外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

経済一般

今週のつぶやき4

昨日のブログ「日米安保破棄は現実的か?」に関しましては本稿を書いている時点で76件ものコメントを頂戴し、熱い意見の交換をみました。このブログがこのような討議の場として使っていただけるなら本望であります。さて、G20、2日目となり、様々なニュースが流れてきていますが、米中首脳会談がその最大の注目でしょう。そこでG20関係をまとめたブログは明日にして、なるべくそれ以外のニュースを中心に今週のつぶやきをまとめてみたいと思います。

市場は戦々恐々
月曜日の市場がどこに向かうか誰も予想できません。快晴なのか、豪雨なのかあと数時間でわかるでしょう。金曜日のNY市場。私が注目したのは金市場。市場が考えるリスクがどこにあるのか、微妙な心理は金相場に如実に表れることがあります。

週前半に大きく上げた金価格はその後、G20への期待感から1400ドル近辺までずるっと下がってきていたのですが、金曜日は比較的締まった取引で1410ドル台を維持しました。私は市場の注目は米中通商問題ではなく、イラン情勢ではないか、とみています。米中問題はニュースそのものにインパクト性がなくなっており、市場をさらに悪化させる要因になりにくい一種の「下方硬直性」が出てきています。

一方、イラン問題はまだこれから。そしてG20が終わればそちらに目線は向かうでしょう。個人的に注目しているのは日本のタンカーを含むあの襲撃事件は誰がやったのか、であります。私の知る限りどこにも当事者らしき名前が挙がってきません。私が可能性は薄いもののあり得なくはないと考えられる案として第三国がやらせたという公算はどうでしょうかねぇ?世界は魑魅魍魎です。

企業の話題も山もりです
株主総会シーズンも終わり、様々なドラマがありました。話題になった企業のいくつかをチェックしてみましょう。

投資用不動産でデータ改ざんを行っていたTATERUに7日間の業務停止命令が下されました。個人的には寛容な配慮だとみています。この決定が下る前、TATERU側は厳しい処分は会社の存続性を否定するという趣旨の発言をしており、業績予想もままならない状態となっています。

株主総会でかろうじてCEOに復帰したのがLIXILの瀬戸欣哉氏。賛成比率は53.7%ですので今期に信用回復を含めた過去のしがらみを払しょくしなくてはいけないでしょう。私の言うしがらみとは人事派閥。瀬戸氏の敵は相当います。不動産市況に影響される同社の企業見込みは厳しいものが想定される中、辣腕を見せることができるのか、注目です。

ジャパンディスプレイのドタバタ劇もニュースにすらならなくなりましたが、中国と香港企業からの支援で目標の出資額の85%程度までは集まりました。中国企業の支援にはアップルの支援も含まれています。同社の失敗はアップル社の意向にあわせ、巨額の投資をして作った石川県白山工場そのものが間違いのもと。アップル頼みの会社の姿勢も含め、いかに経産省が経営できないか、見せつけた代表例でしょう。個人的には役所が絡む見るも無残な無能経営だったと思っています。

闇営業問題の本質は何処にある?
あまり芸能問題には興味ないのですが、今回の吉本興業のお笑い芸人が大挙して反社会勢力の集まりに有償で参加していた件の背景は何なのでしょうか?多くの皆様の方が私より100倍よく知っていると思いますが、私のようにあまり興味がない人間の方が案外、見えるものもあります。

結局、この業界全体の独特性なのだろうと思います。テレビに映るのは完成形。その前にプロダクションや芸能事務所が様々な営業を繰り返し、論理性より主観性で物事が決まりやすいのだろうと思います。結局、芸人に払われるのは「これっぽっち」なのは中抜きされた結果であります。それゆえ闇営業もしたくなります。だって、私の名前で売れているのだから、という自負がありますからね。

しかし、これもサラリーマンの名刺と同じで日本の社会には個人で売りこむ仕組みがありません。所属が基本で「人は後からついて来る」とすれば「お前ぐらいの芸人は履いて捨てるほどいる」と言われかねません。同じようなシーンは韓国の芸能界でも同じ。そうかぁ、日本の芸能界も在日の方が主体となって廻していましたね。ところでジャニー喜多川氏の容態も取りざたされていますが、そろそろ日本の芸能界、大構造改革をしたらどうでしょうかね?

