外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

自動車

売れる?売れない?自動車の行方4

自動車産業は重層な下請け構造とすそ野の広さ、雇用者数からしても自動車生産国においては極めて重要な業態とみなされています。英国のEU離脱に伴い、英国に進出していた自動車会社の撤退や製造の見直しの発表をするたびに大きく報じられるのは地域経済に大きな影響を与えるからでしょう。

そういう意味では今後も期待される新興国市場では経済向上と共に自動車販売向上が期待されるというシナリオはありますが、果たしてそれが本当に持続可能な状態にあるのか、考えてみたいと思います。

我々が今乗る自動車は過去100年かけて進化してきたものです。フォードがT型フォードと呼ばれる量産自動車の原型を作ったのは1908年。この車が1500万台も発売され、その後のモータリゼーションに火をつけました。一消費者として私の認識は70年代ぐらいから快適性や安全性、燃費や付加価値に対する開発競争が世界で加速されました。一般消費者レベルとしては今の自動車はどこを見ても十分なレベルまで到達したと考えています。

これは携帯電話、スマホの成長過程にその縮図を見出すのも可能です。そこに隠された課題とは長い産業成長過程においてその世代に生きる人がその製品と自分の人生に大きなオーバーラップさせることができ、高額の商品が社会に溶け込んでいたと表現したらどうでしょうか?

平たく言えば人の成長と共に自動車があり、数年たてば次々と欲しくなる車がどんどん発売され、向上意欲を掻き立てるということです。「いつかはクラウン」なんですね。数ある選択肢からローンを組んで「愛車」として大事に乗るのは家族の一員のような愛着すらあったわけです。スマホも同じで片時も放さず、数年間、自分の分身としての役割を果たしてくれるのと同じです。

これは人と産業の成長過程が「同期している」とも言えないでしょうか?ところが例えば中国に於いては突然ある程度完成された自動車が経済成長と共に外国から現れます。スマホも同じです。するとそこには成長過程を共に歩まない完成された「道具」としての価値観しか生まれないと考えています。

東南アジアの自動車販売に一部陰りが見えていると報じられています。7月はインドネシアが前年同月比-17%、マレーシアー26%、タイ-1%などとなっています。それぞれの国内経済事情によるものと思いますが、それらの国において国民が自動車と共に成長するという発想はないですから「道具」が買えるかどうか、というより現実に即した話になるのだろうと思います。

ところで自動車の寿命は長くなりました。日本では車の買換えは8年強、平均使用年数ですと13年強になっています。長くなった理由はいろいろあると思います。クルマそのものがメンテさえきちんとすればかなり長持ちすることもあるでしょう。もう一つは高齢者層が車の買換えをしなくなっているのもあるとみています。

とすれば本来であれば若者への自動車購入意欲増大を図るのが重要ですが、今の若い人にとって自動車は移動手段以外の何物でもなく、それが高級車か中古車かはこだわらない傾向は相当強い気がします。そもそも興味がないのです。例えていうなら私に高級な貴金属を見せるようなもので「へぇ、だから?」になってしまうのです。(まさに「豚に真珠」です。)

トヨタが新型カローラを発売し、コネクトカーとして、あるいはデザインを若者にアピールし、3ナンバーとするなどトヨタの真面目さをしっかり見せつけてくれました。でも私は市場へのインパクトは薄いとみています。

私のレンタカー部門、今年の最大の変化は「ほとんど誰も外付けGPS(ナビ)をオプションで借りなかった」ことにあります。スマホがあるからいらない、と言われるのです。ベンツやBMWの標準装備のGPSも設定がやや面倒くさいこともあり、普通の白人のお客ですら「そんなのいらないよ、スマホ使うよ」と言われるのです。あくまでもクルマは移動手段と割り切っているのです。

アメリカやカナダのように生活手段としての需要、および道路などのインフラが十分にあるところは今後も安定した需要を見込めます。ところが、例えばインドやインドネシアでモータリゼーションが起きても大渋滞で身動き一つできません。中国も当然ながらそれを経験しました。これは車を買いたいという意欲を大きく減退させます。

