外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

日本経済

不仲は不利な者を奮い立たせる4

覚えている方も多いでしょう。尖閣問題を端に日中関係が悪化した際、中国はレアアースの事実上の輸出規制をしました。その際、自動車業界に多大な影響が出ると大騒ぎしたのが2010年でした。それから2年後の産経新聞の一説にこうあります。

「安価な中国産レアアースに頼り切っていた日本の産業界だったが、2年前のチャイナリスクへの反省から足腰を鍛えた。対中依存度を引き下げようと日本企業は、レアアースを使わない製品やレアアースのリサイクル技術を続々と開発した。この結果、中国の対日レアアース輸出量は11年に前年比34%減となり、今年も大幅な減少傾向にある。日本企業も『やればできる』ことを証明した」。

1970年代、二度の石油ショックで大打撃を受けた日本経済。その時の反省は原油の供給元を複数抱える、ということでした。その石油ショック後中東依存比率を一時は68%程度まで引き下げたこともあります。一方、影響をもろに受けた電力会社はその発電方法を様々な種類にすることで何かあった時にすぐに対応できるようにしました。英語ではfail-safeと言います。適当な日本語が思いつかないのですが、「失敗した時の対応」とでも訳すのでしょうか?

人間、追い込まれたらやり返すという方法もありますが、対策を立てるという賢明な手段を選ぶようになってきました。政府レベルでは対抗措置になる場合も多いのですが、企業ベースになると国際化が進む中で敵を作らないようにしたいというのが本音です。そのためには相手を刺激せず、問題解決をするというのは今ではごく当たり前になってきたと言えるでしょう。

日本が半導体材料を韓国に対して包括処理から通常手続きに引き戻したことに端を発した韓国側の常軌を逸した行動にはただただびっくりしていますが、それらで本当に影響を受けるであろう韓国企業の声はほとんど聞こえてきていないことにお気づきでしょうか?

つまり、大騒ぎしているのは周りだけで肝心な韓国企業はその解決策を必死に探すという対策に出たわけです。日経が報じたようにサムソンはベルギーの会社から調達手段を見つけたようです。その会社は日本のJSR(旧日本合成ゴム)とベルギーの研究所が設立した合弁会社ではないか、と見られています。なるほど、そういう迂回手段は政府のコントロールから外れます。それ以外にも品質は劣るが中国企業からも調達か、と報じるところもあるし、経産省は「通常手続きを経て輸出承認が出たケースもある」と発表しました。時間と共にいろいろな「対策、対応」が出てきたわけです。

圧倒的シェアを持つ企業の弱みとはそれ以上シェアを増やせないことになります。こう考える人は少ないと思いますが、チャレンジとか成長、目標という点に於いてシェアが100%とかそれに近い企業ほどその分野での伸びしろが少ないともいえるのです。これは逆に言えば今回のような政治的問題が起きると業界地図を書き換えることすら起こりうると考えています。普通は「シェア100%だから」とか「圧倒的な品質だから負けない」という強気姿勢が継続する前提があると考えますが、ビジネスをする者からすればそんなものは長く続かないし、守るのは大変と考えています。

冒頭のレアアースの件は今でも中国に頼っているものの着実にFail Safeの準備は進んでいます。今でももちろん進んでいます。一方の中国は日本が韓国に取ったような「レアアースの輸出管理の厳格化」を再び講じる可能性があるとしてされています。中国は日韓問題の行方を見守っているものと思われますが、日本がそれに成功したと確信を持てた時、中国をはじめ他国は日本のやり方を見習う可能性は大いにあるかもしれません。ただ、その副作用というリスクには気をつけるべきかと思います。

タイトルにある「不仲は不利なものを奮い立たせる」というのは企業だけではありません。北朝鮮を奮い立たせたことも当てはまるでしょう。規制に次ぐ規制をして苦しくてたまらないからロケットを打ち上げ、注目を浴び、トランプ大統領と3度も会うという「功績」を挙げたのはまさに金正恩委員長を奮い立たせたから、ともいえるでしょう。

人間、追い込まれると120%の力を発揮すると言います。我々は今、追い込まれていないのか、もっと力を発揮できないか、自分自身を見直す機会でもありそうです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

