外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

不動産

WeWorkにみる不動産市場の秋風4

北米は下がったと言えども高い不動産価格を維持してきました。その理由の一つは低い金利を背景に巨額の資金の調達が可能だったからでしょう。過去形にしたのは明らかに不動産向け資金調達マーケットは変わってきているように感じます。

私も所属する不動産開発事業者向けに特化した融資のシンジケート団。持ち込まれる案件に対して自分が相乗りして融資団に入るか目論見書から判断します。このところ、案件が増えているのですが、私は全部スキップさせてもらっています。理由は裏腹なのですが、利率が高すぎるのです。概ね年利が10-12%といった数字が提示されています。これは銀行が不動産開発の初期では融資をしないため、土地を取得し、許認可を取り、着工前販売を行い、ある程度の成果が出て銀行が融資を付けるまでをつなぐブリッジファイナンスが必要でこの手の資金はこのような特殊なシンジケートローンから調達します。私はこのリスクが大きいと判断しているのです。

年利10%以上の金利を払うことを続けられるのは物理的に3-4年であることは不動産専門家でなくても明らかです。私もかつて一部資金を12%で借りたことがありますが、借入期間は3年がマックスと言い聞かせ、必死でした。幸い2年で完済できました。

バンクーバーの街中にはすでに開発が止まっている集合住宅物件が出ています。建築途中で現場が放置されているところもあります。新規開発案件は山のようにありますが、目先、実際に動くのは数えるほどしかないとみており、むしろ集合住宅市場には需給の悪化を防ぐ良好な傾向なのかもしれません。

ところが商業不動産となるとこれは全く別の生き物であります。なぜオフィスビルが林立するのか考えたことがありますか?私にはさっぱりわからないのです。28年前にバンクーバーに来た時からずっと不思議に思っていることは会社にとってオフィス賃料は何も生み出さない固定費のようなものだと。会計士や弁護士事務所に行くと一等地の高級ビルに入居し、広々とした受付、品の良い受付嬢が恭しく対応することに何ら価値観を感じることはありませんでした。

事実、IT化が進む中で人は事務職はバッサリ切られ、必要とされる事務所スペースは減っているわけでそれ以上に事務所ビルが必要だとすれば経済全体が伸びていて企業数が増えているなどの理由があるはずです。アジアの都市ならともかく、北米が果たしてそうなのか、疑問なのです。

ところがその疑問を埋めてくれたのがシェアオフィスの会社であります。英国育ちのリージャスが先鞭をつけ、WeWorkが猛烈な勢いで後追いしているのです。いや、もうすでに抜き去っているでしょう。リージャスもWeWorkもシェアオフィスにいくつかのタイプがあります。私どもの会社はいわゆる中が見えない普通の個室タイプに入居しています。それ以外にWeWorkなどではガラス張りの個室、あるいはテーブル一つ借りるのもあるし、場所をアサインされないコーワーキングスペースもあります。

北米主要都市ではこのシェアオフィス需要が席巻しオフィスビルの空きフロアをごっそり埋めてくれているのですが、私から言わせれば「流行以外の何物でもない」とみています。つまり、以前も指摘しましたが、このビジネスモデルは消えませんが、コアの需要はもっと浅くて今より2-3割減るべきと見ています。

先日打ち合わせで行ったあるWeWorkのオフィス。私ですら衝撃でした。ちょっと宣伝風に表現すると「ガラス張りだから居眠りしちゃだめだぞ。ファッションに気を遣い、格好よく仕事をしようか?ディバイスは最新のものかな?紙の書類は環境にもよくないから全てコンピューターのクラウドの中さ。帰宅の際には机の上には何も置かないで貴重品は必ず持ち帰ろう。我々は一切責任を負わない。スマホトークは他の皆さんに迷惑になるから専用に作られた電話ボックスの中で話そうか。共有部分はシェアオフィスの売りどころ。ライバルには負けない拡充感でコーヒーやリフレッシュメントだけではなく、月替わりの人気クラフトビールのサーバーはだってあるぞ。これ無料で飲めるのだ。これで机一つ借りて月600ドル(5万円)は安いと思わないか!」。私は孫正義さんに読んでもらいたいです。

