外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

中国関連

習近平氏が後押しした逆進の共産国家4

東アジアの3つの国、日本、韓国、中国は様々なシーンで比較対象になります。今日はこの比較をした上で習近平国家主席が犯した間違いについて検討してみたいと思います。

日本でバブル崩壊後起きた様々な変化の一つに情報公開があったと思います。そして自由度が増したことがあります。80年代までは爆走機関車「エコノミックアニマル号」的な集団の力をテコに驀進してましたが、それ以降、個人の尊重がなされ、働き方が変わり、人々は自分の時間と行動を楽しむようになりました。思想についてもより自由度を増したというのが私の印象です。

では韓国はどうでしょうか?韓国も80年代から90年代初頭にかけて高い成長率を誇りました。そして97年の通貨危機を経て一段と国際化が進んでいきます。その間、韓国でもまた様々な自由化の波が押し寄せました。87年の民主化宣言を皮切りに93年には金泳三大統領による文民政治が、また、89年にようやく海外旅行の自由化となります。また、2000年代には日本との関係が一時的だったかもしれませんが、良化し、サッカーワールドカップであったり、韓流ブームなども引き起こすなど開かれた国家をアピールしました。

日本はバブル、韓国では97年の通貨危機を経て国際社会の一員としての認識を高めたといってもよいかと思います。では中国。個人的には08年の北京五輪、10年の上海万博の頃が「世界の工場」として確立した経済的地位がピークだったとみています。つまり日本の89年、韓国の97年、そして中国の08-10年です。

特に08-10年の間はリーマンショックをはさみ、中国がその対策として60兆円余りの景気刺激策を出したことでバブルが崩壊し、今日に至るまでその対処に苦しんでいます。日本や韓国と比較すれば、2010年代の中国は五輪や万博を通じて開かれた中国をアピールし、国民に自由度を与え、国際社会に融合した国家運営が本来であればあるべき道筋だったのです。

ところが習近平国家主席はそうではなく、共産党体制の強化を目指し、対外的には数字を取り繕い、国民には情報を制限し、行動を管理する真逆の国家運営をしてしまったのであります。もしも習近平氏が開かれた中国を標榜し、より民主化を進めていれば世界経済のリーダーシップをとれた可能性はあります。が、イデオロギーにおいてアメリカと敵対してしまったのです。

同じ、アメリカと敵対したソ連はどうだったでしょうか?崩壊です。そしてその後のロシアが世界を牛耳る国家になったでしょうか?今やロシアが世界に誇れるようなものは何一つありません。かつては宇宙開発でアメリカの先を行く先進国家でしたが今では錆びついた施設になり変わっています。それはプーチン氏が自分の地位にしがみついたからです。国家、国民より自己防衛をしたからです。そして習近平氏も同様に共産党と自分の派閥とそして最後、自分の保身を最優先してしまいました。

今になって香港を中国化し、台湾を強烈に敵対化し、共産党体制へのあらゆる発言に容赦ない反論を繰り返すのは一度決めた方針を変えられない悲しい性であるからでしょう。個人的には近代中国において胡耀邦国家主席の運営が2000年代のあるべき開かれた中国の方向性を示していたと思います。

そしてそのボイスが89年6月の天安門事件につながったとすれば若者が支える中国の民主化のチャンスは日本や韓国同様、同じころにあったのであります。

中国が今、向かうところは何処でしょうか?「世界の工場」で手にしたバブルマネーで各国各地で不動産や企業を買いまくり、中国人が札束を手に闊歩していたのは数年前まで。中国にあった外資の工場は東南アジアや西アジアに移転し、アメリカ製のハイテク機器は入りずらくなり、一帯一路政策を維持するバラマキも容易ではなくなってきました。

習近平氏の最大の間違いは共産党を進化させられなかったことにあります。2013年に国家主席になってから世界の変化に対して頑なに、埃をかぶった経典のような共産党の大枠から飛び出すことはありませんでした。2017年の「習近平思想」は「強い中国」を標榜するものですが、これは毛沢東の「新中国」、小平の「豊かな中国」との三部作とも考えられます。ならば強さが示されなければどうなるのか、ある意味、習近平氏の運営能力が近未来の中国の行方を占うともいえるのでしょう。