繰り返しますが、T型フォードが1908年に生まれた時からアメリカは自動車社会を前提に国づくりを進めたのです。一方、新興国のインフラはそもそもそんなものありません。だけど突然消費者の経済力が上がったからといって道路が増え、高速道路が充実するわけではないところに第一歩の間違いがあるのではないかと思います。

自動車はあくまでも移動手段の一つであり、人々は最も効率的な方法を考える一つのオプションとして車を選択するようになるとみています。(グーグルマップで二点間の移動方法を検索すると車はオプションの一つでしかないですよね。あれです。)自動車販売に於いて数をこなす時代はもはや過ぎ去りつつあるとみています。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

意味が深いルノーとFCAの提携交渉4

週末にとんでもないニュースが飛び込んできました。FCA(フィアット クライスラー オートモービル)とルノーの提携ないし統合話が進んでいるというのです。本件、現地時間月曜日朝8時より交渉が開始されるため、日本では火曜日にも大きなニュースをもたらす可能性があります。

どの様な形で両社がくっつのかはまだ不明で英語ニュースのタイトルもteam upであったり、partnershipであったりするので日経の記事にある「統合」まで踏み込むのかはまだわかりませんが、あり得る話ではあります。

FCAはリーマンショックを受けてフィアットがクライスラーを吸収合併した新会社であります。当時の経営責任者はイタリア系カナダ人、セルジオ マルキオーネ氏でなかなかのやり手でした。ところが66歳にしてがんで亡くなります。2018年のことでした。フィアット社はここで創業ファミリーからジョン エルカーン氏を会長に投入しながらも更なる合併相手を探し続けます。今回、先に提携交渉していたプジョーから色よい返事がもらえず、ルノーに乗り換えたものと思われます。

FCAは旧クライスラー系のブランド以外にフィアット、マセラッティ、アルファロメオがあり、ルノーに不足する高級車を一部配していることから経営の提携には一定のうまみはあるものと思われます。

ブランドを傘下にずらりと配するのはフォルクスワーゲンが得意とするところでしたが、仮にルノー/FCAグループができるとフォルクスワーゲンよりもはるかに強力なアライアンスになるはずです。理由は世界の市場をよりくまなくカバーしている点でしょうか?中国はやや弱みがありますが、相当の影響力は持つことができます。

では日産はどうだったのかという点ですが、推測ですが、蚊帳の外だった可能性もあります。日経にも「日産側は、FCAとルノーとの交渉については『何も聞いていない』(幹部)」とコメントされています。思うにルノーはFCAとの交渉が水面下で進んでいる際、その行方次第では日産との経営統合問題はFCAとの案件の展開次第でコントローラブルと考えた節がないでしょうか?

一方でルノーとFCAのアライアンスの噂は春先ごろからあり、当然、日産側は知っていたはず。これに対して日産側がFCAに水面下での事前の根回しができたかどうかは不明であります。もし、日産がFCAと事前交渉ががないとすれば交渉では不利な位置に立たされたことになります。ルノーとFCAがどういう形にしろくっつけば主導権は両社が握り、日産は中心的役割を果たしにくいでしょう。こういうことはビジネスの世界では往々にして起きるので今後の日産の出方に注目でしょう。

ではFCAはなぜ、提携先を探し続けたか、といえば次世代型自動車への開発能力の欠如以外の何物でもないと思います。北米を走る旧クライスラーの車はライトトラックも乗用車もパワーを重視した車が多く、根強いファン層を確保していますが先端技術という点ではフォード、GMに比し、完全に出遅れているとみてよいでしょう。

よって自動車業界の規模の経済のみならず、先端技術を求めるのであれば日産がキーになるはずで、このあたりが今後の交渉どころになるかもしれません。日産としてはこのアライアンス計画でどうやってポールポジションを取るのか、これが腕の見せ所となるでしょう。同社は幹部人材をシャッフルしている最中でタイミング的には難しいところですが、期待したいと思います。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