そこにいる人はほとんどが20-30代と思しき若者。ほとんどが一人仕事。つまり、自営業であります。コーポレーション(会社)じゃないのです。一人仕事でどんな生産性があるのでしょうか?ネットを介したサービス業が大半でしょう。なぜ、会社に入らない、といえば北米ですら企業マインドの中に自分を溶け込ませることが難しくなった若者たち、ということかと思います。

フィナンシャルタイムズにはNYでのWeWorkブームは去りつつあるとあります。WeWorkで奮闘する一人起業家たちはGAFAの波を受けた派生事業に大挙して向かい、レッドオーシャン化した市場でファッション感覚で仕事をするのです。先日、私のブログでWeWorkは金融緩和マネーのバブルの申し子的になりやしないか的なことを書きました。個人的にはその思いをより強くしています。事務所ビルの所有者達にはWeWorkにはもうスペースを貸さないという風が吹き始めています。

不動産市場に吹く秋風はちょっと冷たいようです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

不動産は邪魔者? 崩れる日本の不動産神話4

このブログを何年もお読みの方はお気づきだろうと思いますが、不動産事業を生業としている者として海外から日本を見ていると、日本でマンションを購入し、重いローン負担をし、そのうえ、転勤になってもマンションは担いで持っていけるわけでもなく、否応なしの単身赴任で生活費は余計にかかるという全く間尺に合わないことをなぜ25年ものローンを組んで購入したいのか、いつも疑問に思っています。

マンションを買いたい人の理由が「退職後には住むところぐらい」という発想だと思います。仮に30代でマンションを購入した場合、30年後の60代後半にはローンこそ終わっているかもしれませんが、マンションもかなりくたびれてきています。問題は管理組合が十分な費用とノウハウをもって建物の老化を阻止できるか、ここにかかっています。

古いマンションに行くと確かに出入口のあたりは掃除する方がきれいに掃き掃除をしてぞうきんで磨き上げています。しかし、建物は表ではなく中が問題になります。そのあたりのメンテ計画は最近のタワマンなど外廊下がない建物はより管理が複雑になると同時に異様にメンテコストがかかるようになります。

その時、住民には住宅ローンがなくても高い管理費や想定外の特別の修繕費用が請求されることもあり得ます。そんな時、リタイア後に払えますか?皆払えないというでしょう。それは建物の死を意味しているのです。

昔の団地や相場が崩壊した越後湯沢のようなリゾートマンション群では管理に本当に苦労しています。住民に連絡取れない、支払い拒否などで管理費が徴収できず、「あの人が払わないなら私も払わない」になり、負のサイクルとなります。

私は正直申し上げるとマンションという仕組みは現代社会で機能しなくなりつつある不動産だと思っています。そうではなく、デベロッパーが建物の所有権を維持、住民は「居住権(ライフリース)」を取得し、建物管理はデベないし、デベの指定する管理業者が行うようにします。住民による管理組合は作らず、その代わり、居住権者がデベに対して発言権を含む一定の権利を持たせる形にすべきと思っています。

では土地はどうでしょうか?日経に「所有者不明地 国土の2割に『北海道並み』の試算も 登記義務付け、抑制期待 」とあります。所有者不明の土地が増えているという報道はすでに皆さんご存知のことと思います。なぜ、所有者不明になるのかといえば日本の「登記制度」がネックになっています。

かつて、日本の登記制度は非常に優れているとされました。それは不動産が価値あるものとして考えられていた背景が前提だからです。ところが私は不動産に対する価値観は変わり、土地は金銀財宝と違い、「使ってなんぼ」「収益を生んでなんぼ」の世界に変ったと思っています。使わない不動産、利益を生まない不動産は邪魔者以外の何物でもないと考えています。

例えば先祖代々の「山」「山林」あるいは「田畑」を相続してほしいといっても現代の人は「結構です」というでしょう。古いマンションでも「この不動産を子供に相続させればなにがしになる」と思うのは親の身勝手な話。子供からすれば「そんなんじゃまぁすぐに売れないし、管理費や固定資産税もかかるし!」であります。上述のリゾートマンションやいわゆる分譲団地ならなおさらで「私は管理費、払いたくないから相続放棄です!」と言われるのが落ちでしょう。

不動産市場を正常に機能させるには十分な需給と同時に購入者の世代交代がどんどん進まないといけません。ところが日本の場合、住宅ローンは減価償却の関係で中古マンションや中古住宅にはローンが非常につきにくいか、無理したとしても土地だけ分しか担保価値の査定にかかりません。

