外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

製造業

マーケッターと投資家と製造者4

このタイトルでパッと今日のトピとそれぞれの経営者の名前がお分かりになる方はかなりの経営通か日経を読んでいてひらめきがある方かもしれません。

日本ではかつて製造者の地位は極めて高かったと思います。いわゆるメーカーと称する企業群でモノづくりニッポンの基盤を作り上げました。また、従業員数が多かったので労働組合などの力もあり、経営にも大きな影響力を及ぼしました。

ところが、時代は少しずつ変化します。メーカーはより人件費の安い海外への工場移転、更には地産地消といった「その国で作り、その国で売る」スタイルが増えてきました。これは一種のマーケティング手法の一つだと思います。つまり、モノを作る基本能力とその能力をどう展開させ、レバレッジを利かせるか、は別のテクニックが必要になるのです。

そしてその新たなる市場開拓のためには莫大な資金も必要になり、それを提供するのが投資会社であります。なぜ、銀行ではなく、投資会社なのか、といえば投資会社と銀行は向かっている目的が違うからであります。銀行は利息を貰い、元本を約定通り返してくれる人を上客とします。一方、投資会社は投資先が育ち、大きく儲かるようになることを目論んでいます。一見似ているようでかなり違います。

さて、前振りが長くなりましたが、今日のタイトルを具体的企業に落とし込むと、

マーケッターはZOZOの前澤友作氏
投資家は孫正義氏
製造者は柳井正氏

であります。その孫氏は前澤氏とも柳井氏とも親交がありますが、孫氏は両者と投資家としてのビジネス関係はありません。一方、前澤氏と柳井氏はライバルだと思われているのか、バッテンの関係です。

本来であれば、日本を代表する新旧ビジネスマンが手を結べば非常に強力になるのですが、それぞれがここまで大きくなるとわが道を行く、になるようです。

ZOZOの採寸服「ゾゾスーツ」を着て採寸すればあなたにぴったりの洋服を届けます、というのがマーケッターである前澤氏のアイディア。彼はインターネットで洋服を売るという発想を一般化した点でもマーケッター。会社の労働時間を6時間制で午後3時に帰ってもよいオプションを提供したのも前澤氏。要はアイディアマンなのであります。現状から新しいものを生み出すという点であまりにも面白い経営者なのでありますが、彼自身はほとんど何も製造できない点において営業マンでもあります。

一方、柳井正氏はたたき上げの製造者。そして私が評価するユニクロの商品とはベーシックの時代から機能を高め、技術力を駆使した製品を作り上げる会社への変貌であります。言い換えれば世界のトップを走るアパレルメーカー群がワンシーズンしか着られない安物のSPA(製造小売業)を得意とし、低性能デザイン性重視低価格に対抗するような高性能ベーシック機能低価格商品で勝負します。どちらがいいかは消費者の判断ですが、本来ならばマーケッターが活躍したら面白いと思います。その点では柳井氏は現場たたき上げの製造マンなのでしょう。

では最後の孫氏。ソフトバンクの第一四半期の決算。営業利益の中でファンド事業が2.3倍となり、利益の1/3を稼ぐ収益構造となっています。つまり通信事業のソフトバンクから大投資家のソフトバンクに代わっており、通信事業はほんの一部門と変わってきています。数年後にはスマホ事業もあったな、という形になるとみています。私の見る孫氏はあえて言えば財務マンです。

本来であれば会社には製造部門、販売部門、財務部門が必須であります。それがバラバラでも大事業家になれるというのが面白いところでありましょう。持てる能力を極限まで引き延ばせば成せる時代にになったとも言えるのでしょう。

でも、協力すればもっと強くなれる、とも言えなくはないでしょう。戦国時代の一国の主を見ているようです。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。

過剰競争の末路4

香港の航空会社キャセイパシフィックの半期決算は利益が82%減となったそうです。東南アジアは航空会社が国の数が多い分だけ競合関係になりやすい状況になります。その上、LCCも各国で花盛りとなり、かつては高いサービスで鳴らしたキャセイの台所事情も厳しいのでしょう。

