中国、文化大革命の最中、1971年に林彪(りんぴょう)事件がおきました。林彪は1966年に中国共産党副主席となり、いわゆる毛沢東の後継者として認知されました。その後、毛沢東と林彪は馬が合わず、林彪は息子を介し、毛沢東暗殺計画を立てます。ところがこの列車爆破暗殺計画が事前にばれ、クーデターは失敗に終わります。林彪は飛行機でソビエトに逃亡しようとしますが、モンゴルで墜落、死亡するというドラマのような話で中国ではかなり有名な事件であります。

1966年から約10年間の毛沢東の文化大革命は中国では御法度の暗黒時代であり、長らく、その全容すらわからず、解説した書籍すら限られる状態でした。その問題の切り口は多いと思いますが、私の認識の一つとして中国権力闘争そのものであり、中国の歴史をそのまま10年間に凝縮したような感すらあると考えています。

最近、ふとこの林彪事件を思い出したのはほかでもない、習近平国家主席が進める人事は思惑通り進むのだろうか、という疑念がわいたからです。つまり、現代の林彪事件が起るとしたら何がきっかけになるのか、ということです。

現代の林彪とはズバリ、序列第3位の張徳江氏であります。

このところ、北朝鮮の動きが挑戦的であります。キーデートの時に弾道ミサイルの発射実験を行い、世の中に挑戦状を突き付けます。そのミサイル性能は日増しに向上しているように見えます。また、中国に対する姿勢も明白に背中を向けている上に直近では日本の漁船に銃口を向けるという蛮行もしました。ICBMの実験成功は北朝鮮を歓喜の渦に巻き込んでいるようですが、世界が包囲しているはずの金正恩氏がなぜ、あれほど挑戦的なのか、多くのメディアはわからないとしてきました。

私はこの張徳江氏に一つのキーがあるように見えます。張氏は吉林省出身で大学で朝鮮語を学び、その後、北朝鮮の金日成総合大学経済学部に留学しています。パリパリの半島マター実権派であり、かつ、朝鮮語は堪能、更に悩ましいのは江沢民派であるということです。

つまり、習近平氏の弁慶の泣き所である中国東北地方とそれに連なる朝鮮半島はこの張徳江氏がほぼ掌握しているといってもよいのでしょう。

トランプ氏から習近平氏に託された北朝鮮対策が思った通り進捗していないのは複数の理由があります。その中で中国国内だけの事情で見ればこの江沢民派の張徳江氏を抑えあぐんでいるとすればどうでしょうか?

張徳江氏が朝鮮半島、特に北朝鮮をコントロールできるパワーを持っているとすれば習近平氏が張氏の扱いに気を付けなければ何が起きてもおかしくないことになります。

では金正恩氏はどうとらえているのでしょう。私は高みの見物だと思っています。つまり、北朝鮮をめぐる習氏と張氏の国内権力争いが続く限り、金正恩氏は安泰だということになります。よって、弾道ミサイルの実験を繰り返し、本人が声明で述べたように大なり小なりのお土産をアメリカに贈ってくることになります。

言い換えれば「北朝鮮のやんちゃ」は少なくとも秋の中国党大会での決着を見るまでは「やり放題」で誰もその首根っこを捉えることができないとも言えないでしょうか?そして金正恩氏は明らかに習近平氏に対する挑戦状を叩きつけているのは何らかの自信がそのバックボーンにあるとしか思えません。それが何か、といえば中国の権力闘争の中で複雑に絡み合う力関係でしょう。

もちろん、私は張徳江氏が林彪氏のような過激で映画のシナリオのような大逆転劇のシナリオを描いているとは思いません。しかし、張氏の持つ権力は世界が注目するその朝鮮半島であり、絶対的なキーパーソンであることは間違いないとみています。

これから夏休みに習近平氏は中南海で秋の党大会に向けた最後の国内勢力闘争の総仕上げをするはずです。ここに北朝鮮問題がどう絡んでくるのか、極めて興味深い話になるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。