外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

中国経済

降下する中国経済の行方4

中国の4-6月GDPが発表になりました。6.2%成長で1992年以降の四半期GDPとしては最低を記録しました。最低と言うとその言葉が独り歩きするのですが、個人的にはこの経済環境でよく踏ん張っているとみています。もっともこの統計の信憑性がどれぐらいあるのか、恣意性があるのか、そのあたりを考え始めると何も分析する価値がなくなってしまうので一応、発表されたがままの数字を見て考えてみます。

1-3月が6.4%成長で今回の6.2%を合わせると1-6月の成長率は6.3%で習近平体制として2020年の目標である2010年GDP比倍増にはギリギリですが、まだ到達可能な数字となっています。

では私が踏ん張ったとみた理由は4-6月を月ごとに見ると6月に消費と工業生産がぐっと伸びているのです。特に消費は2018年3月以来の水準に戻しています。これは4月から始まった4兆元規模の企業、及び個人向けの減税や手数料割引などで消費や企業経済を喚起しているためで統計上は4月をボトムに急速に盛り返しています。

工業生産も6月が6.3%増で過去5-6年の平均的水準に戻しています。仮に近いうちに米国との通商問題に決着を見るようならばもう少し息を吹き返すとみています。日経は今回のGDPについてかなりネガトーンですが、北米の報道はむしろポジティブで年後半への期待が高まっている点が明白な違いになっています。

中国の経済については一言で申し上げるほど簡単なものではありませんが、基本的な流れとしては2000年に6%台という低い成長率で一旦底打ちした後、急回復し2007年に15%という驚異的成長率をつけピークとなります。その後、リーマンショック下落とその反騰を経ながら、じわっと成長率が下がり、今に至る流れです。

これを見ると中国の成長率は基本的には現時点の実力からすれば6-7%程度の水準が妥当で2007年かけての超高度成長はオリンピックと万博という二つのイベント、WTOへの加盟、世界の工場としての認知といった特殊要因を踏まえ、国内外での不動産ブームと政府主導のインフラ整備、はたまた海外企業をM&Aで買収したバブルが後押しした、と言ってよいかと思います。

言い換えるなら今の中国はバブルで積み上がった実質的負債を十分に精算すること、その間に国内産業の基盤の再生を行うこと、都市層と農民層の仕切りを改善し、国家規模の経済力を生み出すこと、世界で認知され、協業したいと思わせる政府の実現をめざすなどの対策をしないと6%台の成長の維持すら難しくなるとみています。

「街は西に動く、国家の成長も西に移動する」という中で見れば経済の中心は中国からベトナム、タイを経由し、いよいよインドに向かうような気配があります。あと10年後には人口ボーナスもあるインドは一人っ子政策を取った中国に比し、圧倒的有利な立場になるとみています。

となれば中国は今後、守勢に回らざるを得ないのではないでしょうか。その中で中国の弱点とは仕事ではなくてお金に対する執着が人々の判断のベースにある点でしょうか?私の感じる中国は共産主義にもかかわらず、一部の指導者層(政治でもビジネスでも同じです。)と使われる層の格差がありすぎる点でしょうか?

それがあたかも使用者と労働者の関係となり、経済成長の割に労働生産性が上がらない原因の一つかもしれません。2000年頃の名目一人当たり労働生産性は日本の10分の1、2017年でも3分の1ぐらいに留まっています。

中国は共産党の一党体制ながら実質的には党内の派閥争いによる足の引っ張り合いになり、フレキシビリティが少ない体制が変化対応についていけていないように感じます。経済が好調な時は共産党も力を発揮しますが、守勢に回った時は内部での権力闘争を含め、混とんとすることもあり得るかもしれません。

GDPという3か月ごとの指標は上下があると思いますが、長期的なトレンドとなると「構造改革」が必須になるかと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

ビジネスが難しい国、中国とどう向き合うのか?4

あのアマゾンが中国内のネット通販事業から撤退すると発表しました。一部の事業は残すようですが、実質的に敗北の退場となります。理由はアリババと京東集団がネット通販市場をほぼ分かち合い、アマゾンがビジネスを継続する余地がなくなったから、とされます。

