外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

外交

米中デカップリングは有効か?4

中国から北米に来る人には強い共産党意識を持ったままの人と何らかの理由で自由を求めて脱出した人の二通りが主流かと思います。トランプ大統領が中国からの留学生に一定の懸念を持つのは彼らの一部が情報のトンネル役となっている疑いが高いからです。

五毛党というのはネット上で共産党や中国を賛美し、その書き込み一つ当たり0.5元貰える仕組みで多い年には年間4-5億件も書き込みがあったとされます。学生が果たす中国本土とのパイプという意味では恐ろしいものがあり、時間をかけながら少しずつ意識を改革していくわけでしょう。

また、最近会ったある中国人はカナダに移住する時は「洗脳されていた」と断言します。その方はその洗脳から覚め、とてもじゃないが、中国にはもう戻れないと気がついたと述べています。

洗脳の歴史は日本にもあります。比較的よく知られているのが大戦直後、シベリア抑留されていた方々の一部に抑留中にあった赤化教育(共産主義教育)で強い影響をを受け、別人のようになって帰ってきたという話であります。

話題の北朝鮮からの脱北者がビラを風船で飛ばして北朝鮮に撒くのも洗脳から覚めさせようという手段です。

米中デカップリングが政策的に進むと中国国内の洗脳が進みやすくなる公算があります。つまり、トランプ大統領の米中断絶政策は目先のプラス効果と長期的悪影響を比較すると逆効果が強く出る可能性があり、個人的にはうまくないだろうと考えています。一番わかりやすい例は北朝鮮で、国を閉じているため、北朝鮮の人々は完全に洗脳されやすくなるのと同じです。そしてとんでもないスパイ合戦が繰り広げられることになり、小説や映画のような事件も起きかねなくなります。

今般、香港が中国化しようとしています。香港国家安全法が施行されたため、アメリカは香港が高度な一国二国制度をとっているという前提で提供していた各種優遇措置を撤廃していく方針です。これでアメリカと中国が香港経由でつながっていたラインが分断されかねないリスクが生じています。

私の見方はこれは第一弾に過ぎず、次に中国は台湾との敵対関係をより鮮明にさせるとみています。いわゆる膨張する共産党であります。

問題は今の中国人の生活が極めて近代化しており、デカップリングしても目先、たいして困らないということ、中国は全世界全てを敵に回しているわけではないし、経済関係については欧州や日本はアメリカほどの姿勢を見せていないことから彼らが直ちに何か困るわけではないのです。

もしも本当の意味でのデカップリングをするのであれば食料や資源の輸出禁止策が考えられますが、全世界が足並みを揃えるとは思えないこと、中国からの輸入に頼らざるを得ないアイテムもあることから現実的ではないのかもしれません。

トランプ大統領がWHO(世界保健機関)に変わる別の機関創設に動いています。もしもこれが成功裏となれば世界のあらゆる国際機関が分断しないとは限らず、緊張感は高まりますが、アメリカの政策に対して同盟国であっても皆同じ温度ではないことは頭に入れておく必要がありそうです。

個人的にはデカップリングではなく、逆洗脳型政策もあるのかもしれないと思っています。それこそ開かれた中国人社会である台湾やブラックホールに吸い込まれそうな香港人を介して中国本土に強い影響を与えることは可能ではないかと思います。その意味で英国が香港人をウェルカムしようとする政策は正しい方向であるし、アメリカが台湾に接近するのもよいことでしょう。チベットやウイグルから宗教的な攻め方をするのもアリだと思います。

時間はかかりますし、理想論かもしれませんが、中国国民に開かれた自由で民主的な社会を謳歌することを知らしめること、そしてその道筋へ指導することが先決ではないかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

米中対立が生み出す世界のうずしお4

トランプ大統領が矢継ぎ早に様々な議論を巻き起こす行動を行いました。中国の決定を受けた香港への優遇措置の見直し、WHOからの離脱、SNSを提供する会社の免責を再考する通信品位法第230条の見直しであります。

対香港政策については中国のコロナやファーウェイ問題でいら立ちを見せる西側諸国を更に刺激しました。カナダではファーウェイのCFO釈放が見送られる判決が出てカナダと中国の間の政治的テンションは上がっています。カナダの調査ではファーウェイ社の5Gサービスを国内に整備することに否定的な声が過半数を示すという結果も出ています。

