外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

ガン

自分のバックアッププラン4

自分のバックアッププラン、つまり、自分に何かがあった時の準備や代替案という意味ですが、皆さん、考えたことがあるでしょうか?日本で特に多いのが「俺、生命保険に入っているし、入院保険も出るから大丈夫だ」という方でしょうか?でもよく考えてみるとそれは自分をお金に代替しているだけで自分の意志やプランはその間、完全に切れてしまいます。

人生ははかないものです。退職してゆったりした日々を過ごしながら終末を迎えるという絵に描いたようなライフがあればそれがベストですが、それが全てではないと思うのです。高齢になる自営業の方には年金拠出をしなかったので生活費をねん出するのにずっと働かねばならない人もいらっしゃるでしょう。

人生、どこで何が起きるかわかりません。交通事故やガンなどの病気、更にはいい歳した方がつまらない社会事件で逮捕されたりして晩節を汚す方もいらっしゃいます。ブレーキとアクセルの踏み間違いは高齢者の典型的交通事故です。そして、私はもう一つ、認知症も怖いと思っています。

私のアパートの隣人さんは独身のユダヤ系のおばあさんで普段はテニスクラブに通い、新聞を購読し、おしゃべりしても実にピンとした方でした。が、本当に突然のように記憶が怪しくなっていったのでしょう。ある日、エレベーター前で寝巻のまま立っていたので「どうしました」と聞けば「散歩に行くところなの」と。「そんな恰好じゃ寒いから何か着てきてね」と言ったのが異変に気が付いた最初。その後もあれっと思うことがしばしばありました。

更に、ある朝7時頃、私が部屋の玄関のカギをしていなかったこともあるのですが、そこにおばあさんがまた寝間着姿で入ってきました。「あれ、ここは私のうち?」って。それから私も何人かに連絡したりして注意を喚起したのですが、ついに施設にご入居され、隣の部屋は売り出されました。ここまで進行するのに2年かからなかったと思います。余計な心配ですが、その売却代金は誰のところに行くのだろう、ちゃんと計画していたのかな、というのも気になります。

認知症の人は65歳で6人に1人、80代後半で4割前後の人が陥るとされます。ガンならば余命が比較的はっきりわかり、終末プランができるのですが、認知症の場合、いつの間にかという問題があり、また進行具合も人それぞれです。重度の認知症なら言った瞬間のことを覚えられません。暴れたり、大声を上げることもあります。ガンにかかるリスクは概ね5割ですが、認知症も同等のリスクがあるわけで平穏無事に人生を閉じることは案外難しいハードルでもあるのです。

私はカナダで事業を営んでいますが、先日も事業家向けのバックアッププランに関するセミナーに出席しました。以前から会計士とはやり取りしていてそろそろ準備をしなくてはいけないという意識はありました。要はどういう形で誰に事業を引き継ぐのかを決める必要があるのです。目的と方法論次第でいくつもの選択肢があります。私は会計士とも相談し、特殊なスキームを実行すべく考えています。

もちろん、自分が死んだときにはじめて引き継がれる遺言でもいいのですが、できれば生きているうちに少しずつ禅譲できる形、そして最も経済的な方法を選択する必要があるのです。

日本ではあまりなじみがないでしょうが、遺言一つにしても弁護士はその財産額に対する%のフィーを要求します。暴利です。それが嫌ならそれを避ける方法もあるわけです。今はオンラインの遺言もあります。一方、遺言は死んだ瞬間、それが引き継がれるのですが、引き継がれた方が迷惑することもあります。もちろん現金なら嬉しいでしょうが、事業だとしたらどうしますか?そういう無謀な遺言もありました。「あなたは私の会社の社長を20年続けること」って。人の意思、関係なしですよね。

会計士や弁護士は概ね50代になったら遺言は書こうね、といいます。これは半ばビジネストーク、半ば本気ですが、私はある意味、正しいと思います。しかし、前述の通り、ビジネスの場合は遺言ではなく、元気な時から禅譲できるプランにした方が幸せだと私は思っています。日本でも後継者がなくて困っているという事業者だらけです。それは自分に固執しすぎるからで自分が永遠ではないと思った瞬間にタスキを託すという気持ちになれるでしょう。

では事業者ではない一般のリタイアされた方には無関係か、と言えばそんなことありません。そもそも一般論としては死んだときに自分の財産を100%使い切る「お買い物ゲーム」のようなことはできません。何歳まで生きるのかわからないのでどうしても手元に「将来のため」と90歳や100歳になっても一定額は残しておくものです。なのでそれなりに皆さん、「レフトオーバー」があるのですが、その平均値は大変多いともされます。

これを考えるとやはり、事前にプランすべきものだろうと私は思います。考え方の一つは死んでから相続するのではなく、生前に贈与してお金のことはすっかり任せて面倒を見てもらうことも選択肢の一つです。事実、認知症になればお金の判断は非常に厳しくなるでしょう。自分で独り占めして、握りしめておく価値などなくなるのです。上述のユダヤのおばあさんだって認知症になって億のお金が転がり込んできてもしょうがないでしょう。

残念ながら全ての人生にはエンドがあります。その終わり方も人それぞれ。となれば、第4コーナーを回ったらどうするのがベストなのか、考え始めるのも悪くないと思います。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

食の落とし穴4

日経電子版に日経関連雑誌からの転載として「カップ麺などの『超加工食品』、 がんのリスク高めるか」という記事が出ています。議論を呼びそうです。

記事によると超加工食品とは大量生産された加工パン、スナック菓子、炭酸飲料、保存料を添加した食品、即席めん、冷凍食品、家庭で調理するには加えない添加物が入ったものとあります。これを言われてしまえば世の中の人が食べているものはまず引っかかってしまいます。