当地でもバンクーバー発東京行の一部航空券が往復5万円を切る破格の金額(545CAD)で発売されています。これも過剰競争の結果なのですが、航空業界は需要さえあれば基本的にどこにでも飛ばせるので過剰競争が起きやすい業種であります。例えばバンクーバー東京線はインド人の里帰り路線としても利用客が多かったのですが、10月からついにバンクーバーインド直行路線が就航するため、この需要が剥がれ落ちてしまう可能性が高くなります。

これらはグローバル化による過剰競争の典型的な例であります。企業はより業績を拡大させるために外に出ていこうとします。しかし、需要は限りがあるし、一時的なブームやライバル出現もあるでしょう。例えば海外に進出するラーメン店。これはもはや尋常の域ではないのですが、理由は進出しやすい手軽さが背景にあります。それは寿司のような鮮度と熟練技術を求められず、メニューも少なくキッチンはラーメンを作る仕様だけで済みます。このお手軽感覚でどんどん増え続けるラーメン店の供給に対して需要がどこまでついてくるのか、はなはだ疑問です。私もあるラーメン店進出に関して出資の話があったのですが、ラーメン店一軒に1億円かけるその意味合いはどこにあるのでしょうか?

民泊ブームはどうでしょうか?新しいビジネス発想は政府まで動かし、ああでもない、こうでもないといっていたのですが、今後はコアなファンを別としてシュリンクしていくとみています。この類のビジネスは長期安定しにくく、部屋を提供する側も管理をやればとても面倒な仕事だと気が付くはずです。客からすればサービスのばらつきも気になるでしょう。クレームが多い宿泊先はチェックしているとされますが、運営者の言うとおりになるほど簡単にコントロールできません。つまり、本気の経営者しか生き残れないのであります。

中国が苦しんでいます。日経の記事には特に鉄鋼業界の惨状が詳しく記載されていますが、鉄鋼に限らず、あらゆる業界が人員削減に取り組んでいます。職を失った人材は何処に行くのでしょうか?記事に「首を切られず、前より少なくても給与をもらえれば良しとしなければならない」という発言が出ていますが、このコメントはかつて日本でも聞こえたあのリストラの嵐の時代とおなじでしょう。

リーマンショック後に決めた中国の60兆円に上る景気対策で過剰生産設備や過剰住宅供給を行ったことでその反動の清算が追いつきません。2009年頃はリーマンショックで苦しんでいる先進国からは中国の景気対策で一息ついたとその英断をたたえる声が続出していました。

中国は長年の傾向としてもうけ話に人がわっと飛びつきやすく、過剰競争が生み出される素地があります。これが地方都市の不動産バブルであり、造船ブームであり、鉄鋼産業であります。身近なところでは自動車製造メーカーはいくつあるのか知れず、スマホの業界リーダーはころころ変わる状態であります。

カナダは過剰競争が起きにくい国であります。理由は世界第2位の国土に対して人口3500万人では人口密度が十分ではありません。国土の北部の多くは未開の山で主要都市はアメリカ国境沿いにずらっと並びます。その結果、輸送は横横ラインしかなく、アメリカのような四角い形の国でハイウェイが縦横無尽に走っているところとその基礎力が全然違うのであります。

その結果、何が起きるかといえば業界は複占や寡占といった競争の少ない状態に淘汰され適正利潤を確保しやすい企業体質が生み出されました。これは消費側は高い金額を否が応でも受け入れるしかない社会であるとも言えます。ではそんなに価格が高ければ消費者はお金を使わないのか、といえば「払わなければサービスは得られないのよ」と言い、「これが物価だから」と受け入れるわけです。

むしろより付加価値の高いものにシフトしていく傾向すらあります。私はボディソープは一本1500円ぐらいのものを、乾燥肌対策のクリームは2000円ぐらいのものを使いますが、購入の動機は価格で判断したのではなくそれらの価値を見て「相応」だから出費するのであります。つまり効能が先、価格はそれを納得させるかどうか、ということです。