後記
ちょっと気になるのがスポーツ界。1−2カ月前もちらっと書いたと思いますが、今一つ盛り上がってきません。上位にはいくけどトップになれないケースが続出しています。JOC会長に柔道の山下さんが就きました。JOCも刷新するならスポーツ界も新しく踏み出してもらいたいところです。日本の場合、無名の人が圧倒的成績を上げると「僕も、私も」という傾向が強いので注目もしていない人の活躍を期待しましょうか?

では今日はこのぐらいで。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

今週のつぶやき4

日本は2年目の「山の日」で暦巡りもよかったせいか、ここバンクーバーでも街を歩くと日本語がやたら聞こえてきます。夏休みをエンジョイしている方も多いと思いますが、グアムに旅行に行かれた方はちょっと寒い思いをしているかもしれません。では今週のつぶやきをお届けします。

双方本気と言っても決戦舞台は何処?
トランプ氏と金正恩氏の舌戦は留まるところを知らず、傍で見ている限り、「ニュースタイルの宣戦布告」のようにも見えます。よくわからないのは金氏がグアムと具体性を挙げたのに対してトランプ氏はその作戦を一切口にしていません。やるやらないは別として数通りのプランは既に出来上がっているはずであとは相手の出方でその選択肢が決まってくる感じではないでしょうか?

勿論、戦争を望む人は誰もいないのですが、今の緊迫した状況では双方、後に引けないようにみえます。私が一番気になるのは金正恩氏の「性格」であります。良識をもって説得できるようなタイプではなく、自分が破滅するまで突っ走る傾向があり、一旦火がつくと止められないたちの悪さが感じ取れます。韓国の文大統領が話し合いをすると選挙戦の時に主張していましたが彼の性格分析ができていなかったのではないでしょうか?一方、中国は何もしないではないか、というトランプ氏のクレームですが、中国の秋の党大会もありますが、対話路線は実質、機能しないと早々に分析し、「やるだけ無駄」と判断した可能性もあります。

特にその動きが加速したのが国連安保理決議だとみています。あれを見て思い出したのが松岡洋右全権の国際連盟での演説、その後の国連脱退であります。凱旋帰国した松岡を国民は英雄扱いし、報道は「我は我なり」としたのでありますが、さて。

市場もおっかなびっくり
当地の新聞も北朝鮮問題を全面的に取り上げており、市場ムードもそれに呼応するようになっています。目先は安全資産の金、地政学的に遠いユーロ、スイスフランが買われていますが、円もなぜか、買われています。コンピューターのプログラム上の問題ともされますが、アジア内で逃避できる通貨はやはり円なのかもしれません。

テクニカル分析では円はもっと高くなるとみる専門家が増えており、一部では95円を想定しているケースもあります。為替の動きは夏休みということもあり、市場参加者が少なく、変動幅が大きくなっているので週明けは要注意だと思います。

株式に関しては金曜日のNY市場はやや落ち着きを取り戻しています。日本も決算発表のピークを過ぎてきましたのでこれから月末にかけては個別の物色が主体となるのではないでしょうか?仮に不測の事態が生じたらアップルはサプライチェーンが切れ、次期iPhoneに大きく影響する可能性がある点は指摘しておきます。

あの若狭氏がねぇ…
政治ってよくわからないと思います。アメリカで新政権ができる際に幹部に登用されるのは選挙戦で候補者と共に一緒に汗を流してくれた盟友が多いとされます。つまり、心の底からあなたのために尽くします、という姿勢の人は偉くなれる機会を頂けるのです、形の上では。

若狭勝衆議院議員もその点では「百合子、百合子、百合子!」と言い続け、体を張り、議員バッジを賭けたところで百合子さまのハートをぐっととらえました。そういう意味では昔の熱い恋愛ドラマを見ているような気もしますが。