オートショーに見た消費の二極化4

先日、バンクーバーで開催されたオートショーを見に行くチャンスがありました。これだけ長く住んでいながら規模が小さい当地のオートショーには一度も行ったことがなかったのですが、東京モーターショーと違い、空いている分、ゆっくり車を堪能できる点ではよかったと思います。

さて、当地のオートショーは入り口を入るとまずはラグジュアリーカーとスポーツカーがずらりと並びます。なぜか異様にフェラーリが多かったのは出展しているのがメーカーではなく、ディーラーであったこともあります。

ラグジュアリー会場の次にある一般展示車会場で人の流れを見ていると自動車各社ラインアップでは上級車と実際に購入できそうな実用車に人気が分かれています。SUVに力を入れているところが多く、セダンはあまり人気がなかったのが印象的でした。また、一般車展示エリアにバンクーバーのカローラであるBMWやベンツなど欧州勢がほとんどなかったのも驚きであります。個人的に強い印象があったのはジャガーのFシリーズ(スポーツカーです)にはインド人がたくさん集まっていました。彼らのあこがれなのかもしれません。

全体を見渡して感じたのは運転席回りの仕様は日欧米どの車もほぼ同じようになってきている点でしょうか?センターコンソール近くの手元で操作できるような仕組みが主体となっているほか、インパネはゲームセンターのような液晶画面がかなり増えた印象です。車体価格は一般車でもずいぶん高くなってきていると思います。技術の進歩に対して価格上昇のバランスが悪い印象を持ちました。

私どももレンタカー部門があるので自動車価格はある程度認識していますが、弱小会社なのでフリートディスカウントと称するレンタカー卸用の特別割引が効きません。(メーカーによりますが、大きいところだと20-30%値引きがあるようです。)そうなると購入価格とその車からの予想売上、下取り価格を考えるとこれ以上の車体価格の上昇は弱小会社では吸収できない事態になります。私がしばしば申し上げる大資本、大規模が有利というのはこのことであります。

さて、話を元に戻しますが、1500万円以上するようなラグジュアリーカーの価値とはどこにあるのか、といえば見栄と優越感と差別化なのですが、購入者の生活水準に合わせた適材商品だともいえます。クルマも含めた生活全般のバランス感覚といいましょうか?つまり、10億円の価値がある住宅のガレージに日産ノートというわけにはいかないですし、ユニクロを着てマセラッティに乗るわけにもいかないわけです。

日本では一点豪華主義というのがあり、普通の方が一点だけ極めて高いものを持っているアンバランスなケースはごく普通に見られますが、海外では少ないと思います。ずいぶん昔、「日本はルイヴィトンをもった人が通勤電車に乗って会社通いしている不思議な国」とフランスで報じられたことがあります。夜のお仕事のお姉さまがシャネラーだったりするのも海外から見るととてもおかしな感覚ですが、日本の平等主義が生み出した独自性だと考えています。

海外を主体に考えると収入の二分化はより明白になってきています。資本家と労働者という歴史で習ったあの区分は別になくなったわけではなく、今でもごく普通に存在しており、資本家となり、アッパーな生活をする人たちが糸目をつけずに1500万円の車を普通に購入するわけです。一方、一般層はオートローンを組める現実的な自動車を探すという意味で中途半端な金額の車が少なくなってきた感じはします。感覚的には700万円から1000万円のレンジは中途半端な感じがします。

日本で軽自動車が今でも販売の主流であるのは消費層分布の結果だと思います。「2:6:2の法則」というのがあるのですが、自動車販売では6:2:2の法則にシフトしているように見えます。つまり軽自動車でいい、という層が6割、残り4割を普通車と高級車で市場を分けるという感じでしょうか?仮にそうだとすれば日本はいまだに世界有数の金持ちがいる国ですが、この30年弱で大衆層の地滑りが起きてしまったともいえそうです。

クルマがよりバルキーでボリューム感が出てきたのは海外のテイストを反映していると思います。大きく見せるのは自分の力の誇示であります。それゆえにセダンよりもSUV、アメリカではライトトラックがいいというのは運転しやすさもありますが、チビに見られないという自己顕示欲の表れなのかもしれないと考えればオートショーを見に行き、そこに群がる人たちを観察する価値は大いにあったとも言えそうです。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

