結果を見て感じたのが、夢と現実、つまり、タイトルにある「憧れの場所と住む場所」の違いだと思います。

例えば恵比寿や西麻布。あこがれる人もいるでしょう。ですが、私はお金を積まれても住みません。毎日きらびやかな生活をするならいいでしょう。ただ、生活とは落ち着きを求めるところだと私は思います。よって私とは価値観が合わないのです。

東京駅や六本木、赤坂に近い住宅を求める人は職住接近というより「職接近」が主眼であり、「住」は寝るところ、出張に出やすいところという観点が強くなります。近隣とのお付き合いもなく、冷たいコンクリートが余計冷え冷えした感じがするところも私は御免です。「憧れの場所」は必ずしも心地よいところではないとも言えるのです。

住宅取得で人気の船橋。私もかつて住んでいました。ある意味、東横線や田園都市線沿線よりははるかに庶民的で気軽ですが、生活臭が強すぎるかもしれません。赤羽の近くにも住んだことがあるので知っています。ここも同様、典型的な下町風情です。

一方で埼京線沿線や千葉の京葉線沿線といった比較的新しい路線に伴い生まれた新開発エリアは歴史的重みが比較的薄く、住宅価格も手頃かもしれません。

明治時代の東京の不動産といえば今の文京区のあたりがベストでした。上野の裏にあるという位置関係だったからです。近年では一般的には世田谷、渋谷、目黒、港区が注目で品川や江東というウォーターフロントが話題にもなりました。不動産は世の流れで注目度が割と変わるものかもしれません。

家選びについてのコツは不動産とライフスタイルの掛け合わせです。自分の生活スタイル、価値観、家への期待、人間関係などを組み合わせると案外、あなたにぴったりの街は全然違うところかもしれません。「人気ランキング」で選ぶというより自分がもっとも心地よいと感じるところを選ぶのがあとあと長く住める愛着あるところになると思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。