一方で中古住宅の需要はお金がない人というジレンマがあります。つまり、しっかりした会社に社員としてきちんと勤めていない限り不動産は購入しにくいという官民の作り上げた昔の流儀が構造問題として立ちはだかっていると申し上げます。

だからこそ、私は日本では今後、賃貸は増えるとみています。形を変えた賃貸です。シェアハウスはその一つだし、シニアホームも新しい発想を取り入れたものが普及するはずです。

官民が不動産市場そのものを変えていかないと日本は不動産から見放される話は大げさなわけではないと思っています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

個人の不動産運用からみる問題の本質4

先週の日経に「迫真 不動産加熱の代償」が連載されていました。サラリーマン大家が銀行からの借り入れが難しくなった話、スルガショックで土地仕入れを止める業者の話、家賃保証の言葉に踊った大家の話が連載でカバーされていました。

話題自体は新鮮味があるわけではないのですが、悪役になったいくつかの会社、かぼちゃの馬車、スルガ、TATERU、レオパレスなどを改めてカバーしています。

ただ、これらの負の組み合わせが業者、銀行、個人の不動産投資へのマインドを見事に吹き飛ばしてしまったことは事実でしょう。数年前までは銀行は「結局、不動産担保がある融資がやりやすい」と豪語していたのです。「事業の査定は難しいですが、不動産なら価格が分るので貸し付けをしやすい」と言っていたのは一つ、二つの銀行ではありません。ほぼ全ての銀行がそこに走り、スルガ事件を見ておののき、一気に手を引いたというのが現実です。ある意味、90年代バブル崩壊の時と同じようなシナリオを見て取りました。

私の日本の会社では大手銀行からシェアハウス事業として借り入れ残がありますが、いまや新規を絞り込み、既存の顧客の返済のみを受け付けているのが現状で返済に何かあれば喜び勇んで早期返済を迫るのではないかと思います。個人のアパート事業融資でも経験と頭金という二つのハードルを重視するようになったので一時流行った頭金が極端に少なく、そのキャッシュフローだけで2軒目、3軒目をやるというスキームはほぼ難しくなっていると言えるでしょう。

これは銀行の典型的な横並び主義で悪評が立たず、金融庁から目を付けられないようにする、という保身的経営そのものであり、バブル崩壊の爪痕を更に深めたあの「銀行悪役説」はいまだ健在ということになります。

では個人の不動産投資は絶たれたのか、といえばそんなこともなく、案件次第では可能性はありますが、難しくなっているのも事実です。理由は住宅需要はエリアを選ばないと事業としての採算性が低迷しつつある点であります。人口が減っていること、空き家が増え続けていること、より利便性の良いところに人口が集中すること、古い建物への需要が減退していることは賃貸業の宿命とも言えます。

また、古いアパートでは家賃を近隣相場より大幅に下げるケースもありますが、家賃未納のリスクは家賃を下げれば下げるほど多くなるという逆相関の悪循環を生みます。都内のシェアハウスの相場は6-8万円程度、ネットカフェもひと月7-9万円程度に対して安いアパートは3万円程度で提供しているものもあります。

ただ、アパートの場合、光熱費とインターネットを自分で別途契約しなければならないので結局月に4-5万円になるのですが、収入が安定しないバイト店員や年金を貰っているかどうか分からないような高齢者の踏み倒しはよく耳にします。かといって追い出すのには非常に手間がかかるというのが実情であります。(保証会社に加入してない賃借人を受け入れているということです。)

ところでカナダでは一般賃貸住宅に入れないレベルの人は低所得者住宅(Social Housing)という選択肢があります。空きは少ないですが、新たな供給もどんどん増えています。これは地方政府がデベロッパーからの開発許可見返りの拠出金等で開発、提供しているもので低廉家賃で入居できる仕組みです。

日本は古い民間アパートが実態としては低所得者住宅としての機能を果たしているのだろうと思いますが、このあたりの日本の仕組みは世界水準に比べるとかなり遅れている感じはします。

日本もそろそろ住宅政策について大幅な見直しをする時期に来たのでしょう。相続税対策でボコボコアパートが建つとか、金利が安いから1軒目のキャッシュフローで二軒目の借り入れをするといった無謀な不動産運用を放置するのではなく、都市政策を見直し、もっと緑を増やし、安全で豊かなライフができるような50年計画の都市や地方の活性化の策定をしてもらいたいものです。政府の明確な指針がないから皆好き勝手やる、というのが私の見立てた日本の不動産事情のように感じます。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