ホンダの英国工場撤退の衝撃4

思った以上に大きなニュースになっているのがホンダの英国工場撤退の発表でした。テレビなどではこぞってトップニュース扱いになっていますし、今後も続報がいろいろ出てくるかと思います。ホンダは英国のEU離脱とは無関係と言っていますが、間接的にはトリガーとなった可能性は否定できないでしょう。同社はあわせてトルコの工場の閉鎖も打ち出しています。

今回の発表にはいくつかの切り口がありそうです。一つはただでさえ揺れる英国内の経済界や労働界からの声。一つにはホンダそのものの経営、最後に自動車産業経営の行方でしょうか。

英国は世界の名車を多く輩出してきた伝統国であり、自動車へのプライドは特段高いものがあります。ロールスロイスやマクラーレン、ローバー、ジャガーなど誰でも一度は名前を聞いたことがある方も多いでしょう。ただ、それら名門会社もロールスロイスは自動車というより航空機のエンジンに活力を見出し、マクラーレンは高級スポーツカーに特化し、ローバー、ジャガーはインドなどに売却されています。

英国の自動車工場はジャガー ランドローバー(JLR)の工場の規模が全部合わせれば最大になりますが、単体では日産のサンダーランド工場が44万台以上の生産能力を持ち、圧倒しています。今回発表したホンダのスィンドン工場は工場単体の規模としては4番目に位置し、ただでさえ将来を見据えられない英国の一般労働者を中心に連鎖反応を含めた懸念が広がっていることと察します。

英国離脱の行方がもう少しはっきりする3月29日まであと1カ月強となった今、なぜ、このタイミングで工場閉鎖を発表しなくてはいけなかったのか、このあたりにホンダの経営方針との兼ね合いがあったのでしょうか?

ホンダは海外生産型経営をしており、日本からの輸出台数、比率は他社に比べ極端に少ない自動車会社であります。ただし、4輪車工場の場所は割と偏りがあり、日本以外では北米3か国、および中国が主力となります。欧州では英国工場を閉めると生産拠点はなくなり、ラインアップからすれば中国あたりからか、EUとFTAのあるカナダからの輸出もありかと思います。

閉鎖の理由は欧州での販売力が弱いの一言だと思います。ドイツメーカーなど競合がひしめく中でホンダを際立たせることができなかったのだろうと思います。

同社は自動車メーカーの連合、連携化が進む中で基本的に独立独歩を進めています。最近GMと自動運転部門で提携を結びましたが部分提携はしても全面提携はしない方針を貫いています。その中でトヨタですら自動車業界の将来を見通せない中でホンダの経営が効率主義という名の縮小均衡を目指しているように見えなくもありません。小さくまとまる、ということでしょうか?

一方、記者会見で八郷隆弘社長が「欧州での電動化への対応を鑑みて、欧州での生産は競争力の観点から難しいと判断した」(日経)とあります。これは自動車作りの根本フレームが変わりつつある中で今までの仕組みをガラガラポンするための布石と考えれば5年、10年後を見据え、新たな自動車づくりをするための先手を打ちやすくする方策と考えらえなくもありません。

ところでブルームバーグにカナダメーカーが生産する「ソロ」という一人乗り電動自動車が大きく売れ、GMが閉鎖予定のカナダ、オシャワ工場救済の可能性も、と報じています。この車はたまたま近くの住民が乗っていることもあり、2年ぐらい前から目にしていましたが、奇妙なスタイルながらも価格は170万円程度。同社社長が「4万5000ドルや10万ドル、25万ドルの車を生産するのは素晴らしいことだが、大衆車としてはいかがなものか。ガソリンを使わずにすむ1万5000ドルの車こそクリエーティブだ」と発言しています。

ホンダを含め、自動車メーカーはこのような小さな、しかし想像力たくましい会社と戦わねばならない時代に突入したということでしょう。新たな戦国時代に突入した自動車業界で生き残る方策は大資本、連携、独創性、はたまた政治力など実に難しくなったと言えそうです。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