13億の民の意思を習近平氏を頂点とするごく一部の常務委員会で決定する閉鎖的で不自由な社会は常識的に考えて機能するとは思えないのです。中国人には賢い人も多く、研究者レベルでは突出した能力を持っている人は潜在的に多いのです。その才能を引き出せないのはある意味、世界にとっての損失でもあると私は考えています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

憂う香港は21世紀の火薬庫となるのか?4

開催中の中国の国会、全人代で香港国家安全法が提案され、このままでいけば28日の最終日に採択される気配が濃厚となっています。そうなれば今後、詰めの作業を経て、新法が香港で採択されるものと思われます。林鄭月娥長官は香港の安定のために歓迎すると述べており、月末ぐらいから香港は再び大荒れの状態になる可能性があります。

具体的には市民団体が主導する形で大規模デモを起こし、西側諸国がそれを支援する形になるとみています。中国側は昨年、香港の民主化運動に対して十分な対応が取れなかったことを反省し、今回の全人代での決議を踏まえ、強硬な対策を打ち出す可能性はありそうで昨年のデモ、コロナ禍で傷んだ香港が今後、更にどのようなことになるのか、極めて厳しい情勢が予想されます。

そもそも香港国家安全法とは何か、であります。香港は中国本土とは別の憲法ともいえる香港特別行政区基本法(香港基本法)に基づき、特別区としての運営をしています。この香港基本法に疑義が生じた場合の解釈については中国の全人代常務委員会が行うこととなっています。この委員会は今回の場合、4月26日から29日にかけて開催されており、全人代の大綱はここで決まっているといってよいでしょう。そして当然ながら香港基本法の解釈権を持つ全人代常務委員会が民主化の動きを抑え込むための対策も決議したものと思われます。

今回の問題は香港基本法の第23条の「国家安全法の制定」がキーであります。条文の粗訳は「香港特別行政区は、反逆行為を禁止し、国を分裂させ、反乱を扇動し、中央人民政府を覆し、国の秘密を盗み、外国の政治組織またはグループが香港特別行政区で政治活動を行うことを禁止する」とあります。また第22条に「香港特別行政区は、国の統一を損なう、または中央人民政府を破壊するいかなる行動も禁止するように立法化しなければならない」とあるのです。

つまり、香港は中国本土に逆らってはならず、そのためには国家安全法を定めることができるというわけです。ところがこれは極度の民主化への制限につながるばかりか、一国二制度が完全に葬り去られることになります。かつて何度もこの国家安全法の制定を試みたものの激しい反対で制定されたことはありません。そこで林鄭長官の発言、「今後、全人代常務委員会と共に、早期の立法完成に取り組んでいく。国家安全の維持という職責を果たして、香港が『一国二制度』の実施による長期的な繁栄と安定を確保していく」と述べるに至るのです。

この場合の影響は計り知れないものがあり、天安門事件のような事件すら起こりうる事態になります。

香港は世界的な貿易、金融都市であり、マネーを扱う市場としての機能も持ってきました。近年は度重なる民主化問題でシンガポールなどに企業そのものやマネーが流出するケースも見られますが、今回の決定があればそれを一気に加速し、香港経済は崩壊し、都市の名残を残すだけになってしまうことすら起こり得ます。そして新しい中国本土の枠組みに取り込まれた「新香港」が生まれてしまいます。

この動きは西側諸国をひどく刺激することになります。カナダ、オーストラリア、英国が共同声明を発表し、カナダのトルドー首相は「われわれは香港の状況を懸念している。30万人のカナダ国民が香港に居住しており、これが香港の一国二制度継続を望む理由の一つだ」と中国を強く非難しています。

アメリカはトランプ大統領だけでなく、バイデン氏も「米国は世界の他の国々に中国の行動を非難するよう呼び掛けるべきだ」とし、むしろトランプ大統領は手ぬるいと厳しく批判しているのです。

個人的には日本人や日本企業で香港に事務所を構えているところは撤退計画を考え、いつでも実行に移せる準備はするべきではないかと思います。体制がどう維持されるか予断を許さないと思いますが、治安が極めて悪化することを考えるとビジネスができる環境にないと思います。私も香港出張が予定されているのですが、その判断に悩むところであります。香港マネーは当面、シンガポールに退避するのでしょうか?東京が税制の特例がある国際金融市場でも作っていれば受け皿になれたと思います。