その若狭氏、新たな国政政党結成を目指すとし11日には民進党を離党した細野豪志衆議院議員と2時間のさし話。最大野党の屋台骨ががたがたしている中で当然あり得る新党結成の動きだと思います。ただ、今回の新党結成は小池さんではなくて若狭さんです。申し訳ないですが、格が違います。まさか、小池さんがいい時だけピンチヒッターで名を連ねるという技はもうできないでしょう。

個人的には小池派の源流があるなら小池さんの手腕をもう少し、見せてもらいたいと思います。特に秋にかけて都議会で都民ファの議員たちがどのような活躍ぶりを見せるのか、そこから判断しても遅くないでしょう。若狭さんは来年の選挙から逆算して手を挙げているのだろうと思いますが、やや本末転倒のような気もします。

終わりに。夏休みで遊びに行く人が多いということはその時に必死に働いている人もいるということ。私は今年最高の繁忙期に入っており、このところ朝6時半から夜遅くまで週末なし状態でほとんどギブアップです。私もプールサイドでビールでも飲めたら最高だと思います。冷たいビールジョッキが夢に出てきそうです。

では今日はこのぐらいで。良い夏休みをお過ごしください。

ブログの応援もお願いできますか?ブログランクアップにつながります。

北アメリカランキング

また明日お会いしましょう。

FIFAの行方4

ブラッター会長が5月29日の選挙で5選を果たしてわずか4日後の6月2日に辞任表明をしたことはFIFA(国際サッカー連盟)の透明性に大きな疑問を投げかけました。日本でも小さい子供は野球よりサッカーを選ぶ時代になり、サッカー競技人口は地球儀ベースでは2億7000万人(FIFA発表)と圧倒的であります。当然ながらそこに絡むお金の問題も起こりやすい状況にあったと思いますが、今回の問題は先行きが相当懸念されそうな気がします。

まず5月29日の選挙は27日にFIFA幹部14名が起訴された事態の中で行われた次期会長選でした。もしもこの選挙が公明正大なものであれば209票の行方はそれまでの趨勢のブラッター会長支持が揺らいでもおかしくありませんでした。事実、イギリス首相を含め、内外からその責任を問う声が上がっている中で結局対抗馬のヨルダン アリ王子に133対73と大差をつけて勝利しました。それを強力にサポートしたのは多くのアフリカ諸国と言われていますが、理由はブラジルでもアフリカの無名の小国でも一票は一票である仕組みがあるからでしょう。まさに一票の格差であります。

事実、当選したその日のブラッター会長は喜びに浸っていたと報道されており、一方で反対票を投じた人に対して「I forgive but I do not forget.」という言葉を残しています。これは73票の流れた票についての怨嗟そのものでありますが、通常の選挙の結果ならばこのような言葉が出てくることはありません。個人的にはブラッター会長が側近の事務局長を通じて票を買収していたのに一部の票がそれに反してアリ氏に流れたという恨み節と見ています。

そのブラッター会長が事情聴収の対象になったことで一気に形勢が逆転、極めて早い幕引きとなりました。これも私の勘ですが今回のアメリカを中心とする捜査当局は選挙を予定通り実行させその証拠固めをする戦略だった気がします。事実、ブラッター会長を支持していたナイジェリア、ケニア、イラン、ギリシャなどは今、青くなっていると言われています。理由は会長選に伴う収賄でありましょうか。これではブラッター票を買い取るための資金がそれぞれの国に流れていたと類推したくなってしまいます。

ではもう一つの捜査、W杯や関連イベントなどの招致に関しての賄賂のルートであります。その疑惑は10年の南アフリカ、18年のロシア、22年のカタールが対象になっていますが、2014年のブラジルの名前がなぜないのかこれも不思議といえば不思議です。14人の起訴されたメンバーにはブラジル人も入っており、ブラジルの司法当局も捜査に乗り出していますから本件は泥沼と化す公算が高いのではないでしょうか?