日本の不動産市場に漂う不安感4

日本の不動産に黄色信号が灯っているのではないか、という見方がぽつぽつ出てきています。これは日本だけではなく世界中の話で日本独特の事情ではないのですが、不動産マーケットはどうしてもドメスティックなイメージが付いて回るので判断を見誤るときがあります。すこし、グローバルな観点から考えてみましょう。

日本の不動産を支えるのは一般個人の住宅需、法人需要、および外国からの投資の三種類のセグメントがあると考えています。これをもう少し違った切り口で見ると居住地としての実需と賃料収入からリターン(利回り)を考えた需要に分けられます。

まず一般個人の住宅需要については当然ながら実需となります。その代表的指標の一つに初月契約率というのがあり、70%が好不調の判断ポイントとされます。それが2018年度の首都圏のそれはわずか62.1%で27年ぶりの低い水準で終わっています。理由はマンション価格の高騰で手が出るはずだったあの物件もこの物件も2割、3割と値上がりしている、という事態に購入予定者が首都圏から外れてしまったことがひとつ、あります。結果として都心からかなり離れてでも駅近で妥協ということが起きています。そこで厚木あたりですら億ションが出ているのです。

もともと人口減で総需要は下落の一途。さらに派遣の方などが住宅ローンをアレンジしにくいということも手伝って「結婚して、子供作って、家買って…」という標準的ライフパタンが崩れています。他方、高齢者で駅から遠い地域にお住まいの方が駅近のマンションに引っ越したいという需要はあります。便利さ、老後の人生をより楽しむため、セキュリティなどその理由は多く、結果としてマンションの一定の需要はあると思いますが、中期的には相当減るとみています。

首都圏において新築戸数は2000年代が年7-8万戸、2018年が37000戸、多分ですが、2030年には20000戸水準になるかもしれません。代わって中古住宅が脚光を浴びる可能性は高いと思います。

ではもう一つのリターン(利回り)をベースにした需要です。こちらはどれだけ人が集積し、一定の不動産からどれだけの売り上げや収益が見込めるか、という数字に基づいて計算します。例えば外国人が多く集まるエリアの不動産収益率は極めて高く、家賃も高く取れます。観光地としては東京より大阪、京都の一部地域の方が熱いかもしれません。ただ東京は都市としての成長性があり、そこに人が集まるからお金も落ちる、だから不動産価値も維持される、ということになります。

利回りは不動産投資家にとって最重要指標。また東京不動産市場は巨大で売買が容易、外国人規制もほとんどなく、誰でも参入できるところでより健全な価格体系が形成されているとみています。ターミナル駅を中心に官が主導や支援する開発も多く、次なる大規模開発地候補を探す動きが出てくると思います。ここには投資マネーが大挙して入りやすく、収益だけを支えとする不動産投資ファンドも参入しやすいというメリットがあります。ここがグローバルな観点です。

ただ、個別エリアでは渋谷再開発についてはさほど評価していません。土地そのものに開発限界があります。新宿周辺はまだいけます。とくに代々木は昔予備校の街として知られていましたが、今は完全な下火でつまらない駅になってしまいました。ここは再開発を仕掛けるべきでしょう。山手線内の大穴です。渋谷が早晩限界になるので第二のITタウンとして生育させる基本素地はあります。新大久保は開発が始まっているので少しずつ様相が変わるはずです。

日本の不動産全体を俯瞰すると一部地方ではブームが起きているところもありますが、外国人投資家の動向はある日突然、手のひらを反すようなこともあるのであまり期待しすぎない方がいいと思います。東京、大阪、名古屋、京都、福岡、このあたりが私が安定しているだろうと思うエリアです。横浜は人は多いけれど不動産の魅力としてはやや違和感がある思います。

またその中でも価格が上がるエリアは駅近で遠くても徒歩10分以内(できれば6-7分がベター)です。それ以外は50年後に耕作放棄地ならぬ空き家住宅街が生まれる可能性はあり得ます。道路一つ隔てただけでまるで価値が違う絵面もありそうです。

まだら色、これが将来の日本の不動産を占うひとでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

安田純平さんの記者会見の生放送をちらっと見ました。思ったよりつまらない内容だったのは結局、本人は何も知らなかったに尽きるのでしょう。安田氏は「紛争地取材は必要!」と強調されたものの取材の在り方が問われたのが今回の事件ではないでしょうか?フリーの記者が表面をなぞるような記事ではなく、現地で根を張るぐらいの気構えがある記者こそ意味があると感じました。

