最近の株式の新興市場のブームが日本のビジネスシーンの姿を映し出しているとしたら多くの超一流企業にお勤めの方々は何を言っている、と反発されるかもしれません。

以前、池井戸潤氏原作の「下町ロケット」というドラマが放映され、ヒットしましたがこれは大企業と中小企業の戦いそのものだったといえます。「こんな名もない小さな会社で我が社の社運を担うようなロケット部品が作れるわけない」というシーンは大企業の驕りであり、プライドそのものであります。

いや、私だってゼネコンという建設業界独特のピラミッドの頂点に20年もいましたが、上から目線で「教育してやろう」「これが出来なければ協力会社にはなれない」というスタンスが社員にあったことは否定しません。大企業の下請けへの期待とは長年のお付き合いの中で身元がしっかりし、裏切らず、製品の安定供給などあらゆる面で大企業に最優先の協力姿勢みせることでしょう。ざっくり言い換えれば大名様なのです。

ところがこの5年10年言われてきたのが大企業病。その典型的な症状が足腰の弱さならぬ時代の流れに合わせたフットワークの軽さについていけず、おたおたする事態が数多く表れてきた点であります。今更具体的に事例を掲げる必要はないと思います。

そんな中、日経ビジネスに頼もしい会社が2例出ています。一つは平田機工というジャスダック上場の生産設備メーカーです。その取引先が誰でも知っている大企業(トヨタ、日立、GM、ダイソン、サムスン…)である理由はビジネスの仕組みそのものにもありますが、仕事から逃げない姿勢にあると読み取りました。特にこれは誰にも真似出来ないだろう、と思わせたのがリーマンショックの際、クライスラーに生産ラインを納入していたものの倒産に直面し他社が逃げる中で同社だけ「作業を完遂した」ことが同社の評価を大いに上げたようです。

もう一社はストライプ インターナショナルの石川康晴社長。同社は目立たないけれどアパレル業界において国内1255店舗を持つ急成長中の新興企業です。その駆け出しで大失敗し社員から見放されたその教訓が今の大躍進を支えています。特に中古の衣服をレンタルで着回しする「メチャカリ」という業態はかつて全く考えられなかったスタイルです。

両社とも誰もやらない未知の世界や誰もがやりたがらないことをきちんとこなすという経営者のブラッドがその成長を支えていることがみて取れます。

私は経営談をする時、しばしば持ち出すのが「屏風」の話です。サラリーマン社長の時には私の後ろには金屏風がありました。それは組織、金融機関、株主、取引先であります。自分が躓いても必ず誰かが助けてくれる仕組みがあります。それ故の甘えもあり、気を遣わねばならないこともあり、踏み込めない歯がゆさもありました。

自分が独立した途端、屏風は自分であると気が付きます。そして一日も早く、この屏風が金色に染まり、風が吹いても倒れないものにしなくてはいけないと心に刻み込んだのです。そのためには立ち止まっている暇はない、チャンスは一瞬しかない、常に前に進むなどとにかく色を出す訓練を重ねてきました。そういう意味では私のビジネスはほとんどが一定のユニークさがあります。それゆえの顧客というファン層もとりこめるのです。

よく言われることがあります。「ほかの会社はこうしているからオタクもこうしたら?」と。他を真似たら私が私である必要がなくなるのです。

大企業には独自性というより資本のチカラで押しまくっているだけのところがあります。ほんとうに差別化したものを生み出しているのでしょうか?」価格競争に勝つだけのために安売りをしていないでしょうか?

独自のものを生み出せないとしたらどれだけ大きな会社でも失格です。市場からいつ退場宣告を受けてもおかしくないでしょう。そんな時代がやってきたのです。その中で新興企業の若い経営者たちが汗をかいて日本に面白い風を吹き込んでくれています。

失敗を恐れず、日本の新しいビジネスのスタイルを築き上げる仕組みを通して新時代のニッポン株式会社をサポートしていければ、と思いませんか?

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。