中国の西側による包囲網はより厳しくそして双方のバトルが激しくなるとみています。あらゆる対策と同時に情報戦も繰り広げながら一歩先を見据えないと危険かと思います。日本はコロナ疲れで本件の反応が鈍いようですが、これはとんでもない事態への引き金になるとみています。

では今日はこのぐらいで。

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中国は何をしたいのか?4

延期されていた中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)が22日から始まります。その前哨戦である常務委員会は4月26日から29日の日程で開催されており、全人代に向けた方針は既に決定しているものと思われます。

その間隙を突くかのようにアメリカは中国批判を強化、中国側も対アメリカだけではなくあらゆる方面に強硬な姿勢を取り始めています。5月8日には尖閣諸島のそばの領海に中国公船が侵入、日本の漁船が追いかけられるということもありました。

また12日には中国がオーストラリアからの特定食肉処理場からの輸入を禁止すると発表しています。禁止の理由については報道を見る限り些細な実務的案件で長く存在していた事象なのに今更それを理由に強硬姿勢を見せたことからオーストラリア政府のコロナ中国起源説主張への反発ではないかと憶測する向きもあります。

他にも台湾外交、南シナ海関係など中国の強気の姿勢が見えるものが多くなってきています。

一般的な解釈としては全人代に向けて中国共産党の団結力を再確認し、世界にその強さをアピールするものではないかと思われます。特にコロナからの立ち直りが一番早かった、経済的にも回復が進んでおり、中国は世界のコロナ禍への見舞い、ないし回復への援助を申し立て「世界で最も素晴らしい国家」であることを知らしめようとしているのだろうとみています。

逆に言えばそれだけ中国は世界から厳しい目で見られており、焦っているともいえるのでしょう。

まずは中国国内経済の立て直しが喫緊の課題となりますが、今聞こえてきているのは工場などの稼働は8割以上戻っているものの消費が追い付いていないようであります。いわゆるデフレの足音であります。5月8日当ブログ「コロナ後に果たしてインフレーションがやってくるのか」で記したように先進国では目先のブレはあるが長期的には緩やかなものになると考えています。しかし中国はデフレの可能性は大いにあると考えています。

1930年代大不況が長引いた原因の一つに生産性の向上がありました。20年代の好景気に自動車産業を中心に工業化の波が押し寄せたものの大不況になり、高い失業率が長続きました。それは企業の効率が高まり以前より人が必要なくなったからであります。農業についても機械化が進み生産効率が上がり過ぎ、景気回復と総需要のバランスが取れなくなったという研究もあります。

中国はその点からすると30年代大不況の背景に似た経済構造になっており、デフレリスクは正しい見方だと考えます。そのため、彼らは需要を他国に求め、輸出先を必死に探すはずですが大需要国アメリカを含め、世界の包囲網が厳しく、中々打破できないというジレンマに追い込まれているというのが私の見方であります。

次に習近平国家主席の権威がどう維持されるか、ここも難しいかじ取りが求められると思います。以前、ご紹介したように中国は2010年比で20年末までにGDPを倍増させる必要があり、そのためには今年のGDPが5.6%ないと達成できません。21年に中国共産党創立100周年を祝うためには鉛筆を舐めてでも絶対に達成が必要なはずで、現政権はなりふり構わぬ対策を取るとみています。

その中でトランプ大統領の「苛め対策」は表面的には紳士面、裏で大統領選挙対策などあらゆる強硬策をとるとみています。そうなると日本はどうなるか、でありますが、外交のシーソーを考えると日本には基本的にはスィートハートになるとみています。軽いけん制はあるとしてもバトルにはならないし、中国は日本を「低リスクカントリー」と思っている節はあります。

最悪のシナリオは米ソ冷戦時代を彷彿とさせる米中対峙時代であります。が、個人的には「そこまでやって中国共産党の体面を維持するのか」という疑問はあります。当面は対外的には負けん気を出し続けると思いますが、中国国内経済の行方が重しになり、しばしもがくとみています。

では今日はこのぐらいで。

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トランプ大統領の賭け4

国民の関心を一手に集め、自分にスポットライトを当てる方法として戦争は昔からある一つの戦略であります。ブッシュ大統領(当時)の支持率が2001年の同時テロで一時的に90%に跳ね上がったのも国民に一体感ができたからです。