さて今週のつぶやきです。

やっぱり「市場は市場に聞け」です
先週、「こういう荒れた時は予想もできない」と呟いたのですが、今週は見事に反転しました。東京は1200ポイント、ダウも1200ポイント、上海は150ポイント程度戻し、戻し幅はだいたい5-6%となっています。東京市場に限って言えば個人の信用の追証が相当出て大処分市になっていました。一方で、売り飽きも見られたため、売り方の買戻しも含め、大きく上昇したとみています。

材料面から見るとまず、注目されていたアメリカの10月度雇用統計は250千人増で極めて順調、賃金が前年比3.2%上昇と近年の最高レベルになっています。(これは利上げ観測になるので株価には今は悪い効果になります。)昨日のトランプ/習近平電話会談で一定の進展があったことも見逃せません。トランプ大統領は事務方に貿易合意の草案作成を指示したとも伝えられ、今月のG20で本件決着も視野に入ります。(当局はこれを否定しています。)

企業決算についてはアメリカはハイテク関係が押しなべて期待を裏切り、今日はアップルが悪役となっています。今日は遂に時価総額は1兆ドルを割りました。ただ、アマゾンの時もそうでしたがアナリストの勝手予想に権威付けをすること自体が間違っていると思います。日本企業の決算はまちまちで思って以上にムラが出ています。

こちらの市場を見ている限り、「悪夢の10月が終わった!仕切り直しだ!」という雰囲気でありますが市場の予想はまだしません。嵐はそう簡単に過ぎ去りません。

アメリカ中間選挙は女性パワーがキー
セクハラ問題花盛りのアメリカで今回の中間選挙のカギを握るのは女性となりそうです。

アンドロイドを作った元幹部がグーグルをセクハラで退社した際、退職金110億円をもらったとの報道に同社社員が各地でストライキを行いました。ストは非常に珍しいと思います。しかし、アメリカのセクハラに対する抗議のボイスは尋常ではなく、これが中間選挙をひっくり返す原動力になっている気がします。

共和党が不利とされるその理由の一つはカバナー最高裁判事への不満が女性の立候補者とその支援を強固に推し進めたといってよいと思います。特に民主党からは女性候補が多く、共和党の地盤を軟弱なものにしています。

私はどちらを味方するわけでもないですが、中には「手を握ったこと」をセクハラと訴えるケースもあるというのですからハグ(抱き合うこと)が当たり前のアメリカで「もう異性は嫌だ」という人も増えてくるかもしれません。ねじれるのは議会ではなくアメリカの男女社会でしょう。

単純労働受け入れと移民政策
カナダで今週、移民受け入れ数を今後年35万人ペースに引き上げると発表がありました。これは人口の1%となります。日本なら年120万人規模です。その大半が経済移民と称する分野で一定の教育水準、語学能力を持ったうえでカナダが必要とする技能/技術を持った人を移民として受け入れるというものです。世界からいいところ取りをしているといってよいでしょう。それゆえにこの国は安定感が高いのであります。

一方の日本。入管改正法案を閣議決定し、単純労働を受け入れることになりそうです。野党から「移民政策ではないか?」と質問が飛んでいるようですが、これは移民ではありません。それに以前から指摘しているように日本永住は日本政府の目標に達してないほど人気がない国です。(だいたい2-3万人/年です。)

あるニュースのヘッドラインに「移民流入 日本4位に」とあったので読んでみると移民ではなく「移住者」で適正ビザを取得して90日以上滞在する人の数であります。移民とは一般には永住権のことを言いますのでとにかく日本では根本部分からしてメディアも理解していないのであります。

ほぼ単一民族の日本は外国人にとって住みにくい国であります。カナダのように多文化国家は心地いいです。アメリカのように移民国家と言いながらアメリカ色を押し付けられるわけでもない点でも違うのであります。

労働者が不足して企業の不正が起きること、日本人の賃金上昇をさせること、消費を伸ばすことを考えれば今回の受け入れは反対の声が多いのもわかりますが、やむを得ないでしょう。 

後記
スポーツの秋だけあって様々な大会の結果も入って来ます。世界で戦う選手たちはいいところまで行くけれどトップが取れない状況にあります。野球は日本シリーズ、日曜日は全日本大学駅伝で青山、東洋、東海のデッドヒートが期待されます。が、見るばかりではなく、自分でやるのも大事です。お父さん、ビールばかり飲んでいないで少し歩きましょう!

