外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

世界経済

離脱問題で最大の山場を迎える英国4

英国のジョンソン首相は英国議会を9月9日の週から10月14日まで休会すると発表しています。9月3日に始まった議会は実質1週間程度しか開催期間がありません。その間にジョンソン首相を中心とするEUからの離脱強硬派とそれ以外の与野党がどうこの問題に取り組むか、いよいよ最終決戦の火ぶたが切って落とされました。

野党は来週の休会までに与党からの造反を取り込みながら「離脱延期案」を提出するかどうかが着目点になります。当初は内閣不信任案で検討されていたはずですが、ここにきて方針を変えた可能性があります。

一方、ジョンソン首相は腹のうちにもしも自身に不利な形成になれば来週までに解散総選挙のシナリオもあると速報で報じられています。かなり何でもありの状況です。

そうなればジョンション首相は史上最短の首相となる可能性があります。英国議会史上、ネヴィル チェンバレン首相の第二次世界大戦中のドイツへの宥和政策に対する不信任案可決事件(1940年)以来となるのでしょうか?

ジョンソン首相はどうなのか、といえば心は固まっているように見えます。「合意なき離脱」にまい進する、であります。つい一日前ぐらい前まではジョンソン氏は、離脱を決定した後、議会解散を行い、そこで政権への判断を再度問うのか、首相自身があの国民投票後、英国内が盛り上がっている中で「俺は首相はやらない」とそっぽを向いたあの二の舞もあるのでしょうか?

こうなると英国はどう見てもこの離脱の前後で一度解散総選挙となりそうです。

ジョンソン首相は表向きEUとは「交渉の余地はある」と述べているもののその余地は極めてスリムであるとみています。一つは最大のイシューが北アイルランドのバックストップ問題でメイ前首相が合意済みのこの件を「撤回」することを最大の条件としているからです。一方、EU側は本件について見直す余地は全くないとしてお互い、すり寄る余地は今のところ全く見えません。

次にEU側も主要首脳陣が改選期にあるため、落ち着いて審議するという状況にありません。新欧州委員会委員長は11月に着任です。アウトゴーイングするユンケル委員長に何か妥協策を打ち出せる任期上の時間があるとは思えません。

個人的には今週、英国議会が離脱延期法案を可決できず、解散総選挙もなければ英国の合意なき離脱は相当高い確率で起きる、と見ています。(個人的には今の時点で解散総選挙はあまりにも無謀と思いますが、10月14日に首相に再選されれば自身の方針が信任されたと自信をつけるのがジョンソン風なのかもしれません。もはや普通の事態ではありません。)

ジョンソン首相には離脱したところで大した影響はない、と考えている節があります。「英国は覚醒せよ」と言わんばかりであります。ある意味、トランプ大統領に似たスタイルで今までの議会や国民の考え方を完全に打破し、新世界を打ち出すために多少の犠牲は払ったのち、そこには苦しみを味わったものしか勝ち得ない世界が待っている、というのでしょうか。

我々一般人は今までの常識の枠を「普通」とし、はみ出ることに大きな抵抗を持ちます。ですが、今、世界では常識感が覆るようなことがどんどん起きています。歴史のステージが全く違うところに向かっていくようなそんな感すらあります。

ジョンソン首相はもともと変わり者であったのに圧倒的支持のもと、首相に選ばれました。これは英国の閉塞感に対する打破とも言えます。近年の英国ではウィンストン チャーチルとマーガレット サッチャーという偉大なる人物が英国を救いました。ジョンソン氏が3人目となる偉大で歴史に残す首相になるかどうか、我々の常識の枠を超えたところでその行方は決まるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

金融政策の限界、招いたマイナス金利の弊害4

この数十年、経済の調整機能は各国中央銀行の金融政策に委ねているところが大きくなっています。報道などでどこどこが利下げをした、利上げをしたと大きく報じられているのは金融政策が経済政策において花形であり、国家の、ひいては世界の経済の温度調整の主たる運営者として絶大なる信頼がおかれているからであります。

