数日前ドイツ銀行の話題を振った際、海航集団が同行の株主だと申し上げました。また同集団は12兆円とも言われる負債で経営危機に陥っており、背後に中国No2の王岐山副主席がいるとも申し上げました。

さて、今日のニュースをみていると海航集団に関する新たな2つの事件が報じられています。

1つは韓国アシアナ航空で一部航空機が機内食を提供できなくなり、大混乱に陥った事件。そして、もう一つは海航集団の傘下の海南航空の王健会長がフランス出張中に「事故死」したことであります。

まず、アシアナ航空の事件ですが、これには背景があります。アシアナはもともと機内食提供会社をLSG社と契約していました。しかし、アシアナが海航側と取引をし、1年半ほど前に海航と4:6の比率で機内食提供会社、ゲート グルメ コリアを設立します。ところが新工場建設中の今年3月、その現場が火事となり、6月30日のLSG社との契約終了に機内ケータリングが間に合わないことが判明します。そのため、LSG社に短期契約更改交渉をするものの決裂、アシアナはやむを得ず、小さなシャープDo &Coという会社に委託をします。残念ながら、初日から供給がうまくできず、大きな混乱を招いたとうストーリーです。更にシャープ社の社長は自殺するという痛ましい展開になっています。

アシアナがなぜ機内食供給会社を変えたか、といえば海航集団とビジネスディールがあった模様でその一環で機内食会社の変更も企てられたとされます。

二つ目の海南航空の王会長の「事故死」も不思議な気がします。出張先のフランスの地方で写真を撮るために高いところに上がったところ足を滑らして3日後に亡くなった、という話です。この海南航空に関しては王岐山副主席の親族が深くかかわっているという疑惑があり、うがった見方をすれば口封じだったのでしょうか?

海航集団は尋常ではないペースで海外の優良資産に投資してきました。ヒルトンホテル、ドイツ銀行、グレンコアの物流部門のほか、不動産では香港の旧カイタック空港跡地再開発も落札しています。また、それらの投資価格が市場価値よりはるかに高く、札束でほっぺたをひっぱたいたという表現が一番似合うスタイルだったようです。

その結果が12兆円という膨大な負債で大きくて潰せないその会社のリストラの真っ只中でありました。王岐山副主席の暴走を止められなかった盟友、習近平国家主席としてはその上手な後始末が課題であるはずです。王岐山氏は一旦は定年で共産党の常務委員から降りたものの最近、習近平氏の一声で副主席として復活し、話題になっていました。

王岐山氏は経済に強いとされ、ゴールドマンサックスからアメリカの財務長官になったヘンリーポールソンと親交がありました。リーマンショックの際に中国の英断と称される巨額投資の発表はポールソン長官(当時)の王岐山氏への支援依頼が引き金だったのでしょうか?よって、王岐山氏の息のかかる海航集団は見返りにゴールドマンが上場させる手はずだったと思いますが、あまりの財務内容の悪化にさすがのゴールドマンも手を引いたようであります。

今回の2つの事件は巨大な企業集団が悲鳴を上げているという一事件にすぎず、今後、さらに驚くような事態が発生しないとも限りません。もっとも秘密主義の中国ですからどこまで報道されるかは別でありますが。

日本のバブル崩壊後の後始末の例を考えると海航集団の資産売却の加速化はあり得るのかもしれません。中国元が安くなっていますから海外資産の売却にはもってこいでしょう。貨幣価値を下げるという政策はこんなところでも有効になってくるのかもしれません。考えすぎなのかもしれませんが、恐ろしい国なのかもしれません。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。