不動産価格上昇の基調は続くか?4

G20ですっかり影が薄かったのですが、7月1日に国税庁が今年の路線価を発表し、4年連続上昇で昨年比1.3%上昇したと発表しています。都心は平均4.9%アップで下落傾向が止まらなかった高知や秋田の一部地域でも27年ぶりに上昇と報じられています。

都内では北千住駅前が20.1%、江東区の門前仲町もオリンピック絡みか、14.3%上昇とあります。

NY,ロンドンなど不動産価格が高額だったところでは不動産価格が冷え込みつつある中、日本はある意味、異彩を放っているかもしれません。この上昇は本物なのでしょうか?

路線価は国税庁が発表するものでこれとは別に国交省が公示価格を毎年1月1日時点分として3月に発表します。どちらかというと不動産価格を述べる場合は公示価格がより参照しやすく、路線価はあらかた公示価格の8割程度の数字が出てきます。

今年1月の公示価格は全用途平均が1.2%アップでした。うち、住宅地は0.6%プラス、商業地が2.8%プラスで近年の商業不動産がリードする構図は変わっていません。

基本的には訪日外国人の増大、また外国人が地方に観光に向かう傾向が強まり、地方都市でもそれらの需要に合わせた不動産投資が進んできていることがあげられます。また、大阪はもともと外国人から圧倒的な人気があるうえ、万博期待もあり、しばし、良好な上昇を示すのではないかとみています。

東京など大都市は再開発が進み、その波及効果も出てきそうです。例えば渋谷の再開発は佳境になっていますが、人の動線は大きく変わりそうです。(ただし、個人的には渋谷はファンダメンタルズがない街《狭い、坂ノ下、首都高速が街を分断》だと考えていますので過度な期待はしません。)山手線新駅や東京駅八重洲口側開発への期待感もあります。これらはオフィスや商業施設を伴う大規模開発が主導する形となります。

一方、住宅ですが、奇妙な下支えがある気がしてきました。私は人口が増えない日本において住宅地の不動産は上昇しないと長年主張しています。また、若者に持ち家志向が減っていること(結婚しないから気楽な賃貸やシェアハウスでもいいという人もいます。)、住宅ローンが付きにくい人や頭金が足りない人もいます。さらにはマンションの高層化により土地そのものの需要減に伴い、価格が相対的に上昇しにくくなっている原因もあります。

半面、比較的高齢になりつつある方に住み替え需要が生まれているように見えます。これは温暖化の背景もあるのでしょうが、自然災害が多くなり、地方においてより街中に近いところに安全安心のために住み替える需要がでてきています。特に豪雨の被害が出やすい中国四国九州での街中のマンションなどへの需要は大きく高まる公算があるかもしれません。(個人的にはコンパクトシティ化の一環になるのでウェルカムです。)

もう一つは地方での古い住宅への敬遠が考えられます。親が長年住んだ古い家は子供たちなど若い人はもう住みたくないという素直な反応です。都会の人からすると古家の再生が物珍しさも手伝い、ニュースにもなりますが、ほとんどの親の住む(あるいは住んでいた)住宅は放棄に近い形となっているように感じます。つまり、自動車や衣服と同様、住宅も世代間では引き継がれず、新しいものに変わっていくのです。それを促進する一つがやらなくなった田畑に家を建てるという考えです。土地があるのだから上物だけなら2000万円もあれば十分建築できるでしょう。

ただし、これらの需要は今の世代の特例的事象だと考えています。つまり、ブーマー族が不動産など資産を子供に引き継ぐという過程で生じた需要だとみています。よってこれが永遠に続くこともないでしょう。ある意味、不動産にとっては追い風が吹くもののその風が止むときも遠くはない、とも言えそうです。

正直、今の日本は景気がいいです。私は外に住んでいて時々日本に行くからこそ感じる景気の風があります。何をもって景気が良いというのか、これはバブルの時だって一般大衆にとっては客観性よりも雰囲気に流された主観的な面もあったと思いますが、今は明らかに訪日外国人がもたらした景気があります。これが不動産価格を下支えし、新たな投資を生み出す循環を作り出していることは間違いないでしょう。

大阪弁でいう「ボチボチでんな」(=エエ感じ)ということかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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私案 日本の住宅政策4