曙ブレーキの私的整理に学ぶもの4

曙ブレーキという会社は日本の自動車部品メーカーとしては上位クラスでトヨタの協力会社組織でも代表的存在の会社でした。その企業が北米事業で詰まり、私的整理(ADR)を行うと発表しました。

北米は自動車が売れて売れてしょうがない状態です。この1-2年こそ、ピークアウト感が出ていますが、過去10年、ピックアップトラックを中心に兎に角、売れすぎだろうというぐらい好販売成績を残してきました。実際、曙ブレーキの北米はどうだったかといえばフル稼働、忙しくてどうにもならなかったというのが実態であったようです。

ではなぜ、私的整理なのでしょうか?どうやら理由は二つあるようです。一つは北米の自動車業界の動向に対して同社の北米事業が対応できず、結果として受注機会を逃し、急速な売り上げ減につながったこと、もう一つはそれを受けて地銀からの借入金返済要求であったようです。

同社にとって北米事業はセグメント上では最大の規模で18年3月期で北米だけで約1400億円の売り上げが立っています。日本国内は810億円水準ですからそのインパクトをご理解いただけるでしょう。連結売上高が2650億円であることを考えると北米だけで半分以上のウエイトを占めていたことになります。

ところが北米事業は順調だったとは言えません。リーマンショックで大きく縮小させた後、アメリカの自動車販売の急激な回復についていけず、2016年に売り上げ1670億円を付けた後大きく減少し、18年3月で1400億円、そして18年9月の半期決算では北米セグメントは売り上げで15.5%減少の637億円にまで減少させてしまいました。

理由は事業運営の「ドタバタ」と主要顧客のGMからの受注を逃したことにある、とされています。また、想像ですが、それらを受けて上期決算の内容があまりに芳しくなく、同社の取引金融機関の一つの地銀が「危ない」と見做し、貸金の返済を迫ったものと思われます。逆に言えばその地銀は自行の体力との兼ね合いでその貸金が不良化すれば自行の経営に大きく影響するという連想を起こした可能性はあります。

もう一つの想定は10-12月の第3四半期に北米事業の売り上げが更に落ち込んだ可能性があり、それを事前に察知して対策を打ったのかもしれません。

さて、私はこのニュースに接した時、日本企業の典型的な弱点をさらけ出したと感じています。日本の大企業の成長性が止まっていることはある程度認知されています。日経平均がアメリカなどの株式指標に比べて大きく引き離されている一つは日経平均採用銘柄の成長性が弱いこととされます。

ところが「日本企業の年功序列」は今でも王道であり、経団連やら同友会やらの役員になることを大企業の会長の花道的に捉えられています。曙ブレーキについてもトヨタの協力会社団体の協豊会で会長を二度、務めるなど序列の上を行き、胡坐をかいていたとみなされても致し方ないでしょう。

海外にいても日本からの大企業様の駐在員は偉くてローカルで頑張っている会社はその後塵を拝する状況は変わりません。東証一部が偉くて第二部やマザーズを見下すようなものでしょう。私はこれが日本をダメにしていると思っています。

自動車産業や建設業界のようにピラミッド型組織を形成する業界においては協力業者会を通じて厚い絆を誓い合うような仕組みになっています。これは一種の村落型共同運命体であり、裏切りは許されないのであります。つまり、何か違う発展を遂げたり、独自の展開をすることが極めて難しく、一種の護送船団型を形成してしまいます。

トヨタほどの企業が協豊会なる団体をどういう位置づけで考えていたのかわかりませんが、私はこのあたりからそもそも論が違っていたのだと思っています。私がゼネコンに在籍していた頃、もちろん、協力業者会はありました。しかし、特殊な能力をもつ業者ほどそういうところには入っていなかったのも事実です。よって大手ゼネコンで引っ張りだこになっていたという記憶があります。

曙ブレーキの私的整理と協力業者会の関係は別問題だろうと察しますが、根っこにはこういう体質が災いしたのではないかという気がしてなりません。

日本の大企業はいつか目覚めるのでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

足音が聞こえてきた電気自動車浸透の時代4

そろそろ車を買い替えたいと思いつつも大して乗らないし、それ以上にどうしても欲しいと思わせる車がなかなかなかったのですが、昨年秋頃、車に関する記事を読んでいて「これなら乗りたい」というのがようやく表れました。