オーストラリアではコロナ中国発生源説の追及を行うという姿勢を明白に打ち出しました。中国は報復としてオーストラリア産農産物の一部輸入規制を行ったもののモリソン首相は「国益に基づく主張を我慢することはない」(日経)と引く気配を見せません。

日本はアメリカのWHO離脱に関して慰留しないスタンスではないかと産経が報じています。

一方、欧州は英国を除き、一体感はなく国ごとに対応はばらつきが出るとみられています。背景には既に中国と切っても切れない関係を築いたところもあるし、ドイツのように自動車産業を通じて関係を強化する動きも見られます。

地球儀ベースでみるとアメリカと一体感を持つ英、加、豪そして日本が一つのグループとして動きます。英国が抜けるEU諸国ではEUオリジナル国であるECSCのメンバー国とその後に加盟した国との立場の違い、あるいは南北間の経済格差や欧州西部と旧共産圏だった欧州東部との社会思想の違いもあります。その中であえてその結束力を維持している理由はキリスト教という共通点だけなのかもしれません。その中で加盟候補国であるトルコはイスラムの国であり果たして宗教の壁を越えられるのか、一つの分岐点に差し掛かっています。

こう見ると世界の主要国は一種のブロック化が進む公算がやはり出てきているように感じるのです。アメリカグループ、EUグループ、そして中国グループです。ここにそれ以外の大国であるロシア、インド、ブラジルがどう反応するか、中東諸国を中心とするイスラム国の動き、更に東南アジア諸国をどう束ねるか等エレメントは非常に多くなります。

1930年代の大不況下、各国は金本位制からの離脱を受けて自国経済の防衛に必死となり、関税競争が始まります。そして通貨圏をベースに世界が5つに分かれます。英米仏独日であります。経済学的には非常に評判が悪いこの体制をブロック経済と言いますが、これがのちのち第二次世界大戦の背景にもなっていきます。

今日の経済情勢、国家間のリンクを考える限り、主要ブロックが今後、サブブロックの取り込みを急ぐことになるとみています。例えば日本は東南アジアを取り込む動きを強化し、アメリカは南米を取り込みたいでしょう。特にブラジルは中国が最大の貿易相手国であり、アメリカとの疎遠な関係もある経緯からどうやってそれを覆すのかという課題が残ります。中国は欧州の一部、例えばギリシャやイタリアの取り込みを急ぎながら一帯一路を推進していくことになるでしょう。

これらが世界経済、グローバル化の観点からマイナスであることは言うまでもないことですが、私には時代の循環として避けがたいサイクルに突入しつつあるようにも感じます。前回は第二次世界大戦までのサイクルでそれを底に米ソ冷戦期間をへて和平が進み、1991年のソ連崩壊を経てグローバル化の花が咲いたのです。

この30年弱の間に起きたことは先進国主導体制からG20にみられる多国間の協調、そして中国の台頭であります。世界はそれらの変化に必ずしも柔軟に対応できないわけで自己利益の確保の手段をどう担保するのか、そのスタンスに差が出ました。中国を潰すとするアメリカグループに対してドイツのように中国にそれでも取り入り、共存を図る国もあります。これがG7などでの意見の相違からまとまらない世界へと移行していくのでしょう。

トランプ大統領と習近平国家主席という双方負けず嫌いで政治的でアグレッシブで敵対する関係はパーソナリティによるところもありそうです。

いま、コロナで新しい社会が生まれるといわれています。しかし、もっと俯瞰すると地球儀ベースで更に大規模な変革が起こりつつあり、コロナが更にその背中を押しているように感じます。我々はどこに向かうのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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中国は何をしたいのか?4

延期されていた中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が22日から始まります。その前哨戦である常務委員会は4月26日から29日の日程で開催されており、全人代に向けた方針は既に決定しているものと思われます。

その間隙を突くかのようにアメリカは中国批判を強化、中国側も対アメリカだけではなくあらゆる方面に強硬な姿勢を取り始めています。5月8日には尖閣諸島のそばの領海に中国公船が侵入、日本の漁船が追いかけられるということもありました。

