それにしても何と申し上げたらよいのかわからない事件が起きたものです。イエメンに拠点を置くフーシ派がドローン10機で隣接のサウジにあるサウジアラムコ社の原油施設を攻撃、サウジの原油生産能力が一気に日量ベースで半減したというものです。

日本での報道は割と小さいものですが、世界的に見れば相当注意しなくてはいけない事件だとみています。

この事件のポイントは多岐にわたります。
1 原油生産能力はいつ回復するのか?
2 原油価格の高騰がガソリンを含めた生活に影響するのか?
3 ドローン攻撃に対する無防備さと今後の防衛の対応
3 サウジはどのような反撃を考えてるのか?
4 アメリカはサウジに加担するのか?あるいは、これを理由にイランを締め上げるのか?
5 これはイスラム圏のスンニ対シーアの問題と片づけられるのか?(世界で明白になる対立軸関係が呼び起されていないか?)

これ以外にもいろいろあるでしょう。これらのポイントの全てを書き綴るわけにはいきませんのでごく簡単にかいつまんで私の見方を述べます。

スンニ派とシーア派の説明はここでは省きますが、要はイスラムの2大宗派でその拠点はスンニ派がサウジ、シーア派がイランと考えてよいと思います。サウジの隣接国、イエメンにあるフーシ派はシーアの過激組織であり、サウジは15年にも軍事介入していますし、フーシ派は今年8月にサウジの天然ガス施設を攻撃しています。サウジとシーア派の敵対関係は歴史的なものでありサウジにシーア派が外堀からにらみを利かせるような状態です。

ではフーシ派はイランとつながっているのか、といえばどうにでも取れます。同じ宗派ですからイランは応援するでしょうけれど加担したかはわかりにくい気はします。アメリカやサウジはそれなりの情報を持っているようですから今後、どのような声明がなされるか注目されますが、イランが一貫して否定することは目に見えています。

サウジはこの後どうするつもりなのでしょうか?今回の被害はかつてないほどであること、犯行声明を出しているフーシ派がもっとやると挑発していることからサウジはフーシを徹底的にたたく可能性はあると思います。それが高じて国交が断交状態のサウジとイランの直接対決になる場合、アメリカがサウジにつくことは目に見えていますのでイランは巻き込まれたくないはずです。とすればトカゲのしっぽ切りもあり得る気がします。

いずれにせよ、今回の問題はバトルの始まりであり、石油施設が1-2週間で回復して、やれやれというレベルではありません。要注意です。

さて、今回の攻撃を「いつものスンニとシーアの戦い」と見るのか、対立軸が生まれれてきた世界の傾向の一つと見るのか着目する価値はあると思います。折しもアメリカはビンラディンの息子を殺害したと発表しました。決して新しい話ではないはずですが、今、それを発表した、そしてその次の日にこのようなことが起きたことは単なる偶然なのでしょうか?(ビンラディンのタリバンとフーシは敵対関係のはずですのでその意味での直接的関係はないと思います。)

折しも世界のあちらこちらで主義主張がぶつかり合う状態となってしまいました。いがみ合う世界です。この件は既に何度か、このブログで書かせていただきましたが、エスカレートする一方で収まる気配はありません。

主義主張を貫くため、新しいタイプの武器を用い、人的被害を出さずに標的を攻撃し、経済的ダメージを図るのはかつての戦争にはないスタイルです。(通常の戦争は相手の軍事施設を狙ったものでした。その点ではNYのWTCの事件も経済ダメージを図った好例でした。)相手をねじ伏せるには殺戮がなくても経済的損失を与えることと着目すればこれはとてつもなく恐ろしいことだと考えるべきでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。