アジアは製造業の拠点でありますが、マスプロダクトから人々の目はよりシビアになってきているそのパラダイムシフトに気が付かないと戦略ミスを犯す気がします。

では今日はこのぐらいで

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また明日お会いしましょう。

モノづくりニッポンの将来の姿4

日本人の手先が器用で創意工夫に長けていることは異論が少ないでしょうし、日本の様々な歴史上の話からもみて取れます。時には刑務所内での工夫などといったようにそのDNAは状況を改善し、より心地よいもの、便利なものを作ろうとするたくましい創造力そのものであります。

それ故の日本の戦後の高度成長であり、日本の高品質な商品の爆発的売れ行きであり、世界からは羨望の目で見られ、時としてやっかみもあったわけです。

モノづくりニッポンはそういう意味では日本経済の基幹であってそれを支えてきた多くの諸先輩はその魂を潰してはいけないと説き続けました。あるいは経済の諸雑誌でもメディアでもそれを否定することはありません。

その一方で日本で製造業が少しずつその立ち位置を変えてきたことも事実です。

価格競争により人件費の上がった日本よりアジアの国々で作ることが当たり前になりました。繊維、家電でメードインジャパンを探すのは苦労します。7-8年前、それでも自動車だけは下請けの重層構造を考えればそう簡単に海外に出ていくことはないだろう、と考えられていましたし、建設業不振の中、自動車産業の従事者は日本の雇用を守り続けてきたことも事実です。ところが、数年前の激しい円高は80円を超える水準となり、輸出事業者にとって別の意味での創意工夫は避けられない課題と発展していったのです。

それは自動車産業と言えども国内生産を維持出来なくなるかもしれない警告だったかもしれません。

10月16日の日経、一面トップは「新型車、海外製品輸入、敵地量産、為替変動に強く」とあります。いよいよ、日本は自動車も輸入する時代を本格的に迎えようとするその兆候を示す重要な記事であります。

思えば日本で「逆輸入自動車」として華々しいイメージを作ったのは三菱自動車がオーストラリアで製造したマグナだったと記憶しています。時は80年代後半のバブルの頃で「輸入車」という響きと日本車なのにオーストラリアのワイルドな感じがするそのポジショニングに妙な魅力を感じたものです。

ですが、輸入自動車が市場を席巻することはかつてあまりなかったと思います。その理由の一つに日本人のブラッドに「バイジャパニーズ主義」が芽生えたことが大きかったと思います。70年代ぐらいまでは日本製品も物まねが多く、今一つというものもまだ多かった中、ソニーストアや青山の紀伊国屋あたりではアメリカ製などの珍しいものがたくさん売られており「舶来品志向」を鮮明に打ち出しました。あるいはアメ横のガード下ではちょっと怪しげな並行輸入品が所狭しと並べられていました。

その後、日本製品の品質向上、日本人のために合わせた独特のマーケティングも功を奏し、外国製なのに日本独自仕様が当たり前となり、挙句の果てにやっぱり日本製がよい、という志向転換がありました。さらに追い打ちをかけたのが海外製品(特に食品)における不信感がバイジャパニーズを煽ったと考えています。

そんなメンタルな後押しもあり、トヨタや日産は国内で最低生産台数の目標を設定するなど国内自動車産業の保護を進めてきましたが、グローバル化はいよいよ、そのコミットメントをも変えるのかもしれません。

その先兵だったのがホンダであります。同社は海外に生産拠点を移し続け、適材適所を推し進めました。その結果、同社の日本国内からの輸出比率はわずか3%となり、見方を変えればこれほど「ドメな」会社はないという事になってしまったのです。マツダなど国内生産比重が非常に高い企業もありますが、グローバル化を考えれば将来的に日本製の自動車が希少価値になることすらあり得るのでしょう。

残念ながらそれは好む好まざるにかかわらず、日本が持つ根本的問題点、つまり、少子高齢化と就職のミスマッチ、更には賃金水準を含む成熟した先進国の病がもたらす避けがたい事情があります。東大阪や東京大田区の町工場の火が一つ、また一つと消えていくことで産業ベースでのモノづくりの足腰は明らかに変質化しています。

