不動産の売れ筋エリアが変わってきています。かつて世田谷区は高級住宅街のイメージが強かったのですが、最近は世田谷の利便性は悪くはないもののオフィス、新幹線、空港アクセスに便利かと言えばピカイチとは言えません。それゆえ、社長さんなど経営者は港区や渋谷区などより都心により近いタワーマンションを求める傾向が強まっています。

これは人の行動の変化が不動産のし好を変えているとも言えます。ネットが普及し、便利になると同時に情報過多でより忙しくなっている方が圧倒的に多いと思います。電車の中でネットをしている方も多いですが、それで仕事をしている方は少ないでしょう。つまり、経営者にとって移動時間は最小限であることが最大の時間価値向上の方策であります。

少し前の日経に首都圏でドーナツ現象が起きていると指摘されています。ドーナツ状の環状エリアで高齢化が進み、所得水準が下がっている、という記事です。取手、久喜、飯能、青梅が具体的に名が挙がっていますが、それ以外にも多摩ニュータウン、JR横浜線沿線、大船より以遠の湘南方面も同様だと思います。

それらの地域はかつて多くのサラリーマンにとってベットタウンとして戸建て住宅をゲットできたエリアですが、駅から歩けるならまだしもバス便となれば遅い時間にバスはなく、タクシー乗り場は長蛇の列という不便な思いをした方も多かったでしょう。それを子供たちは見続け、何時かはもっと都心に移りたい、という強い願望を持ちます。それが都心や武蔵小杉のタワマンブームに繋がっているとも考えられます。

移動時間をいかに短縮するか、日本はあらゆる工夫を重ねてきました。高速道路網はだいぶ完備し、都心の道路も拡幅が進みます。鉄道網はもはや外国人のみならず、地方から来た人にとっても複雑怪奇なパズルとしか思えない仕組みとなりましたが、知っている人にとってはこれほど便利なものはありません。(例えば新幹線乗り換えは東京駅より品川の方が圧倒的に楽であるとか。)新宿のバスタも使い勝手はいいと思います。

ここ最近、これまでの発想を完全に刷新する手段が生まれようとしています。「空飛ぶタクシー」であります。まだ、どこでも実施はされていませんが、あと5-10年のうちにどこかで始まると思います。ウーバー社はそれを強力に推進する会社ですが、日本はその候補地の一つだそうです。そうすると新宿と横浜が10分で結ばれるそうです。

ところで移動時間が短くなれば人の効率化は改善するのか、という疑問があります。身近な例を出します。タワマンの40階にお住いの方と5階にお住まいの方ではどちらが行動的でしょうか?これは明白に5階という結果が出ます。エレベーターに乗れば数十秒の違いなのですが、人間の心理とは距離に比例して疲労感や行動への抵抗感が生じます。よって高齢者と子供にはタワマンの上層階に住まわせるのはよくないとされます。移動距離に比例する疲労感をビジネスに当てはめると、日本全国どこでも日帰り圏となりつつありますが、作業効率は意外と落ちるのであります。

「移動時間の経済学」を利用者便益の観点で捉えた場合、通勤時間や日中の出先への移動といった日々の行動範囲での時間短縮化は作業効率の改善に大いに効果がありますが、遠隔地への日帰り出張などは出張目的はこなせるものの一日の作業量は案外増えないとも言えそうです。

鉄道ではリニア、飛行機もマッハで飛ぶものの開発競争が熾烈となってきています。バンクーバーと東京の移動時間9時間が半分になれば確かに嬉しいのですが、節約できた4時間半をどう有効に使うかと言えば案外、何の生産性もないまま終わってしまったりしそうな気がします。私がリニア新幹線にさほど魅力を感じていないのはそのあたりなのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。