古くは30年代の大不況を経て、第二次世界大戦へと向かっていく流れの中で時の大統領、ルースベルトの国民操縦術は巧みであったと思います。ベクトルが一つになる、そしてそれを引っ張っていくのは「俺だ!」という一種のプロパガンダは今も昔も変わらないといえるのでしょう。

トランプ大統領はコロナとの戦いに関し自らを「戦時大統領」という位置づけでハリウッドのSF映画の主役のごとく、指揮官としてのふるまいをしています。最近、トランプ大統領へのあからさまな批判が少ないように感じるのはコロナと戦う医療関係者が主役であり、大統領の発言にいちいち講釈を垂れるのすら面倒だという感じも無きにしも非ずです。(つまり心地よくない発言はスルーするということをアメリカのメディアは覚えたのでしょうか?)

また、従来から敵対視している中国についてはより明白なポジションを打ち出してきています。FOXとのインタビューに応じたトランプ大統領が習近平氏に関して「(いい人なのだが)今は話したくない」と述べています。その背景は11月に迫る大統領選において中国は対抗馬であるジョー バイデン氏を推し、トランプ氏を落選させようとしているからだと発言しています。中国へのコロナに関する情報の隠ぺいで6万人のアメリカ人が死んだ、これはベトナム戦争より多い数だという論理も展開しています。

トランプ氏を焦らせる兆候は世論調査にもあるのでしょう。最新のニューハンプシャー州の世論調査ではバイデン氏50%、トランプ氏42%と出ておりますが、アナリストはトランプ氏が好きかどうかといった個人的イメージが世論調査の支持率に直接反映しているとしており、トランプ氏としては戦略的打開策を図らないと窮地に立つということかと思います。

更に「中国と『完全に断交することが可能か、断交した場合に何が起きるか』思案していると述べ、『5000億ドル(約53兆5000億円)を節約できるだろう』との見方を示した」(ブルームバーグ)とあります。

私は年初からトランプ氏について再選は厳しいのではないか、と申し上げておりました。確かにアメリカらしい指導者ではありますが、アメリカの中に何か、白けている感が漂っているようにもみえるのです。表現は悪いのですが、「コロナもトランプも今は辛抱の時。時間がたてば解決するさ」という感じでしょうか?

トランプ氏の従前からのやり方である喧嘩を売る手法、You're fired! の表現にみられる強権的なスタイルは世界の指導者の潮流としては逆行するものがあります。アメリカの主要都市圏、特に西海岸とニューヨークなど様々な階層の被雇用者が集まる地域の一般的なアメリカ人は民主党派が上回ります。更に非白人層だけでなく、いわゆる知識層、インテリにもリベラル派が多いことは事実です。

私は今回の大統領選に関してトランプ氏自身の信任選挙のようなものだと申し上げました。その信任選挙においてコロナへの対応対策はアメリカ国民が非常にシビアに審査する機会を与えました。個人的にはWHOへの資金拠出停止発表はタイミングが悪く、「知的戦略性」を感じませんでした。WHOは解体的出直しをすべきである点は強く同意するのですが、手術中の執刀医にお前はクビだというようなもので、せめてひと山去るまでは待つべきだったのではないかと思います。

中国への攻め方もやや稚拙さを感じます。表面的なダメージだけでは中国は余計に強くなっています。アメリカ製のモノやサービスがなくても自前で調達する能力は確実に上がってきています。デカップリングはアメリカの首を絞めることになりかねません。

そういう点からはトランプ氏のコロナ戦争と対中国への様々な喧嘩は予期しにくいことになる可能性があります。一番最初に述べたように「戦時」=「国民のベクトル合致」=「政権への強い支持」というシナリオがほとんど成立していないことからもご理解いただけると思います。ただし、これだけのバラマキをした以上、強い経済を取り戻さないとアメリカ経済が維持できないのも事実です。仮に民主党にバトンを渡せば財政が改善する可能性はもっと低くなるわけでトランプ氏が「ほら見たことか」とほくそ笑む姿すら想像できます。基本的にはトランプ氏の再選が望ましいとは思っていますが、その行方には霧がかかっているように思えます。

