マンションを買っても手にしたその瞬間から価格の下落が始まり、1年たったら何百万円も下がっていた、という話を時々耳にします。不動産で儲かったという話や最近、不動産価格が復調気味だ、あるいは金利がまだ安いうちにローンは組むべしといった話に乗って一生に一度の買い物をする方も多いでしょう。これから25年間、ローン地獄に陥ることも厭わず、家族のために、老後のためにジャンプするスタイルは今も昔も変わりません。
もちろん、それは意味あることですが、家を買う行為にどういう意義を持たせているのか、今一度よく考えた方がよい時代になったかもしれません。現代社会はかつてのライフのような画一的なものから様々な応用が可能となりましたし、今後、20年、30年の間に社会の価値観も変化してくるでしょう。それこそ天変地異があるかもしれません。
国土交通省より2017年1月1日時点での公示価格が発表になりました。全用途全国平均で0.4%プラスとなり、しっかりした足取りの商業地価格が全体の不動産価格を牽引しながらも住宅用地の価格も水面上に顔を出し、数字としてはまずまずの結果となりました。
しかし、これはあくまでも全国の全用途平均であって皆さんの住む場所がこれと同程度上がったかどうかは個別に調べる必要があります。(ネットで簡単に調べられます。)今回、私が注目したのは「住宅地1万7909地点のうち上昇は34%、下落は43%と、なお下落した地点数が上回っている。通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の地価が上がり、駅から離れた不便な場所の地価は下がるという二極化が全国的に広がっている」(日経)というくだりであります。
少し前にコンパクトシティについてこのブログで書いたと思います。あれは地方の過疎地などを念頭に書いたのですが、大都市圏でも同じ動きが起きているとも言えるでしょう。
駅から歩いて10分。これが不動産の仕事に従事して30年の私が個人的に思う限界点です。これ以上遠くなると不動産の取引需要は下がり、将来の値上がりも期待しにくくなります。コンパクトシティのコンセプトは実は過疎地よりも都内など大都市圏でもっとセンシティブに進む現象だと考えています。
バス便があるじゃないか、とおっしゃると思いますが、基本的にはバスの利便性は電車ほどではなく、少子高齢化が進む日本において高齢者になればなるほど便利さに価値を見出すようになります。つまり、駅近で商業地があり、安全でアクセスしやすいことであります。そしてその多くの例は便利な場所のマンションへの転居であります。
理由は戸建ての場合には外部からの侵入がしやすい弱点、庭などの手入れ、住宅のメンテを自分で行わねばならないこと、広すぎること、二階建ての場合の階段の上り下りが苦痛になることから多くの高齢者がマンションに引っ越す流れが見て取れます。
20-30年前のリタイア層のライフスタイルはどうだったでしょうか?マンションは若い人向きである程度の年齢になったら戸建てが良い、とされていました。陽当たりのよい住宅で庭いじりをしながら余生を暮らすのは「サザエさん」などマンガの典型的シーンであったはずです。これが実際には今、真逆になっているのです。
私が冒頭、無理してローンしてジャンプして不動産を買ってもよいのですか、と問うたのはそういう意味なのです。20年後の価値観はまだ想定できないのです。
将来の予想としてマンション業者の土地の仕入れ方が将来の不動産価値の動向を握るかもしれません。業者はまず、駅近が土地仕入れの原点です。バス便のマンション新築はリスクが高すぎるとして敬遠されがちです。建物が空高く伸びる分には無限に不動産が生み出されることを考えれば大都市ほど駅周辺への人口集積が進みやすい力がかかるとも言えないでしょうか?