また12日には中国がオーストラリアからの特定食肉処理場からの輸入を禁止すると発表しています。禁止の理由については報道を見る限り些細な実務的案件で長く存在していた事象なのに今更それを理由に強硬姿勢を見せたことからオーストラリア政府のコロナ中国起源説主張への反発ではないかと憶測する向きもあります。

他にも台湾外交、南シナ海関係など中国の強気の姿勢が見えるものが多くなってきています。

一般的な解釈としては全人代に向けて中国共産党の団結力を再確認し、世界にその強さをアピールするものではないかと思われます。特にコロナからの立ち直りが一番早かった、経済的にも回復が進んでおり、中国は世界のコロナ禍への見舞い、ないし回復への援助を申し立て「世界で最も素晴らしい国家」であることを知らしめようとしているのだろうとみています。

逆に言えばそれだけ中国は世界から厳しい目で見られており、焦っているともいえるのでしょう。

まずは中国国内経済の立て直しが喫緊の課題となりますが、今聞こえてきているのは工場などの稼働は8割以上戻っているものの消費が追い付いていないようであります。いわゆるデフレの足音であります。5月8日当ブログ「コロナ後に果たしてインフレーションがやってくるのか」で記したように先進国では目先のブレはあるが長期的には緩やかなものになると考えています。しかし中国はデフレの可能性は大いにあると考えています。

1930年代大不況が長引いた原因の一つに生産性の向上がありました。20年代の好景気に自動車産業を中心に工業化の波が押し寄せたものの大不況になり、高い失業率が長続きました。それは企業の効率が高まり以前より人が必要なくなったからであります。農業についても機械化が進み生産効率が上がり過ぎ、景気回復と総需要のバランスが取れなくなったという研究もあります。

中国はその点からすると30年代大不況の背景に似た経済構造になっており、デフレリスクは正しい見方だと考えます。そのため、彼らは需要を他国に求め、輸出先を必死に探すはずですが大需要国アメリカを含め、世界の包囲網が厳しく、中々打破できないというジレンマに追い込まれているというのが私の見方であります。

次に習近平国家主席の権威がどう維持されるか、ここも難しいかじ取りが求められると思います。以前、ご紹介したように中国は2010年比で20年末までにGDPを倍増させる必要があり、そのためには今年のGDPが5.6%ないと達成できません。21年に中国共産党創立100周年を祝うためには鉛筆を舐めてでも絶対に達成が必要なはずで、現政権はなりふり構わぬ対策を取るとみています。

その中でトランプ大統領の「苛め対策」は表面的には紳士面、裏で大統領選挙対策などあらゆる強硬策をとるとみています。そうなると日本はどうなるか、でありますが、外交のシーソーを考えると日本には基本的にはスィートハートになるとみています。軽いけん制はあるとしてもバトルにはならないし、中国は日本を「低リスクカントリー」と思っている節はあります。

最悪のシナリオは米ソ冷戦時代を彷彿とさせる米中対峙時代であります。が、個人的には「そこまでやって中国共産党の体面を維持するのか」という疑問はあります。当面は対外的には負けん気を出し続けると思いますが、中国国内経済の行方が重しになり、しばしもがくとみています。

では今日はこのぐらいで。

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世界で広がる中国に対するコロナクレームの行方4

コロナの情報開示が十分ではなく、隠ぺいしたという理由で世界各地から中国への大訴訟合戦が始まっています。これはまだ始まりの段階でこれからさらに多くの国が訴訟に動く可能性があり、最終的にどんな賠償請求に積みあがるのか想像を絶する状態になりそうです。

アメリカのポンペオ国務長官は諜報ルートから武漢の研究所がその問題の根源であるという膨大な証拠(significant amount of evidences)を持っていると発言、トランプ大統領もフォローしており、現在アメリカの州レベルの訴訟が国家レベルの激しいバトルになることが予想され、今度はそれが理由で株価が揺さぶられるという事態も生じています。

他にオーストラリア、ドイツ、フランスが動いており、感染者が急増した英国も訴訟に向けた検討を行っています。特にドイツについてはメルケル首相がもともと中国寄りだったとされる中で態度急変となっており、中国と蜜月の関係にあったから訴訟はしないというシナリオは通用しなくなるのかもしれません。

