国際収支というタイトルでは読み手は興味を持たないかもしれません。いかにも面白くなさそうなトピでありますがご勘弁を。

多くの方は海外とのビジネスで日本は儲けていると思っているでしょうが、どうやって、となると案外ご存じないかもしれません。たまたま、今年1-6月の国際収支の統計が発表になったので初歩に戻って考えてみたいと思います。

端的に言ってしまえばこの1-6月も日本はずいぶん稼ぎました。10.5兆円の黒字です。その中身なのですが、輸出と輸入の差である貿易では2.5兆円の黒字です。これは前年同期で1割ほど減っているのですが、理由は輸入に於いて資源高(原油)が影響したことが悪化の理由です。

今年下半期は世界情勢に激変がおき、原油価格が高騰するようなことがあれば別ですが、数値的にはこの貿易収支、もう少し、改善してくるとみています。原油の相場は現状、上にも下にも動きにくい状態ですがベネズエラの国内問題が更に過激になり原油が出せない事態になれば価格急騰となり、貿易収支悪化のバイアスがかかることもあるでしょう。

さて、では残りは何処で稼いだのか、と言えば細かいところを無視していえば所得収支であります。いいかえれば日本企業の海外子会社、関連会社等からの配当金などであります。これだけで9.8兆円あるのです。つまり、日本がどうやって海外から稼いでいるのか、と言えば「海外投資」と申し上げてよいかと思います。

小学校の時、日本は貿易が盛んとか加工貿易の国と習ったことがあるでしょう。あれは本当は正しい表現ではありません。日本は内需主導型経済で貿易立国ではありません。世界でも有数の消費大国、つまり、皆さんがせっせとモノを購入してくれることで繁栄が築かれました。あとは財政支出です。道路、鉄道、インフラ、建物建築です。

戦後復興、所得倍増計画に一億総中流、更に持ち家推進政策でとにかく、モノを買わせるのが上手な国でありました。政府も赤字覚悟の出血大サービスで財政投融資に励みました。

一方、海外との関係においては貿易を通じてアメリカと何度となく激しい摩擦を生み出すほど輸出競争力を持っていたとも言えます。この体質が変わってくるのがこの十数年です。2005年に貿易収支の黒字と所得収支の黒字が初めて逆転します。その年の貿易収支は11.8兆円黒字、所得収支は11.9兆円の黒字となりそれ以降、これが逆転することはありません。

第一次所得収支は96年にはわずか6.1兆円でしたが2016年には18.1兆円と20年で3倍になっています。ちなみに貿易収支は数字のムラがあり、この20年、十数兆円稼ぐ年もあれば10兆円もマイナスの年もありました。但し、基調としては昨年の5.5兆円黒字を今年も踏襲しそうですが、トレンドとしてはやや落ちて来ているように見えます。

ここから読み取れることを考えます。

まず、日本がバブル崩壊で本業回帰、本国回帰を遂げ、国内のメインビジネスに特化しました。海外企業のM&Aは89年と2000年に小高いピークをつけたぐらいです。海外不動産買い付けブームとドットコムバブルです。ところが2004年には海外M&A規模も数千億円規模まで縮小します。

が、俄然、2005年から海外M&Aが勢いを増すのです。そして上述の通り貿易収支を所得収支が追い抜くのも2005年です。この海外M&Aブームはいきおいが止まらず、2016年で10兆円規模となっています。これは2004年までのお金にモノを言わせたチカラづくのM&Aから現地化や地産地消に伴う生産設備の移転という構造的変化を伴います。

この変化は一つに為替が影響していたと考えています。日本企業が海外企業を買収するのは円高局面が都合が良いわけですから2012年につけた70円台の為替の頃は買収する側にとっては大バーゲンセールだったとも言えます。しかし、その後、円安に転じるも海外企業の買収の勢いは止まりません。

これはソフトバンクや日本電産、JT、サントリーなどが大口の買収を決めていることもあるでしょう。併せて日本企業の財務体質が極めて強固になっており企業成長のために海外に打って出なくてはいけない使命を帯びつつあるとも言えそうです。

但し、私は日本企業による海外企業の買収ほど難しいものはないと確信しています。金があるから買う、という姿勢はバブル経済の際、北米の不動産を次々購入し、数年後にはそれを持て余し、売却退散を経たあの時と重なるイメージがまだ残ります。

日本の経常収支は8割の所得収支と2割の貿易収支というざっくりした枠組みとなり、海外での成功が日本の繁栄を占うとしても過言ではない時代に差し掛かっています。ならば、海外事業の失敗をどう食い止めるか、企業はもっと真剣に取り組まないとそれこそ「日本沈没」になってしまうのです。

経常収支の発表からこういう読み解き方もあると思うのですが、そういう分析はあまりされていないようでしたのでご紹介させて頂きました。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。