ウォールマートも中国参入に失敗し、京東集団に売却しています。中国で勝てないのはアメリカ企業だけではなく、あのサムスンもスマホ事業ではほとんど壊滅的状態となっています。日本企業もユニクロのようにうまくやっているところもありますが、長い歴史の中ではずいぶん煮え湯を飲まされてきました。

日本が中国にかかわった最大の事業は新日鉄による宝山製鉄所でしょう。70年代当時、中国には鉄を作る技術がなく、日中友好の懸け橋として新日鉄の技術移転がなされたのです。その後、日中間でこの事業をめぐり様々なトラブルがあり山崎豊子氏の小説ネタにもなっています。

基本的なスタンスとしては中国は工業技術を外部から取り入れるもののあくまでも将来、自立する前提で海外企業の技術、ノウハウを踏み台にすると断言してよいかと思います。そして国内でその産業が自立し、成長を続けると次に海外への進出というパタンを踏みます。それが中国覇権の構図であり、アフリカ進出はその好例でありましょう。

インドネシアの大統領選挙はジョコ大統領が二期目の当選を確実なものにしていますが、産経はジョコ氏の対中国の外交通商姿勢について厳しいものが予想されると報じています。同氏は基本的には中国寄りでありますが、鉄道事業の失敗を含め、国内で中国に対する拒否感が高まっていることでその政策が注目されるとまとめています。

同様の懸念はニュージーランドの38歳の女性首相、アーダン氏も抱えているとやはり産経が報じています。

これは中国が覚醒した獅子のごとく、それまでアメリカを軸とした工業や産業の展開の流れを中国ブランドとして世界制覇を狙う方向性を持っているものと思われます。これが成功するのかどうかは何十年か経たないと分からないでしょう。ただ、ファーウェイのように技術力と営業力、影響力を兼ね備えた会社は今後、一つ、また一つと出てくる公算は大いにありそうです。

一方で諸外国は中国のやり方に閉口しています。特にアフリカ諸国では支援と称して中国人労働者を大挙して送り込み、マネージメントは全て中国側が仕切るため、アフリカ諸国は労働力の提供にとどまり、技術移転がされないという問題が生じています。上述のインドネシアでも「中国人労働者の入国も増え、13年に1万5千人だった中国人労働者は18年には倍増した」と産経が報じています。

かつて日本が東南アジア諸国などに海外開発支援を行っていた際、カネも出すが日系企業がそれを落札するという「Tied Loan(紐付きローン)」という悪名高き円借款がありました。あまりにも不評で確か80年代には徐々に減らして今ではなくなっているはずですが、中国のAIIBなどは一種のTied Loanであるといってよいでしょう。これが不評の理由の一つであります。

海外進出が上手だったのはアメリカです。なぜ、日本がアメリカに嫌悪感を抱かないのかといえば文化的に長期にわたり影響を受け続けたことが最大の要因でしょうか?戦後、我々はアメリカの食品から映画、音楽、ファッションなどあらゆる分野において洗脳に近いアメリカ化を遂げています。この流れにビジネスが上手く乗ったといってよいのではないでしょうか?

一方、中国の場合、ビジネスオンリーで攻めてくるのです。マネーと人の攻勢、更には政界などのキーパーソンを抱き込むその手法は一般市民を置き去りにした一種の政治決着の様相が強くなります。我々は中国映画を見たことがありますか?音楽は知っていますか?ファッションは?ほとんど誰も知りません。ここが中国の稚拙な海外戦略なのだろうと思います。

逆に日本の文化は中国で一定の制限があるものの人気があるとされています。ユニクロが成功しているのも日本ファッションだからであり、一部の芸能人が中国で高い人気を誇っていることも文化輸出の一環です。個人的には日本が中国と向き合うには文化輸出をしながら中国にはできない技を磨き続けることなのだろうと思っています。アメリカには中国と上手くできなくても日本には潜在的にはできる能力があると私は考えてます。