ではこのウィルスの根源は何だったのかですが、日経が「米国の情報機関を統括する国家情報官室(DNI)は新型コロナが『人工でも遺伝子組み換えされたものでもない』との見解を示しているが、発生源については結論を示していない」と報じています。この一文にもみられるように新型ウィルスが研究所内で人為的に作られたわけではなさそうですが、非常に強力なウィルスが何らかの形で漏れたにもかかわらず、中国はそれを黙っていた、英語でいうnegligence (過失)というのがシナリオのようであります。

ちなみにアメリカでの報道では「人間と実験室で作られたウィルスには通常では超えられない障壁があるが、それが(何らかの形で)野生で発生し『Zoonotic Spillover(動物由来感染症の波及)』が起きた可能性が高い」とみています。また、国土安全保障省は中国は1月初めにコロナの問題を意図的に隠蔽し、世の中に発覚する前に医薬品の輸入を増やし、輸出を減らすことで医薬品在庫を増やしたと報告しています。

では容易ではない国家間訴訟をどう乗り越えるのかですが、今回の欧米の動きを見ていると関税の引き上げや中国の在外資産の差し押さえが有力視されています。かといって一方的な差し押さえができるわけではなく、本来は長い裁判を通じて判断していくところをトランプ大統領は選挙アピールで政治バトルにもっていこうとしているようにも見えます。

これら一連の動きに関して様々な意見があるかと思います。私はそれ以前にこのコロナの終息宣言が出た時点でWHOをいったん解散し、機能、人事、体制を切り替えるぐらいの刷新が必要かとみています。以前から申し上げているようにWHOのテドロス事務局長は中国寄りの姿勢だけでなく、上記のアメリカ政府の分析が正しいなら「悪の片棒」を担ぐことで世界に向けた危機状況の発信を決定的に遅延させ、しかも本人はその頃、習近平国家主席と仲良く会談しているわけです。WHOが本当に危機を感じたのは欧州での感染が本格化したところであり、あまりにも作為的怠慢であったと考えています。

テドロス事務局長辞任要求は世界で署名活動が行われており、私も一票投じています。現在102万人以上に上る署名が集まっているとされ、針のむしろ状態にあると思いますが、コロナが沈静化していない今、辞めるに辞められないとされます。いづれ、辞任すると思われその際に中国の「盟友」は消えることになるのでしょう。

次に中国への訴訟と賠償請求がヒートアップすると欧米人の中国人への感情が悪化することで迷惑な懸念材料が出てきます。すでに白人がアジア人に対してヘイトクライムするケースが続出しており、日本人の多くも巻き添えを食らっています。当地の日本国総領事館からも警告の通達が在住者に発出されています。

折しも職を失った人だらけで街中が荒れ、ストレスを溜めた人が増えている中、白人が汚い言葉で罵る話は私も耳にしており、特に女性にその被害者が多いような感じもします。白人の一般人からすれば日中韓の顔の区別などつかない中(私だって年中、間違えます)、一様にヘイトされる居心地が悪い状況が生じてきそうです。

最後に中国にどう攻め入るのか、であります。アメリカは「決定的証拠」を少しずつ見せて世論を煽るとみており、中国としては非常にやりにくい展開にあるとみています。習近平氏にとって昨年一年は関税戦争対策で苦労し、今年1月15日にようやく第一弾の合意署名を行ったところでした。

今回は情報工作、隠ぺい対策といった民主主義国家からすれば最も非難される中国の特性を直球ど真ん中から攻め入るわけで果たして本当に防戦できるのか軽率に予想できない状態です。アメリカの矛先が習近平体制にあるとすればこの牙城が壊れるまで攻め続けるのかもしれません。

江沢民国家主席が03年3月に退任したのは、氏が国家目標を達成できなかったことがその退任理由ですが、SARSの蔓延も間接的にあったとされます。習近平氏は中国共産党結党100周年の21年までにGDPが10年比で倍増になることを掲げていますが、達成はまず不可能となった今、習近平氏の身の置き方が今後の焦点になるとみています。

では今日はこのぐらいで。

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混沌とする世界、トランプ大統領のシナリオ4

年明け早々、アメリカとイランの物騒な話題で幕を開けてしまいました。この問題はまだ第一幕であるので第二幕、第三幕と続くと思いますが、読みにくいこのシナリオをトランプ大統領がどこまで確信的に計算したうえで行動するのでしょうか?そしてもし、それが最終的に大統領再選へのストーリーだとすれば大きな賭けといわざるを得ないと思います。