ところで経済学ほどエスタブリッシュされていない主要な学問も少ないでしょう。私も経済学部卒ですが、不動で明白なる理論がいまだに存在しないメジャーな学問であります。ノーベル賞の発表に経済学賞もありますが、あれも本来のノーベル賞とは別枠であり「ノーベル経済学賞」とは通常言わないのであります。単にほかのノーベル賞と一緒に授賞式をやるだけであれは「経済学賞」とノーベルの冠はつけないことになっています。

今日、主流を占めている金融政策はマネタリストと称するシカゴ学派が主導するものであり、ケインズ学派を批判して60年代に勃興した学派の一つであります。学派とはいくつかある学問上の流派の一つであり、絶対ではないのでありますが、現代社会では金融政策の運営者たる中央銀行こそが経済のかじ取りの主導的立場にあると考えられています。そして中央銀行の政策に対して一般的には当該国の政府は関与せず、「独立性」を持たせることが多くなっています。

その花形である金融政策運営者は金利の上げ下げを通じて貨幣量を調整することで景気循環をうまく乗りこなせると考えています。よって金利は下げれば景気が回復し、いずれ金利は上がるものだ、と信じられているわけです。ところが日本でその原則論は早々に崩れ、いつまでたっても金利が上がらなくなりました。いや、上げられなくなったといった方がよいのかもしれません。

日本が低金利時代に突入したころはまだバブルの後始末が残る中であり、人々は疲弊する経済の中でようやく光明を見出した状態でありました。そこに金利引き上げ論が出た際に世論は「せっかくの回復も水の泡」「俺の住宅ローンはどうなる」と猛反対の声が出たのであります。金融政策担当者も人の子、結局、循環するべく利上げが達成できなくなったのです。

私は北米で90年代、金利が下がる過程において金利は「もう上がる」という言葉を専門家やバンカーから何度となく聞いていましたが私は「上がりません!」と断言し続けました。当時、私は銀行引受手形による借入資金のロールオーバーをほぼ毎月しており、その運用は数億円から数十億円に達するときもあったため、金利に対して極めて慎重な分析と対応が必要でした。その過程において利上げはないと感じたのは金利上昇圧力に対する抵抗感は日本と同じであり、いずれ金利は低迷し上げられなくなると読み込んだからであります。

それから20年以上経ちましたがこの見方が正しかったことは今、断言できます。

多分ですが、金融政策の前提である循環の論理に不完全性があるのだろうと思います。下げるのは簡単だが、上げることほど難しいものはないというのはまるで重力に逆らうのと同じであります。世の中の金利がどんどん溶けてなくなりやすくなる方向にあるのは至極当然の成り行きだったのであります。

ただ金利が∞(無限大)のプラスサイドであればまだ問題は少なかったのですが、金融政策当事者がマイナス金利という禁断の果実を手にしたことにより私はマネタリストの理論は崩壊しつつあるとみています。つまり、一学派としての限界を露呈したかな、と考えています。もちろん、私は学者でないのでそこから先は踏み込めません。ではケインジアンという財政派が再び勃興してくるのかといえばそれも違うだろうと思います。

経済学において複雑になった現代社会を解明し、学術的な論破と実働性がある論理が不在である今日においてトランプ大統領が金利を引き下げろと吠え、ドイツでは30年物の国債が入札不調の上平均落札利回りがマイナス0.11%というあり得ない水準の利率だったことは専門家の間では驚愕の事実と受け止められています。しかし、これらは今後、当たり前のニュースになると思えば、私はかなりの危機感を持っています。

経済のかじ取りはどうするのか、案外、我々の盲点はそのあたりにあるのかもしれません。金融政策が十分に機能しなくなる日が来るのでしょうか?ぞっとする話であります。

では今日はこのぐらいで。

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時計の針が逆に動き出した欧州、ここにもある世界不和の火種4