ではそれが予見できるならどういう対策が必要なのでしょう?製造業の国内回帰はまずあり得ません。あったとしてもそれはロボットが担うことになります。

私はモノづくりDNAそのものをビジネスに転嫁するしかないと思います。ユダヤ人は世界で1300万人程度しかいないのに世界の政治経済を牛耳っていると言われています。そのユダヤから少子高齢化に悩んでいるという話は聞こえてきません。それはブラッドを守る、というにフォーカスしているからではないでしょうか?ならばモノづくり、創意工夫の日本人が世界の隅々で活躍することが日本を守ることになるのかもしれません。

過去にノーベル賞を受賞した一部の「元日本人学者」は非日本国籍者とし、日本人のノーベル賞メダル数にはカウントされません。しかし、これはおかしなものでブラッドは日本人であって日本国籍がないだけの話であります。カナダに長くいるとethnicという言葉を頻繁に耳にします。民族という意味ですが、われわれが今後発想の転換をしなくてはいけないのは国籍至上主義から民族至上主義への転換ではないかと思います。その上で活躍する場を日本から世界に広げやすくし、非日本人という差別的発想を止め、同じ民族として喜びを分かち合う思想に発展することがまずは重要な気がします。

モノづくり日本の将来の話は思わぬ方向に展開してしまいましたが日本が抱える本質的なイシューとはこのあたりにある気がいたします。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

クルマ社会からの進化4

突然ですが、トヨタ自動車が自動車を作らない会社に変わったらびっくりしますか?

私は大いにあり得ると思っています。いや、そうなるべきだと思っています。

IBMがパソコンを作ることを止め、その会社を中国企業に売却したのは確かに衝撃的でありました。しかし、同社はそこから更に大きく成長をしています。何故でしょう?「地球をより賢く、よりスマートに」というキャッチにそれが隠されている気がします。製造業としてモノを作るという段階から地球、人間、環境、社会などあらゆるバランスを考えた立ち位置の中で人々や社会が欲するものを創造するフレキシビリティを持った企業に変わってきています。アメリカにはそのような企業理念を持つ会社が増えてきています。

トヨタが近々発売する燃料電池の車。技術的にはほぼ完成されつつあると思います。後は量産化に伴う改良と競合相手との切磋琢磨が進めば良いのでしょう。ですが、この車、多分ですが、簡単には普及しないとみています。それは二つ。あまりに高いインフラ整備のハードルとガソリンとほぼ同じの水素の価格であります。

確かに環境には優しい究極のエコでありますが、クルマ社会とはすでに車という物体だけでなく、道路、駐車場、ガソリンスタンド、という各種インフラ、そして、それに乗る人々の道徳観、運転技術、適応性、必要観、更には景気や雇用などが複雑にミックスした社会をもって形成しているとしても過言ではありません。

その中で新たなる商品を作るに際し、地球上の既存のインフラや既成観念を変化させるのは容易ではありません。その例が電気自動車でした。日本では普及が進むその急速充電施設もいざ海外に目を向ければさっぱり、という状況の中、せっかく開発した自動車メーカーを責める気はさらさらありません。そうではなく、これからの自動車メーカーは自動車が社会、地球環境の中でどう共生できるのか、それを前面に押し出し、政府や異業種を巻き込んだコーディネーターとなるべきだと思うのです。

つまり、私の描くトヨタ自動車とは必要な国、地域に必要なタイプの移動手段とインフラと社会理念を提供するグローバル企業だと思っています。ですのでトヨタ本体は車を作らず、その子会社なり関連会社なりがトヨタという指揮官の意向に沿った車を作ればよいのです。トヨタは正に商社のような役割を担うイメージでしょうか?