個人的には1月中に行われるトランプ大統領への上院での弾劾裁判に関し、人々の目線を少しでも違う方に持っていきたいという思惑を見て取っています。上院の弾劾裁判はまずもって可決する可能性はないのですが、弾劾という響きそのものを薄くし、どちらかといえば人々の目線を対外問題に引き付け、トランプ大統領の手腕を見せつける効果を狙ってる公算は大いにあるとみています。

次いで気になるのは大統領がエアフォースワンで5日、フロリダからワシントンに戻る機内での会見で「金正恩朝鮮労働党委員長が私との約束を破るとは思わないが、もしかすると破るかもしれない」と語っている点です。たった一言だけ北朝鮮に言及しているのですが、今までの金正恩氏への期待値が込められたトーンと全く変わっている点に留意したいと思います。当然ながら大統領には様々な情報が上げられているわけで北朝鮮はアメリカとディールしないという姿勢を見せている可能性が高いのだろうと思います。イランの次には北朝鮮にも厳しい姿勢を見せる可能性を示唆しているように感じます。

今回のイランのソレイマニ司令官殺害という行動は今まで放置してはいけなかった要注意人物を「誰もやらないから俺がやった」という点を強調する目的もあります。これは金正恩氏に対しての警告であるともいえます。ただ、ウーサマ ビン ラーディン氏を殺害するのとは違うインパクトがあります。私がいみじくも先週土曜日のブログで「イランは必ず報復する」と述べましたが、国と国の関係、国民性、執着心、宗教的な常識観の相違などは日本ではなかなかわからない肌感覚というものがあります。

カナダはイラン人が多く、特にここバンクーバー地区のイラン人人口は大きく、私のシェアオフィスの周りはイラン人だらけで顧客にもイラン人は相当多く抱えています。イラン人が世界中に散らばる中、本件の扱い方を間違えればとんでもないことになるのは確実であり、大統領選挙どころではなくなる可能性もあります。

ところでアメリカ経済と株式市場にはどのような影響が出るでしょうか?経済については見方が分かれており、いつまでも右肩上がりが続くものではないという景気循環説に基づく息切れを唱える説と今年はまだ大丈夫だろうという楽観説があります。高揚感なき株価の堅調さとは金融緩和でじゃぶじゃぶのマネーが行き場を失っているだけであります。ただ、実体経済と踊らされている株価に乖離が生じるようになれば否が応でも売られることはあるでしょう。

その際にトランプ大統領はFRBに「利下げをしないからいけないのだ」とツィッター砲を放ち、事実、実体経済が低迷すれば利下げを考えざるを得ない状態になります。また、それは大統領の嫌うドル高からドル安へ実質的に誘導できるわけですから大統領としては実に都合の良いシナリオが完成します。

さて、計算通りにコトが運ぶかは大統領のかじ取り次第でありますが、少なくとも運転席でハンドルを握るのは大統領その人だという点においてこれはアメリカという国家の機関決定なのか、ドナルド トランプ氏という個人の無茶ぶりなのか、案外アメリカの一般国民が一番冷静に物事を見ているのかもしれません。

2020年、一年かけた壮大なドラマが始まります。

では今日はこのぐらいで。

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逆境のトランプ大統領、アメリカは盤石か?4

世に吹く風は気まぐれです。その風がそよ風だと思っているといつの間にか飛ばされるほどの猛威を振るうこともあります。トランプ大統領のアメリカは果たして盤石なのか、私には空模様がだいぶ変わってきているように見えます。

トランプ大統領が訪問中の英国でその立場は決して影響力ある中心人物ではなかったように見えます。そしてNATOでの記者会見を突然、キャンセルしました。アメリカにとって会議が不調だった表れです。

フランスにはデジタル課税への報復で最大100%の関税かけると明言したトランプ大統領は相変わらずTariff Man(関税男)の名に恥じない勝負に出ました。ところが、英国ジョンソン首相は「おれはフランスの味方だ」とアメリカをけん制しました。ジョンソン首相の発言には多分に政治的意図が感じられます。12日の総選挙に向け単独過半数は絶対確保しなくてはいけない中、アメリカのプードルといわれる英国は「飼い犬」ではないという立場を明白にする必要があったのでしょう。

