昨日、アメリカ、カナダ、そして日本がそれぞれ金融政策決定会合を開き、三者三様の決定をしました。それぞれの違いを押さえながら日本の金融政策と景気について考えてみたいと思います。

まず決定した内容はアメリカが0.25%bpの利下げ、カナダが現状維持、そして日本も維持ですが、更なる緩和期待を持たせる形となっています。どれも事前予想通りだったのですが、このまだら感はどこから来るのでしょうか?

まず、アメリカについては以前から指摘しているように昨年利上げをし過ぎたため、世界の主要国とのバランスが取れず、また新興国から資金が流出し、かつ、米中貿易戦争で新興国の景気が低迷、利下げが相次ぎ余計にドルが強まるという悪循環をトランプ大統領とFRBがダブル主演で作り出したドラマでした。これを修復するためにトランプ大統領は中国とディールを纏めようとし、FRBは上げ過ぎた金利を正常化させる調整を進めているということかと思います。

ではこの先はどうなのか、昨日のパウエル議長の発言からは明白なコメントはなかったのですが、調整は進んだのでここから先は景気とのにらめっこ、というふうに理解できます。個人的にはまだ緩和トレンドは続くと思いますが、米中の間でミニ合意でもあればそれはプラス材料ですから現状維持のスタンスを強く意識するでしょう。一方で大統領選になれば国民に餅をまくので緩和バイアスは続くと思います。

次にカナダですが、もともとこの国の政策はアメリカと抱き合わせという感じでした。ところがカナダの経済はぱっとはしないものの底堅い動きで雇用も悪くなく、今後もしっかりと推移していくとみられており、利下げはなさそうだとみていました。TPP11の効果もあるし、流入する経済移民のもたらす経済効果もあります。アメリカとの物価ギャップからアメリカの業務をカナダで請け負うということもあります。かつてに比べて比較的独立独歩というスタンスを感じます。

さて最後に日本ですが、黒田総裁がフォワードガイダンスを弱気にしたうえで「緩和方向をより意識して政策運営するスタンスをより明確にした」(日経)と述べています。日本の金融政策についてはさまざまな意見があり、黒田総裁の「緩和方法はいろいろある」という言葉をそのまま鵜呑みにする専門家は少なく、手法は極めて限られると見られています。(手品のような手法があったとしてもそれが正しいのか、市場テストが出来ていないわけでそこまでリスクを冒すべきかという話です。)

黒田総裁が期待している物価水準に全然到達できないのは日本経済のファンダメンタルズの問題であって地殻変動を起こしている中で金融政策だけでそれを持ち直させるという夢を追っているようにしか思えません。本気で物価を上げたいなら政府と合作の相当の力技と漢方薬のように根本的で時間をかけた治療を行う必要があります。

が、政府も金融政策を任せっぱなしにしている(日銀の独立性を重視しすぎている)ためにさっぱり歯車が合わない、というのが私の見立てです。2013年のアベノミクスとバズーカ砲は成果はともかくも両輪だったと思います。今、政府から長期的観点からの景気対策が出てきません。辞任が相次ぐ今の閣僚ではできないということなのでしょう。

日本経済は真綿で首を絞められているようなもので長期低落方向は変わらないとみています。私の考える根本的な理由は「人」です。今の20-40代の方は昔、日本経済を引き上げてきた諸先輩方とまるで別人のようにすら感じます。良い悪いは別にして、価値観も人生観も相当違います。このギャップが埋められない、これが正直な日本の現状であり、黒田総裁がどれだけ努力しても空回りが続くのであります。

移民を通じて経済がある程度循環しやすい北米に対して人口や構造問題といった国家の根幹にかかわる事象が経済活動に影響している日本は金融政策という一筋縄ではなかなかうまくいかないということなのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。