それはポルシェの「タイカン」でEVの本格的スポーツカーであります。二つの電気モーターで馬力数は600以上、0-100KMは3.5秒以下とされます。かつ、4ドアなので今乗っている日本を代表する2ドアのスポーツカーに比べて扱いはよさそうです。価格もポルシェにしてはお手頃でカナダでは多分10万ドルは下回ると記事に書かれていました。

ただし、唯一の問題はどうやって充電するか、であります。自分の家の駐車場はコンドミニアムの管理組合が電気自動車の充電を頑として認めていません。ここがクリアになれば検討する価値はありそうです。

テスラがなぜ、それでも売れるのか、といえば車の新時代の価値観を是非とも感じたい高額所得者層のハートを捉えたからでしょう。申し訳ないですが、日産リーフでは夢の部分がなくて無理。高額所得者層には絶対空間が必要なようです。

ところが最近、私の顧客がモデルSからモデル3に乗り換えました。なぜ、と聞けばモデルSはデカすぎる、でもモデル3でも500キロは走るしとても満足している、と嬉しそうに話していました。高収入者が現実と実用性を直視し始めたのかもしれません。

これから欧州の車を中心に続々と高級EVが出てきます。時代は着実にそちらに向かっていきそうです。EVが比較的普及しているのが中国で2018年は78万台程度が販売されたとみられ、補助金政策や自動車メーカーへの一定台数のEV販売の縛りなどで強引にEV化を進め、2020年に200万台、25年に全体の4分の1をEVにすると計画しています。

何故、中国ではEVが普及しやすいのか、といえば内燃機関の自動車では完全に出遅れたため、EV市場に賭けているというのが国策的理由でもあり中国の自動車メーカーのモチベーションでもあるのでしょう。日本は内燃機関の自動車性能が非常に高く、電気自動車に十分対抗できるという自負があります。

ほぼ国内だけでしか通用しない軽自動車に自動車メーカーが多くの開発エネルギーを使わねばならないのもある意味、マクロ的に見れば逆風です。自動車産業は日本国内だけではなく、世界市場が中心であることを考えるとこの先の自動車会社の戦略は転機を迎えていると思います。

トヨタがついに重い腰を上げ、パナソニックと共同会社を設立すると発表しました。トヨタのEV化戦略が本格化するということでしょう。その中には全個体電池の開発も含まれるようですから期待できそうです。但し、トヨタはこの数年、車のデザインがパッとしないのが気になります。

日本はインフラ的にはEV環境がだいぶ整備されてきていると思います。それでも売れないのは自動車会社の本気度がないからで特にトヨタが乗り気ではないこととマツダや富士重工が我が道を突っ走っていることでEVへの盛り上がりが限られるから、ということでしょう。こうしている間に日本の自動車がガラパゴス化するリスクを抱えつつあると私は見ています。

何事も変革期には変わる理由を探し求め、正当化するのに苦労するものです。日本はこの点で最近とみに変わりにくくなってきた気がします。一つには高齢化社会で世間の声の保守的思考が進んでいるからでしょう。

一方で先日、私の後輩の現役学生達と話していた時、「免許持っていないしー、でもいつか自動運転になるから免許いらないしー」という発言を聞いた時にはある意味、ぞーッとするものを感じました。世の価値観も思った以上に変わりつつあるのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

トヨタが欲しかったもの4

日本企業で時価総額1位のトヨタと2位のソフトバンクが手を結ぶニュースは意外感も含め、話題になっています。なぜこうなったのか、少し考えてみたいと思います。

豊田章男社長は自動車業界激変への危機感をずいぶん前から声にしていました。今までの自動車業界はより性能の良いもの、燃費効率がいいもの、パワフルで、乗り心地が良く、安全性が高く、消費者の心をくすぐるデザイン性のある車を追求してきました。これは1920年代のT型フォードとGMのライバル関係の時代から基本的に変わらず、自動車というハード面の改革に努めてきたと言ってよいでしょう。