上述の宝山製鉄所は新日鉄との合弁として2017年には40周年を迎えて苦労を乗り越えた現在があります。個人的には日本の対中国スタンスとしては中国に影響を与え続けられる国家として常にリードするポジションを維持すべきではないかと考えています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

中国の肝、「融資平台」にどう立ち向かうか、注目の全人代4

タイトルを見て何のことを言っているのかさっぱりわからん、とご指摘を受けるかもしれません。なるべく平易に書かせていただきますが、中国経済はどうなるのか、注目の全人代がいよいよ始まるなかでこれを知っておくと今の中国を知る理解度が深まるかもしれません。池上彰風ですかね。

全人代(正式には全国人民代表大会)は日本でいう国会に当たります。これが3月5日に開幕し、約10日続く予定です。今年、注目されるのはアメリカとの激しい通商交渉を通じて実務ベースで貿易通商協定案がほぼできたこと受け、全人代で様々な対策と法律案が提示されるとみています。

中国の経済成長は徐々に高度を下げる形をとっており、今年は6.0-6.5%という目標(日経)になるのではと見られています。2018年成長率は6.6%でしたが、10-12月成長率が6.4%で当初目標の6.5%を下回ったこともあり、更に下方修正してくる可能性は確かにあるでしょう。ただ、個人的には実態に即していない中国統計をより実数に近いものにする調整を何年もかけて行っているのだとみています。

一方でポジティブな話をすると18年10-12月の景気低迷は中国だけではなく、地球規模で起きたものでした。幸いにして年明けからは表面上、回復に向かっています。仮に短期の景気調整で終わったことが確認でき、米中貿易協定が近いうちに締結されるならしばし、安どの期間があるとみています。つまり、中国発の「春の足音」になります。事実、NYに上場する中国株は結構回復しており、アリババ、京東などのパフォーマンスは2月はトップクラスでありました。株価が先行指標だとすればこれは良い兆候でしょう。

ただ、私は再三指摘している通り、根本的には中国の経済運営は極めて難しいところにきているとみています。それは地方の問題であります。中国の地方政府は債券発行による資金調達の道が基本的に閉ざされています。基本的というのはインフラ整備に使途を限った特別地方債《専項債》だけは認めており、これが2018年発行枠として1.35兆元ありました。

地方政府による債券発行制限理由は中央の財政管理ができなくなるからです。そのため、抜け道として地方政府が絡む民間会社を作り、そこが高利回りの理財商品を社債のような形で一般に売却、利回りに目がくらむ人たちがそこにお金を預けるという仕組みがごく普通に機能しています。これが今日のタイトルにある「融資平台」というものです。

この融資平台、残高はHSBCの調べで500兆円あるとされています。問題はどうやって高利回りの利払いを行っているのか、であります。住宅ももう売れません。とすれば新たに土地を切り売りして利払い資金に充てる手法をとっているのでしょうか?

一般に融資平台は潰れない、利払いの不履行はされないと信じられています。また社債の格付けも不思議と高いのです。そんな中、昨年の新疆ウィグルの融資平台、および先日の青海省投資集団では実質利払い不履行になり、「すわ、融資平台、デフォルトか」と話題になったのですが、なぜかギリギリ回避できています。つまり実質デフォルトだったのですが、記録上はまだないのです。

中央政府は融資平台は民間会社の「社債」と考えており、中央、地方それぞれの政府の債務には計上されません。これがこの仕組みのミソであります。西側世界の公認会計士が見たら絶対に認めない処理でしょう。こういうのを「タコ配」というのですが、もう何十年も聞かなかった言葉です。

全人代ではアメリカとの取引を踏まえた国内法整備、および内需拡大の景気刺激策を必ず打ち出してくるでしょう。また融資平台にいつまでも中央政府が知らぬふりをするわけにもいかないと思います。一方で上述の特別地方債は発行枠を6割ぐらい増やし、インフラ整備という名の活性化を行うのではないか、と目されています。