うち、最大の疑惑は22年のカタールで開催決定当時から不正疑惑が渦巻いていました。また、ロシアについてはプーチン大統領が「アメリカの常套手段で、自国の裁判権を他国に使っている」と息巻いていますが、ロシアもブラッター支持派でしたので何が飛び出すか、気になります。アメリカがロシア苛めをするならこれもチャンスかもしれません。

FIFAを中心とした贈収賄はアングラマネーがアングラマネーを作る最悪のシナリオに見えます。その上層部は腐りきっているともいえるでしょう。ブラッター会長の娘が「父はまじめでそんなことする人ではない」と声明を出していましたが、今となっては娘のボイスもむなしく聞こえてしまいます。

直接的に懸念があるのはブラッター会長がばら撒いたかもしれない票の買収資金がどの国のどのレベルまで渡っていたか、であります。当局がどこまで捜査する気なのか、あるいは影響力が大きすぎて問題をスルーさせるのかそのあたりも今後の注目ポイントとなりそうです。

いずれにせよ、多くのスポーツファンを失望させ、多くの世界の子供たちの夢であるサッカー選手がそのような組織体に影響を受けていたことは許されないでしょう。折しも当地ではFIFAの女子サッカーが間もなく始まるところでありますが、正直、あまり盛り上がっている感じはありません。女子サッカーとしては前回のドイツの80万枚を超える史上最高の150万枚のチケット販売を目標にしていますが、スタジアムベースでは75%程度の売れ行きで今や学生向け500円(5カナダドル)の安売りも一部で始めています。

疑惑を払しょくして明日に向かってボールを蹴ってもらいたいものです。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。

違和感のあるフィッチの日本国債格下げ4

レーティング会社の一つ、フィッチが日本国債の格付けを一段階下げて「A」としました。これは21段階の上から6番目にあたり、中国より一つ下になります。格下げの理由は昨年末、安倍政権が消費税引き上げを延期したことに対して消費税にともなう増税分を補う対策を取らなかった為とされています。

フィッチの発想は画一的で日本の独自の特徴を十分に理解していないように思えます。日本にとっての影響力というよりフィッチという格付け会社の信用度の問題に繋がる気がします。

日本に於いて消費税ほど体質に合わない税体系はないというのは過去3度の経験からよく理解されたと考えられます。以前にも指摘しましたが、消費税のメリットとは誰からも平等に税金が取れる仕組みである点が強調されてきました。しかし、日本の歴史に於いて税金とは収入に対して税を払うものであってお金を使うことに税を払うという発想そのものが欠落しています。

もう一つは大陸の移動型民族には(逃げられる前に)「取れる時にとっておく」という発想があります。日本は農耕型で移動せず、島国で課税対象が国内に留まる場合には税はかならず捕捉できるという違いがあります。(最近はどこにいても捕捉されますが。)つまり、諸外国では逃げられないようにがんじがらめにし、税による社会還元を非常にオープンに市民と共有する仕組みがある点が違うのではないでしょうか?

次に日本の場合には税を徴収する役人と一般国民の間に明白なるギャップがあり、税を集め、歳出のプロセスに於いて国民のボイスが反映されることは割と少なく、また、国民もボイスアウトしないのが大まかな流れだと思います。予算を確保するのは各省庁の年中行事であり、省庁の役人、官僚は国民が選んだ被選挙人ではなく、公務員であります。

あるいは、ふるさと納税に於いて行き過ぎとも思われるサービスについて地方の市町村はその損得について数字できちんと説明し、総合的な経済効果がどれ位あるかと発表はしていないと思います。単にほかの市町村よりもより目立つもの、より還元率の高いものを競争的に提供しているだけで論理性は不明瞭です。しかし、それを文句言う人がいないのは税は払ってしまえば終わりと考える一般国民が大半である証ではないでしょうか?