不動産業者とはよく話をしていますが、駅近くの不動産の需要は引き続き高い状況です。これがセブンイレブンもないバス便の住宅地のど真ん中になると今後、空き家住宅のメッカになる可能性があります。
となるとここからは行政の出番です。駅周辺の開発は否が応でも民間主導で進みます。が、middle of nowhereとされる何の特徴もない住宅地周辺をどう色付けし、都市計画に反映させていくか、20年後を見据えたプランを作るべきでしょう。私なら芝生がある憩いの場や車の往来の心配がないジョギングコース、コミュニティセンターなどを作り、魅力づくりを提供しながらバランスを取る方策があろうかと思います。
地元の人たちのためのちょっとしたお店、こじゃれた飲食店も魅力的でしょう。のびのびしたライフスタイルが都内でもできるのだというプランを作り上げることで駅から遠いところでも不動産価値のバランスを保つことが可能かと思います。
日本の不動産は基本的には強気になりにくいのですが、便利さを求める富裕層や高齢者層の一部のエリアへの不動産需要は今後も根強い一方、行政が対策を施さない限り、駅から遠い地域の値下がりのバイアスはかかりやすいとみています。
また、シェアハウスやシニアホーム、高齢者向けサービス付き住宅など用途に応じた様々な選択肢が今後、もっと増えてくるはずで、その時に動きやすい形にしておくことは重要なオプションとなるでしょう。
個人的には若い人たちの所有に対する意識の減退は不動産市場にも大きな影響を及ぼし、20年後には今とはかなり違った構図が見て取れるようになるとみています。
では今日はこのぐらいで。
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北アメリカランキング
また明日お会いしましょう。
もちろん、それは意味あることですが、家を買う行為にどういう意義を持たせているのか、今一度よく考えた方がよい時代になったかもしれません。現代社会はかつてのライフのような画一的なものから様々な応用が可能となりましたし、今後、20年、30年の間に社会の価値観も変化してくるでしょう。それこそ天変地異があるかもしれません。
国土交通省より2017年1月1日時点での公示価格が発表になりました。全用途全国平均で0.4%プラスとなり、しっかりした足取りの商業地価格が全体の不動産価格を牽引しながらも住宅用地の価格も水面上に顔を出し、数字としてはまずまずの結果となりました。
しかし、これはあくまでも全国の全用途平均であって皆さんの住む場所がこれと同程度上がったかどうかは個別に調べる必要があります。(ネットで簡単に調べられます。)今回、私が注目したのは「住宅地1万7909地点のうち上昇は34%、下落は43%と、なお下落した地点数が上回っている。通勤や買い物に便利な駅から徒歩圏内の地価が上がり、駅から離れた不便な場所の地価は下がるという二極化が全国的に広がっている」(日経)というくだりであります。
少し前にコンパクトシティについてこのブログで書いたと思います。あれは地方の過疎地などを念頭に書いたのですが、大都市圏でも同じ動きが起きているとも言えるでしょう。
駅から歩いて10分。これが不動産の仕事に従事して30年の私が個人的に思う限界点です。これ以上遠くなると不動産の取引需要は下がり、将来の値上がりも期待しにくくなります。コンパクトシティのコンセプトは実は過疎地よりも都内など大都市圏でもっとセンシティブに進む現象だと考えています。
バス便があるじゃないか、とおっしゃると思いますが、基本的にはバスの利便性は電車ほどではなく、少子高齢化が進む日本において高齢者になればなるほど便利さに価値を見出すようになります。つまり、駅近で商業地があり、安全でアクセスしやすいことであります。そしてその多くの例は便利な場所のマンションへの転居であります。
理由は戸建ての場合には外部からの侵入がしやすい弱点、庭などの手入れ、住宅のメンテを自分で行わねばならないこと、広すぎること、二階建ての場合の階段の上り下りが苦痛になることから多くの高齢者がマンションに引っ越す流れが見て取れます。
20-30年前のリタイア層のライフスタイルはどうだったでしょうか?マンションは若い人向きである程度の年齢になったら戸建てが良い、とされていました。陽当たりのよい住宅で庭いじりをしながら余生を暮らすのは「サザエさん」などマンガの典型的シーンであったはずです。これが実際には今、真逆になっているのです。
私が冒頭、無理してローンしてジャンプして不動産を買ってもよいのですか、と問うたのはそういう意味なのです。20年後の価値観はまだ想定できないのです。
将来の予想としてマンション業者の土地の仕入れ方が将来の不動産価値の動向を握るかもしれません。業者はまず、駅近が土地仕入れの原点です。バス便のマンション新築はリスクが高すぎるとして敬遠されがちです。建物が空高く伸びる分には無限に不動産が生み出されることを考えれば大都市ほど駅周辺への人口集積が進みやすい力がかかるとも言えないでしょうか?
不動産業者とはよく話をしていますが、駅近くの不動産の需要は引き続き高い状況です。これがセブンイレブンもないバス便の住宅地のど真ん中になると今後、空き家住宅のメッカになる可能性があります。
となるとここからは行政の出番です。駅周辺の開発は否が応でも民間主導で進みます。が、middle of nowhereとされる何の特徴もない住宅地周辺をどう色付けし、都市計画に反映させていくか、20年後を見据えたプランを作るべきでしょう。私なら芝生がある憩いの場や車の往来の心配がないジョギングコース、コミュニティセンターなどを作り、魅力づくりを提供しながらバランスを取る方策があろうかと思います。
地元の人たちのためのちょっとしたお店、こじゃれた飲食店も魅力的でしょう。のびのびしたライフスタイルが都内でもできるのだというプランを作り上げることで駅から遠いところでも不動産価値のバランスを保つことが可能かと思います。
日本の不動産は基本的には強気になりにくいのですが、便利さを求める富裕層や高齢者層の一部のエリアへの不動産需要は今後も根強い一方、行政が対策を施さない限り、駅から遠い地域の値下がりのバイアスはかかりやすいとみています。
また、シェアハウスやシニアホーム、高齢者向けサービス付き住宅など用途に応じた様々な選択肢が今後、もっと増えてくるはずで、その時に動きやすい形にしておくことは重要なオプションとなるでしょう。
個人的には若い人たちの所有に対する意識の減退は不動産市場にも大きな影響を及ぼし、20年後には今とはかなり違った構図が見て取れるようになるとみています。
では今日はこのぐらいで。
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