では今日はこのぐらいで。

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銀行のすみわけ4

そこそこの規模の公共工事は大手ゼネコンと地域の建設会社の共同企業体を組みことが多くなっています。この共同企業体のことを最近では「地域維持型建設共同企業体」と舌を噛みそうな名前の形態に変えたようですが、結局は地元建設会社の経験と体力養成と考えられています。逆にゼネコンは技術力や資金力、資材調達力はあるものの協力業者を集めるとなるとすべての県にあらゆる業種の建設業者とアクセスがあるわけではありません。つまり、ある程度はウィンウィンの関係が築けるわけです。(私がゼネコンにいた時はそんな理想的発想ではなかったですが。)

銀行でも地方に行けば聞いたことがない地銀、第二地銀、信金、信用組合などが幅を利かせています。一方、若い人は全国どこでも使えるキャッシュカードが欲しいのでメガバンクに口座を持つ方も多いでしょう。これも使い分けです。

今、地方銀行の在り方にスポットライトが当たっています。今更、とも思いますが、不祥事が何度か続いたこともあり、この先どうするのか、ということが真剣に取りざたされ始めたのでしょう。

日経によると、銀行が国境をまたいだ融資をしている規模について米銀が2.8兆ドル、ドイツの銀行勢が2.2兆ドルに減りつつあるのに対して邦銀は3.7兆ドルと成長し続けています。この場合の邦銀とはメガバンクが主体で国内銀行ともシンジケーションを組んでいるものもあると思いますが、日本のメガバンクが世界の金融市場で圧倒的な存在感を見せているとも言えます。

一方、3メガバンクは行員を中長期的に減らす方針を示しており、三菱UFJ(カナダでも呼称がMUFGに変わりましたが、センスがない4文字英語なので覚えられません!Fを抜いてMUG(マグ)にすればよかったのに、と思います)においては駅前の銀行所有不動産を三菱地所と提携して開発することにしました。この提案は私がこのブログで何年も前から指摘してきたのですが、ようやく実現のようです。まさに大手銀行業務のスローネスとも言えますが、まぁ、いいでしょう。

私が見立てているのはゼネコンとローカル建設会社との関係のようにメガバンクと地銀の連携関係を結んだらどうか、と思うのです。例えば銀行の勘定系システム開発には莫大な資金がかかるので地銀や信用金庫ではもう無理でしょう。ならば、メガバンクでもっているシステムに同居させてもらったらどうでしょうか?あるいは融資の審査については能力がまばらな地銀にやらせずにメガバンクのシステムを共有させてもらうという発想もあります。

更には人材交流もあるでしょう。地銀の人がメガバンクに出向したり、メガバンクが日本全国の第二地銀以下の金融機関とグループ化し、業務のすみわけを行うのであります。

銀行の役目は何か、といえば私は商社と同様、情報がすべてだと思うのです。その集まった情報をビックデータとして蓄積し、ビジネスに役立てていくという方策は今後重要になるはずです。もちろん、地銀の発祥が「地元の銀行家」としての創業者意識が強いところも多いので資本提携まで進むかはどうか分かりませんが、業務提携までは進めるのではないかと思います。

地銀をなくすわけにはいかない、でもこのままほっておくわけにもいかない、という関係を考えると私のこの案はバラ色のウィンウィンを言われそうですが、まんざらでもないご提案です。

では今日はこのぐらいで。

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株高と高所恐怖症

大発会の昨日は日経平均が蝶のように舞いました。今年一年の景気を占ってくれるのであれば申し分ありません。

昨日の東京市場を見ると日経平均は741円高で23500円の大台に乗せてきました。うち、東証第一部の騰落数は上昇が1778銘柄、下落が246銘柄と思ったほど全面高になっていない点に注目しています。つまり、打ち上げ花火というより我慢していた買いが出てきた感じで何が何でも株を買う、というスタイルにはなっていません。もっともたった1日の立ち合いでどうこう言える話でもないのでこれは頭の片隅にとどめておく程度にしておきましょう。