日本の歴史に於いて税は収入から取る、贅沢をした時に取る、死んだときに相続として取るといった基本ラインがあらかた決まっています。ところが消費税は富裕層から貧困層まで平等に税金を取る発想が実は不平等であるという見方が日本の中にあります。(一律こそ不平等であるという意です。)だからこそ、安倍首相が昨年末、消費税増税延期を決めたとき、日本国民は安どし、経済が再び好転し始めたのであります。

ではフィッチ。消費税導入を遅らせたことによって内需拡大が促進され、法人税収入が増え、企業は賃金を増やすことで個人からの所得税収入も増えます。15年度の税収見込みは53兆5000億円と前年より4.5兆円も増えているその背景をどれ位考慮しているのか不明瞭です。ちなみに2009年には税収は37兆7000億円程度しかなかったことを考えると日本の場合、景気回復による税収増が消費税引き上げ効果よりはるかに高いことはほぼ明白ではないでしょうか?

海外では消費税を含む税の引き上げはごく当たり前でその理由はプライマリーバランスをその最重要指標としているからではないでしょうか?一方、日本は税の背景がバランス化よりも景気や災害、諸外国との関係、など必要としているところに必要な資金を投入する「国家家父長型税システム」を取っているようにみえます。

だからと言って赤字でもよいというわけではありませんが、税に対するアプローチが思いのほか違うな、というのが私の思うところであります。フィッチにはこの考えはなかなか理解してもらえない気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

ブログの応援もお願いできますか?クリックするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。

下落する石油価格がもたらすもの4

27日にウィーンで開催されたOPEC総会。サウジアラビアなどが減産に同意しないのではないかと事前から囁かれていましたが予想通りの展開となってしまいました。石油の先物価格は急落しており、明日のニューヨーク市場では70ドルを下回る気配もみえています。また、サウジアラビアのスタンスは短期的視野というより売れるだけ売るという姿勢に見え、市場では60ドルの声も聞こえてきました。

サウジの姿勢はアメリカのシェールとの戦いとも指摘されています。当初、アメリカはロシアとの不仲な関係から石油価格を引き下げることでロシア経済を窮地に追い込む作戦でありました。また、シェール革命によりアメリカは石油輸入に頼らない体制にすることができるため、政治的には中東との同調が必ずしも必要なくなる政治的戦略も見て取れました。

ところが、今の状況はサウジがそのプライスリーダーシップを譲らず、アメリカのシェールすら脅かそうとしているのであります。理由はシェールの算出コストが一般的には80ドルを超えるとされるため、今の価格ではシェールは赤字となるからです。しかも初期に開発されたオイル分が多く良質なシェールならともかく、雨後のタケノコのように参入した開発業者、投資会社、あるいは日本の商社の中にはシェールガスと比べ販売価格が高いオイルが少なく、産出コストも高い案件を抱えているなどの問題が多いとされています。つまり、サウジがこのまま減産をしなければ新規参入したシェールの開発会社は立ち行かなくなる可能性もあり、それを狙って横綱相撲をしようとしているのではないか、とされるのです。

さらにシェールは油田と違い、同じところから出るガス、オイルには限界があり、すぐに枯れてしまうという弱点があります。つまり、その度に開発しなくてはならず、長期安定性に欠けている点でサウジが力任せの勝負に出ているとも言えそうです。

もう一つは石油に対する世界需要の低迷があるのでしょう。急速なグローバル化の反動も含め、アメリカを除き、世界経済は厳しさを増しています。中国は来年以降の成長率を7.0%に引き下げ、背伸びしない成長を遂げようとしています。その上、自動車などの燃費効率向上も含め、石油に対する需要に陰りが見えていることも大いなる影響となります。

この石油価格に対して日本ではどういう影響があるのでしょうか?