多くの日本のメーカーがなぜ地球儀ベースで圧倒的地位を作れないのか、それは企業理念の中に隠れた変革への恐怖心だからかもしれません。ではトヨタ自動車が100年後も今と同様の車を作るメーカーだとしたらどうでしょうか?私は失望します。

本当に地球環境を考えればいかに車を減らすか、ここにかかっています。しかし、それでは自動車会社が存続できません。だから車の環境性能や動力性能、快適性を向上させることで自動車を売ろうとする実にアンバランスな理念の上に乗っかっているともいえるのです。

しかし、100年後にクルマがあるとも限りません。アマゾンが考えている無人自動配達飛行機。あれに人が乗れるようになったらどうなりますか?移動空間は平面ではなく立面になります。だからこそ、トヨタ自動車は世の中の技術開発による激変にいつでも対応できるように車の製造の一歩上の立ち位置にある企業へと変化する準備が必要だと考えるのです。

世の中を見渡せばついこの前まで栄華を極めた企業があるとき消滅するがごとくなくなっている場合もあります。だからこそ、代表的日本企業が世界の一歩先を行く進化を遂げなくてはいけないのではないでしょうか?

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

日本に製造業は戻らないのか?4

日経電子版の今週の読者アンケートは「円安で工場回帰は起きるか」というテーマです。これは実に奥深い話だと思いますので私の考えをアンケート集計締め切り前ですが書かせて頂きます。

私はずばり、円安になっても製造業は日本には戻らないと見ています。理由は消費される場所で製造することによるメリットの方が高いからであります。6重苦という言葉を理由に日本企業が海外に進出し、空洞化を招いたとされていますが、私はそれはむしろ後付けの理由であって、もともとは人口減で総需要が減っている中、企業の成長は海外に行くしかない、というバックグラウンドがあったのだろうと思います。

その先端を行ったのが自動車産業でした。その影響力は多大でした。なぜならば関連の部品メーカーを含め一気に外に出て行ったわけです。勿論、日本国内の生産を止めたわけではありません。が、日産自動車のように工場を閉鎖したところもあるし、トヨタでも国内雇用重視といわれながらも国内生産は徐々に減ってきています。門外不出といわれたレクサスの製造は現在カナダのオンタリオ州でSUVが作られているのみですが、今般、ES350をアメリカに製造移管します。もともとES350は国内未発売のミッドサイズのセダン。九州工場で作っていたものですが、全量輸出の意味が問われ始めたということでしょう。

日本の製造業の立ち位置の変化をもたらしたきっかけのひとつに中国での反日運動があったと思います。これをきっかけに日本企業は目覚めてしまったことがあります。それは中国一辺倒のリスクと親日の東南アジア6億の人口を擁する国々の市場であります。勿論、それまでにも既に日本企業はタイを始め多くの東南アジアに進出していましたが最近の盛り上がりはそれまでのペースをはるかに凌駕するものであります。

結果としてそれらの国では日本製品が溢れている状況が続き、市場の成長性はまだまだ高いと見られているのです。6億の人口といえば中国の約半分であるもののアメリカの2倍、日本の5倍もあるのです。それらの国々へ進出することで中小企業を含め、海外進出の経験を通して海外での生産メリットをより理解させる結果となるでしょう。つまり、今までの日本企業は「出ず嫌い」であったのです。理由は人材、語学力などむしろ人事問題を含む経営方針だったのでないでしょうか?

もともと90年代初頭のバブル崩壊の際、日本企業は銀行主導の下「本業回帰」が声高に叫ばれました。その本業回帰には海外からの撤退が含まれていました。銀行は冷徹であり、「お宅の海外事業は儲かっていないですよね、ならば撤退してください」の一言でした。これが日本の海外での市場シェアを大きく落とし、韓国勢などに付け入る隙を与えてしまった一因であることはその間、ずっと海外にいた人間だからこそはっきり断言できるのです。

では日本は空洞化が進むのか、といえばそういうことでもないと見ています。日本では技術やノウハウを売るビジネスで儲けていく時代がやってくると見ています。少子化もそれが与件であればそれでも日本が食べていけるように対応するだけの話です。貿易赤字は膨大になるかもしれませんが、所得収支がそれを上回る黒字になればよいだけの話です。このあたりが新聞の紙面に惑わされやすいところではないでしょうか?