私は今年は日経平均3万円とぶち上げています。日経によると専門家の今年の予想は強気筋でも26000-27000円程度ですが一部には3万円の呼び声もあるとはコメントされていました。(私と同じような強気派がいらっしゃるのでしょう。)

ちなみに昨日で東証一部の時価総額は700兆円を超え、バブルの時より2割多いとのことであります。単純に考えれば時価総額が増えている=株価や株価指数も応分の水準にあるべき、というシナリオが成り立ちそうですが、この違いは上場会社数が1990年時の1191社に対して2017年で3537社程度と3倍に増えていることが理由でしょうか?それにしても日経平均採用銘柄の株価が1989年のピークを越えられないのも摩訶不思議な気がします。

言い換えれば指標とはどのグループの数字をどう集め、それを補正するかでどんな統計や指標でも作られるのですから本当の姿を知りたければbareの数字(むき出しの数字)、つまり個別銘柄や業種別単純比較から見ていくしかないのでしょう。

そんな中で金融株をみると三菱UFJと三井住友あたりがようやく動き出した感じがします。個人的なざっくりした思いですが、たとえば三菱UFJの実力が昨日現在の850円弱というのは不思議なもので4桁の実力は当然あるべき銀行であります。

またみずほは200円絡みを延々と繰り返していますが、ディーリング相場のおもちゃとなっている感があります。昨日もみずほは出来高が2億株を超えていますが値動き刻みを10銭単位にしてしまった弊害を一番受けている銘柄とも言えます。たかだか200円の株式で10銭値幅というのは北米水準で行けば2ドルの株が1セントの1/10単位で動くというものです。これはいかにも細かすぎるわけで東証はさっさと10銭値幅をやめるべきでしょう。

さて、この金融緩和相場で売って売りまくったのが個人投資家。そしてその多くは高齢者。12月第三週の売買動向でも個人が売って海外投資家がその分を買うという構図は変わりません。いわゆる「やれやれ売り」とされるもので漬かりすぎて酸っぱくなったような「古株」を現金化するということでしょう。

個人的にはこんなのは健全な投資ではないと考えています。日本経済をみて、産業をみて、企業をみて将来に投資するというマネーの教育を誰もやってこなかったしっぺ返しそのものであります。それこそ証券会社は売買のツールを充実させ、アナリティカルでテクニカルな世界へと導いてくれますが「投資」そのものの意義をきちんとボイスアウトしていません。かつては4大証券が個人投資家向けにそれなりにアプローチしていたのに顧客対象として儲からないせいか、個人投資向けで野村、大和などという名前はまずもって聞くことがなくなりました。寂しい限りです。

ところで、株価の高所恐怖症ですが、多くの方は「(この銘柄が)そんなに高いわけない」と思いこんでしまっているきらいはあるかもしれません。一つには日本が少子高齢化でインフレにもならず、将来のビジョンが捉えにくい中、「企業がどうやって生き抜いていくのだろう」と思っているからかもしれません。

ところが企業活動に国境はありません。多くの会社は海外に拠点を持ち、投資し、利益を生み出しています。にもかかわらず、例えば、みずほの株価は200円だ、という固定観念が出来てしまっていて210円になったら5%上がったので売る、という世界に陥ってしまうのだろうと思います。

株価とは現在の実力を表す場合と将来の期待を買う場合があります。日本の株価はあまりにも現実的で論理的過ぎます。一株利益の何倍まで買われているという指標を日本では好んで使いますが、これは今日時点での会社の実力であって将来性は反映されていません。

例えば日本の銀行が大リストラを始めましたが私の描く像は駅前のあの銀行が「共同銀行」になっているシーンです。つまりどの銀行の口座所有者も通常サービスはそこで処理できるという世界であります。銀行業務は差がないビジネスの典型ですから奇妙な差別化をするよりさっさと店舗部分は共同運営にしてよいのではないでしょうか?そうすれば銀行の株価なんて倍増です。

テンバガー(ten bagger)という言葉があります。10倍になる株のことを言います。語源は野球のホームランはベースを4つ進むのでfour bagger というのにちなんで10駒進む=10倍になるという意味になっています。こんなお宝、また発掘できるはずです。ビットコインの発掘よりもう少し効率的だと私は思いますが。