では今日はこのぐらいで。

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世界で広がる中国に対するコロナクレームの行方4

コロナの情報開示が十分ではなく、隠ぺいしたという理由で世界各地から中国への大訴訟合戦が始まっています。これはまだ始まりの段階でこれからさらに多くの国が訴訟に動く可能性があり、最終的にどんな賠償請求に積みあがるのか想像を絶する状態になりそうです。

アメリカのポンペオ国務長官は諜報ルートから武漢の研究所がその問題の根源であるという膨大な証拠(significant amount of evidences)を持っていると発言、トランプ大統領もフォローしており、現在アメリカの州レベルの訴訟が国家レベルの激しいバトルになることが予想され、今度はそれが理由で株価が揺さぶられるという事態も生じています。

他にオーストラリア、ドイツ、フランスが動いており、感染者が急増した英国も訴訟に向けた検討を行っています。特にドイツについてはメルケル首相がもともと中国寄りだったとされる中で態度急変となっており、中国と蜜月の関係にあったから訴訟はしないというシナリオは通用しなくなるのかもしれません。

ではこのウィルスの根源は何だったのかですが、日経が「米国の情報機関を統括する国家情報官室(DNI)は新型コロナが『人工でも遺伝子組み換えされたものでもない』との見解を示しているが、発生源については結論を示していない」と報じています。この一文にもみられるように新型ウィルスが研究所内で人為的に作られたわけではなさそうですが、非常に強力なウィルスが何らかの形で漏れたにもかかわらず、中国はそれを黙っていた、英語でいうnegligence (過失)というのがシナリオのようであります。

ちなみにアメリカでの報道では「人間と実験室で作られたウィルスには通常では超えられない障壁があるが、それが(何らかの形で)野生で発生し『Zoonotic Spillover(動物由来感染症の波及)』が起きた可能性が高い」とみています。また、国土安全保障省は中国は1月初めにコロナの問題を意図的に隠蔽し、世の中に発覚する前に医薬品の輸入を増やし、輸出を減らすことで医薬品在庫を増やしたと報告しています。

では容易ではない国家間訴訟をどう乗り越えるのかですが、今回の欧米の動きを見ていると関税の引き上げや中国の在外資産の差し押さえが有力視されています。かといって一方的な差し押さえができるわけではなく、本来は長い裁判を通じて判断していくところをトランプ大統領は選挙アピールで政治バトルにもっていこうとしているようにも見えます。

これら一連の動きに関して様々な意見があるかと思います。私はそれ以前にこのコロナの終息宣言が出た時点でWHOをいったん解散し、機能、人事、体制を切り替えるぐらいの刷新が必要かとみています。以前から申し上げているようにWHOのテドロス事務局長は中国寄りの姿勢だけでなく、上記のアメリカ政府の分析が正しいなら「悪の片棒」を担ぐことで世界に向けた危機状況の発信を決定的に遅延させ、しかも本人はその頃、習近平国家主席と仲良く会談しているわけです。WHOが本当に危機を感じたのは欧州での感染が本格化したところであり、あまりにも作為的怠慢であったと考えています。

テドロス事務局長辞任要求は世界で署名活動が行われており、私も一票投じています。現在102万人以上に上る署名が集まっているとされ、針のむしろ状態にあると思いますが、コロナが沈静化していない今、辞めるに辞められないとされます。いづれ、辞任すると思われその際に中国の「盟友」は消えることになるのでしょう。

次に中国への訴訟と賠償請求がヒートアップすると欧米人の中国人への感情が悪化することで迷惑な懸念材料が出てきます。すでに白人がアジア人に対してヘイトクライムするケースが続出しており、日本人の多くも巻き添えを食らっています。当地の日本国総領事館からも警告の通達が在住者に発出されています。

折しも職を失った人だらけで街中が荒れ、ストレスを溜めた人が増えている中、白人が汚い言葉で罵る話は私も耳にしており、特に女性にその被害者が多いような感じもします。白人の一般人からすれば日中韓の顔の区別などつかない中(私だって年中、間違えます)、一様にヘイトされる居心地が悪い状況が生じてきそうです。

最後に中国にどう攻め入るのか、であります。アメリカは「決定的証拠」を少しずつ見せて世論を煽るとみており、中国としては非常にやりにくい展開にあるとみています。習近平氏にとって昨年一年は関税戦争対策で苦労し、今年1月15日にようやく第一弾の合意署名を行ったところでした。