笑うのが電力各社を含む石油製品販売会社、苦り切っているのが黒田日銀総裁であります。

石油の輸入価格は為替の円安が響き、相当の痛手となっていたのですが、石油価格が3割以上下がってきていることで為替分をある程度相殺できることになり、このトレンドが続けば輸入価格は一息つけることになります。これは一部製品の価格転嫁に歯止めをかけることができて消費者や需要者にはうれしい話となるはずです。

一方、2%のインフレをどうしても達成したい黒田日銀総裁としては異論の多かったバズーカ第二弾を放ってでもインフレ率という数字の目標に達成するつもりでした。その最大の敵の一つとされたのが石油価格の下落であります。今回のOPECの減産に至らず、という結果は日銀の目標へのハードルが何枚か上がってしまったことになります。

もっとも石油価格が下がったからすぐに石油製品の価格が下がるわけではなく、各社の契約や為替予約によりその影響が出るのは来春以降ではないかと思います。それは黒田総裁の2年のお約束の時期と重なることになり、安倍首相の戦略も矢面に立たされる可能性はあります。

世の中の動きはかつて以上に複雑でエレメントが多く、政策や経営戦略の難しさを改めて教えてくれた気がします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。

中央銀行の影響力4

イエレンFRB議長が金融の量的緩和について当面、既定路線で行くという趣旨を発表しました。合わせてFRBの金融政策がもたらす新興国への影響は限定的であるとのコメントも付け加えました。

一方の日本。消費税引き上げを前に日銀は追加の金融緩和をするのではないか、と噂されていました。ところがここにきて各種指標から追加の施策を行う必要性がなさそうだという見方が支配的になってきています。例えば、日銀の木内登英審議委員は日経のインタビューで「経済や物価の多少の下振れ程度では、追加策による副作用が効果を上回る」述べています。黒田総裁は今のところ、「フレキシビリティを持たせる」という趣旨の発言に留まっていますが、裏返せばどうにでも取れるということです。つまり、市場の期待とは逆になることも大いにある、ということでしょうか?

イエレン議長も前任のバーナンキ議長も先々のことはその時に判断するという姿勢を見せている一方でフォワードガイダンスなるものも最近、注目されるに至っています。フォワードガイダンスとは中央銀行が金融政策の先行きを示すことであります。が、フィナンシャルタイムズではその効果はない、と強く否定しています。中央銀行のガイダンスでは「今日現在の経済指標をベースに考えれば金融政策のベクトルはこの方向だ」と言っている半面、「市場のことは市場に聞かねばわからない」とも言っているのです。私もこの点においてフィナンシャルタイムズの指摘に同調したいと思います。

となれば同紙が突っ込んだ「イエレン議長に武器はなし」という点が確かに浮かび上がります。ポール・ボルガー氏はひどいインフレ、アラン・グリーンスパン氏はブラックマンデー、バーナンキ氏はリーマン・ショックに金融崩壊と、ことごとく市場の熱い洗礼を受けてきました。しかし、歴代議長は対応すべき金融政策を持っていました。が、イエレン議長に関してはこの先、何か起きた時、どんな武器があるのだろうと考えると案外、伝統的な手法はないというのが専門家の一致した見方であります。以前、ヌリエル・ルービニ教授もそんなことを言っていた記憶があります。

武器がないのなら、議会は両党が一致して協力姿勢を見せるつもりなのか、アメリカ債務上限問題については今回は大きな話題にもならずあっさり両院は合意をしました。もっともこれもはじめからわかっていた話でした。

オバマ大統領も共和党のベイナー下院議長も早々に決着させると公言していたその理由は「これ以上揉めると中間選挙に響く」というお家事情によるものでした。実に自己中心的な発想であります。その点においてはイエレン議長は少なくとも中間選挙までは議会を味方につけることも可能だとも言えそうです。

但し、それは11月4日。それ以降、私が以前から懸念しているように共和党が両院とも過半数を抑え、オバマ政権がレイムダックになるようなことになればコトは非常にややっこしくなります。そしてイエレン議長は武器がない上に味方もなくすことにつながってくるのです。

リーマンショックからすでに5年半近くたつのですが、その間、金融政策が世の中を牛耳っていた感は否めません。その要となったのが各国の中央銀行であり、アメリカのFRBはまさにその頂点にあるといってもよいでしょう。それは中央銀行があたかも世界経済を引っ張っていくという印象すら持たせていますが、このブログでも時々提議していますように決して金融政策だけで経済はコントロールできるものではありません。が、市場は金融政策に一喜一憂する日々となり、政権を担う各国の政治的な政策とのバランスが悪化していることは疑念の余地はないように思えます。