香港人権法案で勢いづくアメリカ議会は下院でウイグル人権法案も圧倒的多数で可決しました。中国側は「バカな法案」と取り合っていませんがアメリカは次々と人権法案を可決させる公算はあります。その意図はルビオ議員に見られるような徹底的な中国叩きであります。もちろん、近年の中国の動向には世界中が注目しており、NATOのロンドン宣言でも対中国の脅威を盛り込みました。その点ではルビオ議員の動きが際立っているとは言えないのかもしれませんが、アメリカがそこまで踏み込む必要があるのかという疑問もあるでしょう。

中国の王毅外相は韓国を訪問中ですが、中韓の関係改善を模索する可能性があります。これはアメリカが在韓駐留軍の費用を5倍に引き上げるという強気姿勢に韓国の左派政権は中国寄りに舵を切りたいところだったと思われます。王外相が文大統領とどんな交渉をするのか注目です。

米中の通商交渉は12月15日に再び税率引き上げを実行するアメリカに対して「第一弾の交渉妥結」がそれまでにできるのか、耳目を集めていますが、その行方を巡り日替わりで楽観と悲観が入れ替わる状態になっています。個人的には無理ではないか、という気がしています。

アメリカと戦って勝てる国はないといわれます。最大の武器はドルという通貨でありましょう。そしてアメリカ市場という大消費地、三番目に政治力、四番目に世界最先端の技術であります。ただし、アメリカがいつまでも盤石かといえばそうでもないかもしれません。

多国間貿易協定ではアメリカは出遅れています。通貨はデジタル化が進行すればドルの威信が揺らぐことはあり得ます。(それゆえアメリカは仮想通貨「リブロ」が嫌いなのであります。)消費も新興国の発展とともに市場のすそ野は広がっています。政治力は多数決の原則があります。どれもアメリカが絶対ではありません。

トランプ大統領が関税を通じて世界の当局者を恐怖に陥れているのはアメリカが攻勢ではなく守勢とみることも可能です。今の利益を確保しつづけ、企業と国民に富を与え続けることが絶対条件である中で世界から嫌われようが、経済戦争をしようが、自分の言い分を貫くというわけです。

ファーウェイがアメリカの研究所をカナダに動かす可能性があると報じられています。一時期注目されたファーウェイ包囲網、今それを積極的に行っているのは日本、オーストラリア、ベトナムなどごく限られた国で東南アジア諸国も多くでファーウェイ ウェルカムとなりつつあります。

アメリカが四面楚歌になった時、一番困るのはトランプ大統領でしょう。民主党は手をこまねいています。対中国の人権法案が上院、下院の圧倒的多数で支持されているのはうがった見方をすれば民主党がトランプ大統領を困らせる作戦ではないか、とも見えるのです。対中国の外交がくちゃくちゃになればなるほど大統領選では民主党に分があります。

これは史上最大の選挙戦なのか、それともアメリカの賞味期限なのか、それとも単に考えすぎなのか、いろいろな切り口はあると思いますが、もがくアメリカがこのままではもっと苦しくなる公算が絶対ないとも言えないように感じます。

では今日はこのぐらいで。

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世界不和のシナリオ、2020年への考察4

イアン ブレマー氏率いる世界最大の政治リスク コンサルタント、ユーラシア グループが2019年初頭に発表した「今年のリスク」は ̄儿颪EU脱退、財政悪化加盟国の増加、アフリカ、中南米の政治不安による移民の増加、G−ゼロに伴う中国ロシアの台頭等の地域的不安定要因、▲肇薀鵐彗臈領に代表される国際協力より自国の権益等のナショナリズムの優先、4存の国際的な組織制度、システム等における利害関係、存在価値等への対応の必要性、ぐ枉鏥ぞ歸による自然災害の増加(日本税務協会のウェブより)となっていました。

12月に入るこの時期にこうやって見直してみると当たっているようで当たっていないところもあります。ちなみに私が毎年年初に発表している今年の10大予想のうち、政治に関してみると2019年東アジア政治は台風の目、∧断化する世界、自己中心か共存か、2その混沌をテーマに挙げていました。