G7が8月24日からフランスで開催されます。その時、初登場の英国、ボリス ジョンソン氏の発言に注目が集まるでしょう。彼は合意なき離脱もやむを得ず、という立場を貫き通す姿勢を見せており、欧州の首脳とは全く異質、異次元の立場を取ろうとしています。欧州首脳は「今更何を…」と内心思っていますが、ジョンソン首相がそれを意に介さないところにこれから始まる欧州の混沌を見て取っています。

離脱期限は10月31日ですからあと2カ月強しかありません。メイ首相時代に作り上げたであろうシナリオのちゃぶ台返しに「ふざけるな」と思う大陸首脳陣も盤石な体制だとは言えません。その上ジョンソン首相のスタイルはトランプ大統領のそれとそっくりであり、大げさでストレートトークであり、相手に衝撃を与えることを何ら慮ることはないでしょう。

大陸首脳陣がさえないもう一つの理由はドイツの不振であります。4-6月のGDPはマイナス0.1%に沈みましたが、このところ囁かれているのは7-9月GDPもマイナスになるのではないか、という点であります。そのため、財政均衡に対して厳格な同国もこのままでは国内景気が維持できない可能性をシナリオに取り込み始めており、緊急的な財政出動ができる体制を準備しているようだと報じられています。

ドイツが不振なのは生産面、輸出の両面の不振が挙げられていますが、とりもなおさず、中国向け及び英国離脱に揺れるEU内での景気不透明感が響いているものと見られます。ドイツ中央銀行であるドイツ連銀は景気を「停滞」と表現していますが、その中に偶発的ではないとする表記から構造的低迷に陥ったと見られれば、しばし経済成長率は低迷するかもしれません。

次いでイタリアです。非常に分かりにくい連立与党を指揮するコンテ首相が20日、辞意を表明しました。イタリアは急進右派の同盟と左派の五つ星が水と油の状態で連立を組んで18年6月に政権が発足したものの形の上では同盟のサルヴィーニ書記長の強気姿勢に押される形で分裂が顕在化しました。現時点で同盟への支持率は高まっており、首相選になった場合の動向が注目されます。

こう見ると今週末に開催されるG7に於いて日本、アメリカはともかく司法介入疑惑で倫理委員会からクロを付けられ、今秋の総選挙で敗退の可能性が高まるカナダ トルドー首相及び欧州陣営では新加盟のジョンソン、半ばレイムダック化しているメルケル、辞任発表したばかりのコンテ、それを支える議長国のフランス、マクロン各氏では何かを期待する方が間違っているでしょう。

個人的にはフランス、マクロン首相の手腕についてもあまり高く評価していません。支持率は12月の23%からじわじわ切り返し、7月の世論調査で32%まで盛り返していますが、そろそろ戻り一杯だろうと思っています。その手腕を試すのが英国との問題であり、またEU全般の経済問題において機能不全となりつつあるドイツに代わり、どこまでサポートできるかであります。以前もご紹介したようにフランスとイタリアは大戦以降最悪の関係となっていることも念頭に置く必要があります。

ところで、欧州中央銀行は金融緩和を推し進めるバイアスにあり、マイナス金利が当たり前になりつつあります。

マイナス金利は何を意味するか、様々な見方がありますが、一つの尺度に「時間」があります。金利とは「時間を買う」という意味です。とすればマイナス金利は時間が逆行しているともいえるわけでマイナス金利になること自体が時計の針が逆さに動き始めている極めて危険な状態だといえないでしょうか?