日本でいう建設国債のようなもので、これで国内経済の刺激をするというスタイルはいまだオールドエコノミーを進めなくてはいけない中国の苦悩が見て取れます。個人的には都市層と農民層の実質的差別化の撤廃をもって全国的な経済活性化を図るべきと思いますが、多分、中央政府はそれを恐れているようにも見えます。こうなると共産党一党主義を貫くのか、経済立て直しを図るのか、二者択一の選択をしなくてはいけない時期も案外遠くない気もします。

全人代から見える中国の経済運営方針はそんな意味でも将来を占う大きな意味がありそうです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

下向く中国経済の行き先4

中国の実情を冷静に見ることのできる方は中国経済の低空飛行ぶりに当然だろう、と言うでしょう。事実、統計の数字は眉唾物だし、都市部と地方の経済格差は拡大する一方です。共産党員と非党員の差別化もあります。更には共産圏のはずなのに貧富の格差は資本主義国家よりも拡大している事実を見るにつけ、共産主義とは名ばかりで自分の懐が全てという残念な形になりつつあります。

中国人は昔から金銭に執着する人種で自分さえ儲けられれば、という発想が強い傾向があります。中国人と話をすると中国の社会システムは信用していないといいながらも、それをうまく利用して自らの金儲けに繋げているという抜かりなさも感じます。

そんな中国人も最近は抜け駆けして金儲けするにはちょっと難しくなったようです。国内株式は上海総合指数が2015年春の高値から崩落した後、現在はその半値程度で長く低迷しています。不動産についても既にピークアウトしているようです。日経によると1月の不動産販売は前年同月比3割減と報じられていますが、トレンドとしてみても販売は下向きが見て取れます。

また、海外で儲けるという手段も厳しくなりました。中国国内から海外への資金持ち出しは厳しく規制されていますが、いまだに抜け道はあるとされます。一方で、持ち出しても中国人が好きな投資対象国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドなどではいわゆる金融緩和の時期は終わっており、一般向け不動産投資は入口より出口が難しい状況でよりリスキーになっています。

既に富を蓄えた中国人は一時期、億人単位いるとされました。極端な話、日本の総人口ぐらいの人が富裕だったというわけです。過去形にしているのはその話題があったのが中国不動産がまだ好調な頃で中国政府の引き締め前だったからで、現在、どれぐらいいるのか、はっきりとしません。

共産党員は自分の資産を明白にしないはずですから隠れ富裕層もいる半面、投資やビジネスが失敗したケースも相当数あると考えられます。また、富裕層でも資金が寝てしまっている場合も多いと思います。

例えば売るに売れない不動産を抱えている、あるいは中国の経営者は自社株式を銀行に担保として差し入れて借り入れをする手法を取っていますが、株価の下落で担保割れが生じ、所有株を処分されるケースもあり、実態がつかみにくいところであります。

では中国経済の復活はあるのか、でありますが、個人的には内外で負の遺産も積み上がり、かなり厳しいところに追い込まれているように感じます。数多くの問題が指摘されていますが、俯瞰的に見ると現在の共産党体制でこの広い国土と14億の人口を支配するのは無理と思われる規模に到達しているように見えます。

ソ連が崩壊し、より小さな連邦制のロシアになったのと同様、中国は拡大主義ではなく一旦縮小をして立て直しを図らないと厳しい再生局面を迎えるように感じます。歴史的に見れば中国は様々な形で統治されて来ました。小国に分立していたこともあります。が、今置かれている状況は共産党という名の統制経済体制をこれだけ技術や情報が進化した時代においてアメリカより4倍以上の国民がいる国家で遂行するというかつてない挑戦であり、未経験ゾーンにあります。

アメリカでは各州においてある程度の自治性を持たせていますが、それは広い国土の中で中央政権の一本調子の支配には限界があるためであります。今の習近平体制はその逆でより統制を強化し、拡大中国を生み出そうとしています。しかし、ひたひたと近づく黒い影が国民のバブル崩壊と不満を吸い上げた時、思わぬ反撃に出くわすかもしれません。

良好な経済は国民を幸せにしますが、今の中国は国民や地方経済に無理強いをさせすぎています。あの文化大革命や天安門事件の二の舞を恐れてか国民はおとなしくしていますが、きっかけは思わぬところから起きるものです。

下向く中国経済の行方は国民の鬱積された強い不満のはけ口探しとなるのは歴史が証明するところ。習近平国家主席の手腕が試されるところではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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中国の苦境4

日本電産の永守重信会長が「尋常ではない変化が起きた。46年経営を行ってきたが、月単位で受注がこんなに落ち込んだのは初めて」(日経)と語っています。日本を代表するカリスマ経営者の一人、そして発言にあまりぶれがない永守会長からこのような言葉が出てくることは驚愕であります。いったい、何が起きたのでしょうか?