今回は情報工作、隠ぺい対策といった民主主義国家からすれば最も非難される中国の特性を直球ど真ん中から攻め入るわけで果たして本当に防戦できるのか軽率に予想できない状態です。アメリカの矛先が習近平体制にあるとすればこの牙城が壊れるまで攻め続けるのかもしれません。

江沢民国家主席が03年3月に退任したのは、氏が国家目標を達成できなかったことがその退任理由ですが、SARSの蔓延も間接的にあったとされます。習近平氏は中国共産党結党100周年の21年までにGDPが10年比で倍増になることを掲げていますが、達成はまず不可能となった今、習近平氏の身の置き方が今後の焦点になるとみています。

では今日はこのぐらいで。

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新型肺炎がもたらす中国中枢部の激震4

日露戦争の際、ロジェストヴェンスキー率いるロシアバルチック艦隊は遠路はるばる極東に向かいますが、日英同盟の効果があり、英国海軍は先回りしてバルチック艦隊の補給路をひたすら邪魔します。ロシアと近い関係だったドイツがサポートし、アフリカでの給油はかろうじてできるほど迷走し、乗務員の士気は落ち、その後の連合艦隊との戦いでの敗戦への遠因となります。

今、クルーズ船がその停泊地を求めてさまよう姿を見ているとこのロシアバルチック艦隊の迷走ぶりがすっと頭に浮かんできてしまいます。バルチック艦隊は本質的に強かったのか、という疑問に立ち返るとロシアの皇帝、ニコライ2世の独裁覇権主義にあり、ロジェストヴェンスキーのように優秀かもしれないけれど実務経験がない男にその運命を託す間違いを犯すことになるのです。

中国がこの20年で急速に力をつけたのはご承知のとおりでありますが、その力とは外国からの技術の導入と安価な輸出産品、そして13億人の人口を背景とした購買力に多くの国は「言うなり」になってきました。しかし、その統治の裏には一部の政治家が野心に燃え、同じ、共産党という枠組みの中で激しいつばぜり合いを行う身内同士の戦いがずっと続いてきました。

世界での覇権を進め、国内では政争を繰り返すスタイルはがロシアが日露戦争敗戦後にロシア革命につながっていく直接的原因になったこととどうしてもイメージが重なってしまうのであります。

今回の新型肺炎の対策には習近平国家主席の影は薄く、李克強首相の指導力が目立っていると報じられています。この「報じられている」というのが事実関係よりも意味ある点であります。国民意識が習近平体制の弱体化を如実に表しているともいえるのです。

政府の代弁者である中国のメディアは誰の味方をすべきか、当然先読みをしているはずです。習近平国家主席においてはこのところの失策はあまりにも大きかったと思います。

米中通商問題では第一弾の締結にはどうにか至ったもののそこまでの道のりは長く、迷走したといってもよいでしょう。香港問題は火消しの方法がはっきりせず、危機管理という点で弱みを見せました。また、今回の新型肺炎でも初動判断の誤りが指摘されています。この3つの問題すべてにおいて第一歩目を踏み間違えたところに習近平氏の今や言い訳できないところまで追い込まれた窮地を見て取ることができます。

次の問題は3月から始まる全国人民代表大会(全人代)の開催の可能性であります。目先、ウィルス問題が終焉すれば予定通りの開催も不可能ではないですが、現在の状況からすれば習近平氏自身が周到な準備ができないまま全人代に臨むことになり、それは氏の保身を考えればあまりにも無謀な挑戦のように見えます。

仮に全人代の予定を大幅にずらすようなことになれば4月の日本訪問もリスケジュールすることになる可能性は否定できません。中国が抱える問題は山積しているにもかかわらず、あらゆるところでマヒが生じており、実体経済については極めて大きな落ち込みが見込まれます。

1-3月のGDPは5月にも発表になると思います。6%以上を維持してきたその成長率の数字をどう作るかは中国にとってお手の物でありますしょうが、実態は相当なマイナス成長に陥っているものと思われます。習近平氏の国家主席としての地位が極めて危ぶまれてきているように感じます。