総務省が5年ごとに調査している空き家率。18年10月の時点で全国平均で13.6%、846万戸となり、5年前の前回調査に比べて26万戸ふえていることが判明しました。また総住宅戸数は6242万戸で、これも前回比で179万戸も増えているというのです。

人口は減っているのに住宅は増える、これではどう考えても間尺に合いません。

ちなみに総世帯数調査は5年ごとの国勢調査が基準となりますが、2015年の数字は5333万世帯で国立社会保障人口問題研究所の分析調査では2023年に5419万世帯で頭打ちになるとみられています。

この数字を総務省の調査に当てはめると現時点で単純計算で900万戸の余剰ないし二つ目の住宅の所有者がいるということになります。これは上述の空き家戸数846万戸と若干違いますが子供が大学などに通うために住宅を借りる場合や単身赴任のケースでは一つの世帯で2つ借りることになる一方、シェアハウスなどは統計上住宅戸数としては1戸としてカウントされていると思われ、プラスマイナス双方のファクターがあることを考えれば整合性はあらかた取れるものと思われます。

もう一つの読み方は上記研究所の国勢調査分析からすれば2015年から2023年まで世帯数はネットで86万戸しか増えない計算です。これは年平均10.75万戸です。住宅需要は通常世帯数の増大とともに増えるものですから極端な話をすると住宅の過不足のみを考えた実需はたった年間10万-11万戸程度しかないことになります。これは何を意味するかといえば多くの住宅会社、住宅系デベロッパー、建築会社の淘汰を意味します。

もちろん、実際にはこんなことではなく、古い住宅を壊し、新しくする、あるいはマンションに移り住むという需要はありますが、少なくとも現在のように年90万戸も新規住宅を供給するシナリオはなりたちそうにありません。日本総研による将来予想は2030年が新規住宅着工件数86万戸程度と緩やかに下落すると予想しているようですが私はおかしい気がします。

これは1つには住宅取得意欲が新しい世代においてかつてほど盛り上がらないこと、2つ目には欲しくても住宅ローンを組みにくい仕組みがあることが考えられます。

住宅取得意欲とはいわゆる物欲時代の流れですが、今は車はなくても当たり前の時代になっており、住宅もシェアハウスなど新しいライフスタイルがごく普通に浸透しています。では老後はどうするのか、といえば新しいものでなければ安く入手できる仕組みが生み出されるとみています。

その一案を紹介します。

まずデベロッパーが既存の中古住宅を取得、住宅を改修後、上物だけリースする方式です。例えば私が都内で取得したある20坪足らずの中古物件は骨組みのところまで解体し、ほぼすべて作り直しました。一部腐っていた基礎もやり替えていますので実態としては新築と同じです。改築の場合、建築確認がいりませんので図面の精度などは格段に下がりコストは大幅減です。あとは業者価格で建物を建てて総額1100万円で2階建て50屬僚斬陲完成しました。

仮にこれをリース案件にすれば新宿区のこの土地の物件では単純計算で月83000円ぐらいで提供することができます。リースですから土地の所有権はありません。しかし、今時、土地を持ちたいという欲望の意味は薄れていると思います。マンションを購入する人が土地の持ち分にこだわったという話は何一つありません。一定期間、自分の自由になる不動産さえあればあとはライフスタイルに応じて転々とできるそんな仕組みを作ればよいだけなのです。

老後の安心と言いますが年を取った時、今の住宅に住み続けるのかどうかはその時にならないと決められません。病気になる、怪我をする、認知になる、連れ合いに先立たれる、階段の上り下りができないなど今の住宅に「我慢を強いる生活」の要素はいくらでもあるのです。なぜ、我慢してでも自分の持ち家に執着するのか、この考え方は2-30年で確実に変わるでしょう。

住宅ローンの考え方も古いと思います。銀行は不動産の担保価値という固定概念に捉われすぎていることがそもそもの発展性のなさでしょう。その結果、中古住宅に対する銀行ローンは極めて難しい状態です。

しかし、銀行の本質的な担保とは毎月の給与所得です。ならば不動産価値はいざという時の保証のようなものだと考えれば給与と「居住権ローン」を紐づけにする仕組みを作り、仮にローンが払えない場合住宅は差し押さえられますが、不動産の居住権を銀行経由で第三者に転貸しやすくできれば銀行リスクは抑えれる仕組みはできなくないでしょう。要はものの視点なのだろうと思います。