英国の離脱とはEU発足後、英国が参加したあの時まで時計を戻す、とまでは言いたくないですが、それほど混とんとしつつあるのです。その底辺には日本では実感しにくい中東などからの難民が押し寄せることに対する欧州各国の国内世論の分裂、爆発とも言えます。イタリアの首相辞任表明はその端的な例だともいえるでしょう。

世の中の目は米中問題に行きがちですが、欧州でもジワリと秋風が吹きこんでいるようです。

では今日はこのぐらいで。

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景気後退の見出しに怯える市場4

最近のブルームバーグを見ていると景気後退の記事が派手に並びます。悪いニュースを次々並べ、投資家、専門家が先行きの不安感を指摘し、専門家向けアンケートでは高い確率でリセッションになると報じています。

世界経済は微妙な歯車の上で成り立っています。ちょっとした軋みが思わぬところで大きなクラックになることは歴史が物語ります。このところのNYの株式市場はボラティリティが高くなり、数百ドル単位で上下する日が多くなってきました。また、場中でもちょっとしたニュースで数百ドル単位で動くのはプログラム売買がそれを後押ししているからであります。

株式の売買プログラムは順行性であって逆行性に強く対応するわけではない点はあまり語られません。ある悪い材料が出た場合、アルゴリズムが売りを展開します。皆同じようなプログラムですから売りが売りを呼ぶ展開になり、歯止めが利かなくなります。よって、ブルームバーグのような経済専門メディアが悪いニュースを次々拾い上げるとこれだけでプログラムは反応し、イールドカーブは逆転し、景気悪化の赤ランプが点灯するというごく単純な仕組みとなっています。

では、投資家のメンタルを弱気にさせているものは何か、といえばひとつにはトランプ大統領のツィッターではないかと考えています。ある瞬間、突然、非常に大事なことをつぶやく、それが瞬時に世界を駆け巡るという点に於いてトランプ氏は地球上の支配者のごとく振る舞い、その呼吸の加減をツィッターという言語表示器に乗せて拡声させる、ということであります。

分かりやすさの反面、ルールも制御もあったもんじゃない、ということでしょう。

もう一点、メンタル的に堪えているのは案外、香港の問題ではないかという気がしています。中国側も香港の若者たちも一歩も引かない状態が生み出す緊張感の行方であります。香港がなくてもシンガポールなど代替のアジアの金融センターはあるし、もともとは中国国内の問題だ、と割り切れるものではありません。

仮に人民解放軍がデモの制圧をする事態になれば、(そしてそれはあり得るケースですが)極めて衝撃的なメンタルショックを引き起こす可能性はあります。それは香港経済を長期にわたり、危機的影響を与えるかもしれません。

習近平氏が少し、ポジションを変え、アメリカと早々に手打ちをすればどうにかなる可能性はあります。ですが、習氏がどこを向いているのかといえば国内向けの保身にあるように見えるのです。その点は金正恩氏と同じでトップとしてのステータスを維持するためには民に我慢をしてもらうことをいとわないわけです。不満分子は潰せ、であり、その分子は泡沫であるうちに処理すべし、というのが鉄則でありましょう。

この強権を打ち出した時、マネーというもっとも逃げ足が速く、保身的で数字だけが全ての世界ではあっという間に市場から霧散霧消してもおかしくないのです。

これはいくら国内景気の足腰が好調な日本にも影響がないとは言えません。そして、もっと困るのは経済的体力が劣っている国が衝撃的影響を受けることであります。最近ではアルゼンチンの大統領予備選挙で左派候補が大勝したことで株式市場は一日にして一時4割以上、ペソも3割下がりました。こういう瞬間蒸発が今後もあり得るのです。アジア地区では韓国の足元がかなりぐらつく可能性はあります。

今回、気がかりな点はリーマンショックの時のように主要国の首脳が夜を徹して解決に向けた対策を講じる状況にない点でしょう。あの時、中国は57兆円も景気刺激策を打ち出した協調があったことは大きな助けとなったことを忘れてはいけません。今回は対話ができない国際関係に於いてトランプ氏の首を賭ける、ということになってしまいます。

私はアメリカの国内景気はある程度の水準を維持できるレベルであり、中国との落としどころを決めてくれさえすれば深刻な景気後退はないと考えていたのですが、最近の動向を見ると実態より心理面での影響が支配しており、少し見方を検討する必要があるかもしれません。