日本の未来はまったく別の形で進化する、というのが私の思う20年後の日本であります。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。

中国の苦悩は続くのか?4

このところ中国関連のニュースで気になるものが見受けられます。

一つ目は中国のアメリカへのサイバー攻撃。これはカナダの新聞でも大きく取り上げられています。二つ目はiPhoneの生産を担っている鴻海のiPhone関係の受注が極端に落ち込み、生産拡大を凍結したニュース。
三番目は日本企業の中国での生産拠点を徐々に東南アジア諸国に移していること。更にはここにきて安倍首相の訪米前の発言に強烈なジャブを入れています。

これらのニュースは一見関係なさそうに見えますが、ある意味、ストーリーラインをもって捉えることが出来そうです。

中国は世界の工場として年率10%という驚異的な成長を維持してきました。更に2008年の北京オリンピック、2010年の上海万博という二大イベントを通じて中国を世界に紹介し、成長のピークを迎えました。その側面を支えたのが日本企業の中国進出、および、台湾の鴻海グループの中国での受託生産工場の展開、特にアップル社向け製品の引き受けに伴い、従業員100万人規模で中国GDPにも大きく貢献してきました。

一方で世界の工場の原動力となったのが安い労賃と13億の民という裾野の広さでありました。しかし、安い労賃で過酷な労働を強いた鴻海グループでは相次ぐ自殺やストライキでしばしばトラブルに巻き込まれました。一方、日系企業は中国人幹部を育てず、日本人が管理部門を抑えるという長年の慣行が中国社会で問題となり、中国人は日系企業に対して「技術やノウハウを盗む」という姿勢を強めました。

結果として日系企業でも13億の民という消費者をビジネスとするBtoBグループと中国を生産拠点としてとらえるBtoCグループに分けて考えれば生産拠点としてのBtoC企業グループは人件費の高騰、ストライキや政情の不安感により新たなプランを探す動きに繋がりました。いわゆる「プラスワン」であり、実際にはプラスワンへナチュラルな移行を進めるという発想となってきているような気配すらあります。もちろん、中国で生産し、中国国内で消費してもらうという一貫体制を求める企業は中国での継続した安定的なビジネスを望んでいるところであるとは思いますが、ここからは日系企業にとっても本気度によって残るか、移るかという判断をする正念場にかかっているような気がいたします。

さて、そんな中、最近改めて注目されているのが中国共産党、ないし、軍部によるものと思われるサイバーテロ、そして、その標的はアメリカの中枢部。これに対してアメリカは敢然たる態度で臨んでいます。それが本当だとしたら、なぜ、中国がサイバーテロを企てるのでしょうか?根本的には体制の違いと最近の中国国内のストレス、軋轢が原因ではないかという気がします。

中国がもしも10%近い高度成長を継続すればアメリカの経済規模も抜き、世界のトップになると予想した経済記事は相当数ありました。しかし、あれから数年たち、今、そのような記事は案外見かけなくなりました。いや、むしろ、少子化、労働力低下、東南アジアが力をつけてきたこと、中国の孤立化などさまざまな問題点が浮き彫りになりアメリカを抜くのはそう簡単ではないという見方も目立ってきています。

中国では完全なる習近平体制がスタートする3月以降、大きなチャレンジが待ち構えています。それは明らかに国内問題であり、今までさまざまなフラストレーションや抑圧を国外問題に転嫁することで泳ぎきってきましたが、もはやそのギミック(手品)は通じないところまで来たように思えます。

私が恐れているのは中国は膨張主義がありますので最終的に武力でもってそのストレス発散をする可能性は否定できないということかと思います。どこにその矛先が向けるかはわかりません。また、いわゆる従来型の武力攻撃なのか、サイバーテロのようなものなのか、その想像すらつきません。しかし、中国の新指導部が相当、国内問題解決に力を入れ、格差問題を是正し、共産党員の賄賂を撲滅し、13億の民のベクトルが同じ方向に向かうよう努力しなければ中国の歴史は再び繰り返すことになるかもしれません。