中央銀行の影響力は本来であればサイドサポートであったはずでした。少なくとも我々が昔学んだ経済とはそんな感じだったと思い返せば、時代の反転は起こり得るのだろうか、とふと気になったりしませんか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。

高額所得者の税は免れることができるか?4

土曜日の日経のトップ記事に「海外口座情報 得やすく 課税逃れ防止、G20で合意へ 国税当局間、オンラインに」とあるのですが、一般の人にはあまり注目されなかったかもしれません。しかし、この記事はある意味、税体系について画期的な変化をもたらす可能性があるかもしれません。

日本の企業の7割が税金を払っていない、というのは麻生大臣が述べていたと思うのですが、それは上場企業でない限りどうしても美しい財務諸表を作るという目的意識に欠けていることがあるかもしれません。非上場企業において利益が安定的に出ており奇妙な未収、未払、不良資産もない立派な財務諸表を見せるケースは主には銀行からの借り入れの審査ぐらいではないでしょうか? ありそうでなかなかないのが中小企業のおっと思わせる財務諸表でそれなりの苦労の跡形は見る人が見ればわかるものです。

事業主からすればいかに税金を払わないようにするか、というテクニックは大きな意味をなします。その恩恵にもっとも浴せるのが政治家、医者、宗教法人と言われています。つまり、本来「先生」と称される方々が税金を払わない一定の特典を持っているのになぜ一般民が運営する企業がその特典に預かれないのかという発想ができなくもありません。

そんな日本の税制は例外規定、除外、更には控除から規定すらないものを含め、税額を下げるための隠し技だらけです。一定のルールを知っていれば税金がかなり安くなる方法はあるようなのです。ところがこれが行き過ぎると合法上の節税からグレーなやり方、さらには脱税という所得隠しまで様々でエキストリームなケースが出てくるのですが、気を付けなくてはいけないのは一般民にとってどこまでが合法でどこからがグレーかという線引きが案外、明白ではないこともある気がします。

ところで、個人ベースの場合、日本が2015年から導入する相続税率の見直しに伴い、それを回避するために様々な方法を考える人も多いでしょう。日本にはとてつもない金持ちはいるものです。多分IPO絡み、不動産絡みが多いと思います。開業医は税金的には恵まれてますが、昔ほど爆発的には儲からないようになってきてると思います。

私の知り合いで多分最低でも20億近くの資産を持つあるIPO長者は娘に資産を相続させるために涙ぐましい努力をされているのですが、その手法の一つが海外であります。村上ファンドの村上 世彰氏も資産をシンガポールに移して話題になったと思いますが、海外に資産を持っていくというのは一見、税金を逃れるにはなかなか巧妙な手口だと思われるでしょう。しかし最早、これはかなり難しい状況になってきています。

海外への資産逃避を許さないとする国税の対策強化は、武富士事件で巨額の相続税に伴う追徴金について最高裁で国税が敗北し、400億円もの金利までおまけにつけて武富士の相続一族にお返しした事件もトリガーのひとつだったと思います。そのうえで昨年からは海外資産のディスクロージャーが始まり、ついには冒頭の日経の記事に至るわけです。この記事によればイギリスがこれに加わることで英領のタックスヘイブン地域も含まれ、いわゆる「節税(脱税?)のスペシャリスト」にとって今後、極めてその手法が限られてくるということになりそうです。

税金は逃れられるか、という質問に私の今までの経験などを踏まえて一言で答えると限りなく「不可能」ではないかと思っています。日本はどれだけの税金を逃れてきても最終的にその人が死んだとき、相続税という形で取られる仕組みが整っています。国税はしっかりしています。ならば増税という手法よりも特定の控除枠など「おまけの絞り込み」の方が税収アップにつながる気も致します。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

ブログの応援もお願いできますか?クリックをするとブログランクアップにつながります。

北アメリカ(海外生活・情報) ブログランキングへ

ではまた明日。
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

QRコード
QRコード
Archives
記事検索
Recent Comments
  • ライブドアブログ