日本電産はモーターの会社で、あらゆるモーター分野を手掛けますが、その中でも自動車向けモーターが落ち込み、特に中国向けは11月に前年同期比3割減になったというのです。また、中国向け省エネ家電のモーターも11-12月にやはり3割落ち込んだと記者会見で述べています。

その頃は確かに米中の通商、貿易戦争がはじまり、心理的な圧迫感がありましたが、中国経済の転機はもっとはるか前から起きていた中でアメリカがさらに背中を押したと考える方がすんなりとしています。

中国のGDPを見ると発表ベースでは2007年の14%成長がピークで2018年成長率は6.5-6.6%程度と見られています。ただし、これらの数字は昔からの指摘されている通り相当「盛られている」とされ、1か月ぐらい前に中国の専門家から実態の成長率は1%台と報じられ、その後すぐにその報道が削除されています。

なぜ、中国は停滞期に入ったのでしょうか?5つや6つぐらいすぐに理由は上がるでしょう。その一つに共産党主導型経済運営の破綻が見えてきた点を今日は指摘したいと思います。中国の人口14億人のうち共産党員は9000万人程度いるとされます。共産党員は国家に背くことなく、臣僕である点において中国国家における保守派と言えます。そこで政府、ないしその影響下にある会社が何かを購買する場合を考えてみましょう。A社とB社という選択肢があり、A社は共産党員の会社でB社は非共産党員であればA社で買おう、ということを国家主導で行うのであります。

例えばアリババの創業者、ジャック マー氏が実は共産党員だったということが12月頃に驚きをもって報じられていましたが、国家の成り立ちと同社の成長ぶりからすれば当然であったと言えます。これがもたらす弊害とは自由競争が阻害され、14億の人口に基づく潜在能力を実質1億足らずの公平感を欠いた経済に頼ることに他なりません。つまり、残り13億人を格差し、その持てる能力は埋もれ、将来も確約されたものではない、ともいえるのです。

これは習近平国家主席が主導する権力型国家運営が機能しないことがいよいよ表面化してきたことを物語っているかもしれません。2007年頃までは北京五輪、上海万博で中国が絶頂期にあり、都市部で人が不足し、地方労働者が出稼ぎに来るスタイルはごく当たり前でした。私も当時それを実際に目にしました。

今は作りすぎた製品や住宅にもかかわらず、沿岸部では欧米の価格を凌駕するような物価水準をつけるのはどう考えてもつじつまが合わないものでした。その上、見せかけの雇用確保を通じて安定政権運営をするため、従業員の首は切れない(正確には切りにくい)制度を強化し、否が応でも製造を進め、在庫の山を築くのです。

その在庫に日本電産のモーターも採用されていた、ということであります。その在庫の山をトランプ大統領が揺すり、崩れたことが永守会長の「尋常ではない変化」という発言につながるのでしょう。

中国が陥っている罠とはかつてソ連が破たんした原因の一つである計画経済において世の需要と供給を無視した政府主導のコントロールと同様としても過言ではありません。ここでは説明は省きますが、計画経済は経済がインキュベーション(孵化)状態のときには機能します。また極度な不況の時にも機能します。(それ故、ソ連は1930年代の大不況を計画経済で上手く乗り切った唯一の主要国です。)

勿論、ソ連の計画経済と今の中国経済とは根本が違いますが、結果として同様の道のりを歩んでいるように見えます。その共通点とは経済を国家運営の手段としていることであり、市場の需給を放置している点でしょう。

中国の苦境はそう簡単に脱せないように見えます。

では今日はこのぐらいで。

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中国の資質を問いたファーウェイ問題4

数カ月前、あるところからファーウェイについての情報を求められたことがあります。私が何を知っているわけでもありませんが、そういう話が私ごときに振られること自体、おかしいわけで何かあるのだろうな、と思っていました。

同社が今のような業容になるはるか前、同社の創業者が中国人民軍出身で実質的に中国政府との一体感があるかもしれないから要注意、と記された読み物を読んだ際、私はスパイ大作戦をイメージしました。いわゆる盗聴や情報が裏側を経由してダダ洩れになる80年代の映画に出てくるようなそんな感じでしょうか?