私は新指導部が動き出す今がその対策を打つ最大のチャンスであり、これを間違った形で展開しないことを強く望みます。

今日はこのぐらいにしておきましょう。
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ではまた明日。

アメリカ雇用統計と株式市場4

2月1日、恒例のアメリカ1月度雇用統計の発表があり、ほぼ予想の範囲内の157000人増となりましたが、11月、12月分の見直し数字が24万人、20万人増と大幅上方修正したことのほうがむしろ注目すべき点かと思います。毎月雇用統計の発表はこのブログで紹介させていただいておりますが、民間部門の回復は目覚しく、特に不動産、建設の回復は明白であるとさせていただいています。1月も建設部門は28千人増でこの数ヶ月安定的に増加しています。

更に製造業でもこの1年ぐらい、トレンドとなりつつある「国内回帰」は引き続き良好であると同時に工場労働者の賃金が大幅に下がっていることに注目すべきかと思います。特に一部の州で労働組合の参加が労働者の選択となりつつあることを受け、労賃低下という結果をもたらしていることは今後、アメリカにおける労働組合の位置づけはネガティブなイメージが先行し、結果として非組合化による経営効率の上昇がアメリカの製造業を含む民間部門の大幅な回復の原動力になる可能性はあります。

これを受け、「アメリカの買い」ということもあり、為替は金曜日のニューヨーク終値近辺で円ドルで2円以上も円安の93円近くをつけている状態です。このトレンドはディーリング相場そのものであり、円がおもちゃになっているとすれば日本政府は本当にこれを望んでいるのか、よく考える必要はあるでしょう。一方通行や急激な為替変動は許されないと発言し続けてきた過去の政府発言はなんだったのか、ご都合主義と揶揄されるかもしれません。

さて、株式についてはダウ平均が終値ベースでついに14000ドルを突破したことが大きな話題になっています。これは2007年10月以来ですので市場関係者にとっては感無量なのかもしれません。2007年10月はアメリカの住宅ブームがピークを打って1年たち、リーマンショックのほぼ1年前という時でした。それからの長い金融や不動産の調整時期を経て、今日に至ったわけですが、アメリカがあの時と同じ景気の空模様だとは思えません。

例えばカナダの株式と比べてみましょう。代表的な指数であるS&P/TSXでみるとピークは2008年6月でほぼ15000ドルでした。今日現在のTSXは12768ドルですから高値からまだ15%近く下回る水準にあります。特に2011年秋まではダウとTSXはほぼリンクしていたのにそこから先は回復したダウと低迷するTSXと分かれます。経済的にリンクしているアメリカとカナダでなぜ、ここまで違うのか、と考えてみるとその可能性は絞られます。

ひとつは資源に頼るカナダは当時の中国からの低迷する経済指標に強く影響を受けたこと。
もうひとつはアメリカはQE3などを通じてドルを刷りまくりましたが、カナダはそれをしていないこと。

資源については例えば銅は以前は中国の影響を強く受けていたものがいまや、アメリカの住宅市況の底入れで市況回復しているとされています。また、このところ、中国の経済指標も当面の底打ち感があることを考えればやはり金融緩和と欧州の安定感、日本の株式の回復ぶりで「リスクオン」のモードでダウも好調を維持しているという見方が正しい気がします。

以前から一貫して申し上げている通り、私は2013年のアメリカ景気についてはまったく心配しておりません。債務上限問題も政治ゲームの中での話ですので必ず解決するはずです。市場ではこの問題が解決すればアメリカの景気見通しは大きく変わるとしています。GDPは10-12月がマイナスなりましたがこれは一時的なもので1-3月は回復するものと見ています。通年では想定の2%以上の経済成長率は確保できると踏んでいます。日本はこのアメリカ景気に引っ張られる形で輸出産業を中心に好調となるでしょう。ちなみに日本の最大の輸出依存先は中国からアメリカにとって変わられています。やはり日本とアメリカは強いリンクの関係を持ち続けるのでしょうね。

今日はこのぐらいにしておきましょう。

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ではまた明日。
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