業界が変わりつつあるな、と思い始めたのはこの20年ぐらいだと思います。北米の新聞広告には他社の装備品と比較の表を広告に載せ、この車はこんなにお得です、という売り込み方をしていました。その装備品差別化広告時代が終わり、「従業員価格セール」など大幅なディスカウントによる市場シェアの維持の時代がありました。これは今でも変わらずで、19年モデルに変わるこの時期、北米の自動車広告は18年モデル在庫一掃の大バーゲンの文字が躍ります。

が、消費者である私から見ると10年ぐらい前から「どうしても欲しい」車が少なくなったのも事実です。それは価格帯による差別化が少なくなり、かつての小型車がどんどん「成長」し、巨大化していくことも理由の一つであります。トヨタならばRAV4はデビューした94年時に北米のハイウェイを走っていると「ちっちゃな日本車」でしたが、19年型のフルモデルチェンジ車は4595mmx1855mmx1700mmでデカくてゴツイ車になってしまいました。同社のハリアーとどう差別化するんでしょうか?北米日産なんてもっとひどくてラインアップはSUVしかないのか、と思わせる状況であります。

車のハードの部分は今後も成長するでしょうが、主役はソフトに依存する新しい価値感を見せなくてはいけなくなったと思います。例えばバンクーバーにもあるカーシェアリング会社のCar2go。これはベンツがやっているのですが、かつては二人乗りのSmartが主流でしたが今ではGLAとCLAも投入し、普通に誰でもベンツが乗れる時代になっているのです。

今回、ソフトバンクと提携を結んだ理由をメディアにいろいろ書かれています。それはそれで面白いのですが、究極的にトヨタが欲しかったのはソフトバンクが持つビックデータの何物でもないと思います。私は断言してよいと思っています。

自動車業界で出来そうでできない自動運転の理由、これはデータが足りないから、とされます。あらゆるケースを想定したデータをコンピューターに読み込ませ、AIで判断させるその基幹情報が欠如しています。アメリカで起きたウーバーの死亡事故は明白にデータ不足が引き起こしています。(テスラの事件は人為的事件です。)自動車各社としてはより完璧を期したいわけですから要求されるデータは膨大なものになります。その点、ソフトバンクは「乗車回数で見た世界シェアは9割を超える」(日経)ですから規模の圧倒性が有りそうです。

孫社長は「豊田社長が来て驚いた」とコメントしているようですが、そんなのは孫さんにしてみれば計算のうちでいつ来るのか、ずっと待っていたといってもよいでしょう。こう見ると孫さんがウーバーなどに積極的攻勢したのはデータを目的としていたということは明白でしょう。

ビックデータを持つ企業ほど将来のビジネスを左右します。アマゾン、グーグル、フェイスブック、アリババといった巨大企業は圧倒的有利な立場となり、彼らは自動車会社にしろ、一般消費財にしろ、彼らの傘下に全部収めることができる時代がやってきたともいえるのでしょう。ZOZOも同様でした。ネットで服を買うという行為を通じてデータを蓄積し、多くのアパレルメーカーがZOZOに参加しなくてはいけない状況を作り出すわけです。楽天が携帯電話事業に参入するのもデータとみてよいと思います。

これは企業の力関係を根本的に覆す地殻変動と言ってもよいでしょう。ではモノづくりニッポンはどうなるか、と言えばもちろん、より良い製品を生み出すという根本思想は何ら変わりありません。ただ、売り方が変わり、データを支配し、ソフトをいかに活用するかが企業の生き残りをかけた戦いになるとも言えましょう。その点、トヨタがソフトバンクという世界有数のデータバンクを押さえたという点は他の自動車メーカーには衝撃的事実となることは確実だと思います。

80年代に「近未来には日本の自動車メーカーは3社しか残らない」と言われました。不思議と今日まで1社もつぶれずにやってきたわけですが、いよいよ3社に絞り込む動きが出てくるかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
Archives
記事検索
Recent Comments
  • ライブドアブログ