私は不動産に関して世界でも注目されるバンクーバーに住んでいますが、この国、この街は毎年、人口の1%を移民で増やすという政策を維持しているからこそ、不動産が右肩上がりで上昇するのです。需要がずっと増え続けるからです。

一方、日本は人口がどんどん減る国ですから不動産価値は本質的には下がるはずです。一方、一人当たりGDPは今後も緩やかに増えると思われますのでローンや賃料といった不動産への支払い余力は改善するとみるのがナチュラルです。言い換えれば何千万円もの住宅ローンを抱えてひーひー言っていた時代は過去の産物になるだろうとみています。これは不動産を取り巻くすべての常識観が変化していくことにつながるでしょう。

所有しなくても老後まで安心に暮らせるスキームは作れます。それをやらないのは大手不動産業者がその変化を怖がっているからかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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投資用不動産市場に黄色信号か?4

日本で投資用不動産が売れないようです。昨年の書類改ざん、不正融資で悪役に回ったアパート開発業者やレオパレスの施工不良の問題も尾を引いているのでしょう。日本の性格というか、悪いとなると業者も銀行も一気に自己ルールを厳しくし、今までと打って変わったようなスタンスをとるため、日本で投資用不動産市場は壊滅的ダメージを受けるかもしれません。

不動産は入居者があって商売になります。では人口減が叫ばれる日本で一体だれが入居するのかという疑問は残ります。その答えは人は転勤や就学で移動しますので人口が増える地域には需要が生まれること、また、高度成長期に建てられた木造の築4-50年経ったアパートがそろそろ解体せざるを得ない時期に来ているものもあり、住み替え需要は場所を探せば確かに存在するということかと思います。

しかし、この動向は読みにくいものです。例えば大学の地方移転で一時期アパートが潤ったとされましたがその大学が都心回帰でキャンパスがなくなり、残ったのは空き家だらけのアパートだけ、という笑えない話もよく耳にします。同様に企業の工場新設に伴う住宅需要もありますが、最近は工場も機械化が進み、大挙して人が動いてくる時代ではありません。

個人的にもう一つ期待外れになったと思う原因がAirbnbではないでしょうか?数年前、中古マンションをローンをして購入、エアビーで副収入を得ることが流行った時期がありました。国や地方自治体のルールができる前です。ルールがないということは人のうわさ話に尾ひれがついて「稼げるみたいだ」が「すごく儲かるみたいだ」になり、「お前もやった方がいいよ」という展開だったと思います。ところがご承知の通り、その後、Airbnbはあまりにも厳しい制約が課せられてしまいました。

地方銀行が不動産融資を急激に絞り込んだのも影響しています。スルガ銀行問題はただでさえ収益がなくて四苦八苦する地方銀行の数少ない利益の源泉を締めてしまいました。例えば頭金を2割要求するといった厳格化はチョイ乗りの投資家を市場から追放したともいえるでしょう。

では不動産事業をやっているお前はどう思うのか、でありますが、「よかった」ともろ手を挙げて喜んでおります。質が悪いものを大量供給することで不動産市場全体を沈下させるリスクがありました。

例えばシェアハウスでもこんなのは部屋ではないだろう、と思わせるような物件もずいぶんあり、一時は家賃月2万円とか、場合によってはゼロ円というのも出回りました。ゼロ円物件は管理費だけで回すとか、一定期間後は賃料をとるといったもので、私からすると「もう止めてくれ」と思っていました。極端に安い物件はテナントの質が悪く、使い勝手も荒く、ヒッピーハウスのようになってしまい悪循環に陥るケースは多いものです。

ある意味、「シェアハウスは貧乏人が住むところ」というイメージを課してしまい、本来あるべき新しい居住スタイルの選択肢という流れに邪魔したとも言えます。

投資用物件に熱い視線を送っていたのが小金持ち層と副収入を得たい「目に¥マーク」がついているような人たちでしょうか?不動産投資セミナーは今でも盛況だと聞きます。ただ、今後の趨勢としては不動産はREITを含め大規模資金の大規模開発が主流となってくるとみており、小型物件は徐々に不利になってくると考えています。理由は管理能力を含めたサービスクオリティです。賃貸に住む若者もより格好いい物件、時代の流れに即したライフスタイル、アメニティが豊富な物件を当たり前と思うようになるはずで、コンベンショナルな(一般的な)アパートは確実に時代の潮流に乗り遅れるとみています。