10月、ブルームバーグは台湾出身者がアメリカで起業したスーパーマイクロ社の一部のマザーボードにチップが埋め込まれていて中国軍に情報が漏れている疑惑があると報じました。この「事件」はその後、アップル社などが否定し、他紙の後追いも出ず、それでスーッと終わりになりました。実態は分かりません。

しかしながらアメリカ政府が米粒の大きさ程度のチップが埋め込まれることで情報が漏洩するリスクがあると認識するならば中国のIT巨大企業製の部品が使われているIT機器は排除したいという気持ちがあるのは当然です。数年前、ドイツのメルケル首相の電話が盗聴されていた事件がありましたが、世の中、盗聴や情報漏洩がかなり行われている可能性は否定しません。我々がIT機器に取り囲まれた生活をしている限り、そして相手がその気があればあるほどプロは簡単に入り込めるでということでしょう。

ではアメリカがなぜ、ここまで神経質になるのかですが、ファーウェイが大きくなりすぎるというよりずばり情報戦、諜報戦のネットワーク構築そのものにあると思います。ファーウェイ社は携帯通信インフラは世界1位、携帯の販売でも世界2位とすでに世界のリーディングカンパニーにのし上がっています。アメリカ政府がファーウェイの製品が搭載されているIT機器を使用するのはかつての米ソ冷戦時代にソ連のミサイルをアメリカの爆撃機に搭載するようなものでしょう。それはメンタルに絶対に許されない事態なのです。

もう一つはビックデータだと思います。アメリカのIT企業が中国で活動を禁じられているのはビックデータを提供しないということであり、アメリカも当然、同じことを考えているとすればどうでしょうか?

中国の経済が文化大革命明けでよたよた歩きの70年代後半、毛沢東のあとを継いだ小平が改革開放政策を推し進めたあたりに中国の資質問題の理由がありそうです。自国内で技術をインキュベーションするには諸先進国とあまりにも格差が開いたため、技術導入を積極的に行う必要があった教育そのものが今でも影響していると考えています。

つまり「自前でできなければ技術を学べ」ですが、この「学べ」はまじめに学ぶ場合とカンニングなどしてズルする場合があり、後者のやり方で「要領が良い」といわれ、急成長したり大金持ちになったりした背景があると考えています。

日本企業も例えば77年に上海の宝山鋼鉄で新日鉄が手助けしましたが、これなどは中国スタイルの学びの典型で、そのあとあの有名な川崎重工の新幹線技術流出問題が発生しました。これがITがらみになるとアメリカ企業がその主役になるわけです。

中国が1976年の文化大革命後、わずか42年で世界のトップに躍り出るほど急速に発展すること自体がおかしいといえばおかしいわけでアメリカの言い分は「お前ら、もう少し、抑えろ」と言わんとしているのでしょう。日本は戦後奇跡の復興と遂げたといわれますが、江戸時代から極めて高い教養と知識を武士のみならず、平民も学んでいたことが「奇跡の軌跡」であります。その点、中国や韓国は何もなかったことを鑑みればアメリカが「いい加減にせよ」と言いたいのもよくわかります。

ファーウェイ社は厳しい制裁を受けるとみています。ただし、中国政府には本件は個別企業案件であって、貿易問題といっしょくたにしない大人の振る舞いをしてもらいたいと思います。