目先は8月22-24日のジャクソンホールでパウエルFRB議長が何というか、が注目点になってくるかと思います。9月の金利引き下げ幅に注目が集まっていますのでジャクソンホールでの発言でどれだけ「弱気か」がポイントになってくるかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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リブラを利する通貨安競争4

アメリカが中国を為替操作国として認定しました。心理的節目の対ドルで7元を超える元安になったからです。これに対して為替操作国に指定された中国の中央銀行である中国人民銀行はその翌日、中心レートを6.9683元と比較的元高気味に設定しましたがそれは中国としても過度の元安は非常に困るからでありましょう。

私には中国が今回、為替操作をしたというより、中国元の防衛を放置したか、管理を緩めたのではないかとみています。つまり、為替は為替に聞け、ぐらいのつもりでトランプ大統領が撒いた種をなぜ、中国政府が支えなくてはいけないのだ、ぐらいの論理だろうと思います。

ただ、7元を切るのは「劇薬」だということは中国もよくわかっているはずです。それは中国の資本流出が加速し、国内金融市場が制御できなくなる可能性を秘めているからです。そうなれば中国人の海外での消費にも更なる厳しい制約を課すことも考えられます。よってフリーフォールしないよう、結局、元の下落を防止する「為替操作」せざるを得ないことになりそうです。

世界経済において為替というのは基本的に自由な市場の中で需要と供給で決まるようになっていますが、通貨供給量の差によりβ(ベータ)値が違うため、弱小国の通貨の振れ幅はより大きくなる傾向があります。一方で輸出に頼るβ値の高い新興国は為替の急激な変動は輸出の利益を一気に吹き飛ばすほどの脅威となり、なるべく安定した為替を求めたいところでしょう。このあたりがジレンマであります。

例えばタイのバーツは経済成長と国の安定感から長期的に買われてアジア通貨の中では突出した通貨高を演じています。結果として輸出がGDPの5割を占める同国の経済にじわっと影響を与えてきています。これに対してタイ政府は投機的資金の流入を防ぐべく対策を取り、過度のバーツ高を阻止せざるを得ない状況になっています。

一方で韓国ウォンは3年5カ月ぶりの通貨安となっていますが、海外投資家の冷静な見方としては現在の文政権の向かうところがどこにもなく、やみくもに国民をたきつけているが経済対策が全く不十分でその理由をすべて日本に押し付けようとしていることを読み込んでいるようです。

韓国のメディアなどを通じて日本のメディアは韓国政府がかなり感情的になり、日本製品不買運動も増えていると報じていますが、私の知る限り、それ以上に文政権に対する不満の声が実情となりつつあり、大統領の任期がまだ3年近くあるのにこれでは国が持たないという判断故の通貨安だとみています。

通貨安を恣意的に行うのはもちろん現代の金融市場ではタブーでありますが、ある程度の操作は国家を守るうえではやむを得ない状況にあります。私はこの為替の不安定さが世界経済の発展に大きな障害となっているとみています

例えば中国は米ドルを奈落の底に落とす方法を知っています。それは中国が持つ117兆円規模のアメリカ国債を放出するというとんでもない劇薬であります。戦争でいえば核爆弾ほどの威力がありますが、これを行えばアメリカも中国もひとたまりもない状態になるでしょう。この話には続きがあって、仮に中国がアメリカ国債を売ったら何を買うのか、という質問であります。これほどの金額を投じるところはない、というのも現実であります。

例えば金(ゴールド)は世界に50メートルプール3-4杯分しかない中で中国やロシアが今、買い続けていることもあり、相場はそれこそ飛び跳ねてしまうのです。そうなると次の資金の行き先は仮想通貨、なのかもしれません。

もしも中国が中国元を担保とする仮想通貨をつくれば別次元の戦いが生み出されます。そんなことが起こるか、といえば何が起きてもおかしくないとみています。新通貨圏としてステーブルコインの仮想通貨圏を中国、ロシア、アフリカ圏が始めたとしたらどうでしょうか?恐ろしいことです。