では今日はこのぐらいで。

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インフレがやってくる!?4

エープリールフールじゃあるまいし、「インフレがやってくる!?」などといってもオオカミ少年だと思われるかもしれません。しかし、それはある日突然やってくる、に近い状況にあるように見えます。

日本のインフレ率。生鮮食品を除く総合でみると10月27日発表の9月度の数字が0.7%です。6月が0.4%、7月が0.5%、8月が0.7%ですので足元では着実に上昇しているのがわかります。また、2015年9月が0.5%、16年9月がマイナス0.3%だったことを考えても上向き基調とみてよいかと思います。

ではそれを支える収入はどうかと言えば2018年春闘に向けて連合は5年連続のベア(ベースアップ)を要求する見込みでその幅は2%程度を目指しているようです。トヨタ労連も同様のベアで要求するスタンスを示しています。

ご記憶にある方もいらっしゃると思いますが、安倍政権になったばかりの頃、首相が賃上げを経済団体に訴えた際、企業側は景気の良しあしで支給総額を変えらえる賞与による支払いを主体としました。これは企業側が景気回復の足取りを信用していなかったからです。ところが労組がベアが基準と言い始めたということは企業業績が明らかに安定的に好転していると考えてよいと思います。それは9月までの半期決算が各社好調で株高を演じたことでも裏付けられるでしょう。

一方、雇用を見ると10月末に発表された9月分の雇用統計では失業率は2.8%と歴史的水準を維持しています。注目されるのは女性と高齢者の就労が高まっている点です。対前年同月比でみると生産年齢層の男子が0.3%の増に対して女性は1.3%増、65歳以上の高齢者は1.2%増(特に男性は1.8%増)と際立って高いのが目につきます。これは生産年齢の男性の就業率が83%を超え、統計的にはほ一杯と考えられ、企業が猫の手も借りたい状況になっていることが浮き彫りになっています。

言い換えれば、世帯収入においてかつて収入源は主人の一本勝負だったものが奥様やリタイア年齢層の父母などに広がっており、懐では実質的にはかなり余力が出来ている可能性が高いのであります。

一方、物価に関してみるとここにきて資源価格が復調にあり、原油価格は50ドル台後半まで上がっており、サウジの動向次第で今後も一定の上昇が見込まれます。また、欧米が金融緩和策から引き締め策に転じており、日本との金利差から円が売られやすい局面が目立ってきました。このため、輸入物価が更に上昇しそうです。

もう一つの問題は商社の「買い負け」現象であります。これは海外での食材などの買い付けに於いて日本が必要量を想定価格で調達できず、中国に敗退するケースがより目立つリスクであります。これは中国の中流層が急速に増えており、消費の多様化が進む結果、食材などが圧倒的に不足するためです。

これに対抗するには仕入れ価格設定を変えない訳にはいかず、結果として材料費の急速な上昇が発生しやすいのであります。一般的に比較される物価指数は生鮮品が除外されますが、懐という点ではエネルギーと食品を含めた総合指数でみるべきです。こちらも9月は0.7%上昇ですが、個人的にはさほど遠くないうちに1%を超えてもおかしくないとみています。

日本の場合、「後に続け現象」が強く出る為、企業が小売価格や定価改定を行い始めると一気にそれが水平展開する傾向があります。私は来年春の価格改定がキーになるとみています。

私が株価に対して強気姿勢を示しているのは景色が変わる点と申し上げました。日経平均が3万円、インフレ率が3%、不動産の上昇率が3%というトリプルスリーが私の来年の10大予想の一つに挙がると思います。

そんな馬鹿な、と思われるでしょう。しかし、それは誰も想像出来ないところからやってくるものではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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今はバブルなんかじゃない4

この数年、静かな話題になっているのが大阪府立登美丘高校ダンス部の「バブリーダンス」。荻野目洋子さんの曲を中心にしたダンスですが、一度見たら絶対に忘れられないキレキレダンスと異様な姿にバブルのイメージとはこんなものだったかと思わず振り返らざるにはいられません。(YouTubeですぐに検索できます)

