ビジネスをするにあたり、資産を所有して事業を興す方がいいのか、借りて運営するのが良いのか、と聞けば10中8,9、借りる方がいいに決まっている、と言われるでしょう。何故か、と言えば資金負担は少なくて済むし、そのビジネスがうまくいかなくなった時に撤退を含めて選択肢が多いからです。

また私は何年も前から「アセットライト」という言葉を使い、資産は持つ時代から借りる時代になった、と申し上げています。例えば個人で住宅を買うのが良いのか、借りるのが良いのか、という選択肢の時、将来のライフスタイルや転勤等に臨機応変に対応できるという意味で借りる発想があってもよいと申し上げてきたと思います。このスタンスは今でも変わっていません。

ただ、世の中、全員が借りるということはできません。誰かが所有するがゆえに借りるということができるという背景を考えた時、どちらが良いのか、一考の余地がありそうです。

私がバンクーバーで所有運営するマリーナでは一部のバース(船を停泊させるところ)に25年間の長期リースをオファーしています。その満期は2026年で更新延長はありません。つまり、あと7年強でそれらのリースが私の手元に戻ってきます。その長期リースのバースを私は今、少しずつ顧客から買戻ししています。残存期間を現在価値に引き戻して割引率を掛けた金額を提示しており、だいたいディールは成立しています。

7年後に自動的に戻ってくるのに何故、私はわざわざリースの買戻し等するのか、と言えばこのビジネスには絶対的自信があり、私が早期に買い戻し、運営することでより確実なリターンが期待できるからであります。つまり、人様にはアセットライトなどと言っている半面、私はどんどん資産を買っているのです。

日経ビジネスに星のやリゾートの特集があります。御多分に漏れず同社は基本的にホテルや旅館を所有せず、不動産の所有者から運営委託契約を取り付け、マネージメントで全国規模でビジネス展開しています。理由はホテルは数多ければ多いほど予約システムやサービスの平準化などがしやすくなるためです。

一方、マリーナのようにチェーン展開が極めて難しいビジネスは所有し、運営し、一つの資産から最大限のリターンを得るようにするのが得策である、と考えています。

所有する方がいいのか、購入する方がいいのか、という答えはビジネスに普遍的安定感があるか、市場に変化があってもフレキシブルに対応できる限りにおいて所有するメリットは大きいはずです。例えば銀行が駅前の一等地に不動産を所有して店舗も確保しているのは仮に将来銀行窓口が無くなっても再開発できる応用が効くからであります。

一方、シャッター街となった商店街の中の住宅兼元店舗ほどもったいない使い方はないと思います。なぜか、そういう場所を第三者に貸そうという発想が家主にはほとんどありません。店舗部分と住宅部分が物理的に切れない、人が自分の不動産に入り込むのは嫌だ、と言ったところが理由のようです。これはもったいない話でせっかくの大家業のチャンスをみすみす逃していると言えます。

言い換えれば店舗兼住宅不動産の所有者は不動産の価値を引き出していないとも言え、無駄に資産を持っているとも言えるのです。そんな中、東京都豊島区ではそのシャッターを開けさせるべく政策を実施しており、まだ実例は少ないようですが、その成果に着目しています。

資産価値を最大に引き出す方法はその不動産の活用の仕方を知っていることにキーがあります。例えば前述のように星のやさんにうちの旅館を任せる、というのは自分で経営するよりより確かなリターンを確保できるからでありましょう。

今や大型の不動産、ホテル、商業施設、オフィスビルなどは個人や一企業が持つ時代ではありません。ほとんどがファンドが所有し、第三者に運営委託する形態となっています。理由は運営のノウハウがどんどん難しくなりプロ中のプロでも苦労する時代になったからとも言えます。

日本では相続税対策にアパートを建てた方も多いと思いますが、さほど遠くない将来、アパート経営は素人ではできないような時代、つまり、マネージメント会社が取り仕切る時代がやってくる気がします。不動産屋のオヤジが管理するような昭和のやり方ではもう駄目だ、ということでしょう。

所有する場合にはそれなりの覚悟がいる、これが私が長年不動産事業をやっていて変わりつつある経営を感じることでしょうか?世の中、本当に難しくなったものです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。