では今日はこのぐらいで。

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台湾が外交問題の中心になる時4

時代は明治4年、1871年までさかのぼります。沖縄の宮古島から首里に向かっていた船が台風で流され、台湾に流れ着きます。が、台湾土着民により乗務員の54人が殺されます。これを受けて74年に西郷隆盛の弟の西郷従道が政府を代表して台湾出兵します。それを主導したのが大久保利通であります。

大久保は前年の73年に西郷隆盛の征韓論を一蹴したこともあり、韓国がダメでなぜ台湾なら良いのか、という国内議論を巻き起こしたのですが、それはさておき、当時、台湾は誰が統治しているのかが不明瞭な背景があった点を出兵の糸口にしたのも事実です。清国は台湾を支配下に置いているとしたものの「清朝の外務当局は、台湾先住民は「化外」であり、清国の統治のおよばぬ領域での事件である」(ウィキより)というスタンスでありました。化外とは中華思想の文明の外という意味であります。ならば日本が統治するか、清国が殺害の責任を取るのか、という直談判を大久保が清国で行ったというのが歴史であります。

ちなみにこの台湾出兵は日本が初めて行った海外出兵でもあります。清国はこの後、清国の漢人を大挙台湾に送り込み、いわゆる統治支配を実効します。

台湾をめぐる外交はそういう意味では比較的歴史は浅く、欧米列強もあまり着目しなかった島でありました。今、そんな台湾が台風の目にならないとは言い切れない事態となるかもしれません。

現在の台湾は外交上は「中国の一部」とされるため、中国本土と外交を結ぶ国家は台湾との外交関係を結べません。よって台湾と外交関係を持つ国は20か国程度でそのほとんどは小国であります。中国にとって台湾は太平洋に進出する軍事的足掛かりになる戦略性から絶対に手放すことはありません。

一方、台湾の政府は選挙のたびに親中派、独立派で揺れ動きます。現在の蔡英文総統はもともとはやや独立派とみられていましたが、現在は中立派とされ、独立推進派からすると失望感を誘っています。

その為今般、「喜楽島連盟」なる独立推進派の団体が創設されました。設立の際には元総統の李登輝氏も駆けつけたというのですから台湾独立のボイスが再び大きくなる可能性が出てきました。

ご承知の通りトランプ大統領は蔡英文総統と16年12月に電話会談をしました。アメリカにおける中国との懸け橋とされるキッシンジャー氏のメンツが丸つぶれになったとされます。トランプ大統領はタブーでもあった台湾総統との電話会談をなぜ行ったのか、と言えば大統領就任早々描いていた中国叩きの餌撒きだったのだろうと察します。たった10分間の電話会談の効果はある意味、ゴルフ外交の密度より100倍濃いものだったはずです。

そして8日の産経新聞では「米政府、台湾の潜水艦自主建造計画を支援 米企業の参加認め、商談許可」と報じています。つまり10分間の電話外交が1年以上たって一歩進展したということであります。ちなみにアメリカの台湾に対する政策、姿勢はTaiwan Relations Act (台湾関係法)に定められています。基本的には軍事同盟にも読めますが台湾と国交を有するがごとくの緊密な関係を維持するとする点がポイントでしょう。

つまり、アメリカも台湾に対しては極めて重大な戦略的拠点という考えを持っており、その支援はアメリカの軍事施設こそないものの沖縄やグアムなどの米軍がいつでも目を光らせていることを正当化しています。

私がなぜ、台湾を取り上げたか、と言えば米中貿易闘争が進む中、通商問題から外交問題に飛び火する可能性は打ち消せず、その場合、北朝鮮問題を梃子にする韓国、及びあまり目立たなかった台湾をここで舞台に引き上げる戦略にあるように感じるのです。

米中二強時代とも言われますが、それはアメリカがソ連と演じた敵対する二強関係となるのでしょうか?少なくとも中国内のアメリカに対する感情論が芽生えているような感じもあり、アメリカはいわゆる政治的バトルとは全く違う次元の戦いを余儀なくさせられる可能性にやや脇が甘い気もします。

いずれにせよ、米中の外交問題が持ち上がれば台湾は格好の材料になる気がします。そういう点で陽の目を見ることがなかった台湾に多少の理解をしておくことは意味があるのではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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