ガンのリスクが高まるかどうかはこの記事の出所であるフランス国立保健医学研究所の調査内容を掲載した英国BMJ誌を検証する必要がありますし、タイトルにあるように「リスクを高めるか」と疑問符がついているので真偽はまだわかりません。昔から加工食品に対する疑いの目はあったわけである意味、焼き直しの話のようにも見えます。

ただ、私がこの記事を読んで連想したのは「外食」への懸念であります。日本はまだ管理が良く、おいしいと思いますが、カナダで外食は最近、あまり気乗りがしないのです。理由は旨くないという根本理由と同時に味に一定感がない、異様に塩分など味が濃いなどから気が進まないのです。

結局それがどうなるかと言えば私の場合、飲めればいいことになります。地元レストランに入ればクラフトビールにサンドウィッチの単純セレクションです。メニューへの期待感がゼロなので何でもいいという妥協なのでしょう。極たまにラーメン店に行きますが、基本的にどこも味が濃すぎて麺とのバランスが頂けないんです。(パスタソースと麺の関係や白、赤のワインの合わせ方をある程度知っている人はご理解いただけると思います。)

私がかつてカフェを経営していた時、ある方から外食は味を濃くして客がおいしく感じるようにせよ、と指南されたことがあります。意味は分かるのですが、素材の味を殺すほどソーシーな感じにするのが私には許せなかったですね。あるいはカロリーの塊みたいな超ジャンキー系がバカ受けしているのを横目で見ながら、これぞ本当に寿命を短くする原因ではないか、と言いたくなります。

冒頭の加工食品への懸念は当然あります。勿論、それが大きな問題になれば世界中の食品に対する不信感から大混乱になることは必至でしょう。かつてマクドナルドで問題になったトランス脂肪酸。日本での規制はまだ緩いとされます。あるいはマクドナルドのポテトはポテトとは思えない加工品状態とされています。そういえば日本でケンタッキーはチキンとして商品を売っていますが、北米ではあれはチキンとして認知されない加工食品故に店の看板はKFCに変わったのです。

私が大学生の時、マーガリンはバターのギッフェン財と習いました。ギッフェン財とは価格が上昇すると需要が増えるものです。ところがそのマーガリンは不健康の塊とされ、私の中では口にしてはいけない筆頭アイテムです。

食の落とし穴だらけのこの世の中、どうすべきか、といえば自分で作るしかないと思います。私は基本的に作るのが全く苦ではないので長生きできるかもしれません。食のことを考えると本当に何が正しいのか、分からなくなる一方です。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

タバコ増税見送りについて一言。4

本論に入る前に、「雇用問題」のテーマに関しては皆様からたくさんのコメントをいただきました。皆さん、この問題を正面から捉えていらっしゃっています。そして、問題の本質について素晴らしい意見をたくさん頂戴しています。お時間のある方はコメント欄をクリックしてぜひお読みになることをお勧めします。

さて、本日のテーマですが、ちょっとタイミングは遅いのですが、やっぱり、これに関しては一言述べたいのでぜひ書かせてください。

麻生総理はタバコ増税に関してかなり積極的だったと聞いています。そして、今回、社会保障費の伸びの緩和の為に2200億円の財源が必要になったことでその案としてタバコ増税が浮上したわけです。

ところが、葉タバコ生産農家や小売業者、JT辺りから猛烈な反発があったのだろうと思います。反発は主に自民党議員。つまり、与党ですよね。与党案を与党がつぶしたということです。

日本の報道はいわゆる財源問題を中心に捉えています。これが、カナダだったらどういうことになるか。答えは実に簡単です。

タバコを吸うと肺がんになりやすくなる。
そうすると医療費がかかり、政府の負担も大きくなる。
それはひいては国民のお金である。
ならば、肺がんになりやすいタバコは減らすようにするのが正しい。
だから、税金を上げてタバコをすわなくさせる。

ですよね。
だけど、増税反対論者は税率を上げるとタバコが売れなくなって目標財源額に届かない、という理論です。良いのですよ、そんなもの、届かなくったって。いや、そんな財源は少ないほど自慢できるのです。

僕だって昔はタバコを吸っていました。だけど、何度目かのトライで止めました。だけど、止めるに至った一つの理由はタバコの金額でした。カナダのタバコは高かったのです。だから、止める決心がついた。今はもっと高いはずです。

葉タバコ農家も普通の人が食べる農作物を作る農業に変わって欲しいと思います。葉タバコこそ、全部輸入品でもいいくらいです。

カナダではタバコ業者の広告、スポンサーシップは駄目になりました。店頭でもタバコは隠しています。つまり、外国から来た人にはタバコが何処で売っているか分かりません。

こちらは外でタバコをすうのも難しくなりました。距離規制があるからです。

たまに日本に行くとタバコの匂いがきつくてちょっとしんどくなります。そして、コーヒーショップに入るとなぜか、喫煙席の方が大きくて禁煙席が小さいのにいつも禁煙席は満席。

何で日本の政治家は自分の票のことしか考えないのでしょうね。日本は医療費問題があるのが分かっているのですから一人ぐらい、こういうアプローチをしてタバコ増税を支持してくれても良いと思うのですがね。

タバコ一箱にかかる税金、日本175円、アメリカ 492円、イギリス 732円だそうです。麻生さん、一本20円でもまだ安いかもしれませんよ。
これでがん患者が減ったら麻生さんの人気も少しは回復するんじゃないですか?

ということで、最近気がついた実に不思議な政治のお話でした。

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ではまた。



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