不動産に投資して不動産屋に管理を任せ、利回りが〇%などという宣伝そのものが前世のスタイルだと私は思います。そんなセミナーには行く価値はないでしょう。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

日本の不動産市場に漂う不安感4

日本の不動産に黄色信号が灯っているのではないか、という見方がぽつぽつ出てきています。これは日本だけではなく世界中の話で日本独特の事情ではないのですが、不動産マーケットはどうしてもドメスティックなイメージが付いて回るので判断を見誤るときがあります。すこし、グローバルな観点から考えてみましょう。

日本の不動産を支えるのは一般個人の住宅需、法人需要、および外国からの投資の三種類のセグメントがあると考えています。これをもう少し違った切り口で見ると居住地としての実需と賃料収入からリターン(利回り)を考えた需要に分けられます。

まず一般個人の住宅需要については当然ながら実需となります。その代表的指標の一つに初月契約率というのがあり、70%が好不調の判断ポイントとされます。それが2018年度の首都圏のそれはわずか62.1%で27年ぶりの低い水準で終わっています。理由はマンション価格の高騰で手が出るはずだったあの物件もこの物件も2割、3割と値上がりしている、という事態に購入予定者が首都圏から外れてしまったことがひとつ、あります。結果として都心からかなり離れてでも駅近で妥協ということが起きています。そこで厚木あたりですら億ションが出ているのです。

もともと人口減で総需要は下落の一途。さらに派遣の方などが住宅ローンをアレンジしにくいということも手伝って「結婚して、子供作って、家買って…」という標準的ライフパタンが崩れています。他方、高齢者で駅から遠い地域にお住まいの方が駅近のマンションに引っ越したいという需要はあります。便利さ、老後の人生をより楽しむため、セキュリティなどその理由は多く、結果としてマンションの一定の需要はあると思いますが、中期的には相当減るとみています。

首都圏において新築戸数は2000年代が年7-8万戸、2018年が37000戸、多分ですが、2030年には20000戸水準になるかもしれません。代わって中古住宅が脚光を浴びる可能性は高いと思います。

ではもう一つのリターン(利回り)をベースにした需要です。こちらはどれだけ人が集積し、一定の不動産からどれだけの売り上げや収益が見込めるか、という数字に基づいて計算します。例えば外国人が多く集まるエリアの不動産収益率は極めて高く、家賃も高く取れます。観光地としては東京より大阪、京都の一部地域の方が熱いかもしれません。ただ東京は都市としての成長性があり、そこに人が集まるからお金も落ちる、だから不動産価値も維持される、ということになります。

利回りは不動産投資家にとって最重要指標。また東京不動産市場は巨大で売買が容易、外国人規制もほとんどなく、誰でも参入できるところでより健全な価格体系が形成されているとみています。ターミナル駅を中心に官が主導や支援する開発も多く、次なる大規模開発地候補を探す動きが出てくると思います。ここには投資マネーが大挙して入りやすく、収益だけを支えとする不動産投資ファンドも参入しやすいというメリットがあります。ここがグローバルな観点です。

ただ、個別エリアでは渋谷再開発についてはさほど評価していません。土地そのものに開発限界があります。新宿周辺はまだいけます。とくに代々木は昔予備校の街として知られていましたが、今は完全な下火でつまらない駅になってしまいました。ここは再開発を仕掛けるべきでしょう。山手線内の大穴です。渋谷が早晩限界になるので第二のITタウンとして生育させる基本素地はあります。新大久保は開発が始まっているので少しずつ様相が変わるはずです。

日本の不動産全体を俯瞰すると一部地方ではブームが起きているところもありますが、外国人投資家の動向はある日突然、手のひらを反すようなこともあるのであまり期待しすぎない方がいいと思います。東京、大阪、名古屋、京都、福岡、このあたりが私が安定しているだろうと思うエリアです。横浜は人は多いけれど不動産の魅力としてはやや違和感がある思います。

またその中でも価格が上がるエリアは駅近で遠くても徒歩10分以内(できれば6-7分がベター)です。それ以外は50年後に耕作放棄地ならぬ空き家住宅街が生まれる可能性はあり得ます。道路一つ隔てただけでまるで価値が違う絵面もありそうです。

まだら色、これが将来の日本の不動産を占うひとでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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