ロシア革命は日露戦争中の1905年1月に起きた血の日曜日事件を端に1917年の革命まで国内は荒れ狂います。今の中国はまさに1905年から17年の間のロシアが陥った背景に似てきています。民衆の蜂起という点では香港にみられるだけで本土内はかろうじて収まっていますが、それは文化大革命や天安門事件を経験した中高年の恐怖心なのだろうみています。

思った以上に中国国内での政権に対する不満が高まっている可能性を否定する理由はどこにも見いだせないかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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2020年代の日中関係4

日本が韓国と厳しい関係となっている今、反動的に日本と台湾の関係が極めて良好となっています。もともと良好だったのですが、このところ、日本が台湾の文化を積極的に受け入れる様子がうかがえます。台湾の飲食店が新規進出してきたり、タピオカブームもあるでしょう。日本人の台湾への旅行客も今年に入り概ね10%増ペースとなっており、韓国旅行者が激減しているのとは好対照です。

人と人の関係は外交や国際問題に左右されやすく、良好になればなるほどお互いを知り合いたいと考えます。特にアジア人も気軽に海外旅行ができるようになったのでメディアで取り上げられやすい国や地域には「行ってみたい」という気持ちを促進させるものであります。

一方、香港は日本人観光客御用達の代名詞でありましたが、このところの暴動で日本人の観光客は8月が前年同月比マイナス25%、9月マイナス39%、10月マイナス45%と留まるところを知りません。政治や国内情勢からくるイメージにはインパクトがあることは言わずもがなであります。

さて、日中関係はどうなのでしょうか?

私は以前から申し上げていることがあります。中国という国家と中国人は別物だと。どの国にも国民性というのはありますが、中国人と日本人は親和性は悪くないと考えています。中国本土で国民党と共産党との戦いの後、国民党が逃げ込んだところが台湾です。そういう意味では日本人が台湾人に親和性を感じ、中国人にはそれがないと考えるのは表面的な違い、政治制度や社会システム、歴史的関係がそうさせるのであって国民性としては基本的に近いはずです。

では中国人が日本人に違和感を持つのはなぜなのでしょうか?一つには中国本土が戦争をしたその地であることは否めません。中国人の「歴史を刻み込み、子孫に語り伝える」という発想が一部で極大化していることもあります。ただ、個人的にはこの歴史問題も時間とともに収束するだろうと考えています。理由は日本への恨みは日本が成功者であり、中国との格差があったという中国側の「差異感情」がその考え方の背景にあったとみているからです。近年の中国の発展でその発想は今後、薄れてくるのではないか個人的には考えています。

また、中国からの訪日客は今年1000万人程度になると見込まれており、多くの中国人が現代の日本を見て好印象を持って帰り、近隣に伝える口コミ化が進むとイメージは大きく変わるものであります。

我々は政治や国の情勢、宗教、経済力などにより国家と国民を同体化しがちです。例えばアメリカ人は自由で心が広いイメージだったのにトランプ大統領のアメリカはその真逆です。そうなるとアメリカに親近感を持つ人は下がります。

内閣府の「外交に関する世論調査」を見るとトランプ政権下のアメリカに対する日本人の持つイメージはトランプ政権発足時と比べてまだ5ポイント程度低い状態です。一方、中国に対しては2016年を底に8ポイントほど上昇しています。(ちなみに対韓国は2009年から37ポイント下落しています。)

また、イメージは年齢にも影響します。戦争を体験した年齢層、あるいはその話や影響を受けた世代はそれを引っ張りますが、世代交代が進むにつれ変わっていくことも事実です。となれば後は政治や世界から見た施策、開放度、親近感、ビジネスや旅行のしやすさ、政府の介入度など中心的世代が直面する感性がより重要になるとみています。

安倍首相は習近平国家主席と今般会談をし、より緊密な関係を築く大方針を確認し20年4月の習近平氏の来日に向けた下地作りをしたのだろうとみています。個別案件は積み残していますが、成果は上がってくるとみています。

中国政府は少しずつではありますが、国際化を進めざるを得ないとみています。どこまで協調できるかはわかりません。ロシアのようにさっぱり親和性が進まない国もありますが、人権問題、通商問題などで世界の注目を浴びる中、中国が融和政策をとる可能性はあるとみています。その場合、日本が大いなるプラス効果を期待できるのだろうと思います。

国民が作るイメージを政治が支えらえるのか、2020年に注目です。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。
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