なぜ、今頃バブリーダンスかと言えばこの高校生たちのご両親はバブルを経験しているギリギリ世代で子供たちに「あの頃は…」という話を言って聞かせたからでしょうか?最近、20代前半ぐらいの方たちとバブル時代の話をしていたら「タクシーって1万円札ひらひらさせないと乗れなかったんですよね。」というので思わず「私は六本木交差点で1000円札しか出さなかったけどタクシーの運転手は目ざとくそれをめがけて止まってくれた」と訂正しています。いつの間にかバブルが10倍になっていてこれぞ本当のバブル話です。

さて、バブル経済は何だったのか、と小難しいことは抜きにしますが一言でいえば資産価値が本来あるべき価格からかけ離れた時、バブルと称するということです。資産の価値ですからそれこそ、オランダのチューリップが元祖バブル、日本では80年代の不動産と株バブル、今世紀初頭には日米などでITバブル、アメリカの住宅バブルは2006年にピークをつけました。

いま、世界株高で不動産も日本以外は狂ったような価格になっていますが、バブルなのでしょうか?私はバブルになっていないと考えています。

「日経スタイル」のマネー欄に一橋大学大学院藤田勉教授が「バブルは10年に1度 歴史が語る崩壊の予兆」という記事を掲載していました。教授はバブルは大体10年に一度やってくるから気をつけなさい、という趣旨で、現状にあまり踊りすぎないようにとの戒め記事であります。ただ、その教授も日経平均は3万円を目指すだろうと締めくくていますが。

その記事の中で「崩壊しないバブルはない」と指摘しています。これは裏付けのないものは必ず壊れるという趣旨であります。永遠の右肩上がりはない、とも一般には言われます。

実は下の表はバンクーバーの不動産価格の歴史的推移です(Vancouver Real Estate Boardより)。ご覧いただけますように概ね1986年の万博を機に当地の不動産価格は上昇を続け、何度となく「もうこれで終わり」「崩壊する」と叫ばれましたが一向に崩壊しません。

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この表を見ると近年の上げ率が急上昇しているから危ないだろうと思われると思いますが、対数のチャートに落とすとそうでもないことが分かるはずです。既に30年近く右肩上がりを描くバンクーバーの不動産は藤田教授の定義からすればバブルではありません。何故なら崩壊していないからです。

つまり、実態からかけ離れているのかどうか、これを判断することがバブルか否かのポイントではないかと思うわけです。そして日本とアメリカのバブルの際の共通点は「女も子供も踊り狂った」ということであります。言葉に語弊はありますが、誰でも簡単に儲けられることができた一方で価格はロシアンルーレット状態にあったということかと思います。

現在の日本の株価はPERでみれば15倍程度です。これはアメリカと比べてまだ低く、株価の尺度としては許容範囲です。これはどう読むかと言えばPER15倍=利回り6.7%と計算できますが(1÷15)、これは市中の金利に比べて投資リスクを考えても許容できるか、という比較であります。PERが20倍とは利回り5.0%ですからこれは株式ではかなりリスクが高い一方、不動産ならキャップレート=利回り3%台も多い欧米の優良物件は不動産リスクをかなり低く見積もっているということになります。

日本ではちょっとしたアパートを売買しようとすればいまだ利回り6-7%と不動産屋に囁かれます。売る方はとんでもなく安値となり、買う方はウハウハであります。私が世界水準と比べて日本の不動産は激安と申し上げているのは不動産屋の基準がバブル崩壊後にマインドも崩壊していると申し上げておきます。

さて、日本がバブルではないのは20年にも及ぶ失われた時代に資産価値も失われた為にその修正のサイクルに入っているだけ、ということであります。そのうち、ゴルフ場や絵画も値上がりしてくるはずですが、ある程度は許容できるはずです。それはこれぐらいで崩壊するほど日本経済は柔ではないからです。

むしろバブル世代の人たちがリタイアし、ようやく新しい世代が日本を引っ張っていくようになりました。これはしがらみが取れたとも言えます。今は新興企業に勢いがありますが、大手企業も気づきがはいり、大きく経営転換するはずです。そうすれば日本はしばし繁栄の時を迎えられるとみています。

バブルかどうかのメジャメントはバブルを経験した人たちが作っています。今はそれを知らない若者たちが引っ張る時代です。それは登美丘高校のバブルダンスがバブルを知っている私から見たらなんか違うと思うように同じ道を辿ってはいないとも言えます。日本の景気は季節感覚でいえば今ようやく春めいてきた、というところに位置していると思っております。

では今日はこのぐらいで。

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