地球儀ベースで世界の不和を見れば各地でいろいろなことが起きているのですが、私があえて挙げるのは二つ。一つは朝鮮半島情勢、もう一つはトルコであります。

まず、朝鮮半島情勢ですが、今年も半島をめぐり様々なことがありました。6月にトランプ大統領が板門店の軍事境界線を越え、金正恩委員長と接しました。GSOMIAや日韓をめぐる各種攻防もありました。問題はここからです。イアンブレマー氏はあまりアジア情勢についての強みがない気がしますが、私は朝鮮半島は再び政治利用されるとみています。

一つには香港人権法案をめぐる中国のアメリカへの報復です。何が飛び出すかわからないし、一つではなく、いくつものことがあるかもしれません。その中で中国の北朝鮮へのテコ入れは大いにあり得るとみています。金正恩氏が数日前、飛ばしたミサイルの意図はGSOMIAに対する反発かもしれませんが、米中の不和に乗じて新たなる戦略を考えている節があります。更に金正恩氏は以前よりアメリカとの外交交渉に於いて「年内にアメリカから好条件を引き出せないなら考えるところがある」としており、年明け早々にも何か行動を起こす機運があります。その際、中国が北朝鮮をひそかに支援することはあり得ます。

韓国国内の混乱も視野に入ってくるかもしれません。韓国の政権の不安定化が更に北朝鮮に勢いづかせるかもしれないし、駐韓国駐留米軍の費用についても大きなイシューとなるでしょう。(日本にとって対岸の火ではないのですが。)

もう一つの不安材料、トルコであります。昔からこのアジアとヨーロッパの接点が巻き起こす火種は絶えたことがありません。それだけ様々な影響を受けやすい位置と歴史的背景があるから、と言えます。トルコがEUに入りたくても入れないその理由の一つはイスラム教が主体の国家ということもあるし、NATOの関係もあるでしょう。特にロシアから武器、兵器を購入したことで西側防衛システムが破られると懸念されるところもあります。また、クルド人とシリアとの関係も常に不安定です。中東の移民がトルコ経由で欧州流れ続けることで欧州各国のトルコへのプレッシャーは大きいものになっています。

ではその背後にいる欧州はどうなのか、といえば離脱しそうな英国、傀儡のドイツ、メルケル政権、不人気のフランス、マクロン政権とリーダーシップ欠如感がはなはだしいと言わざるを得ません。

そんな中、アメリカのトランプ大統領は「世界の警官」はやらないと言いながらも「世界の検察」としての機能をより強化する動きに世界から反発と安ど感が漂う奇妙な居心地の良さがあったことも事実です。ところが再三、書かせて頂いているようにトランプ氏が置かれている状況は1年前とは明らかに違います。私も数カ月前まではトランプ氏の大統領再選は間違いないと思っていましたし、今でもその確率は高いと思っていますが、一抹の不安を感じているのです。仮に民主党からブルームバーグ氏が大統領候補に選ばれ、トランプ氏と対峙した場合、接戦になりそうだとみているからです。

世界にとってアメリカの方針変更は地球儀ベースでは激震となることもあります。これが2020年に向けて読みづらく、守勢に回りたくなる理由であります。

ブレマー氏は「2019年はかなり良い年になる見込みです。敢えて申し上げると、特に政治的に危険な年ではありません。しかし、私たちは今後のトラブルに備えて準備をしています。大きな問題に備えて。そしてそれが私たちの一番のリスクです。」と述べていますが、私もこれに強く同感するのです。不和の種はあります。今まではその種が芽を出さないよう監視体制や強権などで押さえてきたものがオバマ体制の時のようにあらゆるところからあらゆる芽が育ってしまい、収拾がつかなくなったあの時代に戻る可能性があるのです。

そんなオバマ政権で唯一責められなかったのは経済で、就任期間中ずっと景気は回復し続けたという背景があることをしっかり理解する必要があります。(オバマさんが経済に強いわけではなく、イエレンFRB前議長の手腕とリーマンショック後の自律回復の波に乗っただけですが。)景気が悪化する要因があれば国際会議で玉虫色の共同声明は難しくなったはずです。

これだけ読むと確かに暗い陰鬱な気持ちになります。が、逆にこれに対策さえ打てれば必要以上に構えることもないと考えています。2020年は主義主張の対立ではなく、調整をすべきタイミングだと考えています。

では今日はこのぐらいで。

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