そうなると本日のブログのお題であるリブラを利する、につながります。つまり、リブラをドル/ユーロ/円経済圏の代替通貨として流通させざるを得ないという流れです。

仮想通貨はいくらでも生み出すことができますが、私は時間はかかるものの割と限定された数に淘汰されるものとみています。クレジットカードがVisa,MC,Amexにほぼ集約されているように、であります。

世の中、混乱すればするほど新しい対策や知恵が出てくるものです。米中通商戦争はその典型です。これからは何が出てくるかわからない時代だと思って身構えておく必要がありそうです。

では今日はこのぐらいで。

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どうなる世界経済 トランプ大統領の巻き起こした大激震4

今の経済を一言で述べるならトランプ大統領が自分の主義主張を強く押し出しすぎて制御不能の域に入りつつある、と考えています。もしも彼が吠え続けるならそれなりに繊細で微妙なバランスの上で成り立っていた世界経済がガラガラと音を立てて壊れるかもしれません。

かつて世界経済はもう少しシンプルでした。貿易と為替という切り口が主流であり、自由という枠の中にも先進国主導である程度バランスされた為替相場で世界経済がファンクションしていたからです。今は金融緩和のマネーが国境を超え、企業は国際化を進め、人も新天地を目指し地球規模で動きます。

このダイナミックな変化に対してリーマンショックのような失敗を繰り返しながらも指導者たちは強固な世界経済体制を築きつつありました。そんな中、トランプ大統領の押し込み方にはいくら何でも無理があります。それは彼が「せっかち」であり、「今すぐ成果がないと駄々をこねる」からであります。子供のようなところが単純なわかりやすさでもあるのですが、世界はもはや、爆走機関車であるトランプ大統領を止めることが出来るのでしょうか?

来年、アメリカ大統領選がありますが、トランプ大統領は再選されないかもしれない、そんな気がしてきています。確かにトランプ氏は就任以降、誰も手を付けなかった問題に次々と驚くスピードでフォーカスし、アメリカの立場を強く押し出して来ましたが、改革というより人を黙らせ、呆れさせ、大統領権限の暴走を許した点に於いてアメリカ政府と議会にも強い責任があります。

夏休み中の投資家や市場関係者を一気に現実の世界に引き戻させた今週の市場の激震はしばし、止まらないかもしれません。最大のキーである中国にも事情があります。それは中国の政治の行方を占い、人事が決まるとされる北戴河会議が週末から始まったからです。

この北戴河会議は通常の会議ではなく、中国の元老など影響力ある人がそこに集まり、小さな会議を繰り返しながら一つのパワーゲームを行うというものです。そのパワーゲームでは習近平氏のポジショニングも当然ながら大きく影響し、国家主席としての絶対的地位が維持できるか大きな試練となります。その中でアメリカとの貿易問題が主要議題になるのは確実で元老たちの不満に強い態度で対策を示す必要があります。

日経によると中国はアメリカの農産品の購入を一時中止すると速報が出ています。これは習近平氏が北戴河向けに出さざるを得ない声明なのだろうと思います。同様に中国元が心理的節目の対ドル7元を下回る元安を容認しているようですが、これも同様の理由と見ています。それに対し、アメリカは中国が為替操作国と速攻で認定しました。プロセスが早すぎます。

多分、株式市場はしばし大荒れになります。特にファンダメンタルズが弱い韓国には厳しい試練が待ち構えているはずですが、日本市場も相当刺激的な状況になるとみています。

トランプ大統領はG20で米中通商戦争の「一時休戦」と言っておきながら第4弾制裁を課すとしたのはいくら何でもルール違反です。私はこの追加制裁はFRBがトランプ大統領の期待する利下げやステートメントを発しなかったお返しだったのではないか、とこのブログで書かせていただきました。その「効果」もあり、9月のFOMCで利下げが行われる公算は相当高くなりました。しかし、それはトランプ大統領自らが壊した世界経済の結果だということを肝に銘じてもらわねばなりません。

