外から見る日本、見られる日本人

バンクーバーの日本人社長ヒロが仕事、生活を通じて感じた経済、経営、社会、日本人観などを綴っています。

金融安定化法案

ちょっと先読み、アメリカはどうなるの?4

金融安定化法案の決議は明日、10月3日に下院で行なわれますが、その結果がどう転がるとしてもどこかで本件は落ち着いてきます。多分、株式市場もその辺をそろそろ織り込みつつあります。ですが、今日、10月2日のアメリカ株式市場の下落はあくまでも「その後の不安」をネタに下げています。

その後の不安?

僕のブログで何度か指摘したと思いますが、経済の回復力の問題です。金融の安定化は目先の問題ですが、アメリカは住宅市場がすでに下落し始めて2年近くなります。住宅市場不振から来る消費経済への打撃は極めて大きいのです。しかもGDPの6割ぐらいが個人消費をベースに計算されますから、お金を使いたくてもローンが出来ないアメリカの平均的家庭はその回復のきっかけすらつかんでいません。

そこに勃発した金融関係の破綻、破綻、また破綻。当然、ヘルシーな会社や金融機関でも激しいリストラが行なわれているわけで明日の雇用統計はかなり厳しいものになるのではないかと見ています。しかも金融関係にお勤めの方は比較的高い収入を得ていました。その人たちは職を失い、高額所得者の消費エンジンパワーがドンと落ちつつあるという下落スパイラルにはまってきました。

今後、FRBは選挙後、利下げを行なうと思われますが、その時点でアメリカの行方は日本とまったく同じということが皆さん、お分かりになると思います。

かなり昔、僕は日本は図抜けた経済先進国ということを指摘しました。そして、その次にアメリカが続くと。実際そのとおりになってきています。

先進国は成熟国家でもあり、成長のスピードも落ちるし、消費のペースも下がるのです。(大人になったら背が伸びないのと同じです。)ですから、経済成長率は1%台が普通になります。そうなると、金利は預けても0.5%とか、借りても2%とか、日本と同じレベルになります。

となれば、アメリカが覇権を握り続ける事はまずないでしょう。ましてやオバマさんは対話型、平和指向型です。力でねじ伏せたりしませんから、国際政治は国連のパワーが強くなると考えるべきです。ドルの価値は下がらざるを得ません。相対的に中国元やインドルピーは強くなってしまうのです。そうすると中国、インドの国際競争力は巷で言うほど高いレベルを維持し続けるには内需に頼らざるを得ない、というシナリオが見えてくるような気がします。

こんな感じを僕は想定しています。世の中、この手の予想をする人は多いと思います。が、それぞれ専門分野がある中での予想をするケースが多いのです。もっと、ゼネラルに世の中を歴史を含めて見渡すとこんな感じが最も妥当だと思うのですけれどねぇ。

どうでしょうか?

ではまた。

今日のマーケットに対して備えをしていましたか?4

正直、アメリカの金融安定化法案が通過しなかったのは多くの投資家、銀行家、企業家、そして政府にショックを与えたことでしょう。

保守派の言うことも十分理解できます。
「なぜ、僕らの税金で君たちの経営のヘマの尻拭いをしなくてはいけないのかね?」と。

もともと、サブプライムの問題が起きたとき、ブッシュ大統領は税金の投入はしないと断言していました。ですので、FRBは当初、その対策に制約が出ていたのは確かです。そして、患部が悪化して、末期ガンのようになって、ようやく、やばいと気がついた。が、一度敷いたレール(=税金を投入しない)とレイムダックのブッシュ政権にはこの火は止められなかったのですね。

正直、ここまでの予想をした人はさすがいないと思いますが、アメリカの不動産がバブっていたこと、信用膨張が起きていたこと、石油や商品相場がゲーム感覚の相場展開になっていたことを冷静に見ればやはり、踊りすぎてくたくたになっていた訳ですね。

僕はアメリカを中心とする不動産は数年前から弱気一辺倒でした。ある意味、不動産開発を業とする者として利益を逸したぐらいに思われていました。が、僕は日本のバブルのとき、日本で開発事業をしていて不動産バブルを身にしみて感じていました。ですから、2006年に一切の開発行為をやめて、手持ち不動産で守りの姿勢に入ったわけです。幸い、僕の事業にはまったくの痛手がありません。

今、僕の周りで不動産がらみ、建設がらみの仕事をしている人はものすごく大変な状況のようです。いつ、何処から「えっ」と驚く話がおきてもおかしくない状況です。

正直、今回の「崩落」は金融システムというより、経済システム全体に問題が起きてしまいました。しかも、これからヨーロッパ諸国でも相当の調整があると見られています。

株式の低迷は401Kなどで運用する年金にも影響を与えるでしょう。当然、今後、消費にグサッと刺さりこむものがあると思います。ここはまず市場の動きが落ち着くまでとにかくばたつかないことが懸命だと思います。

日本は経済鎖国をしていた分、得ですから温存していた体力をうまく使いながら乗り切って欲しいと思います。

やれやれ、明日はどうなるのかな。

では。
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