「日本の不動産をもっと買いたい」とカナダ人に折にふれて言うと「日本は人口減少なんだろう?何故だ?」と聞かれます。「不動産市場はまだら色。人口減でも上がるところもあるし、必要以上に下がるところもある。その中でお宝さがしすればいいものはある」と答えています。

日経に珍しく不動産事業をやっている人ならばニンマリするニュースが3本、同時に出ています。もちろん、その3つは直接的には関係ないのですが、よく見れば不動産に期待を持たせるものです。

老朽マンション、玉突き建て替え 都が容積率上乗せ
「孤客」消費が止まらない
外資ファンド、日本の不動産投資拡大 高値でも低金利で妙味

まず、老朽化マンション対策として都が容積率上乗せをする制度を来年にも公表します。一言でいえば、古いマンションをデベロッパーが購入、そのデベが別の場所でマンションを建てるなら容積率にボーナスがもらえ、更に次の老朽化マンションを買収すれば、初めに買った老朽化マンションの敷地での容積率にもボーナスがもらえるという仕組みです。

実はこのやり方は私が2-30年前に考えていた都市開発手法のやり方で私流の英語ではserial reconstruction(連続再建築)と表現できると思います。ただし、この容積率ボーナス方式だけではマンションの建て替えの手助けにはなりますが、机上のプランにすぎません。更にここに等価交換方式を組み合わせ、その上、81年より前に建てられた旧耐震の物件について一定時期までの建て替えを強要する仕組みを取り入れる必要があります。

なぜかといえば古いマンションは高齢者の一人住まいが多く、立ち退きなんてしてくれません。千葉や埼玉の家族向け物件は容積率ボーナス方式で動く可能性はありますが、これは東京都の話。都心の老朽化マンションの住民の実態が東京都は分かっていません。ただ、これをスタートとして知恵を出したらいいと思います。

二点目の「孤客」消費が止まらない、はおひとり様向けの消費が進化する中で、おひとり様マンションも売れている、という話です。このトレンドも2-30年前からあったもので独身女性が「財テク」の一環でマンションを購入していたものが、晩婚どころか一生独身で、終の棲家になるという笑えない話になってしまいました。

都内の一部では「ストップ少子化」の為にワンルームマンションの建築を抑制していますが、実はワンルームが一番売れやすいのです。これは蓄財する若い女性だけでなく、都内にセカンドハウスを持ち、月から金はそこに住み、週末は実家や郊外の家に帰るという男女の需要が高いものと考えています。

マンションと言えば見栄え。豪華なエントランスに共有スペースからは海が見えるバーやらスポーツジムなどを抱え、コンシェルジュにセキュリティも万全、というのをイメージすると思います。が、実はこういう無駄なスペースや設備ほどカネがかかり、毎月の共益費も爆食いします。

言い換えればもっとスーッとした無駄を省き(no frillと言いましょう)その分を室内でアップグレードし、価格を下げた物件がでれば目を瞑ってでも売れます。一種の「無印良品」のマンション版ですね。

最後の外資ファンドによる日本不動産への積極攻勢は住宅だけではなく商業施設や物流施設も含めての話ですが、近年の不動産を語るなら外国からのマネーがどれだけ入ってくるかが極めて大きな影響力を及ぼします。その中でインフレにならない日本が引き続き低い金利政策を続けると見込めれば海外主要都市に比べバリュエーションで圧倒的に値ごろ感のある日本の不動産に触手を伸ばさないはずはありません。

ただ、前から言っているように不動産、何処でも上がる、というわけではありません。駅からは徒歩10分以内、バス便はダメ、一人暮らし=高級ではなくても、安心、安全のイメージが強いところといったところが狙い目かと思います。大手デベが手掛ける湾岸や郊外の大規模開発は街に「息吹」がなく、お勧めしません。

あとは温暖化を踏まえ、リゾートも再び脚光を浴びてもおかしくないかと思います。毎週でも行けるアクセスの良さがキーポイントだと思います。変な話ですが、外国人が魅力を感じるところは上がります。個人的には富士五湖はいいと思います。

冒頭に「まだら色」と申し上げました。どんなものでも同じ色にはならないという点を踏まえれば案外面白い発見があるのではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。