それと今一番慌てているのはあのまずい記者会見をしたパウエル議長ではないかという気もします。

では今日はこのぐらいで。

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なぜ日銀は悩むのか?4

黒田日銀総裁は顔にこそ出さないものの相当悩んでいると私は思っています。昨日の日銀の定例の金融政策決定会合では現状維持を7対2で決定した上でそのステートメントで「物価目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合は『ちゅうちょなく追加的な金融緩和措置を講じる』との文言を新たに追加」(ブルームバーグ)とあります。

私の違和感は「物価目標」であります。正直、黒田氏が総裁に就任してから一度も目標に達していないだけでなく、その達成時期もたびたび延期しています。結局、今年の物価見通しも本年を1.2%に下方修正、来年度は1.6%となっています。2%が目標でしたから遠い感じがします。

来年度がポンと跳ね上がっているのはオリンピック開催に伴う消費の一時的盛り上がりを見込んでいるのかもしれません。ただ、通常、オリンピックそれ自体の景気というのは局地的なもので割と広がりはありません。むしろ、オリンピックは入場チケット数という枠がある上にそれが理由で海外からの訪日客が観光時期をずらす傾向もみられるため、思ったほど数字が伸びないものなのです。

個人的には来年1.6%の物価上昇は手が届かない目標だとみています。不動産市況が緩くなってきており、企業の景況も冴えないことを考えれば下方修正は必至とみています。

金利が通常レベルにあるならばともかく、ほぼ下限を這いつくばう状態の中、技巧的手法による金融政策の物価コントロールは功を奏していません。にもかわらず「追加的金融緩和を辞さず」というのはもはや物価調整は大義名分であり、円の通貨防衛であるとみています。明日、アメリカで開催されるFOMCでは10年ぶりの利下げが実現されると見られています。また、欧州中央銀行も金融緩和姿勢で臨んでいます。トランプ大統領はドル安にするためにツィッターで吠えていますが、ドル安というよりドル独歩高を阻止するという防戦にあります。

アメリカが今時金利を下げる理由などあまりないと私はこのブログで何度か申し上げてきました。ようやく、一部の機関投資家や巨大ファンドのトップたちが「今は下げるべきではない」と言い始めているのは世界の中で見るアメリカ経済は「強すぎる」状態にあるからでしょう。

なぜここまで強くなったかといえば資本と人材と支配という三つの武器を持ち合わせているからで世界経済がアンバランスな状態にあるとも言えます。

そんな中、アメリカが利上げをすればドル独歩高がさらに進む、さりとて、利下げをすればアメリカ経済が更に強まるというジレンマに陥っているというのが私の見る今の世界経済の情勢であります。

日銀の金融政策の目的は物価と労働市場の調整という名目があります。ただし、世界経済がここまでリンクしてくるとそれが為替に大きく影響するという副作用が発生します。そして中央銀行は言葉にこそしませんが、今や、副作用対策が本質的な問題になっているとも言えます。

なぜなら為替によって国家の経済力は大きく左右され、自国通貨を比較的安めに誘導すれば輸出ドライブが効き、結果として雇用が改善し、国内経済が活性化、物価も上昇するというシナリオが描けるのです。

ならばいっそのこと、リブラ通貨で政府紙幣の影響力を下げよという毒舌すら吐きたくなります。

日銀の今のスタンスで行くと円は買われる方向にあります。購買力平価を考えても中期100円割れは妥当なところかもしれません。日本人が北米でまともなホテルにすら泊まることができない物価なのは為替レートそのものがおかしいか、アメリカの経済力だけが一人旅を続け、我々がはるかに引き離された、という課題を抱えているかのどちらかでしょう。

極めて難しい問題です。もう一歩突っ込んでいけば金融政策による経済調整機能の限界に達してきている可能性はあるのかもしれません。経済政策主導型をもっと取り込むべきで日銀に全てを背負わせる時代はもう終わっているかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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